現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 利益の源泉としての品質改善【IMPROVE開催レポート】

2023年4月13日(木)に現場改善ラボは、オンラインイベント『IMPROVE~品質向上~』を開催しました。お申込みが2,000名を超えた本イベントでは、さまざまな専門家/企業講演をお届けしました。

本ページではニト・コンサルティング株式会社代表取締役の今澤 直久氏による「属人的な教育が引き起こす品質不良」の講演をギュッと凝縮して皆様にお届けします。

本レポートでは全ての内容をお伝えしきれないため、本セミナーの見逃し配信も併せてご覧くださいませ。

利益の源泉としての品質改善

品質改善を『利益を産む活動』と捉える

本日の講師を務める今澤 直久と申します。大学卒業後、電子楽器メーカーのローランドに勤め、26年間新製品開発やコールセンターマネージャー、品質損傷部でのお客様の声活用などの仕事を行いました。その後、良品計画に転職し、食品、アパレル、生活雑貨の製造委託先向上や品質改善に携わり、中国や東南アジアの工場を訪問しました。

新型コロナウイルスの影響で原材料やエネルギー価格が高騰し、資源を輸入に頼る日本は大きく影響を受けています。原油先物取引やアルミニウム価格も上昇しており、コンテナ不足で輸送運賃も急激に上昇しました。

講演映像の切り抜き

品質改善は顧客満足と結びつけられることが多いですが、今回は利益を産む活動と捉え、不良品発生によるコスト削減に焦点を当てたいと思います。不良品が発生すると、問い合わせ対応、返送コスト、現物確認の手間、代替品のコストや輸送費、修理や背景、不良対策の手間など様々なコストが利益を削ります。これらを削減するために皆さんも日々品質改善活動に従事されていることでしょう。

デザイン開発プロセス、生産現場、製造委託先での品質改善

本日は、デザイン開発プロセス、生産現場、製造委託先での品質改善についてお話します。

デザイン開発プロセスは品質改善活動で最も重要です。設計の良し悪しは製造工程に影響し、悪い設計は治具や調整作業が増えることでコストや品質リスクが高まります。

設計変更での品質改善は多いものの、ロスも発生するため最初から良い設計を目指すべきです。デザイン開発プロセスでの品質改善のポイントは、要求事項を十分検討し、試作品評価で異なる視点を持ち、開発スケジュールを明確にすること。信頼性を保証する試験項目を明確にし、問題を未然に防止することが重要です。

ここでデザイン、開発プロセスにおける品質改善の事例を1つお話ししましょう。ベッドのスチールフレームの品質改善事例では、高価な鋼を使い、強度を保ちながらワイヤーメッシュの間隔を広げました。この結果、鋼材の使用量が減り、溶接箇所も減少し、作業時間が削減されました。さらに、溶接ミスの可能性が減り、品質向上にもつながりました。高い材料を使うことで、トータルコストを下げ、品質向上が実現できました。

講演映像の切り抜き

生産現場での品質改善では、「不良を外部から入れない」「不良を作らない」「不良を外に出さない」が重要です。4Mの変動(人・機械・材料・方法)を抑えて不良の発生を防ぎ、変化点管理に着目します。

現場での品質改善には5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が基本で、無駄を省いてコストダウンを実現する利益を生み出す動作です。5Sを実践すると、材料や設備工具の無駄がなくなり、リードタイムが短縮され、スペースの無駄がなくなり、工場を有効活用できるきれいな職場環境が実現し、作業者の意識も向上し、安全で働きやすい職場が実現できます。これにより、品質活動コストダウンにつながります。5Sは段階的に行い、整理・整頓・清掃の順番を守ることが重要で、真の5Sを実現しないと利益喪失につながります。

また、製造現場では作業標準と従業員教育が重要で、OJTの効率や質を高めるためにタブレットや動画を活用しています。しかし、作業ミスはゼロにはできません。ミス防止策として、部品の定数供給で付属品の入れ忘れを防ぎ、チェックシートを活用して作業の抜け漏れを防止します。また、部品の種類を減らし、同じ径で長さの異なるネジなどを設計で統一することで、取り付け間違いを防ぐことができます。さらに径、識別マークやQRコードを利用して印刷物を管理し、海外工場でも作業者が識別できるようにします。

意外な盲点として、作業中の休憩がありますが、全ての作業が終わってから休憩に入るルールを徹底することで、加工漏れや部品の付け忘れを防ぐことができます。

同様に、交代勤務や増産応援では引き継ぎと教育が重要で、交代時間のオーバーラップも効果的です。木星間工場の事例では、二連ドリルで穴位置が定まり、組み立ての問題を未然に防止しています。

製造委託先での品質改善では、不良品置き場を確認し、フィードバック体制が重要です。海外の製造委託先を選定する際は、日本と欧米の品質観の相違を考慮し、事前に工場と調整が必要です。日本人は壊れない品質を求める一方、欧米人は上品で味がある商品に愛着を持ちます。品質向上には長期的なパートナーシップが重要で、相互利益を目指す協業活動が求められます。継続発注を前提に協業し、利益還元を行うことでwin-winの関係を築くことが大切です。

製造委託先からの輸送では、梱包設計やコストに注意が必要です。特に重量物の流通破損が問題となり、適切な強度の設計が求められます。また、コンテナの積載率を高める梱包寸法も重要です。IKEAは商品の魅力や性能に加え、梱包の美しさも評価基準としており、綺麗に梱包できない商品は採用されないことがあります。コスト面も考慮し、梱包に気を遣うことが重要なポイントとなります。

本日は品質改善が利益を生む源泉となる活動であるという視点でお話してきました。ご清聴ありがとうございました。

講演映像の切り抜き

本レポートでは全ての内容をお伝えしきれないため、本セミナーの見逃し配信も併せてご覧くださいませ。

利益の源泉としての品質改善

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