現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 テールゲートリフター特別教育の社内実施と成功ポイント:外部開催との比較も解説

※本記事は、物流現場で18年のキャリアを持ち、物流現場の作業から安全責任者まで歴任した筆者が実務経験に基づいて執筆しています。

2024年2月から労働安全衛生規則改正によりテールゲートリフター特別教育が義務化されました。テールゲートリフターを使用した業務に就く従業員全員に対して、特別教育を行う必要があります。

技能講習などとは異なり、特別教育は自社内で実施することも可能です。ただ、「社内で実施するにはどのような条件を満たせばいいのか」「外部委託とどちらが良いのか、判断基準がわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、テールゲートリフター特別教育を社内で実施するための基礎知識から、外部研修機関との比較、社内教育を成功させるための具体的なポイントまで徹底的に解説します。

是非最後までお読みいただき、法令を確実に遵守しながら、効率的で質の高い教育環境を構築するための参考にしてください。

※本記事は、特別教育を「社内で」実施するポイントをまとめています。テールゲートリフターの特別教育の詳細については、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:テールゲートリフター特別教育の概要と安全教育のコツ

テールゲートリフター特別教育における社内実施と外部講習の比較

本章では、テールゲートリフター特別教育を受講する際の選択肢と、それぞれのメリット・デメリットについて、以下の4つの観点から解説します。

  • テールゲートリフター特別教育の受講方法は大きく3つ
  • 部分的に社内・外部を分ける受講方法
  • 社内実施と外部講習の比較
  • 社内実施と外部講習の判断基準

テールゲートリフター特別教育の受講方法は大きく3つ

テールゲートリフターの特別教育を受講する方法は、大きく分けて以下の3つです。

  • 自社で講師を選任し、社内で実施する
  • 外部の研修機関に出向いて受講する
  • 外部から講師を招へいして社内で出張講習を行う

企業によって従業員の人数や現場の稼働スケジュールが異なります。自社に最適な方法を選択しましょう。

部分的に社内・外部を分ける受講方法

特別教育は、すべてを社内、あるいは外部で完結させる必要はありません。

柔軟な受講スタイルを取り入れることで、業務への影響を最小限に抑えつつ、確実な教育を行えます。たとえば、”学科教育は外部の講習で受講し、実技教育は自社の実機を使って社内で行う”といった方法です。

ただし、この方法を選ぶ場合は、学科のみの受講に対応している研修機関をあらかじめ探しておく必要があります。自社の状況に合わせて、賢く使い分けるとよいでしょう。

社内実施と外部講習の比較

3つの受講方法には、それぞれ異なる特徴があります。以下の表で比較してみましょう。

▼特別教育の社内実施と外部研修機関利用の比較

受講方法費用メリットデメリット
社内で実施安価・自社のスケジュールに合わせて柔軟に実施できる
・実際の現場や実機を使った自社の業務に直結する教育ができる
・社内講師の育成や教材の準備に手間がかかる
・教育品質にバラつきが出やすい
外部研修機関での受講比較的高価(受講料約12,000円/1人~+交通費)・事前の準備や教材手配の手間がかからない
・プロの講師による均一で質の高い教育が受けられる
・受講日時の融通が利きにくい
・移動時間を含め、長期間現場を離れる必要がある
・対象者が多いほど費用がかかる
講師を招へいする出張講習高価(受講料+講師派遣費等)・従業員の移動の手間がなく、複数人を一度に教育できる
・プロの講師による質の高い教育が受けられる
・実際の現場や実機を使った自社の業務に直結する教育ができる
・最も費用が高額になりやすい
・講習用のスペースや実機を自社で確保する必要がある

自社の状況に合わせた方法がどれなのか、慎重に検討しましょう。

たとえば、毎年決まった繁忙期にアルバイト数十名を業務に就かせる事業所があるとします。その都度、外部研修機関に委託していては費用が膨大になってしまいます。その場合、教育者を育成し社内で実施するのが望ましいでしょう。

ただ、社内教育(OJT)には品質のバラつきなどの課題があるのも事実です。教育者にかかる負担も少なくありません。その課題を解決する方法について、以下の資料で詳しく解説しています。気になる方はリンクをクリックし、ダウンロードしてご覧ください。

>>資料「OJT担当者の負担が激減する、OJT教育の新常識とは?」をダウンロードする

社外実施と外部講習の判断基準

そもそも社内教育を実施すべきか、外部で受講するべきかの判断に迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

先述の通り、企業の状況や現場の環境によって、適した教育スタイルが変わります。判断基準として、自社が以下の項目に当てはまるかどうかを確認してみてください。

「【元労基署長監修】社内実施による本質的な特別教育の進め方」より抜粋

【元労基署長監修】社内実施による本質的な特別教育の進め方」より抜粋

  • 自社の業務実態に即した、法令遵守の確実な教育を重視する場合
  • 特別教育の対象者が多い、または従業員の入れ替わりが頻繁な場合
  • 自社の都合に合わせて柔軟にスケジュールを組みたい場合
  • 外国人労働者が多く在籍しており、言語や文化への配慮が必要な場合
  • 実際の作業現場や設備を最大限活用して教育したい場合

なぜこの5つが社内での特別教育の実施に適しているのかについては、以下の資料で詳しく解説しています。元労基署長によって監修されている内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。

>>「【元労基署長監修】社内実施による本質的な特別教育の進め方」(PDF資料)を見てみる

次章では、「具体的な教育内容はどんなもの?」という疑問にお答えします。

テールゲートリフター特別教育の具体的な教育内容

本章では、テールゲートリフター特別教育で定められている具体的なカリキュラムについて、以下の2つの観点から解説します。

  • 学科教育
  • 実技教育

学科教育

学科教育は、テールゲートリフターを安全に扱うための基礎知識を身につけるための座学です。

正しい知識がなければ、重大な労働災害を引き起こすリスクが高まります。学科教育は以下の3種類、合計4時間の講習が義務付けられています。

項目時間詳細
テールゲートリフターに関する知識1.5時間・種類、構造、取扱い方法
・点検および整備の方法など
テールゲートリフターによる作業に関する知識2時間・荷の種類と取扱い方法
・台車の種類、構造、取扱い方法
・保護具の着用、災害防止について
関係法令0.5時間労働安全衛生規則などの関係条項

実技教育

実技教育は、実際の機器を使って正しい操作方法を身につける講習です。

頭で理解しているだけでなく、実際の現場で安全かつ正確に機器を操作する技術が求められます。実技教育は、2時間の受講が定められています。

項目時間詳細
実技教育2時間テールゲートリフター操作の方法

テールゲートリフター特別教育の詳しい内容や、現場の安全意識を高める教育のコツについては、以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。

関連記事:テールゲートリフター特別教育の概要と安全教育のコツ

次章では、テールゲートリフターの特別教育を実施する際に押さえておくべきポイントについて詳しく解説します。

テールゲートリフター特別教育の社内実施で知っておくべきポイント

本章では、テールゲートリフター特別教育を社内で行う際に押さえておくべき重要なルールについて、以下の3つの観点から解説します。

  • 社内実施の講師に公的な資格は不要
  • 受講者の業務経験による免除条件
  • 修了証の発行は任意だが受講記録簿の3年間保存は義務

社内実施の講師に公的な資格は不要

社内で特別教育を実施する際、講師を担当する人物に公的な資格は求められていません。

ただし、誰でも講師になれるわけではなく、学科および実技の各科目について”十分な知識と経験を持つ者”が担当すべきとされています。

厚生労働省「労働安全衛生法における特別教育の概要」の抜粋

■講師の要件

講師の資格要件は定められていないが、通達により、教習科目について十分な知識、経験を有する者でなければならないこととされている。

日常的にテールゲートリフターの操作を行い、実務に精通したベテラン作業員や、現場の安全管理者が適任といえるでしょう。

受講者の業務経験による免除条件

受講者がすでに十分な業務経験を持っている場合、特別教育の受講時間が部分的に免除されることがあります。

具体的には、『2024年2月1日時点において荷を積み卸す作業を伴うテールゲートリフターの操作の業務に、6か月以上従事した経験を有する者』が対象です。

▼該当者が省略できる科目と時間

科目省略可否
テールゲートリフターに関する知識45分(45分以上の受講が必要/本来は1時間30分)
テールゲートリフターの操作に関する知識省略不可
関係法令省略不可
実技教育1時間(1時間以上の受講が必要/本来は2時間)

修了証の発行は任意だが受講記録簿の3年間保存は義務

社内で特別教育を実施した場合、修了証を発行するかどうかは企業の任意ですが、受講記録簿の作成と3年間の保存は法的な義務となっています。

▼労働安全衛生規則第38条

事業者は、特別教育を行なつたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを3年間保存しておかなければならない。

引用元:厚生労働省「労働安全衛生法における特別教育の概要」

もし労働災害が発生した際に記録が残っていなければ、教育を行っていないとみなされ、法令違反に問われるリスクがあります。誰が、いつ、どの科目を何時間受講したのかを正確に記録し、3年間保管するようにしてください。

次章では、「特別教育の社内実施を必ず成功させたい」という方に向けて4つのコツを解説します。

テールゲートリフター特別教育の社内実施を成功させる4つのコツ

本章では、社内で効率よく行い、効果を最大限高めるために押さえておくべきポイントを、以下の4つで解説します。

  • 十分な知識と経験を持つ社内講師の育成
  • 研修期間が発行するテキストや教材の活用
  • 業務への影響を最小限に抑える期間を分けた受講
  • 受講者の理解を深めるため「動画」を活用

十分な知識と経験を持つ社内講師の育成

社内教育を成功させるためには、実務経験と知識が豊富な従業員を講師として選任し、育成することが重要です。

現場の実態を理解していない人が指導を行っても、説得力がなく受講者に響かないからです。筆者が以前いた現場でも、フォークリフト作業における事故が多発した際、普段事務仕事をしており現場をあまり知らない担当者が指導を行ったことがありました。しかし、机上の空論を語るだけで実務に即しておらず、作業員にはまったく響かなかったという失敗例があります。

とはいえ、”知識や経験が豊富=教育者として適任”というわけではありません。人に教えるためのスキルは別途必要になるため、講師としての教育を受けさせ計画的に育成するべきです。

不安であれば、陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)などが開催している「インストラクター講座」を活用するのもよいでしょう。

研修期間が発行するテキストや教材の活用

社内で学科教育を行う際は、外部の研修機関などが発行している公式テキストや教育資料を積極的に活用しましょう。

▼教材費の一例

項目費用(目安)
受講者用テキスト(作業者必携)990円/1冊
安全作業ハンドブック(受講記録用)165円/1冊
学科教育補助用の動画教材(DVD)22,000円

参照元:陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)

すべて自前で、専門的な内容や関係法令を網羅した資料を作成するのは、時間と手間がかかります。市販されているテキストやDVDを活用すれば、準備の負担を減らしつつ、正確な知識を伝えることができます。

業務への影響を最小限に抑える期間を分けた受講

特別教育を実施する際は、1日で一気に終わらせるのではなく、数回に分けて受講させることもできます。

多くの事業所にとって、講師と受講生が最大6時間(学科4時間+実技2時間)も現場を離れて業務を止めるのは、現実的ではありません。

該当者が集まりやすいタイミングを見計らって、「今日は実技だけ」「今週は学科の1項目だけ」というように、複数日に分割してスケジュールを組む方法も検討してみてください。

受講者の理解を深めるため”動画”を活用

学科教育の中では、テキストだけでなく”動画”を活用することで、より効果的な教育が実現します。

文字や写真だけでは伝わりにくい実際の機器の動きや、作業に潜む危険性が視覚的・直感的に理解できるからです。実際に、陸災防が実施する4時間の学科教育においても、そのうちの46分間は動画教材が取り入れられています。

具体的には、テールゲートリフターの点検方法や安全な操作手順を伝える際、動画を使えば受講者の理解度が上がるでしょう

安全教育に動画を活用した例として、物流企業である株式会社近鉄コスモスは、フォークリフトの始業前点検の方法を伝える動画を作成し、効果的な教育を実現しています。

※「tebiki現場教育」で作成

なお、この動画は、誰でもかんたんに動画マニュアルが作れる動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」で作成されました。詳細が気になる方は、以下のリンクから資料をダウンロードしご覧ください。

>>動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を詳しく見てみる

まとめ

特別教育は社内での実施が可能であり、自社のスケジュールに合わせた柔軟な対応やコスト削減といったメリットがあります。

一方で、質の高い教育を実施するためには、適切な社内講師の育成や公式教材の活用、そして3年間の受講記録簿の保存といった法令を遵守した確実な運用が求められます。

社内教育のトラブルを防ぎ、現場の負担を最小限に抑えつつ教育品質を標準化するには、動画マニュアルの活用が非常に有効です。

社内教育の体制を整えることは、単なる法令遵守にとどまらず、現場の安全意識向上と労働災害の防止に直結します。

本記事でご紹介したポイントやかんたん動画作成ツール”tebiki現場教育を是非活用し、従業員が安心して働ける安全な作業環境の構築に取り組んでみてください。

引用元/参照元

厚生労働省「労働安全衛生法における特別教育の概要」

陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)

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