稼働率が1.2倍に!
攻めのデータ活用が生んだ製材現場の業務改革
株式会社くまもと製材
- 業種 : 素材・生活用品
- 従業員数 : 51-100名
お話を伺った方:
岩本様:製造部長
鈴木様:加工班長
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課題
- 1日30枚超の紙日報の確認に週5〜6時間を消費、8ラインで単位・入力形式がバラバラで計算ミスが頻発していた
- 設備の停止とその後の対応が指示を待つ形となり、稼働が一時中断していた
- 翌日になっても数値が合わず、不要なロスが発生する状態が続いていた
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効果
- 承認・確認作業:週5〜6時間 → 1日5分に削減、集計作業:8ライン×3時間/日 → ほぼゼロに
- 稼働率が65% → 77%と、1.2倍の改善を実現
- トレーサビリティ対応が即時に提出可能に
デジタル化前後の改善まとめ
原木から出荷まで。敷地内一貫の製材メーカー
貴社の事業内容を教えてください
岩本様:弊社は熊本で原木(丸太)の仕入れから、集成材用ラミナや住宅向け資材の製造・出荷までを一貫して手がけています。製造工程は、原木の受け入れから始まり、皮を剥いて丸を四角に加工する製材、その後の乾燥、そして仕分・仕上・検査・梱包・出荷という流れです。工場はすべて同じ敷地内で完結しており、2シフト体制で基本的には常に稼働しています。
製造現場ではどのような帳票を管理されていますか?
岩本様:もともとすべて紙で管理していました。作業日報や寸法記録票のほか、修理報告書、KY活動記録、設備の停止記録など、多岐にわたります。加工部門だけでも2シフト×複数ラインで、多い日には1日30枚以上の帳票が積み上がる状況でした。 現在は、特に枚数の多い作業日報・寸法記録票・KY活動・修理報告書の4種を、tebiki現場分析を用いたデジタル化に取り組んでいます。
「帳尻合わせ」が常態化していた
紙運用での課題と、デジタル化のきっかけとなったエピソードを教えてください
岩本様:一番大変だったのは、毎日の日報確認です。弊社は24時間2交代のシフトを取っているのですが、夜勤の方の勤務終了後の朝8時から約1時間、紙の帳票を1枚1枚チェックするのが日課になっていました。 週に換算すると、承認・確認だけで5〜6時間を使っていた計算になります。1日分の労働時間がほぼ丸々、日報の確認に消えていたわけです。
数字が合わないことも頻繁にありました。「1」か「7」か読めない、手計算の転記ミス。では実数を確認しようと現場に行っても、翌日には現物がすでに出荷準備に移っていて、ない。当時は「少ない方の数字に合わせて帳尻を合わせる」という対処をするしかなく、根本的な解決にはなっていませんでした。例えば記録が40で現物が45だった場合、現物の5をロスという扱いにせざるを得ませんでした。正直、自分でも「これでいいのか」と思いながらも、その状態が何年も続いていました。
鈴木様:現場側としては、紙帳票の記録項目が多すぎて、何を書けばいいかわからない状態になっていることも多くありました。紙に記入してから事務所に持っていくまでに、現場で手計算して数字を合わせる作業もありましたし、それでも合わなければ上司とともに原因究明や調整が必要になる、という手間がかかっていました。
他にも、8つのラインにおいて入力形式や単位がバラバラなことも課題としてありました。4メートルをミリメートルの「4000」と書くライン、センチメートルの「400」と書くラインが混在していて、異動してきた作業者がそのまま入力するとデータが大きくずれてしまう。「1日あたり”4”のはずが、”4000”作ろうとしてしまう」といったミスも実際に起きていました。
「かんたん」そして「分析しやすいか」が選定の軸
デジタル化ツール導入にあたり、何を重視されましたか
岩本様:比較の際は、3つのポイントで考えていました。「誰でもかんたんに入力できること」「かんたんに集計できること」、そして「現場の誰でも分析できる」ことです。
ノーコードツールや、グループ会社が導入していたExcel式の帳票システムも比較検討しましたが、グループ会社の現場の方に話を聞いたところ、「入力はできるけどデータを活用する場面で使いにくい」という声を聞きまして。
現場では年配の方や外国籍のスタッフなど、老若男女様々な方が在籍しています。入力がわかりやすいことも重要ですし、進捗が一目でかんたんにわかるような環境になれば理想的だなと思い、tebiki現場分析の導入を判断しました。
想定外だったのですが、Tebikiはサポート力にも高い信頼感がありました。困った際には「こういうやり方もあります」「こうしてみませんか」と、こちらの課題に合わせて次々と提案してくれる。契約を決める前のトライアルから、その姿勢は一貫してくれていて「この会社なら、困ったときに一緒に考えてもらえる」と感じたことが大きかったですね。
導入・トライアルの際、現場の反応はいかがでしたか
岩本様:現場に長く勤めていただいている年配の方ほど暗算が早くて、長年の経験で「何本流したら何メートル」がすぐ出てくる。ただ、暗算は早くても計算機の押し間違いはみんなどこかでやってしまったり、記録時のミスが発生してしまうのは正直なところです。
なので、まずはデジタル化を「触ってもらうこと」から始めました。ゲーム感覚でいいのでとにかく1回やってみて、と。データが貯まってきてグラフになったときに「こう見えるのか」という実感をしてもらえると、そこから自然に定着していきましたね。
設備稼働率65%から77%へ。12ポイントを押し上げた取り組み
導入後の、承認・集計作業の変化を教えてください
岩本様:承認作業は週5〜6時間から、1日5分程度になりました。必須項目の設定で抜け漏れが防げるので、パッと見て承認できるので、以前のようなトリプルチェックが不要になりました。
集計については作業そのものがゼロになりました。以前は8ライン分の日報をExcelに手入力して集計していたものが、tebiki現場分析に入力すればそのままダッシュボードになるので、集計という作業そのものがなくなりましたね。
以前は自分で毎日手書きでプロットしていましたが、今はその必要もなく、画面をそのまま上司や経営層に見せられる。また、工場内で何が起きているかをリアルタイムに把握できるようになったことも非常に便利になりました。携帯で確認して、経営層にも「パソコンで見てください」と連携することで、スムーズな情報連携が実現できました。
品質管理の面では、寸法精度を定期的に確認して前工程と意見交換できる雰囲気が生まれました。以前はデータがなくて言えなかったことが、グラフを見ながら「先月はこうだった」「このサイズはバラつきが強い」と具体的に話せるようになり、現場主導の改善ができ始めていますね。
データ管理の観点ではどうでしょうか
岩本様:お客様から「寸法が合わない」というご指摘をいただいたとき、以前は紙の帳票を探すところから始まって、どのロットかも曖昧になりがちでした。今はロット番号でダッシュボードを絞り込んで、スクリーンショットをその場で送れる。「この日のこのラインの加工分で、寸法精度はこの範囲に入っていますよ」と証拠を示せるようになりました。
JAS(日本農林規格)の工場認定として年1回の監査があるのですが、今年7月は初めてデジタルデータで対応する予定です。監査員の方にも「デジタルでも構わない」と確認をいただいており、紙の保管も不要になります。
見える化を通じた、現場改善はいかがでしょうか
岩本様:導入前は稼働率が約65%でしたが、現在は約77%まで改善されています。まだまだ改善できる余地はありつつも、着実に改善が進んでいるなと強く実感しています。
導入前は、設備が止まってから原因を調べて直す、という繰り返しでした。修理の記録は紙で残っていても、過去に遡って「同じ箇所が何度も止まっている」という傾向には気づきにくかったんです。
データとして蓄積されるようになってから、「3ヶ月前にも同じ部品が止まっていた」ということがすぐわかるようになりました。次に同じ兆候が出たときの初動が早くなりましたし、「そろそろ交換した方がいいかもしれない」という判断も、経験と勘だけでなくデータを根拠に話せるようになっています。
結果として、予知保全も実現でき始めていると思います。設備が止まりそうなタイミングで先手を打って保全できるようになったことも、稼働率の改善につながっていると思います。
ほかにも、同じ生産指標で複数のラインを横並びで比較できるようになって、得意・不得意が明確に見えるようになりました。その情報をもとに人員配置を工夫したり、スキルマップ作成のきっかけにもなっています。
生産時間・製造数・体積・メーター数…といった複数の切り口で見ることで、単純な枚数比較ではわからない強みも見えるようになりました。「このサイズはあっちのラインが得意だからこっちに寄せよう」という判断を、データを根拠に下せるようになったことも、全体改善につながっていますね。
グラフで「伝える」から、グラフで「改善する」へ
今後の展望を教えてください
岩本様:今は自分だけで確認する使い方が中心ですが、現場のみんながグラフを見ながら「今日はここが遅れているね」と自分たちで気づいて動ける状態にしていけたらと思います。
また、今後は外国籍のスタッフも増える予定なので、言語や文字に頼らずグラフで目標が伝わる環境を作っていきたいですね。まだ取得できていないデータも取り込んで、稼働率をさらに引き上げていくことが次の目標です。