かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」の現場改善ラボ編集部です。
HACCPは国際的にも認められた最も合理的な衛生管理法です。厚生労働省が実施した調査によると「クレーム、事故が減少した」、「製品に不具合が生じた場合の対応が迅速に行えるようになった」、「社外に対して自社の衛生管理について根拠を持ってアピールできるようになった」など多くのメリットがあります。
しかし、HACCPの文書管理は「必要書類が多すぎる」「管理が面倒くさそう」と感じる方も少なくありません。そのため、必要な書類をリストアップし、効率的な管理方法を取り入れることが重要です。
本記事では、HACCPの文書管理に必要な書類や効率的な管理方法について詳しく解説します。
結論を先に軽く言ってしまうと、文書管理を効率的に行うためには、ペーパーレス化がおすすめです。ペーパーレス化とは、紙の文書をデジタルに置き換えることですが、デジタルに対して抵抗がある方もすくなくないでしょう。
そこで現場改善ラボでは、ペーパーレス化が初めての方でも第一歩を踏み出せるように、ペーパーレス化のガイドブックをご用意しています。「紙の文書管理が大変…」「デジタルに移行したいけど、ハードルが高いな…」と感じている方は、ぜひ以下の資料をダウンロードしてみてください。
目次
HACCP導入で管理すべき文書
HACCPを導入する際は、「衛生管理計画」と計画を実施した「記録」を行うための文書が必要です。管理すべき文書を以下にまとめました。
また、「HACCPとは?」「従来の衛生管理とはどう違うのか?」など概要を詳しく知りたい方は、以下の記事でわかりやすく解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:HACCP(ハサップ)とは?簡単に解説!義務の内容、衛生管理の取り組み法も紹介
衛生管理計画書
衛生管理計画書はHACCPの基本であり、「一般衛生管理計画書」と「重要管理計画書」の2種類があります。どちらも営業許可の申請や更新時に提出が求められるため、必ず作成する必要があります。
- 一般衛生管理計画書
食品の安全を確保するための基本的な事項をまとめたもの。
原材料の受入、冷蔵・冷凍庫の温度の確認、交差汚染・二次汚染の防止(器具などの洗浄・消毒・殺菌、トイレの洗浄・消毒)、従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など(手洗いを含む)を明記します。 - 重要管理計画書
製造工程で考えられる危害要因を分析し、とくに管理が必要な工程を記載した文書です。たとえば食品の調理の場合、食品を非加熱のもの、加熱するもの、加熱後冷却するもの、再加熱するものなど加熱温度で区分けし、それぞれ管理方法を決めます。
製品説明書
製品に関する情報をまとめた文書であり、消費者が商品情報を正しく把握するために重要です。製品の名称や原材料、添加物、保存方法、賞味期限または消費期限、利用方法、流通上の注意点などを記載します。具体的には、以下のように作成しましょう。
製造工程図(フローダイアグラム)
原材料の仕入れから製品の出荷までの全過程を視覚的に表した文書で、製造過程におけるリスク管理を効果的に行えます。
上の図は、食肉販売を行う企業の製造工程図です。作成の際は図にもある通り、「汚染区域(検収場、原材料の保管場、下処理場)」「準清浄区域(調理場)」「清浄区域(放冷・調製場、製品の保管場)」に区分し、各工程ごとの温度や時間などを明確に書き出すことがポイントです。のちに特定する危害要因を発見しやすくなりますよ。
危害要因の一覧
製品説明書や製造工程図を基に危害要因を分析したリストです。危害要因とは、食品の安全を脅かす可能性がある原因のことを指します。危害要因を洗い出しまとめておくことで、危害の起こりやすさや、起こったときの健康被害がどの程度なのか明らかになります。具体的には以下の方法で作成を行いましょう。
上の図のように、健康に悪影響を及ぼす要因を集め、それに対する管理方法を記載していきます。同時にCCP(重要管理点)かどうかを記載しておくと以降の文書の作成がスムーズです。
重要管理点(CCP)とそれぞれにおける管理基準(CL)
重要管理点(CCP)を適切に管理するために設ける基準のことを「管理基準(CL)」と呼びます。この2点を整理することで危害を未然に防ぎ、食品の安全を確保します。
内容(例) | |
---|---|
工程 | 煮込み |
危害要因 | 病原微生物の増殖 |
発生要因 | 加熱温度、時間の不足 |
管理手段 | 加熱工程で十分に加熱 |
管理基準(CL) | 品温85℃以上、20分以上 |
どのような危害要因が潜んでいるのか危害要因の一覧を用いて洗い出し、管理手段を定めていきましょう。洗い出す際は、「食品が汚染されるならいつ・どこで汚染されるか」を考えることがコツです。
モニタリング結果の記録
管理基準に適合しているかを確認し、記録した文書です。衛生管理の水準を高めるために、管理基準に達しているかを確認する方法(モニタリング方法)を定め、改善措置を立てましょう。また、モニタリングを行った日時や確認者、モニタリングの結果を記録し、管理基準がきちんと運用されているか確認しましょう。継続的にモニタリングが行われていることで、一貫した品質管理を実現します。
内容(例) | |
---|---|
管理基準(CL) | 品温85℃以上、20分以上 |
モニタリング方法 | 調理担当者が温度計、タイマーを確認し、記録する |
改善措置 | 再加熱 |
記録 | 作業記録、温度計・タイマーの校正記録、細菌検査結果、改善措置記録 |
HACCPの文書管理はなぜ重要?
HACCPの文書管理が重要である理由は数多くありますが、今回はその中でもとくに押さえておくべき3つの理由を解説します。
HACCP文書の記録方法について、わかりやすい記録の取り方を以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。無料でダウンロードできる「HACCP記録表のExcelテンプレート」もご用意しています。
関連記事:【テンプレあり】HACCPで必要な「記録」の取り方は?保管期間も解説
事故が発生した際、原因を突き止められる
HACCPの文書管理を通じて、万が一事故が発生した際に原因を迅速に突き止めることができます。たとえば、異物混入が発覚した際に、HACCPの文書管理をしっかり行っていれば製造工程のどの段階で異物が混入したのかを特定できます。事故原因の特定と解決に直結するため、HACCPには文書管理が欠かせません。
衛生管理レベルの向上改善につながる
HACCPにおける文書管理を徹底することで、過去の記録をもとに具体的な改善点を考えることができ、適切な対策を講じることができます。つまり、HACCPの文書管理は的確な改善を促すことで衛生管理レベルの向上と品質維持を実現します。
HACCP認証を受ける際に役立つ
HACCP認証を受けるためには第三者機関による厳しい審査を通過する必要があります。HACCPに関する文書を適切に保管しておくことで、基準に適合していることを証明しやすくなり、認証を受ける際の大きなアドバンテージとなります。さらに、HACCP認証を受ける準備には時間がかかるため、事前に文書管理を徹底しておくとスムーズに審査へ進めます。
HACCP導入に関する文書の保存期間
HACCPに関する文書の保存期間は賞味期限の2倍が目安とされています。ただし、消費期間が数日しかない場合や、賞味期間が1週間ほどしかない場合、2倍にこだわらず保管期間を1年間と設定している企業が多いようです。
食品衛生法第1条の3第2項では「販売後1〜3年間」、大量調理施設衛生管理マニュアルでは「1年間保管」を目安として提示しています。
クレームに対応する際の原因の究明や、行政の立ち入り、監査への対応のためにも、記録表を適切に保存して、問題解決や法的な規制に対応できる体制を整えましょう。
HACCPの文書化/管理を効率化する方法
HACCPの文書管理は食品の安全を確保するために欠かせない一方、多くの企業が煩雑さに悩んでいます。そこで、効率化するための具体的な方法をご紹介します。
ペーパーレス化する
ペーパーレス化とは、紙の文書をデジタル化しデータベース上で管理することです。HACCP文書をデジタル化することで必要な情報を簡単に検索できます。また、紙の文書を探す手間やたくさんの文書を管理する必要がなく、効率的に行えるようになります。さらに、文書はクラウド上で共有できるため、複数の担当者が同時にアクセスでき、リアルタイムで更新や確認が可能です。データのバックアップが容易に行えるため、紛失や劣化のリスクも低減されます。
読者の皆様の中には、ペーパーレス化のメリットはなんとなく理解しているけど、難しそうだからなかなか手が出ない、といった方もいらっしゃるでしょう。
現場改善ラボでは、ペーパーレス化を効果的に進める方法を動画で解説しております。製造現場のDXに詳しい専門家をお呼びしているので、たいへん有意義な内容となっています。
ぜひ以下から視聴してみてください。
記録を容易に行えるツールを導入する
多くの企業では、ペーパーレス化を進める一環としてExcelを使用しています。しかし、現場では「紙に記録→Excel記入」というプロセスを踏むことが多く、記録の二度手間が発生し効率が悪くなっています。
効率化するためのポイントは、記録が簡単に行えるツールの導入です。現場で直接デジタル入力できるツールを活用することで、記録作業がスムーズになり、Excel記入の手間を省くことができます。
HACCPの文書管理ツールを選ぶ際のポイント
HACCPの文書管理ツールを選ぶ際には以下のポイントが重要です。
デジタル化を進める手順とポイントについてより詳細な情報を知りたい方は以下の資料を無料ダウンロードしてご覧ください。実態調査から紐解く「帳票デジタル化の失敗パターン」もご確認できます。
簡単に使えるか
複雑なツールは操作ミスやトレーニングの負担を増やし、従業員の負担になります。操作が簡単であればあるほど、日常の作業の流れになじみやすくミスも少なくなります。したがって、HACCPの文書管理において業務を効率化するために「簡単に使えるか」は重要です。
検索機能が優れているかどうか
ツールによって検索機能の精度や速さには大きな差があります。検索機能が優れているツールは必要な情報を迅速に見つけることが可能ですが、検索機能が弱いツールでは情報を探すのに時間がかかり業務が滞ってしまいます。よって、HACCPの文書管理ツールを選ぶ際には、検索機能が充実しているツールを選択しましょう。
セキュリティが高いか
機密情報の保護と企業の信頼性を守るために、セキュリティの高さは必ず確認する必要があります。たとえば、データの暗号化やアクセス制限機能が充実しているツールであれば、情報の不正アクセスや改ざんされるリスクを最小限に抑えます。
できれば分析機能の付いているものが望ましい
分析機能が付いているツールは、データの傾向や問題点が視覚化できるため、効果的なリスク管理と改善が可能になります。また、事前に分析しておくことで問題が発生する前に対策を講じやすくなり、HACCPの実施がより効果的になります。
HACCPの文書管理はtebikiで簡単に効率化!
HACCPの文書管理において、使いやすさ、優れた検索機能、高いセキュリティ、そして分析機能が全て揃っているツールが望ましいとされています。これらの要素が全て満たされている「tebiki」は特におすすめです。
デジタル現場帳票tebikiとは
デジタル現場帳票tebikiとは現場帳票の作成・記録・承認・分析が簡単に行えるシステムです。帳票の雛形作成が簡単で、現場の作業者がストレスなく記録できるフォーマットで作られています。さらに記録がしやすいだけではなく、溜まったデータをシンプルな操作で可視化・分析可能で、セキュリティ、サポート体制も充実。
以下の資料ではtebikiの主な機能やサポート体制をわかりやすく解説しています。無料ダウンロード可能な資料なので、ぜひ併せてご覧ください。
tebikiの特徴
デジタル現場帳票tebikiの特徴を厳選してご紹介します。
帳票作成が誰でも簡単にできる
現場帳票をクラウド上で簡単に作成することが可能です。画面の案内に従って進めていくだけで、現場の担当者でも簡単に帳票の雛形作成ができます。その際に記録時の入力形式や選択肢の登録、正常値の設定も行えて、複雑な計算式やマクロを組み込む必要がありません。
溜まったデータから分析できる
紙の記録では時間がかかってしまうデータの可視化・分析が可能です。専門の知識がなくてもシンプルな操作性で簡単に行えます。記録を分析することで、設備の異常の早期発見・改善措置を立てることができます。
異常値を検出するとアラートが出る
項目ごとに数値の基準値を設定すると、正常値から外れた場合に異常値として検出され、強調表示されます。さらに承認者へアラートメールが送信され、現場の状況を即座に把握することができます。
たとえば、冷蔵庫や冷凍庫の故障を見落とす可能性を減らせます。庫内の冷気が弱くなって正常値よりも高い温度になっているのに、「まあこのぐらいだからいいか」と見逃してしまうのを、tebikiが「危ないですよ」と教えてくれるのです。tebikiで温度管理を徹底することで、衛生管理レベルの向上も目指せるでしょう。
帳票の申請・承認を一括で行える
帳票の新規作成や改版時に、申請と承認をまとめて行うことができます。「1つずつチェックしていくのが面倒…」だという問題も解決。自分が承認者として指定された複数の記録を一括で選んで承認することも可能です。
半永久的に続く手厚いサポート
導入から運用までの具体的なプランを現状に合わせて提案。3ヶ月計画を立て、デジタル化する帳票の順番を決めていきます。さらに定期ミーティングにてプロジェクトの進捗管理を行い、無理なく着実にデジタル化を進めます。
まとめ
本記事では、HACCPの文書管理に必要な書類や効率的な管理方法について説明しました。HACCPで管理すべき文書は主に6つあり、食品の安全を確保するためには不可欠です。しかし、文書が多すぎたり細かすぎたりして、管理が乱雑になりがちです。そこで、文書管理ツールを活用すれば、効率的に電子化を進めることができ、運用開始後の現場管理にも役立ちます。
特におすすめのツールは「デジタル現場帳票tebiki」です。tebikiは使いやすさ、高いセキュリティと検索機能、分析機能が揃っており、帳票の雛形作成が簡単で現場の作業者がストレスなく記録できます。
tebikiに関する詳細な資料は、以下の画像からダウンロードできますので、ぜひご覧ください。