現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 外国人労働者に関する問題|原因・具体的な解決策も解説

少子高齢化に伴い労働人口が減少している近年、人材雇用における各種制度の拡充が図られています。取り組みの1つとして推進されているのが、外国人労働者の受け入れ拡大です。

外国人労働者の受け入れによって、企業はより多くの人材を確保できるだけでなく、グローバル化による社内全体の成長にもつながるでしょう。しかし、その一方で外国人労働者の受け入れにはあらゆる問題が隠れていることも実情です。

そこで今回は、外国人労働者の受け入れに関して、問題が生じる原因、問題を解決するための策まで解説しています。外国人労働者の受け入れを検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

現場改善ラボでは、外国人労働者問題を防ぐための受け入れ方法を動画でも無料で公開しています。トラブルを防止して生産性を向上させたい方は、以下から解説動画をご覧ください。

外国人労働者の受け入れに関する現状

近年、日本では少子高齢化が急速に進んでおり、労働人口の減少によって人材確保に頭を抱える企業も増加傾向にあります。こうした背景から、外国人労働者の受け入れを実施する企業も増えています。厚生労働省の調査によると、2022年には外国人労働者数が過去最多を更新しました。

▼外国人労働者の推移(過去5年間)▼

2022年1,823,000人
2021年1,727,000人
2020年1,724,000人
2019年1,659,000人
2018年1,460,000人

また、外国人労働者が日本で働くためには、就労に適した在留資格(就労ビザ)の取得が必要です。下記に、2022年のデータにおける在留資格別の外国人労働者数を紹介します。

身分に基づく在留資格595,207人
専門的・技術的分野の在留資格479,949人
技能実習343,254人
資格外活動330,910人
特定活動73,363人

最も多い「身分に基づく在留資格」とは、いわば日本永住者や日本人・永住者の配偶者などのことで、就労を含む日本での活躍に制約を受けることがありません。その次に多いのが「資格外活動」「技能実習」と、特別な知識や経験が不要な分野における外国人労働者の需要が高まっていることもわかります。
【出典:厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末)

外国人労働者の受け入れに関する問題

外国人労働者の受け入れは、企業にとって人手不足の解消・労働力の確保のほか、社内の活性化や企業のグローバル化が期待できるといった、さまざまなメリットがある一方で、多くの問題点も生じることが実情です。

ここからは、外国人労働者の受け入れに関して生じやすい5つの問題について、それぞれ詳しく説明します。

劣悪な労働環境

外国人労働者がおかれる労働環境の悪さは、深刻な問題として度々ニュース・メディアでも取り上げられています。

特に、技能実習生が働く現場は人手が不足しがちな業種であることが多く、このような現場では長時間労働や低賃金、残業代の未払いといった実態も数多く報告されています。

また、外国人労働者の労災も増加しています。建設業や製造業は特に労災が発生しやすい現場が多いものの、小売業や飲食店などの業種においても転倒といった労災が発生します。このように、労災が発生するのは危険のある現場ばかりではないことをおさえておきましょう。

労働災害が起きないためには、ヒヤリハットやヒューマンエラーを未然に防止することが必要となってきます。どのように未然防止を進めればよいのか?事故ゼロを実現する為に必要な視点について、未然防止研究所代表の林原 昭 氏が解説する動画も併せてご覧ください。


未然防止研究所の代表が解説!未然防止で実現する事故ゼロの現場 (1)

低賃金

外国人労働者の賃金は、日本人の一般社員・アルバイトと比較して安い給与額が設定される傾向にあります。それだけでなく、賃金未払いのまま働かせるといった悪質な企業も一部存在します。

外国人労働者を雇用するには時間とコストがかかるため、容易に賃金を上げることは気が引けるという事情もあるでしょう。とはいえ、外国人労働者が不満を抱えるような不平等な雇用は容認されるべきものではないとして、法改正も繰り返し行われていることが現状です。

コミュニケーションの障害

外国人労働者を受け入れる企業は、必ずといっていいほどコミュニケーション問題に直面します。そして、言語の壁と文化の違いによるコミュニケーション不全が発生した場合に起こりやすいのが仕事中の事故(労災)です。

厚生労働省が公表した2022年の労働災害発生状況によると、建設業や製造業における死亡要因として「墜落・転落」や「飛来・落下」、さらに「はさまれ・巻き込まれ」が多くを占めていました。
【出典:厚生労働省「令和4年の労働災害発生状況を公表」

これらのなかには、外国人労働者と受け入れ企業とで十分なコミュニケーションをとり、あらかじめ注意喚起をしたりサポートしたりしていれば防げる事故もあったでしょう。

労働災害が起きない現場づくりをするために、リスクアセスメントを実施しましょう。リスクアセスメントの進め方や重要性について、元労基署長の村木 宏吉 氏が解説する動画を無料でご覧いただけますので、併せてご活用ください。


現場のキケンを見極める『リスクアセスメント術』

年功序列によるモチベーションの低下

日本では、同じ企業に長期間勤務すればするほど昇進・昇給のチャンスが広がるという年功序列制度が一般的であることに対し、海外では転職を繰り返しながらレベルアップを図ることで昇進・昇給のチャンスが生まれるという成果主義・能力主義が一般的です。

特に、専門知識や技術を有する高度外国人材は成果主義・能力主義であることが多い傾向にあります。このような外国人労働者が、年功序列を重んじて外国人労働者に配慮した受け入れ体制を整備しない日本企業でいくら成果をあげても、昇進・昇給は期待できないでしょう。結果として、優秀な外国人労働者の離職につながってしまいます。

【出典:内閣府「政策課題分析シリーズ18(全体版)」

地域社会との摩擦

外国人労働者の受け入れ拡大が進められている近年、日本に滞在する外国人の数は急増しつつあります。しかし、一部の地域では依然として外国人の滞在が少なく、外国人に慣れていない地域住民の人々も多いでしょう。

外国人に慣れていない住民は、外国人に対して不信感や偏見、差別意識をもつケースが多く、自分の住む地域に外国人が増えることで治安の悪化を心配したり、ネガティブな意見を述べたりする方も少なくありません。こうしたことから、外国人労働者の受け入れ企業は、外国人が地域住民の1人として自然に溶け込めるよう、しっかりと配慮する必要があるでしょう。

外国人労働者に関する問題の原因

外国人労働者の受け入れに関する問題はいくつかありますが、単純に生じた問題を一つひとつ解決していくだけでは、根本改善にはつながりません。今後訪れる外国人労働者にもよりよい環境で働いてもらうためには、外国人労働者に関する問題の原因を把握したうえで、根本改善に努める必要があります。

ここからは、外国人労働者に関する問題の根本的な原因について、それぞれ詳しく説明します。

「安価な労働力」というステレオタイプな考え方

外国人労働者は、日本人の一般的な社員・アルバイトと同様の労働条件と給与水準で雇用する必要があります。その一方で、日本では依然として「安価な労働力」というステレオタイプな考え方で外国人労働者を搾取する企業も少なくありません。

近年では、このような認識を抑止すべく、さまざまな法改正が行われているものの、受け入れ企業側も「日本語でのコミュニケーションが十分にとれないにもかかわらず、日本人と同様の給与水準で雇用するのはいかがなものか」という意見もあり、根本解決には時間を要すると考えられます。

とはいえ、外国人労働者の雇用条件は受け入れ企業によっても異なるため、優秀な外国人労働者を確保するためには、それぞれの企業が受け入れ体制を適切に整備する必要があります。

外国人への差別意識

前述の通り、外国人労働者が増加傾向にある近年でも、外国籍の方に対してネガティブな気持ちや差別意識を抱える日本人はまだ多くいるでしょう。このような意見を外国人労働者に投げかける方は少なからず存在し、実際に「差別による不利な扱いや、人権侵害ともとれる差別的な態度を受けた」というケースも報告されています。

受け入れ企業側に外国人への差別意識があった場合、外国人労働者の労働環境には少なからず影響を与えてしまうでしょう。たとえ経営陣に差別意識がなくても、外国人労働者とともに働く日本人社員の意識改革が必要です。

日本語能力・日本文化への不十分な理解

外国人労働者と受け入れ企業側のコミュニケーション不足が生じる原因としては、外国人労働者の日本語能力・日本文化への不十分な理解が第一に挙げられます。こうした点は、日本へ働きに訪れる外国人労働者が努力すべき部分です。

しかし、ほかにも受け入れ企業側のサポートが不十分であることや、従業員の接し方に問題があることも大きな原因といえるでしょう。

受け入れ企業側が「日本の企業で働く以上、日本人と同様の振る舞いをすべき」という外国人任せの考え方をしているままでは、十分なコミュニケーションをいつまで経っても取れないだけでなく、信頼関係も構築できません。

外国人労働者に関する問題の解決策

受け入れ企業側が外国人労働者に関する問題の根本的な解決を図るためには、下記の3点を意識して取り組んでいく必要があります。

(1)外国人労働者に関する法令・ルールを理解する
(2)外国人への差別意識を解消する
(3)外国人労働者の受け入れ体制を社内で構築する

ここからは、上記に示した3点の実現に向けて、進めていくべき具体的な施策を詳しく紹介します。

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事例からわかる外国人受け入れ課題と解決策

外国人労働者に関する労務管理・ルールについて理解を深める

外国人労働者を採用した場合は、特別な手続きを行わなければならないうえ、外国人労働者のみに適用される法律を熟知しておく必要があります。

たとえば、外国人労働者に対する安全衛生教育の推進においては、「外国人労働者に対して安全衛生教育を実施する際は、当該外国人労働者の母国語などを用いた視聴覚教材を使用するなど、確実に理解できる方法で行わなければならない」という要綱が定められています。

また、外国人労働者を採用するにあたっては、在留資格上従事することが認められているのかを受け入れ企業側があらかじめ確認しなければなりません。

これらの法律は「知らなかった」では済まされず、違反したまま働かせることで受け入れ企業側が不法就労助長罪といった罪に問われる可能性もあります。外国人労働者に関する労務管理・ルールに関する知識が少ない場合は、外国人採用に詳しい専門機関に相談するのもよいでしょう。

日本人と同等の待遇に設定する

日本人の従業員に適用される労働基準法、最低賃金法、雇用対策法などの各種法律では、原則として「差別的取扱をしてはならない」と定められています。そのため、外国人労働者だからといって日本人と異なる待遇を設定してはならないというのは、絶対的なルールです。日本人に適用される法律に則って、同様の条件で外国人労働者を雇用する必要があります。

また、日本では一般的である法律や労働環境が、外構人労働者にとっては特殊であり、不信感を抱かれてしまう可能性もあります。外国人労働者が納得して働き続けられるよう、あらかじめ雇用ルールや就業規則を説明して認識違いをなくしたうえで、契約書を結んでおくことも大切です。

外国人労働者への人権意識を高める

受け入れ企業側による外国人労働者の差別意識をなくすためには、外国人労働者への人権意識を高めることが大切です。外国人労働者への人権意識を高めるためには、「外国人労働者の声を取り入れる」と「情報開示をする」の2点がキーポイントとなります。

人権保護に関する取り組みの推進にあたり、どのような人権問題が発生するのかを把握するためには、当事者が感じる問題意識を十分に理解することが重要です。当事者である外国人労働者から、問題の発生場面や背景を直接伺ったうえで、適切かつ効果的な取り組みを検討するとよいでしょう。

そして、人権保護に関する取り組みを進めるにあたって必要となるのが、ステークホルダーへの情報開示です。差別の撤廃や人権の尊重が重要視されている近年、人権保護の取り組みを推進する企業は消費者や取引先企業、さらに株主などのステークホルダーから高い社会的評価を得られます。これによって、その企業で働く外国人労働者の労働環境がより改善されることも見込まれています。

日本人社員向けの研修・交流会を実施する

外国人労働者をめぐる問題のなかには、「差別的な扱いを受ける」といった対人問題も代表的です。受け入れ企業側ができる支援として、そこで働く日本人社員の「外国人労働者に対する意識・認識」を改革することは非常に重要といえるでしょう。

代表的な取り組みとして挙げられるのが、日本人社員向けの研修や、日本人社員と外国人労働者の交流会の実施です。日本人社員向けの研修では、主に異文化について学び、外国人労働者とのコミュニケーションの取り方や歩み寄り方を理解してもらいます。そして交流会では、プライベートな話をしたり一緒にゲームをしたりしながら、親睦を深めます。

これら研修と交流会を実施することで、相互理解や日本人社員がもつ差別意識の解消にもつながるでしょう。

明確なキャリアプランを設ける

外国人労働者に限らず、社員に対して明確なキャリアプランを設けることは、企業にとって重要な取り組みです。

外国人労働者は日本の企業文化に馴染みがなく、かつ外国人だからと不当な扱いを受けるケースが横行していたことから、企業のやり方に少しでも不満や疑問を感じるとモチベーションに悪影響を及ぼす可能性もあります。

しかし「どのような成果をあげると評価対象になるのか」「成果をあげるとどのようにキャリアアップできるのか」を明確に提示することで、客観的事実で評価できるほか、外国人労働者の「外国人だから適切に評価してもらえない」という不満も生まれません。

専任の教育担当者を設ける

日本語でのコミュニケーションが十分にとれない外国人労働者にとって、毎回異なる社員から仕事のやり方を教わることは混乱の原因にもなります。言語の壁や文化の違いといった外国人労働者ならではのハンディキャップを乗り越えて、少しでも早く現場に慣れてもらうためにも、専任の教育担当者を設けることがおすすめです。

下記のような特徴をもつ社員は、外国人労働者の専任教育担当者に向いているといえるでしょう。

・当該外国人労働者の母国語や世界共通語である英語に対応できる
・異文化適応力に長けている
・面倒見がいい
・相手の話を最後まで聞ける

このような特徴をもった指導者であれば、仕事のやり方をスムーズに教えられるだけでなく、外国人労働者にとって「相談しやすい・信頼できる存在」となり得ます。このような存在の社員が職場にいることで、外国人労働者の働きやすさは格段に改善され、起こり得る問題の未然防止にもつながるでしょう。

地域社会との交流を進める

外国人に慣れていない住民による地域社会との摩擦を改善するためには、受け入れ企業側が自社の外国人労働者に対して、地域のボランティア活動やイベントの参加による地域社会との交流を促進することが大切です。

地域住民が外国人に対して不信感をもつ根本的な原因の1つには、外国人と接する機会の少なさも挙げられます。地域社会の摩擦を解消し、共生を実現するためには、外国人側が積極的に地域住民と交流し、徐々に馴染んでいく必要があるといえるでしょう。

地域のボランティア活動やイベント参加の促進は、外国人に馴染みのない地域にある企業が特に実施すべきサポートともいえます。

動画マニュアルを用意する

多くの外国人労働者を受け入れる企業/業界は、人・モノ・機械といったものの動きが伴う一方で、これらのノウハウを伝えたくても言語の壁や文化の違いによって「正しい手順が伝わらない」「独自ルールが発生する」といった状況が起こりやすく、結果として納品物の品質低下や労災の発生といった問題が発生する可能性もあります。

このような問題のほとんどは、「母国語を用いた教育」と「視覚的に理解してもらえる動画マニュアルでの教育」で解決することが可能です。文字だけでなく映像に残すことで、現場のあらゆる動きを視覚的に伝えられることで外国人労働者の理解がより深まり、業務トラブルや労災を防げます。

現場のノウハウを視覚的に伝える動画マニュアルを作成したいのであれば、誰でもかんたんに作成ができる現場教育システム「tebiki」がおすすめです。tebikiは、スマートフォンやタブレットなど身近なデバイスで撮影した動画を、シンプルな編集機能で簡単に動画マニュアルを作成できるクラウドサービスです。

また、作成したマニュアルの字幕は100を超える国と地域の言語に自動翻訳することができるため、従来の教育で発生していた翻訳工数の大幅に削減できる点が魅力となっています。

【動画マニュアル作成ソフト「tebiki」の導入事例】

業種食品物流会社
導入前の課題これまでは紙のマニュアルを使用していたが、効率的な技術伝承が行えていなかったこれにより業務の属人化が起こり、生産性もなかなか向上できなかったグループ内外の取引を増やしたい
導入後の効果動きがある業務のマニュアルを動画化することによって、細かい業務や微妙なニュアンスを分かりやすく、かつスムーズに伝えられるようになった業務ノウハウを容易に共有できるようになり、知識・技術のブラックボックス化を防げるようになったマニュアルの作成工数やOJTの時間削減につながり、業務の生産性も大幅に向上した

上記の導入事例のように、tebikiで作成した動画マニュアルは外国人労働者自身はもちろん、外国人労働者に仕事を教える先輩社員の働きやすさや、社内全体の生産性にもよい影響を与えます。「外国人労働者に関する多方面の問題を解決できる策」といっても過言ではないでしょう。

より動画マニュアルに関する概要を知りたいという方は、以下の資料も併せてご覧ください。

まとめ

少子高齢化による労働人口の減少が急速に進む近年、外国人労働者を受け入れる企業は増加傾向にあります。外国人労働者を受け入れることには企業にとって多くのメリットがある一方で、多様な問題も生じやすいため、あらかじめ問題が生じる背景や原因をおさえて根本解決に努める必要があります。

外国人労働者の受け入れによって起こり得る問題を解決するためには、3つが大切です。
①外国人労働者に関する法令やルールを理解する
②外国人への差別意識を解消する
③受け入れ体制をしっかり構築すること

そして、外国人労働者自身はもちろん、受け入れ企業で働く日本人社員も働きやすい職場をつくるためには、動画マニュアル作成ソフト「tebiki」の導入も一案です。ここまでの内容を参考に、外国人労働者への受け入れ体制をより万全にしたいという方は、ぜひ以下のtebikiサービス資料もご覧ください。

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