現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 労災保険とは?事業者に必要な対応や補償の種類、手続きの流れを解説

厚生労働省によると労災保険とは、”業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度”のことです。

この記事を読んでいる方は、

「労災保険と健康保険の違いについて知りたい!」
「個人事業主や一人親方でも労災保険に加入できるの?」
「休業補償申請後に事業主が行うべき手続きについて詳しく知りたい!」

といった悩みを抱えているのではないでしょうか。

この記事では、労災保険の基本から加入条件や健康保険との違い、保険料の支払い責任者、従業員が休業する際の補償内容、個人事業主や一人親方の特別加入条件、休業補償以外の労働災害時の給付内容と金額について詳しく解説します。さらに、労働災害が発生した際の被害者の手続きや経営者・事業主が行うべき対応、そしてよくある質問への回答についても紹介します。

本記事では労災保険の基本を解説しますが、まずは労働災害の防止が最優先事項であり、労働災害を未然に防ぐには、労働災害の兆候ともいえる「ヒヤリハット」についての対策が不可欠です。

現場改善ラボでは、労働災害のきっかけを未然防止するヒヤリハット対策について解説した動画をご用意しておりますので、是非この機会に参考にしてみてください。


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目次

労災保険とは?加入条件や健康保険との違い

労災保険の理解は安全な職場環境を守る上で不可欠です。労災保険は業務上の事故や通勤途中の怪我に対する保障を、健康保険とは異なる法律に基づいて運用します。

ここでは労災保険の基本や加入条件、健康保険との違い、保険料の支払い責任者について解説します。

労災保険とは?

労災保険は、業務上の事由や通勤途中で発生した労働者の負傷、疾病、障害、または死亡に対して、必要な保険給付を行う制度です。

製造業では機械操作や重い物の取り扱いなど業務上のリスクが常に存在しており、作業中に事故や怪我が発生しやすい環境にあるため、労災保険は従業員の対策として重要です。

労災保険は下記の計算式で額が決定します。

労災保険料 = 「全従業員の年度内の賃金総額」×「労災保険率」

賃金総額とは、事業主や法人役員など労災保険に加入できない人の分の賃金を除いて、全ての従業員に支払った賃金の総額のことです。

労災保険は従業員が工場での機械操作中に怪我をした場合、治療費や休業補償を通じて従業員と家族を金銭的な面で守る仕組みであり、企業が果たすべき責任とされています。

労災保険と健康保険の違い

労災保険と健康保険は根拠となる法律に違いがあります。

労災保険は「労働者災害補償保険法」に基づき、業務災害や通勤災害での傷病・後遺障害・死亡に対して保険給付を行うのに対し、健康保険は「健康保険法」に基づき、業務外での傷病や休業、出産、死亡時の補償を目的としています。

労災保険と健康保険の違いとしては、工場内での事故による怪我は労災保険が適用され、通常の風邪など業務外で発症した病気は健康保険が適用されるイメージです。

労災保険の加入条件と対象者

労災保険は全ての労働者が業務中や通勤途中の事故や病気から保護されるべきだという考えに基づいているため、勤務時間や勤務形態に関わらず労働者として働いている全ての人が強制加入となる保険です。

例えば製造業では正社員だけでなく、パートタイマーや契約社員も含めて業務中の事故によるリスクがあるため、全員が労災保険の対象となります。そのため、アルバイト従業員が機械による事故で怪我をした場合でも、労災保険の補償を受けることが可能です。

労災保険の保険料は誰が支払う?

労災保険の保険料は、事業主が全額を負担します。

労働者の安全と健康を守ることは事業運営の責任であり、労働者を雇用することに伴うコストと考えられるからです。

工場で働く従業員が作業中に負傷した場合、事業主は労災保険を通じて適切な補償を提供し、従業員は経済的な負担なく治療に専念できます。

また事業主が加入手続きをしていなかった場合や労災保険料を滞納していた場合でも、労働者は労災保険から補償を受けることが可能です。ただし、事業主は「追徴金の徴収」や「労災保険給付額の全額または一部の徴収」といったペナルティを科せられるので注意が必要です。現場改善ラボでは労働災害の基本的な知識や労働災害の原因、実際の事例について解説した記事もご用意しております。併せてご覧ください。

従業員が労災保険を使って休業する際の補償とは?

労災保険の休業補償請求には、業務災害・通勤災害に応じた請求書や賃金台帳、出勤簿の写し、障害年金受給者は支給額証明書、そして医師の証明が必要です。

ここでは休業補償の金額や休業補償期間、そして必要な書類について解説します。

休業補償の金額

労災保険による休業補償は、従業員が業務上の理由や通勤によって負傷し、療養のために労働不能となった場合に収入を失わないために、給付基礎日額の60%が休業4日目から支給されます。

例えば工場で作業中に手を怪我した従業員は治療と回復のために仕事を休む必要があり、休業期間中の生活費を補償するために休業補償が支給される仕組みです。


具体的な計算式は下記の通りです。

休業補償給付 = 給付基礎日額 ×(休業日数 − 3日)× 60%

休業特別支給金 = 給付基礎日額 ×(休業日数 − 3日)× 20%

計算式からは休業の最初の3日間を除き、合計で給付基礎日額の8割相当額が支給されることも読み取れます。

休業補償の期間

労災保険は、従業員が完全に回復して再び労働可能な状態になるまでの支援を目的としているため、休業補償の期間には上限が設けられておらず、従業員が労働不能の状態にある限り補償が続けられます
製造業では、怪我の重さによっては長期間の療養が必要になることもあります。例として、重い機械による事故で骨折した場合は完治するまでに数ヶ月を要することがあり、休業中の補償が従業員の経済的な支えとなるでしょう。

休業補償の請求に必要な書類

休業補償の請求には、以下の書類が必要です。

【休業補償の請求に必要な書類】

  • 休業補償給付支給請求書
  • 休業給付支給請求書
  • 賃金台帳
  • 出勤簿の写し
  • 障害年金の支給額証明書
  • 医師の証明

業務災害の場合は「休業補償給付支給請求書(様式第8号)」、通勤災害の場合は「休業給付支給請求書(様式第16号6)」を提出する必要があるほか、賃金台帳や出勤簿の写しも提出が求められます。賃金台帳や出勤簿の写しは従業員の労働実績や賃金の状況を示し、休業補償給付の計算基準を確定するために必要です。

製造業であれば通常、人事部や総務部によって管理されており、請求手続きの際には人事部や総務部が書類の準備を行います。

また、同一の事由で障害年金を受給している場合は支給額の証明書が必要になります。休業補償給付と障害年金の重複受給を防ぐためです。

医師の証明も必須であり、労働不能の状態と期間が医学的に証明できます。製造業の従業員が事故に遭遇した場合、速やかに医療機関を受診し、必要な診断と証明を受けることが重要です。

個人事業主や一人親方でも労災保険は利用できる?

労災保険の特別加入制度は、従業員以外の特定作業従事者の保護も可能にしています。

農業からIT、介護、芸能業界まで、幅広い職種が対象で、特別加入制度により一人親方や自営業者も業務中の事故や病気から保護されます。

中小事業主等の特別加入

中小事業主や家族従事者にも労災保険の特別加入制度が設けられています。特別加入制度は特定の基準を満たす事業主と関係者を対象に、労働者と同様の保護を目的としている制度です。具体的には、以下の条件を満たす中小事業主等が対象となります。

業  種労働者数
金融業、保険業、不動産業、小売業50人以下
卸売業、サービス業100人以下
上記以外の業種300人以下

特別加入制度を利用するには、事業の規模に応じた労働者数の基準が設定されています。金融業や小売業などは50人以下、卸売業やサービス業は100人以下、その他の業種では300人以下の労働者を常時雇用している事業主が、特別加入の対象です。また事業主の家族従事者や、法人の代表者以外の役員も含まれます。さらに、年間100日以上労働者を雇用している場合も、常時労働者を雇用しているとみなされます。

特別加入を希望する事業主は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 雇用する労働者に対して労災保険の保険関係が成立していること
  • 労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること

上記の要件を満たすことで、中小事業主やその関係者も労災保険の保護を受けることが可能です。

一人親方等の特別加入

労災保険の特別加入制度は、従来の枠組みからは保護されにくい一人親方や自営業者にも、労働者と同等の保護が受けられるように設計されています。特別加入制度により、特定の条件を満たす個人が、業務中の事故や病気によるリスクから保護されます。

対象となるのは次のとおりです。

  1. 自動車を使用して行う旅客もしくは貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)又は原動機付自転車もしくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業(仲介事業者を利用した飲食物等のデリバリーサービス業者など)
  2. 建設の事業(土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊もしくは解体又はその準備の事業)(大工、左官、とび職人など)
  3. 漁船による水産動植物の採捕の事業(7に該当する事業を除きます。)
  4. 林業の事業
  5. 医薬品の配置販売(医薬品医療機器等法第30条の許可を受けて行う医薬品の配置販売業)の事業
  6. 再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業
  7. 船員法第1条に規定する船員が行う事業
  8. 柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師が行う事業
  9. 高年齢者の雇用の安定等に関する法律第10条の2第2項に規定する創業支援等措置に基づき、同項第1号に規定する委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が新たに開始する事業又は同項第2号に規定する社会貢献事業に係る委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が行う事業
  10. あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づくあん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゆう師が行う事業
  11. 歯科技工士法第2条に規定する歯科技工士が行う事業

引用元:全国労働保険事務組合連合会

上記のように自動車や自転車を使った運送業、建設業、漁業、林業、医薬品の配置販売、廃棄物のリサイクル業務など、労働者を常時雇用しないで運営される11種類の事業が特別加入制度の対象です。さらに11種類の事業を営む一人親方や自営業者、さらには事業に従事する家族従事者も特別加入の対象となり、年間100日未満しか労働者を雇用しない場合でも、特別加入制度を利用することが可能です。

特別加入を希望する場合、一人親方や自営業者は特定の団体に所属している必要があります。申請の手順として、所定の申請書を労働基準監督署を通じて労働局に提出することで承認を得られます。

特定作業従事者の特別加入

労災保険の特別加入制度は、従業員以外の特定の職業に従事する方々の保護も可能です。特別加入制度により、従来の労災保険の範囲外であった多くの個人が、業務中の事故や病気からの保護を受けられるようになりました。

特別加入の対象となるのは次のとおりです。

  1. 特定農作業従事者
  2. 指定農業機械作業従事者
  3. 国又は地方公共団体が実施する訓練従事者(職場適応訓練従事者、事業主団体等委託訓練従事者)
  4. 家内労働者及びその補助者
  5. 労働組合等の常勤役員
  6. 介護作業従事者及び家事支援従事者
  7. 芸能関係作業従事者
  8. アニメーション制作作業従事者
  9. 情報処理システムに係る作業従事者

引用元:全国労働保険事務組合連合会

このように、農業機械を操作する方々や公共団体による訓練プログラムに参加する方、家内労働を行う方、介護や家事支援サービスを提供する方、芸能やアニメーション制作に携わるクリエイティブな職業の方、さらにはIT分野での作業従事者まで、多岐にわたり特別加入制度を利用することができます。

休業補償以外の労働災害時の給付内容と金額

製造業での労災は深刻な影響を及ぼすため、療養から遺族支援まで幅広い給付が不可欠です。ここでは具体的な給付内容として、以下の9つの給付制度を解説します。

  • 療養補償等給付
  • 傷病補償等年金
  • 障害補償等給付
  • 遺族補償等給付
  • 葬祭料等給付
  • 介護補償等給付
  • 二次健康診断等給付
  • アフターケア制度
  • 特別支給金

療養補償等給付

療養補償給付は、労災が原因でケガや病気の療養を必要とする際に支給されます。

療養補償等給付を受ける場合は、治療費を支出した日の翌日から2年以内に申請しましょう。
製造業において、労働災害は予期せぬ機械の故障や作業中の事故により発生することがあります。特に重労働や危険な作業が多いため、療養補償等給付は労働者の安心と安全を保障する上で重要といえるでしょう。

傷病補償等年金

労災による傷病が長期化し、労働者が働けない状態が続く場合は傷病補償等年金が支給されます。

傷病補償等年金の申請期限は休業した日の翌日から2年であり、労働者が経済的な安定を得られるようにするための措置です。

製造業では、一度の事故が労働者の生活に影響を及ぼす可能性がありますが、給付によって労働者とその家族の生計を支えることが可能です。

障害補償等給付

労災によって後遺障害が残った場合、障害補償等給付が支給されます。後遺障害が残っている場合は症状固定した日の翌日から5年以内に申請しましょう。

製造業で起こる大事故で、労働者が完治することなく障害を負うことがあります。障害補償等給付は、障害の程度に応じて年金または一時金として支給され、労働者が新たな生活を始めるための支援策です。

遺族補償等給付

遺族補償等給付は遺族が生活を続けられるようにするためのもので、労災によって労働者が亡くなった場合に支給されます。製造業では、死亡事故が起こる可能性が他の業界と比べると高い傾向にあります。

申請する場合は、被災者の死亡診断書などと一緒に遺族年金の請求書を労働基準監督署に提出する必要があります。

葬祭料等給付

葬祭料等給付は、被災者の葬儀に関連する費用をカバーするための制度で、遺族に支給されます。申請期限は被災者が亡くなった翌日から2年です。

介護補償等給付

労災による障害が重度であり、介護が必要な状態になった場合、介護補償等給付が支給されます。製造業での重大な事故後、労働者が高度な介護を必要とすることがあります。介護補償等給付は、労働者やその家族が質の高い介護サービスを受けられるようにするための制度です。申請期限は介護を受けた翌月の1日から2年です。

二次健康診断等給付

二次健康診断等給付は、労災後に発生する可能性のある健康問題を早期に発見し、適切な治療を受けることを目的としている制度です。製造業での労働は身体に負担が大きく、事故後も潜在的な健康リスクが残ることが多い傾向にあり、これにより労働者は定期的な健康診断を受けられ、病気の早期発見と治療が可能です。

アフターケア制度

アフターケア制度は、労災事故後の労働者が社会や職場にスムーズに復帰できるようにサポートするための制度です。製造業では、事故による身体的、精神的な苦痛が労働者の職場復帰の足枷になることがあります。アフターケア制度により、リハビリテーションや職場復帰プログラムを通じて、労働者が再び働けるようになるための支援が受けられます。

特別支給金

特別支給金は、労災事故により特に重大な影響を受けた労働者や家族に対して支給される給付です。製造業における大規模な労働災害は、労働者と家族に計り知れない精神的、経済的なダメージを与えます。特別支給金によって、労働者や家族が事故から立ち直るための支援を可能にします。

労働災害によって怪我が発生した場合の被害者の手続き

労災指定病院で治療を受ける場合、治療費の直接請求が可能であり被災者の負担は軽減されます。一方で指定外の病院での治療を行うと、治療費を立て替えた後に労働基準監督署への請求が必要です。

ここでは労働災害によって怪我が発生した場合の被害者の手続きの手順を紹介します。

休業補償給付請求書を労働基準監督署長に提出する

労働災害が発生した場合、被害者は休業補償給付請求書を労働基準監督署長に提出する必要があります。

労働基準監督署長に提出することで、業務上または通勤による負傷や疾病により療養のため労働ができず賃金を受け取れない労働者が休業補償給付を受けられるようになります。

休業補償給付請求書を労働基準監督署長に提出する

労働者が業務上の事由または通勤による負傷や疾病により療養のため労働できないとき、以下の3つの要件を満たす場合に、その第4日目から休業補償給付と休業特別支給金が支給されます。

  • 業務上の事由または通勤による負傷や疾病による療養のため
  • 労働することができないため、
  • 賃金を受けていない

支給・不支給が決定し、振込口座への支払いが行われる

支給・不支給が決定し、振込口座への支払いが行われるまでの流れを以下の2つに分けて解説します。

  • 労災指定病院以外で療養を受けた場合などの給付申請の流れ
  • 労災指定病院で療養を受けた場合の療養補償給付申請の流れ

労災指定病院以外で療養を受けた場合などの給付申請の流れ

業務中の事故や病気により、労災指定病院以外で療養を受けられる場合があります。ただし、給付申請の流れは少し複雑です。まず、被災者は治療費を自己負担で支払い、後に支払った治療費を労働基準監督署に請求する必要があります。詳しくは以下の図をご参考ください。

▼労災指定病院以外で療養を受けた場合などの給付申請の流れ▼

労災指定病院以外で療養を受けた場合などの給付申請の流れ

製造業では特定の専門治療が必要な場合や緊急性が高い場合に、指定病院以外での治療が行われる場合があります。手順を理解し、適切に申請することで、治療費の給付を受けることが可能です。

労災指定病院で療養を受けた場合の療養補償給付申請の流れ

労災指定病院で療養を受けた場合、療養補償給付の申請手順はシンプルです。詳しくは以下の図をご参考ください。

▼労災指定病院で療養を受けた場合の療養補償給付申請の流れ▼

労災指定病院で療養を受けた場合の療養補償給付申請の流れ

治療を受ける際、病院は労災保険の適用を受けるための手続きを代行してくれることが多いため、基本的には被災者の自己負担は発生しません。製造業での事故や病気は予期せぬものであり、迅速な治療と適切な手続きが復職への近道といえるでしょう。

休業補償申請後に経営者・事業主が行うべき対応

休業補償申請後、経営者は賃金補償の実施、労災手続きの支援、死傷病報告書の提出、立入検査への対応を迅速に行うべきです。また、労災発生を未然に防ぐための対策として、動画マニュアルを活用した安全衛生教育の実施も行うべきでしょう。

労働災害を未然防止するために経営者が行うべきことや取り組む姿勢について、以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。

休業中3日目までの賃金補償の実施

労働災害による休業補償申請後、経営者や事業主は休業中3日目までの賃金補償を実施する必要があります。3日間の待機期間を過ごしている間、従業員が経済的な不安を感じることなく治療に専念できるようにするのが目的です。

製造業では作業の特性上、事故による怪我が発生しやすいため、従業員が安心して働ける環境を作り上げることで従業員のモチベーション維持につながります。

労災保険の手続きの助力・証明

休業補償申請後、経営者や事業主は労災保険の手続きにおける助力や証明書類の提供を積極的に行うことが重要です。労災に対して迅速かつ正確な手続きをすることが従業員の早期回復と職場復帰への後押しとなり、企業の生産性低下を最小限に抑えます。

製造業では、特定の技能を持つ従業員が不在になることで生産ラインに悪影響を及ぼす可能性があるため、労災保険の手続きの助力・証明は非常に重要です。

労働者死傷病報告書の提出

労働者が事故に遭遇した場合、経営者や事業主は労働基準監督署への労働者死傷病報告書の提出が義務付けられています。労働者死傷病報告書の提出義務は、事故の発生状況や原因を正確に把握し、将来的な事故の予防につなげるためです。

製造業では、機械の操作ミスや安全管理の不備が事故の大きな原因となることが多く、報告書の提出を通じて安全対策の見直しや改善が期待できます。

労働基準監督署による立入検査の対応

労災事故が発生した場合、労働基準監督署による立入検査が行われます。経営者や事業主は検査に対して協力的に対応し、必要な情報提供や改善措置を迅速に実施する必要があります。

立入検査により事故の再発防止策が確立され、従業員の安全と健康を守ることが期待できるでしょう。製造業では、検査結果を基に作業環境の改善や安全教育の強化が求められます。

労災を発生させない対策も進める

休業補償申請後でも、経営者や事業主は労災を発生させないための対策を進める必要があります。労働災害を防止する7つの対策は以下の通りです。

  • 職長教育の実施
  • 安全衛生教育の実施
  • リスクアセスメントの実施
  • KYTの実施
  • 特別教育の実施
  • 5Sの実施
  • フェイルセーフ/フールプルーフの仕組みを導入

詳細な内容については、以下の記事や動画で解説しているため是非ご参考下さい。


元労基署長が解説!事故を未然防止するKY活動と4ラウンド法の在り方とは?

動画マニュアルを活用した安全衛生教育がオススメ

製造業における安全衛生教育には、動画マニュアルの活用がオススメです。

動画マニュアルは実際の作業手順や安全対策を視覚的に学べ、従業員の理解度と記憶に残りやすいため新入社員教育だけでなく経験豊富な従業員の知識の再確認にも役立ちます。

特におすすめなツールが動画マニュアルのtebikiです。tebikiは100ヵ国以上の言語の自動翻訳機能やクラウドベースの保存機能など数々の高機能が搭載されている動画マニュアルのプラットフォームです。tebikiの資料は無料でダウンロード可能ですので、ぜひこの機会にダウンロードしてみてください。


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労災の休業補償に関するQ&A

労災の休業補償に関するQ&Aとして、以下の5つについて解説します。

  • 対象者が受給途中で退職した場合はどうなる?
  • アルバイト・パートも労災給付の対象になる?
  • 年金受給者でも労災の対象者になる?
  • 労災の休業補償は退職後でも申請できる?
  • 労災で休んでもボーナス支払いの対象になる?

対象者が受給途中で退職した場合はどうなる?

労災の休業補償を受給中に退職する場合、補償の受給はそのまま継続されます。労災保険の給付は労働者が業務上の理由で被った怪我や病気の場合に支給されるものであり、雇用関係の有無は給付の資格に影響しません。

アルバイト・パートも労災給付の対象になる?

アルバイトやパートタイムの従業員も、正社員と同様に労災保険の給付対象となります。労災保険は雇用形態に関わらず、業務上の事故や病気で被害を受けた全ての労働者を保護する目的で設けられています。

年金受給者でも労災の対象者になる?

年金受給者であっても、労働に従事している限り労災保険の給付対象となります。労災保険の適用は現在の労働状況に基づくものであり、年金受給の有無は関係ありません。

労災の休業補償は退職後でも申請できる?

労災の休業補償は、退職後でも申請可能です。労災保険の給付は業務上の事故や病気が発生した時点での資格に基づくものであり、その後の雇用状況の変化は給付資格に影響を与えません。

労災で休んでもボーナス支払いの対象になる?

労災で休業している期間も、ボーナスの支払い対象となるかは企業の規定によります。ボーナスの支給基準は各企業の就業規則や労働協約によって異なり、労災休業中の扱いも規定に準じます。

労働保険について深い理解を得よう【まとめ】

労災保険は、業務中や通勤途中の事故による怪我や病気をカバーする重要な制度です。

労災保険は、正社員だけでなく、アルバイトやパート、さらには個人事業主や一人親方も特別加入を通じて利用可能です。

労災保険の休業補償は、受給資格があれば退職後も申請できますし、給付は休業開始4日目から始まって治療が続く限り支給されます。また、休業補償以外にも、療養補償、障害補償、遺族補償など、多岐にわたる給付が用意されており、従業員が安心して治療に専念できる環境を提供します。

労災保険に関するQ&Aでは、対象者が受給途中で退職した場合の取り扱いや、アルバイト・パート、年金受給者の対象性、退職後の申請可否、休業中のボーナス支払いについて解説しました。

経営者や事業主は、労災発生時に休業補償申請のサポート、必要書類の提出、労働基準監督署の立入検査への対応など、迅速かつ適切な対応が求められます。さらに、労災を未然に防ぐための対策として、動画マニュアルを活用した安全衛生教育の実施がおすすめです。動画マニュアルのプラットフォームとしてはtebikiが最もおすすめです。

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