現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 ヒヤリハットのネタ切れ対策方法とは?具体的な事例やネタを紹介

ヒヤリハットとは、製造業や建築業などあらゆる業界の作業現場で危険と感じた出来事のことです。

製造業や建設業にいる方、もしくは別の業界で働いている方でもヒヤリハットは聞いたことがあるかもしれません。

一方で、「ヒヤリハット報告が毎回同じようなものになっている…」や、「現場からヒヤリハット報告がなかなかあがってこない…」といったお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事ではヒヤリハットの原因といった基礎知識から、ヒヤリハットのネタを探す具体的な手法、業界ごとのネタ例、現場で使えるヒヤリハット共有のポイントについて解説します。

ヒヤリハットは未然に防止することが最も重要であり、未然に防ぐには適切な教育が欠かせません。現場改善ラボでは「従業員の安全意識を高めるヒヤリハット報告のあり方」や「労働災害のきっかけを未然防止するヒヤリハット対策」といったテーマについて専門家が詳しく解説した動画もご用意しておりますので、是非ご参考ください。


労働災害を撲滅するヒヤリハット対策の心得 (1)

目次

ヒヤリハットとは?ハインリッヒの法則との関係と発生要因

ヒヤリハットという言葉は耳にしたことがあっても、どのように現場の安全に関連しているのかを理解している人は少ないかもしれません。そこでまずは、ヒヤリハットに関する基礎知識を以下の3点から整理します。

  • ヒヤリハットの意味
  • ヒヤリハットとハインリッヒの法則の関係
  • ヒヤリハットが発生する原因

ヒヤリハットの意味

ヒヤリハットとは、事故や災害には至らなかったものの、危険な状況や不具合が発生した際の「驚き」や「恐怖」を感じる瞬間のことを指します。ヒヤリハットは、別の言い方をすれば事故の前触れとなる可能性がある出来事と言い換えられます。

製造現場では、機械の故障や作業ミスなど、多くのヒヤリハットが発生します。たとえば「機械の動きがおかしい」、「予期しない動きをした」などの出来事はまさにヒヤリハットとして捉えるべき事柄です。

ヒヤリハットとハインリッヒの法則の関係

ハインリッヒの法則とは、事故の発生頻度とその重大度には一定の関係があるという法則です。
具体的には、1件の重大な事故が発生する前に、29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットが発生するとされています。ヒヤリハットがハインリッヒの法則の基盤を成しているため、ヒヤリハットとハインリッヒの法則は密接に関係しています。

ハインリッヒの法則について、より詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

ヒヤリハットが発生する原因

ヒヤリハットが発生する原因として、主に2つ挙げられます。

  • ヒューマンエラー
  • 5Sの不徹底

ヒューマンエラー

ヒューマンエラーは、人間のミスや誤操作によって発生するヒヤリハットの原因のひとつです。製造現場では、作業員が機械の操作を誤ったり、安全手順を順守しないことでヒヤリハットが発生します。

人間は疲れや焦り、注意散漫などの理由で普段では考えられないようなミスを犯します。このような「ポカミス」はヒューマンエラーのきっかけとなりやすく、放置するとポカミスといえども重大な事故につながりかねません

そこでヒューマンエラーはなぜ発生するのか、その発生要因を知ったうえで問題を明らかにする分析方法から再発防止の仕組みづくりまで、株式会社経営技術研究所代表取締役 中小企業診断士の藤井 春雄 氏が解説している動画も無料でご覧いただけます。


各種事例に学ぶヒューマンエラーの原因分析と対策法 (2)

5Sの不徹底

5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけの5つの要素から成り立つ日本発の改善手法です。製造業場で5Sが不徹底であると、ヒヤリハットのリスクが高まります。

たとえば、工具や部品が適切な場所に戻されていないと作業員が躓いて転倒したり、工具や部品が落下して怪我をするリスクが生じます。また、清掃が不十分な場所では油や液体が床にこぼれ、滑りやすくなることが考えられます。

5Sを徹底することで作業環境を整えることができ、ヒヤリハットのリスクが低減されます。5Sの詳細な内容や5S活動のケース別事例については、以下の記事をご覧ください。

他にも、5Sを活用した今後のものづくりについて、改善コンサルタントとして数多くの現場における業務品質の向上に努めた柿内 幸夫 氏をお招きし解説した動画もご覧いただけます。併せてご覧ください。


改善の急所を読み解く、5Sを活用したこれからのものづくり  (4)

「ヒヤリハットのネタ切れ…」ネタを探すには?

「現場の改善を担当しているが、ヒヤリハットのネタがもうない…。」という方は少なくないでしょう。
そのような方に向け、ネタ探しの視点として下記5つを紹介します。

ヒヤリハットがネタ切れした場合の対策法

日々の業務で危険意識を持つ

製造現場では、日々の業務中にさまざまな危険が潜んでいます。機械や設備を扱うことが多く、一瞬の不注意や油断が事故につながります。

たとえば、製造現場で機械の操作中に手が滑ったり、重い部品を運搬中にバランスを崩して転倒しかけたりすることは珍しくありません。
そこでヒヤリハットを日常的に記録し、共有することで、同じような事故を未然に防ぐことが可能です。また、日々の業務を通じて危険意識を持つことで、安全対策の改善提案や新しいアイデアを生み出せます。

マニュアルから探す

製造現場には、多くの作業マニュアルや安全手順があります。
作業マニュアルは、作業の基本的な手順や安全対策を示していますが、実際の現場での作業とは異なる場面も多々あります。なぜなら、マニュアルはあくまで一般的な指針であり、現場の状況や条件によっては適用できない場合があるからです。

指針と現実のギャップを埋めるために、マニュアルを参考にしながら、実際の現場状況や問題点を洗い出し、ヒヤリハットのネタを探すことも可能です。

安全チェックシートを活用して見つける

安全チェックシートは点検・確認項目漏れを防ぐための手段として有効です。

例えば、機械のオイル交換作業があるとしましょう。設備保全チェックシートに記載がなければ、オイル交換作業の実施を忘れて長期間機械を動かすことになります。そうなれば、オイルの役割が果たせず機械の故障に繋がります。

しかし、チェックシートに記載することで上記のヒヤリハットは防げるでしょう。改めてチェックシートを見直す良い機会でもあるので、ネタの1つとしてチェックシートを活用してみるのもおすすめです。

周辺環境で予測できるトラブルを見つける

業務における周辺の設備等の環境にまつわる危険性について、日頃から意識できているでしょうか。意識せず業務を続けていると、危険予知の意識が形骸化しトラブルが起きてしまうかもしれません。

例えば周辺設備について取り扱い方法が理解ができていないのであれば、まずはその設備を知ることから始めましょう。次に周辺環境にどういった危険性があるのか、危険性に対して周辺にどのような影響を与えるのか理解するようにしましょう。

このような周辺に潜む危険性を見つけるためには、KYT(危険予知訓練)の実施が効果的です。

従業員同士で話し合う

従業員はこれまでの経歴や現職の経験年数、考え方が1人ひとり異なっています。そのため、1人では気付かないヒヤリハットでも、複数人で案を出し合うことで新たな視点を獲得することや、見落としていたヒヤリハットを可視化できる可能性があります。

複数の従業員で現場に潜む危険を話し合うことで、気付かなかった視点をもつことができ、より抜け漏れのないヒヤリハット対策が見込めるでしょう。

従業員同士で話し合いながら現場に潜む危険を洗い出す手法としては、「リスクアセスメント」が挙げられます。リスクアセスメントの具体的な進め方やコツについて、元労働基準監督署長の村木 宏吉 氏が詳しく解説した動画をご用意しております。是非ご参考ください。


現場のキケンを見極める『リスクアセスメント術』

実際にあったヒヤリハット事例からもネタを探せる

ヒヤリハットの良いネタとして、実際にあったヒヤリハットの事例から具体的な対策を考えることが挙げられます。ここでは、例として以下5つの業界の事例について解説します。

  • 製造業
  • 建設業
  • 小売業
  • 倉庫業
  • 介護業

製造業

製造業のヒヤリハットでは、体が機械に挟まれそうになった事例があります。プレス機械の定期メンテナンスの際にブレーカーを切っておらず、スイッチが体に触れたことでプレスされそうになりました。

ブレーカーを切り、周囲に作業することを伝える、危険区間を設置することで誤操作による挟まりを未然に防げます。

建設業

建設業のヒヤリハットでは、高所から作業道具が落下し、下にいる通行人や他の作業者にあたりそうになった事例があります。

落下防止用の安全ネットを設置する作業道具を体に固定することで作業道具が落下することを未然に防げます。

小売業

小売業のヒヤリハットでは、荷物を運搬する際に地面が濡れており転倒しそうになった事例があります。
耐滑性のある靴を履く、5Sの徹底をすることで転倒することを未然に防げます。

倉庫業

倉庫業のヒヤリハットでは、フォークリフトの走行中に歩行者と衝突しそうになった事例があります。

フォークリフトの専用走行路を設けることで、歩行者との衝突を未然に防げます。

介護業

介護業のヒヤリハットでは、介護職員が被介助者を抱えた際に、腰を痛めそうになった事例があります。
無理な姿勢で抱えない、腰痛ベルトをすることで怪我を未然に防げます。

職場で起きうるヒヤリハットのネタ例

職場でヒヤリハット対策を任されているが、ネタが出てこないという方に向けて業界別のネタ例をご紹介します。

工場などの製造業編

(例)原因対策
機械の安全装置が正しく作動せず、手が挟まれそうになった。定期的な点検の欠如安全装置の定期的なチェックとメンテナンスを行う
作業時に安全メガネや手袋の着用を怠り、怪我をしそうになった。安全意識の欠如安全装備の着用を義務付け、定期的なチェックを実施する
重い物を不適切に持ち上げて負傷しそうになった。正しい持ち運び技術の不足適切な持ち運び方法のトレーニングと物理的な支援ツールの導入

建設業の現場編

(例)原因対策
積み重ねた資材が不安定であり、倒れそうになった。資材の不適切な積み重ね資材の安全な積み方について教育する
高所作業中に工具が下に落ち、作業員に当たりそうになった。物品の不安定な配置落下防止ネットの使用と作業道具を体に固定できているか等のチェック実施
足場の一部が緩んでいることに気付かず作業をしてしまい、転倒しかけた。足場の設置不備足場の確実な設置と定期的な検査の実施

小売業編

(例)原因対策
清掃後の床が滑りやすくなっていた。水のふき取り不足掃除後のふき取り確認と滑り止めマットの使用
誤った価格表示をしてしまい、顧客とトラブルが起きそうになった。価格表示の確認ミス価格表示の定期的な確認と更新の徹底
食品売り場で賞味期限切れの商品を発見した。賞味期限の確認ミス賞味期限の管理と定期的な商品チェックの実施

倉庫業編

(例)原因対策
フォークリフトの誤操作により、他の物品や人に衝突しそうになった。ながら運転によって操作を誤ってしまったながら運転をしない、周囲に物や人がいるかの確認を徹底する
高い場所にある棚から物品が落下し、人に当たるところだった。積載の不安定適切な積載方法の教育を行う
荷物がパレットから落下し、足に当たりそうだった。ルールを破り、パレットに多く商品を置いてしまった陳列ルールの遵守

介護業編

(例)原因対策
浴室で滑って転倒しかけた。床が滑りやすい滑り止めマットや手すりを設置する
認知症の利用者が施設外に出てしまいそうになった。監視不足施設のセキュリティ強化や見回りの実施
介護記録の不備や伝達ミスが発生しかけた。情報共有の不備記録管理システムの改善

今すぐ現場で使える!ヒヤリハットがネタ切れしないようにするためのポイント

ヒヤリハット報告を継続的に行うことは労働災害を未然に防ぎ、安全な現場を維持するために重要です。
しかし、「どうしてもヒヤリハットがネタ切れしてしまう」「毎回同じような報告ばかりで進展がない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、ヒヤリハットのネタを切らさない2つのポイントについて以下解説します。

ヒヤリハットをネタ切れさせないためのポイント

ヒヤリハットの目的を浸透させる

ヒヤリハット対策の目的は、大きな事故に繋がりかねない出来事を未然に防ぐことです。

ヒヤリハット対策の目的を職場に浸透させることで危険意識をもつことができ、危険箇所を撲滅しようとする働きが期待できます。危険箇所を撲滅しようとすれば自然とヒヤリハットのネタが出てくるため、ネタ切れになる事態を防げるでしょう。

ヒヤリハットの目的を浸透させるには、定期的に講習会を実施することや、新人教育の時点でヒヤリハットに関するカリキュラムを組み込むことがおすすめです。

「誰のため」の取り組みかを意識させる

ヒヤリハットを対策することで、「誰のために対策をしなければいけないのか」ということについて理解が深まります。

危険意識が薄れている職場では、安全教育を定期的に行うことも手段の1つでしょう。

現場改善ラボでは、労働安全コンサルタントとして工場の労働安全衛生問題を解決してきた専門家による「安全意識を形骸化させない安全教育の進め方」について詳しくまとめた動画をご用意しておりますので、併せてご覧ください。



現場改善ラボ ウェビナー用 (5)

実際に起きたヒヤリハットを動画で伝える安全教育もおすすめ

ヒヤリハットを防ぐ安全教育には、動画マニュアルを活用することがおすすめです。

動画マニュアルとは、従来の紙やテキストベースのマニュアルに代わる、視覚的で直感的な教育・トレーニングツールのことです。動画は複雑な手順や作業フローを短時間で効率的に伝えられるというメリットがあります。

たとえば、機械の正しい操作方法や安全対策など一度に多くの情報を覚える必要がある場合でも、複雑な作業を見たままに伝えられる動画マニュアルは非常に有用です。

さらに、実際に発生したヒヤリハットやその再現を動画化することで、異常のない平常時でも臨場感のある安全教育を行うことが期待できます。

おすすめの動画マニュアル「tebiki」とは?

動画マニュアルでおすすめしたいのは「tebiki」です。
現場教育には、人によって教育のバラつきがある、外国人労働者が増えて教育方法に困っている、新人教育に時間がかかっているなど様々な課題があります。
tebikiの動画マニュアルでは、それらの課題を解決し、業務効率化や標準化につなげられます。

動画マニュアルtebikiを活用することで、言語化しにくいベテランのカンコツを見たままに伝えられるだけではなく、同じ教材を使って教育することで教え方のムラをなくすことができるため、教育の標準化を達成できます。
また、100ヵ国語以上に対応した自動翻訳機能を備えているため、外国人労働者にも日本人と同じ粒度で安全教育を行えます。

他にも、スキマ時間で動画を使った復習を行うことや、現場のベテラン作業員の手を止めることなく教育を進めることができるため、OJTの工数を削減した効率的な安全教育が実現するというメリットがあります。

動画マニュアルと聞くと編集が難しい、管理できないのではと思われるかもしれません。
しかしtebikiでは、動画と文書のマニュアルをクラウド上で誰でも簡単に作成・編集・管理できます
tebikiの機能詳細や導入サポート体制について、以下の画像から無料で資料をダウンロードできます。是非ご覧ください。


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動画マニュアルでヒヤリハット/安全対策をした事例

大同工業株式会社

大同工業株式会社は、製造業の中でも特に試験機や測定機を使用する技術部門において、動画マニュアルtebikiを導入することで、業務の効率化とヒヤリハットの削減を実現した企業です。
従来の教育方法では、新人教育やマニュアル作成に多くの工数がかかり、トレーナーによって指導内容が異なるため、業務品質にバラつきが生じていました。特に、試験手順の小さな違いがヒヤリハットや評価結果のエラーの原因となっていました。

そこで、動画マニュアルtebikiを導入し、部署内全員で試験手順を再標準化することで、ヒヤリハットや評価エラーの削減を実現しました。tebikiは視覚的に手順を確認できるため、言葉だけでは伝わりにくい「コツ」や「ポイント」も効果的に伝えることが可能です。
結果として、業務の標準化が進み、教育工数も大幅に削減されました。

大同工業株式会社の安田氏は、tebikiの導入によって、部署内での試験中のヒヤリハットや評価エラーが削減できたと実感しているとのことです。また、tebikiの動画マニュアルは、海外の拠点での現地スタッフの教育にも活用することが考えられ、グローバルな展開にも対応できると紹介されています。

ヒヤリハットに関するQ&A

現場で起こりやすいヒヤリハットのランキングは?

現場で起こりやすいヒヤリハットをランキング形式でご紹介します。

1位 墜落・転落 78件

2位 転倒 53件

3位 飛来・落下 48件

4位 はさまれ・巻き込まれ 44件

5位 激突され 32件

6位 交通事故 25件

7位 有害物との接触 24件

8位 切れ・こすれ 21件

9位 崩壊・倒壊 20件

9位 感電・火災 20件

その他のヒヤリハットとして、動作の反動・無理な動作、激突、高温・低温の物との接触、破裂が挙げられます。

引用元:厚生労働省「ヒヤリ・ハット事例一覧」

ヒヤリハットの代表例は?

救急搬送につながる日常生活の事故の例として、特に多いものに「転倒」「転落」「激突」が挙げられています。

日常生活の中でも危険が潜んでいるため、危機意識をもつことが重要です。

ヒヤリハットを意識して現場改善に取り組もう【まとめ】

ヒヤリハットは、事故に至らなかったが危険な状況や不具合が生じた際の出来事を指します。ヒヤリハットは、ハインリッヒの法則と密接に関連しており、大きな事故の前には多くのヒヤリハットが存在するとされています。

ヒヤリハットのネタ切れを探すには、日々の業務で危険意識を持つことやマニュアルから探すことが挙げられます。

他にも、実際にあったヒヤリハット事件から参考にすることもおすすめです。ヒヤリハットの目的を浸透させることや「誰のため」の取り組みかを意識させることで、ヒヤリハットのネタ切れが起きない職場づくりを目指せます。

tebikiは、動画マニュアルを活用したヒヤリハット対策に有効です。株式会社かめやと大同工業株式会社のような企業が成功事例として挙げられます。

この記事で紹介した動画マニュアルtebikiの資料は無料でダウンロード可能です。ぜひこの機会にtebikiの資料をダウンロードしてみませんか?


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