生産管理板は作業の進捗や品質管理を一目で確認できるツールです。
この記事を読んでいる方は、
「そもそも生産管理板って何?」
「Excelを使った生産管理板の作り方を知りたい!」
「生産管理板で便利なツールを知りたい!」
といった疑問や悩みを抱えているのではないでしょうか。
そこでこの記事では、生産管理版の記入項目からはじめ、トヨタの事例やExcelでの作成方法に至るまで具体的な運用方法を紹介します。さらに紙ベースの管理が抱える課題とデジタル化による解決策や効率的な生産管理の実現の方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
生産性や生産品質の向上には、製造現場で起きていることをITツールやデータを用いて可視化することが必要です。本文中で解説する生産管理板の活用に加え、生産品質を向上させるデータ分析の手法や指標とすべきデータの種類や収集方法について解説した動画を以下にご用意しておりますので、是非併せてご覧ください。
目次
生産管理板とは
生産管理板とは、製造現場の生産計画に対する進捗や品質不良数など工程全体の状況を可視化するツールです。生産管理板を使うことで生産現場の進捗や品質、問題点がひと目で把握できるため、問題発生時に迅速な意思決定と対策が可能になります。
たとえば、自動車製造業では生産管理板を活用することで部品の不足や組み立てラインの遅延が即座に可視化され、必要な対応がスピーディーに実施できます。ムダな時間を削減し、製造プロセスの最適化を図るために欠かせないツールだといえるでしょう。
生産管理板の記入項目例
生産管理板の記入項目例として、以下の3つが特に重要です。
- 測定時間
- サイクルタイム
- 備考
測定時間
測定時間は作業の開始から終了までの時間を指し、通常1時間ごとに区切られます。測定時間の記載により、生産プロセスの時間効率を正確に把握し、必要に応じて改善策を講じることが可能です。
サイクルタイム
サイクルタイムとは、1つの製品を製造するために実際にかかった時間を指します。生産管理板では、測定時間で予定されていたタクトタイムや生産個数と、サイクルタイム/実際の生産個数の差異によって、生産遅延の可視化が可能です。
サイクルタイムの記載により、生産目標に対する実績をリアルタイムで評価できるようになり、生産計画の最適化が期待できます。
関連記事:「タクトタイム」「サイクルタイム」「リードタイム」の意味や違いをわかりやすく解説!
備考
備考欄ではサイクルタイムで可視化された生産差異の背景など、生産に影響を与える特別な事情や改善提案を記入し、継続的な生産プロセスの改善につなげます。たとえば「第1工程の不良」が発生した際に、その背景や対策を記載することで同じ不良を発生させない仕組み作りを構築できます。
製造業では品質不良を防ぐことが生産性向上における要ですが、ヒューマンエラーのような人に起因する品質不良を防ぐことが障壁となっている現場も多いのではないでしょうか。
現場改善ラボではヒューマンエラーの発生要因やヒューマンエラーを防ぐ具体的な対策について、専門家が解説した動画をご用意しております。是非ご参考ください。
生産管理版の活用による3つのメリット
生産管理板を活用することで、製造業において従業員の配置最適化、生産課題の明確化、そしてムダのない生産体制の構築が可能となります。ここではさらに深掘りして、具体的な生産管理版の活用によるメリットを3つ解説します。
- 従業員の配置を適切に行える
- 生産課題の把握ができる
- ムダのない生産が可能
従業員の配置を適切に行える
生産管理板を使用すると、各生産ラインでの商品従業員の偏りを防ぐことが可能です。
たとえば製造プロセスで大きな遅延が発生した際でも、生産管理板を活用していると「どの工程でどのくらい遅延が発生したか」の記録を取っているため、原因個所を特定し一時的に増員を行うといった対策を取ることができます。生産管理版は生産ライン間での調整を可能にし、全体の効率と生産性を向上させるため、重要な役割を果たしています。
生産課題の把握ができる
生産過程で収集されるデータには、作業時間や品質の問題点、機械の故障率など生産効率に影響を与える多くの要因が含まれます。生産管理版に蓄積されたデータを分析することで、生産プロセスにおけるボトルネックや改善点が明らかになり、より効率的な生産体制へと導くことが可能です。
関連記事:ビジネスにおけるボトルネックの意味は?解消方法を分かりやすく解説!
ムダのない生産が可能
生産管理板の活用が生産プロセス全体の透明性を高め、計画と実際の生産データの差を埋める効果が期待できます。リアルタイムでの進捗管理により、不要な在庫の蓄積や過剰生産を防いだ「ジャストインタイム」の生産が実現します。
関連記事:ジャストインタイム(Just In Time)とは?意味や3原則、メリットやデメリットを解説!
ジャストインタイムはムダのない生産方式として有名な「トヨタ生産方式」から生まれた考えです。
トヨタ生産方式の概要やムダを削減するコツについては、トヨタ英国製造副社長による解説動画をご用意しておりますので、ぜひこの機会にチェックしてみてください。
トヨタが取り入れている生産管理板の事例
トヨタ生産方式では生産管理版を用いて生産効率の向上や問題点の掘り下げに成功しています。
トヨタが生産管理板を取り入れている生産方式として「1個流し生産」があり、製品が一連の工程を通過することで常に完成品が生産されるような仕組みになっています。
「1個流し生産」では、生産ラインの各工程でかかる時間を合計し、製品が完成するまでの生産リードタイムを計算します。そして生産管理板を用いて、予定された生産数と実際の生産数を時間ごとに記録して比較し、生産実績が予定数に達しない場合は理由を徹底的に分析して原因を追究することで、結果的に生産効率を向上させています。
また生産管理板による管理の大きな特徴として、「見える化」が挙げられます。
見える化は、生産現場の状況を明確に把握し、問題点を迅速に特定し解決するための方法です。具体的な例として、生産管理板に1時間ごとの予定数と実績数を記入し、実績数が予定数に達していない場合は「なぜ、できなかったのか」という問いを5回以上繰り返すことで、問題の根本原因を突き止めます。
出来なかった原因を「なぜ」を繰り返して追及する方法は「なぜなぜ分析」と呼ばれ、真因を特定し不具合や不良を再発させないための重要な取り組みだといえます。
なぜなぜ分析の効果的な進め方や実例について、以下の画像から専門家による解説動画を無料でご視聴できますので、併せてご覧ください。
生産管理板をExcelで作成する方法
ムダのない生産を実現するために欠かせない生産管理版ですが、Excel(Excel)を用いて作ることが可能です。ここでは以下の2点の作成方法について解説します。
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- ガントチャートを作成する
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- 関数で入力を自動化する
ガントチャートを作成する
ガントチャートとは、工程などの進捗を視覚的に把握できるようにした図のことです。ガントチャートでは工程の開始から終了までの期間が明確になり、どの工程が予定通り進んでいるか、どこに遅延が生じているかがひと目見ただけでわかります。
製造業では、特に複数のプロジェクトや製品ラインを管理する場合にガントチャートのような視覚情報が非常に役立ちます。
たとえば自動車部品製造会社が新しい部品の生産ラインを立ち上げる際、ガントチャートを用いることで、設計や試作、評価、量産準備といった各段階の進捗を明確に追跡することが可能です。結果として、管理者はリソースを効率的に配分し、遅延が発生した場合に迅速に対応することが可能となります。
Excelでガントチャートを作成するには、生産工程の手順や担当者、納期といった情報を書き出したうえで表を作成し、工程が完了した日付を塗りつぶすことで対応できます。このとき、条件付き書式を利用すると自動で塗りつぶしが完了するため、記入の工数を削減することができます。
関数で入力を自動化する
Excelの関数を利用して生産管理板の入力を自動化することは、時間の節約とエラーの削減につながります。手動でデータを入力するプロセスは時間がかかるだけでなく、入力ミスのリスクも伴うでしょう。
しかし、関数を用いた自動化により、生産量や在庫、納期などのデータをリアルタイムで更新し、常に最新の情報にもとづいて判断できるようになります。たとえば電子機器製造業では、部品の在庫管理や製品の出荷スケジュールについて関数を使って自動化することで、生産計画の精度を高めることが可能です。結果として、余分な在庫を抱えるリスクを減らして顧客の納期要求に柔軟に対応することができるでしょう。
具体的に有益な関数は以下の表で紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
関数名 | 関数の役割 | 関数例 |
SUM関数 | 週別、月別などでデータを合算する | セル範囲A1からA10までの数値の平均を計算する =SUM(A1:A10) |
AVERAGE関数 | 平均値を算出する | セル範囲A1からA10までの数値の平均を計算する =AVERAGE(A1:A10) |
WORKDAY関数 | 集計データを日単位で算出する | 指定した日付から5営業日後の日付を計算する =WORKDAY(start_date, days, [holidays]) |
SUMIF(S)関数 | 製品や顧客ごとに集計する | セル範囲A1からA10までの中で値が10以上のセルの合計を求める =SUMIF(A1:A10, “>=10”) |
COUNTIF関数 | 条件を満たす製品や顧客の数を数える | セル範囲A1からA10までの中で条件(10以上)を満たすセルの数を数える =COUNTIF(A1:A10, “>=10”) |
VLOOKUP関数 | 必要なデータを検索する | テーブルから値を検索する =VLOOKUP(lookup_value, table_array, col_index_num, [range_lookup]) |
IF関数 | 必要なデータを抽出する | 条件に基づいて結果を返す =IF(condition, value_if_true, value_if_false) |
紙/Excelによる生産管理板運用が抱える4つの課題
Excelで生産管理板を作成したとしても、多くの現場では紙に印刷し用いることが多いです。
紙の生産管理板は、以下に解説するような大きな課題を抱えています。
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- 記入に時間がかかる
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- 属人的な管理体制になりがち
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- 記録の保管ができない
記入に時間がかかる
紙の生産管理板を利用する主な課題は、記入に時間がかかる点です。
全ての情報を手作業で記入して更新する必要があるため、生産ラインの変更や急な注文の増加など迅速な対応が求められる製造業の環境では、タイムリーな情報更新が難しくなります。
たとえば自動車部品の製造業では、日々の生産スケジュールや部品の在庫状況を紙の管理板に手書きで更新すると、その時間だけでなく、情報の遅延による誤った生産計画の立案リスクが高まります。
属人的な管理体制になりがち
紙の生産管理板は特定の個人が管理・更新を行うことが多く、属人的な管理体制になりがちです。情報が一元化されず、管理者や担当者特有の手法で記録されることが多いため、担当者が不在の場合は情報を得ることが難しくなります。
たとえば、電子部品製造業において特定の技術者が生産スケジュールや品質管理の記録を独自の方法で管理しているとします。このような場合、担当の技術者が休暇や病気で不在の際に他のスタッフが情報を引き継ぐのが難しくなり、生産プロセスに支障をきたすことがあります。
記録の保管ができない
紙の生産管理板では、記録の保管が困難という課題があります。
物理的なスペースを必要とし、時間の経過とともに紙の劣化や紛失のリスクが伴います。製造業では生産データや品質管理記録は、長期間にわたり保存し、必要に応じて参照する必要があります。
ホワイトボードに生産個数を記入している場合、毎日毎時間記入しているため、いくら生産したか数値の保管ができないという問題もあるので注意が必要です。
紙からExcelに移行しても課題は山積み
紙の生産管理板から完全にExcelによる生産管理板に移行したとしても、数多くの課題が残されています。まず、記録の分析には分析用Excelファイルに転記する必要があり、現場の負担が増えてしまうケースが多いです。他にも、Excelは複数人で同時に編集することができないため、作業待ちによる遅れが生じることや共有までにラグが発生することがあります。
このような課題を解決するには、「生産管理板の電子化」がおすすめです。
生産管理板の電子化ツールにおすすめな「tebiki現場分析」
紙の生産管理板における課題を解決するには、生産管理板の電子化がおすすめですがそこで活躍するのが「tebiki現場分析」です。
ここでは「tebiki現場分析とは何か?」「tebiki現場分析を導入するとどのようなメリットがあるのか?」という点について解説します。
tebiki現場分析とは
tebiki現場分析は、製造業の効率化を実現するクラウドベースの帳票作成・管理サービスです。手軽に帳票を作成・共有し、場所を問わずリアルタイムでの情報共有ができる点が特徴です。ISO27001の取得やSSL暗号化通信により、データの安全性も高く保たれています。
tebiki現場分析を導入するメリット
tebiki現場分析は記入作業の時間短縮、属人化の解消、記録のデジタル保管という紙の生産管理板が抱える主要な課題を解決する機能を備えているツールです。
製造業では、日々の生産計画や品質管理を紙の帳票で管理していた場合、情報の更新や重要なデータの共有に遅れが生じ、生産ラインに混乱を招く可能性があります。しかしtebiki現場分析を利用することで、スマホやタブレットから即座に帳票を作成できるだけでなく、情報の更新・共有もリアルタイムで行えるため、現場の効率化を図ることが可能に。
さらにエビデンスとしての画像記録や異常発生時の即時アラート機能により、問題の早期発見と迅速な対応も可能になります。また帳票の電子化により記録の保管と検索が容易になるため、長期にわたる品質改善活動や監査対応がスムーズに行える効果もあります。
tebiki現場分析は、紙ベースの生産管理板では実現困難だったスピードと正確性があり、製造現場の生産性と品質の向上につながるでしょう。
tebiki現場分析の資料は以下まとめ内の画像から無料でダウンロードが可能です。
「生産管理板を電子化して記入の工数を減らしたい」「現場で使う帳票を活用できるツールが知りたい」とお考えの方は、是非ご参考ください。
tebiki現場分析で生産管理板を効率化しよう!【まとめ】
生産管理板は、製造業において生産性と品質の向上を図るための重要なツールです。
トヨタをはじめとする製造現場では、生産管理板の利活用により、従業員の効率的な配置、生産課題の明確な把握、ムダのない生産プロセスの実現が可能になっています。
とくにExcelを用いた生産管理板の作成方法、ガントチャートを活用し関数で入力の自動化は有効な手段です。
一方で、Excelで作成し紙に印刷した生産管理板には、記入に時間がかかる、属人的な管理体制に陥りがち、そして記録の保管と維持が困難であるという課題があります。
紙ベースの生産管理板の課題を解決するために、tebiki現場分析がおすすめです。tebiki現場分析は、どこからでもアクセス可能なクラウドベースのサービスです。簡単に帳票を設計・作成できること、モバイル端末での入力の容易さ、エビデンスとしての画像を含めた情報量の増加、リアルタイムでの現場状況の把握が可能であること、そして迅速な記録の承認が可能であることが特徴です。
tebiki現場分析の資料は無料でダウンロード可能ですので、ぜひ下記の画像からダウンロードしてみてください。