点検表を利用すれば異常傾向が把握でき、設備などのトラブル・故障を未然に防ぐことが可能になります。
この記事を読んでいる方は、以下のような悩みや疑問を抱えているのではないでしょうか。
- 「点検表には何を記載すべき?」
- 「点検表を作成する工数を減らすためにテンプレートが欲しい!」
- 「点検表を電子化するメリットを知りたい!」
そこでこの記事では、点検表が必要な理由や記載する項目例、点検の種類を解説します。他にも、製造業で使える点検表のテンプレートや、紙やExcelで管理されている点検表の課題、デジタル化がもたらす複数のメリットも紹介します。
この記事を通じて、点検表とは何か、さらに点検表のデジタル化の恩恵とは何かが理解できるので、ぜひ参考にしてみてください。
製造業では点検表のような帳票の活用が欠かせない一方で、帳票を紙やExcelで作成/管理することで記入や承認の不便さや、データ活用に課題を感じている方も多いです。
このような課題解決に向けた「帳票のデジタル化」について、メリットから導入の失敗パターン、成功に向けた導入手順とポイントについてまとめた資料をご用意いたしました。是非ご覧ください。
目次
点検表はなぜ必要?
製造業において点検表は、トラブルの未然防止と記録を残すために不可欠です。定期的な点検は機械の故障や予期せぬ停止を避け、生産性の維持につながります。
トラブルを未然に防ぐ
点検表を利用することで、製造設備の小さな異常も見逃すことなく対処できます。日々の点検を通じて設備の状態を詳細に記録し、異常を初期段階で発見できるためです。
定期的な機械の点検は安全上の問題を早期に発見し、適切な対策を施すことにつながります。そのため点検表は機械の故障を防ぐだけでなく、労災事故のリスク低減にも役立ちます。例として化学製品を扱う工場では、点検表を用いて機械の不具合だけでなく、安全装置の機能不全もチェックします。その結果として、労働者が潜在的な危険から守られ安全な作業環境が確保されるため、労災発生率を大幅に下げることが期待できます。
設備や機械の点検は、トラブルなく万全な状態を保つ「設備保全」の観点からも最も重要な取り組みです。設備保全の種類や具体的な進め方については以下の記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。
関連記事:設備保全とは?種類と考え方、取り組む重要性や事例を解説!
点検記録を可視化する
点検の記録は設備のパフォーマンスの変遷を追跡し、メンテナンスや修理の計画に必要な情報を得られるため、記録を残すことの重要性は計り知れません。
また点検表による記録は、設備や製品に関する情報のトレーサビリティを確保するだけでなく、「誰が」「いつ」「何をしたか」といった詳細な内容も含まれます。自動車製造ラインでの実例を見ると、点検担当者が特定の部品に対して実施した作業内容や時刻、実施した人物が詳細に記録されています。記録は問題が発生した際の迅速な対応と原因究明を可能にし、全体の生産効率と品質保証にもよい影響をもたらします。
トレーサビリティの目的や確保することの重要性、実際の企業事例については以下の記事でも詳しく解説しているため、是非ご覧ください。
関連記事:トレーサビリティとは?目的やブロックチェーンとの関係、メリットや企業事例についても解説
製造業における点検の種類
製造業における点検の種類として主に以下の2つがあります。ここではそれぞれの点検の内容を具体的に解説します。
- 法定点検
- 自主点検
法定点検
法定点検とは、法令に基づいた基準に従って行う必須の機械設備や施設の点検のことです。
法定点検は、安全な運用を確保して事故や故障を防ぐために定期的に実施されます。具体例として、建築基準法では建築物等(敷地含む)、昇降機、建築設備、防火設備等について項目ごとに一定期間の点検を実施することが義務とされています。
参照元:「法定点検等の実施」
また製造業に深い関わりのある労働安全衛生法では、法定点検として照明設備が半年に1回、機械管理設備が2ヶ月に1回と定められており、他にも様々な項目についての点検の実施が求められています。詳しく知りたい方は以下の参照元サイトをご参照ください。
参照元:「労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)」
自主点検
自主点検には主に定期的に行う作業前点検、定期点検の2つがあり、さらに臨時で行う臨時点検があります。
作業前点検
作業前点検とは、日々の運用の開始前に実施される点検のことです。
作業前点検を通じて機械や設備が正常に動作することを確認し、安全な製造プロセスを維持できます。例として、食品加工業界での作業前点検では生産ラインの清潔状態や機械のセットアップが確認され、品質保持と食品安全の基準を満たすことを保証しています。
定期点検
定期点検は設備が長期間にわたって最高の性能を維持することを目的とし、一定の期間で実施される点検です。
定期点検により、潜在的な故障や性能の低下を早期に特定し、必要なメンテナンスを行えます。自動車製造業での定期点検の例では、数か月に1回など定期的な周期でロボットアームの精密な動作確認や、油圧システムの漏れ、摩耗について点検します。
臨時点検
臨時点検は、特定の問題やアクシデントが発生した際に行われる点検です。臨時点検により特定の作業後に機械の安全性と異常の原因を迅速に確認し、必要な修正を即座に実施できます。
例として、工場で不慮の機械故障が発生した後は詳細な臨時点検を実施して原因を特定し、他の機械への影響を防ぐための措置が講じられます。結果として生産ラインの安全性が迅速に回復し、大規模な損失を避けることが可能です。
【テンプレート付き】点検表には何を記載する?項目例を紹介
点検表には点検で発見した具体的な問題点を効率的に把握し、解決するための情報を記載します。ここでは点検表に記載する具体的な項目やExcelによるテンプレートの落とし穴について解説します。
また、「【ダウンロード可能!】製造業で使いやすい点検表テンプレート」の個所では製造業向けの無料テンプレートも誤用しておりますので、是非ご覧ください。
点検表に記載する項目例
点検表に記載する代表的な項目として、主に以下の4項目があります。
- 点検個所
- 点検項目
- 点検結果
- 前回点検時の異常
点検個所
点検個所を明確に記載することは、設備の保守管理において重要です。点検個所を記載し特定の設備や部品の状態を正確に追跡できるようにすることで、必要なメンテナンスを計画的に実施することができます。
印刷機械の場合、インク供給系や紙送り部分など特定の点検個所をリストアップすることで、重点的かつ定期的に点検するべき箇所が明確になります。
点検項目
点検項目の記載により、各設備や機械の機能が規定通りに作動しているかを確認できます。例として、化学工場では反応器の温度や圧力が点検項目として挙げられ、正常値の維持が生産品質につながります。
点検結果
実際の運用データにもとづいて設備の劣化具合や修理の優先順位を決定できるため、点検結果の記載は設備の健全性評価とメンテナンスの計画立案に欠かせません。製鉄所での例を挙げると、炉の耐火材の損耗状況を記録し、その記録した内容が次のメンテナンス時期の判断材料になります。
前回点検時の異常
過去の問題が再発する可能性を低減し、より効果的な予防措置を講じられるため、前回点検時の異常の詳細記載は再発防止の対策という意味でも重要です。例として化学工場では、以前の化学漏れ事故のデータが点検記録にフィードバックされ、安全対策の強化につなげています。
【ダウンロード可能!】製造業で使いやすい点検表テンプレート
製造業の方向けに、現場改善ラボで独自の点検表テンプレートをご用意しました。以下のフォームより現場改善ラボのメルマガにご登録いただくと、Excel形式のテンプレート(計3枚)を無料でダウンロードいただけます。時間・頻度といった項目ごとに記入ができる他、A4縦・横サイズもそれぞれそろえているため、製造業における様々な点検業務にご活用いただけます。
テンプレートを活用することで、点検表を簡単かつ効率良く作成することができます。一方で、後述する「Excelによるテンプレートの「落とし穴」」ではExcelの点検表によるデメリットにも触れているので、併せてご覧ください。
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Excelによるテンプレートの「落とし穴」
Excelによる点検表は簡単に作成できる一方で、様々な課題が存在しています。
考えられる課題として、データの分析を行う際に別の分析用Excelファイルにデータを転記する手間がかかるため時間の浪費となることや、複数人での同時編集が困難であるため、情報の共有や更新が遅れることが考えられます。さらに紙に印刷して使用する場合、記入の工数や記入ミスが発生しやすく、課題の解決には至らないこともあります。
後述する「紙/Excelの点検表にありがちな3つの課題」の章では、デジタル化されていない帳票にありがちな課題について詳しく解説します。
紙/Excelの点検表にありがちな3つの課題
紙やExcelの点検表では、以下のような課題が考えられます。
- ミスや漏れが発生しやすい
- 保管が難しく、データの抽出や分析ができない
- 記入や承認に時間と工数がかかる
ミスや漏れが発生しやすい
人間が手書きで記録をする場合、内容の書き間違えや記入漏れといったヒューマンエラーを避けることが難しく、紙やExcelでの点検表ではミスや漏れが頻繁に発生します。
また字が汚く読みにくい場合もあり、情報の正確性を損ねる原因となります。たとえば機械製造工場の場合、作業者が点検中に急いで記入したために重要な異常を見逃し、後の大規模な機械故障につながるということも考えられるため注意が必要です。
保管が難しく、データの抽出や分析ができない
紙の点検表を大量に保管すると、物理的なスペースが大量に必要なほか、過去の記録を手作業で探すことになるため時間がかかり、効率が悪いことが課題として考えられます。
加えて紙による記録では異常値の追跡や記録データの分析が困難であり、製数年分の紙の点検記録を保管していても、適切な時期に予防点検が行えない状況が発生することもあるでしょう。
記入や承認に時間と工数がかかる
点検表を承認するには複数の関係者による確認が必要となります。しかし、紙の点検表を承認するには複数人に直接ハンコを依頼する必要があり、共有の手間がかかることで承認まで時間がかかるほか、現場の作業者に大きな負担がかかります。
製造業にありがちなケースとして、点検記録の承認のために部門長などの管理職や責任者のハンコが必要なことが承認待ちの時間を長くし、生産の迅速な再開を遅らせる原因となることもあるので注意が必要です。
点検表は電子化すると便利!デジタル化による4つのメリット
「紙/Excelの点検表にありがちな3つの課題」で述べたような課題を解決するには、点検表をデジタル化することが有効な対策です。
点検表をデジタル化するメリットとして、以下の4点を紹介します。
- 記入の工数を減らせる
- 共有しやすく承認の手間が省ける
- 保管や管理がしやすい
- ヒューマンエラーによるミスを減らせる
点検表や帳票のデジタル化には、他にも様々なメリットが存在します。デジタル帳票のメリットやデジタル化を進める具体的な手順について、詳細な資料をご用意しておりますので、本記事と併せてご覧ください。
記入の工数を減らせる
デジタル化された点検表にはフォーマットが備わっており、項目ごとに入力する事項が明確であるため、記入に関わる工数を大幅に削減できます。他にも、よく記載する内容についてあらかじめテンプレート化することで、少ない動作で多くの内容を記入することができます。
例として、定期的な点検作業において点検個所や「異常なし」「異常あり」といった結果についてテンプレートを用いることで記入時間が短縮でき、作業効率を向上させることが可能です。
共有しやすく承認の手間が省ける
電子化されたデータはリアルタイムで共有が可能であり、複数の関係者が同時にアクセスして承認することもできます。そのため、点検表の電子化は情報の共有と承認プロセスを簡易化することが可能だといえます。
製造業では、点検データを即座に複数部門と共有することで必要な承認が迅速になり、プロセス全体の時間短縮が期待できます。
保管や管理がしやすい
点検表のデジタル化により紙を物理的に保管する必要がなくなり、データの紛失や汚損のリスクを減らすことも期待できます。加えてすべての情報がデジタルデータベースに保管されることで、任意の検索キーワードで瞬時に必要な記録を検索し、参照することも実現します。
製造業では、迅速に過去の点検記録を簡単に参照し、設備の状態分析や予防保守を計画することが容易に行えるようになります。
ヒューマンエラーによるミスを減らせる
デジタル化された点検表は入力必須項目が設定されており、未記入の項目がある場合は保存ができない設計にすることも可能です。さらに、誤った内容を記入した場合にアラートを通知させることもできるため、記入漏れや記載ミスを大幅に減少させることが可能です。
またフォーマットが統一されることで記入者による内容のバラツキがなくなるほか、クセ字や字の汚さといった記入者ごとの問題も解消できます。
点検表の電子化/デジタル化にはtebiki現場分析
点検表を電子化/デジタル化するツールとしては、「tebiki現場分析」がおすすめです。
tebiki現場分析は帳票のデジタル化に特化した「デジタル帳票ツール」で、現場の課題解決に向けた具体的な手段として注目を集めています。
具体的な機能など詳細を知りたい方は、以下よりサービス資料をご覧ください。
tebiki現場分析は点検表を電子化できるツール
tebiki現場分析は、製造業の点検作業を効率化/改善するためのデジタル帳票ツールです。スマートフォンやタブレットのような縦型の端末による記入や閲覧に特化しており、製造現場で使いやすい機能が複数搭載されています。
tebiki現場分析を使うことで紙ベースの点検表をデジタルフォーマットに変換し、データの入力と管理にかかる工数を削減できます。tebiki現場分析の活用により生産ラインの点検時間やミスを大幅に減らしし、点検データの即時アップデートと共有が可能になることで点検の精度向上や機械の故障を未然に防ぐといった効果が見込めます。
tebiki現場分析を導入するメリット
tebiki現場分析を導入するメリットとして、以下の4つが挙げられます。
- 簡単に記入できるため現場の負担を減らせる
- 画像や写真の記録により詳細な点検記録を残せる
- 正常値/異常値の登録により異常をリアルタイムで検知できる
- 分析機能により簡単に数値をグラフ化できる
簡単に記入/承認できるため現場の負担を減らせる
tebiki現場分析はスマートフォンやタブレットでの入力に特化したわかりやすい操作画面を採用しており、難解な研修を受けずとも誰でも簡単に帳票を記入し、編集することができます。
他にも、「帳票のピンどめ」により使用頻度が高い帳票を優先して表示させる機能や、毎回の記録で共通する内容の入力を省略できる「定時記録」の機能を使うことで、日常的に発生する点検業務をよりスムーズに記録することも可能です。
記入にかかる工数を減らせるほか、「一括承認機能」により記録を一括で選択し承認することも可能なため、多数ある記録を承認する必要がある管理者の負担を減らすことも期待できます。
画像や写真の記録により詳細な点検記録を残せる
tebiki現場分析の導入により、画像や写真を活用してより詳細な点検記録を残すことが可能です。
紙やExcelの点検表では困難な画像や写真の記録も、tebiki現場分析ではその場で撮影した写真を登録することも可能なため、文字情報だけでは捉えきれない詳細や状態の変化を視覚情報として正確に記録し、より正確な点検記録を残すことができます。
正常値/異常値の登録により異常をリアルタイムで検知できる
tebiki現場分析は正常値を事前に設定し、データが基準から逸脱した場合にリアルタイムでアラートを発信することで異常発生時の迅速な対応を可能にします。たとえば製造ラインで温度や湿度の記録が設定値を超えた際に即時警告が出ることで、製品の品質低下や生産ロスを防ぐことが可能になります。結果として、製造現場の安定性と効率の向上が期待できます。
分析機能により簡単に数値をグラフ化できる
tebiki現場分析には分析機能が備わっており、収集したデータを簡単にグラフ化して視覚的に表示できます。製造業を例にすると、点検記録をグラフ化することで、異常が発生する可能性のある時期を洗い出し、必要に応じた改善策を最適なタイミングで実施することが可能です。結果として、製造プロセスの最適化が促進され、コスト削減や品質の一貫性を保つ効果が期待できます。
tebiki現場分析のその他の機能や、導入から運用までを支えるサポート体制については以下の画像から詳細な資料をダウンロードできます。
点検表のデジタル化やDXの具体的な手段についてお探しの方は是非ご参考ください。
tebiki現場分析で点検票を電子化しよう【まとめ】
製造業では法定点検から自主点検、作業前や定期点検などが行われ、点検の記録は点検表に記載されます。点検表は機械の故障といったトラブルを未然に防ぎ、点検結果を可視化するという重要な役割を持ちますが、従来の紙やExcelによる点検表では管理に多くの課題が伴います。具体的にはミスや漏れが発生しやすく、情報の共有やアクセスが困難であり、保管や承認にも大きな手間がかかるといったことが問題視されています。
しかし、点検表をデジタル化することで課題を解消し、データの一元管理やリアルタイム確認が可能になります。とくにtebiki現場分析は簡単に記入できるため現場の負担を減らせる他、画像記録や正常値/異常値の登録、分析機能が搭載されており、製造現場でなかなか実現ができなかった領域のデジタル化に最適です。
本記事で解説したtebiki現場分析の資料は無料でダウンロード可能です。ぜひこの機会に下記の画像から資料をダウンロードしてみてください。