スキルマップ機能付き現場教育システム『tebiki』が運営するメディア、現場改善ラボです。
設備保全は、製造現場の安定稼働を支える重要な役割を担っており、故障やトラブルを未然に防ぐための活動のことです。またスキルマップとは、現場で必要とされるスキルを体系的に整理し、各従業員のスキルレベルを可視化するツールのことです。
皆様の中には、
「設備保全でのスキルマップの作り方を知りたい!」「設備保全に必要なスキルって何?」
といった疑問や悩みを抱えている方もいらっしゃるはずです。
そこでこの記事では、設備保全におけるスキルマップの作成方法や必要なスキルについて詳しく解説していきます。現場改善を目指す方の参考になる内容ですので、ぜひご一読ください。
なお、スキルマップとは何であったかを改めて確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:スキルマップとは?作り方や項目例、テンプレートをご紹介
目次
【無料ダウンロード】設備保全スキルマップのテンプレ
さっそくですが、設備保全スキルマップのテンプレートをご用意しました。
以下のフォームに必要な項目を入力すれば、無料でダウンロードいただけます。ぜひ、スキルマップの作成にご活用ください。
▼テンプレートダウンロードフォーム▼
設備保全スキルマップの作り方
ここからはスキルマップの作成方法についてご紹介します。
先ほどのテンプレートをお手元に用意しながら読むと理解しやすいかと思いますので、まだの方はぜひ直前に戻ってダウンロードしてみてください。
以下の流れで作成すると良いでしょう。
スキルマップを作成する目的を定める
設備保全においてスキルマップを作成する際は、まず目的を明確にしましょう。目的を立てると、何を重要視したスキルマップにするのかがはっきりし、スキルマップ作成がスムーズに運びます。
たとえば設備の故障を未然に防ぐための予防保全を強化する目的であれば、機械図面の読解力やPLC/シーケンスの知識など、トラブル防止につながるスキル項目を重視すべきです。
一方、技術者のキャリアアップや技能向上を目指す場合には、基礎スキルに加えて、リーダーシップや問題解決能力といったポテンシャルや適性も評価する項目を設定することが重要です。
目的を明確にすることで、設備保全に必要なスキルを効率的に習得でき、結果として設備の稼働率向上や現場の安定性確保につながる効果的な教育計画を立案できます。
必要なスキルを洗い出す
次に、業務に必要なスキルを詳細に洗い出します。業務内容を詳しく調査し、それに関連するスキルを整理します。
厚生労働省の「職業能力評価基準の構成」などを参考にしながら、能力ユニット、能力細目、職務遂行のための基準、必要な知識を体系的に整理します。
スキルを一定のまとまりごとに分類する
洗い出したスキルを分類しましょう。スキルは「共通能力ユニット」と「選択能力ユニット」に分けられます。
共通能力ユニットは、すべての職務に共通する基本的なスキルで、たとえば「コミュニケーション能力」や「問題解決能力」などが含まれます。
一方で選択能力ユニットは、特定の職務に特化したスキルで、「機械操作技術」や「品質管理能力」などが含まれます。
スキルを分類することで、教育計画がより具体的かつ効果的になるでしょう。
【引用元:厚生労働省「職業能力評価基準の構成」】
スキルの評価基準・評価方法を決める
次にスキルの評価基準と評価方法の設定を行いましょう。スキルレベルを明確にし、各レベルに応じた評価基準を設定することで、公正かつ客観的な評価が可能になります。厚生労働省の「レベル区分の目安」が役立ちます。
たとえば「レベル区分の目安」に沿ってスキルのレベルを4段階に分け、レベル1を「担当者として定例的業務を遂行する能力」、レベル4を「企業利益を先導する能力」とするなど、具体的な基準を設けましょう。
【引用元:厚生労働省「職業能力評価基準の構成」】
スキルマップを実際に作成する
最後にこれまでに洗い出したスキルや設定した評価基準を元に、スキルマップを実際に作成します。無料のツールを使用する場合、Excelが適しており、スキル項目の追加や修正が容易で、データの管理や分析もスムーズに行えます。
また、スキルマップと教育訓練計画表を並行して作成することで、スキルの習得状況と教育訓練の進捗を効率的に管理することが可能です。
たとえば、生産管理部門のスキルマップでは、各従業員のスキルレベルを4段階評価で表を作成し、必要な教育訓練を計画表に落とし込むことで、体系的な教育が可能となります。
このように、Excelを活用したスキルマップの作成は、管理と運用の効率化につながるでしょう。
次章では、前述で説明した「必要なスキルを洗い出す」の工程で、具体的にどのようなスキルを洗い出すべきかをご紹介していきます。
設備保全スキルマップを作成する際の必須の知識となりますので、ぜひこのまま読み進めてください。
設備保全に必要なスキルとは
設備保全は、製造業の現場で設備の故障を防ぎ、安定した生産を支えるための業務です。設備が正常に稼働し続けるためには、技術者が高度なスキルを持っていることが求められます。
ここでは、設備保全(スキルマップ)に必要な具体的な以下のスキルについて詳しく解説します。
- 設備保全の業務に対する全般的な理解
- 機械図面や電気図面を読む力
- PLC/シーケンスに関する知識
- 保全する機械の構造に関する理解
- 油圧・空圧・電気に関する知識
- 保全業務で使う工具への理解と技術
- 機械保全技能士などの資格
- 実務を通して得られる経験
- トラブルが起きた時の対応力
設備保全の業務に対する全般的な理解
設備保全を効果的に行うためにはまず業務全般に対する深い理解が必要です。設備保全は、単に設備の修理や点検を行うだけでなく、予防保全や改善活動も含まれます。
また生産計画や工程の理解も重要で、設備保全が生産活動全体にどのような影響を与えるかを理解することで、より効率的な保全計画を立てることが可能です。
機械図面や電気図面を読む力
設備保全において機械図面や電気図面を正確に読み取る力は、故障原因の特定や修理作業の効率化につながります。
機械図面では、設備の構造や部品の配置が示されており、機械図面を理解することで機械のメカニズムを把握できます。
また電気図面では回路の構成や接続関係を理解する必要があります。図面を読み解く能力がなければ、故障箇所の特定が遅れ、さらに誤った修理を行うリスクが高まるので注意が必要です。
PLC/シーケンスに関する知識
PLC(プログラマブルロジックコントローラ)とは、工場などで使われる機械の動作を自動化するために使用される制御装置のことです。
シーケンス制御とは、あらかじめ設定された順序に従って機械や装置を動作させる制御方法を指します。
これら2つに関する知識は、現代の設備保全において重要なスキルです。たとえばPLCのプログラムを確認し、エラーの原因となる箇所を特定してプログラムを修正する能力は、設備の迅速な復旧に欠かせません。
またシーケンス図を理解することで、機器の動作順序や異常発生時の挙動を予測し、事前に対応策を講じることが可能になります。
保全する機械の構造に関する理解
設備保全には保全対象となる機械や装置の構造を深く理解している必要があります。機械の構造を理解することで、どの部品がどのように動作し、どの部分が故障しやすいかを把握できます。
たとえばモーターやベアリング、ギアなどの機械的要素がどのように連動して動作しているのかを知ることで、故障予測や迅速な対応が可能になります。
またメーカーのマニュアルや設計図面を参照しながら、機械の内部構造や操作手順を理解することで、修理や部品交換が正確に行えるようになります。
油圧・空圧・電気に関する知識
設備保全には、油圧・空圧・電気に関する専門的な知識も求められます。油圧・空圧・電気は、製造設備の動力源や制御システムとして広く使用されており、理解が不十分だと、設備の故障原因を適切に特定できず、修理作業が遅れることがあります。
油圧システムでは、圧力や流量の調整、漏れの検知を行うための知識が必要になります。
空圧システムもエア漏れや圧力低下が設備全体の動作に影響を与えるため、適切な点検とメンテナンスのスキルが必要です。
電気系統では、配線や回路図を理解し、電圧・電流の測定や配線の確認ができる能力が求められます。
保全業務で使う工具への理解と技術
保全業務では多種多様な工具や測定器具を使いこなす技術が重要です。たとえばトルクレンチを用いた適切な締め付けや、マイクロメーターでの精密な測定は、設備の正常な動作を保証するために欠かせません。
工具を正しく選び、適切に使用することで、作業の精度や効率が向上し、設備の寿命を延ばすこともできるでしょう。
機械保全技能士などの資格
設備保全の現場では、機械保全技能士や電気工事士といった資格が重宝されます。たとえば機械保全技能士は、機械の修理やメンテナンスに必要な知識と技術を体系的に習得した証として、企業から評価されます。
また電気工事士の資格は、電気系統のメンテナンスやトラブル対応に必須であり、特に電気設備を多く扱う製造業では欠かせない資格です。
実務を通して得られる経験
設備保全のスキルは、資格や知識だけでなく、実務を通じて得られる経験が重要です。実際の現場で多くの故障対応やメンテナンス作業を経験することで、設備のトラブルに対処する能力がつきます。
たとえば同じような故障が繰り返される設備では、過去の経験をもとに迅速な対応が可能となり、設備を利用できない時間を大幅に削減できます。
さらに実務経験を積むことで、特定の設備に対する知見が深まり、予防保全や改善活動にも積極的に取り組めるようになります。
また経験を通じて得たノウハウは、後輩への指導やチーム内での知識共有にも活用できます。
トラブルが起きた時の対応力
設備の故障や不具合は予測不可能なタイミングで発生することが多いためにトラブルに即座に対応できるスキルが重要となります。
たとえば突然の機械停止や電気トラブルが発生した場合、迅速に原因を特定し、応急処置を施すことで、さらなる損害を防げます。また対応力の高さは、現場全体の信頼感を高め、トラブル後の生産の早期復旧にもつながります。
このように、設備保全には様々スキルが必要になり、設備保全スキルマップを作成するには、それらのスキルを項目に追加する必要があります。
次章では、スキルマップを作成する際のポイントや作った後に運用する際のポイントについて詳しく解説していきます。
スキルマップをさらに有効活用するための方法
スキルマップを効果的に活用するためには、いくつかの重要なポイントがあります。その具体的なポイントとして以下の5点を詳しく説明します。
スキル項目を絞る
すべてのスキルを網羅しようとすると、項目が膨大になり管理が困難になるため、スキル項目を絞ります。
製造現場では、各工程ごとに必要な技術がありますが、まずは「品質改善」や「生産管理」のように大まかな分類から始め、徐々に細分化していくことが効果的です。
またスキルの選定には現場社員の意見を反映させることで、実際の業務に即した有用なスキルマップを作成できます。
スキルの定義をあいまいにしない
スキルの定義があいまいだと、スキル管理に失敗するリスクが高まります。製造現場では新しい技術や機械が次々と導入され、求められるスキルも変化します。
スキルを明確に定義しないと、全従業員がスキルに対して共通の認識を持てず、適切な評価や育成ができません。
1回目で完璧な定義を決めるのは難しいため、定期的に見直しながらブラッシュアップしてくと良いでしょう。
5段階評価を用いる
スキルの達成度を評価する際には5段階評価を用いることがおすすめです。
5段階評価は、スキルの習熟度や業務に対する力量を1から5、またはAからEのように評価する方法です。5段階評価により、社員のスキルレベルを定量的に把握でき、強みや弱みの分析が容易になります。
たとえば「1」は初歩的な知識、「5」は指導できるレベルといった基準を設けます。5段階評価を導入することで、組織全体で一貫した評価基準を持ち、透明性のある評価が可能となります。
デジタルツールを活用する
スキルマップの作成と管理にはデジタルツールの活用が効果的です。スキルマップの管理にExcelを使用するケースは多いものの、工数という面で負担がかかります。
- 現場でスキルチェックシートに手書きする
- Excelのフォーマットに転記する
- 新旧のファイルが混在しないように一元管理をする
スマートフォンやタブレットなど、デジタル上で管理ができるスキルマップを活用することで、上記のような負担を軽減することができます。
また、クラウド型の管理ツールなら、リアルタイムでデータを共有・更新でき、スキル管理の効率化が図れます。複数の拠点や部門間での評価基準のばらつきを防げるため評価の一貫性を保ち、データ分析も容易になります。
スキルマップを教育に連携させる
スキルマップを教育に連携させると、より効率的な教育が可能になります。
たとえば、スキルマップを使って全社的に教育が不足している箇所を可視化すれば、そこを集中的に教育する計画を立てられます。
ただ、教育は「マニュアル作成」「座学研修」「OJT」など、大きな労力を伴います。教育訓練体制としては以下のような形を整備すると良いでしょう。
- 業務の基礎知識はeラーニングのように、作業者自身が独自に学べる環境
- 学んだ内容のチェックや補足的な教育で、OJTなどの実地訓練を組み合わせる
このような体制を構築できるツールが、かんたんに動画マニュアルやスキルマップの作成/運用を行える現場教育システム「tebiki」です。次章ではtebikiに関する機能の概要や実際の活用事例をご紹介します。
スキルマップ作成と教育を効率化!動画マニュアルtebikiとは?
「現場教育システム「tebiki」とは、動画マニュアルとスキルマップの活用によって、現場教育を通じた現場改善を支援するツールです。
▼動画マニュアル作成ツール「tebiki」紹介動画▼
以下の6つの特徴があるので、それぞれ詳しく解説していきます。
- スキルマップ作成とマニュアル作成が1つのツールで完結する
- 全拠点/全部門の評価基準が統一できる
- 動画マニュアルを簡単に作成できる
- テスト機能で理解度を把握できる
- 100ヶ国以上の言語に自動翻訳
- 半永久的に続く手厚いサポート
スキルマップ作成とマニュアル作成が1つのツールで完結する
tebikiではスキルマップの作成とマニュアル作成が1つのプラットフォームで完結します。
そのためtebikiにより、スキルの可視化と教育訓練が連携でき、従業員のスキルアップへの効果的なサポートが期待できます。
たとえばスキルマップで特定のスキルが不足していることが分かれば、すぐに対応する動画マニュアルを作成し、そのスキルを補うことが可能です。
全拠点/全部門の評価基準が統一できる
tebikiを使えば全拠点や全部門で評価基準を統一することが可能です。
評価基準を統一することにより、「A拠点では合格だったのに、B拠点では不合格だった」といった評価のばらつきを防げます。統一した評価基準により、公平な人事評価が可能となり、従業員のモチベーションを向上させられるでしょう。
動画マニュアルを簡単に作成できる
tebikiではスマートフォンでの撮影だけで簡単に動画マニュアルが作成できます。
音声認識システムによって自動的に字幕が生成され、さらに100ヶ国語以上の言語に対応した自動翻訳機能も備えているため、外国人スタッフの教育にも適しています。
テスト機能で理解度を把握できる
tebikiには理解度を確認するためのテスト機能が搭載されています。
テスト機能を使えば、従業員がどれだけ動画マニュアルを視聴し、どの程度理解しているかを一目で把握することが可能です。そのためtebikiを使えば、教育の効果を客観的に評価し、必要に応じて再教育を行えるでしょう。
100ヶ国以上の言語に自動翻訳
tebikiは100ヶ国以上の言語に自動翻訳する機能を搭載している点も特徴です。
外国人スタッフにも簡単に理解できるマニュアルを提供できます。言語の壁を越えて、誰もが同じ品質の教育を受けられる環境を整えられます。
半永久的に続く手厚いサポート
tebikiは導入後も手厚いサポートを提供します。
サポート体制が充実しているため、システムの運用がスムーズに行えるだけでなく、新しい機能の追加やアップデートにも柔軟に対応可能です。
tebikiはスキルマップと動画マニュアルを1つのツールの中で作成でき、現場の教育を効率化します。より具体的な機能やプランを知りたい方は、以下より紹介資料をご覧ください。
スキルマップを活用して現場改善を実現しよう【まとめ】
設備保全の現場では技術者のスキルを把握し適切に管理することが、生産効率の向上とトラブル防止につながります。そのために役立つツールが設備保全のスキルマップです。
スキルマップ作成は、まず目的を明確に定めることからはじめ、必要なスキルを洗い出し、分類・整理しましょう。次にスキルの評価基準を設定し、Excelなどのツールを活用してスキルマップを作成しましょう。
設備保全を行うためには全般的な理解、機械図面の読解力、PLCやシーケンス制御の知識、機械構造の理解、油圧・空圧・電気に関する知識、工具の扱い方、関連資格の取得、実務経験、トラブル対応力が必要なスキルとして挙げられます。
さらにスキルマップの効率化を実現するために「tebiki」がおすすめです。tebikiの資料は無料でダウンロード可能ですので、ぜひこの機会にチェックしてみてください。