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食品工場の監査を控えている皆様、監査に向けた準備は順調に進んでいますか? 食品工場における監査は、事前に必要な情報を集め、適切な対策を講じておくことが重要です。
本記事では、監査前に確認すべき無料チェックリストをご用意して、食品工場における監査の重要性を解説します。HACCPにも対応しているチェックリストであるため、ぜひチェックして監査の準備を整えましょう。
HACCP認定審査員などの経歴がある食品衛生のプロが解説する「FSSC22000」については、以下からご覧ください。高い衛生管理を行うための参考にしていただけますと幸いです。
目次
食品工場における「監査」とは
「監査」とは、業務やシステムが適切に運営されているかを確認するための調査のことです。食品工場では、監査を通じて品質や衛生基準が守られているかを定期的に確認し、製品の安全性を保証します。
監査の目的や必要性
食品工場における監査は単なるチェック作業ではなく、企業に数多くのメリットをもたらします。以下に示すのが主な効果です。
- 品質管理の強化
- リスクの早期発見
- トラブルへの対処方法の確立
- 食品衛生法やHACCPとのズレを解消
- 製造工程や管理体制の見直し
- 作業効率化によるコスト削減
- 業務標準化の促進
監査は1回のみでなく、定期的に行いましょう。品質や安全性を継続的に確保し、法令遵守や業務改善を促進できます。
監査の種類や視察のポイント
監査には以下の4つの種類があります。それぞれ実施の目的やチェックポイントが異なります。
自社工場内で実施する内部監査
内部監査では、工場内の従業員が主体となり、HACCPの実施状況や衛生管理の徹底度、トラブル対応体制、製造工程など、さまざまな項目を確認します。これにより、日常業務の中で見落とされがちな課題を洗い出し、改善に役立てられます。
内部監査を効率化するには、内部監査の実施手順を動画マニュアル化して、誰が見ても直感的に理解できるようにすると良いでしょう。食品工場において動画マニュアルは、内部監査以外にも大きな効果をもたらします。
動画マニュアルの導入効果やおすすめツールについては、以下のマンガでわかりやすく解説していますので、こちらも併せてご覧ください。
自社工場と関係のある会社による第二者監査
第二者監査は、自社工場と取引関係のある会社が実施する監査です。主に、取引開始時の確認や取引先の能力向上を目的として行われます。期待した量を予定通りに納品できるかなど、生産体制や品質管理を細かくチェックします。
HACCPやISO監査員による第三者監査
HACCPやISO監査員による第三者監査は、HACCPやISOの認証取得や維持を目的に、外部の専門機関が実施する監査です。外部の視点から、食品の安全性や品質管理が基準に適合しているかを客観的に評価します。
保健所による第三者監査
保健所による監査は、食品衛生法に基づき、食品工場が法律を遵守し適切に運営されているかを確認するものです。違反があれば改善命令や行政指導が行われるため、日頃から基準を満たす体制を築いておく必要があります。
食品工場監査前のチェックリスト
監査前に確認しておきたいポイントをまとめたチェックリストをご紹介します。事前の準備を整えて、万全の体制で監査に臨みましょう。
今回ご紹介するチェックリストは、農林水産省「FCP共通工場監査項目 監査手順書」「FCP共通工場監査項目に関する 要求水準及び監査手法」を参考に作成しました。
品質管理のチェックリスト
食品工場の監査では、現場で記録している品質管理の文書のチェックが行われます。これには記録内容の確認だけでなく、ルールの整備やルールが正しく運用されているか確認も含まれます。
以下の項目が主なチェック対象です。
- 冷蔵庫・冷凍庫の温度記録
- 加熱・冷却時の管理記録
- 保管環境の管理状況
- 不良品・返品ルールの実施状況
- 賞味期限などの表示管理記録
- 水質管理記録
- 防虫・防鼠の管理記録
- マニュアル・手順書の確認
- 異物の検知・除去に関する取り組み記録
- 温度計の校正ルールおよび校正記録
- 機器のメンテナンス・点検記録
- 品質検査記録
忙しい食品工場では、正しくかつ負担をかけずに記録を取れる「記録の電子化」がおすすめです。現場改善ラボでは、はじめて電子化に取り組む方に向けてのガイドブックもご用意しています。以下からぜひご覧ください。
衛生管理のチェックリスト
衛生管理が徹底されているかを確認するため、以下の項目をチェックします。これらのルールが現場で適切に実施されているか、またその証拠となる記録やマニュアルが整備されているかも重要です。
- 工場入室時の個人衛生状況の確認
- 整理整頓ルールの遵守状況
- 入室時の手洗い方法
- 所持品持ち込みに関する制限・ルールの徹底
- 作業服・靴の運用ルールの確認
- 設備や機器、施設の清掃・洗浄状況
- 設備や機器、施設に対する衛生検査の実施状況
- クロスコンタミネーション防止策
- 健康診断や検便の実施記録
- 個人衛生に関するマニュアルの整備状況
- 体調不良者に関するルール
これらの項目を事前に確認し、記録や運用体制を整えておくことで、衛生管理の徹底が図れます。
食品工場でのルールを手順書化するのなら、直感的に理解しやすい「動画形式の作業手順書」の作成が効果的です。導入効果については、以下から『食品製造業における動画マニュアルの活用事例』をご覧ください。
HACCP内部監査前のチェックリスト
HACCPの内部監査を円滑に進めるため、以下の項目を事前に確認しておきましょう。これらのポイントは、衛生管理が適切に実施されているかを評価する重要な指標です。
- 衛生管理計画は作成しているか
- 必要に応じて手順書を作成しているか
- 効果を検証し、計画・手順書を見直しているか
- 危害発生防止への教育しているか
- 工場内は清潔を維持できているか
- 機械・設備は清潔を維持できているか
- ねずみ・昆虫対策を実施しているか
- 廃棄物・排水を適切に処理しているか
- 使用水への水質検査は実施しているか
- 従業員への衛生管理は徹底できているか
- 検食を保存しているか
これらの項目を確認した上で、必要な書類や記録を準備しておくとよいでしょう。
監査員の質問に向けたチェックリスト【責任者用】
監査員からのヒアリング(質問)に備えて、以下の情報を収集します。これらは、消費者視点で安全かつ適切な食品を提供する責任を果たしているかを確認するために行われます。
- 会社の方針、経営理念
- 法令順守の取り組み
- 組織図、職務分掌の確認
- 仕様書(製品仕様書、製造標準書、工程図、手順書など)の整備と更新状況の確認
- コンプライアンス意識の向上に向けた活動
- 関連法規改正による業務ルール見直しの仕組み
- 教育・研修体制
- 監査の実施状況
- 社内外への情報公開
- セキュリティー管理
- トレーサビリティ体制
- 緊急時、クレーム対応の体制
- 取引先との連絡体制
各項目の内容を確認するだけでなく、実施の証明となる文書、掲示物、記録などを提示できるよう準備することも重要です。
監査員の質問に向けたチェックリスト【従業員用】
食品工場の監査では、作業を担当する従業員に対して直接インタビューが行われる場合があります。この際、従業員が正確かつスムーズに答えられるよう、以下のポイントを事前に共有しておきましょう。
- 担当する製造工程の流れを把握しておく
- 決められた手順を正しく説明できるようにする
- どの設備や器具をどの頻度で清掃するのか、具体的に答えられるようにしておく
- 手洗い方法
食品工場監査に対するよくある質問
食品工場の監査に関するよくある質問に回答します。疑問を解消して、監査への体制を整えましょう。
内部監査に資格は必要?
食品工場の内部監査において、資格は必要ありません。
しかし、監査の質を高めるためには、監査員としてのスキルや知識が求められます。例えば、HACCPやISO22000に基づく内部監査を行う場合、これらの基準をよく知る従業員が担当すると良いでしょう。
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食品工場において監査はどのくらいかかる?
農林水産省「II. 工場監査の実態に関する調査検討の結果」によると、食品工場の監査にかかる期間の一般的な目安は半日~1日です。
ただし、監査の種類や工場の規模、監査対象の範囲によっても異なります。監査をスムーズに進めるには、必要な書類をすぐ提示できるよう準備しておくと良いでしょう。
監査に強くなるには?
監査に強くなるためには、事前に記録をまとめておくことが重要です。
記録をまとめる際には、ルールに基づいて管理されていることを示す文書や、証拠となる写真・データも添えると効果的です。また、記録を整理するだけでなく、従業員間で共有し、監査時にスムーズに対応できるように準備しておきましょう。
記録帳簿で準備しておくべきものは?
準備すべき記録帳簿の具体例は以下の通りです。これらを事前に整理し、いつでも提示できる状態にしておくことが監査をスムーズに進めるポイントです。
- 冷蔵庫・冷凍庫の温度記録
- 加熱・冷却時の管理記録
- 賞味期限などの表示管理記録
- 水質管理記録
- 防虫・防鼠の管理記録
- 異物の検知・除去に関する取り組み記録
- 温度計の校正ルールおよび校正記録
- 機器のメンテナンス・点検記録
- 品質検査記録
- 工場入室時の個人衛生状況
また、これらの帳簿をデジタル化しておくと検索や共有が容易になり、さらなる効率化につながります。
とくに「デジタル現場帳簿tebiki」は、現場帳簿の作成、記録、管理を簡単かつスムーズに行えるツールです。さらに、蓄積されたデータの集計・可視化や分析もボタン一つで手軽に行えます。
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まとめ
食品工場において監査とは、品質や衛生基準が守られているかを定期的に確認し、製品の安全性を保証することです。監査には、自社工場内で実施する内部監査、自社工場と関係のある会社による第二者監査、HACCPやISO監査員、保健所による第三者監査があります。
監査前には、書類や記録を整理し、いつでも提示できる状態に整えることが必要です。記録をデジタル化しておくことで、検索や共有の効率が大幅に向上します。
とくに「デジタル現場帳簿tebiki」は、手軽に使える点が魅力のツールです。帳簿の作成・管理はもちろん、リアルタイムでの異常検知やデータ改ざん防止機能も備えています。
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