改正会社法や電子帳簿保存法の改正がきっかけとなり、ペーパーレス化を始める企業が増加しました。しかし、どのように電子媒体に移行していけばいいかわからないと悩んでいる方も多いでしょう。
この記事ではペーパーレス化の利点について詳しく解説します。また、注目されている背景や導入のコツ、オススメのツールなども紹介するので、電子媒体への移行やDXに関心がある方は是非最後までご覧ください。
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目次
ペーパーレス化とは?なぜ必要?推進されている背景も解説
ペーパーレス化について深く理解するために、まずは概要や必要性、推進されている背景を解説します。
ペーパーレス化=紙媒体をデジタル化して活用すること
ペーパーレス化とは、紙媒体をデジタル化して活用することです。
プリントしていたものを電子化することで、紙やインク代などのコスト節減を行えるだけではなく、情報をデータ化することで仕事の能率がアップしたり、オフィスのスペースを有効活用できたりというベネフィットも期待できます。
ペーパーレス化が注目されている背景
電子媒体への移行が注目されている主な理由は、以下の3点です。
法律の改正
2021年3月1日に「改正会社法」が施行され、株主総会関連資料の電子送付が義務化されたことで、紙の節減が大きく注目されました。また、2022年1月に改正された「電子帳簿保存法」では、電子保存する際の税務署への申請が不要になったため、多くの企業が紙媒体を抑えはじめるようになりました。
働き方の変化
働き方が大きく変化したことも、紙の節減が注目された要因の1つです。
2019年にコロナ禍が始まり、徐々にテレワークやフレックスタイム制などの働き方が浸透してきました。そのため、時間や場所に縛られずに仕事を進めるために、パソコンやタブレットで情報共有をする企業が増えたこともペーパーレス化を後押しする要因です。
DXの推進
データを使って新しい価値を創出するための取り組みである「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が推進されていることも、ペーパーレス化が進んでいる要因です。中でも2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」では、デジタル変革が遅れることで年12兆円もの経済損失が生じる可能性があると指摘されました。この報告を受け、多くの企業が積極的にDXの実施に取り組み始めました。
引用元:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」
ペーパーレス化の現状と進まない理由
「ペーパーレス化を自社でも進めたい」とお考えの企業も多い一方で、なかなかペーパーレス化が進まず苦戦している企業も多いのではないでしょうか。
そこで、ペーパーレス化をとりまく現状と進まない理由について解説します。
ペーパーレス化の現状
株式会社シー・コネクトがペーパーレス化の実態を調べるべく5万700社の企業を対象に行ったアンケート調査によると、現在57.1%の企業が紙媒体を抑えてペーパーレス化を進める必要性を認識しています。
しかし、実際にペーパーレス化を行っている企業は全体の27.6%にとどまり、約7割の企業がこの取り組みを進められていません。
紙の節減を遅らせている主な理由として、「セキュリティ面の不安」や「慣れない作業での作業能率低下」といった回答数が多く、このような課題がペーパーレス化を進めるうえで大きな障壁となる場合が多いようです。
引用元:株式会社シー・コネクト「2021年度を振り返って”ペーパーレス化”は現状どうなっているのか。インク革命.COMがペーパーレス化の実態調査を実施!」
ペーパーレス化が進まない理由
ペーパーレス化を推進するうえで、以下の2点が大きな課題となります。
どの書類をペーパーレス化すればよいかわからない
会議資料やデータ保管用の資料、顧客提出用の資料など、仕事では広範囲にわたって紙が利用されています。そのため、どの資料から改善すると能率がよいかを見極めることは困難です。すべての資料を同時にデータ化することも難しいため、プロジェクトを開始できないと考えている企業も多いでしょう。
特に、大企業になるとどの部署でどのような資料があるかを把握するだけでも膨大な手間がかかるため、データ化する資料を選定することが大きな障壁となっています。
使っている紙媒体が多く着手が大変
業務を膨大な量の紙媒体を用いながら進めている職場では、「紙の節減に取り掛かるのが大変」という問題があります。申請書や会議資料など、日々数十枚の資料をプリントしている企業では、すべての資料をデジタル化するためには相当な時間と労力が必要になります。
そのため、ペーパーレス化の必要性を認識しながらも、具体的な行動を行えていない職場も少なくありません。
どんな書類がペーパーレス化に向いている?
紙媒体から電子媒体へ移行をする際は、以下の資料から着手するのがおすすめです。
- 申請書・稟議書
- 帳票
- 会議資料
- マニュアルや作業手順書
- 名刺
- カタログやパンフレット
申請書・稟議書
社内で使われる申請書・稟議書は、電子媒体へ移行しやすい資料の1つです。これらの資料は限られた部門でのみ使用されることが多く、関わる人数が少ないため電子媒体への移行がスムーズに進められます。
さらに、申請関係の資料をデジタル化するシステムが豊富にあるため、システムが導入しやすいという特徴もあります。申請書・稟議書のペーパーレス化は、他部門・他拠点に郵送する手間をなくせるうえに、やり取りのスピード感を上げられるため、多くの企業でベネフィットを感じられるでしょう。
帳票
取引先や顧客などで使われる資料である帳票も、電子媒体へ移行しやすい資料です。電子帳簿保存法が改定され、電子データで受領した帳票は原則電子データとして保存することになりました。この法改正を受け、数多くの企業から電子帳票サービスが提供され始めたため、帳簿の電子媒体への移行が容易になりました。
帳簿をデジタル化することで、保管に必要な物理的なスペースが節減できるだけでなく、スムーズに意思決定が行えるようになります。そのため、在宅勤務や出張が多い企業では、帳票のデジタル化で仕事の能率が大幅にアップするでしょう。
帳票の概要や、より詳細な帳票のペーパーレスによるメリットについては以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
関連記事:帳票をわかりやすく解説!種類や管理方法、電子化の必要性は?
会議資料
社内会議やチームでのミーティングで使う資料も、電子媒体へ移行しやすい資料の1つです。従来は会議のたびに参加者全員分の資料を印刷・配布することが一般的でしたが、ペーパーレス化により、これらの資料をデジタル形式で共有することが可能になります。これにより、配布にかかる手間と時間が大幅に節減できるでしょう。
さらに、資料をデジタル化しておくことで、会議参加者の人数に変更があった場合でも、迅速に対応できるという利点もあります。
マニュアルや作業手順書
新人教育や業務改善に使われるマニュアル・作業手順書も、電子媒体へ移行しやすい資料の1つです。これらの資料は更新することが多いため、紙やインクのコストが膨大になっている企業もあります。
そのため、マニュアルや作業手順書をデータ化してタブレットやパソコンで閲覧できるようにすることで、印刷にかかるコストを大幅に節減できるでしょう。コスト節減だけでなく、検索機能を使って迅速に資料を見つけられるようになる、更新が容易になるといった利点もあります。
名刺
名刺のデジタル化は、仕事の能率アップに役立ちます。紙の名刺は各個人が管理しているため、データ化して顧客情報を一元化することで、営業やクレーム対応などの仕事の能率がアップするでしょう。
最近はスマートフォンで撮影した名刺を自動的にテキストデータに変換してくれるアプリがあるため、短時間でペーパーレス化を試したい方は名刺から始めるのがおすすめです。
カタログやパンフレット
製品カタログや会社パンフレットも、電子媒体へ移行しやすい資料です。これらの資料はPDFなどのデータで共有しておくことで、営業訪問時にパソコンやタブレットで簡単に閲覧できるようになります。
さらに、常に最新版を共有しておけるため、情報が更新されるたびに印刷し直しする必要がないという利点もあります。
ペーパーレス化の成功事例
実際に、ペーパーレス化に成功している事例を3つ紹介します。
社会医療法人明和会
社会医療法人明和会は、秋田県にあるリハビリテーション専門病院です。
従来、退勤管理には資料やExcelを利用し、月に数百枚の報告書を手作業で入力していました。ですが、入力ミスや給与システムと人事システム間の二重入力といった問題が発生していたため、ペーパーレス化を実施しました。
具体的には、ICカードを使用した打刻管理システムの導入により入力ミスや二重入力といった問題が解決し、結果として給与処理にかかる時間を年間1,200時間以上削減できています。
長野県長野市
長野県長野市は、会議資料の印刷や配布に大きな時間を取られていたり、資料を保管するスペースを圧迫していたりという問題を抱えていました。
この問題に対処するため、市はペーパーレス化を実施。会議室にはノートパソコンと大型ディスプレイを設置し、画面共有できるようすることで、資料の印刷や配布にかかる時間を大幅に節減しました。また、ポイントを押さえたプレゼン資料で会議を行うことで、短時間で効果的な議論ができるようになりました。
アサヒ飲料株式会社
アサヒ飲料株式会社は、カルピスやウィルキンソンなどを製造している企業です。同社では、作業手順書の作成に時間を取られてしまうという課題を抱えており、実際に1つの作業を手順書化するのに3時間~10時間、一連の工程の手順書の整備には数日かかっていたため、ペーパーレス化を実施しました。
具体的な手順として、作業手順書を動画マニュアル化したところ、作成時間が1/3になり、シンプルな作業手順書は30分程度で作成できるようになりました。
引用元:OJTや手順書作成工数を大幅に削減!熟練者の暗黙知も動画で形式知化
ペーパーレス化のメリット/デメリット
ペーパーレス化を進める際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
メリット
利点は以下の4つです。
コスト削減
紙媒体を減らすことで、インク代や紙代などのコストを節減できます。
また、資料を保管するための場所代・ファイル代などのファシリティコストや、印刷するために必要な時間・労力といった人的コストなどのコスト節減も期待できます。
セキュリティ強化
紙媒体を減らす利点の1つが、セキュリティ強化です。データ化することで、資料を回し読みしているうちに紛失するといった事態を避けることができます。また、資料にパスワードやアクセス権限を設けることで、社外秘の情報が漏洩するリスクも防げます。
ただ、ITリテラシーを持っていないと、強固なセキュリティを構築できません。最悪の場合、社外秘の情報がネット上に流出してしまう可能性もあるので、従業員へのIT教育が必要になります。
管理工数の削減
ペーパーレス化を行うと、簡単に更新作業を終えられるため管理工数が節減できます。また、印刷する資料を抑えることで、社内のデータを管理する手間が大幅に減らせるという利点もあります。
業務効率の向上
ペーパーレス化には、仕事の能率が向上するという利点もあります。
資料だと必要なマニュアルを探すのに時間がかかりますが、データの場合は検索機能が使えるため、すぐに必要なマニュアルが見つかります。そのため、資料を探すことが多い職場では、ペーパーレス化によって日々の仕事の能率が大幅にアップするでしょう。
また、申請書をデータ化すると承認・レビュー・管理などの仕事も能率化できるため、部署ごとのやり取りもスムーズになります。それ以外にも、印刷の手間が省ける・各種稟議がオンライン上で行える、複数人で閲覧できるなど、数多くの利点があります。
デメリット
デメリットは以下の2つです。
使いこなすのに時間がかかる
紙媒体を電子媒体に移行する際、新しいシステムやツールの習得が必要になります。習得には時間がかかるため、ITスキルに自信がない方は、操作に慣れるまで仕事の能率が落ちてしまうかもしれません。
特に、年配の方はパソコンやスマートフォンの操作に不慣れな方も多く、システムやツールの導入に抵抗感をおぼえる可能性もあります。
導入コストがかかる
紙の節減を行う際には、ツール使用料やタブレット端末購入費用など、システム導入のための初期投資が不可欠です。資料を減らすことで紙代やインク代などのコスト節減が見込めるため、長期的には大幅なコスト節減が期待できますが、初期コストが必要になるため、予算に応じた施策を考えることが重要です。
ペーパーレス化を推進する方法は?進め方とコツ
紙媒体を減らすためにペーパーレス化を推進する方法とコツは以下の通りです。
- スモールスタートで着手する
- プロジェクトとして責任者を決め周知する
- ペーパーレス化の対象を洗い出す
- ペーパーレス化に使うツールを洗い出す
- ペーパーレス化を実行する
- ペーパーレス化の効果を可視化し社内共有する
- ペーパーレス化を仕組化し、マニュアルを整備する
スモールスタートで着手する
電子媒体への移行は、小さいところから取り組むのがおすすめです。
会議用の資料・稟議書・名刺など、社内にはたくさんの紙媒体があるため、一度にすべての紙媒体をデータ化することは不可能です。
そのため、取り組みやすいものから始めるようにしましょう。例えば、営業部門から改善を始めようと考えている場合は、名刺やパンフレットなどの営業で使うものを選択するのがおすすめです。よく使っている紙媒体から始めることで、紙節減のベネフィットや問題点を把握しやすくなります。
プロジェクトとして責任者を決め周知する
ペーパーレス化に取り組む前に、必ずプロジェクトの責任者を決めましょう。
全社に関わる紙媒体を節減する際は、多くの部署の人を巻き込んだプロジェクトになるため、問題が起きたときのために責任者を決めておくことが重要です。責任の所在を決めておくことで、問題が発生した時の対応がスムーズになります。
ペーパーレス化の対象を洗い出す
紙の節減を成功させるためには、まず社内で紙ベースで行われている仕事を徹底的に洗い出すことが重要です。もし、手入力を行っていることでミスが発生しているようなら、その仕事を改善するのが先決といえるでしょう。
プリントしている資料を0にすることを目標にしている場合でも、まずはベネフィットを感じやすい仕事から取り組むのがおすすめです。費用対効果が高い仕事から取り組むことで、問題点や課題が明確になります。
ペーパーレス化に使うツールを洗い出す
節減する紙媒体が決定したら、その仕事に最適なツールを選びましょう。
電子化を進めるためには業務改善ツールを使う必要がありますが、仕事内容によって最適なツールが異なります。例えば、経理の仕事を改善する場合は経理に特化したツールを、現場作業を改善する場合は現場仕事に特化したツールを使うのが好ましいです。そのため、改善内容や予算、利用したい機能などに応じて、どのツールを使うかを選定してみましょう。
特に、帳票のペーパーレス化には「帳票ツール」がおすすめです。主な機能や種類、選定のポイントについて以下の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:帳票ツールとは?帳票の概要や機能、選定のポイントを解説!
ペーパーレス化を実行する
ツールの選定が終了したら、プロジェクトの予算とスケジュールを策定し、ペーパーレス化を実際に進めましょう。
資料をデジタル化する中で予想外の問題が発生する可能性もあるため、計画には適度な余裕を設けることがおすすめです。予算を決める際は、システムの使用料だけでなく、社内教育やサポート費用なども考慮しておきましょう。
ペーパーレス化の効果を可視化し社内共有する
紙節減のプロジェクトを開始したら、そのベネフィットを定量的に測定し、結果を社内で共有することが重要です。
実際に節減できたコスト(紙代・インク代・資料配布にかかる時間など)を明確に示すことで、社内にペーパーレス化のベネフィットを伝えられます。
ペーパーレス化を仕組化し、マニュアルを整備する
紙節減のプロジェクトを進める際は、組織化やマニュアル整備を行うことが重要です。
予期せぬ問題が発生したときに迅速に対応できるよう、データの保存場所や共有方法など、社内規定を決めておきましょう。また、社外秘の情報が流出しないように、セキュリティ対策や注意事項なども周知しておくことが大切です。
製造業などの現場産業におけるペーパーレス化におすすめのツール/システム
製造業などの現場産業で電子媒体への移行を考えている方は、以下のツールやシステムを使うのがおすすめです。
動画マニュアル「tebiki」
「tebiki」は、動画マニュアルを簡単に作成できるクラウドサービスです。紙のマニュアルでは伝わりにくいカン・コツを動画で可視化できるようになるため、仕事の理解や作業能率が大幅に向上します。製造・物流・小売など、さまざまな業界で導入されているため、どのサービスを利用すればいいかわからない方にもおすすめです。
tebiki導入のメリット
動画マニュアル「tebiki」は、OJTで教えている内容をスマートフォンで撮影するだけで動画マニュアルが作成できるため、短時間でペーパーレス化を行えます。また、100ヶ国以上の言語に対応した自動翻訳機能が搭載されているため、外国人スタッフが多い職場でもスムーズに導入できます。
マニュアル作成機能以外にも、習熟度やアクセス数をグラフで表示する機能も備わっているため、新人教育や仕事の質を上げたい企業にもおすすめです。
デジタル現場帳票「tebiki現場分析」
「tebiki現場分析」は、現場帳票の作成・記録・承認・分析が簡単に行えるデジタル帳票ツールです。
紙では難しかった画像の記録や、遠隔地・リアルタイムでの記録確認も可能になります。また、帳票の新規作成や改版時でも、クラウド上でこの内容で帳票を公開してよいかの申請と承認ができます。記録ごとの承認のほか、自分が承認者となっている記録を一括して選択し、承認も可能なので、帳票にかかる時間を大幅に削減できるでしょう。
tebiki現場分析導入のメリット
「tebiki現場分析」を導入することで、仕事の能率がアップします。
例えば、異常が発生した場合にアラートで知らせてくれるため、現場にいなくても異常値をすぐに把握できます。直感的に操作できるデザインなので、ITスキルがない方でもストレスなく帳票を作成できるというのも利点の1つです。
また「tebiki現場分析」では、専門のスタッフとの定期ミーティングで進捗を確認するため、質問や問題点をすぐに解決できます。どの現場から改善すればよいのか、どのような計画を立てたら無理なく着実に計画を進められるのか、というような悩みも解決できるため、1からペーパーレス化を行う企業にもおすすめです。
まとめ
この記事では、ペーパーレス化の利点や導入のコツを紹介しました。社内の情報をデータ化することで、コスト節減や仕事の能率向上が期待できます。法改正によりデジタル変革が急激に進んでいるため、仕事の能率を上げたい方は早いうちから電子媒体への移行を検討してみましょう。
他にも、特に製造現場におすすめなペーパーレス化ツールとして、動画マニュアル「tebiki」やデジタル帳票ツール「tebiki現場分析」もご紹介しました。
工場のDXや業務効率化をペーパーレス化を通して実現されたい方におすすめツールとなっておりますので、ご興味のある方は是非資料をダウンロードしてみてください。