現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 専門家コラム カイゼン思考の土台づくり『チームの自律を促すため、責任をとる覚悟と指導力の両立』
株式会社エフェクト 石井様

▼執筆者

株式会社エフェクト 代表取締役
石井 住枝 氏

チームマネジメントにおいて、改善思考のリーダーは、問題の本質を見極め、改善のアイデアを仕組み化するアイデアを形にして、問題解決を進めていきますが、チームメンバーが自発的に行動するためには、リーダーの覚悟が伝わらない、なかなか思うようには動いてくれないのものです。

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チームマネジメントにおける改善思考

チームマネジメントの改善思考において、リーダーは問題の本質を見極め、改善のアイデアを仕組み化します。その際、いかにして、改善の発想を膨らました意見がメンバーから出るようにするには、どのようにすればよいのでしょうか?

改善思考で問題を解決するとき、まずは問題の捉え方を理解しておくと、問題を発見しやすくなります。問題を区分けしてみると、問題の発見力が上がりやすくなります。そのためには、メンバーの考える方向性をあわせていくことがコツです。具体的には、自らの職場を〇〇の快適な職場にしたい等、理想の職場像を描くことが重要です。

その上で、今の現場の状況を確認し、理想と現実のギャップを問題点と捉えましょう。そして、どのようにすれば理想に近づけるのか?を課題として、改善するためにどうしたらいいのかと改善策をメンバー全員で知恵を絞って考え、メンバーから出てきた改善策を実行することが、問題解決となります。

問題解決を進める3つのポイント

問題解決には、この問題点を明確にすること、つまり分解してみると分かりやすくなります。問題と感じる時は、理想と異なったいくつかの点を一度に解決しようと思うことがよくあります。

例えば「この作業は面倒で手間がかかるなぁ」という愚痴があれば、それが改善活動のスタート、第一歩です。

ある職場の事例を紹介します。A社の職場では、部品の運搬が面倒だという声がありました。詳しく聞くと、何度も離れた倉庫へ何度も行き来しながら、部品を集めているということで、この面倒さを減らしたいとのことでした。

倉庫が遠く、何度も取りに行くので時間がかかってしまい、仕掛中の仕事に遅れやミスが発生する現状がありました。このテーマを3つのポイントで紐解いてみたいと思います。

このまま改善されないとどうなる?

1つ目のポイントは「もし、このまま改善されないとどうなるか」を考えます

具体的には、倉庫が遠いままで何度も行ったり来たりし、作業に遅れやミスが発生している事が日常化しているならば、どういったことが起こるか書き出します。

変わらないまま続けば、面倒だ、苦痛、不平不満が蓄積されてます。不満が蓄積されれば、仕方がなく行う、考えない作業となります。これが重なれば、職場のモチベーションが下がるばかりです。

改善すると職場はどう変わる?

2つ目のポイントは「もし改善されれば、職場はどう変わりますか?」という視点を持つことです

改善が実施され、倉庫と職場の距離や役目を変えることができたならば、必要な時に必要な部品を倉庫に取りに行かなくても済みます。すぐに取り出すことができれば、作業者の歩く距離も減り、面倒という感情が少なくなります。

不平不満が少なくなった職場ではムダが減り、作業に集中できるので、作業効率や品質の向上につながりました。そして、ムダが減った余裕時間は別のことに活用することができたのです。

なぜ今まで改善がされなかったのか?

3つ目のポイントは「なぜ今まで改善がされなかったのか」の視点で考えることです

改善が実践されれば、こんなにも楽になるのに、なぜ今までその作業が改善されなかったかを考えます。この「なぜ」で考える深掘りでは、職場の体質的なものが浮き上がってきます。つまり、改善すべき具体的な実施内容、職場の体質改善の根っこにあるものを明確にします。

この3つの視点から課題を明確にしていきます。改善思考のリーダーは、表面に見えている問題を解決するだけでは応急処置、つまり対処になってしまいます。対処でなく、問題解決をするためには、この3つの視点で問題を紐解いてから進める事がリーダーに求められています。とはいえ、すぐに応急処置が必要な時もあると思います。

例えば「水道管が破損してしまい水が溢れている」「ぶつかって作業者がケガをしている」そんな時には、早急な応急処置が必要になると思います。その次に、問題を解決すべきステージにおいては、先程の3つ視点で、起きている問題を見極めて問題を分解し、改善策を抽出し順番に進めていきます。

今、どんな問題があり、作業者が困っている問題を取り上げて、そこにはどんな問題が潜んでいるのか?それぞれ問題を分解し、改善策にも優先順位を決めて進めていく事が大切です。

また3つ目に上げた要因分析、なぜなぜ分析ですが、今起きている問題の根っこを深掘りして、職場の体質改善を行うと問題の根本要因から解決できるので、似たような問題の再発防止に繋がります。

これら3つの視点で問題を分解して、それぞれに見えてきた課題に優先順位をつけて、あとはプロジェクトを作って進める計画をそれぞれの役割分担とスケジュールに落とし込んで進めていきます。

なぜ改善が必要か?という意識を合わせる

改善プロジェクトを推進する時に大切なことは、なぜこのテーマを改善する必要があるのかの意識を合わせることです。それは改善しないまま、変わらないままであるときのデメリットを共有することです。

改善を進めるからこそ、改善しない時のデメリットを共有して、チーム全員で改善すべきゴールへ気持ちを合わせて進めることができます。つまり、なぜこの改善を進めていかねばならないのか、ここの意思統一が非常に大切なのです。

できれば、改善実施後に報告できる機会を作ることで改善のスピードが加速します。期日がないと、改善はなかなか進みませんし、モチベーションをキープしていくのが非常に難しくなります

とはいえ、もし期限までに目標が達成できないこともありますが、その際はその達成できなかった問題を改善、チャレンジ目標として新たな計画を立て直せればいいのです。なぜ予定通りに計画が進まなかったかを検証することが大事です。

もちろん、期限内に改善が進み結果がでることは大切ですが、それ以上に大切なことは検証することです。

なぜ予定通りに計画が進まなかったかを検証することで、もともとムリな計画だったのか、現状把握など想定以上に時間がかかってしまった等、見積もりの甘さ等、予定通りに進まなかった本当の理由を顕在化させることが大切なのです。

現場での作業で、どのようにすれば自発的に問題を見つけて改善が進む職場にできるのかは、何のために改善をするのか?改善が進めば自ら働く作業現場が快適になると納得できるように話し合うことです。改善はトップダウンではなく、現場からボトムアップの活動ですが、顕在化した改善策は必ず反映させるという上司の覚悟と実行が大切です

問題発見は愚痴からスタートです。愚痴がでる職場は改善する箇所があるということです。その愚痴を意見に変換し、どうしたらその意見が改善できるのか、一緒に知恵を絞って改善策を考えて実践する、ここが始まりです。

どんどん改善が進む職場は、上司が現場と対話し、向き合っている職場です。従来のやり方、マニュアルありきではなく、今の仕事の進め方に疑問を持ち、どうしたらもっと快適で作業効率を高くし、品質が高いと誇りをもって仕事ができる職場にしたいと考えている職場です。

改善は楽する技術とお伝えしていますが、それは働く人環境が快適になり、効率も品質も向上している職場に進化し続ける事ができる技術でもあります。

職場で働く人が自ら問題発見して、改善がどんどん進んでいくことができるためには、上司の覚悟が重要です。現場の問題点を一緒に考えて、改善し、トライして、さらに快適な職場にするためには、どうすればいいのかを一緒に知恵を絞って考え、自らの足で現場を確認し、問題解決を進めていきます。そして、問題解決のステップも検証しながら、もっといい方法はないかと、さらなる改善のステップを進めていくことこそが、改善思考のベースでもあります。

ぜひ、どんどんトライして、失敗ではなく、次への布石としてカイゼンを進め続けていただければと思います。

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