「自社の業務を改善したいけれどどうすればいいかわからない」「改善点はわかっているけれど、提案の仕方がわからない」「改善提案という用語を詳しく知りたい」といった悩みや疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
改善提案とは、組織の業績向上や労働環境の改善を目的としたアイデアを提案することです。
この記事では、改善提案のネタの探し方や書き方、工場や事務職、営業などの職種で役立つ具体的な事例から改善提案を見つける方法のほか、効果的な改善提案書の作成方法や例文も紹介します。
組織や職場での改善提案の力を最大限に活用し、より良い職場環境を創り出すためのヒントが満載のため、改善提案を実践できるアイデアやノウハウを学びましょう。
目次
改善提案とは?その目的
改善提案とは、組織や職場の業績向上や労働環境改善を目的としたアイデアや意見を提案することです。
その目的は、組織全体の効率化や問題解決、さらには社員のモチベーション向上や働きやすい環境の構築に貢献することにあります。
例えば、製造業の工場において、ある従業員が機械のメンテナンス方法について改善提案を行ったとしましょう。従業員が自らの経験や知識をいかして問題を解決することで、従来の方法では見落とされがちな改善点が発見され、機械の故障率の低下や、生産効率の向上が見込めます。
また、改善提案は社員の意識改革にもつながります。社員が自らの業務を見直し、改善点を見つけ出すことで、問題意識を持ち、組織全体として向上心を持つようになります。改善提案を通じて自らの成果や貢献が評価されることで、モチベーションが向上し、さらなる改善への意欲が湧くでしょう。
さらに、提案を受けた上司や他の従業員が意見を交換し、協力して改善策を実施することで、従業員同士が共通の目標に向かって協力し合う機会が生まれ、組織内のコミュニケーションの活発化も期待できます。
これらの理由により、改善提案は組織や職場の業績向上や労働環境改善を目指すだけでなく、社員の意識改革やコミュニケーションの活性化も期待できる仕組みだと言えます。
関連記事:改善につなげる『なぜなぜ分析の進め方』|鉄則や落とし穴、事例を解説!
改善提案のネタの業種別事例
改善提案をする上で、業種別にネタの事例を紹介しましょう。
- 工場
- 事務職
- 営業
それぞれ紹介します。
工場
工場での改善提案は、生産過程や作業環境の改善に大きな役割を果たします。工場では主に次の7項目が問題になります。
- 品質
- 省エネ
- コスト削減
- 安全
- 倉庫
- 5S
- 女性の労働環境
それぞれ事例から具体的な提案方法を紹介します。
品質
品質改善の提案により品質が向上すると、製品自体に信頼性が生まれるだけでなく、顧客満足度がアップしリピート購入や新規顧客獲得につながります。
具体的な例として、ある自動車製造工場の従業員が、製造ラインの中で見つけた小さな欠陥に対する改善提案を行ったとします。従業員が特定の部品の組み立て時に、微細な亀裂が発生することを発見しました。「この亀裂が原因で、製品の長期的な耐久性に影響を与える可能性がある」と考え、彼は組み立て工程を見直し、部品の取り扱い方法を改善することを提案しました。改善提案が採用された結果、製造過程での部品の破損が大幅に減少し、製品の全体的な品質が向上しました。
例で解説したように、工場での改善提案は、製品品質の向上だけでなく、企業のブランド価値や顧客満足度の向上にも貢献するでしょう。従業員一人ひとりが改善提案を行うことで、組織全体としての品質向上を実現し、顧客により優れた製品を提供することが可能となります。
省エネ
省エネは、企業にとって重要な課題であり、CO2排出量を減らすことでカーボンニュートラルの実現や環境保護、環境負荷の削減が期待できます。また、省エネによって、エネルギー費が削減されることで、副次的な効果としてコスト削減になり、企業の利益向上にもつながるでしょう。
例えば、工場内の照明をLEDに変更することで、消費電力を削減し、電気代を節約できるほか、生産ラインの稼働時間を見直し、非稼働時間を最小限に抑えることで、ムダなエネルギー消費を減らすことが可能です。
コスト削減
コストを削減することで、企業はより効率的に業務を遂行し、市場での競争力を高められるため、企業の利益向上や競争力強化に直結します。
例として、生産工程の効率化により、製品の製造コストを削減できるほか、原材料の調達方法を見直し、一括購入や長期契約を締結することで、購入コストを抑えることが可能です。
安全
安全性の向上は、従業員の働きやすさや企業の信頼性にも寄与します。なぜなら、安全な職場環境を提供することで、従業員の労働意欲や生産性向上によるポカミスの減少や、事故による生産停止や損失のリスクを軽減できるからです。
例えば、安全教育やトレーニングの充実を通じて、従業員の安全意識を高めることが可能です。そのほか、機械や設備の定期的な点検やメンテナンスを行い、故障や事故のリスクを低減できます。
現場の安全第一を実現するために求められる考え方について、元労働基準監督署署長が『安全管理のあり方』を解説する動画を公開しているので、併せてご覧ください。
倉庫
適切な在庫管理など倉庫管理の改善を行うことで、在庫の過剰や不足を防ぎ、必要な商品が適切なタイミングで供給できるため、在庫管理の効率化やコスト削減につながります。
例えば、倉庫内のレイアウトを見直し、商品の保管場所を最適化することで、ピッキング作業の効率が向上するほか、在庫管理システムを導入することで、在庫の状況をリアルタイムで把握し、適切な在庫量を確保できるでしょう。
5S
5Sは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の5つの原則からなる作業環境の改善手法です。5Sの実践は、作業効率が向上や事故のリスクが減少により効率的な業務遂行や安全な職場環境の確保につながります。例えば、工具や機械の定位置を決め、使用後に必ず元の場所に戻すことで、作業効率が向上します。また、定期的な清掃活動を行い、職場の清潔さを保つことで、従業員の働きやすさや生産性の向上が期待できます。
しかし、5S活動の重要性は理解していて実際に取り組んでいるにも関わらず、効果を得られにくかったり失敗に終わっている企業も多いです。中には「具体的にどうやって行えば良いか分からない」とお悩みの方も多くいらっしゃいます。
そこで、現場改善ラボでは数々の企業で5S改革を行ってきた、株式会社ヒューマン・ナレッヂの代表取締役である前田 康秀氏による、現場で実践できる「正しい5S活動」の解説動画を無料で視聴できます。ぜひ本記事と併せてご参照ください。
女性の労働環境
女性の労働環境の改善は、企業の多様性や働きやすさの向上に貢献します。理由としては、女性が働きやすい環境を整えることで、女性従業員の採用や定着が促進され、企業の人材活用が向上するからです。
例として、女性向けのトイレや更衣室の設置、勤務時間の柔軟化、産休・育休制度の充実などが挙げられます。また、女性が活躍できる職場環境を整えることで、多様な視点やアイデアが集まり、企業のイノベーションが促進されます。
事務職
事務職では、次の3つが重要な改善提案の対象となります。
- 効率化
- ムダの削減
- 整理整頓
3つの改善が進むことで、業務の効率が向上し、企業全体の生産性が高まるでしょう。
効率化
事務職において効率化を図ることは、時間を節約し、より多くのタスクをこなすことができるため重要です。
効率化の一例として、A社では、経理担当者が従業員の労働時間計算を手動で行っていたため、多くの時間が浪費されていました。しかし、エクセルマクロを導入して作業を自動化することで、記入ミスを防止しました。結果として、年間約50万円のコスト削減に成功しました。
事例のように、事務職では効率化を図ることで業務の質を向上させることが可能です。
ムダの削減
ムダな作業を減らすことでより重要な業務に集中できるため、ムダを省くことは事務職において重要です。例として、ムダな作業を減らすことで重要な業務に集中できる環境を整えたB社のケースを考えてみましょう。
B社では、女性社員が全社員分のお茶を入れるのに20分を費やしていましたが、お茶は飲みたい人が自分で入れるルールに変更。結果として、女性社員は自分の業務に時間を回せるようになりました。
事例のように、ムダな業務を削減することで、事務職の効率を向上させることが可能です。ムダを削減する視点として、トヨタ生産方式における『7つのムダ』が参考になるので、こちらもご覧ください。
関連記事:【トヨタ式】7つのムダとは?具体例を交えてムダを解説
整理整頓する
整理整頓された環境は作業効率を高めてミスを防げるため、整理整頓は事務職において重要な要素です。
例として、C社は書類が乱雑に置かれた机の上で、必要な書類を探すのに時間がかかっていました。しかし、書類をファイリングし、机上をきれいに整理整頓することで、どれが必要な書類かがひと目でわかるようになり、書類をなくすことが減少しました。また、デスク上がきれいになったことで仕事がしやすくなり、作業効率が向上しました。
事例のように、整理整頓を徹底することで、業務の効率を高めることが可能です。
営業
営業での改善提案のネタの事例として、次の3項目を紹介します。
- 属人化を防ぐ
- 移動時間を削減する
- 確度の高い案件を優先する
それぞれ、改善提案として何が必要なのかを解説しましょう。
属人化を防ぐ
営業部門では、属人化が進むとノウハウの共有が難しくなり、後進の育成や業務の引き継ぎに支障をきたす恐れもあるため、属人化を防ぐことが重要です。
例えば、ある営業担当者が独自の手法で顧客との関係を築いていたとします。しかし、その担当者が退職する際、ノウハウが共有されていなければ、後任者が顧客と同じような関係を築くのに苦労します。事例のような状況を防ぐためには、定期的な情報共有会や研修を実施し、ノウハウを共有する体制を整えることが求められます。
また、営業手法や顧客対応に関するマニュアルを作成し、全社員がアクセスできるようにすることも効果的です。
移動時間を削減する
営業活動では移動時間が長いと営業担当者の労力がムダに消費され、顧客との接触時間が減少することがあるため、営業は移動時間を削減することも重要です。
例えば、営業担当者が1日に複数の顧客を訪問する場合、移動時間が短縮できれば訪問数を増やすことが可能になります。移動時間を削減する方法としては、顧客訪問のルートを最適化するアプリケーションの活用や、オンラインでの商談を積極的に取り入れることが挙げられます。
また、近隣エリアに集中した営業活動を行うことで、移動距離を短縮し効率的な営業活動が可能となるでしょう。
確度の高い案件を優先する
営業活動では、確度の高い案件に集中することで、営業担当者の労力をムダにせず、効果的な営業成果を上げられます。
例えば、顧客情報をCRM(顧客管理システム)に整理し、各顧客の購入履歴や関心商品、商談履歴などを把握することで、どの顧客が商品やサービスに対して関心が高いかを判断できます。情報をもとに、営業担当者は優先度の高い顧客にアプローチでき、効率的な営業活動を展開できるでしょう。
改善提案のネタの見つけ方
改善提案をするにあたって、ネタを見つけることは骨が折れる作業です。そこでここでは、業務改善のネタの見つけ方として次の4つをおすすめします。
- 現在の業務を可視化する
- 過去事例を参考にする
- 業務ヒアリングの実施
- 手順作業を書き出してみる
きっと良い改善提案のネタが見つけられるので、ぜひ参考にしてみてください。
現在の業務を可視化する
業務の可視化によって問題点や改善の余地が明確になるため、効果的な改善提案が可能になります。
業務を可視化する方法の一つとして、業務フロー図の作成があります。業務フロー図を作成することで、業務の流れや関連する部門・担当者が一目でわかり、業務の横断的な改善や、現状の業務プロセスにあるムダを見つけることが可能です。
また、KPI(Key Performance Indicator)を設定することも、業務改善のネタを見つける方法でしょう。KPIを設定することで、業務の目標や進捗状況を数値化し、効率や効果の改善が必要な部分を特定できます。例えば、営業部門であれば、売上目標や新規顧客獲得数などのKPIを設定し、定期的にその達成状況を確認します。達成率が低い場合は、その理由を分析し、改善提案を行えるでしょう。
さらに、現場の意見を取り入れることも大切です。業務を日々行っている従業員は、問題点や改善のアイデアを持っていることが多いため、従業員の意見を聞くことで新たな改善提案が見つかることがあります。定期的に社員から意見を募り、改善提案を検討することが重要です。
過去事例を参考にする
業務改善のネタを見つける方法の一つとして、過去の事例を参考にすることが有効です。なぜなら、過去の成功事例や失敗事例から学ぶことで、自社の業務改善に役立つアイデアやポイントを見つけられるからです。
過去の事例を調べることで、他社がどのような業務改善を行い、どのような成果を上げたのかを知ることができます。
また、過去の失敗事例からは、改善を行う際にどのような点に注意すべきかが分かります。成功事例や失敗事例から、自社の業務改善に適用することで、効果的な改善提案が可能になるでしょう。
例えば、同業他社が業務プロセスの改善によって効率化を実現した場合、その事例を参考に自社の業務プロセスを見直し、ムダを削減する改善提案を行うことができます。
業務ヒアリングの実施
現場の従業員から直接情報を得ることで、実際の業務の問題点や改善の余地が明確になるため、業務改善のネタを見つけるためには、業務ヒアリングを行うことが重要です。
業務ヒアリングでは、従業員が日々どのような業務を行っているのか、どのような困りごとや課題があるのかを聞くことからはじまります。そこで、従業員が改善すべき点やアイデアを持っていることがあります。
そのため、ヒアリングした情報をもとに、改善提案を行えるでしょう。
例えば、営業部門の従業員から提案資料作成に時間がかかっているという意見があった場合、資料作成の効率化を目指した改善提案が可能になります。
手順作業を書き出してみる
手順作業を明確にすることで、業務プロセスにムダや改善の余地が見えてくるため、業務改善のネタを見つけるには、手順作業を書き出してみることも有効です。手順作業を書き出すことで、業務の流れを具体的に把握でき、各ステップでの効率化や改善点を見つけることが可能です。
また、書き出した手順作業を他の従業員と共有することで、業務の標準化やノウハウの共有が促進され、組織全体の業務効率が向上が期待できます。例えば、ある部門で複数の従業員が同じ業務を行っている場合、手順作業を書き出すことで、各従業員が異なる方法で業務を行っていることが分かる可能性もあります。
書きだした結果から、最も効率的な方法を標準化し、全員がその手順に従うことで業務効率を向上させる改善提案ができるでしょう。
効果が出る良い改善提案のポイント
改善提案をするにあたり、効果が出るポイントがあります。良いネタが思いついたら、以下の4つのポイントを意識して、改善提案を行いましょう。
- ゴールを明確にする
- 解決手段を明確にする
- 数値による定量的な分析を可能にする
- 生じるリスクを明確にする
ゴールを明確にする
明確なゴールが設定されている提案は、上司や経営層が判断しやすくなるため、重要なポイントです。具体的な目標が示されることで、業務改善の効果やメリットが分かりやすくなります。
例えば、「業務効率を20%向上させる」というゴールがある場合、提案内容の実効性が高く、承認される確立が上がるでしょう。企業全体に波及するメリットと数値的な効果を念頭に置き、具体的なゴール設定を行いましょう。
解決手段を明確にする
具体的な解決手段が示されることで、上司や経営層が提案内容をイメージしやすくなり、採用される確率が高まるでしょう。
例えば、ツールやシステムの導入による自動化、業務担当者の変更、業務の分業や一元化など、どのような手段を用いて業務改善を実現するかを明確に伝えましょう。結果として、提案書が実用性を持ち、改善提案が受け入れられやすくなります。
数値による定量的な分析を可能にする
数値による定量的な表現は、齟齬なく相手に正しく伝わるため、大切なポイントです。抽象的な表現よりも、具体的な数字を用いることで、提案を受ける側が理解しやすくなります。
例えば、「業務改善により、業務時間が30分短縮され、成果物が2割増える」といった具体的な数値を示すことで、提案の信憑性が高まります。業務改善の必要性を理解してもらうために、数値で表現することを意識しましょう。
生じるリスクを明確にする
リスクを考慮した提案は、上司や経営層に信頼感を与え、業務改善が円滑に進む可能性が高まります。リスクを洗い出す方法には、従業員へのヒアリング、業務の流れの視覚化、そして「なぜなぜ分析」などがあります。
例えば、システム導入による業務改善を提案する際、予算超過や導入遅延、システムの不具合などのリスクが生じる可能性があるでしょう。リスクを明確にし、それに対する対策や解決策を示すことで、上司や経営層は提案内容に安心感を持ち、承認される確率が高まります。
改善提案書の書き方/例文は?作成のポイント
改善提案書は、業務の改善方法や目標を明確にし、上司や経営層に提案するための文書です。ここでは効果的な改善提案をするために、次の3項目を解説しましょう。
- 改善提案書とは?主な項目
- 改善提案書の例文
- 改善提案書作成のポイント
改善提案書とは?主な項目
改善提案書とは、業務改善のアイデアや計画を具体的にまとめた文書です。主な項目として、以下の5つが含まれます。
- 現状の問題点
- 改善方法
- 改善に必要なコスト
- 改善の数値目標
- 実施期限
これらの項目を明確にすることで、上司や経営層が提案の効果や実現可能性を判断しやすくなります。
改善提案書の例文
以下に改善提案書の例文を示します。
【タイトル】
A部門の業務効率化に向けた改善提案
【現状の問題点】
現在、A部門では業務量の増加に伴い、作業時間が長くなっています。特に、手作業でのデータ入力が時間を要しており、業務効率が低下しています。
【改善方法】
データ入力業務の効率化を図るために、OCRシステムを導入します。OCRシステムにより、手作業でのデータ入力を自動化し、業務効率を向上させます。
【改善に必要なコスト】
OCRシステムの導入費用:XX万円
システム導入に伴う研修費用:YY万円
合計費用:ZZ万円
【改善の数値目標】
データ入力業務の効率化により、作業時間を30%削減。
【実施期限】
システム導入および研修完了までの期限:3ヶ月後
改善提案書作成における5つのポイント
改善提案書の作成をする際には5つのポイントがあります。
- 現状の問題点
- 改善方法
- 改善に必要なコスト
- 改善の数値目標
- 実施期限
これらを記載する際のポイントを解説します。
現状の問題点
改善提案書を作成する際、問題点を具体的に把握することで、改善方法が適切かどうかを判断しやすくなるため、現状の問題点を明確にすることが重要です。問題点を具体的に示し、業務改善が必要な理由を説明しましょう。
改善方法
具体的な改善方法を示すことで、提案の実現可能性や効果が明確になり、採用される可能性が高まります。
改善方法は、具体的な手段やシステムの導入、人員配置の変更など、問題解決に寄与するアイデアを提案しましょう。
改善に必要なコスト
コストを把握することで、提案の費用対効果を評価しやすくなります。導入費用や人件費、維持費など、改善にかかる全てのコストを考慮し、具体的な金額を提示しましょう。
改善の数値目標
具体的な数値目標を設定することで、提案の効果がわかりやすくなり、採用される確率が高まります。数値目標は、業務効率向上やコスト削減など、改善後の成果を明確に示すものにしましょう。
実施期限
期限を設定することで、提案の優先度や進捗管理がしやすくなります。そのため、実施期限はシステム導入や人員配置変更など、改善の段階ごとに具体的な期間を設け、明確に示しましょう。
現場発の改善提案には「改善提案制度」が必要
現場発の改善提案を促進するためには、「改善提案制度」が不可欠です。なぜなら、従業員が自らのアイデアを積極的に発信し、企業全体の業務改善につなげるための仕組みが整っていることが重要だからです。
ここでは、改善提案制度について以下の3項目を深堀しましょう。
- 提案の中身を問わない
- 報奨金を出す
- 改善提案の事例を出す
提案の中身を問わない
改善提案制度を導入する際には、提案の中身を問わない方針が重要です。なぜなら、従業員が自由に意見を出し合い、新たなアイデアが生まれやすい環境を作ることが、業務改善につながるからです。
例えば、小さな提案であっても、それが組織全体に良い影響を与えることがあるため、すべての提案を受け入れる体制を整えましょう。
報奨金を出す
改善提案制度において、報奨金を設けることが効果的です。報奨金によって従業員のモチベーションを向上させ、積極的に改善提案を行うよう促す狙いがあります。報奨金は、改善提案の内容や効果に応じて、適切な額を設定しましょう。
結果として、従業員は自らの提案が評価され、報われることを実感できます。
改善提案の事例を出す
改善提案制度を成功させるためには、具体的な改善提案の事例を社内で共有することが重要です。共有を続けることで、事例を通じて他の従業員が改善提案の効果や重要性を理解し、自らも提案を行いたいと思うようになるでしょう。
例えば、社内報やミーティングで、実際に採用された改善提案やその効果を紹介することで、従業員の意識向上が期待できます。
改善提案のネタの探し方、書き方【まとめ】
改善提案の目的は、組織や職場の業績向上や労働環境改善を目的としたアイデアや意見を提案することであり、組織全体の効率化や問題解決、さらには社員のモチベーション向上や働きやすい環境の構築が期待できます。
ネタは業種別に様々ありますが、工場では品質や安全、5S労働環境について。事務職は効率化やムダの削減について。営業では属人化の解消や案件の優先順位についてをネタとして、話し合ってみるといいでしょう。
各自で改善提案のネタを見つけたい場合は、現在の業務を可視化したり、過去に起きた事例を見直すことで見つけるといいでしょう。
そのほか、現場発の改善提案を促進するためには、「改善提案制度」を取り入れるのがおすすめです。現場改善ラボでは、トヨタ英国製造の副社長である小森 治氏をお招きして動画を配信しています。トヨタの改善ノウハウを活用すれば、さらに良い改善提案ができるでしょう。
ぜひこの機会に、トヨタの現場を知る小森 治氏の動画に申し込んでみませんか?