かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」を展開する現場改善ラボ編集部です。
「検査成績書」は、製品の品質や性能を検査し、その結果をまとめた公式な書類です。品質保証やトレーサビリティを担保する上で欠かせない書類ですが、紙ベースや表計算ソフトによる運用には、ヒューマンエラー、共有の非効率性、記録の改竄リスクなど、多くの課題があります。
本記事では、検査成績書の例文やテンプレート、電子化のメリットや適したツールについてご紹介します。
現場改善ラボでは、検査成績書をはじめ現場で使われる「帳票」のデジタル化/ペーパーレス化にご興味がある方に向け、デジタル帳票のガイドブックをご用意いたしました。デジタル化の進め方やよくある失敗について詳しく解説しておりますので、是非ご入手ください。
目次
検査成績書とは?運用の目的や必要性
検査成績書とは、製品の品質を保証し、顧客の信頼を得るために重要な文書です。品質の透明性を高め、不具合時の迅速な原因追求や改善を実現します。
ここでは、検査成績書への理解が深まる以下2点の内容について解説します。
- 検査成績書とは「製品の品質」を保証する書類
- 検査成績書を運用する目的/必要性
検査成績書とは「製品の品質」を保証する書類
検査成績書は、製品が設計仕様や公定の品質基準に適合していることを証明し、製品の品質を担保する文書です。製品が完成した際に、検査項目ごとの合否や測定結果などが記載され、製品が適切に作られているかどうかを証明します。
検査成績書は納品先への品質保証としての役割があり、品質管理の透明性を確保し顧客との信頼関係を築くための重要な文書です。
加えて、検査成績書に記録されたデータと不具合の発生状況を照らし合わせることで、異常が発生した箇所や頻度の高い問題の傾向を把握できるため、不具合発生時の原因分析や改善策の策定にも活用できます。
検査成績書を運用する目的/必要性
検査成績書を運用する目的や必要性について、以下の3点を解説します。
- 製品が規格を満たしているか確認する
- 品質不良が発生した際に分析できる
- トレーサビリティが確保できる
製品が規格を満たしているか確認する
検査成績書は、製品が自社および公的規格(例:JIS規格)に適合していることを確認する目的を持ちます。具体的には、部品の寸法や耐久性といった製造プロセスで定められた各検査項目について、規定の基準を満たしているかどうかを詳細に記録し、合格基準や測定結果を数値で示します。
これにより、製品の品質が一貫していることや、信頼性が確保されていることを証明できるため、顧客や取引先に対する品質保証としても重要です。
品質不良が発生した際に分析できる
検査成績書には各工程におけるデータが詳細に記載されているため、検査成績書は品質不良が発生した場合の原因分析と改善策の検討に役立ちます。
例として、製品の外観検査で傷や欠陥が発見された際は、その成績書をもとに工程ごとのデータを分析し、どこで問題が生じたかを特定できます。結果として、業務の改善や顧客対応の迅速化につながります。
関連記事:【改善事例あり】製造業における品質不良の原因と8つの対策
トレーサビリティが確保できる
検査成績書を保存することで、万が一問題が発生した場合に、どの工程で異常が起きたかを迅速に追跡できる=トレーサビリティが確保できるようになります。
例えば、医薬品の製造過程で問題が発覚した際に検査成績書を参照すれば、製造時の具体的な工程や使用した原料の詳細をすぐに確認できます。結果として、不良の原因を特定し、迅速な是正措置を講じることで顧客への影響を最小限に抑え、信頼を維持することが可能です。
関連記事:トレーサビリティとは?目的やブロックチェーンとの関係、メリットや企業事例についても解説!
検査成績書の記載内容(例文付き)
検査成績書の記載内容は会社や製品によって異なることが多く、必ず記載しなければならない項目は存在しません。
ただし、品質管理を適切に行うために、よく記載される内容があります。ここではその代表的な内容について解説します。
基本的な情報
検査成績書の基本情報は、製品や検査の概要を明確に示すために記載される項目です。具体的には、以下の内容がよく見られます。
- 検査する製品・サービスの名称(型番):「型番ABC123」など
- 検査年月日:「20XX年X月X日」など
- 製品番号:「シリアルNo. XYZ-456」など
- 検査実施者・確認者:「実施者:田中一郎(押印)/確認者:山田花子(押印)」など
例に示した情報は、検査内容の信頼性を保証し、トレーサビリティを向上させるために重要です。例えば「20XX年X月X日に検査された型番ABC123の製品が合格」と記録されることで、特定の製品の検査履歴を容易に追跡できます。
検査項目
検査項目には、製品の品質を評価するための基準や方法などが記載されます。多くの場合、以下の内容が含まれます。
- 基準値や計測した寸法:「長さ:基準値100±0.5 mm、測定値:100.3 mm」など
- 使用した検査機器:「三次元測定機、型番MG-3000」など
- 検査方法:「【外観検査】目視で傷の有無を確認。【寸法検査】ノギスを使用して測定」など
外観検査では傷や異物の有無、寸法検査では製品の正確なサイズを確認します。例えば「寸法検査にて三次元測定機を使用し、測定値が100.3 mmと確認された場合、基準値100±0.5 mm内であるため合格」といった記述が行われます。
検査結果
各項目の検査結果や合否判定なども、検査成績書に記載されることが多い情報です。
- 測定結果:「長さ:100.3 mm」など
- 合否判定:「合格」「不合格」
- 備考:「検査時、外観に軽微な擦れが確認されたが問題なし」など
検査結果を詳細に記載することで、製品の品質状態を把握しやすくなり、後続の工程との連携や顧客とのコミュニケーションにも役立ちます。例えば「外観検査合格、寸法も基準内」と記載されることで、出荷前の確認がスムーズに進みます。
ここまで、検査成績書の基本的な情報についてご紹介しました。次章からは、手書きされるケースも多い検査成績書の「課題やデメリット」について詳しくご解説します。
検査成績書を手書きするのは「遅れてる」?課題やデメリット
手書きで作成されることも多い検査成績書ですが、実際は多くの課題が潜んでおり、現代の製造業界で求められる正確性や効率性を大きく損なう恐れがあります。以下では、手書きの検査成績書に関する具体的な課題について深掘りします。
ヒューマンエラーによるミスが発生しやすい
手書きで検査成績書を作成すると、書き損じや記入漏れ、判読しにくい字による読み間違いなどのヒューマンエラーが発生しやすくなります。例えば検査結果の数値を手書きで記録する際、誤った数値を書いてしまうことや、誤解を招く不明瞭な文字で記録してしまうことが考えられます。
このようなエラーが発生すると、検査結果に対する信頼性が低下し、製品の品質保証に影響を及ぼす可能性があります。誤った数値や記入漏れがあると、製品が基準を満たしていないにもかかわらず合格と判断されて出荷されてしまうリスクも考えられるでしょう。
また、読み間違いや不明瞭な記録は、不具合発生時の原因分析やトレーサビリティを困難にし、迅速な対応が遅れる原因にもなるほか、後工程での確認作業が複雑化し、場合によっては生産スケジュールに影響を及ぼします。
関連記事:ヒューマンエラーとは?対策11選!原因12分類と具体的な事例も解説
改竄されやすく、不正が起きかねない
検査成績書は品質を保証する重要な文書であり、不正行為があってはなりません。しかし、手書きによる記載では物理的な改竄が容易であり、かつ誰が改竄したかを追跡するのは難しいでしょう。実際に、手書きによる検査成績書の改竄が発覚したケースも報告されています。
検査データを故意に書き換えることで、不良品が合格扱いとなり出荷されるケースが発生すると、品質トラブルに発展し、企業全体の信用に悪影響を及ぼします。さらに、改竄が発覚した場合は顧客の信頼を損なうだけでなく、契約違反による罰則や法的な措置が取られるリスクもあります。このような状況は、企業の経営に多大な負担をかけることになりかねません。
共有や承認に工数がかかる
手書きの検査成績書は、部門間の共有や承認プロセスに多くの時間と手間を要します。特に、押印が必要な場合には1枚の書類を各部門や担当者に回す必要があり、物理的な移動や確認作業に時間を取られます。
承認する側も同様に、日々大量の手書き書類を確認しなければならず、書類の判読や内容の確認に多くの時間を費やすことになります。
さらに、手書き書類の確認作業はミスが生じやすく、押印や記入漏れの確認不足によって、後に再確認や修正が必要になることもあります。これにより承認プロセスが遅れ、製品の出荷やプロジェクトの進行に影響を与える場合もあるでしょう。
本章で解説したような課題は、現場に負担をかけるだけでなく、品質トラブルやインシデントに発展しかねない重大な問題だといえます。では、これらの問題はどう解決すべきでしょうか?次章からは、検査成績書の課題を解決する「電子化」についてご紹介します。
検査成績書の品質を維持し、運用の工数を減らすには「電子化」
検査成績書の品質維持と効率的な運用を実現するには、電子化が有効な手段です。
ここでは手書きによる管理や運用の課題を解決し、情報管理の透明性と効率を高めるツールについてご紹介します。
電子化によるメリット
検査成績書を電子化するメリットとして、以下の3点が挙げられます。
必要な情報にすぐアクセスできる
検査成績書を電子化すると、必要な情報への即時アクセスが可能になります。
手書きや紙ベースでの運用では、報告書を探し出すのに時間がかかり、必要なデータをすぐに確認できません。Excelで保存をしていても、複数のファイルに情報が分散し、最新データを見つけるのが困難なことがよくあります。
一方で電子化された検査成績書では、情報がクラウド上に保存され、キーワード検索で即座に該当するデータを見つけることが可能です。その結果、情報の迅速な取得が可能となり、クレーム発生時にも迅速な対応が期待できるでしょう。
記録の履歴が可視化される
電子化された検査成績書は「誰が」「いつ」記録したかを履歴として可視化できるため、一度記載された情報を後から故意に書き換えることが難しくなります。手書きや紙の報告書では、改ざんの発見や不正の特定が難しく、追跡も容易ではありません。
一方で電子化されたシステムでは、各記録の作成・修正履歴が詳細に保存されるため、不正が発生しにくい環境を構築できます。
このような記録の可視化により、不正の抑止効果が期待できることで、全体的な品質管理の透明性が向上し、製品の信頼性が向上します。内部監査や外部監査の際にもデータの正確性と信頼性を担保しやすくなるため、迅速かつ効率的な対応が可能になります。
管理や保管のコストが解消される
検査成績書を電子化することで、物理的な保管スペースや管理コストを大幅に削減できます。
紙の報告書は保管場所を必要とし、管理や検索に手間がかかります。Excelは保管場所の必要はないものの、ファイルのバックアップや管理体制の整備に時間とコストがかかります。
一方で、電子化された検査成績書はクラウド上にデータを保存するため、物理的な保管スペースは不要です。また、自動で保存される機能があれば手動でのデータ保存作業が省けるほか、定期的なバックアップの作成が手間をかけずに行えます。
結果として、管理コストが抑えられ、担当者の負担が軽減されます。
電子化はExcelよりも「帳票デジタル化ツール」がおすすめ
電子化するツールとして「Excel」が思い浮かぶ方も多いかと思います。Excelは便利なツールである一方、適切な管理や運用には限界があります。
そこでおすすめなのが、「デジタル帳票」です。このツールを活用することで、進捗管理や業務効率を飛躍的に改善できます。以下にその具体的なメリットを解説します。
記入の工数を減らせる
電子化された進捗管理表にはフォーマットが備わっており、項目ごとに入力する事項が明確であるため、記入に関わる工数を大幅に削減できます。他にも、よく記載する内容についてあらかじめテンプレート化することで、少ない動作で多くの内容を記入することが可能です。
例として、定期的な進捗確認作業において、タスクや「完了」「未完了」といった結果についてテンプレートを用いることで記入時間が短縮でき、作業効率を向上させることが可能です。
共有しやすく承認の手間が省ける
Excelでは共有や同時編集が難しく、複数人での情報共有や承認が困難です。そのため進捗管理に遅れが生じ、プロジェクトが円滑に進まないことがあります。
一方で、電子化されたデータはリアルタイムで共有が可能であり、複数の関係者が同時にアクセスして承認することも行えます。そのため、進捗管理表の電子化により情報の共有と承認プロセスを簡易化することが見込めます。
さらに一括承認機能を活用すれば、管理者が多数の記録を一度に確認・承認することも可能です。
保管や管理がしやすい
Excelによる帳票管理では、ファイルの保存場所が分散しがちで、検索やバックアップ作業に手間がかかります。結果的に管理コストが増加し、運用効率が低下します。
検査成績書を電子化すれば、紙を物理的に保管する必要がなくなり、データの紛失や汚損のリスクを減らすことも期待できます。加えてすべての情報がデジタルデータベースに保管されることで、任意の検索キーワードで瞬時に必要な記録を検索し、参照することも実現します。
結果として迅速に過去の検査記録を簡単に参照し、不具合発生時の原因追跡や製品の改善に役立てることが容易に行えるようになるでしょう。
ヒューマンエラーによるミスを減らせる
電子化された検査成績書には入力必須項目が設定されており、未記入の項目がある場合は保存ができない設計にすることも可能です。さらに誤った内容を記入した場合にアラートを通知させることもできるため、記入漏れや記載ミスを大幅に減少させることが可能です。
またフォーマットが統一されることで記入者による内容のばらつきがなくなる他、クセ字や字の汚さといった記入者ごとの問題も解消できます。
本記事でご紹介した帳票の電子化について、費用対効果や進める手順は以下のガイドブックでより詳しく解説しています。
「電子化は気になるけど、どう進めればよいかわからない…。」「いきなり電子化を進めるのは難しそう…」とお悩みの方は、是非バナー画像をクリックし、本記事と併せてご活用ください。
次章では、誰でもかんたんにデジタル帳票の作成や管理、データ分析が行えるツール「tebiki現場分析」をご紹介します。
【デジタル帳票】検査成績書の電子化は「tebiki現場分析」が簡単
検査成績書を電子化/デジタル化するツールとして、「tebiki現場分析」がおすすめです。
tebiki現場分析は、現場帳票の作成・記録・承認・分析を簡単に行えるデジタル帳票ツールです。スマートフォンやタブレットのような縦型の端末による記入や閲覧に特化しており、製造現場で使いやすい機能が複数搭載されています。
tebiki現場分析を使うことで、紙ベースの検査成績書をデジタルフォーマットに変換し、データの入力と管理にかかる工数を削減できます。
以下に、tebiki現場分析活用のメリットを4つご紹介します。
記録フォーマットが簡単に作成可能
tebiki現場分析はスマートフォンやタブレットでの入力に特化したわかりやすい操作画面を採用しており、難解な研修を受けずとも誰でも簡単に帳票を記入し、編集できます。
他にも、「帳票のピンどめ」により使用頻度が高い帳票を優先して表示させる機能や、毎回の記録で共通する内容の入力を省略できる「定時記録」の機能を使うことで、日常的に発生する検査業務をよりスムーズに記録することも可能です。
モバイル端末での記録・承認もスムーズ
「tebiki現場分析」には「画像記録機能」も搭載されており、製品の外観などを写真データとして記録することも可能です。従来の紙マニュアルでは難しかった画像記録が実現することで、外観検査の様子や異常などをよりわかりやすく明確に伝えることが実現します。
また、「tebiki現場分析」なら記録の承認フローもデジタルで行えます。これにより、記録用紙を承認者まで届けに行く必要がなくなったり、1枚1枚ハンコを押して承認する必要が解消されます。
さらに、「一括承認機能」により、記録を一括で選択し承認することも可能なため、多数の記録を承認する必要がある管理者の負担を減らすことも期待できます。
異常値が検知されるとアラート表示
「tebiki現場分析」では、数値の上限・下限・正常範囲を設定でき、外れた数値は異常値として強調表示するほか、承認者へアラートメールを発信します。これにより、異常発生時に迅速に対応し、現場のトラブルを最小限に抑えられます。
分析機能により簡単に数値をグラフ化
データをただ記録するだけでなく、それを活用して現場の改善に役立てることが重要です。「tebiki現場分析」は、収集したデータを簡単にグラフ化する機能を備えており、視覚的に品質データを分析できます。
そのため、現場担当者や管理者がデータの傾向や異常を直感的に把握しやすくなり、改善すべきポイントを明確にできます。例えば、過去の検査成績データをグラフ化することで、不良発生の頻度や特定工程での問題発生箇所が可視化され、具体的な改善策を検討しやすくなります。
また、「tebiki現場分析」では、時系列での変化や異常の発生タイミングを確認できるため、季節や時間帯による影響も分析可能です。これにより、ただデータを蓄積するだけでなく、実用的な改善アクションに繋げやすくなり、品質向上と効率化を推進する強力なツールとして活用できます。
tebiki現場分析のその他の機能や、導入から運用までを支えるサポート体制については、以下の画像をクリックいただくと詳細な資料をダウンロードできます。検査成績書のデジタル化や、業務工数を削減する手段についてお探しの方はぜひご参考ください。次章からは、tebiki現場分析を活用し、現場帳票のデジタル化で課題を解決している事例についてご紹介します。
検査成績書のような現場帳票をデジタル化している事例
ここからは、検査成績書をはじめとする現場帳票を「tebiki現場分析」で電子化し、業務改善につなげている事例を2社ご紹介します。
【現場帳票の集計時間が1日1分に】共栄工業株式会社
スチール製家具の生産・販売を行う同社では、製品の品質管理やISO9001の運用のために、製造工程の記録を現場帳票で残していました。一方で、紙やExcelで運用していた現場では以下のような課題を抱えていました。
- 分析や現場改善ではなく、記録することが目的に
- 紙からExcelの転記に1日2時間かけ、管理者の負担に
- 日々の生産管理/進捗管理に追われ、分析や改善が後回しに
そこでtebiki現場分析を活用し、進捗管理表など現場帳票の電子化に取り組み、以下のような業務改善を実現しています。
- 管理者の集計作業が、1日2時間から約1分まで削減
- ダッシュボード/グラフ化機能で、分析から業務改善までを効率化
- 記録データをもとに、設備トラブルの予防措置が実行できるように
- 作業実績がリアルタイムで分かり、他部門の進捗が可視化されるように
tebiki現場分析を活用し、現場帳票の付帯業務を効率化するだけでなく、生産活動や製造現場の状況をリアルタイムに可視化し、意思決定がスムーズになった電子化の成功事例の1つです。
具体的な内容を知りたい方は、以下のインタビュー記事も併せてご覧ください。
インタビュー記事:1日2時間の集計作業が約1分に。スチール製家具製造の共栄工業のデジタル改革
【即時の異常検知で不良を未然防止】株式会社日本電気化学工業所
建材や車両など、アルミニウムの表面処理を専門に行う同社では、温度管理や日常点検といった日々の業務の記録を紙による点検票で運用していました。一方で、以下のような課題を感じていました。
- 記録そのものが目的化し、収集したデータを改善活動につなげることが困難
- 異常値の検出に時間を要し、迅速な対応が難しい
- 各現場を巡回し、個々の帳票を確認して押印するなど承認プロセスが非効率性
そこでtebiki現場分析を活用し、点検表をはじめとする現場帳票の電子化に取り組み、以下のような業務改善を実現しています。
- タブレット端末による入力で手書き時代と比べて入力ミスが減少し、作業時間が短縮
- データのリアルタイム監視が可能になり、品質問題の未然防止に活用
- 異常値を即座に検知し管理者に通知する機能により、異常の早期発見と迅速な対応が実現
特に同社では、温度データをリアルタイムで確認できたことでわずかな温度低下を発見し、現場で詳細な点検を行ったところ、配管の小さな穴を発見しています。
この早期発見により、大規模な故障や生産ラインの停止といった深刻な事態を未然に防ぐことができました。「もし従来の紙ベースの記録管理だったら、このような微細な変化を見逃してしまい、問題が大きくなってから気づいたかもしれません。」と、tebiki現場分析導入の効果を実感されています。
具体的な内容を知りたい方は、以下のインタビュー記事も併せてご覧ください。
インタビュー記事:品質不良の未然防止をリアルタイムデータで実現。異常値検知を迅速にできた理由。
ここまで、検査成績書のデジタル化に関するメリットや、デジタル化におすすめなツール「tebiki現場分析」について詳しくご紹介しました。
次章からは、検査成績書への理解をさらに深める2つのトピックについて解説します。現場で使えるテンプレートもご紹介しますので、是非ご覧ください。
【補足】検査成績書と似た帳票/書類との違い
検査成績書をはじめ、製造業界では品質管理のために様々な現場帳票が使用されています。
ここでは、以下2つの書類と検査成績書の違いについて解説します。
- ミルシート
- 校正証明書
ミルシート
ミルシートは、鋼材や金属製品における材料の品質を保証するために発行される書類です。主に化学成分や機械的性質の試験結果が記載され、炭素やケイ素、マンガンなどの成分分析が行われ、鋼材の品質基準を満たしていることを証明します。
そのため、検査成績書が加工された製品=完成した製品の品質を保証する文書であるのに対し、ミルシートは製品に使用された材料の品質を保証するという違いがあります。
校正証明書
校正証明書とは、測定に使用した機器が正確に校正されていることを証明する書類です。検査成績書が試験内容や品質保証を示すのに対し、製品や機器の精度を示すことで品質保証や工程の信頼性確保に役立ちます。
違いとして、校正証明書には具体的な試験データやその合否は含まれず、あくまで適切な校正が行われたことを示している点が特徴です。
【補足】検査成績書のフォーマット例
「検査成績書を一から作成するのは時間がかかる…」という悩みを抱えている方におすすめなのが、既存のテンプレートを使用することです。
こちらのリンクをクリックすると、無料でExcelファイルのダウンロードができます。「検査項目・検査方法・検査結果・検査規格」などの項目があり、基本的な内容が記載されています。
テンプレートを使えば手間なく検査成績書を作成できますが、汎用的な内容であることも多いため、自社に合ったテンプレートを作成したい方もいるでしょう。
また紙での管理や運用が大変な場合も多く、『検査成績書を手書きするのは「遅れてる」?課題やデメリット』で先述したような課題が存在しています。
そのため、検査成績書を効果的に作成・運用するには「電子化」がおすすめです。
電子化に適したツールについては、『【デジタル帳票】検査成績書の電子化は「tebiki現場分析」が簡単』でも詳しくご紹介しましたので、是非ご覧ください。
tebikiを利用して検査成績書を電子化しよう【まとめ】
製造業において検査成績書は、製品の品質を保証し、規格への適合を証明する重要な書類です。そのため品質管理やトレーサビリティの確保、不具合発生時の原因分析において重要な役割を担います。
しかし、手書きによる作成はヒューマンエラーや改竄のリスクが高く、共有や承認にも時間がかかります。一方で、電子化することで情報への即時アクセスや履歴の可視化が実現し、不正の抑止にもつながります。
検査成績書を電子化することで、Excelのような課題を克服し、記入ミスを防ぎ、共有の効率化や管理の負担を大幅に軽減できるでしょう。
電子化に適したツールとしては、「tebiki現場分析」がおすすめです。「tebiki現場分析」の資料は以下の画像から無料でダウンロード可能ですので、是非ご参考ください。