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製造業における品質不良とは、製品が設計や仕様に従っていない状態を指します。不良品を出さない状態が理想であるものの、さまざまな原因からゼロにすることは難しいです。一方で、発生原因に対して適切な対策を講じることで不良品を減らすことは実現可能です。
そこで本記事では、製造現場における品質問題の改善を支援する私たちが、実際によく聞く不良原因と有効な品質不良対策について事例を交えてご紹介します。現場で発生している不具合を改善し、品質改善/品質向上を実現するヒントとしてご活用ください。
目次
製造業における品質不良とは?
製造業における品質不良とは、製品が設計や仕様に従っていない状態を指します。品質不良は、製造過程における変動やバラツキが品質の一貫性を損なう主要な原因となります。
品質不良を理解するにあたり、品質の定義と品質不良の定義をさらに詳しく解説します。
そもそも品質とは?
品質とは、製品やサービスが顧客の要求や期待を満たす度合いを指します。例えばスマートフォンの場合、顧客は高速な処理速度や鮮明なディスプレイ、長持ちするバッテリーなどの特性を期待しており、顧客の期待を満たすかどうかで品質が決まります。
また、製造業における品質とは、製品が設計図や仕様に従って正確に製造されているかどうかを示す指標のことです。
この指標は、製品の基準や仕様、規格など「ねらいの品質」を担保する設計品質、基準や規格に沿って作られているかどうか「できばえの品質」を担保する製造品質の2つに大きく分けることができます。
例えば、自動車の設計図にはエンジンの性能や車体の大きさ、安全装置の配置などが明確に記載されています。製造時に設計図通り車が製造されているか、または設計図に記載された寸法や性能を満たしているかが、その車の品質を評価する基準になるということです。
品質不良とは?不良率の目安や目標
品質不良とは、製品が設計図や仕様に従っていない状態、または顧客の要求を満たしていない状態のことです。品質不良が頻発すると、顧客の信頼を失うだけでなく、リコールや再生産などのコストが発生し、企業の利益を大きく損なう可能性があります。
そのため、製造現場で不良率の目標や目安を定めつつ日々の不良率を計測することで、製品不良の傾向を特定し、原因分析を通じた対策を講じるサイクルが必要です。不良率の目安や目標は、製品によって許容範囲が異なるものの、一般的な目安としてよく用いられているのは「3シグマ」や「6シグマ」です。
品質不良の具体的な原因は事象によって変わりますが、不具合傾向はおおよそグルーピングすることができるでしょう。そこで次章では、品質不良/品質不具合が発生する原因について、6つの代表的なケースに分けてご紹介します。
製造業における品質不良の原因は?6つの代表例
品質不良は、4M(Man,Machine,Material,Method)に該当する領域を原因として発生することが多いでしょう。
実際、私たちが展開する製品「tebiki現場教育」「tebiki現場分析」による品質改善をご支援する中でも、製造現場の品質不良/不具合の原因として以下のような内容を声として頂きます。
- ポカミスなどのヒューマンエラー
- 材料不良や異物混入
- 設備の不良や不具合
- 4Mの変化や変更
- 技術/技能伝承の不足
- 手順不遵守など「標準」の不徹底
ここからは、この6つの原因についてそれぞれご紹介していきます。
ポカミスなどのヒューマンエラー
ヒューマンエラーは、品質不良の一因として挙げられます。
例えば、作業者が疲れている日に過度な業務を行ったり、業務理解が浅い新人が教えた内容と異なる方法で作業してしまうといったことで、ポカミスのようなヒューマンエラーが発生します。
このような判断ミスによって、誤った方法による機械の使用や、意図しない原材料のコンタミネーションなどを引き起こし、結果的に品質不良につながってしまいます。
品質不良につながるようなヒューマンエラーを未然防止する、具体的な対策方法は別紙のガイドブックで詳しく解説しています。以下のリンクをクリックして、ガイドブックも併せてご活用ください。
材料不良や異物混入
製品の基盤となる材料が不良であれば、後工程の品質向上が難しくなります。材料の品質は製品の品質に直接影響を与えるといえるでしょう。
例えば、ボールペンのインクや部品の品質が異なる場合、本来の色が出ないことや耐久性に影響が出ることが考えられるほか、材料のロットや製造日、供給元が異なることで、微細な違いが生じることもあります。
また、サプライヤー側で品質管理体制に問題が起きていた場合、原材料自体の品質不良や、別素材や化学物質の混入による不良を引き起こすことも考えられます。
設備の不良や不具合
正しい手順で作業をしていても、機械設備側に問題が起きていると品質不良が発生してしまいます。
現場で5S活動を推進していたとしても、5Sを通じた「設備点検」という側面が現場に周知されていなかったことで、不具合傾向を見落とされてしまうといったケースもあります。
また、製造現場の自働化や省人化によって、設備が高度化している実態もあります。このような実態はメンテナンス作業の属人化を引き起こし、設備不良や不具合の傾向を判断できる人が一部しかいないということもあります。
結果的に、設備側の不具合に気づかずに稼働し、製品不良を引き起こしてしまうことがあります。
関連記事:設備保全の目的とは?課題やあるべき姿、IoT化について解説
4Mの変化や変更
他の原因にも通じる要素ですが、4M(Man,Machine,Material,Method)で生じた変化や変更は品質不良を引き起こす可能性があります。
変化点の例として、作業者が中堅の従業員からシフトの関係で新人に変わるといったことがあります。中堅者は過去の経験で培ったカンコツによって、歩留まりのよい製造をできている一方で、新人による作業は歩留まりが悪く、不良品を発生させてしまうことがあります。
また、製品の原材料変更によって材料特性も変わり、作業手順や必要なノウハウ、機械設備の設定などに変更が発生するケースがあります。このような変更が伝わっていないことで、従来通りの作業をすることによる不良発生も考えられます。
このような4M変化/変更による製品不良を防ぐためにも、変化点管理/変更管理が必要です。
▼関連記事▼
・品質を担保する変化点管理の進め方は?可視化に必要な要素も解説
・4M変更とは?通知義務の有無や管理しやすくする方法も解説!
技術/技能伝承の不足
製造品によっては、熟練技術が品質を支え、付加価値の1つとなっている場合があります。熟練の技術/技能が伝承されていないことで、従業員による作業品質のバラツキを生み、品質を担保しながら製造を進めることが難しいでしょう。
ここで、オーダースーツの紡績から縫製/販売を行う御幸毛織株式会社の例をご紹介します。
同社では、生産するスーツに徹底的な品質へのこだわりを持ち、高付加価値を与えるものづくりに取り組んでいます。生地の風合いなどの付加価値は機械だけで引き出すことは難しく、熟練者のカンコツに支えられているため、技術/技能伝承の取り組みを推進しています。
このように魅力的品質を熟練技術で支えている場合、技術/技能伝承が不足していることによる品質不良が生じてしまう可能性があります。
関連記事:【成功事例】技術伝承とは?進まない課題、成功させる方法を解説
手順不遵守など「標準」の不徹底
効率的で高品質な作業を実現するために、製造現場では標準作業が確立されています。
標準作業を遵守させるため、人材育成や作業手順書の整備などに取り組んでいる一方で、『標準作業が伝わらない』ことを起因として、手順不遵守が起きている製造現場は少なくありません。手順不遵守が前述のようなヒューマンエラーといった形で、品質不良につながってしまうケースがあります。
このように製造業の品質不良は、4Mの中でもMan(ヒト)が原因として引き起こされています。
実際、経済産業省による2019年度版「ものづくり白書」に掲載されている調査データでも、品質トラブルが生じる原因として最も多かったのが「従業員教育の不足」でした。そのため、品質不良/品質不具合を再発防止するためにも、ヒトに対する改善策が有効といえるでしょう。
現場改善ラボでは、専門家による「人に起因する品質不良の未然防止と具体的な対策」の解説動画を無料で公開中です。以下の画像をクリックするとご覧いただけますので、本記事と併せてご活用ください。
不良品を出さない!製造業の品質不良対策8選
品質不良を防止する対策として以下の8つがあります。
- 開発/設計段階における多角的な視点からのDR
- ムリムダムラを取り除き省力化する
- 5S活動を通じた保全活動の徹底
- 原材料や仕入れ先の見直し
- 4M変化点や変更点の管理
- 従業員に対する「品質教育」の整備
- 不具合など「現場の異常」を検知する仕組み化
- 作業手順や現場ルールなど「標準」の徹底
8つご紹介しますが、私たちが優先的に行うべきと考えるオススメの対策は「異常検知の仕組み化」「標準の徹底」の2つです。
その理由は後述の【製造業の品質不良対策には「異常検知」「標準の徹底」が有効】で詳しく解説しています。
開発/設計段階における多角的な視点からのDR(デザインレビュー)
DR(デザインレビュー)とは、製品開発の段階で設計上問題がないか確認する検証のことです。
製品の開発/設計段階で仕様に問題がないか、検証を行うことで製造段階で発生しうる品質不良を未然防止する効果があります。DRは開発/設計部門だけでなく、生産技術や品質管理、品質保証、製造部門など生産に関わる部門を交えて、多角的な視点で行うことが、品質不良の未然防止につながります。
歩留まりのよい設計方法を立案したとしても、複雑な作業工程によるヒューマンエラーが起こりやすい状態になってしまうとDRによる品質不良抑制は難しいです。そのため、製品に関わる部門も交えて多角的な視点でDRを行うことが重要といえるでしょう。
一方で、製品の開発期間が定められている中で、DRに避けられる時間が限られているのも現実です。限られた時間の中でも、効果的かつ効率的に不良/不具合の未然防止が行える手法として、日産自動車で生まれた「Quick DR」といったものもあります。(参考:日産自動車における未然防止手法Quick DR)
ムリムダムラを取り除き省力化する
ヒューマンエラーによる品質不良が起きている場合、日々の生産活動にムリ・ムダ・ムラが生じていることが引き金になっているケースがあります。
生産目標にムリが生じていることで作業者へ肉体的な負担が生まれ、疲労によるミスや標準作業の意図的な省略を引き起こすことがあります。また、製造品質に影響が及ばない範囲で作業のムダ/ムラがあるケースもあります。このようなムリ・ムダ・ムラを取り除き、業務負荷を軽減することが品質不良の抑制につながります。
生産活動を省力化することで、標準作業もシンプルな形に改善することができ、ヒューマンエラーを起因とした品質不良を減らすことが可能です。現場のムリ・ムダ・ムラを見つける視点と改善方法は以下の画像をクリックして、専門家による解説動画をご覧ください。
5S活動を通じた保全活動の徹底
機械設備の不具合や材料の混入による品質不良として「5S活動」が有効な場合があります。
設備保全の場合、日常点検や始業前点検など既存の枠組みで保全活動はあるものの、不具合傾向が見逃されて品質不良が発生するケースがあります。このような場合、監視の目や機会を増やすという側面で、5S活動時にチェックを行うような対応が効果的です。
設備の不具合傾向の確認は、後述の「現場の異常を可視化する」といったアプローチでも実現可能です。
また、5S活動が不徹底な現場では、使用する治具の誤りや使用する材料の誤りによって、品質不良を生み出してしまう場合があります。このような意味でも、設備/作業現場の保全を目的に含む5S活動によって品質不良を抑制することができる期待があります。
製造現場において、5S活動が形骸化せずに「現場改善」に紐づくようにする方法は、以下のリンクをクリックして専門家による解説動画をご覧ください。
>>専門家による「正しい5S活動の進め方」解説動画を見る(視聴無料)
原材料や仕入れ先の見直し
材料不良や異物混入による品質不良が起きている場合、自社内だけにとどまらずサプライチェーンの過程で、不良や不具合が発生していないか見直しが必要です。特定の原材料や仕入れ先で不良傾向がある場合、材料や仕入れ先の再検討が必要です。
見直しを行うにあたり、品質管理体制を重視するべきではあるものの、不良数をゼロにすることは現実的ではありません。そのため見直しを行う場合は、QCDのバランスを考慮して行うべきでしょう。
- Q(品質) :自社が許容できる品質基準はどれくらいか
- C(コスト):調達で発生するコストは許容範囲内か
- D(納期) :生産計画に影響が出ず、安定的な供給が見込めるか
QCDのバランスに加えて、原材料/仕入れ先の変更で生じる、製造工程における4M変更の可能性も考慮して検討を行います。また、見直しをして終わりではなく、品質管理状況の継続的な評価を行うことも大切です。継続的な評価を行うためにも、トレーサビリティの確保も併せて検討してみてください。
関連記事:トレーサビリティとは?目的やブロックチェーンとの関係、メリットや企業事例についても解説!
4M変化点や変更点の管理
品質不良は4Mの変化や変更によって生じます。製造現場で品質に影響を及ぼす変化/変更を分類すると、以下のような表になります。
意図しない変化 | 意図的な変更 |
---|---|
・管理対象の予測しない変化 ・管理対象外の予期しない変化 ・未知の変化(何かが違う違和感) | ・設計変更による変化(特性の向上) ・現場改善による変化(品質の向上) ・日常の工程変更(増減産対応など) |
【「トヨタ流品質管理に学ぶ!はじめての変化点管理」を参考に作成】
製造現場の場合、4Mの意図しない変化によって品質不良が発生します。4Mの変化による品質不良は想定外であるため、未然に防ぐことは難しいです。そのため、4Mの変化を捉えて品質管理を行うためには、後述しているような「異常検知の仕組み」が必要不可欠です。
品質不良は、意図的な4M変更によって意図しない変化が引き起こされることでも発生します。そのような意味でも、異常検知の仕組みは変更点の管理にも有効です。
また、意図的な4M変更の場合は「製造現場に変更内容が伝わっている」ことが、品質不良の未然防止に効果的です。変更点は始業前準備の段階で情報共有を行ったり、作業手順書やマニュアルも更新をして変更点が漏れていない状態にすることが望ましいです。
今回ご紹介した内容は、「トヨタ流品質管理に学ぶ!はじめての変化点管理」の内容も交えてご紹介しています。より詳しく実践的な品質管理方法を知りたい方は、以下の画像をクリックして解説動画をご覧ください。
従業員に対する「品質教育」の整備
前述にはなりますが、経済産業省が公開している2019年度ものづくり白書では、品質トラブルの原因として「従業員教育の不足」が62%選ばれている結果となっています。(複数選択可,N=3,982)
新人受け入れ時の教育で、自社の品質方針や品質の重要性を伝える機会が不十分であると、日々の業務でも品質の重要性が薄れてしまい、作業手順などの標準を遵守する意識低下からヒューマンエラーによる品質不良/不具合を引き起こすことがあります。
また、中堅社員や熟練者の場合でも慣れによる行動から、意図せず不良を発生してしまう場合もあるでしょう。そのため、従業員に対する品質教育を実施する体制を整えることが望ましいです。新人受け入れ時の研修項目として、既存社員の定期研修として品質の重要性を伝える機会を整備しましょう。
これにより、品質の大切さが製造現場で浸透している状態になります。不注意によるミス予防だけでなく、品質向上につながるような改善提案が現場主体で上がってくるような状況も期待できます。
関連記事:【事例あり】品質教育で教えること12選!品質意識を高めるには?
不良/不具合など「現場の異常」を検知する仕組み化
すべての品質不良の発生をゼロにすることは現実的ではありません。
未然防止のための対策と同時に、不良品を市場に流出させない仕組みも大切です。不良品流出のような重大トラブルに発展する前に、自社内で現場の異常傾向を捉えて検知ができると最小限の影響範囲内で品質不良を抑えることが可能です。
実際に、製造現場の異常検知の仕組みを整えたことで、品質不良の対策につながったケースとして株式会社日本電気化学工業所の事例をご紹介します。
アルミニウム表面処理を行う同社では、製品の品質に影響を与える設備の温度データを可視化し、温度変化の異常を検知する体制を整えています。結果的に、設備の軽微な不具合傾向を早期に発見することができ、製品の品質不良を未然に防いだ効果にもつながっています。
同社が、具体的にどのようにして現場の異常を検知する仕組みを整えたのかは、後ほど詳しくご紹介しています。
作業手順や現場ルールなど「標準」を徹底する
製造現場の品質不良を未然防止するためには、安全で品質が担保された業務手順に沿って作業することが望ましいです。
現場のルールとして「標準」が存在する一方で、実行するヒトが『守らなかった』『知らなかった』といったことが起こると、品質不良が起こり得ます。標準の不遵守によって品質不良につながるケースとしては、以下の要素が考えられます。
- 作業標準と異なる手順で進めた結果、組立不良が発生した
- 本来使用すべき治具を使用しなかった結果、製品にワレやキズなどの不良が発生した
- 中堅者が慣れた手順に沿って、新人に対するOJTを行ってしまい誤った標準が伝わる
- 設備保全時に点検項目に沿った検査を行わずに、設備の不具合を見逃してしまう
このように、標準を守らなったことによって品質不良が発生することがあるため、標準を守る重要性(手順遵守)を伝えて徹底することが大切です。製造現場が安全で品質が担保された手順を遵守するだけで、ヒューマンエラーによる不良が減り、品質向上につながります。
実際、手順不遵守による品質不良が発生していた会社では、動画マニュアルを活用した標準の徹底に取り組んだ結果、不遵守による品質不良が9割減ったような事例もあります。
ここまで、さまざまな品質不良対策の例をご紹介してきました。
製造現場における品質不良のお悩み解消に取り組んできた私たちは、今回ご紹介した中でも「標準の徹底」「異常検知の仕組み」が特に有効だと考えています。次章以降では、その理由と実現する具体的な手法をご紹介します。
製造業の品質不良対策には「標準の徹底」「異常検知の仕組み」が有効
前章まで、品質不良対策の例をご紹介しましたが、製造現場で発生している品質不良は、原因によって具体的な対策は異なります。
ただ私たちは、基本的な品質不良対策の方針は「標準の徹底」「異常検知の仕組み」が共通のカギになると考えています。ここからはその理由と、それぞれを効果的かつ効率的に実行する具体的な手法をご紹介します。
不良対策に「標準の徹底」「異常検知の仕組み」が有効な理由
品質不良を出来る限り減らしていくためには、自社が管理できる領域を中心に対策を講じていくことが近道です。4M変化や設備不具合、原材料不良など自社でコントロールできる幅が少ない領域で対策をしても、短期的に不良品を削減することは難しいです。
自社がコントロールできる幅がある領域としては、製造現場で働く「ヒト」が介在する部分になるでしょう。思い込みといったヒューマンエラー、標準を守らなかったことによる作業ミスなどを減らしていくことが、品質不良を減らすために必要なことです。
また、品質をコントロールできる幅が少ない領域に対しては、「異常を早期に捉えて対策を講じる」ことで重大な品質トラブルに発展する前に解決する動きが望ましいです。この動きを取るために異常検知の仕組みが必要です。
このような理由から、製造業の品質不良を減らすために「標準の徹底」「異常検知の仕組み」が基本的な対策方針になると私は考えています。一方で、今の内容を見た方の中にも以下のように思われた方もいらっしゃると思います。
- 既にOJT教育や手順書整備で、標準化を進めているが効果が出ていない…
- 異常検知にはIoT化やスマートファクトリーなど、コストがかかる手段になりそう…
次からは、標準化の徹底で成果を出している改善手法と、異常検知の仕組みをかんたんに実現する方法をご紹介していきます。
「標準の徹底」で成果を出している改善方法
製造現場で、標準の徹底が上手くいっている方法として「動画マニュアル」が挙げられます。
製造業における現場のルール/標準は、基本的には作業などの動きです。三次元的な動きは、口頭ベースの教育や文字ベースの手順書/マニュアルでは伝わりにくいケースがあります。
実際、OJTや文書マニュアルで作業手順を伝えても、細かい動作やカンコツが伝わらず、作業ミスによる品質不良が発生しているという声を、製造現場の方から頂くことが少なくありません。そこで、動きを視覚的に分かりやすく伝える手段として動画マニュアルを活用することで、結果的に「標準の徹底」を実現できる環境が整います。
製造業における動画マニュアルの有効性や効果は、別紙のガイドブックで詳しくご紹介しています。活用事例も交えてご紹介していますので、以下の画像をクリックしてご覧ください。
「異常検知の仕組み」をかんたんに実現する方法
製造現場で異常検知をかんたんに実現する方法として「現場帳票のデジタル化」が挙げられます。
製造日報や点検表などの現場帳票が紙で運用されていた場合、現場の管理者が確認/承認を行うまで現場で発生している不具合傾向が見過ごされたまま生産されてしまい、結果的に不良率が上昇するケースが考えられます。
また、紙の現場帳票で可視化された不具合をExcelへ転記して分析する工数も発生します。結果的に、品質不良の原因特定から対策までも時間を要するため、早期に異常を検知できる仕組みがあることで、不良品数の発生抑制が可能です。
現場帳票のデジタル化に特化したツールであれば、帳票の記録/承認だけでなく、記録の自動グラフ化機能によって集計/分析の工数も大部分を削減することが可能です。そして、現場帳票デジタル化ツールであれば、異常値が記録された段階で管理者に通知が届く機能もあるため、リアルタイムで製造現場の異常を検知することが実現できます。
現場帳票のデジタル化を進める方法や効果は、別紙のガイドブックで詳しくご紹介しています。デジタル化に失敗するパターン例も解説しているので、以下の画像をクリックしてご活用ください。
【製品不良を改善】製造業における品質不良の対策事例
ここまで、製造業において品質不良が発生する原因や具体的な対策を網羅的に解説しました。また、私たちの考えとして、品質不良の基本的な対策方針は「標準の徹底」「異常検知の仕組み」とお伝えしました。
本章では実際にこの対策に取り組み、製品不良を改善した企業事例をご紹介します。
手順不遵守による品質不良を9割削減!児玉化学工業株式会社
住宅設備や自動車向けの樹脂製品を製造/販売する児玉化学工業株式会社では、動画マニュアル活用による業務標準化に取り組み、手順不遵守による品質不良を9割削減しています。
▼インタビュー動画:児玉化学工業株式会社▼
新人の従業員や外国人従業員を抱え、紙の作業手順書/マニュアルでは作業の手順やコツを伝えきれなかった同社は、動画マニュアルを活用したことで作業内容を視覚的にわかりやすく伝えることができました。
従業員が理解しやすくなかったことで作業手順の標準化が進み、結果的に手順不遵守による品質不良を9割削減しています。この品質改善は、かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」の活用によって実現した事例です。
より具体的な、動画マニュアルを活用した品質向上の取り組み事例は、以下のリンクをクリックしてインタビュー記事をご覧ください。
インタビュー記事:手順書作成の工数は紙の1/3になったと思います。動画で作るのはかんたんだし、学ぶ側にもわかりやすいですよね。
現場の異常を即座に捉えて不良を未然防止!株式会社日本電気化学工業所
アルミニウムの表面処理を専門に行う株式会社日本電気化学工業所では、現場帳票のデジタル化によって現場の変化/異常を迅速に捉え、品質不良の発生を未然防止することを実現しています。
▼インタビュー動画:株式会社日本電気化学工業所▼
紙の現場帳票を運用していた同社は、異常値の検出に時間を要し、不良/不具合対応を迅速に行うことが難しい状況でした。現場帳票をデジタル化したことで、軽微な数値変化でも不具合傾向を判断でき、迅速な対応によって品質不良の未然防止を実現しています。
同社の品質不良を未然防止できる体制は、かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」によって実現しています。より具体的な、現場帳票デジタル化による品質改善事例は以下のインタビュー記事をクリックしてご覧ください。
インタビュー記事:品質不良の未然防止をリアルタイムデータで実現。異常値検知を迅速にできた理由。
品質不良を改善できるシステム「tebiki現場教育」「tebiki現場分析」とは?
前述の内容は、私たちが展開する現場改善を目的としたシステム「tebiki現場教育」と「tebiki現場分析」による品質改善事例です。本章ではこの2つのシステムについて、機能などの概要をご紹介します。
かんたんに動画マニュアルを作成できる「tebiki現場教育」
tebiki現場教育は、動画編集未経験者でもかんたんに動画マニュアルが作成できるツールです。また、スキルマップ機能などを用いた、従業員の習熟度管理も行える現場教育システムです。
作業手順など「現場の動き」を視覚的に分かりやすく伝え、製造現場の業務標準化を推進することができます。業務標準化を助ける機能として、主に以下の機能をご用意しています。
- 100カ国語以上への自動翻訳
- 字幕の読み上げ(多言語にも対応)
- アクセス履歴等がわかるレポート機能
- オリジナルのテストを作成できるテスト機能
- 従業員のスキルを評価・可視化できる機能 など
今回ご紹介していない具体的な機能のご紹介、プランなどの情報は以下のリンクをクリックして概要資料をご確認ください。
>>かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」の概要資料を見てみる
現場帳票デジタル化で不良傾向を可視化「tebiki現場分析」
tebiki現場分析は、紙やExcelで運用されている製造日報などの現場帳票をデジタル化し、内容の記録/承認/集計/分析を効率的に行えるツールです。
帳票の雛形作成が簡単で、現場の作業者はストレスなく記録できます。さらに日々の記録をデジタル化することで異常を即座に検知し、管理者は素早い対策指示が可能になります。主に以下のような機能を実装しています。
- 申請から承認までの流れがスムーズ
- 正常値を設定することで、異常値アラートを出せる
- 画像記録機能
- 入力の手間を省く定時記録機能
- 記録した数値を自動で管理図等のグラフにできる
今回ご紹介していない具体的な機能のご紹介、プランなどの情報は以下のリンクをクリックして概要資料をご確認ください。
>>かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」の概要資料を見てみる
【補足】製品品質の確保には品質管理が大切
不良品を減らしていくためには、日常の品質管理が大切です。
品質管理とは、製造工程で製品の品質を管理する取り組みで、製品/サービスを提供するにあたって、製品品質を検査/検証し、保証することを指します。
品質管理の目的は、製品/サービスの品質維持や品質向上にあります。品質管理を正しく行うことで、顧客満足度の向上や不良品の削減が実現します。品質管理を疎かにすると、不良品が市場に流出し企業の信頼度が損なわれます。また、工程内不良が発生した場合、次工程に不良品を流さないよう工程を止めるため製造効率が悪くなります。
このような事態にならないためにも品質管理が大切です。品質管理を行うために、不良発生時にはQC7つ道具や新QC7つ道具、4M分析などのQC手法を活用し、製造現場の品質改善や品質問題の対策に取り組みます。
▼関連記事▼
・品質管理とは?品質保証との違いは?管理手法や品質改善のポイントを解説
・【図解】QC7つ道具と新QC7つ道具とは?覚え方や使い方をわかりやすく解説
・【図解あり】4M分析とは?問題整理や変更管理での分析方法を解説!
【まとめ】tebiki現場教育やtebiki現場分析で不良品を減らそう
製造業における品質不良とは、製品が設計図や仕様に従っていない状態、または顧客の要求を満たしていない状態のことです。
品質不良の原因は主にヒューマンエラーや材料不良、設備不良そして4Mの変化や変更などがあります。品質不良の原因は現場によってさまざまで、具体的な対策内容は状況によって異なるものの、基本的な対策方針は「標準の徹底」と「異常検知の仕組み」が有効です。
製造現場の標準/ルール順守を徹底する手段としては、tebiki現場教育を用いた動画マニュアルによる人材育成が、実際に品質向上を実現しています。また、異常検知の仕組みを効果的に実現する手段として、tebiki現場分析を用いた現場帳票のデジタル化による、品質不良の未然防止が実現可能です。
本記事でご紹介した2つのシステムの機能概要やプラン、詳しい改善事例は以下の概要資料に掲載しています。ぜひ品質向上に向けた情報収集の一環で、フォームをご入力のうえ資料をご覧ください。