業務効率を上げるためには、仕事で使っている書類を適切に管理することが重要です。しかし、「ISO関連の文書はペーパーレス化しても大丈夫なのか」と不安になっている方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事ではISO要件を満たす文書管理の方法を紹介します。
ISO規格の対象や求められる要件、ペーパーレス化するためのおすすめツールも解説するので、文書管理の方法を考えている方は最後までご覧ください。
ISOの文書管理要件を満たしていれば、ペーパーレスでの文書管理を行うことは全く問題ありません。帳票のような文書をデジタルで管理することをお考えの方に向けて、帳票デジタル化ガイドブックをご用意しています。本記事と併せてご活用ください。
目次
ISOとは?規格の対象も解説
ISOとは、スイスに本部を置く民間機関「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」の略称です。160カ国以上が会員であり、技術・管理・製造などの分野に関する国際規格を制定しています。
ISO規格=品質に関する国際的な規格
ISO規格とは、ISO(国際標準化機構)が定める、製品やサービスの品質・安全性・信頼性を保証する基準です。ISO規格の取得により、国別の基準の違いを解消し、国際取引を円滑に進めることができます。例として、「ISO9001」は顧客満足と製品品質の向上を、「ISO27001」は情報管理の基準を定めています。
ISO規格の対象
ISO規格の対象は、以下の2つです。
- 製品
- マネジメントシステム
製品
ISO規格は、製品のライフサイクル(設計から廃棄まで)全体にわたる品質と安全性の基準を設けています。例えば、「ISO68」はメートルねじの詳細を規定し、国際的な互換性を保証しています。ねじ山の形状・角度・寸法などを統一することで、部品の汎用性が高まり、製造効率を向上させることが可能です。
また、「ISO7010」は安全標識の国家基準を確立することで、緊急時の迅速な理解を促進しています。
マネジメントシステム
ISO規格は製品の品質だけでなく、組織運営の「マネジメントシステム」基準も設けています。その代表例が、製品やサービスの品質と顧客満足度の向上を目的とした基準「ISO9001」です。
製品の品質向上や顧客満足度向上など自社が実現したい目標に対し、基準に従って作業手順や業務フロー、数値的な標準を明確にして、PDCAサイクルを回す仕組みがマネジメントシステムです。
ISOの文書管理とは?
ISOの文書管理とは、ISOによって定められた組織内の文書を適切に管理するためのガイドライン・基準のことです。
特に「ISO 9001」では文書を「文書化した情報」と定義していて、これには電子的に保存された文書も含まれています。この「文書化した情報」は、情報管理をしやすくするために「文書」と「記録」の2つに分類されています。
ISO9001を認証取得するメリットや取得方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
関連記事:ISO9001(品質マネジメントシステム)とは?認証取得するメリットや流れ、難易度などを解説!
ISO9001が定める「文書化した情報」の管理とは
製品やサービスの品質を向上させ、顧客満足度を上げるための規格「ISO9001」では「文書化した情報」の管理の重要性を示しています。
ここでは企業がどのようにして品質を保証し、顧客の期待に応えるかという「ルールブック」をきちんと整備・運用することが重要とされています。
「文書化した情報」は、企業がどのように運営されているかを外部の人に示す証拠としても使われます。そのため、適切に文書管理をしておくことで、企業の信頼性・透明性を高められます。
文書
「文書化した情報」は「文書」と「記録」の2つに分類されます。「文書」とは、作業実行に不可欠な手順や方針などを含む情報で、作業手順書・マニュアル・プランなどが該当します。
これらは情報の不適切な使用・紛失を防ぐために、適切に保護することが重要です。また、文書の承認・配布などのプロセスも定義されているため、適合性が保証されるようになっています。
記録
記録は、実施されたプロセス・決定事項・改善事項・達成した結果など、証拠になるものを指します。具体的には、ミーティングの議事録・監査報告・作業記録などが含まれます。
情報が必要なときに正確にアクセスでき、記録管理できることが重要になるため、ISO9001では記録の適切な識別・保存・保護・検索・保持期間・廃棄方法について定められています。
ISOの文書管理で求められる7つの要件
ISOの文書管理で求められる要件は、以下の7つです。
- 適切な識別のための記述
- 適切な形式
- 適切な承認者による承認
- 文書の利用しやすさ
- 文書化した情報の保護・管理
- 変更点の管理
- 文書の保管と廃棄ルール
上記7つの要件をはじめ、ISO9001の規格や審査には様々な項目があります。ISO9001の取得前/取得後によく聞くお悩みについて、『ISO9001規格と審査がしっかりわかる教科書』の著者が専門的に解説した動画もご用意しておりますので、併せてご覧ください。
適切な識別のための記述
文書管理システムを効率的に運用するためには、文書の「適切な識別のための記述」が重要です。適切な記述を行うことで、必要な文書をすぐに見つけることが可能です。
具体的なポイントとして、文書番号・版数・発行日・作成者などの情報をつけることが挙げられます。これらの情報を記述することで、必要な文書が見つけやすくなるのはもちろん、その情報が最新のものかを簡単に確認できます。
また、文書の管理もしやすくなるため、不正なアクセスや情報漏洩を防ぐ効果も期待できます。
適切な形式
ISOのルールに従った文書管理は、情報をきちんと整理・保管し、誰でも必要な時に簡単に見つけられるようにすることが大切です。
特に電子文書は一般的に使われている形式で保存し、適切なセキュリティ対策を施す必要があります。そのため、フロッピーディスクや特殊なソフトで保存するのは避けましょう。
適切な承認者による承認
ISOの規則に従った文書管理では、文書が正確で目的に合っているかを確認するために、適切な担当者がチェックして承認することが大切です。文書が新しく作られたり、内容が変更されたりするたびにチェックをすることで、正確性が担保できます。
適切なチェックを行うためには、社員がどのように文書をチェック・承認するかを理解している必要があるため、文書管理の方法を学ぶ研修を行うことが重要です。
文書の利用しやすさ
ISOの文書管理では、文書が読みやすく、アクセスしやすくなっていることが大切です。例として、文書がキーワードやメタデータで適切に分類されていれば必要な情報をすぐ見つけられるため、業務効率を上げられます。
また、文書が統一されたフォーマットで書かれ、専門用語が適切に使われていると情報をスムーズに理解しやすくなります。さらに、使いやすさを向上させるために、文書のアクセス権を適切に設定しておきましょう。必要な人だけが情報にアクセスできるようにすることも重要です。
文書化した情報の保護・管理
ISOの文書管理システムでは、文書化された情報の保護と管理が重要です。文書の作成・保存・閲覧・改訂・廃棄のすべての段階で情報を管理することで、情報漏洩を防ぐことができます。
そのために、ファイルにアクセス制限をかけることや定期的にデータのバックアップをとることが不可欠です。
変更点の管理
ISOの文書管理では、変更点の管理を行うことも1つのポイントです。変更を適切に管理しないと古い情報に基づいて間違った判断をしてしまう恐れがあるため、文書のバージョンを管理しておくことが重要になります。
そのためにも文書を運用する際はソフトを利用して、何が変わったのか?誰がその変更を承認したのか?を明確に記録するようにしましょう。
文書の保管と廃棄ルール
ISOの文書管理には、文書の保管と廃棄に関して、厳しいルールが設けられています。正確に文書が管理されていないと、生産性が低下するだけでなく、情報漏洩やデータの紛失などのセキュリティの問題を引き起こす可能性があります。
こうしたリスクを減らすためにも、文書の保管期間やアクセス制限、廃棄する際の手順について明記することが重要です。
ISOの文書管理はペーパーレス化できる?
「ISOの文書管理はペーパーレス化してもいいの?」と疑問に感じている方もいらっしゃると思います。ここからは、ISOの文書管理をペーパーレス化できるのか?実施する上でのポイントについて解説します。
ISOの文書管理をはじめ、製造業では様々な書類が使われています。これらの書類をペーパーレス化するメリットや導入のコツ、成功事例については以下の記事でも解説しているため是非ご参考ください。
関連記事:製造業でペーパーレス化するメリットや成功事例を紹介!導入の手順やコツ、オススメのツールも解説
ISOの文書管理はペーパーレスでも問題ない
ISOの文書管理要件を満たしていれば、ペーパーレスでの管理を行うことは全く問題ありません。実際に、ISO基準は効率性・環境保護を推奨しているため、ペーパーレス化を行うことには肯定的な立場をとっています。そのため、ペーパーレス化を行って物理的な保管場所を減らし、文書にアクセスしやすくなることは企業にとって大きなメリットとなります。
ISOが要求するのは、文書の保管方法が紙ベースであるかデジタルであるかではなく、適切な記録が残され、権限のある人によって承認され、改ざんがないことを客観的に証明できるかどうかです。つまり「誰が」「いつ」「何を」「どう記録したのか」を正確に記録していれば、その記録がデジタルでもISOの基準には適合します。
記録を紙で行う場合、表記揺れや記入ミスなどのヒューマンエラーが起きるケースが少なくありません。正しい情報をリアルタイムに記録するという点では、帳票類の電子化を行いペーパーレス化する方がオススメです。帳票を電子化するメリットや方法は、以下の記事で具体的に解説しているのでご覧ください。
関連記事:帳票の電子化にはどんなメリットがある?導入実現に向けた進め方やツールも解説
ペーパーレス化に関する注意点
ISOの文書管理でペーパーレス化を進める際は、適切なセキュリティ対策を行うことが重要です。不正アクセスや情報漏洩を防ぐためには、セキュリティソフトの導入やセキュリティ研修などを実施することが効果的です。
また、電子文書を保存する際には、情報へのアクセスをしやすくするために将来も広く使われるファイル形式を選ぶことが大切です。
ISOの文書管理の方法は?ペーパーレス化のコツも紹介
ISOの文書管理を行う際は、以下の手順で進めるのがおすすめです。
- 文書体系図を作成する
- 文書管理規程を定める
- 文書管理やペーパーレス化するツールを決める
- 定めた文書管理規定のもとで管理を実行する
文書体系図を作成する
ISOの文書管理で文書体系図を使うことは、紙を使わずに効率的に情報を扱うために重要です。文書体系図は、組織内のすべての文書がどのように関連しているかを示す図で、これを使うことで必要な情報をすぐに見つけられるようになります。
例として、製造業の企業が文書体系図を用いることで製品の開発手順や品質管理のルール、顧客の対応方法などが整理され、会社のやりとりがスムーズになります。
文書管理規程を定める
ISO規格に基づく文書管理システムを確立するためには、文書管理規定を定めることが重要です。組織が文書の管理に関する方針・手順を明確にすることで、従業員が基準に沿って文書を作成・保存・管理・廃棄できるようになります。
また、規約を設定することで文書の重要度が明確になるため、不要な文書が溜まるのを防ぎ、すぐに必要な情報を見つけられるようになります。
文書管理やペーパーレス化するツールを決める
文書管理では、Excelと専用の文書管理システムの2つのツールが使われることが一般的ですが、ISOの文書管理基準に合わせてペーパーレス化を進める場合は、文書管理システムを使うのがおすすめです。
Excelは日常のデータ管理やリスト作成には便利な一方で、複雑な文書管理や高度なセキュリティ対策を行うには限界があります。そのため、文書の作成・保存・アクセス・保護・廃棄までのライフサイクルを一括でサポートできるような文書管理に特化したシステムを使うことが好ましいです。
定めた文書管理規定のもとで管理を実行する
ISOの基準に沿った文書管理を行うためには、組織で定めたルールに基づいて文書を適切に扱うことが大切です。
そのため、ペーパーレス化を成功させるコツは電子ファイルを効率的に整理し、安全に保管するためのルールを設定することだといえるでしょう。。
具体的には、ファイル名の規則を決めたり、どのようなアクセス権限を設定するかを明確にすることが重要です。ルールを明確にすることで必要な情報を見つけやすくなるだけでなく、安全に管理できるようになります。
ISOの文書管理をペーパーレス化するのにおすすめなツール
ISOの文書管理をペーパーレス化する際は、「デジタル帳票ツール」を使うのがおすすめです。ここでは、デジタル帳票ツールのメリットとおすすめのデジタル帳票ツール「tebiki現場分析」について解説します。
デジタル帳票ツールとは?
デジタル帳票ツールとは、帳票を作成・管理・出力するためのシステムやソフトウェアのことです。加えて、帳票を編集する権限を管理することやタグ付け機能によるフォルダ分けといった機能も有しているため、帳票の作成から運用、保管までを1つのツール内で行えることが特徴です。
帳票の作成や運用をメインとしたツールではあるものの、ISOが要求する「文書化した情報」の作成や管理にも応用できるという利点があります。帳票についての基本的な知識や管理方法の例については、以下の記事もご参照ください。
関連記事:帳票をわかりやすく解説!種類や管理方法、電子化の必要性は?
デジタル帳票ツールのメリット
デジタル帳票ツールを活用するメリットは、さまざまなフォーマットの文書を1箇所で管理できることです。同じツール内で閲覧や管理ができることで、手続きや承認プロセスが簡単に行えるようになります。また、データを一元管理することにより社内の膨大なデータを表やグラフとして視覚的に表示できるため、効率よく業務改善できるようになります。
帳票ツールの具体的な機能や選定のポイントについては、以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
関連記事:帳票ツールとは?帳票の概要や機能、選定のポイントを解説!
おすすめは「tebiki現場分析」
製造業でiso文書管理におけるペーパーレス化を行う場合は、現場帳票の作成・記録・承認・分析が簡単にできるデジタル帳票システム「tebiki現場分析」を活用するのがおすすめです。
このシステムを使うことで紙では難しかった画像の記録や遠隔での記録確認ができるため、煩雑な手続きがスムーズに行えるようになります。
tebiki現場分析がオススメな理由
「tebiki現場分析」は直感的に操作できるデザインなので、ITスキルに自信がない現場の担当者でも簡単に使えることが特徴です。Excelのように複雑な計算式やマクロを組み込む必要もないので、帳票業務にかかる時間を大幅に削減できます。
他にも、高水準なセキュリティ対策を備えているため記録の改ざんを防ぐことができる点や、文章や画像以外にもグラフ化したデータも保管できる点がISOの文書管理を行う上で有益だといえるでしょう。
tebiki現場分析の詳細な機能や導入サポート体制について、以下の画像から無料で資料をダウンロードできます。
ISOの文書管理をペーパーレス化したいとお考えの方や、製造業DXを推進したいとお考えの方は是非ご覧ください。
まとめ
この記事では、ISOの要件を満たす文書管理の方法について解説しました。
ISOの文書管理要件を満たしていれば、ペーパーレスでの管理を行うことは全く問題ありません。文書をデータで管理することで業務の効率化が図れるので、ぜひISOの要件を満たしたペーパーレス化を実施してみてください。
一方で、最初から文書管理の環境を整えるのは難しいため、これからペーパーレス化を行う方は専用のツールを使うのがおすすめです。帳票の作成・記録・分析が簡単にできるツール「tebiki現場分析」の詳細な資料は、以下の画像からダウンロードできますので、ぜひご覧ください。