現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 【ISO9001】要求事項をわかりやすく解説!現場では何が必要?運用のコツとは

ISOの要求事項に基づく教育訓練や文書管理に活用できる、動画マニュアル「tebiki」が運営するWEBメディア・現場改善ラボです。

ISO9001は顧客満足度の向上を目指す上で重要な規格ですが、「どうすれば複雑なISO9001の要求事項を満たせるの?」「そもそも、要求事項ではどのようなことを求められている?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、ISO9001の基礎知識から要求事項、そして現場での効果的な運用方法まで解説します。また、現場にISO9001を定着させるためのコツも解説しますので、是非ご覧ください。

ISO9001の要求事項として、「力量管理」を現場で耳にすることも多いはず。一方で、「従業員に必要なスキルを身につけさせる」という本来の目的から離れ、ISO更新のためだけに運用している力量管理になっていませんか?

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ISO9001とは?基礎知識をざっくり紹介

ISO9001顧客の期待を満たす製品やサービスを提供し、継続的な改善と顧客満足度の向上を目指して策定されている規格です。

ISO9001の規格を満たした製品やサービスの提供を通じて顧客の満足度が向上するため、企業にとって知っておきたい情報の一つだといえます。そこで、以下3点の内容について解説します。

  • ISO9001=顧客満足を担保するための規格
  • マネジメントシステムとは
  • ISO9001はなぜ必要?

ISO9001=顧客満足を担保するための規格

ISO9001は顧客満足を担保するための規格であり、品質マネジメントシステム(QMS)に関する国際規格です。

引用元:一般社団法人 日本品質保証機構 

ISO9001は、組織が顧客の要求を満たし、満足度を高める製品やサービスを提供するための指針・方針を示しています。
さらに、あらゆる業種や規模の組織に適用可能で、品質目標の設定、プロセスの管理、パフォーマンスの評価、改善のための手段を示している点も特徴です。

ISOについての基礎的な内容は、以下の別記事でも詳しく解説していますので、是非ご覧ください。

マネジメントシステムとは

マネジメントシステムとは、組織が目標を達成するための一連のプロセス・仕組みのことです。具体的には、組織の運営を効率的に行うための規定や手順、責任と権限の体系を含みます。

ISO9001のマネジメントシステムでは、品質目標の設定、計画の実行、成果の評価、必要な改善措置の実施というサイクル(PDCAサイクル)を通じて、継続的な品質改善を実施することが求められています。

ISO9001はなぜ必要?

ISO9001は、組織にとって数多くのメリットがある規格です。まず、第三者機関による認証を受けることで、顧客や取引先からの信頼を獲得できます。ISO9001は組織プロセスの質を保証する国際規格なので、認証を受けることで「正しい工程を経て提供された製品」と評価され、取引先やお客様に安心感を与えられます。

さらにISOの要求事項を満たすことで、品質管理プロセスの標準化・効率化が進み、コスト削減や生産性向上を図ることが可能です。

またISO9001は継続的な改善を重視しており、PDCA(計画・実行・確認・改善)サイクルを回すことで組織全体のパフォーマンスを向上させ、競争力を強化することも可能です。特に製造業では、品質管理の徹底が製品の信頼性と市場での評価につながるため、ISO9001は欠かせない規格となっています。

ここまで、ISO9001に関する基礎的な情報をお伝えしました。では、実際の要求事項を満たすには、どのようなことが必要なのでしょうか。

次章では、ISO9001が要求している事柄について、例を挙げながらわかりやすく解説します。

これだけ読めばわかる!ISO9001の要求事項一覧

ISO9001の要求事項には、MSS共通事項固有要求事項があります。

MSS共通事項は、すべてのISOマネジメントシステム規格(MSS)に共通する基本的な枠組みです。各ISOの規格に合わせ内容に差異はあるものの、MSS共通事項には「組織の状況」や「改善」など、汎用的な項目が含まれます。

ISO9001固有要求事項は、MSS共通事項のうち、特に品質マネジメントシステムに関する要件です。たとえば、顧客重視や品質目標の設定、変更管理などが含まれます。

それぞれ分けて解説した方がわかりやすいため、日本産業規格の「品質マネジメントシステム」を参考に、以下の2項目に分けて解説します。

  • MSS共通事項
  • 固有要求事項

MSS共通事項

以下に、MSS共通事項の主要な項目を紹介します。

4.組織の状況

組織の状況は、組織の内部および外部の課題や状況を理解し、品質マネジメントシステム(QMS)の適用範囲を決定するための基本的な枠組みを示しています。

要求事項の細分化概要概要の例
4.1 組織及びその状況の理解組織が直面する内部および外部の課題を理解し、それがQMSにどう影響するかを評価する。SWOT分析を用いて組織の強み、弱み、機会、脅威を把握する。
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解利害関係者(顧客、従業員、サプライヤーなど)の要求や期待を理解し、それに応えるための活動を計画する。主要な顧客の品質要求や法令遵守の要件をリスト化し、定期的に確認する。
4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定QMSの適用範囲を定義し、どの部分がQMSの対象となるかを明確にする。QMSがカバーする製品ラインやサービス範囲を文書化する。
4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセスQMSを構築・運用するためのプロセスを特定し、管理する。
特に、プロセスの運用に必要な文書化した情報を保持する。
QMSのプロセスフローを作成し、各プロセスの責任者を決定する。
製造工程で使用される機械の運用マニュアルや点検記録を保管し、適時レビューする。

5.リーダーシップ

リーダーシップは、経営者が品質マネジメントシステムに対して積極的なリーダーシップを発揮し、全体の方向性や方針を示すことを求めています。

要求事項の細分化概要概要の例
5.1 リーダーシップ及びコミットメントQMSに対してリーダーシップを発揮し、コミットメントする。具体的には、QMSの有効性に説明責任を負い、方針及び目標を設定し、組織のプロセスに統合し、リソースを確保し、リスクに基づくアプローチを推進する。経営者が品質目標を設定し、全社員に方針を伝える。
5.2 方針組織の品質方針を策定し、全社員に伝達する。
品質方針には、戦略性、目標とフレームワーク、要求事項を満たすこと、継続的改善が含まれる必要がある。
経営者が品質方針を文書化し、全社員に周知する。
5.3 組織の役割、責任及び権限組織内の各役職の役割、責任及び権限を明確にし、コミュニケーションを図る。役職ごとの責任と権限を定義し、文書化して全社員に配布する。

6.計画

計画は、品質マネジメントシステムの効果的な運用を確保するために、リスクと機会を評価し、品質目標を設定する計画の方法・手法を示しています。

要求事項の細分化概要概要の例
6.1 リスク及び機会への取組みQMSの成果に影響を与えるリスクと機会を評価し、対策を講じる。リスクに対しては、製品の不具合を減らすために原因分析を行い、防止策を実施する。
機会としては、新市場への進出や技術革新の活用を検討する。
6.2 品質目標及びそれを達成するための計画品質方針に沿った具体的な品質目標を設定し、達成計画を策定する。製品の不良率を年間で2%以下に抑えるといった具体的な目標を設定し、そのためのリソースや責任者を決定する。
6.3 変更の計画QMSに関連する変更が生じた場合、変更を計画的に管理する。変化点管理を実施する。
具体的には変更を記録し、影響を評価する。

7.支援

支援は、必要なリソースを確保し、従業員の能力を高めるための支援活動を定義し、品質マネジメントシステムの効果的な運用を支えます。

特に「7.2 力量」は、特定の業務を遂行するために必要な技能や知識であり、この力量を管理することが従業員のスキル育成に欠かせない要素だといえます。
力量や力量管理(スキル管理)については、別記事でも詳しく解説しているため、本記事と併せご覧ください。

要求事項の細分化概要概要の例
7.1 リソースQMSを実施、維持、改善するために必要な資源(必要な人材、インフラ、作業環境、監視測定リソース、知識の管理など)を特定し、提供する。新しい機械の導入に向けた予算と人員を確保する。
7.2 力量従業員が必要なスキルを持っていることを確保し、適切な教育や訓練を提供する。定期的な研修プログラムを実施し、従業員のスキルを向上させる。
7.3 認識従業員が品質方針や目標について理解し、自分の貢献が品質にどう影響するかを認識させる。品質に関する社内ミーティングを開催し、QMSの重要性を共有する。
7.4 コミュニケーションQMSに関連する情報を、適切なタイミングと手段で内部および外部に伝達する。顧客やサプライヤーとの品質関連の会議を定期的に開催し、全社にも共有する。
7.5 文書化した情報QMSに必要な文書を適切に管理し、最新の状態に保つ。QMS関連文書を電子ファイルで管理し、定期的に更新する。

8.運用

運用は、製品やサービスの提供に関するプロセスを計画して管理するための指針を示し、品質を確保します。
ISO9001では、特に重要視される内容が多く含まれており、必見の項目だといえるでしょう。

要求事項の細分化概要概要の例
8.1 運用の計画及び管理製品やサービスの提供プロセスを計画し、管理する。製品開発プロセスのフローチャートを作成し、プロセスごとに責任者を明確にする。
8.2 製品及びサービスの要求事項顧客の要求事項を明確にし、製品とサービスがそれを満たすためのプロセスを確立する。顧客からのフィードバックを集め、サービスに対する満足度を調査する。
8.3 設計及び開発製品やサービスの設計・開発プロセスを管理する。新製品の設計プロセスを明確にし、設計レビューを定期的に行うことで、問題の早期発見を図る。
8.4 外部提供者の管理外部提供者からのプロセス、製品、サービスが要求事項を満たすことを確保する。サプライヤー評価基準を設定し、定期的に評価を実施する。
8.5 製造及びサービス提供製品やサービスの製造・提供プロセスを管理し、品質の確保に必要な要件を明らかにする。製造工程ごとの作業手順書を作成し、標準作業を確立する。
8.6 製品及びサービスのリリース顧客へのリリースを行う前に製品やサービスが要求事項を満たしていることを確認し、適切な手続きを実施する。出荷前検査を実施し、製品の品質を確認する。
8.7 不適合アウトプットの管理不適合品やサービスを特定し、誤った使用や引渡しを防ぐために適切に管理する。不適合品を隔離し、原因を調査し、是正措置を実施する。

9.パフォーマンス評価

パフォーマンス評価は、品質マネジメントシステムのパフォーマンスを監視・測定し、分析するための評価プロセスを示します。

要求事項の細分化概要概要の例
9.1 監視、測定、分析及び評価QMSのパフォーマンスや有効性を評価するために必要な監視、測定、分析及び評価を実施する。定期的に品質パフォーマンス指標を測定し、分析レポートを作成する。
9.2 内部監査定期的に内部監査を実施し、QMSの適合性と有効性を評価する。年に2回、品質管理システムの内部監査を行い、報告書を作成する。
9.3 マネジメントレビューQMSのパフォーマンスを評価し、改善点を特定するために、経営層がレビューを行う。半年ごとにマネジメントレビューを実施し、戦略的な改善計画を策定する。

10.改善

改善は、品質マネジメントシステムの継続的な改善を図るための手法と、不適合品の管理および是正処置を定義します。

要求事項の細分化概要概要の例
10.1 一般顧客要求事項を満たし、顧客満足を向上させるための改善機会を特定し、実施する。製品の品質向上のために、顧客からのフィードバックを基に改善策を考案し実行する。
10.2 不適合及び是正処置不適合が発生した場合、その対処と原因除去のための措置を講じる。不適合品の発生原因を分析し、再発防止を行う。

ISO9001の固有要求事項

ここではISO9001で特に重要視される、以下の固有要求事項について詳しく解説します。一部はMSS共通事項でも解説しましたが、ISO9001では特に重要視されることがあるため、改めて詳しくご紹介します。

5.1.2 顧客重視

ISO9001における顧客重視は、「5.リーダーシップ」の中の1項目で、組織が顧客の要求と期待を満たすための項目です。日本産業規格の「品質マネジメントシステム」では、以下のように定義されています。

トップマネジメントは、次の事項を確実にすることによって、顧客重視に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。

a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を明確にし、理解し、一貫してそれを満たしている。
b) 製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与え得る、リスク及び機会を決定し、取り組んでいる。
c) 顧客満足向上の重視が維持されている。

つまり、顧客重視では最高経営者が顧客重視の重要性を理解し、組織全体に浸透させることが求められます。具体的には、顧客のニーズを常に把握し、変化に対応するための柔軟なシステムを構築することが必要です。

たとえば、顧客からのフィードバックを積極的に収集し、顧客の意見や要望を製品やサービスの改善に反映させることが挙げられます。また顧客満足度調査を定期的に実施し、その結果を経営戦略に反映させることで、顧客との信頼関係を強化することも行うと良いでしょう。

6.3 変更の計画

変更の計画は「6.計画」の中の1項目で、品質マネジメントシステムの一環として、組織が変更を管理するためのプロセスを定める項目です。日本産業規格の「品質マネジメントシステム」では、以下のように定義されています。

組織が品質マネジメントシステムの変更の必要性を決定したとき、その変更は、計画的な方法で行わなければならない(4.4参照)。 組織は、次の事項を考慮しなければならない。

a) 変更の目的、及びそれによって起こり得る結果
b) 品質マネジメントシステムの“完全に整っている状態”(integrity)
c) 資源の利用可能性
d) 責任及び権限の割当て又は再割当て

変更の計画では、変更が品質に与える影響を最小限に抑えるための計画と実行が求められます。

具体的には、変更が発生した際に評価し、影響範囲を特定して必要な対策を講じることが重要です。たとえば、新しい製品の導入やプロセスの変更に伴うリスクを評価し、適切なリスク管理策を実施します。
また変更に関する情報を関係者に適時に伝達し、変更後の状況を監視することで、問題の早期発見と迅速な対応を可能にします。

7.1 資源

資源は、「7.支援」の中の1項目で、品質マネジメントシステムの効果的な運用に不可欠です。資源では、組織が必要な資源を確保し、適切に管理するための指針が示されています。
資源は、以下の6項目に分かれています。

要求事項の細分化概要概要の例
7.1.1 一般品質マネジメントシステムの運用に必要な資源を明確にし、提供する。資源は内部・外部ともに考慮する。組織が必要な機械設備や技術を外部提供者から取得する計画を立てる。
7.1.2 人々品質マネジメントシステムの効果的な運用に必要な人材を提供する。特定の製造ラインに十分な技術を持つ作業者を配置する。
7.1.3 インフラプロセス運用に必要なインフラ(設備・建物・技術など)を提供する。製造に必要なハードウェアやソフトウェアを定期的に更新・メンテナンスする。
7.1.4 作業環境プロセスの運用と製品・サービスの適合を達成するために必要な環境を提供する。労働環境の改善として、作業者のストレス軽減を図る職場環境を整備する。
7.1.5 監視及び測定のリソース製品やサービスの適合を検証するために適切な測定器を提供する。測定器は定期的なメンテナンスやチェックを行い、その結果を記録する。
7.1.6 組織の知識プロセス運用に必要な知識を明確にし、利用できる状態にする。過去のプロジェクトで得た知見をマニュアル化し、組織全体で共有して活用する。

9.1.2 顧客満足

顧客満足の評価は、「9.パフォーマンス評価」の中の1項目で、組織が提供する製品やサービスが顧客の期待にどの程度応えているかを測定するための項目です。顧客満足では、顧客満足度を評価し、その結果を改善活動に反映させることが求められます。

具体的には、顧客アンケートやフィードバックシステムを活用して、顧客の満足度を定期的に測定します。測定したデータを分析し、顧客の期待と実際の提供価値とのギャップを特定し、必要な改善策を講じることが重要です。

ここまで、ISO9001の要求事項について詳しくご紹介しました。記載したように、ISO90001の要求事項を満たすには、かなりの量の活動が求められます。本記事をご覧の方も、「要求事項って複雑だし、量が多いな…」という印象をお持ちではないでしょうか。

次章からは、ISO9001の運用・管理のコツやポイントについて詳しく解説します。

ISO9001の運用が大変!どうすれば良い?

ISO9001の導入は、組織の品質管理を向上させ、顧客満足度を高めるために重要です。特に製造業の現場でISO9001を効果的に運用するには、詳細な要求項目の整備と管理が不可欠です。

一方で、以下のような課題が挙げられます。

  • 要求項目を文書化し、整備/管理するのが大変
  • 要求項目を守らせるのが大変

要求項目を文書化し、整備/管理するのが大変

ISO9001の要求事項は詳細で、すべてを紙マニュアルで管理し、業務で実践することは非常に難しい傾向にあります。例として、要求事項「7.支援」における文書化した内容の整備が大変でしょう。

ISO9001「力量」の要求内容

たとえば、「7.2 力量」では、業務に必要な力量を明確にしたうえで、適切な教育を通じて社員が力量を身につけられるようにする必要があります。その後、力量を身につけるために行った処置の有用性を評価し、力量の証拠として文書化した情報を管理します。

これらを効率的に行うには、業務に必要な力量を明文化(文書化)し、力量管理表(スキルマップ)に落とし込むといった方法で滞りなく遂行・管理することが重要です。

一方で、要求項目をすべて文書化し、適切に管理することは現場の負担になることも少なくありません。特に、紙ベースでの管理や手作業による更新には、以下のような課題がありがちです。

  • 必要な情報にすぐアクセスできない
  • 書き漏れや内容のムラがある
  • 管理や保管のコストがかかる

要求項目を守らせるのが大変

ISO9001の要求事項という「標準」を守り、一定の品質を保つことは多くの企業にとって難しい課題です。
主な原因として、属人化の排除や業務の標準化、マニュアルや作業手順書の整備が困難であることが挙げられます。

属人化の排除が難しい理由は、現場のノウハウが特定のベテラン社員に依存している場合が多いためです。彼らが持つ知識や経験が文書化されず、個人に頼った業務運営が続いてしまうと、退職や異動が発生した際に、そのスキルが失われてしまいます。
結果として業務の一貫性を欠き、業務品質がばらつく原因となります。

また、業務の標準化は、各作業者が同じ方法で仕事を行うことを目的としていますが、実際には現場ごとに異なる手法が採用されているケースが多く、統一したやり方を導入するのは簡単ではありません。

さらに、マニュアルや作業手順書を整備しても、それが最新の状態に保たれなければ、効果的な標準化は実現しません。特に、業務内容が頻繁に変わる製造業では、紙による手順書の更新が追いつかず、実際の作業内容と乖離することが課題となります。

こうした状況を改善するためには、業務を可視化し、従業員教育を通じて標準化された手順を明確にすることが重要です。

本章で解説した、「文書化した要求項目の管理/運用」や、「要求項目の標準化」は、どのようにして解決できるのでしょうか。

次章からは、有効な解決手段の1つである「文書のデジタル化」について解説します。

ISO9001に関する文書は「デジタル化が可能」

ISO9001に関する文書は一定の条件を満たすことで紙でもデジタルでも管理することが可能です。
実際に、ISO基準は効率性・環境保護を推奨しているため、ペーパーレス化を行うことには肯定的な立場をとっています。そのため、ペーパーレス化を行って物理的な保管場所を減らし、文書にアクセスしやすくなることは企業にとって大きなメリットとなります。

ISOが要求するのは、文書の保管方法が紙ベースであるかデジタルであるかではなく、適切な記録が残され、権限のある人によって承認され、改ざんがないことを客観的に証明できるかどうかです。つまり「誰が」「いつ」「何を」「どう記録したのか」を正確に記録していれば、その記録がデジタルでもISOの基準には適合します

文書化した情報の要求内容に関する記述

デジタル化のメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 最新の情報を即座に反映できる
  • 検索機能を活用して必要な情報を迅速に取得できる
  • 複数人に簡単かつリアルタイムで共有できる
  • 必要な個所だけ簡単に更新できる
  • 物理的な保管スペースを削減できる

デジタル文書は容易に更新でき、全従業員に瞬時に共有できるため、情報の正確性と一貫性を保つことが可能です。さらにアクセス制御やバックアップ機能を利用することで、文書のセキュリティを強化し、災害時のリスクを軽減することも可能です。

デジタル化の詳細なメリットや実践方法については、こちらの別記事のほか、以下のハンドブックでも詳しくご紹介しています。


ISO9001の文書管理に動画マニュアルが最適な理由を見る

次章からは、ISOの要求事項を適切に文書化し、かつ現場に定着させるのに最適なツールである「動画マニュアル」について解説します。

ISO9001の管理をデジタル化し、現場に定着させるには「動画マニュアル」

ISO9001を効果的に現場に定着させるには、デジタル化に加えわかりやすい教育ツールが必要です。教育ツールの中でも、特におすすめなのが「動画マニュアル」です。従来の紙ベースのマニュアルや文書管理では難しい部分を、動画を用いることで効率よく伝えることが可能です。

以下では、動画マニュアルのメリットと具体的な活用方法について詳しく説明します。

動画マニュアルによる運用のメリット

動画マニュアルとは、業務手順や操作方法などを動画形式で記録し、従業員が視覚的に学習できるようにしたツールです。動画マニュアルは、視覚と聴覚を使って情報を伝えるため、文書ベースのマニュアルより理解しやすいという特長があります。

文字が多い文書ベースのマニュアルより、「動画」の方が伝わりやすい

特に、ISO9001のような詳細な要求事項を現場で運用する際に動画マニュアルは非常に有効で、以下2つのメリットが挙げられます。

  • 要求事項を簡単に文書化できる
  • 標準化の推進

要求事項を簡単に文書化できる

動画マニュアルは、ISO9001の要求事項を簡単に文書化する手段として有効です。動画マニュアルであれば検索が簡単で、必要な情報にすぐにアクセスできます。

また変更履歴の確認や復元が可能であり、過去のバージョンに戻すことも簡単。さらに承認フロー機能を使えば、適切なレビューや承認を経て動画を公開できるため、ISOの要求事項を満たすための文書化が容易に行えます。

例として、作業手順の変更があった場合は、変更内容を動画で記録し、承認を得た後に全従業員に共有することで、最新の手順を確実に周知することが可能です。

標準化の推進

動画マニュアルは業務の標準化を促進するうえでも効果を発揮します。動画という同じ教材を使用することで、教育者ごとに発生しがちな教育内容や教え方のムラが生じにくく、結果として標準化の推進が期待できます。

さらに従業員は何度でも同じ動画を視聴できるため、複雑な内容でも迅速に理解度を高めることが可能です。OJTでは指導者がつきっきりで教える必要がありますが、動画マニュアルを使用すれば従業員の自学自習が可能となり、指導者の負担を軽減できるだけでなく、教育の効率も向上します。

ほかにも、動画マニュアルの詳しいメリットや教育効果について、以下のハンドブックでも詳しくご紹介しています。


マンガでわかる!動画マニュアルで現場の教育をカンタンにする方法-1

次章からは、簡単に動画マニュアルを作成でき、スキルマップ機能も備えたおすすめの動画マニュアル「tebiki」についてご紹介します。

おすすめな動画マニュアルは「tebiki」

tebiki」は動画マニュアルの作成が簡単で、特にISO9001の要求事項「7.2 力量」に関連する内容に役立つ機能が多く搭載されているツールです。

tebiki gif画像

使いやすくて編集操作が誰でも簡単

tebikiの1番の特長は、誰でも簡単に動画マニュアルを作れる点です。シンプルな操作画面だからこそ、動画編集経験がない方でも直感的に操作することができます

編集に時間がかかる字幕生成を自動で行う機能も搭載されているため、1つの動画をサッと15分程度で作成している企業の方も多いです。tebikiを使えば、以下の画像のようにたった3STEPで動画マニュアルを作成できます。

tebikiの動画マニュアル作成までのステップ説明

動画マニュアルだけでなく、文書マニュアルの作成も可能です。用途や目的に合わせて、マニュアル作成が行えます。

自動翻訳機能搭載で、外国人スタッフ教育も可能

動画の再生画面で「言語切り替えボタン」を押すと、翻訳したい言語へ一瞬で切り替わる機能が搭載! これにより、外国籍のスタッフは、母国語で教育を受けられるため技術が定着しやすくなります。

製造業をはじめ多くの現場で外国人労働者が増えており、これからも増えていくことが予想されます。tebikiならば、翻訳工数を一切かけずに作業手順書を作成できます。

tebikiなら100ヶ国語以上に対応した自動翻訳機能が搭載されていることが分かる編集画面

作って終わりじゃない!力量を管理できる教育管理機能も搭載

動画編集機能だけではなく、タスク機能やレポート機能があるため、習熟度の管理が可能です。そのため、「マニュアルを作って終わり」ではなく、力量を管理し、要求事項を現場に定着させやすいという特長もあります。

ISO9001の要求事項7.2「力量」の要求にtebikiの機能なら応えられることを示す図

たとえばtebikiを使用すれば、作業手順を動画で記録し、編集して共有することが簡単にできるため、「7.2 力量」の要求事項を満たせます。ISO9001の運用において、効率的で効果的な動画マニュアルを活用することで、現場の負担を減らし、品質管理の向上を図ることが可能です。

スキルマップ機能×動画マニュアルのかけ合わせで相乗効果も

tebikiは動画マニュアルだけでなく、スキルマップを作成できる機能も備えています

tebikiを使ってスキルマップを作成することで、教育計画とカリキュラムを一元管理し、スキルの習得状況をリアルタイムで把握することが可能です。

スキル管理に役立つtebikiの機能を表す画像

スキルマップを紙やExcelで管理している場合、現場教育のアクションがスキルマップに紐づかず、バラバラに運用されることが多いという課題があります。しかし、tebikiではスキルマップと動画マニュアルがシームレスに連携します。

たとえば、あるスキルが不足していると判明した場合、そのスキルに対応する動画マニュアルをすぐに視聴できるように設定することで、教育と評価が一体化します。またISO資格の取得を目的とした年1回の更新だけでなく、日常的にスキルマップを活用することで、スキルの習得状況や教育の効果を継続的に監視・改善できます。

本記事でご紹介したtebikiの詳細な資料は、以下の画像から無料でダウンロード可能です。

「ISO9001の要求事項を満たし、効果的に運用したい」「効果のある現場教育の方法について知りたい」とお考えの方は、是非ご参考ください。


動画マニュアルがかんたんに作れる「tebiki」の概要を見る

tebikiをISO9001の導入に活用しよう【まとめ】

ISO9001とは顧客満足を担保するための品質マネジメントシステム規格であり、組織全体の管理プロセスを整備します。

ISO9001の運用における主な課題には、要求項目の詳細さと整備・管理の難しさ、標準を守り一定の品質を保つことの難しさ、文書のデジタル化の必要性が挙げられます。
課題に対して、効率的な運用方法として動画マニュアルの活用が有効です。

動画マニュアルは、要求事項を簡単に文書化し、標準化を促進するためのツールです。検索が簡単で、変更履歴の確認や承認フロー機能があり、ISOの要求事項を満たす文書化が容易になります。また同じ教材を使って教育することで、内容にムラが生じず、現場の負担を軽減できます。

特におすすめなのが「tebiki」です。tebikiは簡単に動画マニュアルを作成でき、特に力量の管理に関連する機能が豊富です。

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