現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 フォークリフト公道走行時の安全運転や荷役ルール・免許:安全教育のコツまで徹底解説【経験者監修】

※本記事は、物流現場で18年のキャリアを持ち、物流現場の作業から安全責任者まで歴任した筆者が実務経験に基づいて執筆しています。

事業拡大や倉庫の分散化に伴い、公道を利用する必要がある事業所も多いのではないでしょうか。ただ、法令の複雑さから正しいルールの周知に苦労されているケースも少なくありません。

事故や法令違反など、たった1度の過失が企業の社会的信用を失い、稼働停止につながるリスクがあるからこそ、正しい知識の習得と現場への浸透は必須です。

本記事では、フォークリフトが公道を走行するために必要となる免許やナンバープレートの手続き、公道で絶対に行ってはいけない禁止行為について詳しく解説します。さらに、ルールを形骸化させず、現場の安全意識を根本から高めるための教育のコツについても紹介します。

是非最後までお読みいただき、重大な事故や法令違反のリスクを回避し、安心して働ける現場づくりの参考にしてください。

目次

フォークリフトの公道走行で必須となる運転免許と手続き

まずは、フォークリフトで公道に出るために具体的に何を準備し、どのような資格が必要なのかを以下の3つの観点から解説します。

  • 車両区分に応じた運転免許が必要
  • ナンバープレート取得と納税の義務
  • 公道上での荷役作業は道路使用許可の申請が必要

車両区分に応じた運転免許が必要

前提として、フォークリフトで公道を走行する際、運転者はその車両区分に適した運転免許を保有していなければなりません。工場内での作業に必要な”フォークリフト運転技能講習修了証”だけでは、公道を走行することはできないため注意が必要です。

フォークリフトは車両の大きさや最高速度によって”小型特殊自動車”または”大型特殊自動車”に分類されます。それぞれの区分に応じた必要な免許は、以下の表の通りです。

分類詳細必要な免許
小型特殊に該当するフォークリフト全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.8m以下で、最高速度15km/hを超えないもの小型特殊自動車免許あるいは普通自動車免許のいずれか
大型特殊に該当するフォークリフト上記の基準を超えるもの大型特殊自動車免許

自社の車両がどちらに該当するかを正確に把握し、運転者が適切な免許を所持しているか必ず確認を行うようにしてください。

ナンバープレート取得と納税の義務

公道を走行するフォークリフトには、ナンバープレートの取得とそれに応じた税金の納付が法律で義務付けられています。

隣接する倉庫へ移動するために数メートルだけ走行するだけでも、ナンバープレートを装着せずに公道を走ることは法令違反です。

ナンバープレートの申請先や課される税金の種類は、車両区分によって以下の通り異なります。

分類管轄(ナンバー申請するところ)税金
小型特殊市区町村軽自動車税
大型特殊運輸支局固定資産税

手続きを適正に行い、コンプライアンスを遵守した運用を徹底しましょう。 

公道上での荷役作業は道路使用許可の申請が必要

原則として公道での荷役作業は禁止されています。しかし、どうしても公道上で作業を行う必要がある場合には、事前に所轄の警察署長または道路管理者に対して”道路使用許可”を申請し、許可を得る必要があります。

許可なく作業を行うことは重大な法令違反となり、企業の社会的信用を失う恐れがあるため、必ず事前に手続きを済ませるようにしましょう。

次章では、フォークリフトの公道での禁止行為について深掘りします。

フォークリフトが公道で法令違反となる禁止行為

本章では、現場で無意識に行われがちな、法令違反となる禁止行為について、以下の2つを解説します。

  • 荷物を積載した状態での公道走行
  • 回転灯などを点灯させた状態での公道走行

荷物を積載した状態での公道走行

フォークリフトで公道を走行する際、荷物を積載したままの走行は禁止されています。「免許・ナンバープレートがあるから大丈夫」では、知らずに法令違反となるリスクがあります。

たとえば、別の倉庫へ荷物を運ぶ場合は、トラックに積み替えるか、私有地のみを通るルートを確保してください。「少しの距離だから」という現場の安易な判断が、重大な法令違反や事故につながることを周知徹底しましょう。

参考:一般社団法人 日本産業車両協会(JIVA)

回転灯・作業灯を装着した状態での公道走行

構内での安全確保のために取り付けられている『回転灯(パトライト)』や『作業灯』ですが、これらを装着したまま公道を走行することも道路運送車両の保安基準で禁止されています。

▼道路運送車両の保安基準

第42条

第四十二条 自動車には、第三十二条から前条までの灯火装置若しくは反射器又は指示装置と類似する等により他の交通の妨げとなるおそれのあるものとして告示で定める灯火又は反射器を備えてはならない。

引用元:e-Gov「道路運送車両の保安基準」

対向車や歩行者の幻惑を招き、事故を誘発する恐れがあるため、公道に出る際は必ず取り外さなければなりません。

次章では、フォークリフト公道走行を経験した筆者だからこそわかる、公道走行ならではの危険性をご紹介します。

【経験則】フォークリフトの公道走行特有の危険性

本章では、筆者の経験から公道走行時で特に注意すべき危険性を以下の3つで解説します。

  • フォークリフトの動きがわからない歩行者や車両の存在
  • 小さな後輪によるわずかなハンドル操作での急な方向転換
  • サスペンション機構がなく路面の凹凸の影響を受けやすい構造

フォークリフトの動きがわからない歩行者や車両の存在

ひとつめは、周囲の歩行者やドライバーがフォークリフトの独特な挙動を予測できない点です。

構内の作業員であれば「リフトは後輪操舵で後ろが大きく振れる」「荷物を置いたから次はバックしてくるだろう」といった特性を理解し、自然に距離を取ってくれます。しかし、一般の方はそのような乗用車との違いを知る由もありません

例えば、リフトが左折しようとした際、後部が右側に大きくはみ出す動きから、追い抜こうとした後続車やバイクに接触する事故が考えられます。

公道では、相手は自分の動きをわからないという前提に立ち、常に余裕を持った車間距離と早めの合図を徹底することが重要です。

小さな後輪によるわずかなハンドル操作での急な方向転換

フォークリフトは操舵輪である後輪の径が小さいという構造上、わずかなハンドル操作で車体の向きが急激に変わる特性があります。

特に公道走行時は構内よりもスピードを出すため、この特性が大きなリスクとなります。一般的な乗用車と同じ感覚でハンドルを切ると、想像以上に鋭角に曲がってしまい、対向車線へはみ出したりコントロールを失う危険があるからです。

直進時であっても、路面のわずかな傾斜や轍(わだち)にハンドルを取られやすく、常に細かな修正が求められます。公道では、いつも以上に慎重なハンドル操作を行う必要があります。

なお、フォークリフトの基本操作については、以下の記事で詳しく解説しています。自信のない方は併せて確認してください。

関連記事:【プロが解説】フォークリフトの運転方法|基本操作から荷役作業、事故防止の方法まで

サスペンション機構がほぼなく路面の凹凸の影響を受けやすい構造

フォークリフトには一般的な自動車のようなサスペンション(衝撃吸収装置)機能がほぼ備わっていません。そのため、路面の凹凸がダイレクトに車体へ伝わります。

公道には、構内の滑らかな床と違い、アスファルトの補修跡やマンホール、わずかな窪みが無数に存在します。不用意に乗り上げると、車体が激しく跳ね、コントロールを失う恐れがあります

公道走行に限らず、フォークリフトに起因する事故やヒヤリハットを撲滅するには、安全教育や安全対策を講じる中でこのようなフォークリフトの構造や特性を伝えることが重要です。ただ、「やり方がわからず伝わらない」「どうすれば効率的に周知できるか」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

フォークリフトの効果的な安全教育の方法や安全教育に成功した企業事例について、以下の資料にまとめました。気になる方はリンクをクリックし、詳細を確認してください。

>>資料「動画マニュアルを活用したフォークリフトの安全教育・対策事例」をダウンロードする

次章では、このことによるヒヤリハット事例や公道での事故事例をご紹介します。

フォークリフト公道走行における事故・ヒヤリハット事例

本章では、公道で発生した重大な死亡事故と、筆者が体験したヒヤリハットを紹介します。

  • 【死亡事故】フォークリフトで公道を走行中、湿田に転落、下敷きとなって死亡
  • 【ヒヤリハット】下り坂でハンドル操作ができなくなり生垣に激突

 【死亡事故】フォークリフトで公道を走行中、湿田に転落、下敷きとなって死亡

積荷作業後、別の工場へ荷を取りに行くため、フォークリフトで幅約2.4mの公道を走行中に発生した死亡事故です。道幅が狭く、路肩が雑草で隠れた急カーブを曲がる際、ハンドル操作を誤り1m下の湿田へ転落。運転者はリフトの下敷きとなり死亡しました。

災害発生現場見取図

原因は、運転資格のない作業員に運転を任せていたことや、スリッパ履きといった不適切な装備、さらに荷主側の車両管理体制の不備が挙げられます。

引用元:厚生労働省「職場のあんぜんサイト」

 【ヒヤリハット】下り坂でハンドル操作ができなくなり生垣に激突

前章でお伝えしたように、フォークリフトにはサスペンション機構がほぼありません。このことを理解し注意して走行しなければ、制御不能という最悪の事態を招きます。これは筆者が実際に経験したヒヤリハットです。

筆者は、大型(10t)フォークリフトを運転し、現場間を移動していました。右にカーブしている下り坂を下っているとき、地面に大きな窪みがあることに気づかず、スピードを出したまま乗り上げてしまいました。すると、下りで重心が前方に偏っていたこともあり、フォークリフト後方が大きく跳ね上がったのです。

フォークリフトは後輪操舵であるため、いくらハンドルをきっても宙に浮いているため進行方向は変わりません。

結局カーブに沿って曲がることはできず、そのまま歩道に乗り上げ生垣に突っ込み停止しました。もし歩道に歩行者がいたら、大事故は避けられなかったでしょう

フォークリフトの危険行為をなくすための具体的な安全教育の手法について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

関連記事:事例で学ぶ!フォークリフトの危険行為をなくす安全教育の実践法

次章では、「このような事故を防ぐための具体的なポイントは?」という疑問にお答えします。

フォークリフト公道走行時の事故を防ぐ安全運転ポイント

本章では、事故を未然に防ぐための具体的な安全運転のポイントについて、筆者の経験から4つご紹介します。

  • 歩行者や車両を優先
  • 前進走行の際はハンドルを両手で握り操作
  • 下り坂では必ず低速走行
  • いつも以上に外輪差に注意

歩行者や車両を優先

公道では常に歩行者や一般車両を優先させることを心がけてください。【フォークリフトの動きがわからない歩行者や車両の存在】でお伝えしたように、一般の歩行者や車両は、構内の作業員とは違い、フォークリフトの動きを予測できないからです。

例えば、公道でのトラックへの積み込み作業時、パレットを積み終えてバックしようとするとします。構内の作業員であれば、「次はバックしてくるだろう」とフォークリフトの動きを予測し行動します。しかし、一般の歩行者や車両は、それを知らずにフォークリフトのすぐ後ろを通過しようとするかもしれません。構内と同じように「待ってくれるだろう」では、大事故につながる恐れがあります。

相手はフォークリフトの動きを知らないという前提で、歩行者や車両を優先し、十分な安全を確保してから操作しましょう。

前進走行の際はハンドルを両手で握り操作

公道を前進走行する際は、自動車の運転と同じようにハンドルを両手でしっかりと保持して操作することをおすすめします。

構内での荷役作業ではスピンナーを片手で握る操作が一般的です。しかし、片手操作は同じ位置に固定しづらいという側面があります。

スピードが出やすい公道では、わずかなハンドル操作のブレが脱輪や衝突に直結します。両手でハンドルを構えることで直進安定性が高まります。

下り坂では必ず低速走行

下り坂に差し掛かった際は、必ず普段以上の低速走行を心がけてください。フォークリフトは構造上、下り坂でスピードを出すと重心が前方へ偏り、ハンドル操作が全く効かなくなる危険が高まるからです。

【【ヒヤリハット】下り坂でハンドル操作ができなくなり生垣に激突】でもあった通り、スピードが出た状態で上下の衝撃が加わると、後輪が浮き上がり、コントロールを失うことがあります。

下り坂ではスピードを出し過ぎず、いつでも安全に停止できる速度を維持しましょう。

いつも以上に外輪差に注意

公道のカーブや交差点では、いつも以上に”外輪差”への意識を強める必要があります。フォークリフトは後輪で舵を切るため、旋回時に車体の後部が外側に大きく膨らむ特性があるためです。

たとえば、左折時に内側への巻き込みばかりを気にしすぎると、右側に膨らんだカウンター部分が隣の車線の車両や追い越してきた車両に接触するリスクがあります。

特に大型のフォークリフトでは、この振り出し幅が想像以上に大きくなるため注意が必要です。

構内よりも道幅や周囲の障害物が限られる公道だからこそ、後方の膨らみを常に計算に入れた、慎重なライン取りを行いましょう。

これらの技術やノウハウは、マニュアルとして従業員に周知し、形骸化させないことが重要です。次章では、安全ルールが守られる職場づくりのコツを3つご紹介します。

安全ルールを「確実に守ってもらう」ための安全教育3つのコツ

本章では、法令違反や事故を防ぐためのルールを形骸化させず、現場の文化として定着させる教育体制の構築方法について、以下の3つの観点から解説します。

  • ヒヤリハットや事故事例を用いた定期的なKYTの実施
  • ベテランの感覚に依存しない正しい作業ルールの言語化と標準化
  • 複雑な法令や危険ポイントを直感的に伝える動画マニュアルの活用

ヒヤリハットや事故事例を用いた定期的なKYTの実施

ルールの形骸化を防ぎ、現場の安全意識を高く保つためには、定期的なKYT(危険予知訓練)の実施が重要です。

どれほど厳格な安全ルールを定めても、日々の業務に慣れが生じると、「自分だけは大丈夫だろう」「少しの距離だから問題ない」といった油断が生まれます。こうした慢心は重大な事故や法令違反の引き金となります

日々の業務内のリアルなシーンを題材に、「どこに危険が潜んでいるか」「どうすれば防げたか」を1人ひとりが主体的に考える機会を設けます。その際、前述した実際の事例などを用いることで、自分にも起こりうるリスクとして具体化され、現場の緊張感を維持できるのです。

KYTの形骸化を防ぎ、成功させるには動画の活用がおすすめです。実際の動作やシーンをイラストよりもリアルに再現でき、議論が活発化するなどのメリットがあるからです。そんな『動画KYT』について少しでも気になる方は、以下リンクをクリックし、資料をご覧ください。

>>資料「労災ゼロ!形骸化したKYTから脱却する動画KYTとは」をダウンロードする

ベテランの感覚に依存しない正しい作業ルールの言語化と標準化

特定の個人やベテランの経験に頼らない、誰が従事しても安全品質が保たれる”安全教育の標準化”を推進しましょう。

現場でよく見られるのが、細かな注意点や禁止事項がベテランの頭の中にしかないケースです。それでは、慣れない従業員が公道走行など新しい作業に従事する時、危険にさらされるリスクが高くなります

具体的には、「公道での積み荷の移動は禁止」などのルールや【フォークリフト公道走行時の事故を防ぐ安全運転ポイント】でご紹介したような安全運転の”コツ”を、企業の公式なルールとして明確に言語化しマニュアル化します。

正しいルールを組織全体で標準化することで、作業員全員が迷うことなく、常にコンプライアンスを遵守した正しい判断を下せるようになるのです。

複雑な法令や危険ポイントを直感的に伝える動画マニュアルの活用

法令やフォークリフト特有の動的な危険ポイントを伝えるには、視覚的に訴えかける”動画マニュアル”の活用が効果的です。

文字中心の紙のマニュアルや口頭での指示だけでは、カーブや無左折時の後輪の広がりや、路面の凹凸で車体が跳ねる衝撃といったリスクを正確にイメージさせることは困難です。特に経験の浅い作業員や外国人労働者にとって、専門用語の多い法令ルールを文章だけで理解するのはハードルが高いといえます。

動画であれば、そのような言葉では伝わりにくい細かなニュアンスまで正確に伝えることが可能です。

例として物流企業である株式会社近鉄コスモスは、以下のようなフォークリフトの搬送作業の禁止事項を伝える動画を作成し、効率的な教育を実現しています。

※「tebiki現場教育」で作成

なお、この動画は、誰でもかんたんに動画マニュアルが作れる動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」で作成されました。詳細が気になる方は、以下のリンクから資料をダウンロードしご覧ください。

>>動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を詳しく見てみる

まとめ

公道走行には技能講習修了証だけでなく、車両区分に応じた特殊自動車免許が必須です。さらに、ナンバープレートの取得や納税も法的な義務となっています。特に、公道での荷物の移動や許可のない荷役作業は重大な法令違反となるため、管理と現場への周知が不可欠です。

こうした複雑な法的ルールと公道特有の危険性を確実に浸透させるには、安全教育の標準化が欠かせません。本記事で解説した安全運転の方法や安全教育のコツを参考に、コンプライアンス遵守と事故ゼロを両立する現場体制を整えましょう。

ちなみに、ルールの周知には”動画マニュアル”が有効です。動画であれば、紙のマニュアルの伝わりづらさや、OJTでの品質のバラつきを防ぎます。

本記事でご紹介したポイントやかんたん動画作成ツール”tebiki現場教育”を是非活用し、従業員が安心して働ける安全な作業環境の構築に取り組んでみてください。

引用元/参照元

一般社団法人 日本産業車両協会(JIVA)

厚生労働省「職場のあんぜんサイト」

e-Gov「道路運送車両の保安基準」

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