現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 目視検査の課題はどう解決する?原因や4つの対策を紹介

目視検査とは、人間が肉眼で製品の傷や不具合をチェックする検査方法を指しています。目視検査は製品を出荷する前の最終検査として重要なプロセスであり、製品の品質を担保するために多くの企業が導入しています。

しかし「もっと効率よく目視検査を行いたい」「目視検査の精度が低いので改善したい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では目視検査について解説します。目視検査の種類や課題、検査の質を高める方法や現場に負担をかけずに目視検査を効率化するコツなどを紹介するので、製品の品質を向上させたい方は最後までご覧ください。

目視検査は不良品を排除するうえで重要な取り組みですが属人化しやすく、生産性の低下や品質の劣化を招く可能性があるため対策が必要です。属人化解消の実践的な方法について専門家が解説した動画を視聴できますので、併せてご覧ください。


品質と生産性の向上を実現する属人化からの脱却戦略 (2)

目視検査では何をする?代表的な検査種類も紹介

まず、目視検査で実施すべき作業と、検査手法を紹介します。

目視検査では何をチェックする?作業内容を紹介

検査員が直接目で見て、製品に異常がないかどうかを確認する目視検査では、以下の箇所を重点的に確認しています。

  • 形状や構造
  • 表面
  • 仕上がり

形状や構造

目視検査では、製品が設計通りの形状になっているかや、構造上の問題がないかをチェックすることが大切です。形状や構造が設計通りではない場合、製品の機能や見た目に大きな影響を与えるリスクがあります

例として、自動車の製造でブレーキシステムの形状に不良がある場合、ブレーキがうまく作動せず大きな事故につながる危険があります。そのため、製品が設計通りの品質を維持するためにも、形状や構造を確認することが重要です。

表面

目視検査では、製品の表面にあたるプラスチックや金属面に傷やへこみなどの不良がないかどうかも確認します。表面の状態は、その製品の印象を決定づける重要なポイントです

たとえば、家電製品や自動車のボディなど外見の美しさが重視される製品では表面の小さな傷やへこみが購買意欲の低下やクレーム発生の大きな要因になります。そのため、目視検査を通じて傷やへこみを早期に発見し、適切な対処をする必要があります。

仕上がり

目視検査では、表面塗装や組み立てが終わった製品を見て、納品して問題ないか最終チェックを行うことも不可欠です。塗装の質や組み立ての正確さなど、製品の仕上がりは顧客満足度に直結します

たとえば、家電製品に異音や塗装ムラがある場合、いくら性能に問題がないとしても顧客に満足してもらうことは難しいでしょう。そのため、高品質な製品で顧客を満足させるためには目視検査で製品の仕上がりを確認することが重要です。

目視検査の種類

目視検査には、以下のような種類があります。

  • インライン検査:製造ライン中で行う検査
  • オフライン検査:製品ラインとは別で行う検査
  • 全数検査:全ての製品に対して行う検査
  • 抜取検査:ランダムに行われる検査

それぞれの検査手法について、以下詳しく解説します。

インライン検査

インライン検査とは、製造ライン上で製品が次工程に進む前に行う検査のことです。高品質の製品を効率よく生産することが求められる自動車業界や電子機器製造業、食品業界などで導入されています。

インライン検査のメリットやデメリットは以下の通りです。

メリット・製造プロセス全体の品質を向上できる
・初期段階で問題を特定できるため、コストが削減できる
・不良品の早期発見や修正により、納期が短縮できる
デメリット・導入時に高額な設備投資が必要になる
・製造ライン上で行える検査には限界がある
・検査システムの設計や維持管理には専門的な知識が必要

オフライン検査

オフライン検査とは、製造ライン中で検査を行うインライン検査に対し、製品ラインから製品を一時的に取り出し専用の検査エリアで実施する検査のことです。ひとつひとつの品質を入念にチェックする必要がある医療業界や化粧品業界、航空宇宙業界などで導入されています。

オフライン検査のメリットやデメリットは以下の通りです。

メリット・製品を取り出して検査するため、検査時間を自由に設定できる
・製品をじっくり確認できるため、不具合を発見しやすい
・製造ラインから分離して検査するため、製造への影響が少ない
デメリット・別の場所で検査する必要があるため、時間とコストがかかる
・製造の後段階で実施するため、不良品が流出するリスクがある

全数検査

全数検査とは、製造された製品すべてに対して実施する検査のことです。不良品を徹底的に排除する必要がある化学業界や医療業界、自動車部品業界などで導入されています。

全数検査のメリットやデメリットは以下の通りです。

メリット・すべての製品を検査することで不良品の流出リスクが最小限に抑えられる
・不良品を最小限に抑えられるため、リコール数を減少できる
デメリット・すべての製品を検査するため、生産効率が低下する
・検査を行うために、多くの検査員が必要になる
・必要以上に高い品質基準を設けることで、製品のコストが上昇する

抜取検査

抜取検査とは、すべての製造品に検査を行う全数検査とは異なり、製造された製品からランダムにサンプルを選んで品質検査を行う方法です。低コストで不良品を排除できるため、アパレル業界やおもちゃ業界、食品業界などで導入されています。

抜取検査のメリットやデメリットは以下の通りです。

メリット全数検査と比べて、検査にかかる時間とコストを大幅に抑えられる検査環境や検査基準を調整しやすい破壊検査により、製品内部の品質を確認できる
デメリット全数検査と比べると、不良品を見逃すリスクが高い無作為抽出が正確に行えないと、検査結果が正確でなくなる全体の品質を推測するには、統計の知識が必要

目視検査のメリット/デメリット

目視検査を実施する利点と問題点は、以下の通りです。

メリット

目視検査を実施するメリットは、以下の2点です。

  • さまざまな検査に柔軟に対応できる
  • 比較的安価なコストで導入できる

さまざまな検査に柔軟に対応できる

目視検査は機械やシステムを導入する必要がないため、さまざまな検査に柔軟に対応できます。たとえば、検査項目や検査する部品が変更したとしても、すぐに対応することが可能です。

比較的安価なコストで導入できる

目視検査は比較的安価なコストで導入できます。高価な機械や専門的な検査装置が必要ないため、最小限の初期投資と運用コストで検査を行いたい方におすすめの検査方法です。

デメリット

目視検査には、以下のようなデメリットもあります。

  • 検査員の育成が大変
  • 精度がばらつきがち
  • 検査に時間がかかる

検査員の育成が大変

目視検査は検査員の育成が大変というデメリットがあります。検査員には、微細な不良品を見分ける鋭い観察力と検査基準に基づいた正確な判断能力が求められます。そのため、検査員を育成するためには長期間の実践練習を行うことが不可欠です。

精度がばらつきがち

目視検査には精度のばらつきが生じやすいというデメリットもあります。検査員によって視力や疲労・度合い・判断基準に違いがあるため、一貫した精度を保つのが難しい場合があります。そのため、検査基準を厳格に定め、検査員同士で情報共有を行うことが重要です。

検査に時間がかかる

目視検査は他の検査と比べて検査時間が長くなりがちです。検査員が製品を1箇所ずつ入念に確認する必要があるため、検査結果が出るまで時間がかかります。そのため、不良品が見つかった際に製造ラインを迅速に停止させるのが難しい可能性があります。

目視検査に限界はある?見逃しをひきおこす原因とは

目視検査には限界があることを知っておきましょう。人の目に頼った検査である以上、属人的なものであり、ヒューマンエラーが発生する可能性が高いです。

目視検査はヒューマンエラーに左右されやすい

目視検査は疲労や注意散漫など検査員のパフォーマンスによって検査の精度が変わってしまいます。そのため、高い品質基準を満たすためにはさまざまな検査方法を組み合わせて全体の品質を担保することが重要です。

ヒューマンエラーが発生するメカニズムや、ヒューマンエラーを防ぐ対策について詳しく知りたい方は、別記事「ヒューマンエラー対策12選!5つの要因とミスを回避するポイントは?」か、専門家が解説する以下の動画をご覧ください。


各種事例に学ぶヒューマンエラーの原因分析と対策法 (2)

目視検査で見逃しやミスが発生する背景

目視検査で見逃しやミスが発生する背景には、以下のような要因があります。

  • 人手不足による過度な負担
  • カンコツのブラックボックス化
  • 検査環境の不整備

人手不足による過度な負担

目視検査では人手不足による過度な負担が課題になっています。職場が人手不足に陥っていると、検査員1人当たりの検査量が増えるため、身体的に疲労や負荷が溜まりやすくなります

また、検査が終わらないプレッシャーで精神的にも負担がかかるため、十分な人員を確保することが大切です。

カンコツのブラックボックス化

目視検査にはカンやコツがブラックボックス化してしまうという問題もあります。

目視検査には高度な技術や技能が必要なため、後継者に上手く技術を伝承できないと同じ検査員が検査を担当するようになり、結果として技術伝承が進まないだけでなく検査の精度にムラが生じるリスクや熟練者の不在時に不良品が流失してしまう恐れがあります。

技術伝承を成功させるには、技術・技能伝承が進まない理由を把握したうえで現場に適した教育を行うことが必要です。現場改善ラボでは品質をつくり込める精鋭を育てる技術・技能伝承の進め方について、専門家が詳しく解説した動画をご用意しておりますので、是非ご覧ください。


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検査環境の不整備

検査環境の不整備も目視検査の精度を左右する重要な要素です。検査環境が整っていないと、検査員の作業効率や集中力に悪影響を及ぼします

たとえば、照明が不十分で明るさが足りない環境ではわずかな傷やへこみを発見できず、不良品を見逃す可能性が高まります。

目視検査を効率化する4つの対策

検査を効率よく行いたい方は、これらの施策を試してみましょう。

  • 作業環境を整備する
  • 周辺視目視検査法を導入する
  • 作業手順書を整備する
  • 検査を自動化する

作業環境を整備する

効率的に目視検査を行うためには、作業環境を整備することが重要です。良好な作業環境を整えることで、検査員の集中力と作業効率が向上し、目視検査の精度を高められます

たとえば、検査スペースが暗いと手元がよく見えないため、製品不良を見逃してしまいます。そのため、照明の光度・温湿度・騒音レベルなどを管理して、検査員が快適に目視検査を実施できる環境を整えるようにしましょう。

周辺視目視検査法を導入する

手際よく検査を行いたい方は、周辺視目視検査法を活用するのがおすすめです。
周辺視目視検査法とは製品の一部ではなく全体を周辺視野を使って見ることが特徴で、中心視野よりも周辺視野の方が動きをとらえやすいという人間の目の特性を利用した検査方法です。

周辺視目視検査法の具体的な進め方として、品質を満たした良品のイメージを事前に確認したうえで製品全体を目視し、良品かどうかを視線を動かさずに次々と確認するということが挙げられます。

この検査方法を活用することで目の疲れを軽減しつつ、見逃しやミスのリスクを減らすことが可能です。

作業手順書を整備する

目視検査を実施する際は、マニュアルを整備することが大切です。マニュアルに傷やへこみの見極め方、取り組むべき項目をリスト化することで検査員ごとの作業のばらつきを軽減することが可能です。

たとえば、マニュアルで見逃しやすい傷・へこみ・ゆがみを写真や画像で説明することで、入社したばかりの新人でも迷うことなく作業を進められます。これにより、複数の検査員がいてもミスなく作業を実施でき、検査時間や作業ミスを軽減させることが期待できます。

複雑な作業は動画マニュアル化がおすすめ

複雑な作業のやり方を伝える場合は、動画マニュアルを活用するのがおすすめです。動画で作業手順を伝えることで作業の流れをスムーズに理解できるため、効率よく教育を行えるようになります

たとえば、製品の傷やへこみを確認するタイミングやベテラン社員の検査スピードなどは、テキストのマニュアルで伝えることは難しいです。そのため、複雑な作業を伝える場合は実際に検査を実施している動画をマニュアルとして見せ、教育を進めるのがおすすめです。

現場教育に特化した動画マニュアルとしては「tebiki」がおすすめです。目視検査のような複雑な手順や動きが伝わりやすい動画マニュアルをスマホで撮影するだけで簡単に作成できるため、現場に負担をかけずにカンコツを伝承することができます。

他にも、自動翻訳機能や習熟度を可視化できる機能など、現場教育に役立つ機能が多数搭載されています。動画マニュアルtebikiの機能詳細や導入後の効果については、以下の画像から資料を無料ダウンロードできますので、是非ご覧ください。


tebiki WP 用-1

検査を自動化する

効率よく目視検査を行うためには、検査機器やシステムを活用して人力での作業を減らすことも重要です。検査の自動化を進めることで、人力の目視検査と比べて検査時間を短縮できます。

しかし、自動化するためには設備導入や基準値設定などを行う必要があるため、導入コストが高くなるというデメリットがあります。

ルールベース検査

ルールベース検査とは、定められたルールや基準に基づいて自動的に製品の品質を判断する検査手法です。寸法の範囲・色の基準・形状の特徴などあらかじめ設定されたルールに従って自動的に検査ができるため、ヒューマンエラーの発生を抑えることが可能です。

AI外観検査

AI外観検査とは、人工知能を用いて製品の画像から不良品を自動で識別する検査手法です。AIで多くの画像データを学習することで細かな傷やへこみといった不良を正確に識別し、かつ人間が検査を行うより迅速に検査を遂行できるため、作業工程の効率化が期待できます。

AI外観検査の仕組みやメリット/デメリット、導入の流れについては以下の記事でも解説しているため併せてご覧ください。

目視検査の効率化には記録が重要

目視検査を効率化するためには、記録を取ることが重要です。検査結果の詳細な記録を残すことで、不良品の発生傾向を特定しやすくなり、原因究明や再発防止策の策定が効率的に行えます

また、検査員間で記録を共有することで検査基準や検査方法のバラつきを抑えられるため、検査の精度向上も期待できます。

目視検査を完全に自動化することは難しい

目視検査の一部を自動化することは可能ですが、完全に自動化することは難しいです。検査装置を導入することで検査の速度や精度を向上できる一方で、細かい色の違いやわずかな変形を弾くことは困難です

また、製品の最終チェックは人間が行うのが好ましいため、記録を取る工程は自動化できません。そのため、効果的な目視検査を実施するためには検査装置と検査員を適切に配置することが重要です。

目視検査の効率化のカギは「記録の改善」

目視検査を効率化するためには、記録の改善を行うことが重要です。多くの製造現場では、目視検査の結果を紙の帳票に記録しています。しかし、毎回作業を中断して記録する必要があるため、工数がかかり作業効率が落ちるという課題があります

紙による帳票記録が目視検査の工数を増やしている

目視検査の結果を紙の帳票に記録すると、用紙の配布・収集を行う手間が発生するため、工数が増えてしまいます。また、製造ラインの不具合で不良品が急増した際に、すぐ確認できないという問題もあります。

そのため、目視検査自体のやり方を改善することも大切ですが、記録方法を改善する方が低コストで効率を高められるといえるでしょう。

帳票記録の改善には「帳票の電子化」がおすすめ

記録方法の改善には、現場で使われる「帳票」の電子化(デジタル化)がおすすめです。帳票を電子化することで記入の工数が減らせるだけでなく、いつでもどこでも帳票が確認でき、共有も簡単なため承認や確認が迅速に進められるというメリットがあります。

帳票の電子化によるメリットや電子化の進め方/コツについては、別記事「帳票の電子化にはどんなメリットがある?導入実現に向けた進め方やツールも解説」をご覧ください。

現場に負担をかけずに目視検査を効率化するなら「tebiki現場分析」

現場に負担をかけずに、記録の取り方を改善することで効率よく目視検査を行いたい方は「tebiki現場分析」を活用するのがおすすめです。

誰でも簡単に使える「デジタル現場帳票」

tebiki現場分析は、現場帳票の作成・記録・承認・分析が簡単にできるデジタル現場帳票ツールです。直感的に操作できるインターフェースで、誰でも帳票作成・記録入力ができるため、ITスキルに自信がない現場社員にもおすすめのツールです。

tebiki現場分析を活用することで、記入にかかっていた時間を大幅に削減できるだけでなく、入力ミスや入力内容のばらつきを抑え作業を標準化する効果が期待できます。

tebiki現場分析活用のメリット

tebiki現場分析を活用する最大のメリットは、迅速かつ正確に情報を共有できる点です。帳票はパソコンだけでなく、スマホでも閲覧できるため、自宅や他拠点にいても現場の状況を把握できます

また、異常値をリアルタイムで確認できるため、目視検査で異常が確認できた際にその場で情報を共有し、迅速に対応することが可能になります。
加えて、紙の帳票とは違って書き間違えがないため、正確に記録が残せるのはもちろん、検査記録を分析して効果的な改善案を策定できるというメリットもあります。

tebiki現場分析の機能詳細や導入サポートについて、以下の画像から資料を無料でダウンロードできます。tebiki現場分析を活用することで、目視検査のみならず記録に関する様々な業務を効率化できるため、「業務を効率化したい」「生産性を上げたい」とお考えの方は是非一度詳しい資料をご覧ください。


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まとめ

この記事では、目視検査の種類や課題、検査を効率化する方法などを紹介しました。適切な方法で目視検査を行うことで、低コストで製品の質を向上させられます。品質を担保することで、顧客満足度を向上させられるため、製造業に携わっている方はぜひ目視検査を実施してみましょう。

もし、効率よく目視検査を行いたいと考えている場合は「tebiki現場分析」を活用するのがおすすめです。ツールの詳細は以下の資料に記載されていますので、興味がある方はぜひご覧ください。


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