現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 作業日報ってどう書くの?書く目的や内容、テンプレートをご紹介!

作業日報は、業務の進捗や労働環境を記録する重要なドキュメントですが、書き方や目的は十分に理解されていないということも。

そこでこの記事では、「作業日報ってどう書くのか?」という疑問に答えるため、作業日報の目的やメリット、記載内容を詳しく解説します。さらに、業界別のテンプレートをご紹介し、効率的に作業日報を作成する方法をお伝えします。

また、作業日報の保管期間に関する情報もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。この記事を参考に、スムーズな作業日報作成を実現しましょう。

作業日報とは

作業日報とは、従業員が1日の業務内容や達成状況、労働時間などを記録する文書のことで、業務の進捗状況や問題点を把握し、効率的な業務運営や改善策を立てることが可能です。

また、作業日報は労働者の働く環境や安全を確保するための重要なツールでもあります。作業日報の作成は、法律上の義務はありませんが、労働安全衛生法第29条に基づき社内義務にするのがおすすめです。

労働安全衛生法第29条には「元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行なわなければならない。」と規定されています。

要するに、社内で作業日報の作成を義務付けることで「是正のために必要な指示が行われていたのか?」「規定に違反していないのか?」といった内容を記録することが可能になります。

作業日報の作成は義務ではないものの多くの企業が作業日報の作成をすることで、業務効率化や労働環境改善につなげられるでしょう。

作業日報の目的とは?

作業日報は、従業員が1日の業務を振り返り、達成状況や問題点を記録することで、業務改善や労働環境の向上につなげることが目的です。作業日報の目的として、以下の4つがあります。

  • 業務の振り返り
  • 進捗(しんちょく)状況の把握
  • 労働環境の把握
  • 情報共有

それぞれ順に解説しましょう。

業務の振り返り

作業日報は、業務の進捗や達成度を客観的に評価できるため、従業員が1日の業務を振り返るために使用されます。例えば、ある日のタスクが予定通り終わらなかった場合、作業日報を通じてその原因を特定し、今後の業務品質の改善やスキル向上に役立てることが可能です。

さらに、効率化や改善点を見つけやすくなることで、自己評価の向上にもつながります。

進捗状況の把握

作業日報には、プロジェクトや業務の進捗状況を記録します。上司や他のチームメンバーが業務の状況を把握しやすくなるためです。例として、あるプロジェクトの進捗が遅れていることがわかった場合、リーダーは必要に応じてリソースを追加したり、スケジュールを調整したりすることが可能です。

進捗状況が明確になることで、適切なリソース配分や効率的なタスク管理が可能となり、全体の生産性向上につながります。

労働環境の把握

作業日報は、従業員が働く状況や問題点を記録することで、労働条件の改善や安全対策を行うための情報源となるため、労働環境の把握にも役立ちます。例えば、作業現場での危険な状況や労働者の過労を早期に発見し、対策を講じることが可能です。

さらに、労働環境の問題が明らかになることで、組織全体の働きやすさや労働者の健康状態に関心を持つようになり、継続的な改善も期待できます。

情報共有

作業日報は、従業員が業務に関する情報を共有することで、スムーズなコミュニケーションや協力が可能になるため、チームや組織内での情報共有にも役立ちます。例えば、ある従業員が特定のタスクに関する情報を持っている場合、その情報を作業日報に記載することで、他の関係者も同じ情報にアクセスできるようになります。

作業日報によりタスクの重複を避けられ、効率的な業務遂行が可能となるでしょう。

作業日報のメリット

作業日報には、組織にとって

  • 業務効率化
  • コスト削減
  • 労務管理の効率化

といったメリットがあります。それぞれ具体的に解説しましょう。

業務効率化

作業日報を活用すると業務の進捗状況や問題点が明確になるため、無駄な作業やタスクの重複を避け、業務の効率化が実現できます。

同じプロジェクトで働いているAさんとBさんが作業日報を共有することで、お互いの進捗状況を把握できます。お互いの進捗を把握して業務を行うと、AさんとBさんはタスクを重複することなく、ムダを省き効率的に業務を進めることが可能になります。

コスト削減

作業日報を利用することで、作業日報によって業務の効率化が図られることで、無駄な時間やリソースの消費を抑えられるため、コスト削減が実現できます。例えば、作業日報を使って適切なタスクの割り振りやスケジューリングができれば、リソースの確保によってプロジェクト全体のコストを削減できます。

また、労働環境の改善や過労の防止にもつながり、従業員の健康管理にも役立つでしょう。

労務管理の効率化

作業日報は、従業員の勤務時間やタスクの遂行状況を一元的に管理できるため、管理者の負担が軽減や、労務管理の効率化も期待できます。例えば、作業日報を定期的にチェックすることで、従業員が適切な業務量をこなしているかどうかを把握し、過労や働きすぎを未然に防ぐことが可能です。

また、作業日報をもとに労働時間や残業時間を管理することで、労働法令の順守も確保できます。

作業日報に書く内容

作業日報には、主に以下の8つの事項を記載します。

  • 工事名
  • 現場名
  • 記入者名
  • 日付
  • 天気
  • 作業時間
  • 振り返り
  • 備考

それぞれ具体的に解説しましょう。

工事名

どのプロジェクトに関連する作業かを明確にすることで、情報の整理が容易になるという理由から、関連する工事名を記載します。例えば、「新幹線建設プロジェクト」などの工事名を記載します。

現場名

具体的な現場名を記載することで、作業場所によって状況や複数の現場がある可能性もあるため、例えば、「東京駅周辺工事現場」や「工場Aライン」といった現場名を記載します。

記入者名

誰がその日の作業を行ったかが明確になり、後から参照した際に責任者を特定しやすくなるため、記入者の氏名を記載します。例えば、「山田太郎」といった具体的な記入者名を記載します。

日付

作業内容や進捗状況がどの日に行われたかを特定することで、情報の整理や分析が容易になるため、記入日を記載します。例えば、「2023年5月11日」といった日付を記載します。

天気

天候が作業の遅延や品質に影響を与えることがあり、後から分析する際に参考になるため、記入日の天気を記載します。例えば、「晴れ」や「雨」などの天気情報を記載します。

作業時間

作業時間を記録することで、労働時間の管理やコスト削減に役立つという理由から、記入日の作業時間を記載します。例えば、「9:00~18:00」などの作業時間を記載します。

振り返り

自分自身が業務を振り返ることで、効率化や改善点を見つけられるため、作業日の業務の振り返りを記載します。例えば、「今日の作業はスムーズに進みましたが、作業手順について改善が必要だった」といった具体的な振り返りを記載します。

備考

作業内容や状況に関する情報を記録しておくことで、後から参照した際に役立つため、その他備考を記載します。例えば、「材料不足で作業を中断した」といった備考を記載します。

業界別の作業日報テンプレート

業界によってそれぞれの業界で重要視されるポイントが違うため、作業日報の形式や記載内容が異なります。

以下では、建設業と製造業の作業日報テンプレートについて解説し、テンプレートが記載されているサイトを紹介しましょう。

建設業

建設業で作業日報を自社でフォーマットを作っても問題ないですが、テンプレートを利用すれば必要事項を抜け漏れなく記載することが可能です。また、自社で作る工数を削減できます。そのため、テンプレートを利用することでスムーズに業務に作業日報を導入できるでしょう。

以下は、建設業の作業日報のテンプレートの一例です。

建設業作業日報テンプレート

建設業の作業日報で、共通して記載する内容は以下の通りです。

  • 工事名
  • 現場名
  • 記入者名
  • 日付
  • 天気
  • 気温
  • 作業者氏名
  • 工種
  • 始業・終業時刻
  • 休憩時間
  • 作業時間
  • 時間外作業時間
  • 作業内容
  • メモ

例えば、現場名の場合は「〇〇ダム建設現場」などと明記することで、作業日報がどの現場に関連しているかが一目でわかるようになり、同じ工事が走っていたとしても現場ごとに管理や状況の把握がすぐさまできるようになります。

テンプレートをダウンロードしたい方は下記のサイトからダウンロードしてみてください。

製造業

製造業も建設業と同様に、作業日報のテンプレートを利用すれば必要事項を抜け漏れなく記載することが可能です。さらに、自社で作る工数を削減できます。

下記はテンプレートの一例です。

製造業作業日報テンプレート

製造業の作業日報で、共通して記載する内容は以下の通りです。

  • 記入者名
  • 日付
  • 天気
  • 気温
  • 作業者氏名
  • 作業人数
  • 作業内容
  • 進捗状況
  • 使用機材
  • 次回作業予定
  • 使用予定機材

例えば、進捗状況に「熱加工60%完了」などと記載することで、工程の把握が可能です。進捗遅れも一目でわかるため、納期遅れや機械の不具合の早期発見といったリスクヘッジにも役立ちます。

テンプレートをダウンロードしたい方は下記のサイトからダウンロードしてみてください。

テンプレートが載っている他サイトを紹介

microsoft

Microsoftテンプレート

Microsoftが提供しているテンプレートを紹介します。Microsoftのテンプレートでは業務報告書 (日報・週報)として、業務の内容や改善点などを記した報告書として使用可能です。

無料でダウンロードできますので、ぜひ参考にしてみてください。

bizocean(ビズオーシャン)

ビズオーシャンテンプレート

bizocean(ビズオーシャン)は日本最大級のビジネステンプレートサイトです。作業日報だけではなく、週刊計画書といった計画書もダウンロード可能です。

下記のリンクでも有益なテンプレートがありますので、ぜひ参考にしてみてください。

Amazon

Amazonテンプレート

テンプレートとして使えるものの中に、下記のAmazonの作業日報があります。建設業や製造業でも利用可能な作業日報です。Amazonのテンプレートは有料ですが、無料のテンプレートよりも種類が豊富な点がメリットになります。

作業日報の保管期間

作業日報は、実務ではどれくらいの保管期間を目安にすれば良いのでしょうか。製造業、建設業、運送業のそれぞれの保管期間の目安を解説します。

製造業

製造業の場合、保管期間は3年を目安にしましょう。理由としては、安全衛生委員会議事録などの書面は安衛則23条で3年以上の保管が義務付けられているからです。

つまり、作業日報が安全衛生委員会議事録に該当する場合には3年以上の保管期間が必要になります。そのため、製造業の作業日報は3年以上保管することを徹底しましょう。

建設業

建設業の場合、5年が目安です。建築物衛生法第10条により帳簿書類は5年以上の保管が義務付けられています。

もしも、建設業の作業日報が帳簿書類として機能する現場の場合、5年以上の保管は必ず行うようにしましょう。

運送業

運送業の場合は1年の保管期間を目安にしましょう。旅客自動車運送事業運輸規則第26条に「一般乗合旅客自動車運送事業者及び一般貸切旅客自動車運送事業者は、…当該自動車の瞬間速度、運行距離及び運行時間を運行記録計により記録し、かつ、その記録を一年間保存しなければならない。」と記載されています。

そのため、運送業の場合は1年以上の保管期間は必ず設けるようにする必要があります。

まとめ

この記事では、作業日報の書き方や目的、内容、テンプレートについて解説してきました。作業日報の目的は、業務の振り返り、進捗状況の把握、労働環境の把握、情報共有で、導入することで業務効率化、コスト削減、労務管理の効率化が実現されます。

作業日報には、工事名、現場名、記入者名、日付、天気、作業時間、振り返り、備考などの項目が記載され、記載内容は業務の把握や報告、労働状況の分析に役立つでしょう。さらに、作業日報の保管期間は、製造業、建設業、運送業によって異なります。法令や業界の規定に基づいて、適切な期間にわたって保管することが必要です。

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