設備保全とは、現有設備を減価償却の期間を過ぎてもより効率的に長期間使うために、日々点検しながら十分に活用できるようにする取り組みです。
この記事を読んでいる方は、以下のような疑問や悩みを抱えているのではないでしょうか。
- 「設備保全と保守メンテナンスとの違いって何?」
- 「設備保全を行う理由は?」
- 「近年の設備保全のデジタル化の情報を知りたい!」
この記事では、設備保全の定義や保守メンテナンスとの違い、設備保全の目的や重要性、具体的な保全作業の進め方など実務に即した情報を紹介します。
他にも近年注目されている設備保全のIoT化/デジタル化についても解説するため、ぜひご参考ください。
設備保全は欠かすことのできない取り組みである一方で、知識やノウハウが熟練工に集中し属人化することで工場稼働の安定性と継続性に支障が出るケースも散見されます。
そこで「設備保全の属人化を解消する3つの秘訣」について、設備管理コンサルタントが解説した動画もご用意しております。本記事と併せてご覧ください。
目次
設備保全とは?保守メンテナンスとの違いも解説
設備保全の概要
設備保全とは、機械や設備の予期せぬ故障や停止を防ぐための定期的なメンテナンスや、突然のトラブルに対応し復旧させることを指しています。似た言葉に「機械保全」がありますが、設備保全と機械保全は言葉が違うだけで意味に大きな違いはありません。
設備保全を行うことでトラブルなく生産ラインの稼働を続け、納期の遅延や不良品率の増加といった利益に直結するような問題を予防できます。
設備保全に関する資格取得のメリット
設備保全に活かせる資格として「機械保全技能士」があります。機械保全技能士は「保全技能士」とも称される機械や設備の保守・点検・修理を専門的に行う資格者で、製造業や施設管理で重要な役割を果たします。機械保全技能士は機械のトラブル解決やメンテナンス計画の策定など設備の順調な運用を支えるスペシャリストだといえるでしょう。
機械保全技能士の資格を持つ従業員がいると、高度かつ精密な設備保全を実施できるため機械の突発的な故障が防止され設備の稼働率が向上するほか、機械保全技能士の知識やノウハウを他の従業員にも伝えることで、現場全体で設備保全の水準を高める効果が期待できます。
従業員にとっても、機械保全技能士という国家資格を取得することで自身の技術力を可視化し、給料アップや昇進につなげられるほか、市場価値を高めて転職市場で優位に立てるという魅力があります。
保守メンテナンスとの違い
保守メンテナンスは必要に応じて整備と修理を行うことであり、設備保全と似ていますが考え方が異なります。
保守メンテナンスとは、ある企業の生産設備を導入し、その企業へ金銭を支払い専門的なサービスを受けることを指します。一方で設備保全とは、企業が減価償却資産を維持管理するために、自社内で最小限の工数のもと日々機械や設備を管理する活動となります。
保守メンテナンスを具体的な事例で説明すると、ある企業は工作機械を大手A社から購入したのちに保守契約を結び、減価償却範囲内で活用することを想定して設備を利用します。ある時、その設備にエラー表示が発生し設備が作動しなかったため、保守メンテナンス契約に基づき大手A社の子会社である保守管理会社が設備を修理することになりました。
それに対し設備保全は、企業が毎日工作機械を使うために自分たちで機械の状態把握を行うことを指し、異音はないか?作動油の色が汚れていないか?フィルター目詰まりはないか?電気ケーブルに破れはないか?などの日常点検を行う活動が該当します。
設備保全の仕事内容は?具体的な進め方
設備保全の仕事内容は、計画的かつ効率的な設備管理を通じて工場や施設の運営をスムーズに保つことです。
具体的には以下の3つの仕事内容があります。
- 保全計画を立てる
- 保全活動を行う
- 保全結果を共有し、設備台帳に記入する
保全計画を立てる
設備保全では、まず保全計画の策定を行います。設備の情報を一元管理するための台帳である「設備台帳」を参照しながら各設備の点検やメンテナンスが必要なタイミングを特定することや、設備の種類や導入時期、過去の保守履歴を詳細に分析し、それぞれの設備に最適な保全サイクルを計画します。
保全計画の策定にはリスク評価と資源配分のバランスが求められ、計画には柔軟性と精度が不可欠です。また非効率な作業が集中しないように、保全スタッフのスケジュール調整も重要なポイントとなります。
保全活動を行う
次に、保全計画にもとづき、指定された日に保全スタッフが設備の点検やメンテナンスを行います。保全活動を行う段階では、作業指示書にもとづいて必要なツールや部品、手順を確認し、設備ごとに適切な手法で保全作業を進めます。
点検では設備の性能低下を示す兆候を探し、必要に応じて予防的な措置を講じてみてください。整備作業では消耗した部品の交換や調整を行い、設備の効率と寿命を延ばすことを目指しましょう。
保全結果を共有し、設備台帳に記入する
保全活動が終了した後、実施した作業の結果を設備台帳に詳細に記録します。記録は作業指示書や作業報告書、不具合報告書にもとづいて正確に行うことで、後の評価と分析のデータとして活用できます。
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また、記録した内容は必ず組織や部門内で共有しましょう。保全結果の共有は、チーム内や関連部門とのコミュニケーションを促すほか、全員が設備の状態を理解し必要に応じて迅速に対応できる体制のために重要です。また設備台帳に情報を追加することで設備の履歴が蓄積され、将来の保全計画の精度を高めるためのデータとしても機能します。
設備台帳への記入は、保守の履歴だけでなく設備のパフォーマンスと耐久性に関するデータも管理することを意味します。設備台帳への記入の段階での正確なデータ入力と情報の共有は、予期しない故障を防いで生産ラインを安定稼働させるために重要です。
また実施した保全の質を評価し、必要に応じて次回の保全計画にフィードバックを行うことで、継続的な改善サイクルが期待できます。
設備保全はなぜ行う?目的を解説
ここでは設備保全を行う目的について、以下の4つを解説します。
- 品質のバラツキを防ぐ
- 設備ライフサイクルコストの最適化
- 故障による製造ライン停止を防ぐ
- 設備安全性を維持する
品質のバラツキを防ぐ
製造業やサービス業において顧客を満足させるには、提供する製品やサービスに品質のバラツキが存在することは避けるべき事態です。品質を安定させるには、設備保全を通した設備維持管理が非常に重要です。
品質のバラツキが引き起こす事態として、食品製造業であれば「いつもと味がちがう?」といったことや、通信サービス業であれば「今日は通信がよく途切れる?」といったことが繰り返されることで顧客の不満が蓄積されます。
最終的には、顧客や消費者が製品やサービスを他社のものに変更するスイッチング行動を起こし、企業損失が発生します。そのような顧客行動を回避するためにも、企業にとって設備保全は重要な管理項目です。
設備ライフサイクルコストの最適化
設備保全の実施により、設備ライフサイクルコストを最適化することができます。設備の寿命を最大限に延ばし、効率的な運用を確保するには、定期的な点検、保守、修理が必要です。適切な設備保全の実施は初期投資と運用コストを最適化し、全体的な経済的効益を向上させることができます。
例として、設備保全の一種である「予防保全」は設備の故障や停止時間を減少させ、生産性を向上させます。また、非計画的な修理や緊急対応に伴うコストを削減し、製品の品質と信頼性を確保することも期待できます。長期的な視点から見ると、設備保全は設備の寿命を延ばし、新規投資を遅らせることができます。
予防保全の概要やメリットは、後ほど詳しくご紹介しているのでこちらからご覧ください。
故障による製造ライン停止を防ぐ
製造業では、生産ラインの停止は納入先顧客へ多大なる損害を発生させることに繋がり、これまで築いてきた信頼が低下します。また自社の売上損失や対策書発行など、費用対効果に見合わない活動のリスクも高まるでしょう。
設備停止による部品の品質変化が発生することで、部品全数検査など予定外の出費に繋がり企業利益が低下します。これを回避するために設備保全は重要です。
設備安全性を維持する
こまめに日常管理を行っていたとしても、設備が停止する場面は必ず存在します。設備停止を復旧させるには、人間が作業をしなければなりません。
少しでも早く設備を復旧し通常稼働へ戻すには、設備停止というイレギュラーな事態にも適切かつ迅速に対応できる人員の存在が不可欠です。
そのため、常日頃から設備保全を行うことで従業員に知識や経験を獲得させ、設備の安全性を維持できる環境を整備することも設備保全の目的だといえるでしょう。
省力化/省人化の観点から設備の自動化が進む一方で、設備の高度化が進み、従業員に求められる知識や経験が難しくなっている課題もあります。その結果、設備保全の取り組みが熟練者に属人化し、教育が効果的に進められないといった問題も発生しています。
属人化を含む、設備保全にまつわる代表的な課題や解決手法については、後ほど『設備保全における課題』で詳しく解説しています。
設備保全の種類
ここまでは設備保全の仕事内容や目的について解説してきましたが、ここからは具体的に設備保全の種類について解説します。設備保全の種類は以下の3つに分類できます。
- 予防保全
- 予知保全(予兆保全)
- 事後保全
3種類のうち、事後保全の内容は言葉からイメージがつきやすいものの「予防保全と予知保全って具体的に何が違うの?」と感じる方もいらっしゃると思います。予防保全と予知保全の違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので併せてご覧ください。
関連記事:予防保全と予知保全の違いは?メリットや種類を分かりやすく解説!
予防保全
予防保全とは、設備が問題なく稼働しているが、問題が起きる前にあらかじめ対策を実施する保全活動のことです。部品が壊れる前に交換作業をするなど定期的な保全業務を行うことで設備の緊急停止といったトラブルを予防し、安定した稼働を維持する活動です。
予防保全は定期メンテナンスとも呼ばれ、製造業の他に電力・ガス・水道の事業者や通信事業者等の社会インフラでも多く採用されています。予防保全のメリットには以下の事項が挙げられます。
- 製造ライン復旧までのダウンタイムの削減
- ダウンタイム削減による生産性向上
- 保全計画が立てやすい
一方、予防保全のデメリットは以下の事項が挙げられます。
- 定期的なメンテナンスが必要なため、作業工数が増える
- 過度な予防保全は必要以上に機器を停止させるため、かえって生産性の低下につながる
予防保全の際はこうしたメリット・デメリットを考慮したうえで、バランス良く活動を実施する必要があります。予防保全の具体的な活動内容として、時間基準保全と状態基準保全があります。
時間基準保全
時間基準保全は、設備が一定の時間または期間で稼働した後に、計画的にメンテナンスや部品交換を行う方法です。
時間基準保全には「日常点検」と「定期点検」の2つの方法があります。日常点検は、毎日または運用ごとに行われ、主に設備の表面的なチェックを含みます。一方で定期点検はより詳細で、数ヶ月に一度、設備の深部まで調査することが一般的です。時間基準保全の利点はその予測可能性にありますが、まだ機能している部品を交換することで、コストが無駄になるリスクも伴います。
日常点検と定期点検といった保守点検の具体的な実施内容や作業漏れが発生する理由、作業漏れを防ぐ方法について知りたい方は以下の記事もご参考ください。
関連記事:保守点検を行うメリットとは?実施方法や作業漏れをなくすコツを紹介
状態基準保全
状態基準保全は、設備の実際の状態をモニタリングし、特定の閾値を超えた時のみメンテナンスを行う方法です。
状態基準保全では設備からのデータを収集し、性能の低下や異常が発生した場合にのみ介入します。状態基準保全は、予知保全の一形態ともいえ、保全作業が必要とされる正確なタイミングを特定することで不要なメンテナンスコストを削減し、設備の全体的な効率を向上させることが可能です。
IoT化やデジタル化といった最新の技術を活用することで、センサー技術やデータ分析を駆使して設備の状態をリアルタイムで把握し、より効果的な保全スケジュールを実現できます。
予知保全(予兆保全)
予知保全(予兆保全)とは、故障がおきる予兆を見極め部品交換や部品保守などの保全作業を実施する活動で、劣化予兆診断ともいわれます。近年では、人が目視や五感では認識できない項目をセンサー等で把握し、保全作業に活かす事例が数多く見られます。
センサー進化と通信技術の発展により、さまざまな設備データをリアルタイムで取得できるため、データと故障の関係性を分析する手法が開発されています。
事後保全
事後保全とは、設備停止や不良品発生等をきっかけとして実施する保全活動のことです。一番身近な事象ではあるものの、トラブルが発生した後の対応である事後保全だけでなく、トラブルが発生しないようあらかじめ手を打つ予防保全や予兆保全も併せて実施することが重要だといえるでしょう。
事後保全には、緊急保全や計画事後保全といった内容が含まれます。
緊急保全
緊急保全は、突発的な故障や設備の停止が発生した際に即座に行われる修理作業です。緊急保全は、生産の継続性を確保し設備停止による損失を最小限に抑えるために不可欠です。緊急保全の対応速度は企業の対応力を試す重要な指標とされており、訓練された技術者が迅速に現場に駆けつけることが求められます。
ただし、緊急保全は計画的なメンテナンスよりもコストが高くつく場合が多く、修理に必要な部品が常に利用可能であるとは限らないため、リスクも伴います。
また設備保全に関する課題の1つ、属人化が発生している場合は緊急保全の対応ができる熟練者に頼らざるを得ず、現場の到着から稼働再開までの目途がつきにくいといえるでしょう。
緊急保全の場合、その場で従業員へ教育を行いながら対応することができないため、別途訓練の機会を設けるなど教育体制の整備が求められます。
教育の手法としては「動画マニュアル」が1つの手段となり得ます。動画マニュアルの活用については、後ほど詳しく解説しているのでこちらからご覧ください。
計画事後保全
計画事後保全は、設備の完全停止を避けるために予備の設備や代替システムを用意しておく保全活動です。主な目的は、予期せぬ故障が発生した場合でも生産活動を迅速に再開できることです。計画事後保全により、修理やメンテナンスが行われている間も別の設備が機能を一時的に代替できます。
計画事後保全は、高い可用性が求められる生産ラインや、停止すると大きな損失が発生する設備に特に有効です。
設備保全のIoT化/デジタル化とは
近年、設備保全におけるIoT化/デジタル化が注目されています。設備保全のIoT化・デジタル化とは、設備の状態をリアルタイムで監視してデータ駆動型の保全活動を行うことを指します。
IoT化/デジタル化の進化に伴い、従来の手法に比べより正確で迅速な保全が可能となり、設備の運用効率が大幅に向上することが期待されています。
IoT化の意味や活用事例について知りたい方は、以下の記事も是非ご覧ください。
関連記事:IoT をわかりやすく解説!普及した背景や今後の動向も交えて解説!
予知保全への導入が期待されている
予知保全におけるIoT化/デジタル化は、保全活動の効率化や事故・故障の未然防止が期待できます。IoT技術を用いることで設備から発生するデータを収集・分析し、故障の兆候を早期に察知することが可能になります。
ほかにも、予知保全により必要な時だけ適切なメンテナンスを行うことで、設備の寿命を延ばしながら運用コストの削減が見込めます。
予知保全×IoT化/デジタル化のメリット
予知保全×IoT化/デジタル化のメリットのメリットとして以下の2つが考えられます。
- 生産性が向上する
- コストを圧縮できる
生産性が向上する
IoT技術を用いた予知保全は、設備のダウンタイムを最小限に抑えることで工場の生産性を大幅に向上させます。
設備の実運用データにもとづく予測メンテナンスは、計画的な停止時間を減らして生産ラインの効率を高めることができ、結果としてより高い稼働率と生産効率を実現することが可能です。
コストを圧縮できる
従来の時間基準保全と異なり、予知保全では設備の状態に基づいてメンテナンスを実施するため、不必要な保全作業とコストを削減できます。
定期的なメンテナンスではなく、必要に応じたメンテナンスを行うことで保全にかかる時間とリソースが最適化され、全体の保全コストの削減につながります。
設備保全のIoT化/デジタル化には限界がある
設備保全のデジタル化には多くのメリットがありますが、技術的および実装に関する限界も存在します。
一部の設備では高度なセンサーが必要となり、初期投資が負担となる場合があります。またデータの解釈や分析には専門的な知識が必要であり、適切なスキルを持った人材が不足していると技術の導入が遅れる可能性があるでしょう。
さらに、プライバシーやセキュリティの問題も重要な課題です。デジタルデータの管理と保護には、高いレベルのセキュリティ対策が求められ、課題に対処するための追加コストが発生することがあります。
他にも、「全てをIoT化/デジタル化することは極めて難しい」ということもIoT化/デジタル化の欠点だと言えます。センサーや機械設備を設置したとしても、設備保全には目視による確認や記録などヒトの手による作業が必ず介在するため、それらの課題を踏まえ対策することが適切な設備保全には欠かせません。
設備保全の課題については、次の章で詳しく解説します。
設備保全における課題
ここでは設備保全の課題について、以下の5つを解説します。
- 中小企業での実施が困難
- 不注意によるヒューマンエラー
- 業務の属人化
- マニュアルや作業手順書が整備されていない
- 紙による記録の限界
中小企業での実施が困難
中小企業では大企業に比べて予算が限られていることが原因で、設備保全に必要な資金を確保するのが難しい場合があります。特に高価な保全ソフトウェアや最新の機械・センサーなど、導入に多額のコストが必要なものを用意することは大企業と比べると困難だといえるでしょう。
他にも中小企業では「人材がいない」「引継ぎができていない」といった理由で設備保全の実施が困難な場合があります。
一定の事業規模を有する企業では、壊れた設備を整備する専門の従業員や部門が社内に存在しているほか、大型設備では保守契約を結び、専門業者が修理してくれる場面も存在します。
しかし、中小企業では現場の人手が足りていないことも多く、通常業務に加えて定期的な点検を行うことが難しい場面が考えられます。
不注意によるヒューマンエラー
設備保全は従業員の手作業が必要な工程も多く、点検の見落としや設備点検の確認不足などのヒューマンエラーが発生することがあります。
これらのポカミス(平常時では考えられないようなミス)は、確認を怠っただけでなく「ついうっかり」引き起こされることもあり、いつ発生するか予測することは困難です。
そのため、設備保全を最適化させるためにはヒューマンエラーが多発しているボトルネックを特定したり、従業員に正しい作業手順やミスの原因、対策方法をマニュアル化したうえで再教育するなど、現場でのヒューマンエラーを防ぐ必要があります。
ヒューマンエラーの原因や防止に向けた具体的な対策方法については、別記事「ヒューマンエラーとは?多い人に特徴はある?原因や防止方法も事例を元に紹介」か、専門家による「製造現場ですぐに実践できるポカヨケ対策事例」について解説した以下の動画をご参照ください。
業務の属人化
設備保全を特定の従業員が担当することが多い場合、業務が属人化しやすいといえます。
たとえば、ベテランの従業員のみが設備に対する設備異常を早期発見できるといった現場では、その従業員の不在時や退職時にノウハウや正しい作業手順が失われ、トラブルが増える可能性があります。設備保全の属人化が進むと、結果として生産性の低下を招きます。
そのため、設備保全に取り組む際には、業務の属人化を防ぐことを意識すべきです。
現場改善ラボでは、設備保全の属人化を防ぐ具体的な取り組み方法について、別記事「製造業の属人化はどう防ぐ?防ぐ方法や解消のコツを紹介」や専門家による解説動画もご用意しております。併せてご覧ください。
マニュアルや作業手順書が整備されていない
設備保全の現場においてマニュアルや作業手順書が整備されていない状態では保全作業の質が一貫せず、ムリ・ムダ・ムラといった非効率が生じる主要な原因となります。
マニュアルは、新入社員や未経験者が正確かつ効率的に作業を行うための指針となる重要な文書です。作業手順書が整備されていない場合、作業者による解釈の違いが生じて作業の標準化が困難になります。設備保全の例では、故障の診断の遅延、不適切なメンテナンス手法の適用などのリスクが高まります。
マニュアルを整備するにあたり、「伝わるマニュアルであること」は最も大事な要素だといえます。現場改善ラボを運営するTebiki株式会社では、製造業を中心に動画マニュアルを活用した教育改善の実績があります。
数々の現場を支援してきたノウハウが詰まった「伝わるマニュアル作成のポイント」について、無料で解説動画をご覧いただけますので、以下よりご参照ください。
紙による記録の限界
設備保全の記録を紙で行っている企業も多いかと思いますが、紙の記録は物理的なダメージや紛失のリスクがあり、かつ大量の文書を保管するには相応のスペースが必要です。さらに紙の記録から必要な情報を迅速に探すことは困難であり、設備の故障時の迅速な対応を妨げる要因となりえます。
このような設備保全における課題を解決するには、記録のデジタル化がおすすめです。デジタル記録システムに移行することで記録の即時性や分析の容易さが格段に向上するほか、デジタルデータの利用により保全履歴の詳細な分析が可能となり、予防保全の精度を高めることが可能です。
設備保全における課題を解決する2つのツール
ここまで設備保全における課題を解説してきましたが、このような課題を解決できるツールとして動画マニュアルとデジタル帳票ツールを紹介します。
動画マニュアルとは?
動画マニュアルとは、実際の作業を映像で示すことにより作業者が視覚的情報から手順を簡単に理解し、効果的に学習できるツールです。動画マニュアルは正しい作業手順を従業員に定着させることでヒューマンエラーを削減し、属人化を防げるほか、教育係の手を離れ自学自習が進められる教材でもあるため教育にかかる工数や教育コストの削減も期待できます。
また動画は実際の動作を見たままに伝えられるため、外国人の従業員にも複雑な手順や内容を簡単に伝えることが可能です。さらに動画マニュアルは実際の作業環境を反映した内容であるため、理論と実践のギャップを減少させ、作業の正確性と安全性を向上させることも期待できます。
おすすめは動画マニュアル「tebiki」
特に設備保全の現場におすすめな動画マニュアルとして、「tebiki」をご紹介します。
tebikiは、高クオリティな動画マニュアルを簡単に作成できるツールです。スマートフォンやタブレットで動画を撮影し、簡単な編集を加えるだけで現場で活用できる動画マニュアルを作成できるほか、字幕の自動生成機能によりマニュアル内容の文字おこしも手間なく行えます。
また字幕は100カ国以上の言語に自動翻訳が可能なほか、日本語を含む17カ国語以上に対応した読み上げ機能も備わっているため、外国人労働者が自身の母国語で動画内容を理解できるようになります。
さらに、tebiki内でテストを作成できる機能やマニュアルの視聴状況を把握できる組織レポートにより、教育の習熟度が可視化され、教育内容を現場に定着させるサポートとなるでしょう。
実際に、「ASKUL」や「LOHACO」を運営する大手物流企業のアスクル株式会社では、物流センターに構築されているマテハン設備のメンテナンス作業方法を動画マニュアル化することで、紙の手順書では伝わりにくい内容の理解度が向上し業務の定着スピードが改善されたほか、作業頻度が低く属人化していたメンテナンス業務やトラブルの復旧方法が伝承され、属人化の解消に繋がりました。
インタビュー記事:高度に自動化された倉庫の安定稼働を支えるために動画マニュアルtebikiを導入!
動画マニュアルtebikiの機能詳細や導入効果、実際の導入事例について以下の画像から詳細な資料をダウンロードできます。設備保全や現場教育に課題を感じている方は、是非ご参考ください。
デジタル帳票ツールとは?
デジタル帳票ツールとは、紙やExcelなどで管理されていた帳票をデジタル化し、効率的に管理するためのシステムです。デジタル帳票ツールは帳票の作成や管理、出力を一元的に行えることが特徴です。デジタル化された帳票は検索性が高く、自動での仕分けや整理が可能であり、企業の文書管理を大幅に改善します。
「そもそも帳票とは何?」「デジタル帳票ツールについてもっと知りたい!」という方は、別記事「帳票ツールとは?帳票の概要や機能、選定のポイントを解説!」や、以下の資料をぜひ参考にしてみてください。
おすすめは「tebiki現場分析」
「tebiki現場分析」は、特に現場での作業効率を大きく向上させるデジタル帳票ツールです。tebiki現場分析ではデジタル帳票の採用により必要な文書を瞬時に見つけ出し、場所や時間を選ばずに必要な情報にアクセスすることが可能になります。
また、tebiki現場分析の活用により、記載内容の書き漏れや粒度のバラツキを防ぐことができるほか、紙やExcelによる記録では実現が難しい画像記録も簡単に行えるため、記録内容の充実や標準化につながり、ヒューマンエラーを削減できます。
他にも、tebiki現場分析は正常値登録による異常値アラート機能で異常に対しリアルタイムで対応できるようになる、分析機能によりExcelへの転記や関数の使用なしに簡単に分析が行えるといったメリットも備えています。
能を備えているため、以前は紙で行っていた設備保全の記録をtebiki現場分析に置き換えることで、人的ミスを減少させ、時間を要する作業を削減し効率化を図れるでしょう。
tebiki現場分析の機能詳細や解決できる課題、導入サポート体制については以下の画像から詳細な資料をダウンロードできます。設備保全や紙による記録に課題を感じている方は、是非ご参考ください。
設備保全のあるべき姿とは
設備保全の理想的な姿とは、以下3つの状態であるといえるでしょう。
- 適切な予防保全の管理ができている
- 適切な従業員に設備保全の知識やノウハウが定着している
- データを活用できている
適切な予防保全の管理ができている
理想的な設備保全とは、全ての機械設備が定期的に点検、メンテナンスされることでトラブルを未然に防ぐことが実現した状態といえるでしょう。トラブルを未然に防ぐには予防保全が必要であり、予防保全の管理には設備の稼働データと故障履歴をもとにした保全計画の策定が含まれます。計画は故障予測モデルや運用データを用いて定期的に見直され、常に最適な保全タイミングが求められます。
予防保全は単に故障を防ぐだけでなく、設備の効率的な運用や寿命の延長にも関係するでしょう。適切な保全管理システムを導入することで、自動化されてより精度が高く効率的な保全が可能となります。また予防保全はコスト削減にもつながります。
適切な従業員に設備保全の知識やノウハウが定着している
理想的な設備保全環境では、知識やノウハウが属人化せず、従業員に均等に定着していることが重要です。知識やノウハウを定着させるには、マニュアルや動画マニュアルの活用が効果的です。動画マニュアルにより、複雑な手順や重要な操作が視覚的に示されるため、新入社員から経験豊富な技術者まで全員が同じ水準で学ぶことが可能です。結果として、重要な知識や技能が一部の個人に依存することなく、組織全体で共有されます。
さらに動画コンテンツはいつでもアクセス可能で、繰り返し視聴することで理解を深められるため、知識の定着を促進できます。設備保全の知識と技術が全従業員に浸透することで、一貫性のある作業品質を保ち、生産性の向上が期待できるでしょう。
データを活用できている
IoT技術やデジタル帳票ツールを活用して、効率的にデータを記録・管理し、適切に活用していることも重要です。IoTデバイスから得られるリアルタイムの運用データやデジタル帳票ツールによって整理された保守履歴は、故障予測や効率的なメンテナンス計画の立案に不可欠です。
得られるデータを分析することで、設備のパフォーマンスを最大限に引き出し、予期せぬダウンタイムを削減することが可能になります。またデータのデジタル化により情報のアクセスが容易になり、複数の拠点やチーム間での情報共有もスムーズに行えるでしょう。
デジタルツールを利用した設備保全を行おう【まとめ】
設備保全は、製造業における生産効率と安全性を確保するために不可欠です。
予防保全、予知保全、事後保全といった異なる方法が存在し、それぞれが設備の寿命延長やダウンタイムの削減、コスト管理に影響します。
とくに予知保全の重要性が高まっており、IoT技術の進展により、設備の実運用データから未来の故障を予測し、必要なメンテナンスを計画的に実行できるようになっています。
一方で設備保全の効果を最大限に発揮するには、従業員一人ひとりが保全の基本から応用までを理解し、実践できる知識が求められます。動画マニュアルやデジタル帳票ツールなどのツールを活用することで、知識の属人化を防ぎ、情報共有を促進することが可能です。
この記事で紹介した動画マニュアルのtebikiとtebiki現場分析の資料は無料でダウンロード可能です。ぜひこの機会にダウンロードしてみてください。