帳票とは、企業や個人事業主が営業活動で取引先とやり取りした書類で、帳簿と伝票の総称のことを指します。重要な書類であるにも関わらず、帳票の管理方法や運用の仕方について十分に理解している人は意外と少ないもの。
そこでこの記事では、帳票とは何か、帳簿や伝票、証憑との違い、各種類の帳簿・伝票・証憑の役割、帳票の管理方法、そして電子化/ペーパーレス化のメリット・デメリットに至るまで、帳票管理についての情報を詳しく解説します。
製造業での帳票作成や管理の目的、紙の帳票を扱う際のデメリット、電子化・ペーパーレス化を推進する理由や方法、そして帳票管理に便利なツールも解説。またインボイス制度導入による帳票業務の変化についても解説し、帳票をより効果的に保存・活用する方法についても解説します。
この記事を通じて、帳票管理の効率化と業務のDX化に向けた一歩を踏み出しましょう。
現場改善ラボでは、帳票の電子化/デジタル化をお考えの方に向けた詳細な資料をご用意しております。紙やExcelの帳票の課題を解決したいとお考えの方は、こちらも併せてご覧ください。
目次
帳票とは?業界別の違いやインボイス制度による影響
帳票の意味と役割は?
帳票とは、企業や個人事業主がお金やモノのやり取りを記録した書類のことです。
一般的に、帳票には「帳簿」と「伝票」の2種類が挙げられます。具体的な違いは次章で解説しますが、帳票はいくらお金が入ってきたか?いくらお金を使ったか?誰とどのような取引を行ったか?といった、お金やモノの流れを確認し、企業活動の状況を把握するために用いられます。
一方で、一部の業界では帳票を指す書類が異なるケースがあります。次項で、製造/医療/銀行における帳票の意味合いについて解説しましょう。
業界別で異なる帳票の意味や種類
一般的に、お金/モノの流れを確認する書類を帳票と言いますが、業界や場面によって帳票に該当するものが異なるケースがあります。
今回は一例として、製造/医療/銀行における帳票の意味、種類について解説します。
製造における帳票
製造現場における帳票とは、製品の生産数や不良数、設備に関する定期点検のチェックシートなど、生産活動に関する情報を記録~管理する文書を指します。
製造業の場合、以下のような文書を帳票と表現するケースが多いです。
- 作業手順書/SOP
- 作業日報
- 不具合報告書
- 設備点検表
製造業における帳票の意味合い、種類について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
関連記事:【製造業】帳票の種類は?管理の手間を省くペーパーレス化や電子化を実現するツールを紹介
医療における帳票
医療現場における帳票とは、患者のカルテや看護記録、処方箋など、診療や医療機関の運営に関する情報を記録~管理するための文書を指します。
医療現場の場合、以下のような文書を帳票と表現するケースが多いです。
- カルテ(診療記録)
- 看護記録
- 検査伝票
- 処方箋
- 手術記録
銀行における帳票
銀行における帳票とは、預金や融資、為替取引など、銀行業務に関するお金の流れを記録~管理するための文書を指します。
- 取引明細書
- 残高証明書
- 振込依頼書
- 融資申込書
インボイス制度で帳票業務はどう変わる?
インボイス制度では適格請求書発行事業者としての登録が必須であり、登録された事業者のみがインボイス(適格請求書)を発行できるようになります。事業者が課税事業者か免税事業者かによって、その対応が分かれる点でとくに注目されます。
課税事業者は、登録を行いインボイスを発行することで自社の取引記録の透明性を高め、消費税の適切な管理と控除を可能に。一方免税事業者はインボイス制度への参加を通じて課税事業者になることを選択するか、または免税事業者のままで運営を続けるかの重要な判断を迫られています。
課税事業者もしくは免税事業者どちらかの選択は、とくに小規模な事業者にとっては、事業運営や資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
インボイスの具体的な記載要件も変更され、取引内容や適用税率ごとの対価の額、消費税額、事業者の登録番号などより詳細な情報の提供が求められるようになりました。結果、請求書の作成と管理における正確性と透明性がいっそう重要になりました。
特に不特定多数の顧客に対応する業種では適格簡易請求書の発行が認められていますが、登録が必要です。インボイス制度は帳票業務における管理の正確性を高める一方で、事業者にとっては新たな負担や適応が必要な場面も生じています。
帳簿や伝票、証憑との違い
ここからは帳票と似たような言葉で、混同しやすい帳簿や伝票、証憑との違いについて具体的に解説していきます。わかりやすく整理すると、それぞれ以下のような違いがあります。
- 帳簿:お金の流れを記録~管理する文書/台帳
- 伝票:個々の企業活動に関する情報を記録する文書
- 証憑:取引/お金が動いた事実を証明する文書
帳簿との違い
帳簿とは事業取引や資産について、お金の流れを記録した台帳のことです。
一方で、帳票は特定の目的に基づいて集計や報告を行うために使用される書類です。つまり、帳簿が取引の記録や経理の基礎データを保持するものであるのに対し、帳票はそのデータをもとにして作成される、特定の業務や報告のための文書という違いがあります。
会社の経理で作成させる会計帳簿が該当しますが、帳簿と呼ばれることが多いです。帳簿には取引内容をはじめ、取引先や取引をした日時など細かく記載する必要があり、最終的に決算書として扱われます。
帳簿は大きく分けて主要簿と補助簿に分かれており、それぞれ一定期間の保存が必要です。
伝票との違い
伝票とは、企業間での取引や内部での財務移動など、特定の経済活動を記録した文書のことです。
対して帳票とは、伝票や帳簿に記載された情報をもとに集計や分析、報告の目的で作成される文書を指します。伝票が個々の取引や操作を具体的に記録するのに対し、帳票はデータをまとめて分析や報告を行うために用いられる点で違いがあります。
つまり、伝票は帳票を作成するための基礎データの一部となることが多いです。
証憑との違い
証憑は「しょうひょう」と読み、取引や事象が実際に発生したことを証明するための書面や書類を指します。
一方、帳票は証憑に記載された情報をもとに、企業の内外への報告、分析や集計などの目的で作成される文書です。証憑が具体的な取引やイベントの証拠となる書類であるのに対し、帳票は証憑の情報を整理・分析し、必要に応じて情報を伝達するためのツールとして機能します。
証憑は帳票作成の基礎となる情報源であり、帳票はその情報を活用して特定の目的を達成するための手段といえます。
帳簿・伝票・証憑の主な種類と役割
帳簿と伝票、証憑の具体的な種類と各々の役割を説明していきます。
帳簿の種類/役割
帳簿の種類は主要線と補助線の2つに分けられます。
主要線は仕訳帳と総勘定元帳の2種類があり、複式簿記で記帳します。対象となるのは法人と青色申告する個人事業者です。
種類 | 役割 |
仕訳帳 | 全取引を日付順に記載し金銭の流れを把握する書類 |
総勘定元帳 | 仕訳帳をベースに勘定項目ごとに分類/記録した書類 |
主な補助線の種類は以下の5つです。
種類 | 役割 |
出納帳 | 現金の入出額や残高を記録する書類 |
買掛帳 | 仕入先への買掛金の発生を管理する書類 |
売掛帳 | 取引先への売掛金の発生を管理する書類 |
固定資産台帳 | 会社の固定資産をまとめた書類 |
経費帳 | 仕入以外の経費を記録する書類 |
伝票の種類/役割
伝票はお金に関する取引を記録した書類です。入出金伝票や売上伝票などが該当します。
種類 | 役割 |
入出金伝票 | 会社が商品やサービスを販売・購入したときのお金の出入りを記載する伝票 |
売上伝票 | 売上があったときに起票される伝票 |
仕入れ伝票 | 仕入れがあった場合に起票される伝票 |
振替伝票 | 入金取引や出金取引のいずれにも該当しない取引を記載した伝票 |
証憑の種類/役割
証憑は大きく分けて4つの種類に分類され、お金やモノ以外に人や契約に関わるものが対象です。
種類 | 役割 |
お金に関わるもの | 請求書、領収書、返済予定表、小切手帳、支払明細書など |
モノに関わるもの | 見積書、注文書、納品書、受領書、棚卸表など |
人に関わるのも | 履歴書、退職届、退職金支払資料、雇用契約書、給与支払明細書 |
契約に関わるもの | 賃貸契約書、銀行取引契約書、覚書、念書、議事録、送り状など |
帳票の保存期間は?管理方法はどうする?
帳簿は経営活動の記録となる重要な書類であり、会社法や法人法で一定期間の保存が必要です。
税務調査があった場合、帳簿を提示しなければ措置が課せられる可能性があるので、保管期間と管理する形式を理解しましょう。
保存期間について
法人の場合、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する義務があります。
また欠損金の繰越控除を利用する場合、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)の保存が必要です。一方で、個人事業主の場合も7年間の保存が義務付けられていますが、請求書や領収書などの伝票の保管期間は5年間となります。
”法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。
(注1)「帳簿」には、たとえば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。
(注2)「書類」には、たとえば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
(注3)青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。”
法人税法上の保存期間
法人の場合、基本的に保存期間は7年間と定められています。
しかし例外があり、特定の状況下では保存期間が延長されることがあります。たとえば、欠損金が発生した事業年度の帳簿や伝票は9年間または10年間保存する必要があるので注意が必要です。
さらに法人税法上では特定の帳票に対して、一般的な保存期間を超える長期間の保存が求められる場合があります。たとえば、労働者の健康診断記録や特定化学物質の健康影響に関する記録などは30年間保存が義務付けられています。長期にわたる健康影響や労働環境の評価に関連して、重要な証拠となりえるからです。
具体的な保存期間の例は以下の表の通りです。
保存期間 | 対象帳票類 |
30年間 | 労働者に関する作業概要等の定期記録、特定化学物質等健康診断個人票、放射線業務従事者等の健康診断書 |
10年間 | 取締役会議事録、株主総会議事録、計算書類および附属明細書 |
7年間 | 取引証憑書類 |
5年間 | 産業廃棄物管理票(マニフェスト伝票)の写し、産業廃棄物処理委託契約書、身元保証書、誓約書 |
会社法上の保存期間
会社法では、企業運営において必要とされる文書や記録の保存期間についても詳細な規定があります。
会社法上の保存期間は、文書の種類によって異なりますが、一般的には10年間の保存が求められるケースが多いです。取締役会議事録や株主総会議事録、計算書類および附属明細書などが含まれます。
企業の財務状態や経営上の意思決定を後世に伝える貴重な資料となりえるため、適切な保存が必須とされています。
帳票を管理する方法は大きく2種類
帳票を管理する方法は以下の2つです。
- 紙の状態のままファイリングする
- 電子データとして管理する
従来は紙による管理が一般的でしたが、後述するようなムダな業務が発生してしまうため、電子データとして管理する方法がオススメです。
まずはそれぞれの管理手法についてご紹介する前に、紙ベースの帳票管理によるデメリットを整理しましょう。
帳票を紙の状態で扱うデメリットとは?
帳票を紙の状態で扱うデメリットとして以下の3点が挙げられます。
- 業務の非効率化を招く
- 帳票を管理する工数や負担がかかる
- 漏洩や紛失などセキュリティ面の懸念が残る
紙の帳票は、社内外の業務処理のスピードを著しく低下させます。
紙の帳票を使用することで、回覧や承認プロセスは時間を要します。特に承認者が不在の場合、業務が停滞することがあるため、企業の生産性を低下させる一因となってしまうといえるでしょう。
また紙の場合、種類や取引先ごとに整理して適切な保管場所にファイルする必要があります。
そのため、紙の帳票の管理は工数や負担がかかります。監査や他部門からの問い合わせに応じて帳票を素早く提供することも求められます。しかし、大量の紙の帳票の中から特定のものを探し出すことは時間と労力を要する作業であり、業務の負担となってしまうでしょう。
紙の状態ではモノとして存在しているため、紛失や盗難、災害による損失のリスクがあります。
保管中に第三者による不正アクセスや盗み見の危険性もあります。そのため紙の帳票の使用はセキュリティリスクがあるといえるでしょう。また帳票の不適切な廃棄が情報漏洩につながる可能性も否めません。紙の帳票を保存するリスクは、企業の信頼性や顧客情報の保護において重大な問題となりえます。
紙の状態のままファイリングする
帳票を管理する形式の1つは、紙の状態のままファイリングすることです。帳票はパソコンを用いてエクセルやワードで作成できますが、出力して紙で保管します。
種類ごとに識別してファイリングすれば誰でも簡単に仕分けできるメリットがありますが、帳票の枚数が多いほどファイリング作業の工数が大きな負担になります。また、9年間分の帳票を保存する場合はスペース確保の問題やキャビネットの増設など、保管が課題となるでしょう。
前述のような非効率な業務工数の発生に加え、紙による帳票管理は企業のデータ活用を阻む壁となり得ます。
帳票とはお金/モノの動きを表す文書とご紹介しましたが、いわば何に投資をしているかを示す指標にもなるでしょう。何にお金を使い費用対効果が出ているのか?調べることは企業成長にとって必要不可欠です。
しかし紙ベースで管理を行っていた場合、指標となりえる情報を膨大な紙から探し出す工数があります。結果的に、本来重要であるデータ活用/分析の前段階、収集で多大な業務負荷が発生し、業務改善を通じた企業成長を阻害する要素となり得ます。
このようなムダな業務を削減するためには、次にご紹介する「電子データとして管理する」方法をオススメします。
電子データとして管理する
電子データとして管理することは、帳票を管理する形式の1つです。
1998年に制定された電子帳簿保存法により、一定の条件を満たせば電子データとして保存が可能となりました。そこから徐々に要件緩和が進み、2022年1月に施行された改正法でより帳票の電子化をしやすい環境が整いつつあります。
- 税務署署長による事前承認制の廃止
- 電子データで受け取った帳票類は電子による保存を義務化
- 検索機能に必要な項目が「取引年月日」「取引金額」「取引先」のみでも可能に
- 内容の真実性を担保する改ざん防止方法の選択肢が拡大
これらはあくまで一例ですが、以前に比べて比較的容易に帳票の電子化をしやすい環境が整ったと言えるでしょう。詳しくは次章でご紹介していますので、続けてご覧ください。
帳票の電子化/ペーパーレス化が注目される理由
この章では、帳票の電子化やペーパーレス化が注目される背景や、電子化するメリットやデメリットについて説明していきます。
電子化/ペーパーレス化に注目が集まる背景
電子化やペーパーレス化に注目が集まる背景は主に以下の4つが挙げられます。
- 電子帳簿保存法の改正
- クラウドサービス市場の拡大
- 人手不足の解決に期待できる
電子帳簿保存法の改正
電子化に注目が集まる背景の1つは、電子帳簿保存法が改正されていることです。
電子帳簿保存法は、紙で出力した帳票や書類の保存方法を定めた法律です。1998年に施行された当時は電子で作成した帳簿を電磁的記録で保存する場合は事前に税務署長の承認が必要でしたが、2022年の改正により事前承認制は不要となりました。
現在は電子著名が不要で、紙の帳票をスキャンした保存が可能になり、スマートフォンで撮影した帳票も認められています。
”1税務署長の事前承認制度が廃止されました。
これまで、電子的に作成した国税関係帳簿を電磁的記録により保存する場合には、事前に税務
署長の承認が必要でしたが、事業者の事務負担を軽減するため、事前承認は不要とされました
(電子的に作成した国税関係書類を電磁的記録により保存する場合についても同様です。)”
引用:「国税庁_電子帳簿保存法が改正されました」
また電子取引に関するデータ保存の義務化が盛り込まれ注目されました。
2023年12月末まで2年間に行われた電子取引については従来通りプリントアウトして保存が可能ですが、各企業で電子化に向けた対応が急務となります。
クラウドサービス市場の拡大
クラウドサービス市場が拡大していることが、電子化に注目が集まる背景の1つです。
場所や環境を選ばないサービスの普及、資産管理負荷の低減のニーズにより近年クラウドサービスの市場が拡大しています。帳票管理もクラウド化する動きが加速し、低コストで導入できるケースが多いです。
管理の手間が省けるメリットが大きく、業務の効率化が図れることから今後の帳票管理がますます便利になるでしょう。実際、帳票システムに関するクラウドサービスは増加の一途を辿っています。
帳票システムとは、電子データで帳票作成や管理、配信できる電子化に不可欠なシステムです。
帳票システムを導入すれば、取引履歴や顧客データをもとに自動で帳票を作成できます。従来のように紙での管理が不要になるので、業務の効率化を図ることが可能です。
またネットワークやプリンターと連携すれば、作成した帳票データを社内で共有したり印刷やWeb発行も含めた業務を自動化したりできるので最適な環境を構築できるでしょう。
帳票ツールの概要や選定ポイントについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:帳票ツールとは?帳票の概要や機能、選定のポイントを解説!
人手不足の解決に期待できる
人手不足の解決に期待できることが、電子化に注目が集まる背景の1つです。
少子高齢化が進む日本では人手不足が顕著となり、業務の効率化や生産性の向上が急務です。帳票類を電子化すれば書類作成の工数や管理の手間が省けるので、リソースが足りない業務へ人を充てられます。
帳票の電子化は組織全体の業務改善に役立つツールとなるでしょう。
帳票を電子化/ペーパーレス化するメリットとデメリット
帳票の電子化やペーパーレス化するメリットとデメリットについて、それぞれ解説していきます。
メリット
電子化/ペーパーレス化のメリットは主に以下の3つが挙げられます。
人件費と事務費のコスト削減ができる
人による数値の入力作業が省けるので、単純作業にかけるコストが削減できます。
他のリソースが足りない業務で付加価値が高い仕事に人員補充が可能です。紙管理が不要になるので、印刷する紙代や印刷機のインクの使用量を抑えられ事務費のコスト削減も期待できます。
一元管理で安全性を確保できる
電子管理で適切なセキュリティ対策を施せば紛失するリスクが低くなり、帳票類を安全に管理できます。
さらに紙による情報の受け渡しやUSBなどでのデータ持ち出しを禁ずる運用ルールを設ければ、よりいっそうセキュリティ性が高められます。データベース上で一元管理すれば、物理的に紙を保管するスペースも不要なので、保管費用の軽減や空きスペースを有効に使えるでしょう。
業務の効率化が図れる
帳票類が多い事業者にとって紙管理は工数が掛かる業務です。電子化すればファイリング作業や検索に掛かる時間を削減できるので、管理工数を大幅に削減できます。
帳票をクラウド上で送付すれば郵送作業が不要になり、修正や再発行も電子上で修正して再送付が可能です。受取側の企業も電子化を推進していれば書類を受け取る手間が省けるので、双方にとってのメリットが大きいでしょう。
デメリット
一方で、電子化/ペーパーレス化にはデメリットとして認識すべきことが2つ挙げられます。
導入時に初期費用が発生する
帳票類を電子化するためには、システムやソフトウェアの導入が必要です。
既存のPCのスペックが低い場合は、新たなPCを購入する必要があり初期費用が発生します。求めていた機能や仕様でなかった場合、効率化とは反対に工数が掛かってしまったり、無駄なコストがかかります。
各社から便利なツールが提供されていますが、機能を追加するとその分の費用が必要です。どのような管理方法でどの範囲まで適用するかを社内で事前に議論しましょう。
取引先との合意が必要
帳票類を電子化する取り組みについて取引先に事前に説明しない場合、トラブルが発生する可能性があります。紙で郵送を希望される事業者もいるので、帳票の受け取り方は企業ごとにさまざまです。
企業規模によって帳票類を電子化するシステムやソフトを導入するメリットがない場合もあるので、自社で帳票類の電子化を進める前に取引先の事情を確認しましょう。
帳票を電子化/ペーパーレス化する3つの方法
帳票を電子化することは、業務効率化やセキュリティ強化の観点から重要です。主に以下の3つの方法があります。
- Excelで作成した帳票をPDFで出力
- OCR処理による電子化
- 電子帳票システムの利用
Excelで作成した帳票をPDFで出力する
Excelなどの表計算ソフトを使用して作成した帳票をPDF形式で出力する方法は、簡便で迅速に文書を電子化する手段といえます。
PDFフォーマットは、ファイルの内容が改ざんされにくいため、セキュリティ面でのメリットも大きい点が特徴です。PDF化された帳票は、メールやクラウドを通じて簡単に共有でき、遠隔地の同僚や取引先とのコミュニケーションの円滑化が期待できます。
しかし、電子帳簿保存法の要件を満たすためには、運用面での配慮が必要であり、適切なアーカイブシステムやバックアップ体制の整備が求められます。
OCR処理により電子化する
OCR(光学文字認識)技術を利用して紙の帳票をスキャンし、内容をテキストデータとして電子化する方法は、紙の文書を効率的にデジタル管理したい場合に適しています。
スキャンした帳票の情報をテキストデータとして抽出してデータベースに保存することで、情報の検索性が飛躍的に向上します。電子帳簿保存法に準拠するためには、認証取得済みのOCRソフトウェアの利用がオススメです。
ただし、正確な文字認識のためにはクリアな原稿と適切な設定が必要であり、大量の文書を処理する際には適切な業務方法の確立が求められます。
電子帳票作成システムやツールを利用する
電子帳票システムを利用する方法は、帳票の作成から送受信、管理までを一貫してデジタル化することが可能です。
電子帳票システムは、法的要件を満たす機能を備えており、特に「JIIMA認証」を受けた製品を選択することで、電子帳簿保存法への対応が容易になります。電子帳票システムの利用により、帳票の即時配信や自動アーカイブ、迅速な検索が可能となり、業務の効率化が期待できます。
選択するシステムによっては、カスタマイズ性や拡張性も高く、企業の成長や変化に柔軟に対応することが可能です。
製造業にオススメしたいデジタル帳票ツール「tebiki現場分析」
ここまでビジネスにおける一般的な「帳票」についてご紹介してきました。
最後に、先ほど「製造における帳票」でご紹介した製造現場で使われるような帳票を電子化するツールとして、tebiki現場分析をご紹介します。
tebiki現場分析は、製造現場で紙ベースで使われることが多かった帳票をデジタル化し、記録や管理工数を効率化するツールです。
記録者の記入ミス/クセ字による判読の難しさを解消し、管理者もデジタル上で時間や場所を問わず承認作業を行うことが可能になります。
帳票の項目も任意で設定が可能なため、設備の定期点検チェックシート/作業日報/不具合報告書など、電子化したい帳票を項目から設計することが可能です。記録~管理の工数が大幅に削減できるため、業務改善につなげるための記録の分析をより注力して行えます。
具体的なサービス機能は以下の資料で詳しくご紹介していますので、併せてご覧ください。
帳票について知り、上図に保存・活用しよう【まとめ】
この記事では、帳票とは何か、その意味と役割から帳簿、伝票、証憑といった類似する文書との違い、種類と役割、そして帳票の管理方法について詳細に解説しました。
とくに法人税法や会社法における保存期間の順守、紙と電子データの管理形式。そして、電子化/ペーパーレス化に向けた動きなどは現代の企業が抱えている課題に解決策を紹介しました。
電子化の進展により、データの利便性が高まりつつも、その管理やセキュリティには配慮が必要であることも解説しています。
またインボイス制度の導入による帳票業務の変化は、課税事業者と免税事業者の双方に影響を及ぼしています。インボイス制度により、業務プロセスの見直しやシステムの更新を必要とする場合が多く、事業運営における転換点といえるでしょう。
tebiki現場分析ではインボイス制度に対応した帳票を作成可能ですので、ぜひこの機会に下記のリンクからチェックしてみてください。