現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 【製造業】新人教育が進まない現場の原因5つと改善策

かんたん動画マニュアル作成「tebiki現場教育」を展開する現場改善ラボ編集部です。

数多くの製造現場が抱える深刻な課題のひとつに「進まない現場教育」が挙げられます。そこで本記事では、製造現場で教育が進まない「根本的な課題」を分析しつつ、それらの課題を解消してベテラン社員の技能伝承を促進させる「新しい現場教育の手法」も解説します。

しかし、いざ自社で新しい教育体制を構築しようとしても、「どこから見直せばいいか分からない」「自社の教育体制の何が間違っているのか客観的に把握できない」と悩む担当者は少なくありません。現場教育、とりわけ最初の関門である「新人教育」を成功させるためには、まず自社に潜む構造的な欠陥を正しく把握することが第一歩となります。

お役立ち資料『【新人教育チェックシート付き】新人教育に失敗する製造現場に潜む3つの構造的要因と新しい教育アプローチ』では、新人教育がうまくいかない現場に共通する構造的要因をさらに深掘りするとともに、自社の状況を客観的に評価できる「新人教育チェックシート」を収録しています。

本記事で得た知識を具体的なアクションへと繋げ、現場の教育体制を根本から見直すための実践的なツールとして、ぜひダウンロードしてご活用ください。

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現場教育が進まない製造業に蔓延る教育手法

現場教育の多くが「OJT」「紙マニュアル」といった従来の方法に依存しています。OJTや紙マニュアルにはそれぞれ利点がある一方、運用方法によっては教育内容のばらつきや更新負担が生じ、現在の製造現場が抱える多言語化・多拠点化などの課題に対応しにくい場合があります。ここでは「OJT」と「紙マニュアル」に焦点を当て、それらが生み出す教育の課題を掘り下げます。

OJTによる新人教育

実際の仕事を通じて行われる教育方法「OJT(On the Job Training)」は、実践を重視するため、即戦力を育てやすい利点があります。特に製造業のように現場特有の作業が多い場合、一見、効率的に見える手法です。

しかし、指導の質が指導者に依存するため、教育のばらつきが大きくなります。また、OJTは教育計画や評価基準が整備されていない場合、指導者によって内容や質に差が生じやすく、知識・技能の伝承が属人的になる可能性があります。特に技能伝承や新人教育において「暗黙知」が伝わらない問題が発生しています。例えば飲料メーカーのアサヒ飲料株式会社も、新人受け入れ時はOJTに半日以上費やし、定常業務に影響が出る課題を抱えていました。

関連資料:OJT担当者の負担が激減する、OJT教育の新常識とは?

つまりOJT教育の問題点は、次の3点にまとめられます。

  • 教育内容が担当者によってバラつく
  • 体系的に技術を伝承できないため、標準化が進まない
  • ベテラン社員が教育中は本来の業務を遂行できず生産効率が落ちる

こうしたデメリットは理解しつつも、「他に教育手法がない」「効率的な教育体制が整備できない」との事情から、OJT教育でとりあえず新人教育を実施する現場は少なくありません。

OJT教育のデメリットを解消しうる教育手段の一つの選択肢が「動画マニュアル」です。「指導者による説明内容のばらつきがない」「紙や口頭だけの場合と比べ、作業の動きや注意点に対する認識をそろえやすい」「教育担当者が不在でも教育が可能」といった強みがあるため、教育のバラつきが生じにくく、多くの製造業の現場で取り入れられています。

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紙マニュアル・作業手順書による教育

紙マニュアルや作業手順書は作業手順や安全規則を明文化する手段ですが、複雑な作業プロセスや高度な技術が求められる製造現場の作業手順は、言語化が非常に難しいものです。そのため、文字が主体である「紙の手順書」による現場教育は限界を迎えつつあります。

また、頻繁な手順書の更新が必要な現場では、古い情報が残り、実際の業務とかけ離れる恐れがあるのも紙マニュアルのデメリットです。こうした「作業手順書の形骸化」は、数多くの現場で生じている課題のひとつです。「紙マニュアルは古いから、ベテラン社員に聞かないと分からない」状態が続くと、最終的にはOJT教育に依存する体制へと強制的に切り替わり、技術やスキルが新人作業員間でバラつくことになります。

だからこそ、製造業における手順書整備には一定のコツやポイントが存在します。

  • 「誰が見ても同じ理解」が得られるよう、映像や写真を掲載する
  • 文字だけによる説明を極力ゼロにする
  • 作業現場でマニュアルが確認できる体制を構築する

しかし、こうしたコツを踏まえて手順書を作成しても、それを現場で正しく運用し続ける仕組みがなければ、結局は再び「形骸化」します。決めた標準を「守られる状態」にまで引き上げるには、作業のバラつきを防ぐ業務標準化の視点が欠かせません。手順書の形骸化を防ぐ標準化の進め方は、以下の動画で解説しています。

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OJTや紙の手順書による教育が生み出す5つの課題

OJTや紙マニュアルといった従来の教育手法は、いずれも現代の高度化した教育課題には対応しきれていません。これらの教育手法は、以下の教育課題を生み出す要因ともなっているからです。

教育内容のバラつき

製造業における教育内容のバラつきは、深刻な問題です。教育の内容や質が一貫しないことで従業員間のスキルや知識の差が生じ、その差は製品の品質や生産性に直接的な影響を及ぼします。OJTは特に指導者の経験やスキルに依存するため、標準化された教育が困難です。

例えば、同じ製造業でも工場や部署によって教育の内容や方法が異なると、生産ラインの効率や製品の品質にバラつきが生じます。特に新技術の導入や作業手順の変更が頻繁に行われる現代の製造業において、教育内容の一貫性は重要です。実際、ステンレス鋼の加工業務を行う「MSSステンレスセンター株式会社」では、教育担当者によって新人教育の内容や品質に差異が生じ、新入社員がストレスを感じてしまう課題を抱えていました。

こうした「指導者による教育のバラつき」を解消し、誰が教えても同じ品質で学べる仕組みづくりが現場には求められています。新人のストレスや指導側の負担を減らしつつ、新人教育を標準化するための考え方とチェックシートは、以下の資料にまとめています。自社の教育体制を見直すヒントとしてご活用ください。

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技能伝承の断絶

熟練者が定年退職する際、その技術や知識が体系化されていないと、新しい世代への技能伝承が途絶える危険があります。この問題は特に属人的なOJTが中心の現場で深刻です。現場における暗黙知が失われることで、業務の停滞や品質低下につながります。

関連資料:技術・技能伝承の進め方~伝承を阻害する5つの誤解とその解決策~

例えば食品製造企業である「テーブルマーク株式会社」では、製造トラブル発生時の復帰方法やメンテナンス手順が「ベテラン従業員の頭の中にしかない」状態がありました。まさしく技能伝承に課題を抱えており、カンコツに頼る場面が多かったのです。こうした「ベテランの暗黙知」を次世代へ確実に引き継ぐには、言葉では説明しにくい技術や感覚を映像で記録し、新人が繰り返し学べる仕組みが有効です。動画による技能伝承の具体策は、tebiki現場教育のサービス資料でご確認いただけます。

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外国人労働者とのコミュニケーション弊害

製造業において外国人労働者の採用が増加している中、言語問題などコミュニケーションの障壁は大きな課題になります。言語や文化の違いから生じる誤解や情報の伝達不足が、作業のミスや事故の原因となるからです。

例えば、安全手順や作業手順の説明が言語の壁によって不十分だと、外国人労働者が正確な作業を行うことが難しくなります。文化的な違いから生じるコミュニケーション不足は、チームワークの低下や職場の雰囲気の悪化を招く可能性もあります。視覚的・動画ベースの教育が不十分な製造現場では、外国人労働者がスムーズに現場に適応しづらい現状があります。

例として、化学メーカーである児玉化学工業株式会社では、現場で働く外国人の多言語化が進んでおり、日本語を中心としたコミュニケーションのあり方に課題を感じていました。現場ではスペイン語、ポルトガル語、中国語、ベトナム語など様々な言語が飛び交い、ほぼ日本語がわからない方もいます。専門用語も出てくるため「伝える」ことに課題を感じていました。同社のような製造現場では「複雑な動きを伴う作業」が多く、外国人労働者の教育を難しくする大きな要因となっています。

▼ヤスリでのバリ取り▼

tebikiで作成

最終的に同社は「言葉による説明がなくとも、作業手順がある程度理解できる“動画”によるマニュアル」を整備し、外国人教育をスムーズに推進しています。複雑な業務作業も、動画で手順をおさめれば、紙や口頭だけの場合と比べ、作業の動きや注意点に対する認識をそろえやすくなるため、円滑なコミュニケーションを促せます。

現場の多能工化の遅れ

現代の製造現場では多能工化が求められていますが、従来の教育手法では実現が難しい状況です。従来のOJTは主に現場での実務を通じた教育であり、指導者が「その場の業務」を優先するため、新人は特定の工程や機械操作に集中しがちです。また、紙マニュアルは各工程ごとに分かれていることが多く、作業内容が分断されて全体像を把握しにくい構造です。これにより、従業員が幅広いスキルを身に付ける機会が限られてしまいます。

多能工化を効果的に実現するためには、まず従業員一人ひとりの現在の力量を正確に把握して次なる育成計画を立てる「スキルの可視化」と、新しい業務の全体像や細かいカンコツを直感的に学べる「分かりやすい教育環境」の両立が必要不可欠になります。

そこで役立つのが、誰がどの業務をできるのかを一目で把握できる「スキルマップ」と、視覚的に理解しやすい「動画マニュアル」を掛け合わせた新しい教育手法です。

お役立ち資料『動画マニュアルが紐づくクラウド型スキルマップ「tebiki現場教育」』では、現場のスキル管理と動画による直感的な教育を一体化させ、現場の多能工化を強力に後押しする仕組みについて詳しくご紹介しています。

従来の教育手法に限界を感じ、「誰が休んでも回る現場」を目指して多能工化をさらに推進したいとお考えの方にとって具体的な解決策となる資料ですので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

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教育負担の偏り

新人教育や技能伝承の負担が特定の従業員に集中することがあります。特に経験豊富なスタッフが教育に専念せざるを得ず、本来の業務に支障が出る場合も少なくありません。この負担の偏りが、教育担当者のモチベーション低下や離職につながる可能性もあります。

例えば自動車チェーン等の製造を手掛ける「大同工業株式会社」では、新入社員の教育担当者が「毎年同じ指導を繰り返していた」ため、新人研修そのものが非効率となっていました。結果的に教育担当者の本来の業務時間に影響が及び、生産性低下の要因となっていたのです。現在は動画マニュアルの導入によって教育工数の8割削減を実現し、改善を進めています。

製造業の現場教育や新人教育がうまくいく4つの教育体制

ここまで、OJTや紙マニュアルといった従来の教育手法が引き起こす5つの課題(教育内容のバラつき、技能伝承の断絶、外国人とのコミュニケーション弊害、多能工化の遅れ、教育負担の偏り)を見てきました。これらの根深い課題を克服し、新人教育を実現するためには、教育体制そのものに抜本的な改革が必要です。その改革指針として、以下4つのポイントを提案します。

1.「指導者による教え方のばらつき」を防ぐ教育基盤の整備

指導者の経験やスキルに依存する従来のOJTでは、教える人によって内容が異なり、新人や外国人労働者が困惑する原因となります。教育内容にばらつきが生じない仕組み、つまり「誰が教育担当となっても、教育内容がある程度同じになる」体制を構築することが重要です。

関連資料:教育のばらつき/教育負担の削減が見込める”動画マニュアル”の有効性&活用事例

工程ごとに必要な技術を洗い出し、チェックリスト化する

教育項目を定めてチェックリスト化し、そのチェックリストに沿って教育を推進する方法です。作業手順のマニュアルではなく、「教育担当者のためのマニュアル」を整備することで、誰が教育を担当しても教育指針がブレないようになります。標準化がなされない製造現場では、常に教育担当者による教育品質のバラつきが課題として挙げられます。

そこでまずは、各工程ごとに担当者を設け、新人作業員が習得すべき技術や手順を箇条書きで洗い出しましょう。教育事項を洗い出す手段として有効なのが「スキルマップ(力量管理表)」です。部署/部門や工程ごとに求められるスキルを一覧化し、どの従業員がどのレベルまで到達しているのかを一元管理できます。言い換えれば、スキルマップにまとめられたスキル一覧が「指導者が教育すべき内容」となります。工程ごとに必要なスキルが可視化されれば、何を習得すべきかが明確になり、教育計画やカリキュラムもスムーズに策定できます。

関連資料:動画マニュアルが紐づくクラウド型スキルマップ「tebiki現場教育」

作業手順を映像や動画におさめ、OJT前後の予習・復習として活用する

製造業の現場教育がどうしてもOJT頼りになるのは、微妙な力加減や複雑な作業手順といった「カンコツ」の言語化が難しいからです。逆に言えば、「言語化せずとも、一目見ればある程度の作業手順が分かる教材」があれば、教育品質のバラつきを緩和できます。その一つが「動画」です。

紙の手順書の代わりに動画を用いて教育を推進する製造業は増えており、例えば児玉化学工業株式会社が実際に教育で作成している動画マニュアル(ドリルで穴のバリを取る等)はその例です。

▼ドリルでの穴のバリ取り▼

tebikiで作成

紙マニュアルではすべての作業工程を言語化する必要がありますが、動画マニュアルであれば文字の使用は字幕による最低限の補足のみで済みます。複雑な作業手順をすべて映像に落とし込み、内容の確認・承認や改訂管理を行ったうえで、動画を正式な作業手順書や教育教材の一部として運用する企業もあります。

2. 技能伝承と次世代育成を可能にする教育体制

多くの製造現場における技能やノウハウは、体系的な教育の仕組みがないまま、個々の従業員の経験則として蓄積されていきます。その結果「暗黙知の蓄積」と「ベテラン社員への依存」という2つの問題が深刻化します。

つまり、ベテラン社員の「カンコツ」や暗黙知を見える化し、次世代へ確実に引き継ぐ仕組みが必要です。技能伝承が途絶えると、現場全体の競争力が低下するリスクがあります。特に製造現場では、言葉では説明しにくい技術や感覚を映像などで記録し、新人が繰り返し学べる仕組みを作ることで、効率的かつ確実な技能伝承が可能になります。

関連資料:技術・技能伝承の進め方~伝承を阻害する5つの誤解とその解決策~

3. 現場環境の変化に柔軟に対応できる教育体制

製造現場は、新しい機械の導入や作業手順の変更、従業員構成の変化が日常的に発生します。そのため、教育手法自体が変化に柔軟に対応できるものでなければ、現場のニーズを満たすことが難しくなります。教育内容を迅速に更新・共有できる仕組みを持ち、外国人労働者や新人など多様な対象者に対応する体制が求められます。

なぜこのような「変化に対応できる教育体制」が重要かというと、製造現場における作業ミスや重大なトラブルは、まさにこうした「変化が起きたタイミング」に集中して発生するからです。とくに、「新人で作業に不慣れな時」「久しぶりにその作業を行う時(ブランク)」「作業手順が変更された直後」の3つの場面は、普段ミスをしない作業者であってもエラーを起こしやすい、いわば「魔の3大変化点」とも呼べる非常に危険なタイミングです。教育内容の更新や共有が遅れ、変化に対する現場のサポートが不十分なままだと、不良品の流出や労働災害に直結してしまいます。

つまり、日々変化する現場のニーズを満たすためには、柔軟な教育体制を整えることと併せて、「変化点に潜むリスクを先回りして封じ込める仕組み」を構築することが不可欠です。

お役立ち資料『魔の3大変化点 「不慣れ/ブランク/手順変更」による作業ミスを封じる現場の仕掛け』では、現場でミスが多発するこれら3つの変化点に焦点を当て、ヒューマンエラーを未然に防ぎ、作業の確実性を担保するための具体的なアプローチを解説しています。

変化に強い現場を作り、品質と安全を守り抜くための実践的なノウハウとして、ぜひダウンロードしてご活用ください。

>>魔の3大変化点 「不慣れ/ブランク/手順変更」による作業ミスを封じる現場の仕掛けとは? を見てみる

4. 教育負担を分散し、効率化する教育体制

教育担当者に負担が集中すると、指導の質や他業務への影響が出ることがあります。そのため、教育の負担を分散し、効率的に進められる仕組みを整えることが必要です。例えば、動画を用いた自主学習の仕組みを取り入れることで、指導者の時間を節約でき、現場全体の負担を軽減できます。従来型の教育ツールでは現場の技能を十分に伝えられず、結果的に指導者による教育品質のバラつきが生じてしまうため、記録・共有できる仕組みへの転換が有効です。

現場教育を改善した製造業の事例

アサヒ飲料株式会社:OJT教育と手順書作成の工数を大幅削減

アサヒ飲料株式会社では、現場教育において複数の課題を抱えていました。まず、新人へのOJTに教育担当者の半日以上が費やされ、自身の通常業務に支障が出ていました。また、教育者によって教え方が異なるため新人の理解度に差が生じ、紙の手順書では熟練者の持つ「コツ」のような暗黙知を伝えるのが困難でした。さらに、その手順書自体の作成にも数日を要し、大きな負担となっていました。

そこで、これらの課題を同時に解決する手段として動画マニュアルを選びました。動画であれば教え方を標準化でき、熟練者の動きをそのまま視覚的に見せることで、言葉では伝わらない暗黙知を形式知化できると考えたためです。導入の結果、OJTや手順書作成の工数を大幅に削減し、質の高い教育を効率的に行えるようになりました。同社が活用しているのは、製造業の現場教育に向けて設計された動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」です。

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日本クロージャー株式会社:新人教育でありがちな「ちょっと待ってて」を解消

日本クロージャー株式会社は、新人教育において、多忙な指導者が危険な作業をすぐに教えられず、「ちょっと待ってて」と新人を長時間待たせてしまう非効率なOJTが常態化していました。また、工場間で金型などの設備を共有する際、操作方法をExcelや電話で伝達していましたが、ニュアンスが伝わりづらく、1時間以上かかるなど大きな負担となっていました。

これらの課題解決のため、一度は動画の内製化を試みましたが、共有フォルダの深い階層に保存され、閲覧のたびにパスワードが必要になるなど、保管とアクセスの問題で頓挫した経験がありました。その失敗から、誰でも簡単に動画を保管・閲覧でき、キーワード検索も容易な動画マニュアル「tebiki現場教育」を導入。結果、OJTの約7割を動画に置き換えることに成功しました。新人は待機時間に自身のペースで予習でき、教える側も時間を気にせず学べる環境が確立。工場間の情報共有も格段にスムーズになり、教育全体の効率化と質の向上を実現しました。

製造現場に適した教育手法

ここまで「製造現場の教育が進まない根本的な課題」と、「それらの課題を解消するために必要な教育体制」について解説しました。これらを踏まえたうえで「製造現場に適した教育手法」として、以下の4つが挙げられます。

  • 動画マニュアルの導入
  • 電子端末を用いたデジタルマニュアルの整備
  • 外部トレーナーによる定期的な現場教育の実施
  • VR(仮想空間)等を活用したトレーニング

なかでも、動きを伴う作業や言語化しにくい技能を伝える手段として、動画マニュアルは有力な選択肢の一つです。昨今の製造現場において教育課題を解消する有効な手段として多く採用されているのが、「複雑な動きが伴う業務手順や、言語化しにくいベテラン社員の技術を『一目で・視覚的に』伝えられる教育」、つまり「動画」だからです。

動画マニュアルの導入

動画マニュアルは、教育の標準化や技能の見える化、OJT負担の軽減に活用できる選択肢です。その理由を、実際に導入して教育を改善した企業の観点から解説します。

教育の標準化が可能

動画マニュアルは、指導者による教育のばらつきを解消し、質の一貫性を確保します。一度、業務手順を動画におさめれば、「誰が見ても同じ教育」を受けられるからです。特に多国籍従業員や複数のシフト体制といった多様な環境でも、同じ教育コンテンツを共有できるため、教育効率を大幅に向上させます。これにより、新人や経験の浅い従業員でも短期間で現場業務に適応できます。

視覚的でわかりやすい教育を実現

文章や静止画像では伝えきれない複雑な手順や技術を、動画を使って直感的に理解させられます。例えば、熟練者の手の動きや作業のスピード感をそのまま記録することで、「感覚的な部分」まで伝えられます。これにより理解度が高まり、学習の繰り返しにも対応できます。

教育負担を軽減

動画マニュアルを一度用意できれば、教育担当者となるベテラン従業員がOJTを実施する時間が一定削減され、現場全体の生産性が向上します。動画を用いた自主学習を組み込むことで、指導者が業務に専念できる体制を作り出せます。

着実な技能伝承を実現

動画は、ベテラン社員のノウハウや暗黙知を具体的に記録することで、次世代に確実に引き継ぐ手段となります。退職や異動が発生しても、知識や技術が途絶えることなく、長期的な組織の強化が可能です。

電子端末を用いたデジタルマニュアルの整備

紙マニュアルをデジタル化することで、携帯端末からマニュアルにアクセスできる環境を整備できます。マニュアルを更新しても、新たな配布や古いマニュアルの回収といった手間を省けるため、紙マニュアルの課題を軽減する選択肢として有効です。ただし、視覚情報が静止画像や簡易動画に留まることが多く、技能伝承や教育の標準化といった点では限界があるので注意が必要です。

外部トレーナーによる定期的な現場教育の実施

外部トレーナーを活用する方法は、「教育内容の標準化」と「技能伝承」の一部を担う形で役立ちます。特に高度な技術や専門知識を短期間で学べる点は大きな利点です。外部の視点を取り入れることで、現場内では気づきにくい改善ポイントを洗い出せます。

ただし、一過性のトレーニングになりがちで、継続的な成果を得るには教育内容を現場に適応させる取り組みが必要です。また、トレーニングを実施するたびに費用が発生するため、費用対効果が見合わないケースもあります。

例えば、これまで現場教育を外部研修で実施していた製造業の「御幸毛織株式会社」では、外部研修で習得したスキルを動画で社内共有できるようになり、全員が外部研修に参加する必要がなくなりました。同社では、年間百万円規模のコスト削減につながることを見込んでいます。

VRやARを活用したトレーニング

VRやARは、「視覚的なわかりやすさ」と「技能伝承」の分野で最先端の選択肢です。特に危険作業や精密な手順をシミュレーションする能力に優れ、安全性を確保しながら教育を実施できます。しかし、こうした大掛かりなデジタル機器を製造現場に導入するのは、初期コストが非常に高く、小規模な現場や単純作業には適さない場合があるため、導入には慎重な判断が求められます。

まとめ:製造業における現場教育に必要な「体制」と「手段」

現場の教育体制を整備するには、以下のポイントが重要です。

  • 教育内容を標準化し、一貫性を確保できる教育体制
  • 技能伝承と次世代育成を可能にする体制
  • 現場環境の変化への適応力を持つ教育手法
  • 教育負担を分散し、効率化する教育体制

これらを実現する第一歩は、「誰が・何を・どこまで教えるか」をスキルマップで可視化し、教育内容を標準化することです。そのうえで、言語化しにくいカンコツを動画で記録すれば、教育のばらつき・技能伝承の断絶・多能工化の遅れといった課題を包括的に解消できます。

関連資料:かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」

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