現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 安全衛生管理とは?取り組むべき9つの実践内容と必須体制

かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を展開する、現場改善ラボ編集部です。

本記事では、安全衛生管理の概要と実践すべき具体策や必須体制について解説します。安全衛生管理がなぜ重要で、どのように実現するべきか、実現するにはどういった体制が必要なのかをすべてまとめました。

特に「具体策」は9つ紹介しているので、施策に悩んでいる方は本記事を通じて次なる打ち手が探せるはずです。

ちなみに、安全衛生委員会をすでに設置している事業場では、安全衛生委員会のネタ探しに困っているところも多いのではないでしょうか。その場合は、安全衛生委員会のネタを月別で見つけられる記事「【2025年版】安全衛生委員会ネタ一覧!工場や建設業で使える“面白い”テーマは?」もあわせてご覧ください。

安全衛生管理とは?取り組む目的

安全衛生管理とは、企業や組織が労働者の安全と健康を保護する活動です。労働安全衛生法や労働基準法など、法律や規則に基づいて取り組みます。

安全衛生管理は企業の社会的責任の一環であり、生産性の向上や労働者の健康の増進など、企業と労働者にメリットが生まれます。企業は従業員の健康と安全を守り、社会から信頼される企業として存在し続けることが重要です。

職場の安全衛生を向上させるためには「安全衛生委員会」の役割が重要ですが、議題がマンネリ化したり、委員会の開催が形骸化し、職場の安全対策に繋がっていないケースも少なくありません。

安全衛生委員会の運営にお悩みの方、議題のマンネリ化を解消したい方は「【2025年2月】安全衛生委員会ネタ一覧!工場や建設業で使える“面白い”テーマは?」の記事か、以下のPDF資料をご活用ください。

取り組む3つの目的

安全衛生管理に取り組む目的を3つ解説していきます。

  • 事故や健康被害の予防や対策の策定
  • 労働者の安全意識の向上
  • 労働者が働きやすい職場環境を維持すること

それぞれ詳しく見ていきましょう。

事故や健康被害の予防や対策の策定

安全衛生管理に取り組む目的の1つは、事故や健康被害の予防や対策を策定することです。

事故や健康被害が生じてからでは労働者の人命や健康を脅かすだけではなく、企業にとっても深刻な経済損失に繋がる恐れがあるので、定期的に危険予知や評価をして事故や災害を未然に防ぐ必要があります。

例えば、過去の事故や災害のデータを分析し、類似の事象を未然に防ぐための対策を水平展開したり、定期的に現場や職場内を巡視して危険な箇所に適切な対策を実施したりすることが重要です。

万が一、事故や健康被害が発生した場合はすばやく処置をして、事故の対策や緊急対応のマニュアルを作成し再発防止に取り組みます。

労働者の安全意識の向上

労働者の安全意識を高めることは、安全衛生管理に取り組む目的の1つです。

企業側が安全衛生管理を一方的に推進するのではなく、労働者が自ら危険を予測し、事故を回避するための適切な知識や技術を身につければ、事故や災害を未然に防げる可能性が高くなります。

しかし、労働者の安全意識を高める教育は決して簡単ではありません。特に複雑かつ危険な作業手順を伴うことが多い製造業では、安全教育の重要度は極めて高い一方で、「有効な教育方法」が定まっていない現場が多いです。ほとんどの製造現場では口頭指導やテキスト資料による教育で安全指導を行っていますが、効率よく教育できず、教育工数ばかり膨らんでしまうというお声をよくうかがいます。

そこで安全教育に注力している製造現場でよく取り入れられている教育手法が「動画マニュアルによる教育」です。例えば、ポリマー・塗加工関連事業を担う「トーヨーケム株式会社」では、動画上で作業中の事故を再現し、現場作業における安全教育を実施しています。

このように、安全教育がうまくいっている現場では動画による教育を手掛けていることが多いです。動画マニュアルによる安全教育の推進方法や製造業の事例もあわせて知りたい方は、PDF資料「安全意識が高い製造現場はやっている! 動画マニュアルを活用した安全教育・対策事例」もご覧ください。下の画像をクリックして資料をダウンロードできます。


効果的な安全教育・対策に必要な「3つのポイント」をみる

労働者が働きやすい職場環境の維持

安全衛生管理に取り組む目的の一つは、労働者が働きやすい職場環境を維持することです。

健康維持の措置として、法律で定められた業務を行う現場では作業環境を測定し記録を残します。

また、常時使用する労働者を雇い入れるときの健康診断や、毎年1回以上行う定期健康診断で労働者の健康管理が必須です。

労働者の健康を促進して労働者のストレスを軽減することで、職場内でコミュニケーションが良好になり労働者のやる気向上が期待できます。

風通しが良い職場では労働者の意見交換が盛んになり、作業や職場環境の改善活動が進みやすく、より積極的に業務に取り組む姿勢が生まれるでしょう。

押さえておきたい安全衛生に関連する法律

この章では安全衛生管理において、押さえておきたい安全衛生に関連する法律を解説します。

労働安全衛生法

労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康の確保を目的とし、1972年に制定された法律です。

高度経済成長期に多発した労働災害を減らすために設立され、施行されてから10年程度で労働災害の件数が約半分に減少しました。

労働安全衛生法では、職場における危険な作業に対して適切な安全対策を講じることや、安全衛生に関する教育や訓練が求められており、職場における健康管理や安全衛生委員会の設置も労働安全衛生法に基づいて規定されています。

安全衛生委員会の詳細については、次章『安全衛生管理の中核を担う「安全衛生委員会」』で詳しく解説しています。

労働基準法

労働基準法は、労働者の権利を保護する法律の一つであり、1947年に制定されました。この法律は、労働者が適正な労働環境で働けるようにする目的で、労働時間や賃金、休暇、労働条件などに関する規定が含まれています。

例えば労働時間の規定では、1日の労働時間が8時間を超えてはならない、または1週間の労働時間が40時間を超えてはならない規定があります。

また、最低賃金が定められており、労働者は有給休暇や育児休業、介護休業などの権利が保障されています。

近年、労働環境の多様化や働き方改革の推進に伴い労働基準法が改正され、最新の改正では最低賃金の引き上げや、時間外労働の上限規制の強化などが行われました。

今後も労働者の権利を保護するために、労働基準法の改正が予想されるので、遵守しなければならない義務として認識しましょう。

安全衛生管理の中核を担う「安全衛生委員会」

安全衛生委員会は、職場の安全衛生管理において極めて重要な役割を担う組織です。労働安全衛生法に基づき、一定規模以上の事業場に設置が義務付けられており、事業者と労働者の代表が、安全衛生に関する事項を調査審議します。その最大の意義は、労使が対等な立場で協力し、労働災害や健康障害の防止、快適な職場環境の実現を目指すことにあります。

委員会では、リスクアセスメント、安全衛生教育、健康管理、作業環境の改善など、幅広い議題が扱われます。労働者の意見を反映し、現場の実態に即した実効性の高い対策を立案・実行できる点が、安全衛生委員会の強みです。

また、安全衛生委員会は、単なる「話し合いの場」ではありません。毎月1回以上の開催と議事録の作成・保存が義務付けられており、決定事項は事業者によって措置が講じられます。 これにより、労働者の安全と健康を守るための具体的なアクションへと繋がっていくのです。

安全衛生委員会の形骸化を防ぎ、実効性を高めるためには、経営トップの積極的な関与と、現場の実態に即した具体的な議題設定が不可欠です。さらに、PDCAサイクルを確立し、継続的に安全衛生水準を向上させていくことが重要となります。

安全衛生委員会は、労働者の命と健康を守るための「要」です。労使が一体となって委員会を活性化させ、安全で健康な職場環境を築き上げることが、企業の持続的な発展にも繋がるのです。

安全衛生委員会で議論すべき内容

安全衛生委員会で議論すべきトピックは多岐に渡りますが、いざ議論を進めようとすると「何を議論したらいいかわからない」となることは少なくありません。そこで、議論に行き詰まった際は以下のカテゴリーから考えてみると良いでしょう。

  • 「リスクアセスメント」関連
  • 「安全衛生教育」関連
  • 「健康管理」関連
  • 「作業環境改善」関連
  • 「労働災害・ヒヤリハット事例」関連

重要なのは、これらの例を参考に、自社の事業内容、作業特性、過去の災害事例、労働者の意見などを踏まえ、具体的かつ実効性のある議題を設定することです。 また、議論するだけでなく、決定事項を確実に実行し、その効果を評価して改善につなげるPDCAサイクルを回していくことが、安全衛生委員会の実効性を高める上で不可欠です。

もし安全衛生委員会のネタ探しに困っている場合は、安全衛生委員会のネタを月別で見つけられる記事「【2025年版】安全衛生委員会ネタ一覧!工場や建設業で使える“面白い”テーマは?」もあわせてご覧ください。

より具体的な議題ネタが知りたいという場合は、「安全衛生委員会を円滑に進める流れ」「議題ネタを探す視点」「2025年の安全衛生ネタテーマ例」などがまとめられたPDF資料『安全衛生委員会「議題ネタ探しの視点」と「2025年の議題ネタ年間カレンダー」』をご覧ください。下の画像をクリックするとダウンロードできます。

 
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安全衛生管理で実践すべき具体策

安全衛生管理で取り組むべき具体策は、以下のようなものがあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

従業員への安全衛生教育の徹底

従業員一人ひとりの安全意識を高め、安全な行動を促すためには、安全衛生教育が欠かせません。労働安全衛生法で定められた雇入れ時の教育、特別教育、職長教育などを確実に実施することはもちろん、職種や作業内容に応じた具体的な教育を実施することが重要です。

安全衛生教育の例として、物流企業である「株式会社近鉄コスモス」が作成した「フォークリフトの操作」に関連する動画マニュアルを以下に掲載します。「正しいハンドリフト操作」動画化し、従業員に危険が及ばないように正しい操作手順を解説しています。

▼フォークリフトの操作を解説する動画マニュアル(音量にご注意ください)▼

※本動画は「tebiki」で作成されています

安全衛生教育の手段として「動画による教育」は主流になりつつあります。動画マニュアルで教育体制を整備する方法や事例について知りたい方は、以下のPDF資料もあわせて参考にしてみてください。

労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の導入と運用

安全衛生管理を組織的かつ継続的に実施するためには、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の導入と運用が効果的です。OSHMSは、PDCAサイクル(計画-実行-評価-改善)を基本として、安全衛生方針の策定、リスクアセスメント、安全衛生計画の作成、実施、評価、見直しを通じて、安全衛生水準の継続的な向上を目指す仕組みです。このシステムを導入することで、安全衛生管理が組織に根付き、トップマネジメントから現場の従業員までが一丸となって取り組むことが可能となります。

OSHMSの具体的な導入は、厚生労働省の資料「労働安全衛生マネジメントシステムを3ステップでやさしく導入する」を参考にしてみてください。

リスクアセスメントの実施

職場に潜む危険を未然に防ぐためには、リスクアセスメントが不可欠です。リスクアセスメントとは、作業内容、機械設備、化学物質など、あらゆる危険源を特定し、そのリスクの大きさを評価し、対策の優先順位を決めて、リスクを低減する一連のプロセスを指します。

リスクの大きさは「重篤度」と「発生可能性」から評価し、その大きさに応じて対策の優先順位を決定します。そして適切なリスク低減措置を実施(例えば「保護具の着用」等)し、その効果を定期的に確認し、必要に応じて見直しを行います。さらに、内部監査などを通じて、リスクアセスメントが適切に実施されているか、リスク低減措置が機能しているかを検証し、継続的な改善につなげることが重要です。

毎日その日その日の作業の危険を予知し、事故を未然に防ぐ「KY活動(危険予知活動)」という活動と似ていますが、あくまでリスクアセスメントは会社全体で、KY活動は毎日の作業に重きを置いて実施するイメージになります。

標準作業の確立と職場への浸透

安全で効率的な作業を実現するためには、標準作業を確立し、それを職場に浸透させる=業務標準化が不可欠です。

例えば製造業では、製品の品質、生産性、安全性を確保するために、標準作業が特に重要です。各工程の作業手順、使用工具、作業時間などを詳細に定めた標準作業手順書(SOP)を作成することで、作業のバラツキをなくし、誰が作業を行っても一定の品質を保つことが可能となります。

製造業は業務内容が複雑かつ高い専門性が求められるので、技術伝承がなかなかうまくいかず、標準化が難しいです。製造業における新人教育に課題を感じている方は、以下のPDF資料「新人教育に失敗する製造現場に潜む3つの構造的要因と新しい教育アプローチ」も参考にすると、教育の実践的なヒントが得られるはずです。

労働者の健康管理

労働者の健康を守ることは、安全衛生管理の重要な柱の一つです。労働安全衛生法に基づき、定期健康診断を確実に実施し、異常所見者に対しては、医師の意見に基づき、適切な事後措置(就業上の措置、保健指導など)を講じることが求められます。

また、長時間労働は過労死や健康障害のリスクを高めるため、労働時間の適切な管理、業務の見直し、人員配置の最適化など、長時間労働を削減するための対策を講じなければなりません。さらに、職場におけるストレスはメンタルヘルス不調の原因となるため、ストレスチェック制度を活用して従業員のストレス状況を把握し、高ストレス者への面接指導や職場環境の改善につなげるなど、メンタルヘルス対策にも積極的に取り組む必要があります。

相談窓口を設置し、その存在を周知することで、メンタルヘルス不調の早期発見と対応を促進することも重要です。

作業環境の継続的な改善

快適で安全な作業環境を維持することは、労働災害や健康障害の防止に効果的です。温湿度、照度、騒音、換気などの状況を、作業環境測定などを通じて把握し、基準値を超えている場合は適切な対策を講じます。

例えば有害物質を取り扱う作業場では、局所排気装置の設置、作業環境測定の実施、保護具の使用など、有害物質へのばく露を防止するための対策が必要です。また、十分な作業スペースを確保し、整理整頓を徹底することで、転倒やつまずきなどの事故を防止します。

ヒューマンエラーの未然防止

労働災害の多くは、ヒューマンエラーが原因で発生しています。そのため、ヒューマンエラーを未然に防止する対策が極めて重要となります。過去の事故事例やヒヤリハット事例を詳細に分析し、エラーの発生要因を特定しましょう。

例えば、作業手順が複雑すぎる、必要な情報が不足している、疲労やストレスが蓄積しているなど、エラーを誘発する要因を多角的に検討し、それぞれに対する具体的な対策を立案します。また、エラーが発生しやすい状況をシミュレーションし、従業員がエラーを起こさない、あるいはエラーが起きても重大な結果につながらないような作業環境やシステムを構築することも有効です。

特に、作業手順や難易度が複雑かつ高度な製造業では、ヒューマンエラーによる労働災害が非常に多いです。そんな製造業における、ヒューマンエラーの未然防止方法や具体的な対策については、PDF資料「製造業におけるヒューマンエラーの未然防止と具体的な対策方法」で詳しく解説されているのであわせてご覧ください。下の画像をクリックすると資料をダウンロードできます。


製造業におけるヒューマンエラーの未然防止と具体的な対策方法

内部安全衛生監査の実施と改善

安全衛生管理が適切に実施されているかを定期的に監査し、問題点を改善していくことが重要です。内部監査員が、安全衛生管理体制、リスクアセスメントの実施状況、各種対策の実施状況などを確認します。そして、監査で指摘された問題点については、速やかに改善措置を講じ、安全衛生管理の向上を図ります。

緊急時対応計画の策定と訓練

地震、火災、爆発などの緊急事態が発生した場合に備え、事前に対応計画を策定しておくことが重要です。避難経路、連絡体制、役割分担など、緊急時の対応手順を明確に定め、計画に基づき、定期的に避難訓練や救護訓練を実施します。これにより、緊急時に迅速かつ適切に行動できるようになり、被害を最小限に抑えることができます。

安全衛生管理で必要な体制と役割

安全衛生管理の業務を遂行するには、管理者等の選任、安全衛生委員会を設置して、安全衛生管理体制を整備する必要があります。

具体的に選任が必要な管理者は、以下の通りです。

  • 統括安全衛生管理者
  • 安全衛生推進者
  • 安全管理者
  • 衛生管理者
  • 作業主任者
  • 産業医

それぞれ詳しく解説していきます。

総括安全衛生管理者

総括安全衛生管理者は、企業全体の安全衛生管理を統括する責任者です。

企業の安全衛生方針や計画を策定し、実施する役割を担います。また、職場での安全衛生管理に関する問題を解決するために、各部署や担当者と連携して業務を遂行します。

〈選任基準〉

常時300人以上の労働者を使用する事業場では、統括安全衛生管理者の選任が義務付けられています。この任には、事業を統括管理する工場長や事業所長など、その事業の実質的な責任者が就くことになります。

〈役割〉

統括安全衛生管理者は、企業全体の安全衛生方針及び計画の策定と実施を主導します。また、職場での安全衛生管理に関する問題解決のために各部署と連携し、安全衛生に関する情報の収集と分析を行います。さらに、安全衛生に関する法令や規制の遵守を徹底し、従業員の安全衛生教育の実施を推進します。

安全衛生推進者

安全衛生推進者は、職場における安全衛生管理の推進役を担います。現場での安全衛生に関する啓発活動や研修の企画・実施、安全衛生情報の提供などを通じて、従業員の安全衛生意識の向上を図ります。

〈選任基準〉

常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者の選任が必要です。この任には、その事業場に専属であり、かつ必要な能力を備えた者を選任することが求められます。

〈役割〉

安全衛生推進者は、職場での安全衛生に関する啓発活動や研修を企画・実施します。また、従業員に対して安全衛生に関する情報を提供し、安全衛生上の問題解決に向けて各部署と連携します。さらに、従業員からの安全衛生に関する相談に対してアドバイスや支援を提供し、職場全体の安全衛生に関する取り組みの評価と改善提案を行います。

安全管理者

安全管理者は、職場の安全管理を専門的に担当する責任者です。職場の安全管理方針の策定と実施、安全に関する情報提供や教育、安全に関する問題解決などを通じて、従業員の安全確保に尽力し、安全管理の改善を図ります。

〈選任基準〉

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、安全管理者の選任が必要です。選任には、所定の研修を修了した者や労働安全コンサルタント資格を有する者から選ぶ必要があります。原則としてその事業場に専属の者を選任しなければなりませんが、一定の要件を満たせば、親会社の安全管理者が兼務することも可能です。

〈役割〉

安全管理者は、職場の安全管理方針の策定と実施を担い、従業員に対して安全に関する情報提供や教育訓練を実施します。また、安全管理の改善に向けた計画を策定・実施し、従業員からの安全に関する相談に対してアドバイスや支援を行います。

衛生管理者

衛生管理者は、職場での健康と安全に関する問題に責任を持ち、職場の衛生管理に関する方針や計画を策定し、実施する役割を担います。職場での環境測定や健康管理、災害対策を含めた衛生管理に関する様々な活動の監督者です。

〈選任基準〉

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者の選任が必要です。選任には、第一種衛生管理者免許もしくは衛生工学衛生管理者免許を有する者、または医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントから選ぶ必要があります。また、常時使用する労働者の数に応じて、選任すべき衛生管理者の数が定められています(下図参照)。

常時使用する労働者の数衛生管理者の数
50人以上200人以下1人
200人を超え500人以下2人
500人を超え1,000人以下3人
1,000人を超え2,000人以下4人(うち一人は選任)
2,000人を超え3,000人以下5人(うち一人は選任)
3,000人を超える場合6人(うち一人は選任)

〈役割〉

衛生管理者は、職場の衛生管理方針および計画の策定と実施を担います。また、職場環境の測定や従業員の健康管理を監督し、衛生管理に関する相談に対してアドバイスや支援を提供します。さらに、職場における災害対策の策定と実施も重要な職務です。

作業主任者

作業主任者は、作業現場において安全に作業するための指導や監督する役割を担います。

作業者の安全な作業を確保するために、安全な作業手順書の作成や、危険物の管理、災害発生時の対応などを実施します。

〈選任基準〉

労働安全衛生法第14条に定められている特定の作業(高圧室内作業、ボイラー取扱作業など)を行う場合、その作業区分に応じて作業主任者の選任が必要です。

〈役割〉

作業主任者は、作業者が安全に作業できる環境を確保するため、安全な作業手順書を策定します。また、作業者に対して安全な作業方法を指導・監督し、危険物の管理や取り扱いに関する指導も行います。さらに、作業現場の安全管理に関する相談へのアドバイスや支援、災害発生時の対応に関する指導・監督も重要な役割です。

産業医

産業医は、​労働安全衛生法に基づき​職場で労働者の健康管理等を行う医師です。

​事業者は、​政令で定める規模の事業場ごとに産業医を選任し、​労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項に対応する必要があります。

〈選任基準〉

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医の選任が必要です。常時1,000人以上の労働者を使用する事業場では専属の産業医を、常時3,000人を超える事業場では2人以上の産業医を選任しなければなりません。産業医は、必要な医学的知識・研修を修了した医師など、一定の要件を満たした医師の中から選任する必要があります。

​〈役割〉

産業医は、作業環境の維持管理、健康相談や面接指導等による健康保持のための措置、そして作業管理など、労働者の健康管理全般を担います。また、衛生委員会へ参加し、少なくとも月に1回は職場を巡視し、労働者の健康障害を防止するための措置を講じます。

厚生労働省が安全衛生管理に関するマニュアルを公開している

厚生労働省は、製造業における安全衛生管理に関するマニュアルを公開しています。

このマニュアルには、安全衛生委員会の設置方法や、職場の危険予測・対策、労働災害発生時の対応方法などが詳細に記載されていますので、具体的な対策の展開に役立つでしょう。

参考:厚生労働省「製造事業者向け 安全衛生管理のポイント」】

まとめ:安全衛生管理は「教育」が命

安全衛生管理を推進するには、以下の具体策が重要です。

  • 従業員への安全衛生教育の徹底
  • 労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の導入と運用
  • リスクアセスメントの実施
  • 標準作業の確立と職場への浸透
  • 労働者の健康管理
  • 作業環境の継続的な改善
  • ヒューマンエラーの未然防止
  • 内部安全衛生監査の実施と改善
  • 緊急時対応計画の策定と訓練

この中で特に重要なのが「従業員への安全衛生教育の徹底」です。どれだけ安全衛生委員会が活動的であっても、現場の従業員が安全かつ健康的に業務を推進できる環境が作られなければ、安全衛生管理は形骸化します。

したがって、安全衛生教育の体制整備が肝であると言えるでしょう。特に製造業では、従業員の安全意識をいかに高められるかが重要かつ長年の課題です。安全教育を推進・浸透するひとつの有効手段として「動画」による教育が挙げられますが、その理由や動画教育の導入事例について詳しく知りたい方は、PDF資料「安全意識が高い製造現場はやっている! 動画マニュアルを活用した安全教育・対策事例」もあわせてご覧ください。下の画像をクリックすると、資料をダウンロードできます。


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