現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 専門家コラム カイゼン思考の土台づくり『現場発のカイゼンを生み出すには?』
株式会社エフェクト 石井様

▼執筆者

株式会社エフェクト 代表取締役
石井 住枝 氏

「現場から改善すべき点がなかなか上がってこない…」という話をよく聞きます。では、積極的に問題点を発見できるようになるためにはどうすればいいのか?今回は紐解いていきます。

どうやって現場の意見、情報収集を図るのか、これは中堅社員の悩みでもあると思います。単なる情報ではなく「問題点を発見し改善して欲しい」という想いが入っていますね。

しかし、プレイングマネージャーでもあり、現業をしながらマネジメントをしなければならない立場にとって、どこから手をつければいいのか、どうしたら、日常の中から問題という意識になるのか悩んでいる方も多いかもしれません。

これは4つのステップで考えるとわかりやすいと思いますのでご紹介します。

前回のコラムはこちら

まずは現場を観察するテーマを決める

ステップに入る前に、まずは現場を観察するためのテーマを決めることが必要です。

現場の作業は、決められた時間の中でルーティン作業は、先輩から指導された仕事の進め方だと思いますので、その中から疑問や問題という視点で考えるのはそもそも難しいと思います。改善すべきものはどういうものなのか、定義をしていくステップが必要になります。

改善すべき点とは、今行っている作業の中で面倒なこと、手間がかかること、何度もやり直しや調整が必要な業務があればそれが改善すべきポイントになります。つまり、面倒な作業に対して、もっと楽にできないかと仕事に興味をもって工夫する視点を身に着けることです。

改善すべきポイントを見つける4つのステップ

改善すべきポイントの見つけ方について、4つのステップで考えていきます。

ステップ1.改善する分野を絞る

最初のステップは、どこから改善をするか会社として分野を絞ることです。例えば、

『わが社は不良率が高いので、不良率を半分にしたい。生産性をあと10%アップしたい。』
『5年目までの若手を即戦力にしたい。』

などなど、会社としてどの分野の改善を図るのかテーマ設定をします。その中で、どこの作業改善が気になっているか、それを抽出します。

例えば、不良率を半分にしたいと考えるのであれば、どの工場のどの工程の不良率を半分にするのか、どこの場所で誰の、どの工程のどの商品の不良率を半分にしたいのか。該当する部署や工場現場のリサーチをする場所を認定します。

そして該当するモニターとして、改善を進める場所を決めた後に、テーマに沿った工場のリサーチを進めていきます。

つまり工場の作業の見える化を行うということです。

ステップ2.現状把握

次のステップは現状把握のリサーチです。

調べる箇所が決まれば、どこの誰のどんなところを調べるか決めることができます。調べるときのポイントは、変動がある場所なのかどうか、月末、月初など時期によって違うなど、時間帯や人によっても異なるものをリストアップしておきます。もちろん、何か別の要因で変動が起こる事があるのであれば、それもリストアップします。また、調査するリサーチする期間は、どのぐらいかっていう必要時間を決めます。

これらを決めた後に、何をいつどうやって調べるのかの準備をします。測定に必要な機材を準備して、現場に負担にならないような段取りをしてから測定の開始です。

測定で注意することは、ありのままの調査をすることです。この時点で気になる事、片付けたい事がでてくると思いますが、この時点で改善策を入れてしまうと、後でどこをどのように改善したかが不明瞭となって再現性が少なくなってしまいます。そのため、何をいつ、どのぐらいの期間、どこをリサーチするかを決めた後は、ありのままの測定をします。

測定するときは、メジャーとストップウォッチ、あとカメラなど持っていくと進めやすいと思います。

その作業にどのぐらい時間がかかっているか、何歩ぐらい歩いているのか、メートル歩数、ストップウォッチで時間や回数など測定し、あらかじめ用意しておいたシートに記入行きます。

ただし、もし現場の測定が難しい立ち入り禁止区域である場合は、定点カメラを置いて、ビデオ撮影するのもいいと思います。ビデオで撮影したものを後で測定をするという形でもかまいません。

ステップ3.最も改善すべきことを絞り込む

3つ目のステップは測定した内容を結果にまとめ、その中で最も注力する部分、最も改善すべきことを絞り込みます。現場の測定結果を確認した上で、優先順位をつけます。優先順位のつけ方も事前に決めておくといいですね。

うちの会社は、どんな優先順位で問題解決を進めていくのか、その優先順位の条件をもとに優先順位の高いものを抽出し、その抽出したものをまずは一つ掘り下げていきます。

最も優先順位の高かった問題点として、改善すべきポイントをまず1つに決めます。その上で、改善要素が高い理由を考えていきます。たとえば、不良がおきてしまうのか、何度もやり直しが多いのかなど、もっとも注目すべき点を決めた後に、なぜなぜ分析の要因分析で掘り下げていきます。

つまり、現状把握の中で最も手をつけるべき問題を見つけてそれを掘り下げていく。そして掘り下げていくと、必ずそこに明確な問題点が浮き上がってきます。

しかしなぜなぜの深掘りで、誰の責任かを明らかにすることは問題解決には繋がりません。なぜそのやり方なのかをきちんと掘り下げて、何度も問いかけていきます。5回でも10回でも言い訳にならない根っこを探っていきます。すると、見えてくる問題点は、痛い問題、見て見ぬふりをしてきた問題が浮き上がってきます

問題の背景の奥底には、会社の体質があるのかもしれません。意外とそこに本因が隠れているのです。

根っこに見えてきた問題点をどのようにすれば問題が解決するのか?問題解決のための方法論ですが、実はなぜなぜの深掘りをすると、今まで見逃してきた根っこにある痛いところと向き合わなければいけません。実はこれがとっても難問です。今まですぐに解決しないから、スルーしてきた問題ですから、当たり前です。しかし、これと向き合わなければ、また似たようなケース、似たような問題が発生してくるのです

なので、問題解決をしていくとき、情報収集をしていくときに一番大変なのがこの根っこを見つけるということです。

ステップ4.見つかった本因を理想に近づける

そして最後のステップは、見つかった本因をどうしたら理想に近づけるのか?その方法を考えるということです。

根っこにある問題点を見つけることができれば、あとはそれをどう改善すればいいかを考えればいいので、改善のスタートをすることができます。改善活動を進めるためには、しっかりと正しい現状把握をすること、その情報をしっかり確認してから進めます。この情報収集を怠ると、うわべだけの改善という対処になってしまいます。

研修やコンサルを行っている中でも、このなぜなぜは混乱が起こります。突き詰めて考える事はしんどい作業でもありますから、ここに向き合う事はお互い大変な葛藤があります。でも、これが改善の元なのです。これを発見できれば改善はどんどん進みますし、大きな効果に繋げることが可能になります。

この4つのステップを実践し、改善することを体験させるというステップが大切です。

現場を「見える化」し問題を「視える化」する

今回は少し大がかりな事例を上げましたが、もっと身近な点でもかまいません。たとえば1日の業務を洗い出して、どこに時間がかかっているのか、どんな所がやり難いのか。つい忘れてしまう点はどんな事があるのか、2人一組になってお互いを観察しあって、書き出して俯瞰して問題を抽出するというやり方もできると思います。

大切なのは、問題発見するステップを経験し、どうやったら問題が発見できて改善につながるのか体験を味わってもらうことです

恵まれた職場で、先輩がすぐに助けてくれる環境はとてもいい事ではありますが、自ら工夫するという考える力を奪ってしまうかもしれません。何でも調べればわかる。分かったつもり。となっているかもしれません。その場合は、もっと短い時間でもっと簡単に進める方法を先輩の目線で課題を与えることでもできると思います。

現場の情報収集は、勝手にはあがってきません。そして単なる報告/連絡/相談では、現場のモチベーションも上がりません。改善提案したものが反映され、実際に自分自身の仕事が楽になる事を実感出来なければ、改善は進みません

最初は一緒に考え、次にヒントを出して導き、更に自ら発見し改善した成果を評価して、業務に反映させます。その上でよい改善提案があれば横展開をさせていきます。成果を発表する場所をつくり、他の部署にも活用して戴けるような情報の展開を図ることです。

現場の生の声を、今のありのままの情報を収集できる状態をつくることがとても大切です。その理由は、4つのステップで改善の準備をして改善策を実施した後に、改善した後に最初にリサーチした現場の測定を再度行います。すると、改善前と改善を実施した後で必ず数値効果がでます。

改善は提案するだけでなく、実際に改善して、改善後の測定をして費用対効果をきちんと記録すること。その上で費用対効果の過程を振り返って、何がよかったのか、何ができなかったのか、検証するということが本質です。改善活動が続かないという声もありますが、この振り返りや横展活動の展開が少ない事もあります。

現場の声、情報をできるだけ正しくあげるためには、今の状態の批判や注意するのではなく、改善した成果で評価するという流れをつくることです。この流れ、過程で評価することができれば、自然と情報は集まってきます。そして、どんどん問題が発見され、改善が進んで行きます。ぜひ、現場を「見える化」し、問題を顕在化の「視える化」で、改善をカイゼンする流れを作ってください。

これらのステップで現場にある問題を発見することができるようになれば、現場の情報収集をいかに行うことがポイントかということが分かると思います。確かに最初は手間がかかります。でも、ここでしっかり正しい情報収集ありのままの問題点を顕在化することができれば、これが本当の見える化であり、改善のスタートとなります。

まずは、現場のありのままの声を把握できるような仕組みにすること。ぜひ、本当の現状把握である情報収集をし、改善の精度を上げていただければと思います。

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