仕分け作業のミスが発生する原因と対策！防止に役立つツールも紹介
かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を展開する、現場改善ラボ編集部です。
日々大量の商品が動く物流現場において、仕分け作業は正確かつ迅速な出荷を実現するための要となる工程です。しかし、仕分けミスは多くの物流現場が抱える共通の課題でもあります。
仕分け作業のミスが発生すると、誤出荷による顧客クレーム、手戻りによるコスト増加、生産性の低下など、企業にとって大きな損失につながりかねません。この記事では、現場教育を目の当たりにして現場改善を支援してきた当社の知見に基づいて、仕分け作業でミスが起こる根本的な原因や取り組むべき対策などを解説します。
目次
仕分け作業とは？ミスが発生しやすい場面も解説
仕分け作業とは、物流拠点である倉庫や配送センターなどで、入荷した商品や出荷する商品を指示された条件（配送先エリア、種類、顧客別）に基づいて、正確に分類・配置する一連の作業を指します。
物流プロセス全体の効率と品質を左右する非常に重要な工程であり、正確な仕分けが行われて初めて、後工程である梱包やトラックへの積み込み、配送がスムーズに進みます。仕分け作業の精度は、物流品質、顧客満足度に直結すると言えるでしょう。
仕分け作業の流れ
仕分け作業の具体的な流れは、現場や扱う商品によって異なりますが、一般的な例としては以下のようなプロセスが挙げられます。
- ピッキング
- 検品
- 出荷先別・方面別仕分け
- 梱包・出荷
このように、一口に仕分けと言っても細分化すると様々な作業が発生します。工程ごとに求められるスキルや作業のポイントも異なるため、特定の作業だけではなく流れごとの具体的な作業内容まで理解しておくことが重要です。
一連の作業中で素早さと正確さが求められるピッキング作業は、特にミスが発生しやすい傾向があります。ピッキングミスを減らす対策や削減した企業の事例を知りたい方は、こちらの関連記事もご覧ください。
また、目視で検品作業を行っている場合には商品の色やサイズ違い、梱包・出荷では、送り状伝票の貼り間違いなどのミスが発生しやすくなります。ミスが発生する原因と対策については、「仕分け作業でミスが発生する原因・具体的な対策（クリックすると別の見出しに移動します）」で詳しく紹介しています。
仕分け作業の種類
仕分け作業は、その方法によって「手仕分け」「自動仕分け」の2種類に分けられます。
手仕分け
手仕分けとは、人の手によって商品を確認し、行き先や種類ごとに分類する方法です。多様な形状やサイズの商品、少量多品種の商品を扱う場合や、機械化が難しい小規模な現場などで用いられます。柔軟な対応が可能ですが、作業者のスキルや集中力によってミスが発生しやすく、処理能力にも限界があります。
自動仕分け
自動仕分けとは、コンベアやソーターといったマテハン機器を活用し、商品に付されたバーコードなどの情報を読み取って、機械が自動で行き先別に分類する方法です。
大量の商品を高速かつ正確に処理できるため、大規模な物流センターなどで導入されています。ミスの削減や省人化に大きく貢献しますが、設備の導入には高額なコストがかかり、メンテナンスも必要となります。
仕分けミスの発生によって引き起こる影響
仕分け作業におけるミスは、「うっかり」では済まされない、様々な深刻な影響を現場や企業全体にもたらします。具体的にどのような問題が発生するのかを見ていきましょう。
誤出荷の発生
仕分けミスが引き起こす最も直接的で深刻な影響が誤出荷です。注文と異なる商品や数量が顧客の手元に届けば、当然ながらクレームに直結します。
これは顧客満足度を著しく低下させるだけでなく、企業の評判やブランドイメージを損なうことにもつながりかねません。一度失った顧客からの信頼を回復することは非常に困難であり、長期的なビジネスへの影響も懸念されます。
誤出荷を防止する対策や重要な考え方を詳しく知りたい方は、以下の資料もご覧ください。
手戻りや再作業によるコスト増大
仕分けミスが現場で発覚した場合、あるいは顧客からの指摘で発覚した場合、その対応には多大なコストが発生します。
正しい商品を改めて出荷するための配送料、誤って送付した商品を回収するための費用、そしてミスした作業を特定し、修正するためにかかる人件費など、目に見えるコストだけでも相当な額になります。さらに、商品によってはミスにより品質が劣化し、廃棄せざるを得なくなるケースもあり、損失はさらに拡大します。
在庫差異の発生
仕分けミスは、倉庫内の在庫管理の精度にも悪影響を及ぼします。例えば、商品を誤ったロケーションに保管してしまった場合、システム上の在庫データと実際の在庫数が一致しなくなります。これは棚卸時に在庫差異として発覚し、その原因調査にも手間がかかります。
また、在庫数が不正確になることで、実際には在庫があるのに欠品と判断して販売機会を損失したり、逆に過剰在庫を抱えて保管スペースやコストを圧迫したりするリスクも生じます。
仕分け作業でミスが発生する原因・具体的な対策
仕分け作業でのミスが発生する原因は一つではなく、様々な要因が複合的に絡み合っています。ここでは、仕分けミスが発生する主な原因と具体的な対策を紹介していきます。
マニュアルや手順書が整備されていない・整備する時間がない
作業の進め方やルールが不明確であることも仕分けミスを引き起こす原因です。作業手順が標準化されておらず、人によってやり方が異なると、品質にばらつきが生じてミスが発生しやすくなります。
しかし、「作業手順書の重要性は理解しているものの、通常業務と平行して手順書を整備する時間がない…」「仕分け作業の複雑な手順を言語化してマニュアル化するのが難しい…」などの現場も多いはずです。このようなお悩みを抱えている方には、限られた時間で効率的に作成が可能な「動画マニュアル」の活用がおすすめです。
動画マニュアル作成ツールの中でも、現場従業員でも手軽に撮影〜編集までが可能で物流現場に特化した「tebiki現場教育」は、直感的な操作性・動画作成をサポートする補助機能が充実しており、現場の負担を最小限に抑えて、マニュアル作成の体制を構築できます。
実際に「tebiki現場教育」を導入しているソニテック株式会社では、紙マニュアルで作成すると2〜3時間かかっていたものが、tebiki現場教育の活用で5〜10分程度まで削減につながった事例もあります。
tebiki現場教育の機能や特徴、導入から運用までの充実したサポート内容などの詳細については、以下のサービス資料をご覧ください。下の画像をクリックすると資料をご覧いただけます。
新人の教育体制が整備されていない
物流現場では、仕分け作業をはじめとして各工程に派遣、スポットアルバイトなどの新人が配属されることが多く、教育体制が整備されていないこともミスが発生しやすい原因の1つです。
不十分な作業説明や作業のサポート体制が構築されておらず、作業が標準化されていないため、数量の間違いや宛先の間違い、出荷漏れなどが発生してしまうのです。
経験が浅い新人が多い物流現場だからこそ、充実した教育体制の整備は、仕分けミスを防止する重要なポイントと言えます。現場で新人教育を実施するうえでのポイントを知りたい方は、注意点や失敗しない進め方を紹介している以下の関連記事をご覧ください。
関連記事：新人教育の進め方で気をつけるべきポイントとは？ダメな例や失敗しないマニュアル活用法を解説！
効率的な外国人教育ができていない
厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況（令和元年10月末）」によると、外国人労働者を雇用している事業所数は2009年の2,412所から2019年には7,337所と約3倍に増加していることがわかり、労働力不足が嘆かれている昨今の状況を踏まえると今後も更に増えていくことが想定されます。
外国人労働者が増加する中で、言語の壁を考慮した分かりやすい指示や多言語対応のマニュアルなどが不足していると、コミュニケーションギャップからミスが発生しやすくなるでしょう。
国人労働者への教育にお悩みの方は、「外国人労働者に「伝わらない」を解決した動画マニュアル活用事例集（pdf）」で具体的な解決策や事例を確認できますので、ぜひご覧ください。
確認不足や勘違い（ヒューマンエラー）
仕分けミスの多くは、作業者個人の確認不足や勘違いといったヒューマンエラーに起因します。商品名や品番、数量、仕分け先などの情報を見間違えたり、思い込みで確認を怠ったりすることが直接的な原因です。特に類似した商品や数字の読み間違いには注意が必要です。
また、新人作業員など経験や知識が不足している場合は、商品や手順の理解不足からミスにつながりやすく、さらに長時間の単調作業による疲労や集中力低下も、注意力を散漫にさせミスを誘発します。
ヒューマンエラーの原因分析と、より本質的な対策の考え方について詳しく知りたい方は、人間はミスをするという前提に立った対策の視点が得られる「ヒューマンエラーの種類や発生原因」「対策するうえでの視点」などをまとめた、以下の資料もおすすめです。製造業向けの資料ではありますが、物流業にも通ずるヒントや知見を得られるので、ぜひ参考にしてみてください。
下のテキストをクリックすると、資料をダウンロードできます。
＞＞「ヒューマンエラーの未然防止と具体的な対策方法」を見てみる
整理されていない作業スペース
作業を行う物理的な環境も仕分けミスの発生に大きく関わっています。倉庫内や個々の作業スペースが乱雑で、商品の置き場所が不明確だったり、通路に物が放置されていたりする状況は、ミスを誘発する原因となります。
特に、類似品が整理されずに近くに置かれていると、取り違えのリスクが高まります。これらのミスを防止するためにも5S（整理・整頓・清掃・清潔・躾）活動の徹底が不可欠です。
5S活動に取り組むことで、作業場がきれいになるだけではなく、3M（ムリ・ムダ・ムラ）の排除や生産性向上にも繋がります。以下では、「5Sの具体的な実践方法」「成功に導くポイント」などを詳しく解説した専門家の解説動画をご覧いただけます。5S活動の戦略設計が分かる内容となっているので、下の画像をクリックしてご覧ください。
仕分け作業のミス防止に役立つツールを導入する
個人・組織単位での対策の他に、仕分け業務のミス防止につながるツールやシステムの導入も有効な対策です。例えば、倉庫管理システム（WMS）による作業指示や在庫管理の精度向上、作業手順を分かりやすく伝える動画マニュアルの活用などが考えられます。現場の課題や規模、予算に合わせて最適なツールを選択し、導入を検討しましょう。
次の章では、仕分け作業のミス防止に役立つツールについてより詳しく解説していきます。
仕分け作業のミス防止に役立つツール
ここでは、仕分け作業のミス防止と効率化に貢献する代表的なツールやシステムを3つご紹介します。
動画マニュアル
動画マニュアルは、作業手順や注意点を映像で視覚的に伝えるツールです。文字や静止画だけでは伝わりにくい作業の動き、力加減、コツといった「カンコツ」を分かりやすく共有できるため、作業品質の標準化に大きく貢献します。
仕分け作業の流れやNG例とOK例などを動画にし、マニュアル化することによって、作業品質の標準化や効率化が見込めます。
具体的な例として、人的な仕分けミスを減らすための教育が十分にできていなかった株式会社ジェイ・メイトでは、動画マニュアルを導入して、仕分けの間違った手順・正しい手順を動画にし、仕分けミスが発生したタイミングで動画を見せて再教育することによって、導入1ヶ月後あたりからミス発生率の半減を実現した事例もあります。
同社は、物流現場に特化した動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を活用して現場改善を実現しています。tebiki現場教育の機能や活用事例は資料「3分で分かる『tebikiサービス資料』（pdf）」にまとめられています。下の画像をクリックするとダウンロードできるので、あわせてご覧ください。
WMS（倉庫管理システム）
WMS（Warehouse Management System）は、倉庫内の在庫と作業の情報を一元管理するシステムです。商品の入出荷状況、保管場所（ロケーション）、在庫数をリアルタイムで正確に把握できるため、勘や経験に頼らないデータに基づいた倉庫運営が可能になります。
ハンディターミナルなどのデバイスと連携し、作業指示をデジタルで表示したり、バーコード検品を行ったりすることで、ピッキングや仕分けにおけるヒューマンエラーを大幅に削減できます。
自動仕分け機（ソーター）
ソーターは、コンベア上を流れてくる商品を、バーコードなどの情報を基に自動で行き先別に仕分けるマテハン機器です。人間が行う手作業に比べて、圧倒的に高速かつ正確に大量の商品を処理できるため、仕分け作業の効率を飛躍的に向上させます。
人手による作業を大幅に削減できる（省人化）だけでなく、作業品質が安定し、ヒューマンエラーによるミスの混入リスクを低減できる点も大きなメリットです。
まとめ：仕分けミスゼロを目指して継続的な改善を
仕分け作業のミスは、ヒューマンエラー、作業環境、ルール、教育体制など、様々な原因が複雑に絡み合って発生します。そのため、ミスを根本的に削減するには、作業者個人の注意力を高めるだけでなく、組織全体として多角的なアプローチで対策を講じることが不可欠です。
具体的には、作業手順の標準化、5Sによる作業環境の整備、実効性のあるチェック体制の構築、そして分かりやすく効果的な教育・指導体制の確立が重要となります。特に、動画マニュアルなどを活用し、「誰が見ても理解でき、いつでも見返せる」マニュアルの整備は、作業品質の均質化と向上に大きく貢献するはずです。物流業界における動画マニュアルの有効性をより詳しく知りたい方は、以下の資料もご覧ください。画像をクリックすると資料をご覧いただけます。
