工場向け安全対策の動画マニュアル「tebiki現場教育」を展開する、現場改善ラボ編集部です。塗装工程で頻発し、莫大な手戻りコストを生むのがハジキによる不良です。実は、こうした塗装不良の多くは、見えない油分や異物の持ち込みを招く「作業手順の曖昧さ」や、清掃・脱脂の精度が個人に依存する「作業の属人化」に起因して発生します。
本記事では、実際に工場の勤務経験がある筆者の観点も踏まえ、ハジキの発生メカニズムや原因、属人化を防ぐ具体的な標準化対策や成功事例まで解説します。「いつも通り脱脂したのに再発する」と頭を抱えている管理者の方は必見の内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
塗装における「ハジキ」とは?なぜ対策が必要なのか
塗装工程で頻発する「ハジキ」は、外観不良だけに留まらず製品の防錆性も損なう致命的な欠陥です。放置すれば手戻りによる莫大なコストを生みます。まずは塗装におけるハジキについて次の3つを解説します。
- ハジキ(クレーター状の凹み)の定義と状態
- 混同しやすい「ブツ」や「ブリスター(膨れ)」との違い
- ハジキは歩留まり低下や手戻りコストの温床
ハジキ(クレーター状の凹み)の定義と状態
塗装におけるハジキとは、塗料が下地に弾かれて生じるクレーター状の凹み及び凹みができる現象のことです。ハジキは、塗料が被塗物表面を均一に濡らすことができずに発生します。異物が付着した部分の塗膜が周囲に押しのけられ、局所的に薄くなるためです。
具体的には、塗装の表面に魚の目のような模様が現れるのが特徴と言えます。さらに状態が悪化すると、凹みが深く貫通して下地が完全に露出します。下地まで達した状態は「ピンホール」と呼ばれ、極めて深刻な欠陥です。外観の美しさを損なうだけに留まらず、塗膜本来の防水性や防錆性まで失わせます。
そのまま出荷すれば、製品の寿命を著しく縮める結果を招くでしょう。つまりハジキは、製品の品質不良の原因となる極めて重大な塗装不良と言えます。
混同しやすい「ブツ」や「ブリスター(膨れ)」との違い
塗装におけるハジキと混同されやすい欠陥として、「ブツ」と「ブリスター」が挙げられます。ブツは塗膜表面に生じる小さな突起のことであり、ゴミやホコリの付着が主な原因です。一方のブリスターは、塗膜内部に水分などが閉じ込められて生じる膨れを指します。
「ブツ」は突起、「ブリスター」は膨れであるのに対して、ハジキは塗料が弾かれて生じる「凹み」という明確な違いがあります。もしハジキをブツと誤認して防塵対策だけを行っても、原因である油分は消えません。逆にブリスターと勘違いして乾燥条件を変えても、脱脂不足ならハジキは再発します。
このように、膨れや突起と凹みを比較し、原因を見分ける作業や能力が必要になります。
ハジキは歩留まり低下や手戻りコストの温床
ハジキ不良を放置することは、莫大な手戻りコストを生む温床となります。一度ハジキが発生した製品は、そのまま次工程へ流せません。ハジキを発見した場合、まずは該当箇所の塗膜を時間をかけて研磨して剥がします。その後、再度入念な脱脂と洗浄を行った上で、再塗装を施さなければなりません。
一連の補修作業は、塗料代だけでなく貴重な人件費と時間を消費します。特に問題なのは、作業員によって清掃や脱脂の精度にバラつきがあるケースです。正しい作業手順が定着していない現場では、再塗装してもハジキが再発します。特定の人、例えばベテラン作業員しか綺麗に仕上げられない状況は、つまり属人化は、ライン全体の歩留まりを悪化させます。このように、属人化によるハジキの頻発は、現場の生産性を著しく奪う課題と言えるでしょう。
塗装のハジキが引き起こす品質不良
塗装でハジキが発生すると、製品の美観を損なうだけでなく、防錆などの機能的な欠陥にも繋がります。ここでは塗装におけるハジキが引き起こす品質不良として次の4つを解説します。
- 不良①:外観品質の著しい低下(クレーター状の凹み)
- 不良②:保護機能・防錆機能の喪失(ピンホールの発生)
- 不良③:歩留まりの悪化と莫大な手戻りコスト(再塗装・廃棄)
- 不良④:顧客クレームと納期の遅延
不良①:外観品質の著しい低下(クレーター状の凹み)
ハジキによって引き起こされる品質不良の一つは、外観品質の著しい低下です。外観不良は塗料が油分などの異物に弾かれ、表面にクレーター状の凹みが生じるため起こります。高いデザイン性が求められる自動車の外装や高級家電などにおいては、致命的な不良と言えるでしょう。
塗装の光沢や平滑性が完全に損なわれるため、外観検査において一目で不合格となります。どれほど高価で高品質な塗料を使用しても、表面が均一に仕上がらなければ意味がありません。
ハジキの厄介な点は、目視では確認しづらい微小な油分や汚れが原因となって発生することです。そのため、作業員のわずかな拭き残しがそのまま深刻な外観不良に繋がってしまいます。いかに塗料や設備が優れていても、事前の脱脂作業にバラつきがあれば美しい外観は保てません。このような致命的な外観不良を防ぐための具体的な原因とメカニズムについては、次章で詳しく解説します。
不良②:保護機能・防錆機能の喪失(ピンホールの発生)
ハジキは、塗膜の保護機能や防錆機能も喪失させます。凹みが被塗物の表面まで深く貫通し、下地が完全にむき出しになってしまうことが原因です。塗装業界において、このように穴が貫通した状態はピンホール不良と呼ばれます。
こうした状態に陥ると、塗料が本来持つべき防水性や防錆機能(サビ止め)の役割が全く機能しません。露出したわずかな下地部分から、水分や空気が製品の内部へと侵入していくからです。
原因としては、主に洗浄工程で汚れや油分を取り逃がした箇所に生じます。そのため、担当者によって脱脂の手順に差があると、防錆不良を防ぎきれません。塗装を高品質に行うために、個人の技量に依存しない脱脂手順の標準化が必要となります。
不良③:歩留まりの悪化と莫大な手戻りコスト(再塗装・廃棄)
ハジキの発生は、ライン全体の歩留まり悪化と莫大な手戻りコストを現場にもたらします。不良が発見された製品は、そのまま次工程へ流すことができず補修作業が必須となるためです。具体的には、乾燥後に不良箇所の塗膜を丁寧に研磨して剥がす工程が新たに発生します。
ここで問題なのは、新人の作業時に属人化が大きく影響してしまうという点にあります。ベテランと同等の脱脂精度が保てなければ、手戻り作業を行っても再びハジキが生じかねません。ハジキが多ければ、本来不要だった塗料代や人件費が消費されていきます。そのため、誰もが同じ精度で作業できる環境が求められます。
不良④:顧客クレームと納期の遅延
軽微な異常であっても検査で見過ごされ、出荷されれば、顧客クレームに繋がります。さらに、工場内での再塗装や製品の廃棄が相次ぐようなら、生産計画が大きく狂い納期の遅延にもなりえます。
作業手順が不明確な現場では、担当者によって仕上がりに差が出るため不良率が安定しません。「ベテランなら発生しないのに」という属人化の放置が、クレームと納期遅延に繋がります。
本節では塗装におけるハジキの品質不良について解説しました。簡単に原因にも触れた箇所はありますが、次節からはさらに踏み込んで塗装のハジキが発生する主な原因を解説します。
塗装のハジキが発生する主な原因
塗装のハジキは、塗料と下地の表面張力の不均衡など、様々な要因が複雑に絡み合って発生します。ここでは、物理的・化学的なメカニズムから現場の管理体制まで、不良を引き起こす5つの根本原因を徹底解説します。
- 原因①:油分・シリコーンなど「低表面張力物質」の付着と「油分の発生源」
- 原因②:コンプレッサーやブースなど塗装環境からの異物混入
- 原因③:塗料の調整不足や乾燥工程での不具合
- 原因④:ハジキ物質を現場に持ち込ませる作業手順の曖昧さ
- 原因⑤:清掃や脱脂の精度が個人に依存する「作業の属人化」
原因①:油分・シリコーンなど「低表面張力物質」の付着と「油分の発生源」
塗装におけるハジキの原因として、被塗物に残った油分やシリコーンなどの付着が最初に挙げられます。塗料よりも表面張力が低い物質が下地に存在すると、塗液が弾かれてしまうためです。
関西ペイントの研究論文*1に基づくと、汚染物質と塗料との表面張力差が拡張力を生み出します。発生した拡張力によって塗液が流動し、被塗物の表面が露出して凹みが形成されるメカニズムです。
こうした油分は、主に以下のようなポイントで発生しがちです。
- 作業者の軍手に染み込んだ油
- 隣のラインから飛散したミスト
- 他工程のシリコーンスプレー
こうした見えない要因を断つには、異物の持ち込み経路を特定し、現場のルールとして遮断することが必要です。
例えば「よく洗う」というマニュアルが決まっていても、作業員の拭き取りの力加減に差があれば、油分が残留して欠陥を生みます。
塗装工程に限らない話ですが、品質不良や作業欠陥を根絶するには、作業員の手順のバラつきがあっても作業結果が変わらない、もしくはバラつきがそもそも発生しない現場教育の仕組み作りが非常に重要です。
原因②:コンプレッサーやブースなど塗装環境からの異物混入
塗装環境から被塗物や塗液に降りかかる異物も、ハジキを発生させる原因と言えます。関西ペイントの研究報文によると、塗装環境や乾燥炉などで汚染物質が降りかかるケースが指摘されています。また、スプレー塗装においては、ダスト状に降りかかった塗料自身がハジキの原因物質となる現象も確認されました。
目に見えない微細なホコリや周辺から飛散した成分などがブース内に漂い、塗膜へ付着して不良を招きます。このように、空間を浮遊する異物は広範囲の製品に影響を与え、ロット全体を不良品にしてしまう恐れがあります。作業員全員でブース周辺を清潔に保つなど、環境から異物を排除する仕組みが不可欠となります。
原因③:塗料の調整不足や乾燥工程での不具合
物理的な異物混入だけでなく、塗料の粘弾性低下や乾燥工程での不具合もハジキを誘発する原因となります。拡張力に対抗する塗液の抵抗力が不足し、塗膜が非常に不安定な状態に陥るためです。
関西ペイントの研究論文によると、ハジキは塗装直後から昇温乾燥前までのセッティング中に発生します。ハジキは異物との表面張力の差から生まれる拡張力(流動)によって引き起こされますが、この時、塗着塗液の弾性成分である貯蔵弾性率が低いと、その流動に対する抵抗力が不足してしまいます。結果として、塗料の表面張力を低くして拡張力を弱めたとしても、流動を抑制しきれずに大きなハジキが大量に発生するメカニズムと言えます。
指定の希釈率を守らず不適切なシンナーを使用するミスなどが、現場での身近な例に挙げられるでしょう。塗料本来の粘弾性が失われ、微小な異物に対しても過敏に反応して強く弾かれてしまいます。
こうした理由から、定められた配合比率を厳守する現場作りをしてください。
原因④:ハジキ物質を現場に持ち込ませる作業手順の曖昧さ
科学的な原因を誘発する背景には、ハジキ物質を現場に持ち込ませてしまう作業手順の曖昧さが存在します。異物を排除する明確なルールが欠如し、無意識のうちに不良の要因を増やしてしまいます。
関西ペイントの研究論文では、塗料の乾燥過程において成分が揮散や分散するため、ハジキ部位の分析は非常に困難とされています。原因物質が減少または消失してしまうことが多いため、事後的な原因究明には限界があると言えるでしょう。だからこそ、現場に油分やシリコーンを持ち込ませない厳格なルール設定が何よりも重要になります。
一方で現場では「汚れた手袋で触らないといった基準が曖昧な現場」や「そもそも紙のマニュアルを読む人が少ない現場」は少なくありません。「何がいけない行動か?」を共有できていない現場事態が、ハジキ物質の混入を許す根本的な原因と言えます。
原因⑤:清掃や脱脂の精度が個人に依存する「作業の属人化」
ハジキ不良が慢性化する原因としては、作業の質が個人の感覚に依存してしまう属人化の問題が挙げられます。ルールを定めても、脱脂の力加減や清掃の念入りさにバラつきがあると、均一な品質を保てないため発生します。
例えば、「ウエスで綺麗に拭き取る」という指示があっても、人によってその基準は大きく異なります。ベテランは無意識に力加減を調整し、こまめにウエスを交換して見えない油分まで完全に取り除くことができるでしょう。
一方で、経験の浅い新人は表面を撫でるだけで、かえって汚れを広げている事態も現場では頻発するはずです。結果として、同じ塗料を使用しているにも関わらず、担当者によってハジキの発生率に大きな差が生じてしまいます。そのため、誰もが同じ水準で作業できる標準化が必要です。
ハジキを根本から解決する方針と具体的な対策
塗装のハジキ不良を根本から解決するには、設備管理と作業手順の見直しが必要です。ここではハジキを根本から解決するための、次の4つの具体的な対策を深掘りして解説します。
- 対策①:個人のスキルに依存せず「正しい手順」を仕組み化する
- 対策②:脱脂・洗浄工程の徹底と標準化
- 対策③:コンプレッサーの水抜きと現場の5Sの徹底
- 対策④:「正しい作業」を共有し再発防止
対策①:個人のスキルに依存せず「正しい手順」を仕組み化する
作業員の感覚に頼る「属人化」こそが、不良を慢性化させる要因となりえます。塗装のハジキを根本から防ぐには、個人のスキルに依存しない仕組み化が必要です。「ベテランなら綺麗に拭き取れる」といった個人の裁量を許す現場は非常に危険と言えます。
対策として、清掃用具の交換タイミングなどを全員が守る仕組みを整えましょう。例えば明和工業株式会社では、作業場にタブレット端末を設置しました。QRコードで即座に標準作業の動画を呼び出せる仕組みを現場に設けています。

このように、いつでも正しい手順を確認できる環境づくりがハジキ対策にも有効です。「いつも通り綺麗にした」という人の記憶や感覚に頼らない体制を構築してください。
対策②:脱脂・洗浄工程の徹底と標準化
塗装におけるハジキを減らすためには、脱脂・洗浄工程を徹底的に標準化する必要があります。誰が作業しても同じ脱脂動作を完璧に再現できる、明確な基準が必要となるからです。マニュアル化の際は新人でもベテランでも同じ手順で作業できなければいけません。従来の紙の手順書では力加減が分かりづらく、外国人労働者には正しく伝わらないでしょう。
そこで、紙ではなく具体的な作業手順を動画化したのが児玉化学工業株式会社です。複雑な加工動作を視覚的に伝えることで、作業者ごとの曖昧な理解をなくしました。
▼動画マニュアルによる標準化の例▼
このように動画による標準化は、塗装の脱脂工程にも確実に応用可能です。「正しいウエスの折り方」や「拭き取るスピード」などの微細な動作を映像で教育しましょう。
対策③:コンプレッサーの水抜きと現場の5Sの徹底
マニュアルでの教育だけでなく、設備保守と現場の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底も必要です。5Sの徹底はアナログな手法に思えますが、環境要因によるハジキを無くす効果的な対策です。
具体的には、コンプレッサーの定期的な水抜きやエアードライヤーの保守点検を欠かしてはいけません。配管内に溜まった水分や油分は、スプレーガンから圧縮空気と共に噴出してしまう危険性があるでしょう。
さらに、塗装ブース周辺のこまめな清掃を実施し、ホコリやダストの舞い上がりを防ぐ工夫も求められます。また、ハジキの核となるシリコーン配合スプレーなどの製品は、現場への持ち込みを一切禁止してください。
日々の清掃や設備点検という基本行動を全員で遵守し、清潔な環境を維持しましょう。
対策④:「正しい作業」を共有し再発防止
ハジキの再発を防ぐには「正しい作業」の共有が必要です。「油分に注意」といった文字の報告書で伝達しても、作業員が自分ごととして理解するのは難しいと言えます。不良の恐ろしさが伝わらなければ行動変容には繋がらず、同じミスを繰り返す結果を招いてしまうでしょう。
例えば株式会社神戸製鋼所のアルミ鋳鍛工場では、紙とOJTによる教育のムラが作業のバラツキを生むという課題を抱えていました。そこで、紙のマニュアルから微妙なニュアンスやカン・コツが伝わりやすい動画のマニュアルに移行した結果、教育者による教え方のブレがなくなり、品質を安定させることに成功しています。
塗装現場でも同様に、正しいウエスの折り方や拭き取りスピードなどの微小な動作を映像で共有し、組織全体でハジキ不良の再発防止を徹底させましょう。
現場で不良の対策で効果をあげている事例
現場の属人化を解消し、不良率の改善に成功した企業の事例を紹介します。紹介する企業は、紙のマニュアルや感覚に頼る指導から脱却し、動画による作業の標準化で確かな成果を上げています。
- 塗装工程の不良見逃し率を大幅に削減している上松電子株式会社*2
- 工程内不良を1/3まで削減している明和工業株式会社*3
塗装工程の不良見逃し率を大幅に削減している上松電子株式会社
上松電子株式会社は自動車部品を一貫生産するメーカーであり、現場には外国人派遣社員が多く在籍しています。言葉の壁により、紙の手順書では検査時の細かなニュアンスを十分に伝えきれませんでした。結果として、正しい手順が定着せず、次工程への不良流出が多発していました。
| 課題 | 導入後 |
|---|---|
| ・外国人社員への指導が困難 ・紙では細かなニュアンス不明 ・塗装工程からの不良流出多発 ・現場の意思疎通が取りづらい | ・動画の視覚的指導で理解向上 ・正しい検査の動きが完全定着 ・5週間で不良見逃し率を削減 ・対話が増え明るい職場へ変化 |
こうした課題に対し、同社は動画で正しい手順が学べる「tebiki現場教育」を導入して解決を図ります。不良の見逃しが多い作業者へ、正しい動作を収録した映像で反復教育を徹底しました。視覚的な情報共有により、外国人スタッフにも正確な検査手順が定着する結果となります。わずか5週間で不良見逃しを撲滅し、現場のコミュニケーション活性化にも繋がっています。
塗装のハジキ対策においても、本事例のように紙では伝わらない脱脂の力加減や拭き取りの速さを動画で視覚的に共有できます。個人の感覚に頼る作業の属人化を排除し、誰でも同じ品質で不良を防げる確実な仕組みが構築できるでしょう。
工程内不良を1/3まで削減している明和工業株式会社
明和工業株式会社は、自動車内装部品の開発から製造までを一貫して手がけるメーカーです。同社は新工場の稼働に伴い多くの外国人作業者を受け入れましたが、言葉の壁や紙の標準作業書では正しい製品の持ち方などの細部が伝わらず、作業のバラつきによるキズ不良が多発していました。さらに多品種混流生産のため、全手順の把握が困難な状況でした。
| 課題 | 導入後 |
|---|---|
| ・言葉の壁で作業の手順が未定着 ・紙マニュアルで細部が伝わらず ・作業者のバラつきでキズ不良増 ・多品種生産で手順の把握が困難 | ・自動翻訳の動画で手順を可視化 ・正しい製品の持ち方が完全定着 ・キズの不良率を3分の1に削減 ・現場モニターで即座に動画確認 |
こうした課題に対し、同社は動画マニュアルの「tebiki現場教育」を導入します。自動翻訳機能を活用し、正しい作業手順や微細な動きを母国語の字幕付き映像で可視化しました。さらに、現場のモニターで製品のQRコードを読み取ると即座に該当動画が再生される仕組みを構築しています。いつでも標準作業を確認できる環境を整えた結果、作業のバラつきがなくなり、キズの不良率を4.5%から1.5%へと大幅に削減することに成功しました。
本事例の動画による標準化の仕組みは、製品ごとに異なる脱脂や洗浄の手順が求められるハジキ対策の現場にも応用可能です。いつでも正しい清掃作業を確認できる環境を整えれば、異物の持ち込みによるハジキを確実に減らせるでしょう。
結論|塗装のハジキ対策は「現場教育」による「標準化」で解決する
塗装のハジキは、油分やシリコーンの付着、環境からの異物混入、塗料の調整不足など、複数の要因が絡み合って発生します。ただし、根本的な原因は、マニュアルの曖昧さや作業の属人化に他なりません。どれほど設備を整えても、個人の感覚に頼る現場では不良を防ぎきれないでしょう。
だからこそ、動画マニュアルを用いた現場教育の標準化が必要です。紙では伝わらない脱脂の力加減などを視覚的に共有し、全員が同じ手順を再現できる仕組みを構築してください。
誰もが正しい作業を実行できる環境を整え、手戻りの削減と生産性の向上を実現させましょう。
引用元/参考元
*1:関西ペイント株式会社「水性塗料のハジキ現象に関する研究」
*2:上松電子株式会社「「教えたつもり」をなくし、塗装工程の不良見逃し率を大幅に削減」
*3:明和工業株式会社「自動車内装部品の製造工程における外国人教育に動画マニュアルを活用し、工程内不良を1/3まで削減」











