製造業の業務では多くの帳票を発行、記入、転送および保管をする場面があります。紙帳票であれば手書きで記入して押印し、ファイルやキャビネットに保管するために多くの手間がかかります。
しかし、近年ではIT技術の発展とともに従来の紙帳票が電子化(ペーパーレス化)されつつあり、製造業においてもDXや業務効率化の観点から早急な対応が求められる状況だといえます。
そこでこの記事では、製造業でよく使われる帳票の種類を踏まえたうえで製造業における帳票の電子化について課題を整理し、ペーパーレス化を進めるための便利なツールを紹介します。帳票の電子化を進め、効率的で生産性の高い製造現場を実現するために有益な情報について解説しますので、是非参考にしてみてください。
また、製造業で扱う帳票をデジタル化する方法について詳しく解説している資料も以下よりご覧いただけます。本記事と併せてご活用ください。
目次
製造業における帳票の種類とは
製造現場では多くの書類が使われていますが、もっとも多く取り扱われているのが帳票です。たとえば、製品を得意先に収めた際には納品伝票を発行しますし、仕入先から原材料を購入した際にはお金を支払うために入金伝票を発行します。これらは伝票と呼ばれる帳票の一種です。
では、帳票にはどのようなものがあるのでしょうか。
そもそも帳票とは
帳票とは、主に「帳簿」や「伝票」といったお金や品物の出納を記した書類のことを指します。帳簿には税法上で記帳と保管が義務付けられている仕訳帳や総勘定元帳などがあります。伝票には入金伝票、振替伝票、売上伝票などがあります。
製造業においては、製造のプロセスや製品の取引に関連する書類も「帳票」と称されます。
製造現場以外にもビジネス全体で用いられる帳票の詳細は以下の記事で解説していますので、是非ご参考ください。
関連記事:帳票をわかりやすく解説!種類や管理方法、電子化の必要性は?
製造業以外でも使われる帳票の例
製造業に限らず、会社では取引記録に関する帳票類が扱われていますが、以下のに代表的なものについて説明します。
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
- 見積書
- 請求書
- 納品書
- 給与明細
仕訳帳
企業で行った取引を日付順に並べて記録に残すための帳簿です。
例として、光熱費のように出金に当たるお金を動かしたときには借方に記載し、それと同金額を貸方の欄に振込先と共に記載します。
どのような何の名目でお金を払い、誰がそれを受け取ったかを記載することでお金の流れを明確にして記録に残すことを目的としており、かつ税法で保管が義務付けられている書類です。
総勘定元帳
仕訳帳とともに税法上で保管が義務付けられている重要な帳簿です。お金の出入りを勘定科目ごとに分けて記録することで金銭の使い道を明確にします。この総勘定元帳をもとに貸借対照表や損益計算書を作成するため、企業活動においてもっとも重要な帳票と言えます。
見積書
商品などを売るときに、取引条件と金額を明記して取引先に提示するための証憑(しょうひょう)です。たとえばミカンSサイズ1kgを500円、2kgを800円などのように数量条件と金額を明記します。
接客業でも盛んに使われる書類であり、自動車を買う例を挙げて説明すると、ディーラーが本体価格とオプション価格を分けて明細を提示し顧客がどのオプションを付けるかを検討するような場面でも使います。
請求書
取引条件が決まり商品の納入が完了したのちに、代金を請求するために発行する証憑(しょうひょう)です。あらかじめ見積書で合意があればもめることはありませんが、売買が済んでから請求書を発行する場合には、金額の内訳を明記して妥当な金額であることを示す必要があります。
納品書
商品の注文を受けて納入する際に、発注内容と納入したものが合致していることを示すための証憑(しょうひょう)です。注文を受けた品名、数量と金額の明細を記載して品物と同時に送ります。通常は商品と同梱されますが、最近では電子メールで納品書を送るといったペーパーレス化が進んでいます。
給与明細
サラリーマンであれば労働の対価として給与を受け取りますが、この給与の内訳を表示した証憑が給与明細です。基本給、住宅手当、役職手当のような支給額と、社会保険料、天引きの保険料、食堂利用料などの控除額を明細にしたもので、最終的にいくらを手取り金額として支払ったかがわかるようになっています。
製造業で使われる帳票の例
製造現場では多くの帳票が使われています。ここではよく使われるものを以下に説明します。
- 作業指示書
- 作業日報
- 現品票
- 出荷指示書
- 設備点検表
- 製品入庫伝票
- 出来高報告書
- 作業伝票
作業指示書
作業指示書は、誰が、何を、どのように処理するかを明確に伝えるための帳票です。たとえば部品に異常品が混入していることがわかった場合に、「どの部品を・明日までに・100個選別して・良品だけを工程に投入する」というような作業指示が必要です。
長文で書くとわかりにくいため、表形式にして作業者にわかりやすく伝える作業指示書(指示票)が現場では使用されています。
作業日報
作業日報とは、行った業務内容や業務の結果について記した書類であり、毎日決まった作業をしている現場では1日にどれだけの数を完了させたかを表とともに作業日報にまとめることで管理を行うケースも多いです。
たとえば、ミカンの出荷のために1000個を作業場に持ち込んで、S、M、Lに選別し、それぞれ何個箱に詰めたか、出荷できない痛んだミカンが何個あったかを記録紙に残します。このような作業日報も入数、出数管理のための帳票です。
作業日報の目的や記載内容、テンプレートについては以下の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:作業日報ってどう書くの?書く目的や内容、テンプレートをご紹介!
現品票
現品票は出荷・納品の際に製品に貼り付ける伝票のことを指し、主に製品や部品が入った袋やトレイ、箱に貼り付けることで中身をわかりやすくする識別表示です。
一般的には、品番、ロット番号、数量が書かれています。識別表示といった目的以外にも、必要に応じてその票を発行した日(受領日など)も記載することで期限管理に利用する場合があります。
現品票の基礎知識や抱えている課題、解決方法としての「ペーパーレス化」については以下の記事でも詳しく解説しています。是非ご参考ください。
関連記事:現品票とは?納品書との違いや運用の課題、ペーパーレス化の手段を解説
出荷指示書
その日に出荷する必要がある製品について、品名、品番、納入先(得意先)コード、数量をリスト化した書類です。1品番につき1枚発行されることが多いですが、バーコードシステムが導入されている倉庫では1枚の帳票に複数品番を記載することで紙の消費量を減らす工夫をしている場合もあります。
設備点検表
点検の記録を可視化するための書類であり、温度や圧力のようにメーターの表示値を記入することや異音、異臭、振動などの異常な状態がなければチェックを付けて「問題なし」という記録を残すといった使われ方が多いです。
通常はシフトの開始時に設備のコンディションをチェックするために日常点検を行い、1ヵ月で1枚の点検表を作って設備に貼り付けておきます。3ヵ月点検、1年点検のような定期点検表を別に発行する場合もあります。
製品入庫伝票
製造工程が出荷検査まで完了し、完成品倉庫に入庫する際に記録を残すために発行する伝票です。原則として、1製造ロットにつき1枚発行します。倉庫係は製品入庫伝票を確認し、倉庫のどこにその製品を入庫保管したかを記録に残し、後日出荷するときまで在庫記録を残します。
出来高報告書
1日のシフト終了時にその日の完了数を記録するための帳簿です。日付、品番、投入数、完了数、仕掛かり数を毎日まとめ、生産進捗を製造監督者、および生産管理の担当者、管理職に回覧報告します。
作業伝票
1製造ロットごとに発行して製品とともに工程を移動し、各工程ごとに投入時間、投入数、完了時間、完了数を記入して製造記録を残すための書類です。ある工程で不良が発生した際にはその不良コードと数量も書き込めるようになっており、後日不良の多い工程を分析するのに使用します。
また、市場でトラブルが発生しクレーム連絡が来た際には、その製品がいつ、どのような経歴で製造されたかの履歴を確認するため(トレーサビリティ)にも使用される、製造現場でもっとも重要な伝票の1つです。
品質や安全性の確保のため、製造業では欠かせない仕組みであるトレーサビリティの意味やメリット、向上のためのヒントについては以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
関連記事:トレーサビリティの意味とは?製造における目的やブロックチェーンとの関係、企業事例についても解説!
製造業で帳票をペーパーレス化するメリット
帳票をペーパーレス化すると、いろいろなメリットや効果が生じます。以下に代表的なメリットを解説します。
- 簡単に帳票を作成できるようになる
- 管理の工数が減る
- いつでもどこでも確認できる
- セキュリティを強化できる
- 蓄積したデータを活用できる
帳票をはじめ、製造業では紙の書類を使う場面が多々見られますが、そのような書類をペーパーレス化することには様々なメリットがあります。製造業におけるペーパーレス化のメリットやペーパーレス化の進め方について以下の記事でも解説していますので是非ご参考ください。
関連記事:製造業でペーパーレス化するメリットや成功事例を紹介!導入の手順やコツ、オススメのツールも解説
簡単に帳票を作成できるようになる
パソコンが普及する前は、白紙に定規で線を書いて表を作り、項目名を記入した帳票のひな形(原紙)をコピーして使うことが一般的でした。
しかし、現在ではほとんどの企業がWordやExcelのようなOfficeツールを使って帳票を作成しています。帳票をペーパーレス化することで、一度デザインすればファイルをコピーして使えるし、書式を変更する場合でも簡単に編集できるといったメリットがあります。
さらに、印刷せずにノートパソコンやタブレットで入力するように電子化することで、製造現場でもペーパーレス化を進めることができ、異物やほこりの発生を防止することにつなげられます。
管理の工数が減る
帳票のペーパーレス化の最大の恩恵は、書類の保管管理工数が減ることです。印刷した帳票ではファイルに綴じてまとめ、書類箱に入れて書類倉庫へ保管します。加えて年度ごとに箱を分けて棚に並べ、後日探しやすくするためどのような帳票を保管したかの帳簿を作成する必要があります。
しかし、帳票の電子化をすすめ、記入もパソコンやタブレット上で行うと、紙を印刷する必要や書庫での保管が不要になります。さらに帳票にはデジタル押印であるタイムスタンプを付与することで文章の作成日時や送付日時などの記録をのこせるようになり、年度ごとにフォルダを分けてファイル保存することで、キーワード検索で簡単に帳票記録にたどり着くことも可能です。
いつでもどこでも確認できる
帳票をペーパーレス化すると、ファイルはネットワークでつながったデータサーバに保管されます。そのため、従来の紙帳票のようにキャビネットまで見に行く必要がなく、パソコン画面で検索することで席から移動せずその場で内容の確認が行えます。
さらに、回覧もできるようにシステム化すれば、帳票に記録したデータの確認や承認も離れた場所から行うことができます。帳票のペーパーレス化により異なる部署間や工場間でも同一の帳票を閲覧できるため、よりスムーズな連携が実現するでしょう。
セキュリティを強化できる
帳票類のペーパーレス化にはセキュリティ面におけるメリットもあります。従来の紙保管のように無人の書庫に行けば勝手に閲覧したり、複写や無断持ち出しが可能な状態でした。しかし、電子化してファイルサーバーで保管するようになれば、閲覧記録が残るようにしたり、ファイルにパスワードをかければ一定の牽制になるため、情報の漏洩、紛失リスクは小さくなります。
蓄積したデータを活用できる
帳票をペーパーレス化すると、帳票への記入は電子情報のみになります。紙帳票の場合は過去1年間のある商品の売れ行き推移など、蓄積したデータを確認するのが難しく、紙帳票から読み取ったデータをExcelなどにまとめなおす作業が必要でした。
しかし、初めから電子データで記録をとることで数字を並べ替えてグラフ化することも容易になり、季節ごとの売れ行き状況から仕入れ量を調整するなど、データの活用ができるようになります。
紙やExcelによる帳票運用では、記録/承認/管理までの工数が膨大にかかり、本来取り組むべき蓄積されたデータを分析し改善するアクションまで実行できていないケースが珍しくありません。品質向上などの改善活動につなげるデータ分析の手法については、専門家が解説する以下の動画をご覧ください。
製造業における帳票の現状と課題
帳票類を電子化、ペーパーレス化することによって書類管理の工数やコストを削減することが可能ですが、実際の作業現場での導入状況はどうなっているのでしょうか。
ここでは、電子化/ペーパーレス化を取り巻く現状と課題について説明します。
現場帳票の現状
製造現場でよく使われる帳票の例として作業伝票と日常点検シートがありますが、これらは毎日発行・保管されているため、電子化すれば大きなコストダウンが見込まれます。
しかし、電子化が進んでおらず紙やエクセルでの運用を続けているのが実態です。私たちが製造業界及び食品業界に従事する、現場改善ラボ会員の方を対象に向けに実施した「現場帳票のデジタル化に関する実態調査」(回答数:84名)では、現場帳票の管理方法として紙が70.2%、エクセルが11.9%と、約80%の方が紙/エクセルによる帳票管理を行っていました。
▼製造現場における帳票管理の方法▼
一方で、紙/エクセルの現場帳票ならではの課題に悩まされている現実も存在しています。上記の調査で「紙、エクセルで帳票管理している」と回答した方に不満を聞いたところ、多くの不満が挙げられました。
<紙/エクセルで帳票を管理する不満点(複数回答化)>
- データの抽出 / 分析がしにくい:51.9%
- 特定の帳票を探すのが手間:13.0%
- 記録ミスが多い:9.1%
- 異常値管理をリアルタイムで行うことができない:7.8%
- 帳票の中から異常を探すのが手間:6.5%
- 記録方法や内容が統一されていない:3.9%
- 承認基準にばらつきがある:2.6%
- その他:5.2%
このように紙/エクセルによる帳票管理は、多くの現場課題を生むボトルネックと化しています。これらの悩みを解消するために、製造現場では帳票の電子化/デジタル化/ペーパーレス化の検討が進んでいます。
実際、紙/エクセルによる帳票運用をしている方に電子化の検討度合いを聞いたところ、40.8%の方が「今後検討していく予定」と回答、36.7%の方が「現在検討中」と、紙/エクセルで帳票運用する約80%の方が帳票デジタル化を検討している結果となりました。
▼帳票電子化の検討状況(紙/エクセル使用者のみ回答)▼
私たち現場改善ラボが独自で行ったこれらの調査結果からわかるように、製造現場では依然として紙/エクセルによる帳票運用が主流であるものの、現場の悩みや課題を抱えるボトルネックと化しており、多くの方が帳票の電子化/デジタル化/ペーパーレス化を検討している現状が伺えます。
現場帳票のペーパーレス化が進まない理由
「現場帳票のデジタル化に関する実態調査」の結果から分かる通り、帳票のペーパーレス化の検討は進んでいるものの、まだまだ踏み切れていない製造現場が多いことも事実です。
ここからは、帳票のペーパーレス化が進まない代表的な4つの理由を解説します。
- 紙媒体による記録や報告に依存している
- システム導入の推進者が現場にいない
- 費用対効果がわからない
- 作業者が使いこなせない
紙媒体による記録や報告に依存している
製造現場では作業記録や点検シート、シフト引き継ぎ書などを紙帳票に記入して記録に残していました。ルーティーン化していたこれらの作業を別のやり方に変えることには、抵抗があるものです。
たとえば、点検表を電子化すると、点検をしたかどうかはシステムを開かないとわからないなど利便性を考えると、紙の方が都合がよい場合があります。あるいは、せっかく点検しても、保存ボタンや発行ボタンを押し忘れるというリスクもあります。
電子化により、手書きやファイルに綴じるという作業が不要になるというメリットはあるものの、その利便性から紙の帳票を頼りにしているという現場の事情も考慮が必要です。
システム導入の推進者が現場にいない
帳票の電子化を進めたくても、電子帳票システムについて知識を持った人がいないとシステム構築や運用に向けた土台作りは困難だといえます。紙の帳票を電子フォーマットに作り変えることはできても、それを運用するためのルール作りが必要です。
たとえば、紙帳票をテンプレート化して登録し、帳票発行をする手順のマニュアルを用意する必要があります。あるいは、うまく発行されるか何回かテスト運用も必要です。
日常の業務に加え、このような電子システムの立ち上げ作業が求められますが、現場にそのような人材がいるとは限りません。そのため、システム導入担当者を別に用意しなければならないのです。
費用対効果がわからない
大企業であればパソコンの購入やシステムの導入にコスト面における障壁は少ないとされますが、中小企業、とくに社員100名以下の工場になると、簡単にシステム費用を捻出することは大きな課題となる傾向があります。
そのため、電子帳票を導入することで仕事の効率が向上することや、管理コストが下がることは理解していても、初期投資費用を回収するのにどれくらい時間がかかるのかやコストダウン効果はどれほどになるのかとうことをを見積もらない限り、社長や責任者の決裁が下りないケースがほとんどです。
そこで、伝票処理をひと月からふた月ほどモニターすることで印刷コストや発行・管理にかかった時間から労務費を算出し、どれくらいのコストダウンができるかを見積もってから導入コストと天秤にかける必要があります。
作業者が使いこなせない
新システムを導入するときには、全員が使いこなせるのかとという点が重要です。
作業現場は仕事の早い人もいればゆっくりの人もいます。早い人に合わせて仕事をすれば、未完了のままの作業が残り、結果として不具合が生じてしまいます。帳票の入力も同様に、入力のしやすさや入力場所のわかりやすさに配慮しないと、使いこなすことができない作業者が続出してしまいます。
他にも、入力デバイスの使い慣れも影響します。手書きだと数秒で終わる作業でも、電子帳票に入力するためにはキーパッドを叩いて確定ボタンを押し、次のセルへ移動するといった操作が必要です。
モバイルデバイスを使い慣れている人は若い社員は入力が早い傾向にありますが、高年齢であるほどデジタルに慣れていない人の比率が高くなるので、全員が使える帳票記入を目指すにはまだまだ紙帳票を残す必要があるのが実態です。
製造業で帳票を効率よくペーパーレス化を進める方法
製造現場での帳票のペーパーレス化における課題について先述しました。では、どのようにすれば電子化が進むのでしょうか。製造業で帳票のペーパーレス化を効率よく進める方法について、以下解説します。
- 担当者を決めてプロジェクト化する
- ペーパーレス化する帳票を決める
- ペーパーレス化の目標を決める
- ペーパーレス化に必要なツールを見積もる
帳票のペーパーレス化(デジタル化)を進める方法や費用対効果の算出方法を詳しく知りたい方は、より詳しく解説している以下のガイドブックをご活用ください。
他にも現場改善ラボでは、ペーパーレス化の進め方や成功事例について詳しくまとめた記事をご用意しております。併せてご覧ください。
関連記事:ペーパーレス化のメリットと方法は?成功事例や導入のコツも紹介
担当者を決めてプロジェクト化する
電子帳票システムの導入は多くの組織が関わるプロジェクトになります。そのため、必ずプロジェクトリーダーを決めて、その下に作業内容ごとに分担を決めた組織が必要です。組織の例としては帳票の電子化チーム、システムインストールとネットワーク構築チーム、電子帳票を運用するためのルール策定チームなどです。
組織を編成した後は各チームに数名ずつ担当者を割り当てて効率よく作業を進め、定期的に各チームの進捗を確認します。遅れているチームがあれば他のチームから人を回すなど、バランスよく進められるようにプロジェクトリーダーが采配します。
ペーパーレス化する帳票を決める
製造現場で使われている紙帳票の量は膨大なため、すべてをペーパーレス化するには時間がかかります。また、完全に電子化されたシステムを保有していない取引先が存在する可能性もあるため、完全なペーパーレス化は難しい場合があると考えたほうがよいでしょう。
そこで、ペーパーレス化する帳票としないものを仕分けすることが重要です。発行頻度が高いものや手作業での作成や管理に時間がかかるものから優先的にペーパーレス化しましょう。
また、全部のペーパーレス化を同時に完了させず、3期くらいに分けて進めることで、進捗管理をしやすくなります。
ペーパーレス化の目標を決める
ペーパーレス化する帳票の選定ができたら、いつまでに、どのレベルまで完了させるか目標を決めます。時間をかけ過ぎると紙帳票と電子帳票の併用期間が長くなり、かえって製造現場が混乱します。変更する対象を決めたら3ヵ月~半年で完了させるように目標を定めましょう。
また、電子化プロジェクト全体のゴールまでの間にマイルストーン(進行状況などの指標)を設けて、達成状況を確認します。遅れが発生した際はどこに時間がかかっているかを分析し、計画の見直しや人的リソースの配分を変更することで、当初の予定から遅れないようにします。
目標を定めずに進めるとだらだらとプロジェクトが続いてしまい、予算以上の人件費がかかってしまいます。最初の目標設定は慎重に行いましょう。
ペーパーレス化に必要なツールを見積もる
紙帳票のペーパーレス化を実現するためには、電子化するためのツールが必要です。ここでは製造現場での帳票電子化でよく使われているツールを紹介します。
- Excel
- Word
- 帳票ツール
Excel
製造現場で使われるチェックシートや設備点検票、検査成績書などの帳票類は集計や数式による判定が必要です。Excelのような表計算アプリであれば書式に計算式や条件文を入れて自動判定ができるため、異常値や記入漏れがあればセルに色を付けるなどで注意喚起することが可能です。
Excelの最大のメリットは、世界中でもっとも使用されているOfficeツールであることです。帳票の事例やフリーで使えるテンプレートがインターネット上にたくさんあるためそのまま利用することができたり、自分の職場で使えるようにアレンジするなど、ゼロから作るよりも早く帳票の電子化が可能です。
Word
無料かつバリエーション豊富な帳票を作成できるソフトがWordです。文字の大きさ、フォントを変えて強調したり、表を作成して入力欄を作るなど、現場で使われている様々な種類の帳票を電子化するために役立ちます。
Excelの場合は列の幅を変えると上下のセルの入力欄も幅が変わってしまい、書式のデザインに苦労しますが、Wordであれば行ごとに幅を調整できて、多様な帳票に対応できます。計算式が必要ない入力帳票かつ無料のソフトであれば、Wordがもっとも使い勝手がよいでしょう。
帳票ツール
帳票ツールは、書式の作成から記入、転送、保管までひとつのプラットフォームで管理できるツールですます。共通のプラットフォーム上で運用できる社内であれば、印刷せずに帳票の管理ができるので完全なペーパーレス化が可能になります。
帳票ツールのより詳細な機能やメリットについてはこちらの記事でも解説していますので、ぜひご参考にしてください。
関連記事:帳票ツールとは?帳票の概要や機能、選定のポイントを解説!
製造業に特化したデジタル帳票ツール「tebiki現場分析」とは
ここまで帳票のペーパーレス化が進まない理由をご紹介しましたが、この課題を解消しかんたんに帳票デジタル化が行えるツールとして「tebiki現場分析」をご紹介します。
tebiki現場分析の便利な機能とメリット
「現場にやさしい」ことを目指して開発された「tebiki現場分析」には、現場の課題を解決する様々な機能が備わっています。
ここでは、以下の機能について解説します。
- 帳票の設計や作成が簡単にできる
- よく使う帳票をピン止めできる
- リアルタイムに現場の状況が把握できるので異常に早く気づける
- 画像などの記録を残せる
帳票の設計や作成が簡単にできる
tebiki現場分析は「誰でも簡単に現場帳票を作成できる」ことを目指したツールです。そのため、現場で使われるタブレットでも簡単に入力ができるような画面になっています。
他にも、現場で使う帳票をクラウド上で作成できるので、ネットワークにつながっていれば自宅や離れた拠点からでも利用できるというメリットも特徴です。発行承認もシステム上で行えるため、メールアプリを立ち上げて添付送付するという手間が発生しません。
さらに、データはWordやExcel形式、CSV形式など多様なフォーマットに出力できるため、社外取引先と使う電子帳票システムとの連携も可能です。
よく使う帳票をピン止めできる
現場で毎日発行される作業伝票や現品票、検査成績書などをシステム上でピン止め(お気に入り登録)しておけるため、帳票を使いたいときにすぐに発行することができます。
また、部門によって使用頻度の高い帳票は異なりますが、アカウントごとに上位表示させる帳票を選択できます。生産管理であれば出荷指示書や納庫管理表、品質管理部門であれば検査成績書などのように分類登録ができます。
リアルタイムに現場の状況が把握できるので異常に早く気づける
tebiki現場分析はリアルタイムにデータを集積することが可能なため、決まった時間に人間が現場まで行って数値を入力するという手間がかかりません。さらに集めたデータをグラフ化すれば水温や圧力といったユーティリティの状況や設備の稼働状況を離れた場所から確認することも可能です。
予め異常基準を設定しておけば、データが基準を超えた時にすぐに通報してくれるので、気づかずに異常品を作り続けて不良の山を作ってしまうといったリスクも低減できます。
画像などの記録を残せる
紙帳票であれば言葉や数字、〇×でしか情報を残せず、後から工程記録を確認しても詳細な状況が把握しずらいことや再現性に乏しいことが課題でした。
しかし、tebiki現場分析なら写真を画像を記録として残せるため、点検した時の姿をそのまま記録化できます。画像という客観的でわかりやすい記録を残すことで、異常値を超えていなくても基準ギリギリになっていた、薄くキズが入り始めていたといった異常の兆候を見つけやすいことで市場クレームが起きた時の原因究明に大きな助けになります。
このようにtebiki現場分析は現場で使いやすく、役立つ機能が満載です。tebiki現場分析の詳細な機能説明や導入サポート体制については、「まとめ」内に記載のサービスバナーをクリックするとご覧いただけるので、帳票のペーパーレス化や製造現場のDX推進をお考えの方は是非ご参考ください。
まとめ
本記事では製造現場で使用されている帳票の種類や帳票のペーパーレス化におけるメリット、ペーパーレス化が進みにくい現状やペーパーレス導入の効果的な進め方について説明しました。帳票のペーパーレス化によって転送や保管の手間が減り、管理コストが下がることがお判りいただけたと思います。
現場の帳票電子化を推進するためには、どの帳票を電子化するかの選択と、導入を推進するプロジェクトの計画が重要です。ここで、デジタル帳票ツールを利用すれば効率的に電子化を進めることができ、さらに運用し始めてからの現場管理ツールとしても活用できます。
特におすすめなデジタル帳票ツールとしては、本記事でも解説した「tebiki現場分析」が挙げられます。
誰でも簡単にデジタル帳票を作成でき、異常値アラートやデータ分析機能を備えたtebiki現場分析の導入により、現場の負担を減らしながら業務効率化や生産性、品質の向上が見込めるでしょう。是非tebiki現場分析を活用し、効率的で生産性の高い製造現場を実現してください。
tebiki現場分析の詳細な資料は以下の画像からもダウンロードできますので、是非ご覧ください。