現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 【意味がない?】ISO9001とは?メリットや費用、やめた企業の理由

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ISO9001とは、品質マネジメントシステム(QMS)を規定する国際規格です。ISO9001認証を取得することで、自社の製品やサービスが管理されたプロセスを経て製造された商品であることを証明できます。

ですが、みなさまの中には「ISO9001って何のこと?」「ISO9001認証を取得することでどんなメリットがあるの?」と疑問に思っている方も多いでしょう。

この記事では、「ISO9001とは何か」を主題に、メリットやデメリット、認証取得や更新にかかる機関や費用など、現役のISO審査員の方にもヒアリングした内容をもとに解説していきます。

また、現場改善ラボでは、ISO9001に関する疑問を専門家に聞く相談会の動画を無料で公開中です。

  • これからISO9001の認証を取得しようか迷っている
  • ISO9001の認証を取得したけど効果があるのかわからず、維持をやめようか迷っている

上記のような方は、ぜひ以下の画像をクリックしてご覧ください。


ISO専門家が解説!『ISO9001がしっかりわかる相談会』 (1)

目次

ISOとはそもそも何?

ではまずはじめに、ISOとはそもそも何かを確認していきます。

ISO(国際標準化機構)とは、製品やサービスの品質、効率、安全性を向上させるための国際規格を策定する非政府組織です。

1947年に設立され、スイスのジュネーブに本部があります。ISOの公式サイトによると、2024年10月31日時点での加盟数は172ヶ国です。

今回詳しく解説するISO9001は、ISOが制定している規格のうちの1つですが、他にも様々な規格が存在します。

ISO9001とは

では、ISO9001とは何かを詳しく見ていきましょう。

ISO9001は「品質マネジメントシステム(QMS)の要求事項」を定めた規格

まず前提として、日本語で書かれてあるISO9001に関する文書は、英語で書かれたものをJQA(日本品質保証機構)などの日本の機関が日本語に訳したものであり、JISQ9001と呼ばれます。ここでは、日本語に訳される前の英語の原文をもとに見ていきます。

ISOが公開しているISO9001に関するドキュメントに書かれてあるものをそのまま引用したのが、以下です。

ISO 9001 is an lnternational Standard that gives requirements for an organization’s quality management system (QMS).

日本語に訳すと、「ISO9001は、組織の品質マネジメントシステム(QMS)に対する要求事項を定めた国際規格である。」となります。

品質マネジメントシステム(QMS)とは、顧客を満足させる高い品質を実現するための仕組み(システム)です。

よって、わかりやすく説明しなおすと、ISO9001は「高い品質を実現するための仕組み(=品質マネジメントシステム)をどのように設計・運用すればよいかを定める規格」です。

品質マネジメントシステム(QMS)についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ISO9001が制定された背景や歴史、なぜ誕生したのか

ISO9001の誕生背景には、製品やサービスの品質を管理するための世界共通基準の必要性がありました。

第二次世界大戦後の経済復興期において、欧米を中心に国際貿易が急速に拡大しました。しかし、貿易相手国間での品質管理基準が異なるため、企業が輸出する製品が取引先の要求を満たせず、不良品の返品や市場での信頼性の低下を招くケースが増加しました。

このような問題に対し、企業は品質管理の基準を確立し、顧客の期待に一貫して応える必要性が生じたのです。

品質管理の標準規格の先駆けは、イギリスで1979年に策定された「BS5750」であり、これがISO9001の基礎となりました。BS 5750は企業の製品やサービスの品質を保証する仕組みを提供し、業界で高く評価されました。

その後、ISOが国際的な品質管理規格を策定するにあたり、BS5750を基にしてISO9001が誕生しました。

ISO9001以外で、マネジメントシステムを規定する国際規格

ISO9001は”品質”マネジメントシステムを規定する国際規格ですが、”品質”以外のマネジメントシステムも存在します。ここでは、”品質”以外におけるマネジメントシステムを規定する、様々な国際規格について簡単にご紹介します。

なお、ISO9001と直接は関係がないので、ご興味がない場合は次章の「ISO9001の要求事項」にお進みください。

ISO14001(環境マネジメントシステム)

ISO14001は、環境保護に関する基準であり、企業が環境影響を最小限に抑えるためのフレームワークを提供します。

製造業や建設業だけでなく、サービス業にも適用され、持続可能な事業運営をサポートします。具体的には、環境へのリスクを評価し、汚染防止や資源の効率的な利用を推進します。

ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)

ISO45001は、職場の安全と健康に関するリスクを管理するための国際基準です。

労働者の安全を確保するための手順を策定し、職場での事故や健康障害を防止するための枠組みを提供します。

多くの国で労働者保護に関する法規制が存在する中で、ISO45001は企業が遵守すべき安全衛生の標準として広く導入されています。

ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)

ISO27001は、企業の情報セキュリティを保護するための基準です。

情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを管理し、機密情報を守ることが目的です。ITや金融業界だけでなく、情報を取り扱うすべての企業に有効であり、セキュリティ体制の整備に役立ちます。

データ漏洩が重大な損害をもたらす現代において、ISO27001の導入は信頼性の向上にもつながります。

ISO50001(エネルギーマネジメントシステム)

ISO50001は、企業がエネルギー消費の効率化を図るためのフレームワークを提供します。

エネルギーの使用を最適化し、コスト削減と環境への影響を抑えるための管理システムで、特にエネルギーコストが高い業界での導入が進んでいます。ISO50001は、企業が環境保護の責任を果たしつつ、持続可能なエネルギー利用を推進する指針として活用されています。

ISO9001の要求事項

前述のように、ISO9001は「組織の品質マネジメントシステム(QMS)に対する要求事項を定めた国際規格」でした。

ここでは、その「要求事項」について詳しく見ていきます。

そもそも要求事項とは

ISO9001の要求事項の具体的な内容の前に、そもそも”要求事項”とは何か、を理解しておく必要があります。

要求事項とは、「必要だと求められる要件」のことです。ISO9001における文脈だと、「品質マネジメントシステムが正しく機能するために求められる要件」ということになります。言い換えれば、この要求事項が守られないと品質マネジメントシステムは正しく機能しない、ということになります。

ISO9001の認証を取得する際には、この要求事項を満たしていることを証明する必要があります。要求事項を満たしていることの証明は基本的に文書で行いますが、かなり膨大な量になります。

具体的にどのような文書が必要なのかや、それらの文書を効率的に管理する手法に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

要求事項のPDFとかんたんな要約

では、要求事項の具体的な内容について見ていきましょう。無料で見れる原文のPDFはこちらです。おそらく「原文だとよくわからない」と感じる方が多いかと思いますので、要求事項を整理して解説します。要求事項は大きく、以下の10項に分かれます。

〈ISO9001要求事項〉

  1. 適用範囲
  2. 引用規格
  3. 用語及び定義
  4. 組織の状況
  5. リーダーシップ
  6. 計画
  7. 支援
  8. 運用
  9. パフォーマンス評価
  10. 改善

この要求事項のうち、実施が求められている部分は4項から10項の内容です。ここからは、4項以降の内容について分かりやすく簡潔にご紹介します。

組織の状況

組織の状況は、組織の内部および外部の課題や状況を理解し、品質マネジメントシステム(QMS)の適用範囲を決定するための基本的な枠組みを示しています。

リーダーシップ

リーダーシップは、経営者が品質マネジメントシステムに対して積極的なリーダーシップを発揮し、全体の方向性や方針を示すことを求めています。

計画

計画は、品質マネジメントシステムの効果的な運用を確保するために、リスクと機会を評価し、品質目標を設定する計画の方法・手法を示しています。

支援

支援は、必要なリソースを確保し、従業員の能力を高めるための支援活動を定義し、品質マネジメントシステムの効果的な運用を支えます。

特に「7.2 力量」は、特定の業務を遂行するために必要な技能や知識であり、この力量を管理することが従業員のスキル育成に欠かせない要素だといえます。

力量を管理することを「力量管理」と呼びますが、皆様も一度は聞いたことがあるかもしれません。詳しい説明は以下の記事で行っているので、本記事と合わせてご覧ください。

運用

運用は、製品やサービスの提供に関するプロセスを計画して管理するための指針を示し、品質を確保します。

パフォーマンス評価

パフォーマンス評価は、品質マネジメントシステムのパフォーマンスを監視・測定し、分析するための評価プロセスを示します。

改善

改善は、品質マネジメントシステムの継続的な改善を図るための手法と、不適合品の管理および是正処置を定義します。

今回は分かりやすさを重視したため、簡潔な説明とさせていただきましたが、ISO9001の要求事項がどのようなことを求めているのかは理解いただけたでしょうか。

『より具体的な内容を知りたい』という方は、以下の記事をクリックしてご覧ください。

ISO9001を認証取得する3つのメリット

ISO9001を認証取得するメリットは以下3つあります。

  • 顧客視点での信頼・安心感を得られる
  • 業務の可視化・生産性向上につながる
  • 部署や個人ごとの役割が明確になる

顧客視点での信頼・安心感を得られる

ISO9001を認証取得するメリットの1つが、顧客視点での信頼や安心感が得られることです。

ISO9001は組織プロセスの質を保証する国際規格なので、正しい工程を経て提供された製品と評価され、取引先やお客様に安心感を与えられます。また製品だけではなく、企業ブランドの価値や信頼の向上につながるでしょう。

業務の可視化・生産性向上につながる

業務の可視化や生産性向上につながることが、ISO9001を認証取得するメリットの1つです。

作業フローや作業マニュアルが整備された状態であれば、組織全体で業務の可視化が可能となり、ムダを発見しやすくなります。
工数が掛かる作業や不具合が発生しやすい工程が抽出できるため、施策を導入するポイントが明確になり生産性向上やコスト削減が期待できます。継続的な改善を繰り返すことで、製品やサービスの品質を高めることが可能です。

部署や個人ごとの役割が明確になる

ISO9001を認証取得するメリットの1つは、部署や個人ごとの役割が明確になることです。

役割が明確になれば部署や個人で責任をもって業務に取り組めるので、成果が得られやすくなります。また、各々の進捗が可視化できるので、進捗が遅れているところをフォローしやすく組織全体で連携した業務遂行が可能です。

ISO9001を認証取得するデメリット

ISO9001を認証取得するデメリットは以下2つあります。

  • コストがかかる
  • 手間がかかる

コストがかかる

ISO9001は、取得時と毎年の審査費用が発生するため、コストがかかるといえます。ISO9001を取得していることで、どれくらい費用対効果があるのか確認するとよいでしょう。

どれほどコストが発生するのかは、後述の「ISO9001の取得にかかる費用」で詳しく解説しています。

手間がかかる

ISO9001は、書類やマニュアル作成が必要です。本来の業務とは別でISO9001を取得するために必要な作業が発生します。

繁忙期で時間がとれない時期を避け、閑散期に作業をするとよいでしょう。

ISO9001の取得や維持(更新)にかかる費用

では、ISO9001の「費用」について見ていきましょう。ISO9001の費用は、「取得」する際にも「維持(更新)」する際にも発生します。ここではそれぞれのケースごとに分けて解説していきます。

今回ご紹介するISO9001の取得/更新にかかる費用概算は、現役のISO審査員で株式会社エイシン・エスティー・ラボの代表でいらっしゃる、山本 諭氏に私たちが質問した内容に基づいてご紹介しています

ISO9001の取得にかかる費用

ISO9001の新規取得時には様々な費用が発生します。どのような費用が発生するのか、以下4つを解説します。

マネジメントシステムの構築費用

ISO9001の審査に合格するための組織体制を作るのにかかる費用です。自力で行う場合と外部に委託する場合の2通りが考えられます。

まずは、自力でマネジメントシステムを構築する場合の費用を見ていきます。

ISO9001の専門知識を持った組織内の人材が、定常業務の合間に毎日1時間程度作業を行っていく、という流れを想定します。この場合だと、品質マニュアル・各種規定・帳票類を自社に合わせた形で作成するのに、3ヶ月ほどを要します。(月20日稼働で想定)

ISO9001の専門知識を持った人材の時給を2,000円とすれば、2,000円 × 20 × 3 =12万円 という計算になります。また、必ず受けないといけないわけではないですが、内部監査員養成のため外部講習を受けるとすると、追加で3万~6万円程度の費用がかかります。

上記の試算でいくと、マネジメントシステムを”自力”で構築するには、およそ20万円程度です。

続いて、外部のコンサルティング事業者ですが、ISO9001のコンサルティングを提供している事業者のホームページを複数調査したところ、年額40万円~80万円程度が相場だとわかりました。

自力で行う場合20万円程度
外部に委託する場合40~80万円程度

上記の金額を鑑みると、マネジメントシステムの構築は、自力で行う方が安く済む、という結論になります。

ただし、ここでは審査の合格率を考慮に入れていません。コンサルティング会社などの専門家を頼ると、審査でとくに大切な箇所を重点的にサポートしてくれるはずなので、合格率は比較的高くなることが予想されます。

完全に自力でやろうとすると、合格率は比較的低くなることでしょう。もし仮に自力で行って審査に落ちてしまった場合、失った時間なども考慮すると、外部に委託する場合よりも費用が高くなってしまう可能性も考えられます。

一概にどっちが良いかを結論づけるのは難しいですが、いったんここでは「ISO9001に関する十分な専門知識を持っている人が組織内にいるならば、自力で行った方が良い。十分な専門知識を持っている人がいないのであれば、外部に委託すべき。」と結論づけたいと思います。

審査料

ISO9001の取得時、審査をするためにかかる費用です。

審査機関は複数ありますが、それぞれで料金が異なるため、どこを選ぶかは慎重に吟味したほうが良いでしょう。

また、従業員の規模や業種などによっても金額は大きく異なります。ここでは、従業員数ごとで審査料の概算を出してみました。

従業員数審査料
~20名40~70万円
21~50名75~95万円
51~100名100~120万円

ISO登録料

ISO9001に登録する際の費用で、「手数料」と認識するとわかりかと思います。審査に合格したときにのみ発生し、不合格の際には発生しません。

こちらもどの審査機関に依頼するかで異なりますが、3~5万円程度が相場です。

審査員の交通費・宿泊費

ISO9001の審査は自社で行われるため、審査員の交通費を負担しなければいけません

場合によっては、宿泊費も発生することがあります。見積りの際に併せて確認するとよいでしょう。

ISO9001の維持・更新にかかる費用

ISO9001の認証を維持・更新するために必要な審査は、維持審査(定期検査)更新審査(再認証審査)の2種類があります。

維持審査

維持審査は1年に1,2回行われ、「前回の審査から今回の審査まで問題なくISO9001が運用できているかどうか」をチェックします。

条件によって変動しますが、1回あたりおおよそ30万円程度がかかります。

更新審査

更新検査は3年に1回行われ、「ISO9001を更新しても問題ないか」をチェックします。この審査によって認証が継続されるかどうかが決まるので、維持審査よりも厳重なチェックがされます。

料金は維持審査よりも高額になり、1回あたり60万円程度です。

上記の料金で想定すると、ISO9001の認証は3年ごとに120万円〜180万円程度かかるという計算になります。

ISO9001の費用対効果はいかに

ここまで、ISO9001のメリット・デメリットについて論じてきましたが、結局のところ「費用対効果」はどうなのでしょうか?

費用対効果を一般化して説明するのは難しいので、ここでは「どのようなときに費用対効果が低く/高くなるのか」で見ていきます。

認証取得を目的にしてしまうと費用対効果は薄い

前述でも説明した通り、ISO9001の認証を取得・維持・更新するにはかなりのコストがかかります。そのため、”効果”の部分を大きくしないと、いくらコストを削減しても費用対効果は小さいままです。

”効果”が大きくなるかどうかは、ISO9001の認証取得の目的設定によって変わります。

たとえば「認証の取得」を目的に置いた場合だと、費用対効果は下がる可能性が高いです。「認証の取得」自体を目的に置いてしまうと、組織全体の視座が下がり、認証を取得する過程で得られる「品質の改善」や「信頼性の向上」などのメリットが縮小してしまうからです。

なお、”費用”の削減方法については、後述の「ISO9001の認証取得コストを削減するには?」で詳しく解説します。

認証取得の先に目的を置くと、費用対効果は高められる

たしかに目的をはき違えてしまうと、ISO9001の認証取得は割に合わない施策になりますが、正しい目的を設定すると費用対効果は高められます。

たとえば、「ISO9001認証取得企業でないと取り引きしない企業」との取り引きを目的に置いた場合。

もしISO9001の取得によって、上記のような顧客から、年間で数百万円の粗利を出すことができれば、ISO9001にかかる費用を差し引いても収支はプラスです。

まとめると、費用対効果が高いか低いかは各組織の目的設定による、という結論になります。

ISO9001を認証取得する流れやスケジュール感は?

ここからは、ISO9001の認証を取得する流れやおおよそのスケジュール感(期間)について見ていきます。

なお、認証取得にかかる期間や事業者規模によって大きく異なるので、ここの内容はあくまで”目安”と捉えるようにしてください。今回ご紹介するスケジュール感は、現役のISO審査員でいらっしゃる株式会社エイシン・エスティー・ラボ 代表の山本 諭氏に、私たちが質問した内容をもとにご紹介しています。

認証取得までのステップは大きく分けると、以下のようになります。

基本方針の策定

ISO9001の認証取得に向けてまず、品質方針を明確にします。この段階では、経営層が顧客満足や品質向上に対する意識を反映した基本方針を策定し、組織全体で共有します。

具体的には、顧客の要求事項を満たすための品質目標や、方針に基づく活動の方向性を示すことが重要です。

期間としては、1~2ヶ月程度かかります。すでに品質に関する方針がある場合は、見直しや明確化のために若干の時間短縮が可能です。

システムの構築・運用

基本方針に基づき、ISO9001の規格に沿った品質マネジメントシステム(QMS)を構築し、実際の業務に適用していきます。QMSの構築には、業務プロセスの可視化や文書化が必要で、組織の業務プロセスが効果的かつ効率的に管理されることを目指します。

運用フェーズでは、日々の業務の中でマニュアルや手順に沿った運用を実施し、実効性を確認していきます。

期間としては、約3~6か月程度かかります。運用フェーズも含め、実際の業務での定着を確認するために、それなりの期間を要します。

内部監査

QMSの運用状況を確認するため、内部監査を実施します。内部監査では、第三者的な視点から業務プロセスがISO9001の要求事項を満たしているか、また基本方針に沿った運用が行われているかを評価します。

内部監査の結果をもとに、問題点の洗い出しや改善措置の実施を行い、システムの精度を高めます。

監査員の育成などの準備・監査当日・監査後のフィードバック・必要な是正措置などをすべて含めると、3ヶ月程度かかります。

ISO9001の内部監査について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

認証取得審査

内部監査の結果が満足いくものであれば、いよいよ認証取得審査です。審査は、一般的に「文書審査」と「現地審査」の2段階で行われます。

文書審査では、作成したQMSの文書がISO9001の規格要求事項に準拠しているか確認します。次に現地審査では、現場での業務実態やQMSの運用状況を審査し、全ての要求事項を満たしていると認められた場合、ISO9001の認証が付与されます。

審査の申請から実際に認証が発行されるまでの期間だと、2~3ヶ月かかります。

ご紹介したように、認証取得には膨大な工数が発生し、取得時特有の課題やお悩みに直面することもあります。現場改善ラボでは、ISO9001認証取得時に抱えるような課題について、専門家がQ&A形式で解説する動画を無料で公開中です。

以下の画像をクリックして、ぜひ解説動画もご活用ください。


ISO専門家が解説!『ISO9001がしっかりわかる相談会』 (1)

企業がISO9001をやめる理由は?

ISO9001を始める前に考慮に入れておくと良いのが、ISO9001をやめた企業がどのような理由でやめたのか、でしょう。それらの理由を知ることで、ISO9001の認証を取得・維持する際の課題を把握できるからです。

ここでは、主なケースとして以下をご紹介します。

予想以上に費用や手間がかかる

前述したようにISO9001認証の取得・維持にはかなり高額な費用が発生します。

もちろんどの事業者も認証を取得する前にあらかじめ、いくらぐらい費用がかかるのかを試算するかと思いますが、認証の取得・維持の過程で当初の試算にない費用が追加されることもあるでしょう。

またお金の面だけでなく、書類の管理や更新の手続きなどの運用面における手間も、実際にやってみて初めて「思ったより大変だな」とわかることがあります。

このように「予想以上に費用や手間がかかる」ということで、ISO9001をやめてしまうケースがあります。

マネジメントシステムが安定化した

ISO9001の認証取得の目的を「品質の向上」と設定していた企業に見られるケースです。

認証取得のプロセスを経る中で、品質を担保するための仕組みが出来上がってしまうと、ISO9001認証は単なる”称号”でしかありません。

ただの”称号”を得るためだけに年間100万円以上もの大金を払うのは、確かに割に合わないと感じるでしょう。

取引先の変化

ISO9001の認証を要求してくる取り引き先との取引が終了し、ISO9001認証が必要なくなったことで、維持を中断してしまうケースです。

たとえば、海外展開施策の際に取引先からISO9001認証を要求されていたが、海外展開をやめて取引が国内事業者間だけになったときなどが考えられるでしょう。

管理責任者の離職

ISO9001の取得・維持に関することを1人で全部行っていた方が離職してしまった後、後任がいないことによって中断されるケースです。比較的小規模な事業者でよく見られます。

このようにしてみると、ISO9001の認証取得・維持において、課題となっているのは「費用や手間」だとわかります。

「マネジメントシステムが安定した」と「取引先の変化」に関しては、必要がなくなったからやめたのであって、課題があったわけではありません。また、「管理責任者の離職」は確かに課題ではありますが、人の離職はある種防ぎようのないことなので、致し方ありません。

では、「費用や手間」を減らす手立ては存在するのでしょうか?次章で詳しく見ていきます。

ISO9001の認証取得コストを削減するには?

前章で説明したように、ISO9001の主な課題は「費用や手間」です。

ここでは、ISO9001の認証取得・維持におけるコストを削減するための方法について、以下を解説していきます。

  • ISO9001の認証取得を自力で行う
  • 文書をペーパーレス化して運用する

ISO9001の認証取得を自力で行う

前述の「マネジメントシステムの構築費用」でも軽く触れたように、ISO9001の認証取得は自力で行った方が安く済む可能性が高いです。外部のコンサルティング会社に依頼する前にまずは、ISO9001の推進者として適任な人材が社内にいないか検討してみると良いでしょう。

また嬉しいことに、ISO9001は改訂を繰り返すたびに、取得・維持の負担が軽減しています。とくに第3版(2000年)では大幅な改定が行われ、認証取得・維持のハードルはグッと下がりました。実際、最近になって認証を取得した事業者の口から、「思ってたより簡単だった」といった声はよく聞かれるそうです。

このような時代背景もあり、ISO9001認証の自力取得にチャレンジする価値は十分にあると言えるでしょう。たしかに自分たちで一から勉強する大変さはありますが、品質マネジメントの根本的な考えや実践的な方法など、認証取得以外に得られるものが多いのも大きなメリットです。

文書をペーパーレス化して運用する

認証取得を自力で行うことで費用は安く抑えることができますが、トレードオフとして手間が増えてしまいます。手間になる業務としてよく挙げられるのが、「品質マネジメントシステムに関する文書」や「力量管理の文書」などの”文書管理”です。

そこで、文書管理を電子で行います(ペーパーレス化)。電子で行えば、文書がかさばることはありませんし、「どこに何があったか」を確認しやすいので、すぐに必要な書類を探し出すことができます。

「ISO9001の文書でデジタル化しても良いの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょうが、文書管理要件を満たしていれば、ペーパーレスでの管理を行うことは全く問題ありません。実際に、ISO基準は効率性・環境保護を推奨しているため、ペーパーレス化を行うことには肯定的な立場をとっています。

文書のペーパーレス化に関しては以下の記事で詳しく解説しています。

ISO9001文書のペーパーレス化におすすめのツール「tebiki」

文書を電子化するには、ツールの活用が効果的です。

ここでは、ISO9001の文書をペーパーレス化するのに役立つツール「tebiki」をご紹介します。

tebikiには、「デジタル現場帳票tebiki」「動画マニュアルtebiki」の2種類が存在します。ここでは、それぞれのtebikiについて詳しく解説していきます。

毎日の記録を効率的に:デジタル現場帳票tebiki

まず1つ目が、「デジタル現場帳票tebiki」です。「デジタル現場帳票tebiki」は、製造現場における帳票をペーパーレス化するためのツールです。

「紙からExcelへの転記」が要らなくなる

従来の運用では、紙ベースの現場帳票で記録を行い、管理者による承認、Excelへ転記して集計、複雑な関数やマクロでデータ分析という工数が発生します。

本来、データ分析を行い業務改善につなげることが現場帳票の目的である一方、記録や承認、転記で相当な手間が発生し、分析まで着手できていないという声をよく頂きます

「デジタル現場帳票tebiki」なら、スマートフォンやタブレットといった現場の端末上で記録された情報を、リアルタイムで管理者が確認/承認できる状態になります。また自動計算に加え、管理図やパレート図などグラフ機能があるため、確認段階で現場データを瞬時に可視化して分析を行うことが可能です。

不良種類ごとの発生数グラフ

スマートフォンやタブレットでも簡単に記録/操作できる

「デジタル現場帳票tebiki」はパソコンによる操作はもちろんのこと、スマートフォンやタブレットからでもかんたんに帳票の記録や操作を行うことが可能です。

tebiki現場分析ではスマートフォンやタブレットでも簡単に記録/操作できることが分かる図

デジタル上に記録を行うため、従来の紙で起きていた「クセ字による判読しにくさ」が解消できます。

記録では自由記述だけでなく、選択式など任意の帳票設計を行うことが可能です。選択式による記録になることで、製造現場の記録負担を助けることにつながります。

また、従来の紙では難しい写真などの画像の記録も行うことができます。

「デジタル現場帳票tebiki」では、デバイスで撮影した写真をそのまま帳票にアップロードすることが可能です。詳細な現場の情報を集めるという意味でも、写真などの補足情報があることで早期に情報把握することができます。

今回ご紹介した機能や効果以外にも、記録者や管理者の現場帳票運用工数を効率化する機能が多数あります。「デジタル現場帳票tebiki」の詳細な機能やプラン、現場改善につながった実際の事例などは、以下のバナー画像をクリックして資料をご覧ください。


CTAはじめての現場帳票デジタル化

わかりやすい手順書をかんたんに:動画マニュアルtebik

そして2つ目が、「動画マニュアルtebiki」です。「動画マニュアルtebiki」とは、製造現場で使われる作業手順書や作業指示書などの、いわゆる「マニュアル」を動画で作ることができるツールです。

▼動画マニュアル作成ツール「tebiki」紹介動画▼

「動画マニュアルtebiki」でペーパーレス化できる主な文書は、作業手順書です。作業手順書は、ISO9001要求事項4.4.2にある「プロセスの運用を支援するための文書化した情報」に該当します。

作業手順書を「動画マニュアルtebiki」を活用することで作成するメリットをご紹介します。

手順書作成が圧倒的に早くなる

従来のように文章で手順書を作成しようと思うと、手順動作を言葉で表現しないといけないので、かなり時間がかかってしまいます。

「かんたん動画マニュアルtebiki」なら、実際の作業風景を撮影し、かんたんな編集を加えるだけで作成できます。実際に、動画マニュアルを活用することによって手順書の作成工数を1/3にしたという事例も存在します。

手順書がわかりやすいので、実際に”活用”される

ISO9001の審査を突破するだけの文書なら、わかりづらい手順書であっても文書として”残すだけ”で良いですが、どうせ工数をかけるなら、ちゃんと”使われる”手順書にしたいものです。

「動画マニュアルtebiki」で作る手順書は、文章ではなく映像で情報を伝えられるので、紙で作った手順書よりも格段にわかりやすいです。そのため、実際に現場で使われます。

また、仮にISO9001の認証取得を視野から外しても、わかりやすい手順書を動画で作成することには以下のようなメリットがあります。

  • OJT教育を動画を見せることで代替でき、教育工数を削減できる
  • わかりやすいので手順不遵守が起きにくく、事故や品質不良のリスクが軽減される
  • 日本語の理解が難しい外国人労働者に対してもわかりやすく、翻訳などかかる工数が減る

今回ISO9001の認証取得だけではなく、上記のような手順書の課題を抱えているという方は、ぜひ動画マニュアルの活用をご検討ください。


tebiki WP 用 (1)-1

まとめ

本記事ではISO9001の内容や認証取得する流れ、認証取得するメリット・デメリットを解説しました。

これからISO9001の認証を取得するかどうか迷っている方にとっては、費用対効果が検討事項として大きいかと思われますが、正しい目的設定を行えば”効果”は高められます。

また、ISO9001の文書はペーパーレス化することで、認証を取得・維持するうえでの”費用”(手間)も削減可能です。

ISO9001文書のペーパーレス化におすすめなのは、「デジタル現場帳票tebiki」と「動画マニュアルtebiki」です。「デジタル現場帳票tebiki」ではISO9001で必要な日々の記録を、「動画マニュアルtebiki」では作業手順書をデジタル化できます。

また、仮にISO9001の認証取得を目的とせずとも、日々の記録をデジタル化したり、動画の活用によって手順書をわかりやすくすることは、メリットが大きいです。

各サービスの資料は無料でダウンロードできるので、それぞれ以下からご覧ください。

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