かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki」を展開する現場改善ラボ編集部です。
経済産業省が主導しているDX(デジタルトランスフォーメーション)。労働力不足や2025年の崖問題が嘆かれている昨今では、業界や職種を問わずにDXが推進されていますが、製造業は特に遅れを取っているのが現状です。
本記事では、製造業でDXが進まない理由や経済産業省のレポートを基にした進め方、製造業DXに役立つツールを紹介していきます。
なお、製造業DXを成功させるためには様々な要素があるものの、中でも人材育成は無視できない要素です。現場改善ラボでは、人材育成の仕組みについて、専門家が解説する無料の動画を公開しているのでこちらもご覧ください。
目次
製造業におけるDX化とは
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、企業がデジタル技術を活用してビジネスプロセスやビジネスモデルを変革することを指します。製造業DXは、デジタル技術を駆使して、業務プロセスや生産性を向上させる取り組みのことです。
製造業DXの取り組みの一例は以下のようなものがあげられます。
- ビッグデータを活用・分析した需要予測
- 工場内の設備や機械をIoT化
- ITツールの導入による作業の効率化
- デジタルツインの活用
- AIの活用による自動化・製品需要の予想
なお、「DX=デジタル技術の導入」と考えている方も多いですが、デジタル技術の導入はあくまでもDXを達成するための手法の1つであり、目的ではないということを理解しておくのが大切です。
製造業でDXを進める必要性
令和3年に総務省が調査した「情報通信白書」によると、57.2%もの企業でDXに対する取り組みを「実施していない・今後も実施する予定はなし」と回答しています。また、20%の企業は「実施していない・今後は実施を検討」と回答しており、前者と合計すると約8割の企業でDXが実施されていないことがわかります。
少子高齢化による慢性的な労働力不足、技術継承の遅れなど、製造業で発生している問題を鑑みると製造業でのDXは必須事項と言えるでしょう。製造業DXに取り組むことでこれらの課題を解決するだけではなく、新たな製品の開発やあらゆるコストの削減など様々なメリットを得られます。
なお、製造業においてDXは、利益・事業の拡大のために欠かせない要素であるにも関わらず「進捗が悪い」という声が多いです。
以下、無料で視聴できるセミナーでは、製造部門が主導するものづくり DX の基盤となる「設計・製造デジタルリンク&ループ」による改善の手引き、実装する上で必要な寺内育成の仕組み「経験学習モデル」などについて詳しく解説しています。製造業DXに課題を抱えている方はぜひご覧ください。
製造業における攻めのDX(売上向上)・守りのDX(業務効率化)
DXには攻めのDX(売上向上)・守りのDX(業務効率化)という2つの側面があり、製造業DXにも同じことが言えます。
製造業における攻めのDXとは、デジタル・データを活用して、大規模な変革やビジネスモデルの構築などに取り組むのが主となる目的です。Iotシステムの開発・活用によって、設備のメンテナンス計画や異常の検知を実現し、新たなサービス事業を開発するなどが当てはまります。
一方、守りのDXとは、既存の業務プロセスを改善するためにデジタル技術を活用し、業務効率の向上・コスト削減が主となる目的です。AIや自動化設備の導入によって、既存の製造ラインを効率化・省人化するなどが当てはまります。
攻めのDXは成功すれば企業の競争力を大きく伸ばすことができるものの、高度なスキル・知識が必要なため、難易度が高いのが特徴です。逆に守りのDXでは、製造現場の効率化やコスト削減がメインとなるため、小さく進めることができます。そのため、まずは守りのDXから取り組むのが最適な判断と言えるでしょう。
関連記事: 業務効率化のアイデア12選と生産性を高めるやり方を徹底解説!
製造業でDXが進まない理由
DXの必要性を理解できていない
DXは社内の一部の部門だけで進めることはできないため、経営層を含めて全社的に必要性を理解した上で協力しつつ進めていきます。しかし、主に経営層でDXの必要性を理解できておらず、軽視しているのが進まない理由の1つとして挙げられます。
DXを推進することによって「業務負担が増えるのでは?」と否定的な考えを持っている従業員や経営層がいる場合もあるのです。
DX推進部門と経営・その他部門で足並みが揃っていない
社内でDXを推進する部門の担当者と、経営・その他の部門で優先度の認識に相違があり、中々足並みが揃わない場合も少なくありません。
例えば、DXを推進する部門では早急に進めていきたいと考えているのに対し、意思決定をする経営層・実作業をする製造部門で優先していない場合には全社的に推進することは難しいでしょう。
DXを推進する人材が不足している
DXを推進するうえでは、機械設備との互換性やITツールを理解して活用するスキルなど、デジタル技術に精通している人材が必要不可欠です。
しかし、製造業においてはデジタル人材が不足しています。デジタル人材は製造業だけに限らず、市場ニーズが高く新たに獲得するのも非常に難易度が高い傾向があります。また、自社でIT人材を育成するのも教育環境が整っていないケースが多いのが現状です。
デジタル人材の育成をするうえでは、仕組み化が非常に大切です。以下の無料でご覧頂けるセミナーでは、DX人材を育てるための仕組みである「経験学習モデル」について専門家の視点で詳しく解説しています。画像をクリックして、動画を視聴してみてください。
レガシーシステムからの脱却ができない
レガシーシステムとは、オフコンやメインフレーム(汎用機)など、複雑化やブラックボックス化の課題を抱え、柔軟性や機動性が低く最新技術を適用しにくいシステムのことです。経済産業省が公表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」によると、日本企業の約8割がレガシーシステムを抱えています。
何十年も前から使っているシステムを刷新するには、膨大な手間とコストがかかってしまうため、現在に至るまで以前としてレガシーシステムからの脱却ができずにいるのが現状です。
DX推進に対しての投資が少ない
DXを推進するうえではITツールや機器などの導入によって、初期費用/ランニングコストが発生するため、一定の予算が必要です。特に、センサー検知やIoTデバイスなどの導入にはまとまったコストもかかり、従業員に対しての教育や研修のためのコストも掛かります。
これらに対して予算を確保できずに投資できないのもDX推進を阻む壁と言えるでしょう。
製造業DXの進め方【経済産業省から分かりやすく要約】
製造業DXは闇雲に取り組んでも成功は見込めないため、しっかりと長期的な視点を持った上で進めていくのが大切です。ここでは、経済産業省が公開している「デジタルガバナンス・コード 実践の手引き」から、DXの進め方を分かりやすく解説していきます。
DXを推進する目的を整理して、意思決定をする
まずはなぜDXを推進するのか、目的やビジョンを整理して明確化しましょう。DXを推進した後の自社のイメージを明確にしておくことにより、取り組みの優先度や進め方がブレなく決まります。DXを進める目的の一例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 人的コストの削減
- 商品/サービスの価値向上
- 業務効率の向上
なお、業務やビジネスモデルがどの程度までデジタル化されているのが理想なのか、自社の特性や市場環境を踏まえた上で検討するのがポイントです。
関係者のDXに対する意識改革・認識のすり合わせをする
製造業DXは経営層や一部の部署が必要性を理解するだけでは、全社に推進することはできません。認識が揃っていない状態では、従業員ごとの優先度やリソースの調整に相違が生まれてしまい、効率的に進めることが難しくなります。
そのため、DXの目的が明確に定まったら関係する部署や従業員を巻き込み、DXに対しての意識や認識をすり合わせて足並みを揃えるのが大切です。体制を整えるためにも、DX担当の部署を作るのも良いでしょう。担当部署を中心に、全社に情報を展開していけば組織全体の意識も徐々に変化させることができます。
デジタル人材の確保・外部のパートナーと連携する
DXを推進するには専門的なスキルやある程度の経験が必要となるため、組織内に適した人材がいない場合も考えられます。一からデジタル人材を育成するのは難易度が高いことに加え、時間がかかってしまうため、新たに人材を確保することをおすすめします。
しかし、デジタル人材は市場価値が高いため採用することが困難な傾向もあるため、その場合には外部パートナーと連携するのも一つの手です。
製造業DXの基盤とも言える人材育成で悩まれている方は、DX時代における現場の課題やDX人材を育てる「経験学習モデル」などを解説しているセミナーの視聴をおすすめします。以下をクリック頂ければ無料でご視聴頂けます。
スモールスタートでDX推進に取り組む
DXはデジタル技術を駆使してビジネスプロセスや企業の文化なども変革する大掛かりな活動と認識されることもありますが、実際は業務の一部から改善を進めるスモールスタートで始めるのが大切です。
DXをはじめから全社に展開すると影響する規模が大きくなり、推進担当者に負担がかかってしまうのはもちろん、効果的に進まないことも十分に考えられます。このようなリスクを防ぐためにも、身近な業務のデジタル化や既存データの活用などから始めましょう。その過程で、DXの成功体験を積めてノウハウを蓄積でき、次第に組織全体に拡大していくのが理想です。
PDCAサイクルを回して改善を重ねる
PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4つを繰り返すことで継続的な改善を図るフレームワークのことです。DXとPDCAサイクルは密接に関係しており、両者を組み合わせることによって、より良い変革が見込めます。
なによりも市場は目まぐるしく変化し、ニーズは数年単位で変わっていきます。そのため、定期的にDX推進のPDCAサイクルを回して改善することによって、長期的な視野でDX推進が成功につながる可能性が高まるのです。
なお、ここまでにご紹介したDXの進め方をサポートするツールとして「tebiki現場分析」「tebiki現場教育」が挙げられます。次の見出しで、2つのツールの特徴や実際に利用している企業の事例などを紹介していきます。
スモールスタートで製造業DXを進められるツール
前章で製造業DXを進めるうえでは、一部の業務や部門からはじめる「スモールスタート」、常に改善を重ねる「PDCAサイクル」が非常に重要です。
本章では、この2つの要素を兼ね備えている製造業DXの第一歩におすすめのツールをご紹介します。今回ご紹介するツール以外にも、製造業DXに役立つツールを網羅的に知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:【24選】製造業で実用的なDXツール一覧!活用事例やDX成功のポイントも解説
製造現場をデータで可視化「tebiki現場分析」
tebiki現場分析は、製造現場で活用する様々な帳票の作成・記録・管理・分析など、現場のデータを簡単に作成、可視化ができるツールです。現場帳票を紙で作成しExcelに転記している現場も多く、非常に非効率な形で作成~管理していたものが、tebiki現場分析の活用でペーパーレス化ができ、DX推進につながります。
tebiki現場分析は、事前に作成したフォーマットに従って項目を記載するだけで帳票を作成できるので、IT製品に慣れていない従業員でも抵抗なく利用することが可能。現場の記録をリアルタイムで把握でき、直感的な操作性でデータの可視化や分析を行えるので、製造現場DXのPDCAを回すことにもつながります。
tebiki現場分析についてより詳しく知りたい方は、搭載されている機能や特徴をまとめた「tebiki現場分析サービス資料」もご覧ください。
製造現場におけるtebiki現場分析の活用事例
製造業におけるtebiki現場分析の活用事例として、共栄工業株式会社の事例を紹介します。
スチール製家具の生産・販売を主力事業としている共栄工業株式会社では、前処理管理表の記録すること自体が目的となっており、記録から改善点を見つけ出して品質を改善するPDCAの特にCAの部分ができていない課題がありました。また、紙に記録した帳票をExcelに転記する作業にも時間がかかっていました。
そこで帳票に関する様々な課題を解決するために、tebiki現場分析を導入。Excelへの転記作業が不要になったことに加え、約6時間かかっていたデータの集計作業もわずか30分まで短縮することに成功し、製造現場のDXを実現しています。
「今後も社内のあらゆる帳票を電子化していきたい」と語る同社のインタビューは以下をご覧ください。
インタビュー記事:1日2時間の集計作業が約1分に。スチール製家具製造の共栄工業のデジタル改革
業務標準化の推進で現場課題を解消「tebiki現場教育」
「tebiki現場教育」は専門的な知識やスキルが不要で、誰でも簡単に動画でマニュアルを作成できる現場教育ツールです。手順書や業務マニュアルを紙で運用するのに比べ、動画にすることで細かいニュアンスを鮮明に伝えることができ、動画の作成も非常に簡単にできます。
作業手順を動画に落とし込み社内に展開することで、現場のボトルネックに対する改善策を現場に浸透させることができます。新たな業務標準として現場のルールを再定義する手段として非常に有効です。
「PDCAサイクルを回して改善を重ねる」の章で説明したAct(改善)の部分に効果的であり、より短いスパンでDXの推進に向けたPDCAのサイクルを回すことができます。
tebiki現場教育をより詳しく知りたい方は「3分で分かる『tebikiサービス資料』」もご覧ください。
製造現場におけるtebiki現場教育の活用事例
大同工業株式会社は、自動車/産業機械/福祉機器などさまざま領域を展開し、2022年には海外11カ国に拠点を持つグローバル企業です。同社では、新人研修にOJT・文書マニュアルで対応しており、トレーナーごとに知識や指導方法にバラつきが生じてしまう課題を抱えていました。
その課題を解決する一環として、tebiki現場教育を導入して部内で推進チームを作る形で推進を強化。文書マニュアルの作成・改訂にこれまで2時間ほどかかっていましたが、導入後は1時間以下で作成が可能になりました。また、新人育成メインで利用していたものの、メンバー同士の意見交換が活発化したことで業務の効率化・最適化も実現しています。
他部署を含めた全社展開に向けて準備を進めている」と語る大同工業株式会社の詳細な取り組み内容は、インタビュー記事「製造業の技術部門の業務を動画で標準化。教育工数を8割削減し、業務の効率化・最適化も実現。」をクリックしてご覧ください。
同社以外にも導入事例が増えている動画マニュアルの活用事例は、以下のガイドブックでも詳細に解説していますので、以下の画像をクリックして資料もご覧ください。
製造業でDXを成功させた企業事例
製造業でDXを成功させた企業事例として、以下の3社を紹介しましょう。
- 旭化成株式会社
- 株式会社ブリヂストン
- 株式会社テック長沢
旭化成株式会社
旭化成株式会社は、経済産業省が東京証券取引所及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)と共同で実施する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」2021年から3年連続の選定されました。
旭化成は、2016年ごろからデジタル技術を活用し、400を超える現場の課題解決を実施しています。「中期経営計画 2024 Be a Trailblazer」でも、DXを経営基盤強化に向けた重要テーマの一つに掲げ、無形資産の価値化や新事業創出などの経営革新を進めている企業です。
旭化成は幅広い分野での多面的なデジタル化への取り組み、DXの定着に向けた人材育成や企業文化の醸成が高く評価されています。旭化成のDX推進は、業界を超えた資源循環プロジェクト「Blue Plastics」や、CO2排出量を可視化するためのCFP算定システムの推進など、具体的な取り組みを実施。製造業におけるDXの良い成功事例と言えるでしょう。
株式会社ブリヂストン
ブリヂストンはデジタル技術を前提として、ビジネスモデルなどを抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化に取り組む企業として、4年連続で「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」に選定されました。
ブリヂストンの具体的な取り組みとしては、公式サイトにて次のように紹介されています。
"評価された取り組みは、タイヤを「創って売る」から、お客様がタイヤを「使う」段階のバリューチェーン全体において、強い「リアル」としての断トツ商品と「デジタル」を組み合わせてお客様の困りごとを解決すると共に、資源生産性向上やCO2削減にも貢献する「循環ビジネスモデル」の確立に向けたものです。"
引用元:デジタルトランスフォーメーションを推進する企業として「DX銘柄2023」に4年連続で選定
さらに、「BASys」というリトレッドタイヤ用デジタルソリューションツールを開発し、製造、品質、在庫などに関する情報を管理し、生産の効率化や品質の向上を実現。また、「Tirematics」というタイヤの空気圧と温度を遠隔モニタリングするデジタルソリューションツールを活用し、タイヤの状態と車両位置情報が確認できることで、迅速なメンテナンスサービスの提供も可能となり、お客様の安全運行と安定稼働に貢献しました。
ブリヂストンは顧客の困りごとを解決し、同時に社会全体の資源生産性向上やCO2削減にも成功しており、製造業におけるDXの成功例と言えるでしょう。
参考元:デジタルトランスフォーメーションを推進する企業として「DX銘柄2023」に4年連続で選定
株式会社テック長沢
株式会社テック長沢は、素形材の切削加工をコア技術とし、自動車、エネルギー、印刷機、半導体、産業用設備など幅広い産業向けに、高品質な加工部品を提供している企業です。
テック長沢のDX推進は、経営者をトップとした部門横断組織によって進められています。DX Visionを掲げ、「マネジメントの改革」「技術力のダントツ向上」を実現し、生産性を向上させ、経営理念の追求に寄与することを目指しました。
ノーコードを使ったWebアプリケーション(自社開発)、製造現場のIoT(自社開発)、基幹システムのカスタマイズ(外部委託)、SaaSの積極活用の4方面から製造現場とマネジメントの社内変革に必要な仕組みを適時導入し、成功をおさめました。
最近では、ノーコードで自社開発したタレントマネジメントシステムに、動画マニュアルを活用した現場教育システム『tebiki』を連携させて、教育訓練のPDCA全てにデジタルを活用した仕組みを構築しています。このようなシステムの活用で、全社的な技術力向上およびベテラン技術者のノウハウを若手に伝える技術伝承に取り組んでいます。
株式会社テック長沢のDX推進、および技術伝承の取り組みについて、その過程を紹介するお役立ち資料も公開しているため、併せてご活用ください。
DXを推進して、現場改善に取り組もう!【まとめ】
他の業界と比較すると製造業ではDXが遅れている傾向があり、人手不足や2025年の崖などの様々な課題を抱える背景を踏まえると早急に進めるべき取り組みです。
しかし、製造業ではDXを阻んでしまう要因があり、中々スムーズに進まないのも事実。まずは、なぜ製造業でDXが進まない理由を理解した上で、自社に適した形でDXを推進するのが良いでしょう。
弊社が提供している「tebiki現場分析」「tebiki現場教育」は、製造業におけるDX推進の一助となる機能を備えています。ぜひDXにお役立てください。