製造業においてマーケティング活動は重要性を増しており、見込み顧客の獲得やビジネス拡大に不可欠な要素となっています。
一方で、製造業向けにマーケティング活動を推進するにあたり、以下のようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
- 展示会以外の手法をやってみたいけど知見がない
- 取り組みやすい手法から始めていきたい
- 一通りの手法は行っていて新たな集客チャネルを開拓したい など
本記事では、製造業向けに有効なマーケティング手法を7つご紹介します。また、製造業のマーケティング活動を成功させている事例についても解説します。製造業界が直面する競争の激化や市場変化に積極的に対応し、ビジネスを成長させるための具体的な施策について、詳しく見ていきましょう。
私たち現場改善ラボでは、製造業に従事する方を中心とした約6万人をターゲットに行えるマーケティング施策のメニューもご用意しています。新たなマーケティング施策をお考えの方は、本記事と併せて媒体資料もご覧ください。
目次
製造業における新規顧客開拓の現状
「売上を拡大していきたい!」と多くの皆さんはお考えのはずです。一方で思い通りに拡大できないというケースも珍しくありません。
まずは、製造業における新規顧客開拓の現状を深掘りし、マーケティング施策について取り組む重要性を解説していきます。
既存顧客への対応で手一杯
製造業では、既存顧客への対応に手一杯であり、新しい顧客を獲得することが難しい状況にあります。
製造業では機械設備のような大型投資を除き、すでに取引のある会社から再度発注を受けて納品するリピート販売のサイクルになるケースが多く、より発注確度が高い既存顧客の対応のほうが優先度が高くなりやすいです。
結果として新規開拓の優先度が上がりにくく、既存顧客対応で手一杯になってしまいます。
既存顧客のリピートを中心とした販促の場合、再発注の依頼がストップした際の失注単価が膨れ上がる恐れもあります。
100%リピートがあるとは限らないため、リスクを潰す意味でもマーケティング施策によって新規開拓を行うことも重要といえるでしょう。
対面営業からオンライン営業へ移行している
2020年~2023年にかけて猛威を振るった新型コロナウイルスの影響によって、当時主流だった訪問販売やセミナーなどオフラインのイベントは制限されていました。
その際、対面営業に変わる手法として台頭したのがオンライン営業です。2024年の現在では対面の営業活動をする機会が戻りましたが、コロナ禍で注目を集めたオンライン営業は、今も選択肢の1つとして定着しています。
オンラインに移行したのは営業活動だけでなく、将来的な見込み顧客の情報収集活動も同様です。見込み顧客は欲しい商品や、解消したい課題の解決方法をオンラインで情報取集し、問い合わせ~購入を行っています。
実際、本メディアを運営する私たちTebikiは製造業向けに営業活動を行っており、後述のオンラインを含むマーケティング施策に取り組み、問い合わせ~受注を拡大しています。
実際に取り組んで成果も出ているからこそ、製造業向けの新規開拓でマーケティング活動はとても重要と考えているのです。
サプライヤー不足の今、早い者勝ち
製品の廃盤、サプライヤー(発注先)を失っているメーカーも少なくありません。サプライヤーを失ってしまうというメーカーは、おそらく早急に次の依頼先を見つけ出したいところ。
「作ってほしいものがあるのに、引き受けてくれるところがいない」という状況ですが、これはまさに新規開拓のチャンスと言えるのではないでしょうか?
そのタイミングで「我々が作りますよ」と営業をかけることができれば、比較的簡単に案件を獲得できることでしょう。
また製造業界の領域では、さまざまな課題の解決を目的とした新製品や新サービスの開発が日々行われています。
課題を抱える見込み顧客に対して「私たちの製品/サービスが効果的ですよ」ということを知ってもらうことこそ、新規顧客開拓に必要なことで、それを実現する手段がマーケティングです。
いち早くマーケティングに取り組めば、絶大な効果が得られるはずでしょう。
製造業でマーケティングを実施すべき理由
ここまでの内容で「マーケティングはやったほうがいいんだろうな」と、イメージをお持ちいただけたでしょうか。
では続いてマーケティングを行うことで、具体的にどのようなメリットが得られるのかを確認していきましょう。
そもそもマーケティングとは何をすること?
マーケティングは、簡単に言えば「商品が効率的に”売れる”ための仕組みづくり」です。
具体的には、顧客の要望を把握するための市場調査や分析、それに基づいた商品企画や開発、そして製品の宣伝広告やプロモーションなどが含まれます。
経営学者ピーター・ドラッカーの有名な言葉に「マーケティングの究極のミッションは、販売せずとも商品が売れるようにすること」とありますが、“売る”ではなく、”売れる”と書いたのはそのためです。
製造業でマーケティングを行うメリット
製造業でマーケティングを行うメリットは以下のとおりです。
販路が拡大し、売上が安定しやすい
1つ目のメリットは、新しい販路を開拓する機会が得られることです。
昔ながらの営業手法といえば飛び込み訪問やテレアポなどが主流ですが、そこから受注できる案件には限りがあります。マーケティングを行えば、従来の手法では接点を持つことができなかった潜在顧客と関われるようになり、新たな案件を獲得することも可能なのです。
また、販路が拡大すれば収益源が増えることになるので売上の安定にも繋がることでしょう。
具体的なマーケティング手法に関しては、後ほど【製造業のマーケティングの具体的な手法】で詳しく解説しています。
1顧客あたりの獲得コストが低くなる
従来の飛び込み営業やテレアポなどの営業手法では、見込み顧客の契約確度の高い/低いを問わず闇雲に営業をかけるため、失注率が高くなりがちです。闇雲な営業活動では、活動に携わる人件費にもムダが生じ、最終的に1受注にかかるあらゆるコストにムリムダムラが生じてしまいます。
しかし、マーケティング活動を行うことで効率的な見込み顧客の創出に加えて、見込み顧客の契約確度をWebサイト上の行動や過去の受注傾向などをもとに、アプローチ優先度を整理できます。
すると、確度の高い順に営業を仕掛けることができるので失注率が下がり、1顧客あたりの獲得コストも下がるというわけです。
製造業のマーケティングを実施する際の手順
ここからは製造業のマーケティングを実施する際の手順について解説していきます。今回ご紹介するのは以下の4つです。
環境分析
マーケティングの最初の段階で重要なのは、企業が所属する業界の内外の環境を調査し、分析することです。
マクロとミクロの情報を収集し、それを解釈して、「自社の強み」や「顧客に対する価値」などを分析していきます。 この段階で使用される主なフレームワークには、以下があります。
・PEST分析
外部のマクロ環境を調査するためのフレームワーク。外部環境とは、「政治」「経済」「社会」「技術」の4つを指します。
・3C分析
外部環境として「顧客」「競合」、内部環境として「自社」を調査するためのフレームワーク。 主観を排除し客観的な事実を集めると同時に、顧客を中心に考えることができます。
・SWOT分析
自社を中心に4つの視点で分析します。この4つの視点は、「強み」「弱み」「機会」「脅威」です。PEST分析や3C分析は情報収集が中心ですが、SWOT分析はその情報をもとに戦略目標を導き出す際に解釈を加えていく重要な役割があります。
ターゲット選定
マーケティングのターゲット選定とは、様々な条件から絞り込みをかけ、自社の商品やサービスを売り込む対象を選ぶプロセスを指します。
特に製造業のようなtoBの商材では認知から購買までのプロセスが長い分、ターゲット選定の段階で誰に売り込むべきなのかを明確にしておかないと、無駄なアプローチが増えてしまう恐れがあります。
絞り込みの条件としては、以下のようなものが一例として挙げられます。
- 業界/業種
- 従業員数
- 平均年齢
- 商材
- 売上高
- 社風
なお、今の段階ですでにある程度の顧客数を抱えているのであれば、既存顧客をセグメントにわけて、どのような属性の顧客に対して売れやすいのかを分析するのが効果的です。
ポジショニング
マーケティングにおけるポジショニングとは、ターゲットを明確に定めた後、自社の商品やサービスを市場でどのような位置に配置し、どのように競合他社との差別化を図るかです。
現代の市場ではものが溢れかえっているため、競合他社と明確な差別化ができていないと、購入してもらうことはおろか、顧客の目に止まることすらありません。
自社の商品やサービスが顧客の手に取られるためには、競合他社と一線を画す独自性を確立する必要があるのです。
マーケティングミックス
いよいよ最後のフェーズです。なぜ「ミックス」なのか気になっているところかと思いますが、ミックスとは、様々なフレームワークやツールを”組み合わせる”(ミックスする)ことを意味しています。
つまりマーケティングミックスとは、これまでに建てた戦略を礎に、様々なフレームワークやツールを組み合わせながら施策を進めていくことなのです。
たとえば、売上が低迷している商品を回復させたいとき、「機能が足りないのではないか?」「広告を打ち出すセグメントを間違えているのではないか?」「価格が間違っているのではないか?」などを複合的に考えます。
これを4P分析と言いますが、長くなってしまうので今回は割愛させていただきます。たとえば価格が間違っているのであれば、価格を最適化ツールを用いながら需要と供給が釣り合う均衡価格を導き出します。
このようにフレームワークとツールを組み合わせて施策を打っていくことで、効果的なマーケティングが実現できるのです。
製造業のマーケティングの具体的な手法
ここでは、以下の製造業のマーケティングの具体的な手法をご紹介します。
本記事をご覧の方の中にはすでに実施している手法もあるかと思いますが、新たなチャネルの開拓としても、ぜひ参考にしてみてください。
私たち現場改善ラボでは、以下の3つの施策に関して広告メニューをご用意しています。
- メルマガ
- セミナー
- カンファレンス
製造業に従事する方を中心に、約6万人を超える会員を抱える現場改善ラボでは、運営元のTebiki株式会社によるマーケティングノウハウを活かしたご支援が可能です。
実績や効果、料金などの詳細については、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
SEO対策
SEO対策は、ウェブサイトを検索結果の上位に表示されやすくなるように改善するプロセスを指します。
たとえば、ねじを販売したい事業者であれば、「ねじ」というキーワードに関してWeb記事を作成し、上位表示を狙います。検索1位になれば、「ねじ」で検索した人がそのページをクリックする確率が高くなり、そこから購入ページに飛ばして商品を買ってもらうことも可能でしょう。
SEO対策のメリットは、上位表示されると比較的購買意欲の高いアクセスを継続的に集められる点です。知りたいこと/実現したいことを自ら検索するわけですから、他の媒体よりも行動が積極的なのです。
ただし、一般的にSEO対策は効果が出るまでに時間がかかる長期的なプロセスとされており、すぐには結果がついてこないのがデメリットです。「今すぐ新しい顧客を獲得しないといけない」などと急を要している方にとっては、他の施策をおすすめします。
広告
広告には大きく分けるとマス広告とネット広告があります。
マス広告はテレビCMや新聞広告など、大衆に向けた広告手法です。そのため、多くの人々に商品やサービスを知ってもらうことが主な目的となります。しかし出稿料金が高額であるため、中小企業などが手が出しにくい面もあります。また、成果を具体的に測定するのも難しい部分があります。
一方、ネット広告はインターネット上で行われる広告活動で、検索エンジン広告やSNS広告などがあります。ターゲットを絞りやすく、効果的にアクションを促すことができる利点があります。さらに、リアルタイムでデータを分析し、効果を見極めることが可能です。
メルマガ
メルマガは、電子メールを送ることで潜在顧客にアプローチしたり、既存顧客と良好な関係を築くことができるマーケティング手法です。
一度メールアドレスメールを獲得すれば、配信停止やブロックされない限り、半永久的にメールで営業し続けることができるので、コストパフォーマンスは非常に高いです。
文面の中で読者の属性やニーズに合ったコンテンツを提供できれば、そこから契約を発生させることも十分可能です。さらに、既存顧客との関係構築という意味でもメルマガは有効で、解約率を下げたり、アップセル/クロスセルの足掛けを作ることも可能なのです。
ただし自社メルマガの場合、メールアドレスを獲得するところが一番の難点です。そのため他の施策でアドレスを獲得しつつ、継続的に接点を作るという位置づけで運用すると良いでしょう。
メルマガで見込み顧客を獲得したい場合、Webメディアのような外部媒体でメルマガの配信を行うと良いでしょう。製造業の見込み顧客を獲得したい場合は、製造業に従事するユーザーが多いメディアでメルマガ配信を行うようなイメージです。
私たち現場改善ラボでは、製造業に従事する方を中心とした6万人の会員に対し、メルマガ配信することで見込み顧客を獲得できるメニューをご用意しています。
『他のメルマガ配信媒体よりも獲得効率が良い』とご好評の声も頂いており、リピート購入いただくケースも多いメニューです。
実際の実績や費用感を知りたいという方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
セミナー
セミナーは、特定の分野における専門知識の理解を深めるための講習会です。自社の製品やサービス、技術に関する情報などを発表し、顧客との関係を強化したり、知名度を高めることができます。具体的なイメージは、私たちのサイトで公開している「セミナー一覧ページ」をご覧ください。
メリットとしては、確度の高いリードを獲得できる点です。特定のテーマに関して強い関心を持っている人が応募するため、テーマに直接関係のある商品だと売れやすくなるでしょう。
ただし、集客の難しさがデメリットです。
集客には、自社サイトやメルマガ、広告などを駆使する必要がありますが、それらのノウハウがなければ十分な人数を集めきることができません。つまり、セミナーを開催するために、別のマーケティング施策も行う必要があるということなのです。
このデメリットを解消するためには「オンライン形式で開催する」ことや、前述の「外部媒体のメルマガで告知する」手段が効果的です。
『集客力のあるテーマを考えるのが難しい…』『自社だけでは全然集客できない…』という方には、現場改善ラボの協賛セミナーがおすすめです。
- 毎週複数のセミナー開催をしてきたノウハウ
- 会員メルマガによる強力な集客力
これまでの企画/開催ノウハウを活かして、皆さんの新規顧客獲得をセミナーによってご支援が可能です。実際の実績や費用感を知りたいという方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
カンファレンス
カンファレンスとは、簡単に言えば大規模なセミナーです。通常のセミナーよりも多くの人が参加するため、一度に数百件~数千件レベルで多くの見込み顧客を獲得できるというメリットがあります。
ただし、その分集客が大変なのが難点です。
自社単独で開催すると、登壇者の確保や集客といったあらゆるコストで数百万円~数千万円かかるケースも珍しくありません。そのため基本的には、外部媒体が主催するカンファレンスに協賛して参加するケースが一般的でしょう。
私たち現場改善ラボでは、製造業向けに特化したカンファレンスを定期的に開催しています。
- 製造業全般向け:IMPROVE
- 自動車産業向け:Automotive Conference
上記のイベントでは1,000名以上の申込に達し、協賛プランによっては申込者全員を見込み顧客として獲得が可能です。製造業の属性で、一度に多くの見込み顧客を獲得できる施策は限られており、私たちが主催するカンファレンスは効果的な施策の1つといえるでしょう。
今後も、さまざまなテーマによるカンファレンス開催も予定しています。一度に多数獲得したいとお考えの方は、ぜひ一度私たちにご相談ください。
展示会
展示会では、既存顧客に他の自社商品やサービスを紹介する場としても適しています。
製造業の場合、現地現物の考え方もあることから、直接目で見て触れることができる展示会は比較的なじみがあるかもしれません。出展すれば、多くの見込み顧客に出会い、直接コミュニケーションを取ることができます。
通常の営業では1対1の関係が一般的ですが、展示会では一度に多くの人々にアプローチできます。
さらに、実際に商品を手に取ってもらうことで、より直感的に自社製品の良さを理解してもらうことが可能です。
ビジネスマッチングサイト
ビジネスマッチングサイトは、オンライン上で製品・サービスの発注者と受注者を結びつける(マッチングさせる)サービスです。
たとえば、自社製品で今後もっと生産数を増やしたい商品Aがあったします。Aを作るための部品は、B・C・Dですが、Bだけが自社の生産だけだと間に合いません。このようなときに「Bを生産できる人はいませんか?」とオンラインで募集をかけることができるのが、ビジネスマッチングサイトなのです。
費用の発生の仕方に関してですが、多くの場合、受注側が手数料を支払い、発注側は無料で利用できるシステムです。「この部品作ってくれる工場ないかな……」と依頼先を探している方にとっては気軽に使うことができるでしょう。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、見込み顧客が抱える課題の顕在化や、それらの課題を自社製品がどのように解決できるのかを知ってもらうための資料です。
資料は通常、企業名や担当者名、メールアドレス、電話番号などを入力しないとダウンロードできない仕様にします。こうすることで、個人情報を入力してまでその情報を手に入れたいと思っている、意欲の高い見込み顧客を獲得できるのです。
具体的なイメージは、私たちのサイトで公開している「お役立ち資料一覧ページ」をご覧ください。
なお、獲得した顧客情報はストックするだけではもったいないです。架電やメール営業などにも幅広く活用すると良いでしょう。
SNS
SNSを利用したマーケティングは、Facebook、Twitter、Instagram、LINEなどのSNSを通じて情報を発信し、商品やサービスへの理解を促進することで、企業のブランド形象の構築やファン獲得、購買促進などを実現できます。
他の媒体にはないSNSの大きな特徴の1つに、「シェア機能による情報拡散力」があります。この情報拡散力は、企業、商品、サービスの認知拡大や、実際に利用した人からの声や評価の拡散を可能とします。
皆さん一度は”バズる”という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。”バズる”とは、インターネット上で多くの注目を浴びることを表しますが、この”バズり”を生み出す媒体としてよく利用されているのがまさにSNSなのです。
製造業のマーケティング成功事例
ここからは製造業におけるマーケティング成功事例について紹介していきます。
神戸製鋼所
神戸製鋼所は、「素材系事業」「機械系事業」「電力事業」をコア事業としている企業です。
同社はもともとマーケティング活動を行っていたものの、デジタル技術を活用できていないことが大きな課題としてありました。
マーケティング活動の見直しのきっかけとなったのは、コロナ禍の影響やグローバルなビジネス拡大の必要性を感じたこと。
最初から全社的には取り組まず、まずは特定の商材で成功事例を作ってから横展開していく方針でプロジェクトは動き出しました。具体的に行った内容としては、リード獲得→商談→受注までの全体設計と広告運用やコンテンツ作成などの細部の施策です。
結果、KPIとして設定していた有効ホットリード(新規有望顧客数)を達成、さらに定性的なKPIとして設定していた、新規用途探索やデジタルマーケティングのノウハウ蓄積も進みました。
また、過去に接点がなかった領域からの引き合いももらえたそうですが、これは新しい市場の開拓という意味で大きな成功であるといえるでしょう。
参照元:目標を上回る有効リード獲得!神戸製鋼所の挑戦に学ぶ、製造業がデジタルマーケで用途開発&成果を出す秘訣
ハーモ
ハーモは、プラスチック成形品の自動取り出し用ロボットをはじめ、成形機器周辺で必要なさまざまな工程を担う機器の開発、製造、販売を行っている会社です。
もともとはカタログ制作や展示会出展をメインにアナログな手法を取っていましたが、コロナ禍で展示会がバーチャル開催になってしまったのがきっかけで、webマーケティングの必要性を痛感。このような状況から、マーケティングオートメーション(以下、MA)の導入を決断したのです。
同社はコーポレートサイトとは別に、独立したマーケティングサイトをHubSpotで新たに構築することを決定しました。
悩みごとのある顧客がウェブサイトを訪れた際、解決策を見つけてもらえるよう、業種ごとに問題を細分化したり、営業エリアごとの専門知識を考慮しながらコンテンツの作成に取り組みました。
また、顧客とのコミュニケーションを増やすために、毎月1回、必ず課題解決に役立つWebセミナーを実施。Webセミナー後は、その内容をダウンロード資料として活用する流れも整いました。
結果、導入初年度にはドアノック製品として貸し出しを目指していた粒断機のデモ機が10台も売れました。さらに、資料のダウンロード数も200本を超え、Webを通じて獲得した新規見込み客は以前のコーポレートサイトへの年間問い合わせの約3倍に増加しています。
2020年には、Webセミナーを機会に約1,000万円相当の粒断機が売れ、その他の取引を含めると1年間で約3,000万円の売上がありました。
参照元:想定の3倍を超える売上貢献を実現!老舗メーカー・ハーモのHubSpotを使ったWebマーケ実践
製造業におけるto Bマーケティングの難しさ、課題
ここからは、製造業におけるto Bマーケティングの難しさ、課題について解説していきます。ここでは以下の3つを取り上げます。
ニッチな商材だとネットで検索されない
工業向け排水処理製品、外観検査装置、電動工具などの製品は、インターネット検索が少ないため、デジタルマーケティングの効果が制限される傾向にあります。
たとえば、月に3回ほどしかGoogleで検索されない商品で考えてみましょう。仮に検索1位を取ったとしても1カ月に3回、年36回のクリックしか取れず、その中で引き合いをくれる人はどれほどいるでしょうか。
ただし、Webサイトでの見せ方を工夫し、商品を魅力的にアピールできれば、そのわずかな流入から引き合いの可能性を見出すことも不可能ではありません。
高度なマーケティング知識を持っている人材がいない
製造業界ではマーケティング部門を持つ企業がまだ少なく、他の業務を行う傍らマーケティングも担当する、といったやり方が多いのが現状です。
専任で行うわけではないのでマーケティングに携われる時間が少なく、当然、得られるスキルやノウハウも高度なものとは言えません。
マーケティングの専任がいない理由としては、マーケティングの重要性が社内で理解されていなかったり、既存顧客への対応で手一杯であること、などが考えられます。
技術流出の懸念
製造業におけるマーケティングの問題の3つ目は、技術関連の情報漏洩によるリスクが高いということです。
確かに、Web記事やホワイトペーパーに自社の技術を公開すれば、見込み顧客の注意を惹くことができ、新規の受注を獲得することもできるでしょう。
しかし製造業にとって自社の技術力はまさに生命線そのもの。開示した自社の技術が競合他社に真似されてしまっては、自社の存続さえ危ぶまれるでしょう。開示する情報の範囲を、リスクがない、あるいはあっても少ないところに絞るといった対策が有効です。
マーケティングを行うのが難しい場合の対処法
マーケティングを自社で行うのが難しい場合もありますが、その際に対応策は以下の三つになります。
リファラル経由で新規開拓していく
マーケティングは企業にとって非常に重要な活動であり、競争が激しい現代社会においては、新規顧客を獲得するのが難しい場合もあります。そんなとき、リファラルマーケティングは有効な手法となります。
リファラルマーケティングとは、既存の顧客が自らの経験や満足度をもとに新たな顧客を紹介することで、信頼関係を築き、新規開拓を行うマーケティング手法です。この手法は、少ないアクションで良質な見込み顧客を獲得できるので、費用対効果が高いと言われています。
リファラルマーケティングを成功させるためには、まずは顧客満足度を向上させることが不可欠です。顧客が満足していれば、自然と他社にも商品やサービスを紹介したくなるでしょう。
さらに、SNSやブログなどのオンラインプラットフォームを活用して、顧客同士のつながりを促進することも効果的です。
マーケティング支援会社に頼る
自社にマーケティング人材がおらず、かつ人材を雇用する余裕がない場合には、マーケティング支援会社の力を借りるのも一つの手段でしょう。社内での人材採用や育成にかかる時間やコストを節約しながら、マーケティングを実施できるのがメリットです。
反面、当然のことですが、マーケティング支援会社に対価を払わなければなりません。
また、マーケティング支援会社に依頼したからと言って、必ずしも売り上げが伸びるわけではないので、どこに依頼するかは慎重に検討する必要があるでしょう。
比較検討するときは、過去の実績や自社商材との親和性などをもとに判断すると良いと言えます。
既存顧客のアップセル/クロスセルを狙う
アップセルとは、同種の商品でよりグレードの高い商品を購入してもらうことです。
クロスセルとは、すでに購入してくれている商品とは別種のものを追加で購入してもらうことを指します。新たな顧客を獲得するという意味からは外れてしまいますが、売上を向上させるという意味では、アップセル/クロスセルも1つの手法と言えるでしょう。
さらに、既存顧客に対してアップセルやクロスセルを行うことで、顧客満足度も向上させることができます。顧客がより多くの価値を得ることができれば、リピーターとしての定着率も高まり、長期的なビジネスの成長につながるでしょう。
まとめ
マーケティングは、企業が自社の商品を販売する仕組みを整えることを指します。昭和の高度経済成長期においては、製造業者は製品を製造すればすぐに売れたものです。
しかし、今日では品質が高く、他社よりも優位な製品を作っても容易には売れなくなりました。そのため、製造業においては、売れる仕組みを構築するマーケティングが不可欠です。
この記事では、製造業におけるマーケティングの種類や手順についてご紹介しました。成功している企業の取り組み事例も紹介しているので、是非参考にしながら取り組んでみてください。
私たち現場改善ラボでは、製造業向けのマーケティング施策のメニューを複数取り揃えています。製造業界で新たな見込み顧客獲得手段をお探しの方は、ぜひこの機会に私たちにご相談くださいませ。
おまけ:製造業のマーケティングのヒントになる書籍
ここからは製造業のマーケティングのヒントになるような書籍について紹介していきます。
事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践
本書は、ビジネス向けマーケティングの最新動向や成功例を学ぶことができます。著者である栗原氏は、「才流」というマーケティング支援企業の代表を務めており、ブログやSNSを通じた情報発信や多数のセミナー登壇などで活躍するトップマーケターでもあります。
この書籍には、戦略策定に役立つステップ・バイ・ステップのガイドが含まれており、実践可能なアドバイスが満載です。特に、デジタルマーケティング手法に加え、リードナーチャリングやセールスエンゲージメントに関する情報も詳しく解説されています。
さらに、実際に活用された成功事例を通じて、最適なアプローチやベストプラクティスを学ぶことができます。マーケティングの専門家やビジネス関係者、またマーケティングに興味を持つ全ての読者に、本書をおすすめします。
現場のプロが教える!BtoBマーケティングの基礎知識
この書籍は、株式会社ホットリンクの飯高氏や株式会社ラクスの安藤氏、株式会社LEAPTの戸栗氏など、豊富な実務経験を持つマーケティングの専門家による一冊です。BtoBマーケティングの基本的な概念や手法、実際の運用方法に関する情報を分かりやすく解説しています。
特に、ターゲッティング、メッセージ設計、リード獲得、セールス支援などに関する情報が充実しており、それが本書の特長です。内容を体系的に学べるため、初心者でも興味を持って取り組める内容となっています。実践的なアプローチや実際に適用可能なアドバイスが含まれているため、繰り返し参照すると良いでしょう。
参照元:現場のプロが教える!BtoBマーケティングの基礎知識
究極のBtoBマーケティング ABM
本書には、ABM(アカウントベースドマーケティング)を活用したBtoBマーケティングの戦略や実践に関する情報が提供されています。ABMは、企業や組織を特定し、戦略的にアプローチするマーケティング手法です。
この本では、ABMの概念や手法、戦略、実践について詳細に説明されています。また、ABMに必要なツールやデータ分析に関する情報も含まれており、ABMに興味を持っている方や展開を考えている方、成果が得られていない方におすすめの書籍となっています。