衛生管理の重要性がますます高まる中で、HACCPは効果的な衛生管理の手法として注目されています。しかし、導入したものの「どこをどう記録したらいいのか難しい」「従業員にお願いしても記録方法がバラバラ…」と悩みを抱えてはいませんか?
この記事では、HACCPの導入にあたって必ず押さえておきたいポイントから、記録が必要になる文書例、導入時の注意点など実践的なアドバイスをお届けします。無料でダウンロードできる「エクセル記録表テンプレート」もご用意しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
エクセル版HACCP記録表の無料ダウンロード
現場改善ラボのメルマガに登録いただいたら無料でダウンロードできる「HACCP記録表のエクセルテンプレート」を以下の2種類ご用意しました。HACCP導入をして衛生管理を向上させるために、ぜひご活用ください。
重要管理点(CCP)のモニタリング記録表
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改善措置記録表
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職場のパソコンにExcelが入っている方にとっては、Excelでの記録管理が始めやすいでしょう。しかしExcelでの記録は、分析しにくい・モバイル端末で記録が行いにくいなどのデメリットが存在します。(詳しくは後述する『エクセルによる電子化にはこんなデメリットが』をご覧ください。)
こういったデメリットを解消するためには、専用のデジタル記録ツールを活用するのがおすすめです。Excel以外で記録のデジタル化に挑戦したい方は、以下のリンクから「はじめてのデジタル化ガイド」をぜひご覧ください。デジタル化を進める手順やおすすめのツールを詳しく解説しています。
HACCP手順12(原則7)「記録と保存方法の設定」とは
HACCP手順12(原則7)「記録と保存方法の設定」とは、CCP(重要管理点)のモニタリング結果などを記録して、その記録の保存方法を設定する工程です。
「記録」はHACCPを実施した証拠となるため、食品衛生管理において重要なプロセスの1つ。正確に記録を取り、適切に保存しましょう。適切に保存しておけば、もしも製造した食品に問題が生じた場合、衛生管理状況をさかのぼって調べられます。
▼HACCP導入のための7原則12手順▼
HACCPの各手順について詳細に知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
▼関連記事▼
・【例あり】HACCPの危害分析とは?やり方を解説!(分析表エクセル配布)
・【テンプレあり】フローダイアグラムとは?意味や作成方法も
・HACCPのモニタリングとは?検証との違いや設定方法も解説!
HACCP導入で記録が必要な文書例
HACCPの導入にあたり、記録が必要な文書は以下の通りです。
- 重要管理点(CCP)のモニタリング結果
- 改善措置の実施内容と検証結果
- 一般衛生プログラムの取り組み状況 など
一般衛生プログラムで必要な記録の具体例としては、廃棄物の処分記録やトレーニングの記録などが挙げられます。HACCPシステムを変更した際には、その都度記録を取る内容を改訂しましょう。
以下の記事でもHACCPで文書管理すべきものをご紹介しています。より詳しく知りたい方は、併せてご覧ください。
関連記事:HACCPで文書管理すべきものは?効率化の方法・ツールも紹介!
HACCP導入における記録の重要性
HACCP導入における記録の重要性は大きく、具体的に以下のようなポイントが挙げられます。
HACCP導入 / 衛生管理の証拠になる
適切な記録は、単なる衛生管理の証拠に留まらず、法的な規制に対応するための強力な証拠となります。
製造した食品に異物が混入した場合、各関係機関から情報の提出が求められます。その際に、HACCPによる適切な衛生管理が行われている証明として記録の提出が可能です。
日々の記録を通じて課題点や改善点に気づき対策を講じることで、品質向上や消費者への信頼獲得にもつながるでしょう。
問題発生時に原因の究明が行いやすくなる
記録をつけることは、トレーサビリティの確保にも役立ちます。
トレーサビリティとは、「製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」を追跡可能な状態にすることです。製品の生産過程や流通経路を正確に追跡・特定できるので、もし問題が発生した場合、迅速に原因にアクセスできます。
トレーサビリティの確保は、以下のようなメリットも得られると考えられます。
- 「どの段階で問題が発生したのか」や問題になったロットがわかる
- 信頼性が高まるため顧客満足度が向上する
- 問題に対応する時間や手間などコストを抑える など
従業員の衛生意識が向上する
HACCPでは明確な衛生管理計画が策定され、日常的にチェックが行われます。衛生管理計画に基づいた行動を行うことで、従業員の衛生意識が向上し、品質の維持にもつながると考えられます。
従業員の衛生意識を向上させる記録体制として、正しくかつ負担をかけずに記録を取れる「記録の電子化」がおすすめです。現場改善ラボでは、はじめて電子化に取り組む方に向けてのガイドブックもご用意しています。以下のリンクからぜひご覧ください。
HACCPの記録に重要なのは「簡単に記録が取れる」こと
人員が足りていない現場であればあるほど「〇時までに終わらせないと」「ノルマを達成しないと」と焦る気持ちから、記録はないがしろにされてしまいがちです。そのうえ記録が面倒だと、作業開始までの時間が遅れたり、記録が軽視されてしまうでしょう。
そのため、HACCPに関する記録を正しく取り続けるには「簡単であること」が重要です。
簡単であれば、運用の効率化 / 正確性の確保 / 迅速な原因究明につながり、効果的な衛生管理が可能になります。そこで、簡単な記録を実現するために、電子化をおすすめします。
HACCPの記録は電子化がおすすめ
HACCPの記録を電子化することで、記入が効率化できると同時に経費の削減にもつながります。また、過去の情報へのアクセスが容易になるので、調べたい情報をすぐに手に入れることが可能です。
電子化することで得られるそのほかメリットは、以下の通りです。
- リアルタイムでの情報共有が可能になる
- データ分析が行いやすくなる
- セキュリティが向上する
- 紙の劣化リスクを避けられる など
エクセルによる電子化にはこんなデメリットが
エクセルで記録を取っている企業や工場が多いですが、エクセルには以下のようなデメリットがあります。
- モバイル端末で記録が行いにくい
- 情報がリアルタイムで更新されない
- 分析するには一定のスキルが必要
- 画像挿入に手間がかかる など
エクセルでの記録は手軽に始めやすいですが、HACCPの記録を衛生管理により効果的に活用したいのなら、記録や分析を簡単に行えるツールの導入がおすすめです。
記録のデジタル化なら「tebiki現場分析」が使いやすい◎
記録のデジタル化を行うにあたっておすすめしたいのは、「tebiki現場分析」です。tebiki現場分析は、記録帳票の作成 / 記録 / 承認 / 分析が簡単にできるサービスで、画像の記録や、遠隔地での記録閲覧もリアルタイムで可能になります。
tebiki現場分析の機能や料金プランについて詳しく知りたい方は、以下のリンクからサービス資料を無料ダウンロードしてぜひご覧ください。
>>>かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析サービス資料」を見る
以下では、tebiki現場分析の特長を一部ご紹介します。
記録フォーマットが簡単に作成可能
画面の案内に沿って設定を進めるだけで、記録時の入力形式や選択肢の登録、正常値の設定などができ、複雑な計算式やマクロを組み込む必要がありません。また、溜まったデータを簡単に可視化・分析することも可能! データを分析することで、異常を早期発見できます。
モバイル端末でもストレスなく記録が取れる
「スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末では、細かい記録ができないのでは?」と思われる方も少なくないでしょう? 確かに、モバイル端末に最適化されていないExcel形式で入力する際、スマートフォンやタブレットの画面は小さいためスクロールやセル選択が難しく、データを入力する際にミスしやすく時間がかかりがち。
ですがtebiki現場分析は、モバイル端末での記録を前提としたフォーマットのため、ストレスなく記録が取れます。紙やExcelでは面倒な、画像記録も簡単に実現できるのも嬉しいポイントですよね。
異常値アラートにより事故を未然防止
異常発生を検知すると、アラートメールが発信され現場の状況をリアルタイムで把握できます。
日々の記録をクラウド化することで、どこでも瞬時に確認でき、素早い業務指示が可能です。とくに、冷蔵庫や冷凍庫の故障は、食材の全廃棄にもつながる命取りな問題……。ですが、異常値から外れた場合すぐに連絡が行くので、迅速に対処できるでしょう。
その他にも、無料サポート体制や定時記録機能など、充実した機能が盛りだくさんです。tebiki現場分析についてより詳しく知りたい方は、以下からサービス資料をぜひご覧ください。
作業時間が2時間から1分へ!紙の記録をデジタル化した企業事例
食品関連事業者ではありませんが、帳票のデジタル化によって大きな効果を得ている「共栄工業株式会社」の事例をご紹介します。Excelでの記録表運用に課題がある方は、ご参考になるかと思いますのでぜひご覧ください。
▼動画マニュアルtebiki活用事例動画:共栄工業株式会社▼
共栄工業株式会社は、スチール製家具の生産販売を行っている企業です。同社は、高品質な製品を提供するために、検査や点検の記録を残すことが非常に重要であると認識していました。ところが、記録することが目的となっている・分析が後回しになる・作業に膨大な時間がかかるといった課題を抱えていたそうです。
そこで、効果的に記録データの活用をするために、tebiki現場分析を導入。
その結果、作業に時間を取られていたExcelへの転記作業が不要になり、記録の集計作業が「1日2時間から約1分」にまで削減することに成功。さらに、記録した数値は自動でグラフ化されるため、業務改善にも繋がっているとのことです。
「記録・集計・分析の全てで効率改善に繋がっている」と話す、共栄工業株式会社の事例をより詳しく読みたい方は、以下からインタビュー記事をご覧ください。
インタビュー記事:帳票の電子化で2時間/日の集計作業が約1分に。スチール製家具製造の共栄工業のデジタル改革
HACCP導入における記録の注意点
たった1度でも記録をないがしろにしてしまうと、これまでの全ての記録が信頼されず無駄になる可能性があります。もしも、記録表に使いにくさを感じるようであれば、アレンジを加えるなどして使いやすいフォーマットを作成しましょう。
ここでは、HACCPの記録にあたって押さえておきたい以下の注意点を解説します。
予想や記憶による記録はしない
予想や記憶による記録は、客観性や正確性が確保できません。記録は必ず「データ取得時」に行いましょう。
もしも予想や記憶による誤った記録を取った場合、商品に問題が生じても原因究明ができず、取引先や消費者の信用を失うことになります。法的な規制に対応するためにも、毎日適切に記録をつけましょう。
後から改ざんできないようにする
えんぴつやシャープペンシルでの記録は、後から改ざんが可能です。紙で記録を取る場合、信頼性の高い記録を残すためには必ずボールペンを使用しましょう。
間違いがあったときに、消しゴムや修正液を使用するのも厳禁です。間違いがあれば、「二重線で取り消し線を引いて訂正印を押す」などの明確な訂正方法で対応しましょう。
紙の記録などのアナログ形式だと、簡単に修正を行えてしまう / データ化して分析する際に間違った数字が打ち込まれてしまうなどのデメリットが考えられます。
そのため、正確な記録と厳密な保存体制を確立するのなら、記録や分析が行えるツールの導入がおすすめです。おすすめのツールは、前述した『記録のデジタル化なら「tebiki現場分析」が使いやすい◎』をご覧ください。
必要以上の記録は取らない
HACCPの認証を取得している工場の場合、多くの記録を残さなければいけませんが、HACCP導入の場合は、認証取得時ほど詳細な記録を取る必要はありません。必要以上の記録を取ろうとすると、記録に追われて作業に遅れが生じる可能性があるので注意が必要です。
時には記録を簡略化して、適切なバランスで記録を管理しましょう。
▼簡略化の例▼
- 記録表テンプレートを活用する
- 「〇」「×」で記入する
- 「×」の項目内容の選択肢(①~⑤など)を用意しておく
- 担当者のフルネーム記載から苗字のみに記入にする など
記録者 / 記録日時を明記する
記録する担当者は、自分の名前と確認した日付時間を必ず明記し、空白で出すことはないようにしましょう。
名前や日付、時間の記入漏れがあると、問題発生時に情報の追跡が難しくなります。一人ひとりにヒアリングして情報をすり合わせる必要も出てくるので、問題解決に多くの時間を要してしまいます。
HACCPの記録表の保管期間
HACCP記録表の保管期間には明確な規定はありませんが、1年程度の保管が推奨されています。具体的には、以下の通りです。
- 製造に関する記録は、製品の賞味期限の1.5倍
- クレーム対応や従業員教育の記録は、3~5年間
つまり、賞味期限が1年であれば、1年半の保管が推奨されるということになります。
顧客からのクレームに対応する際の原因の究明や、行政の立ち入り、監査への対応のためにも、保管場所や責任者を決めておき、定期的に見直すことが重要です。記録表を適切に保存して、問題解決や法的な規制に対応できる体制を整えましょう。
そもそも「HACCP」とは?
そもそもHACCPとは、以下の単語の頭文字を取った言葉で、食品を製造する工程において、危害の発生を予測し、その危害を防止するための重要管理点を特定して継続的に監視・記録することで、安全な食品を製造するための衛生管理手法です。
- Hazard :危害
- Analysis :分析
- Critical :重要
- Control :管理
- Point :点
HACCPについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:【すぐわかる】HACCP(ハサップ)とは?導入を成功させるおすすめツールも
HACCP未導入だと罰則はある?
2021年6月1日より食品衛生法で制度化されましたが、現時点ではHACCPを導入していないこと自体に対する罰則はありません。
しかし、HACCPが未導入だと、企業イメージが損なわれる・取引先や販売ルートが減少するなどのデメリットが生じる可能性があります。罰則の適用には至らないものの、早めの対応が望ましいでしょう。
罰則対象になる2つのケースも考えられますので、詳しくは以下の記事でご確認ください。
関連記事:HACCP未導入の「罰則」は?やってないとこんな“デメリット”が…
まとめ
HACCP導入で必要な記録や文書は、一般衛生管理計画書 / 重要管理計画実施記録 / 危害要因リストなど多岐にわたります。記録はHACCPを実施した証拠となるため、日々正しく取りましょう。
記録を取る上で重要なのは、「簡単に記録が取れる」ことです。簡単さを実現するためには、記録を電子化すると良いでしょう。しかし、Excelで電子化した場合、記録表フォーマットを一から作る必要があり、作成に時間がかかってしまいます。
「tebiki現場分析」は、画面の案内に沿って設定を進めていくだけで、記録時の入力形式や選択肢の登録、正常値の設定などができ、複雑な計算式やマクロを組み込む必要がありません。tebiki現場分析についてより詳しく知りたい方は、ぜひ以下から資料をダウンロードしてご覧ください。
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