HACCPを導入するためには、従業員に適切な教育を行うことが重要です。しかし「何を教えればいいのか分からない」「従業員がしっかり理解してくれるか不安」「どんなシステムやサービスを活用すればいいのだろうか」と悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、この記事ではHACCP教育のポイントを解説します。教えるべき内容や効果的な教育方法も紹介するので、HACCP導入を検討している方は最後までご覧ください。
現場改善ラボでは、専門家による「HACCPに基づく衛生管理手法」の解説を動画でも無料公開しています。衛生管理手法を定着させるための従業員教育のポイントも解説していますので、以下も併せてご覧ください。
目次
HACCP実施で教育はどう変わる?従来の衛生管理との違い
HACCPを導入することにより、教育内容や指導方法が変わります。
教える必要のある作業項目が増える
従来の衛生教育では、基本的な手洗いや作業場の清掃など、一般的な衛生管理を中心に指導します。しかし、HACCPでは製造工程全体を通じて発生する可能性のある危害要因を特定し、それを防止するための具体的な作業項目を細かく指導する必要があります。
たとえば、温度管理や交差汚染防止のための作業手順、定期的な機器のメンテナンス方法などを丁寧に教えることが必要です。その結果、教育担当者の負担が重くなり、従業員の学習に対する負担も増加する可能性があります。
より徹底した意識改革が必要になる
従来の衛生管理では決められた手順を守ることが求められていましたが、HACCPでは各自が食品安全に対する強い責任感を持つことが重要です。たとえば、異常が発生した場合には迅速に報告し、問題解決に向けた対応を自発的に行う姿勢が求められます。
また、日常的に自分の作業がどのように食品の安全に影響を与えるかを意識し、常に最善の方法を考えて行動することが必要です。そのため、単なる手順の教育にとどまらず、従業員一人ひとりの意識改革を促す教育が不可欠です。
HACCPの従業員教育で教えるべき7つのこと
HACCPの従業員教育で教えるべき内容は、以下の7つです。
衛生管理の重要性
新人やHACCPの重要性を理解していない人に対しては、衛生管理の重要性を伝えることが大切です。消毒や清掃の徹底、適切な温度管理などの基本的な衛生管理を怠ると、製品に微生物や異物が付着して食中毒を引き起こす可能性があります。
また、消費者の健康を危険にさらすだけでなく、企業の信頼が失われるリスクもあります。そのため、衛生管理は全従業員が自発的に取り組むべき重要なルールであることを強調しましょう。
7S活動の内容と重要性
一般的な製造業では5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)が行われていますが、食品製造業ではさらに2つのS(洗浄・殺菌)を加えた7Sの実施が推奨されています。
7S活動を徹底することで作業環境の整備や効率の向上だけでなく、食品の品質や安全性を高めることも可能です。そのため、7Sの内容と重要性を伝え、従業員一人ひとりが清掃時や点検時に適切に行動できるように教育しましょう。
食品製造に欠かせない7Sの詳細や進め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:食品衛生7S「具体例」や「進め方」は?5Sとの違いも解説
個人衛生の重要性と実施方法
製品の安全性を高めるためには、従業員一人ひとりが衛生管理を徹底する必要があるので、個人衛生の重要性や実施方法を教えることも重要です。たとえば、「手洗いを怠ると手に付着した細菌が食品に混入し、食中毒のリスクを高める可能性がある」ということを伝えたうえで、手洗いの方法を教育するなどが良いでしょう。
また、作業着の着用方法を間違えると、髪の毛やゴミが落下して製品に混入するリスクがあります。そのため、HACCP教育では手洗いや作業着の着用など、個人衛生を徹底的に指導することが大切です。
毛髪混入を対策する方法は、以下の記事で詳しく説明しています。
関連記事:食品工場での「髪の毛対策」3原則!効果的に混入防止するには?
体調管理の重要性
従業員の健康状態は製品の安全性に直接影響を与えるため、体調管理は欠かせません。たとえば、下痢や嘔吐の症状がある場合は速やかに上司に報告し、適切な対応をとることが重要です。
従業員が体調不良を隠したまま働くことで、食中毒を引き起こすケースもあるため、体調管理の重要性はもちろん、体調不良時の対処方法や緊急連絡先も伝えましょう。
製造工程の詳細
製造工程の各ステップを詳細に理解することで、どの部分で問題が発生しやすいかを見極められます。たとえば、原材料の受け入れ時に品質や鮮度が落ちることが多い場合、この段階で不良品や鮮度不良がないかを入念にチェックすることで、後の工程での問題発生を防げます。
製造プロセスの詳細を理解していないと、重要なポイントを見逃して製品の安全性を著しく低下させる可能性があるため、自分の工程だけでなく関連する工程についても知識を持ってもらうことが重要です。
危害要因やCCP(重要管理点)の理解
危害要因とは、食品の安全に影響を与える可能性が高い物質や微生物のことです。食材に含まれるアレルゲンや製造過程で発生する細菌などの危害要因を把握することで、新人が業務で適切な行動を取れるようになります。
CCP(重要管理点)とは、危害要因をコントロールするために特に注意すべき工程のことです。
加熱処理や冷蔵保存など、CCPを適切に管理することで危害要因を効果的に抑制し、食品の安全性を確保できます。食品事故を未然に防ぐためにも、従業員に危害要因やCCPの重要性を理解させましょう。
正しい記録方法
HACCPのシステムでは、管理活動を記録し、そのデータをもとに安全性を確認する必要があります。たとえば、温度管理や清掃状況、従業員の健康状態などを正確に記録することでトレーサビリティを確保し、問題が発生した場合に新人が迅速に対応できます。
記録を定期的に見直して必要に応じて改善を行う必要もあるため、従業員に正しい記録方法を教えましょう。
HACCPの正しい記録方法は、以下の記事で詳しくご紹介しています。記録表のテンプレートも無料でダウンロードできますので、こちらも併せてご覧ください。
関連記事:【テンプレあり】HACCPで必要な「記録」の取り方は?保管期間も解説
HACCPの従業員教育を効果的に実施するためのポイント
食品衛生は1人のミスが大きな事故につながるため、従業員全員が衛生管理に関して十分に理解しておくことが重要です。そのため、HACCPに関する従業員教育を実施する際は、理解度のバラつきをなくすため、以下のポイントを押さえておきましょう。
定期的にテストを実施する
定期的にテストを実施し、従業員一人ひとりがどれだけHACCPの知識を理解しているかを確認することで、教育の問題点を把握できます。たとえば、毎月全従業員に対してHACCPに関するテストを実施し、結果にもとづいて個別面談や追加の研修を行うことで、従業員の理解度を常に高いレベルに保てます。
また、テストの結果をフィードバックし、従業員が自分の理解度を把握できるようにすることで、学習意欲を向上させることが可能です。
衛生標準作業手順書(SSOP)を整備する
衛生標準作業手順書(SSOP)は、具体的な衛生管理の手順を明確に示し、従業員が日々の業務で正しく実行できるようにするための手順書です。手順書を整備することで、従業員全員が同じ基準で作業を行えるようになり、食品の安全性や品質を高められます。
ですが、手順書作成で大きな課題となっているのが工数の大きさですよね。日々の生産目標を達成するのに精一杯で、手順書作成に割けるリソースがないという声は、食品製造業でよく聞かれます。
手順書作成が上手くいっている事業者が活用している手段の1つが、動画マニュアルです。実際に、動画マニュアルを活用することで、手順書作成の工数を1/3に削減した事例もあります。動画マニュアルの詳細なメリットは、後述する『効果的な従業員教育には、動画マニュアルの活用が有効!』で解説していますのでぜひご覧ください。
母国語で理解できる環境を整える
外国人労働者がいる場合は、母国語で業務内容を理解できるような環境を整備してあげましょう。たとえば、手順書をそれぞれの母国語に翻訳するなどです。
日本語に苦手意識がある方にとっては、自分が普段使っている言葉で読めた方が、理解度が高くなります。その結果、作業手順の不遵守や品質のバラつき軽減につながるでしょう。
効果的な従業員教育には、動画マニュアルの活用が有効!
直前でも少し解説したとおり、効果的な従業員教育には動画マニュアルが有効です。ここでは、動画マニュアルの活用によって、なぜ従業員教育が効率化されるのかをさらに深掘って解説していきます。
主な理由は、以下の5つです。
動作を伴う情報を伝えやすい
文章や写真だけでは伝わりにくい細かな動作や手順を動画で見せることで、効率よく業務を覚えられます。たとえば、衛生的手洗いのやり方を教える場合、テキストだけでは表現しづらい手の動きを動画で示すことで、従業員がより早く正確に習得できます。
また、動画は何度でも繰り返し視聴できるため、不安な箇所を重点的に視聴することで効率よく学習を進めることが可能です。
言葉の壁による制限を受けにくい
文章ベースの手順書では言語を理解している必要がありますが、動画は視覚的な情報が中心のため、言葉がわからなくても理解しやすいです。たとえば、多国籍の従業員がいる職場では、言語の違いから手順書の理解度に差が生じることがあります。
しかし、動画であれば動作や手順を目で見て確認できるため、言語の壁を感じることなく業務を遂行可能です。また、矢印や丸で動画内の重要なポイントを強調することで、従業員の理解度を向上させられます。
OJTの回数を減らせる
新人教育において現場での指導は重要ですが、動画マニュアルを用いることで、事前に基礎知識や基本的な手順を学習させることが可能です。たとえば、工場での新入社員の教育では、現場に入る前に動画で基本的な作業手順や安全注意事項を学ばせることで、OJTの時間を短縮できます。
また、OJTにかける時間を減らすことで、現場の担当者が他の業務に専念できる時間が増え、生産性の向上が期待できます。
マニュアル作成にかかるコストを削減できる
従来の紙の手順書では印刷費や配布コストがかかる上に、頻繁に更新が必要な場合には何度も追加のコストが発生します。しかし、動画マニュアルは一度作成すればデータで共有でき、更新も簡単に行えるため、印刷費や配布コストを削減することが可能です。
また、紙の手順書でわかりやすさを追求するためには図や写真を多用する必要がありますが、動画であればOJTを撮影するだけでわかりやすいマニュアルを作成できます。
管理や保管が簡単
紙の手順書は場所を取り、整理や保管に手間がかかります。しかし、動画マニュアルはクラウドストレージや社内サーバーにデジタルデータとして保存できるため、物理的なスペースを取りません。
また、データの場合はキーワードで検索することで、必要なマニュアルをすぐに閲覧できるため、紙マニュアルを一枚一枚めくって探す手間を省けます。
動画マニュアルのメリットについて、さらに詳しく解説した資料を以下にご用意しています。動画マニュアルの活用によって具体的にどれくらい効果があるのかチェックしたい方は、ぜひご覧ください。
HACCPの従業員教育は動画マニュアルtebikiで効率化
HACCPの従業員教育を効果的に行いたい方は、動画マニュアル「tebiki」を活用するのがおすすめです。
動画マニュアルtebikiとは
tebikiは、動画マニュアルの作成から従業員の習熟度管理まで行えるクラウド型のツールです。伝わりにくいカンコツを可視化させることで、OJTの効率化や業務標準化を進め、技術伝承を実現します。
▼動画マニュアル作成ツール「tebiki」紹介動画▼
tebikiがHACCP教育におすすめな理由
tebikiがHACCP教育におすすめな理由は、以下の4つです。
誰でも簡単に動画マニュアルを作成できる
tebikiを活用すると、スマートフォンでOJTを撮影するだけで動画マニュアルを作成できるため、パソコン操作に不慣れな方でもすぐに使いこなせます。また、動画内に図形を挿入して正しい手順や注意点を強調できるので、HACCPのような専門的な知識もわかりやすく伝えられます。
テスト機能で理解度を測れる
tebikiには従業員の理解度を測るための「テスト機能」が搭載されているため、しっかりと内容を理解し、実践できるレベルになっているかを確認できます。テスト回答の自動採点により教育効果を検証できるため、結果をもとに教育内容や学習頻度を調整することが可能です。
100ヶ国語以上の自動翻訳に対応
tebikiは動画の字幕やタイトル、文書マニュアルを100ヶ国語以上に自動翻訳する機能を搭載しているため、外国籍の従業員にも正確に業務内容を伝えることが可能です。また、英語や中国語などの計15言語で字幕を読み上げられるため、母国語で説明を聞きながら正確に業務を遂行できるようになります。
半永久的に続く手厚いサポート
tebikiを導入する際には、目標設定やプロジェクトチームの組み方など、導入成功までの体制作りと推進計画を支援しています。導入後も2週間に1回の定例ミーティングで、運用状況に合わせてサポートしているため、特別な知識がなくてもスムーズに導入することが可能です。
さらに、Web会議やメール、電話といったさまざまな方法でご相談やトラブルにも迅速に対応しているので、業務内容や教育体制が変わった場合でも安心して利用を続けられます。
tebikiの機能やメリットについて、より詳細な情報については以下の資料よりご覧いただけます。HACCP教育を効率化したい方は、ぜひダウンロードしてみてください。
tebikiが衛生教育を効率化した事例
tebikiが衛生教育を効率化した事例を3つ紹介します。
より多くの事例については、以下の資料に掲載しております。ぜひダウンロードして、tebikiの具体的な活用イメージをご覧ください。
株式会社大商金山牧場
食肉の生産から加工・販売までを行っている株式会社大商金山牧場では、FSSC22000取得拠点とそれ以外の拠点で衛生管理教育に大きなバラツキがあるという問題を抱えていました。そこで、全拠点で衛生管理教育の内容を統一するためにtebikiを導入し、品質保証室が食品安全マネジメントシステムの教育内容をもとに新人教育マニュアルを作成することに。
その結果、新人教育の質が向上し、会社全体の衛生教育レベルの底上げにつながりました。また、付きっきりで説明することがなくなり、OJTの教育工数を5割程度削減することに成功しました。
株式会社大商金山牧場の導入事例をより詳細に知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
インタビュー記事:衛生管理教育を徹底し、食肉の安全性を確実なものとするために動画マニュアルを活用!
ロイヤル株式会社
▼動画マニュアルtebiki活用事例動画:ロイヤル株式会社▼
ロイヤルグループ向けの袋入りレストラン用商品や機内食を製造しているロイヤル株式会社では、繁忙期に1日50名以上の新人受け入れ教育を行う必要があり、その負担が大きいという問題を抱えていました。そこで、新人受け入れ教育を効率化するためにtebikiを導入し、動画マニュアルを作成することに。
その結果、新人に同じ内容を繰り返し教える必要がなくなり、教育者の負担を大幅に軽減することに成功しました。また、動画を活用することで業務の属人化を解消し、教育担当者の突発的な休みにも対応できるようになりました。
ロイヤル株式会社の導入事例をより詳細に知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
インタビュー記事:1日最大50名勤務する短期バイトの方々への入場教育を動画マニュアルに置き換え、教育工数をほぼ0に削減!
イセ食品株式会社
鶏卵の製造を行っているイセ食品株式会社では、外国籍の従業員が多く、大事なことがうまく伝わらないという問題を抱えていました。そこで、従業員の理解度を向上させるためにtebikiを導入し、自動翻訳機能を活用しながら3ヶ月で現場作業の動画を200本以上作成することに。
その結果、外国籍の従業員がスムーズに業務内容を理解できるようになり、短期間で現場に入れるようになりました。また、動画を使うことで教育の効率が大幅に向上し、座学の時間を3日から2日に短縮することに成功しました。
イセ食品株式会社の導入事例をより詳細に知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
インタビュー記事:導入3ヶ月で動画200本作成。製造現場の作業標準化と多能工化を推進しています。
まとめ
この記事では、HACCP教育のポイントや従業員に教えるべき内容を解説しました。HACCP教育を適切に行うことで、従業員が衛生管理の重要性を理解し、より安全な製品を製造できるようになります。そのため、製品の品質を向上させたい方は、この記事の内容を参考にしながらHACCPを導入してみてください。
効率よくHACCP教育を行いたい方は、動画マニュアル「tebiki」を活用するのがおすすめです。スマートフォンでOJTの内容を撮影するだけで動画マニュアルを作成でき、100ヶ国語以上に対応した自動翻訳機能が搭載されているため、忙しい職場や外国人労働者が多い職場でもスムーズに運用を開始できます。
さらに、動画マニュアルのアクセス状況や習熟度を見える化できるので、従業員一人ひとりに合った教育を進められます。動画マニュアル「tebiki」の資料は、以下の画像から無料でダウンロード可能ですので、ぜひ詳細をチェックしてみてください。