現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 食品工場における生産管理とは?仕事内容や効率化のポイントを解説

かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」を展開する現場改善ラボ編集部です。

近年、昆虫の混入や食中毒事件が相次いで話題となり、これまで以上に徹底した生産管理が求められています。しかし現場では、在庫の過不足や製造ラインのトラブル、品質チェックの遅れなど、数多くの課題が発生しがちです。

そこで本記事では、食品工場における生産管理から実際のトラブル事例、生産管理を効率化するポイントまで詳しく解説します。

現場改善ラボでは、専門家による「食品の衛生管理手法」の解説動画を無料公開しています。安全で効率的な食品生産のポイントを知りたい方は、以下からぜひご視聴ください。


食品事故ゼロ!HACCPに基づく安心安全な衛生管理手法

食品の生産管理とは?仕事内容も解説

食品の生産管理とは、食品製造から出荷までの過程で、「安全かつ高品質な製品を効率的に生産するための管理業務」を指します。生産管理の目的は、「品質・原価・納期(QCD)」の最適化を図り、企業の利益向上につなげることです。

生産管理が適切に行われない場合、品質のばらつきや不良品の発生、生産効率の低下といったトラブルが発生する可能性があります。

食品製造現場における生産管理の具体例

やりがいはあるものの、きつい…」と言われがちな食品工場での生産管理について、具体的な仕事内容を解説します。

具体的な仕事内容
生産計画の立案製造数や納期の計画を立てる
繁忙期や季節に合わせたスケジュール調整
原材料の管理原材料の入荷、保管、使用期限を管理する
賞味期限の古いものを優先的に使用し廃棄を防ぐ
生産工程の管理稼働状況やボトルネックのチェックをする
従業員の配置や設備の稼働率を最適化する
品質管理食品の安全性に直結する温度管理、異物混入防止策の実施、製品の衛生状態や規格適合性を確認する
トラブルへの対応機械の故障や停止に備えた体制を構築する
リスクを想定した計画を立てる
在庫管理過剰や不足を防ぎ、適正在庫に保つ

これらの管理業務を適切に実施することで、トラブルを未然に防ぎつつ業務を効率化し、食品の安全性を確保します。

生産管理を効率化するためには、「記録の電子化」がおすすめです。電子化によって、記録のミスの削減 / リアルタイムでの異常値把握などが可能になります。現場改善ラボでは、はじめて電子化に取り組む方に向けてのガイドブックもご用意しています。以下からぜひご覧ください。

「在庫管理」「工程管理」「品質管理」との違い

食品工場において「在庫管理」「工程管理」「品質管理」は、すべて生産管理の要素の1つです。それぞれの役割は異なるため、具体的にその違いを解説します。

生産管理
目的「品質・原価・納期(QCD)」を最適化し、企業の利益向上を図る
役割生産計画から監督まで、食品工場の統括的な管理を行う
範囲原材料の調達から製造、出荷などすべての過程
工程管理
目的製造工程を最適化し、生産ラインの効率化を目指す
役割予定通りの数や納期、状態で製品を完成させる
範囲各工程の進捗状況、機械設備の稼働率、従業員の配置調整など

生産管理と工程管理の違いは、その範囲にあります。生産管理は原材料の調達からトラブル対応まで広範な管理を指すのに対し、工程管理は製造工程に特化した管理を行う点が特徴です。

在庫管理
目的過剰在庫や不足によるトラブルを防ぐ
役割原材料や製造した商品の在庫を適切に管理する
範囲保管エリアの在庫、使用期限やロット番号の管理など

生産管理が工場全体を総括する広い概念であるのに対し、在庫管理は原材料や製品の適正な数量と品質を維持することに特化した管理を指します。

品質管理
目的消費者に安全で信頼のおける商品を提供する
役割製品や製造過程が基準に適合しているかを確認する
範囲異物混入防止、温度や湿度の管理など

生産管理と品質管理の違いは、生産管理が統括的な管理であるのに対し、特に製品の安全と信頼を確保するための管理のことを言います。

まとめると、「在庫管理」「工程管理」「品質管理」はそれぞれ独立した業務のようでいて、実はすべて生産管理の業務の1つなのです。

食品製造業における生産管理のトラブル事例

近年、SNSの普及により、食品製造業におけるトラブルが瞬時に拡散・炎上し、企業のブランド価値を大幅に低下させる原因となっています。

ここでは、生産管理が不適切だったために発生したトラブルの事例をご紹介します。生産管理の1つ「品質管理」の事例を中心にまとめました。

SNS上で「デスマフィン」と呼ばれ炎上…閉業へ(2023年)

2023年11月11日・12日に東京で開催されたイベントで販売されたマフィンを食べた数十名が、食中毒の症状を訴える事故が発生。保健所による立ち入り調査で「食中毒の原因菌は発見されなかった」とされ、行政処分は見送られました。

しかし、このマフィンは「デスマフィン」と呼ばれ、写真とともにSNSで拡散。大炎上し、多くの非難を浴びました。2024年11月現在、販売元のお店は閉店しています。

丸亀製麺のシェイクうどんにカエル混入(2023年)

2023年5月22日、人気うどんチェーン店「丸亀製麺」の新商品「丸亀シェイクうどん」にカエルが混入していたという内容がSNSで話題となりました。丸亀製麺は翌23日、公式サイトで謝罪し、立ち入り検査を実施すると報告。

さらに25日には、当該工場への立ち入り検査が完了し、対象商品の販売を当面中止すると発表。これにより炎上は沈静化しました。

こうした異物混入の事例や対策をより詳しく知りたい方は、こちらの記事か、以下から専門家解説による無料動画をぜひご覧ください。

シャトレーゼの菓子にカメムシ混入(2024年)

2024年10月4日、人気菓子チェーン「シャトレーゼ」の商品「揚げ餅 焼きとうもろこし(小袋)」にカメムシの混入が見つかり、対応のずさんさからSNSで炎上しました。

報道によれば、シャトレーゼ側に対応を求めたものの、3週間返答がなく、報道を受けて初めて製造ラインの停止と防虫対策の徹底が発表。この対応は問題視され、生産管理の重要性が改めて問われる事案となりました。

食品工場で生産管理を効率化するポイント 

食品工場における生産管理を効率化するための、具体的なポイントについて解説します。効率的な運営を目指す現場のヒントとして、ぜひご覧ください。

5S活動で作業のムダを削減する

食品工場における生産管理の効率化には、作業現場でのムダを削減することが重要です。作業のムダは生産性の低下だけでなく、品質のばらつきや安全上のリスクを生みだします。

作業のムダを削減するためには、5S活動という「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾(しつけ)」からなる5項目を実施しましょう。作業環境を整え、ムダを削減します。

5Sの実践的な方法や事例を知りたい方は、以下から5Sコンサルタントによる解説動画をご覧ください。300社以上の企業を指導してきたからこそお伝えできる専門家による解説は必見です。

部門間の連携を強化する

部門間の連携強化により、情報共有がスムーズになり、結果として納期や品質の安定につながります。

たとえば生産スケジュールに変更があった場合、迅速に他部門に共有することで、適切な量の原材料を確保し、事前に十分な人数の人員を配置できます。これにより、余剰在庫や生産遅延を防ぎ、効率的で安定した生産体制の実現が可能です。

部門間の連携を強化するための手段は、次のようになります。

  • 定期的にミーティングを実施する
  • 教育を充実させる
  • 指標を設定する

PDCAサイクルを取り入れる

PDCAサイクルイメージ図

PDCAサイクルとは、課題に対し継続的に改善を促す方法です。計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)、改善(Action)から構成されています。このサイクルを回し続けることで、現場の継続的な改善を可能にし、生産管理の効率化が進みます。

具体例として、生産管理を行う中で「不良品発生率の低減」を目標とした際の、各ステップの取り組みをご紹介します。

計画
Plan
目標と改善策の設定不良品発生率を1%未満に削減する
実行
Do
改善策を実行する基準値を超えた場合にアラームが鳴るシステムを導入
検証
Check
効果を確認する目標である1%未満に達しているかを評価し、現場の声をフィードバックする
改善
Action
改善点を取り入れ、計画を見直す従業員の意識が不足しているため、問題の起こりやすい手順を再教育する

生産管理システムを導入する

生産管理システムとは、生産プロセスをデジタル化して管理するシステムのことです。このシステムにより、生産計画の立案、原材料の調達、生産ラインの稼働、品質管理など複雑に絡み合った業務を1か所にまとめて管理することが可能です。品質の安定化や納期の遵守、生産管理を大幅に効率化します。

生産管理システムについては以下の記事で詳しく解説しているので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

検査項目帳簿をデジタル化する

検査項目の帳簿をデジタル化すると、以下のような多方面でメリットが得られます。

  • リアルタイムでのデータ収集 / 可視化によりトラブルへの早期対応が可能
  • ヒューマンエラーの削減により情報の精度が向上する
  • 帳簿保管コストが削減する
  • 帳票が破損 / 紛失するリスクが低減す
  • 監査や報告書作成がスムーズになる

生産効率の向上だけではなく、品質管理の精度向上にもつながるデジタル化。食品工場の生産管理をレベルアップさせ、より効果的な品質管理を実現するために重要なステップです。

記録のデジタル化に挑戦したいという方は、以下のリンクから「はじめてのデジタル化ガイド」をぜひご覧ください。デジタル化を進める手順とポイントなどを図解つきで詳しく解説しています。

食品生産管理におすすめのシステム

食品工場の複雑な生産管理を「かんたん」にするシステムとしておすすめなのがデジタル帳票ツール「tebiki」です。

tebiki現場分析

デジタル帳票ツール「tebiki」は、現場帳票の作成、記録、管理、分析が誰でも「かんたん」にできるように開発されたツールです。モバイル端末向けに工夫されたフォーマットで、誰でもスムーズに記録ができ、現場での操作がストレスなく行えます。

ここでは、デジタル帳票ツール「tebiki」の詳しい機能をご紹介します。

詳細な機能や料金プランをPDF形式の資料でチェックしたい方は、以下のサービス紹介資料をぜひご確認ください。

デジタル帳票ツール「tebiki」なら記録がかんたん◎

tebikiなら、画面の案内に従って操作するだけで、入力形式や選択肢を簡単に登録でき、スピーディーに帳票を作成できます。

食品製造業界では、データの正確性が非常に重要です。デジタル帳票ツール「tebiki」では、記録が従業員によって修正された場合でも、その履歴を保存する機能が搭載されています。これにより、データ改ざんを防止し、信頼性の高いデータを確保できます。

他にも、生産管理を効率化する以下の機能を備えています。

  • 現場状況がリアルタイムでわかる
  • 異常値検知により、異常が発生したらアラートが発信
  • データを分析・可視化できる

紹介しきれなかった魅力的な機能や詳細については、以下の資料に詳しくまとめられています。より詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。


かんたんデジタル現場帳票 tebiki現場分析サービス資料

まとめ

食品の生産管理とは、安全かつ高品質な製品を効率的に生産するための管理業務です。生産管理が適切に行われない場合、品質のばらつきや不良品の発生、生産効率の低下といったトラブルが発生する可能性があります。

生産管理を効率化するためのポイントとして、5S活動、PDCAサイクルの導入、生産管理システムの活用、帳簿のデジタル化、部門間の連携強化が挙げられます。

とくに、検査項目帳簿のデジタル化により、リアルタイムでのデータ収集や可視化が可能となり、トラブルへの迅速な対応が実現できます。

デジタル帳票ツール「tebiki」は現場帳簿の作成、記録、管理、分析を簡単に行えるデジタルツールです。モバイル端末向けに工夫されたフォーマットにより、誰でもスムーズに記録ができるため、現場での操作もストレスなく行えます。デジタル帳票ツール「tebiki」についてさらに詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。


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