現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 フォークリフトの死角はどこ?事故を防止する対策や安全意識向上の秘訣

物流や倉庫に特化した動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を展開する、現場改善ラボ編集部です。

  • 「フォークリフトの死角が具体的にどこに、どのように発生するのか、その危険性を十分に理解できていない」
  • 「従業員の安全意識が低い、または慣れによって形骸化していることに危機感を抱いている」

このようにお考えのフォークリフト作業者や、現場責任者の方もいらっしゃるでしょう。そう思うのも無理はなく、複雑な構造をしているフォークリフトは死角が多い荷役装置です。本記事では、フォークリフトの死角を紹介し、具体的な対策について解説します。

内容はすべて、フォークリフト運転技能講習修了証を所持する、歴15年の現役物流スタッフによって執筆されているため、実務経験者だからこそ分かる死角の位置など、事故防止や安全教育の参考になるはずです。

関連記事:【最新】フォークリフト事故の実態!事例や発生件数・原因について

フォークリフトの死角

厚生労働省「労働災害統計」によると、フォークリフトが起因となる事故による死亡災害事故が全国で年間20〜30件ほど発生しており、死角をはじめとしたフォークリフトの危険なポイントを知り事故防止に努めることが大切です。

フォークリフトには、運転席からは直接見えない代表的な死角は以下の5つです。

前方走行時のマスト/ヘッドガード

フォークリフトの構造上、最も注意すべき死角の一つが、前方にあるマスト(フォークを昇降させる支柱)やヘッドガード(運転者を保護する屋根)のフレーム部分です。

特に荷物を積載していない場合でも、これらの構造物が運転者の視界を遮り、歩行者や障害物を見落とす原因となります。

運転者は常に首を動かしたり、身体を倒して覗き込んだりして、マストやヘッドガードによる死角の向こう側も意識的に確認しなければなりません。

バランスウェイトの後方部分

カウンターバランス式フォークリフトの場合、車体後部にはバランスウェイト(おもり)が搭載されているため、後進時には車体のすぐ後ろが大きな死角になります

運転席から振り返っても、車体の厚みや構造によって真後ろの下部などは見えにくく、しゃがんでいる人や低い位置にある障害物に気づかないことがあります。特に、大型のフォークリフトになるほど死角が増える傾向にあるため注意が必要です。

バック走行時のリーチフォークリフトの右方向

リーチフォークリフトは、運転者が横向きに座って操作する構造のため、特にバック走行(バッテリー側への走行)時の右後方が大きな死角となりやすい特徴があります

運転席から右後方を確認する際には、自身の体や車体の一部が視界を遮ることが多く、壁際や棚の近くを走行する際に、歩行者や他の車両との接触事故を引き起こすリスクが高まるため注意が必要です。

荷物の物陰

フォークリフトで荷物を運搬する際、積載した荷物そのものが大きな死角を生み出します。特に、かさの高い荷物や幅の広いパレットを運ぶ場合、進行方向の視界が大幅に遮られることがあるでしょう。

このような場合、以下のような形で荷物による死角で事故が発生しないよう、安全を最優先した運転が不可欠です。

  • 誘導員を配置する
  • バック走行で視界を確保する
  • 一度荷物を降ろして周囲を確認する

見通しの悪いコーナー

倉庫内や工場内には、棚や壁、設備の配置によって見通しの悪いコーナー(曲がり角)が多数存在します

これらの場所では、フォークリフトの運転者も歩行者も、互いの接近に気づきにくく、出会い頭の衝突事故が発生しやすい危険箇所です。

特にフォークリフトは急には止まれないため、コーナーの手前では必ず一時停止し、警笛を鳴らしたり、ミラーで確認したりするなど、慎重な安全確認が求められます。床面に「止まれ」の表示をする、カーブミラーを設置するなどの対策も有効です。

パレットラック/ネステナー3段目などの高所

パレットを入れ保管しておくパレットラックやネステナーは、積み重ねて保管でき空間を有効活用できる便利な道具です。

それらを3段重ねると相当な高さとなるため、荷物の乗ったパレットを持ち上げると、上部が死角となり、天井や照明器具への接触のリスクが高くなります。感覚的に高さを測るのが難しければ、誘導員を配置したり、フォークリフトを停車し降車して目視確認したりなどで死角による事故を防止しましょう。

フォークリフトの死角が原因で発生する事故事例

フォークリフトの死角は、時として取り返しのつかない重大な事故を引き起こします。ここでは、実際に発生した事故事例として、厚生労働省「職場のあんぜんサイト:労働災害事例」より3つの事例を紹介します。

バック走行中に後方が死角になり作業者に接触

荷役作業を行っていたフォークリフトが後進走行した時に、後方でトラックの扉を開けようとしていた別の作業者に気づかず、作業員が挟まれ死亡させてしまった事例です。

先述の通り、フォークリフトの後方はバランスウエイトの影響で死角が多いため危険です。死角を理解し、事前に以下のような対策を取る必要があります。

  • フォークリフト誘導員を設置する
  • フォークリフトの作業エリアで別の業務をしない

荷物を高く積んだパレットによって前方が死角になり歩行者に接触

前方の視界をさえぎるほど高く積まれたパレットを前進走行で移動させていた時、前方にいた歩行者に接触し負傷させた事例です。

運転者は、荷物が高く積まれていたため、前方にいる歩行者を視認ができず、歩行者もフォークリフトの接近に気づくのが遅れてしまい衝突してしまいました。荷物が高く積まれたパレットを移動させる際は、以下のような対策をとるべきです。

  • 後進走行する
  • 誘導員を配置する
  • 前方視界が確保できる範囲に留める

旋回時に歩行者が後輪にひかれて転倒

フォークリフトが旋回しようとした際、フォークリフトの近くを歩いていた作業者が、後輪に足を踏まれて転倒し死亡した事例です。フォークリフト運転者は前方の作業に集中しており、側方の死角にいた歩行者への注意が不十分だったため、今回のような労働災害が発生したと考えられます。

今回のような事故に対して講じるべき対策は以下の通りです。

  • 歩行者はフォークリフトの死角に立ち入らない
  • 状況に応じて誘導員を配置する

フォークリフトの死角による事故を防止するための対策

フォークリフトの死角による事故は、適切な対策を講じることで確実に減らすことができます。ここでは、現場ですぐに取り組める具体的な事故防止対策として、以下の8つをご紹介します。

動画でフォークリフトの死角を周知して安全意識を高める

フォークリフトの死角と危険性について作業員に周知する方法として、動画を活用した教育が非常に効果的です。動画を活用することで、「どのような箇所が死角になるのか」「死角を把握していない状態で操作するとどのようなリスク・事故につながるのか」など、口頭や紙と比べてわかりやすく伝えることができます。

実際に、物流企業「株式会社近鉄コスモス」では、フォークリフト操作におけるNG例や危険作業例を自社で撮影し、動画マニュアルを作成して安全意識の向上に役立てています。

▼フォークリフト操作の禁止事項を解説する動画マニュアル▼

※「tebiki現場教育」で作成しています。

紙のマニュアルでは、死角に関する情報やリスクを表現することが難しく、最終的にはOJT頼みの教育体制になってしまい、担当者やベテラン社員への負担が増加してしまいます。そのため、動画マニュアルのように「1人でも繰り返し安全に対しての意識を高められる仕組みづくり」が非常に有効です。

なお、上記で紹介している動画は、物流業界に特化した動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」で作成されています。物流業界における「tebiki現場教育」を活用した安全教育の取組みについては、以下の資料により詳しく情報がまとまっているのであわせてご覧ください。

>>「物流業の事例から学ぶ!動画マニュアルを使った安全教育の取り組みと成果」を見てみる

KY活動(危険予知活動)を実施する

作業前に潜む死角などの危険要因を予測し、対策を話し合う「KY活動」を習慣化するのも重要な対策の1つです。

筆者が過去勤めていた現場では、朝礼時に指名された作業員がその日の作業における危険なポイントをいくつか挙げ、その業務にたずさわる作業員全員で具体的な対策を考え発表していました。

これにより、1人では気づかなかった点に気づく事ができ、具体的な対策を共有することで、現場全体の安全意識の向上に期待できます。

なお、労働災害の未然防止につなげる4ラウンド法の進め方、各従業員ごとに1人でも実施できるKY活動など、KY活動の理解が深まる元労基長による解説動画も用意しています。以下の画像をクリックして動画をご覧ください。



元労基署長が解説!事故を未然防止するKY活動と4ラウンド法の在り方とは?

歩行帯を設けて、歩行者の通行スペースを確保する

フォークリフトの作業エリアと歩行者通路を明確に分離するため、ラインや色分けで歩行帯を設置するのも有効な手段の1つです。

これにより防ぐことができる事故は、『フォークリフトの死角が原因で発生する事故事例』で紹介したようなフォークリフトと歩行者の接触です。フォークリフトの作業範囲に歩行者が入らないようにすれば、「死角で見えなかった」などの事故を未然に防ぐことができます。

警告灯を照射して作業スペースを確保する

フォークリフトに警告灯(ブルースポットライト等)を装備し、床面に光を照射することで接近を視覚的に警告することが可能です。

特に電気フォークリフトは、エンジン車に比べて動作音が静かで接近に気づかないことがあるため、特に見通しの悪い場所や作業音が大きい環境下で有効です。

ブザーを鳴らしてフォークリフトの接近を周囲に伝える

後進ブザーや警笛を適切に使用し、フォークリフトの存在や動きを周囲に音で知らせるのも有効です。

これにより、他の通路との交差点での出会い頭の接触事故や、十分な確認をせず後進してくる他の車両との接触事故の予防が可能です。先ほどお伝えした『KY活動(危険予知活動)』と組み合わせることで、より大きな効果に期待できます。

5S活動を実施して死角を減らす

通路や作業スペースの整理・整頓を徹底する「5S活動(整理/整頓/清掃/清潔/躾(しつけ)」を実施することで、不要な死角を減らし見通しを良くすることができます。

物流現場における具体的な5S活動としては、以下のような施策があげられます。

  • フォークリフトの作業スペースに余計な物を置かない
  • フォークリフトの上(カウンタウエイト上など)に物を置かない
  • 歩行帯に物を置かない
  • カゴ台車などの搬送機器は移動させて良い場所を決めておく

なお、5S活動をすでに取り組んでいるものの失敗に終わっている企業も多いかと思います。「5S活動が上手く進まない」「何から取り組むべきかわからない」という方は、数々の企業で5S改革を行ってきた専門家のセミナー動画の視聴がおすすめです。下のリンクをクリックして動画をご覧ください。

>>【視聴無料】「生産性を高める5S活動 正しい運用に欠かせない「重要なS」とは」を見てみる

発進前の指差呼称・走行時の目視確認を怠らない

発進・荷役・旋回前には必ず指差し呼称と目視による安全確認を義務付けることで、死角を意識した上でフォークリフト作業に取り組むことができます。

特に後進する際は、ミラーだけでなく目視で確認することで死角を減らすことができ、死角となりやすい箇所は特に意識して確認するのがポイントです。安全意識の向上はもちろん、一呼吸入れることで落ち着いて作業できることもメリットです。

関連記事:【事例あり】指差呼称とは?効果はある?正しいやり方や定着させる教育方法

作業時に誘導員を配置する

視界が悪い作業時や狭い場所での作業など、特に危険性が高い場合は誘導員の配置が効果的です。

誘導員は死角を補い、運転者に的確な指示を与え安全を確保します。例えば、作業計画で狭い範囲で2つ以上の作業を並行して行うとわかっている場合は、誘導員を配置して注意喚起させることが非常に有効です。

フォークリフト作業の安全意識を高めている好事例

ここで、実際にフォークリフト作業の安全教育に動画を活用している事例をご紹介します。

港湾運送事業や内航海運業、貨物利用運送事業、倉庫業、梱包事業、海上運送業などさまざまな物流サービスを提供している株式会社フジトランスコーポレーション

同社では、フォークリフトの安全基準を全拠点で画一化する中で、マニュアル整備やOJT対応などに教育担当者に工数が発生してしまう課題を抱えていました。また、全社的に働き方改革を進めるうえで、引き継ぐ、問い合わせを受けるなど、あらゆる部分で業務負荷が発生していたそうです

働き方改革を実現する目的で動画マニュアルを導入し、業務の大幅な効率化も実現に成功。工数を抑えながらより質の高い安全対策を行うことができているそうです。また、倉庫内でのフォークリフト作業を教育する手段として、動画マニュアルを活用し、安全教育のOJT工数を大幅に削減にも成功しています。

同社の事例を詳しく見てみたい方は、以下のインタビュー記事をご覧ください。

>>「働き方改革の手段としてtebikiを活用。複数の部門で工数の効率化を実現!」を見てみる

フォークリフト作業の安全意識の向上に「動画」が有効な理由

フォークリフトの安全教育において「動画」の活用は非常に有効な手段です。危険な作業を動画で直感的に学べるため、どういった操作が危険なのか、どのような事故に発展するのかなどを具体的に理解することができます。

また、フォークリフト作業のベテラン社員の操作方法を様々なアングルで撮影し、動画マニュアルにまとめることで、テキストや口頭では伝わりきらない部分もわかりやすく教育することができるでしょう。物流企業「株式会社近鉄コスモス」では、以下のようにフォークリフトのNG操作を動画マニュアルとして活用しています。

※「tebiki現場教育」で作成しています。

従業員の安全教育に動画が有効な理由については、サンプル動画や具体的な事例をより詳しくまとめている以下の資料も参考にしてみてください。下のリンクをクリックすると資料をご覧頂けます。

>>「製造業・物流業の事例から学ぶ|動画マニュアルを使った安全教育の取り組みと成果」を見てみる

フォークリフトの安全教育には動画マニュアル「tebiki現場教育」がおすすめ

フォークリフトの安全教育に動画を活用したいけれど、「動画作成のノウハウがない」「編集が難しそう」と言った悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?初めて動画マニュアルを作成する方におすすめなのが、物流現場に特化した動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」です。

「tebiki現場教育」には、動画編集経験がない方でもかんたんに動画マニュアル作成が行えるよう、以下のように豊富な機能を搭載しています。

  • スマホで撮影するだけで誰でも動画マニュアルを作成できる
  • スキル習得のための教育コンテンツが体系的に管理・運用できる
  • 教育の進捗状況や習熟度など活用状況を分析できる
  • 現場の作業粒度に即した人材スキルを可視化できる
  • 多言語対応で翻訳の手間を軽減
  • サービスの導入だけでなく、導入から運用計画まで包括的にサポート

フォークリフトの死角による事故防止、現場全体の安全意識向上に向けて「tebiki現場教育」の導入を検討してみたい方は、以下のサービス資料もあわせてご覧ください。下の画像をクリックすると資料をダウンロードできます。


物流業に特化した動画マニュアル作成ツール「tebiki現場きゅ

まとめ|フォークリフトの死角による事故は「動画マニュアル」で対策しよう

本記事では、フォークリフトに潜むさまざまな死角、死角が原因で発生した事故事例、そして具体的な事故防止対策について詳しく解説しました。特に、安全意識の向上と教育の標準化において、「動画マニュアル」の活用は非常に有効です。

「現場の安全レベルをもう一段階引き上げたい」 「動画マニュアルの活用に興味があるけれど、何から始めればいいかわからない」などの悩みを抱えている方は、本記事で紹介した物流業界に特化した動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」の資料をご覧ください。下の画像をクリックすると、資料をダウンロードできます。


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