かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki」とかんたんデジタル現場帳票「デジタル現場帳票tebiki」を展開する現場改善ラボ編集部です。
近年の製造業においては、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進が囁かれていますが、その本当の意味を理解して適切な手法で導入できている企業は少ないのが現状です。
皆様の中には、
「DX/デジタル化ってそもそもどういう意味?」
「製造業におけるDXの具体的な手法を知りたい!」
「製造業でDXが進まない理由は何?」
といった疑問や悩みを抱えている方がいらっしゃるはず。
そこでこの記事では、製造業のDXについて詳しく解説します。まずはDXの基本的な定義から、DXが進まない理由として挙げられる課題点なども紹介します。現場改善を目指す方々は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
現場改善ラボでは、製造業DXを進めるにあたってのビジョンの立て方やDX人材の育成方法について、解説した動画を無料で公開しています。
以下の画像をクリックしてご覧ください。
目次
- 1 製造業におけるDX/デジタル化とは
- 2 製造業におけるDX/デジタル化の具体的な手法
- 3 何が課題?製造業のDX/デジタル化が進まない5つの理由
- 4 進まない理由から考える、製造業DX/デジタル化の進め方
- 5 スモールスタートが可能なおすすめのDX/デジタル化
- 6 現場帳票のデジタル化がもたらすメリット
- 7 現場帳票のデジタル化によってDXが行われた事例
- 8 動画マニュアルを活用したDX/デジタル化がもたらすメリット
- 9 動画マニュアルを活用したDX/デジタル化によって教育が効率化された事例
- 10 製造業の「ペーパーレス化」と「教育の効率化」を実現するツール『tebiki』
- 11 tebikiを利用してDX/デジタル化を推進しよう【まとめ】
- 12 おまけ:製造業のDXや生産性改善に役立つセミナー動画一覧
製造業におけるDX/デジタル化とは
ではまず、製造業におけるDX/デジタル化とは何かを確認していきましょう。具体的な手法について知りたいという方は、本章を飛ばして次章の「製造業におけるDX/デジタル化の具体的な手法」をご覧ください。
DXとはそもそもどのような意味?
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、業務や製品、ビジネスモデルを革新し、競争力を向上させる取り組みです。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念です。ストルターマンは、デジタル技術の普及が社会全体を良い方向に変えると定義しました。
これ以降、企業や産業におけるDXの概念は広がり、単にデジタル技術を導入するだけでなく、組織やビジネスモデル全体の変革を目指す重要な取り組みとして認識されています。DXを推進するときには、「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」のステップも重要です。
ここからは、DXと両者の違いをご紹介します。
Digitization(デジ”タイ”ゼーション)との違い
デジタイゼーションは、既存のアナログデータをデジタル形式に変換することを指します。
たとえば紙の書類をスキャンしてデジタル化する行為がデジタイゼーションに当たります。データの形式を変えるだけのプロセスであり、業務の進め方やビジネスモデルに大きな変革をもたらすものではありません。
DXはデジタイゼーションを含む、より広範な変革です。つまりDXの中にはデジタイゼーションが含まれますが、それ単体ではDXと呼ぶには不十分と言えます。
Digitalization(デジ”タライ”ゼーション)との違い
デジタライゼーションは、デジタル技術を用いて業務プロセスやサービス提供の方法そのものを変革することです。
たとえば紙ベースで行っていた生産管理を、クラウドベースのシステムに移行してリアルタイムでデータ共有を可能にすることがデジタライゼーションに当たります。
デジタライゼーションは、デジタイゼーションよりも範囲の広い取り組みですが、DXよりかは狭いです。
3者の違いを表にまとめると以下のようになります。
目的 | 規模 | |
---|---|---|
DX | 織の文化やビジネスモデルの変革 | 大 |
Digitalization(デジ”タライ”ゼーション) | 業務プロセスやサービス提供方法の変革 | 中 |
Digitization(デジ”タイ”ゼーション) | アナログデータのデジタル変換 | 小 |
デジタル化とは
ここまでの説明では、「DX/デジタル化」と表現してきましたが、DXとデジタル化は厳密には異なる意味です。
デジタル化とは、アナログなものをデジタルに変換することを意味します。前述で解説した、デジ’タイ’ゼーションと同義です。
この記事では両者を包括して説明するために、「DX/デジタル化」のように表現しています。
製造業におけるDX/デジタル化とは
製造業におけるDXとは、デジタル技術を活用し、現場の生産プロセス、サプライチェーンの管理、顧客対応の方法に至るまで幅広い変革を指します。
具体的には、機械の自動化やIoTを活用したスマートファクトリー化、データ解析による品質管理の強化、現場帳票類のペーパーレス化などが含まれます。
製造業におけるDXの目的は、従来の労働に依存する作業から、データにもとづく効率的な生産体制へと移行することです。製造業のDX導入によって、生産効率の向上だけでなく、変化する市場のニーズや顧客の要求にすばやく対応できる柔軟性が生まれます。
製造業におけるDX/デジタル化の具体的な手法
続いて、製造業におけるDXの具体的な手法について見ていきましょう。
ここでは、以下の4つをご紹介します。
機械の導入による人手作業の自動化
生産効率とコスト削減を迅速に実現できるため、機械化による自動化が製造業におけるDXの手法として挙げられます。従来は手作業で行われていた業務を機械に置き換えることで、作業のスピードと正確さが向上します。
具体的には、組み立て作業、検査工程、溶接や塗装などの工程にロボットを導入し、単純で繰り返しが多い作業を人から機械に移行させます。
その結果、人手不足を解消し、生産効率を劇的に向上させることが可能です。また、従業員はより付加価値の高い業務に専念できるようになります。
AIやIoTを活用したスマートファクトリー化
スマートファクトリー化とは、ERPシステム(企業資源計画システム)*1やMES(製造実行システム)*2を生産設備とネットワークでつなげることで、工場の生産効率を向上させる取り組みのことです。
スマートファクトリーでは、AIやIoTによって、生産ラインや工場全体の運営がリアルタイムでデータ収集・分析されます。これによって、問題の早期発見や効率化が進み、無駄な作業やコストの削減、設備の最適化が実現できます。
生産性を向上させる取り組みは多くの工場で行われていますが、スマートファクトリー化がそれらと大きく異なるのは、生産性向上の過程がすべて機械で自動化されている点です。
従来なら、担当者が紙とペンでデータを集計し、それをExcelに転機してから分析するといった流れですが、スマートファクトリーではそれらすべての行程を機械が行ってくれるのです。
*1:企業全体のリソース管理を統合的に行うシステムで、財務、在庫、販売、人事などの業務を一元管理する
*2:生産プロセスのリアルタイム管理や品質管理、スケジューリングなどを行うシステムで、製品の生産進捗やパフォーマンスを最適化する
現場帳票のデジタル化(ペーパーレス化)
現場帳票のデジタル化は数あるDXの中でも比較的簡単に取り組める手法です。たとえば、日々の生産記録を電子データとして取得し、パソコンのファイルに保管するなどが考えられます。
帳票のデジタル化を行うことで、まず帳票の管理と保管が楽になります。
デジタルという仮想的な空間に保管するので、もちろん物理的な場所は取りません。時間が経ったとしても腐食などの心配がなく、長期的な保管にも適しています。
また、デジタルな帳票は共有も円滑に行えます。紙の帳票だと、印刷してから手渡しすることでしか共有できませんでしたが、デジタルな帳票なら印刷の必要はなく、どこからどこへでも共有可能です。
帳票のデジタル化に取り組んでみたいという方は、ぜひ以下の資料をご覧ください。これから初めてデジタル化に取り組むという方に向けて、デジタル化の手順やポイントなどを詳しくまとめています。
教育のeラーニング化
製造業におけるeラーニングとは、機械の操作方法や作業手順などを動画形式の教材にし、作業員が自学自習できる環境を作ることで、教育を効率化するDXです。
従来のOJT(On-the-Job Training)では、教育者が手取り足取り教える必要があったため大きな負担となっていましたが、教育のeラーニング化によって、OJTの大部分を作業員の自学自習に置き換えれます。
もちろん、製造業におけるeラーニングは、第三者が教材を作るわけにもいかないので、各事業者がそれぞれのオリジナルの教材を自分たちで作成する必要があります。
そこで、近年活用する事業者が増え始めているのが、「動画マニュアル」。
動画マニュアルとは、作業風景を動画形式で記録することで、作業手順を文章ではなく映像として伝えることのできるツールです。
動画マニュアルのメリットは、OJTの工数を削減できるだけでなく、書面の手順書では伝わらなかった細かなニュアンスが伝えられるようになることです。
現場改善ラボでは、製造業における動画マニュアルの活用事例をまとめた資料をご用意しています。ぜひ以下のバナーからチェックしてみてください。
このようにDXには様々な手法が存在しますが、『製造現場でDXがうまく進まない…』とお悩みを抱えるケースも少なくありません。次章からは、製造業のDXが進まない原因について詳しく解説します。
何が課題?製造業のDX/デジタル化が進まない5つの理由
製造業においてDXが重要視される一方で、その導入が思うように進んでいない現状があります。ここでは、製造業におけるDX推進が遅れる5つの主な理由を解説します。
DX人材が不足している
DX推進においてデジタル技術の理解や活用ができる人材の不足は深刻な問題です。
製造業の多くは、現場の経験を重視した技術者や管理者が中心であり、デジタル技術に対する知識やスキルを持つ人材が少ないのが現状です。
さらにDXのプロジェクトをリードできる人材や、データ活用やITスキルを持った若い層の採用が進まず、企業内でのデジタル知識の共有や育成も不十分です。
そのため現場でDXを導入するための実務能力を持つ人材が少なく、大きなボトルネックとなっています。
アナログ文化を崇拝している
製造業ではアナログ文化が根強く残っていることもDXが進まない要因の一つです。
たとえば「帳票は紙のほうが見やすい」「紙の書類がないと不安だ」といった考え方が、現場では広く浸透しています。
特に長年同じ方法で業務を行ってきたベテラン社員ほど、このような固定観念が強く、新しいデジタル技術に対して懐疑的な姿勢を取ることが多いです。
アナログな方法は一見シンプルに見えても、実際は管理の手間やミスのリスクが大きく、非効率的です。逆に、アナログを脱却することで、生産性を大幅に向上させることができます。
まずは、帳票のペーパーレス化などの簡単な方法から始めると良いでしょう。
現場改善ラボでは、効率的なペーパーレス化の進め方について解説した動画を無料公開しています。ぜひ、以下からご覧ください。
予算が足りない
DXには初期投資が必要です。自動化機器やITインフラの導入、さらには人材の育成やシステムの維持管理にかかるコストが発生します。
そのため、予算不足をDXが進まない理由として挙げる事業者は多いです。事実、キャディ株式会社が行った製造業のDX実態調査によると、DX推進の一番の障壁になっているのは、「予算の成約」とのこと。
特に中小企業では利益率が低いため、設備投資に必要な資金を確保することがさらに難しくなるでしょう。
ただし、製造業DXの中には、予算が少なくても実施できるものも存在します。後述の「スモールスタートが可能なおすすめのDX」でご紹介しています。
投資対効果が不透明で乗り気になれない
DXへの投資はその効果が短期的には見えづらいことが多く、企業が慎重になる原因となります。
特に製造業では、具体的な数値や目に見える形での成果を重視する傾向が強いため、投資によってどれほどの効果が得られるかが不明確だと、決断をためらうことが多いです。
また、DXはデータ分析や業務プロセスの最適化などの長期的な施策が必要で、短期的には成果が出ないということも、投資対効果の不透明性を助長しています。
現場と本部の温度感に乖離がある
DXを進める上で、現場と本部の間で温度感の乖離が生まれることも大きな障害です。
本部は市場の変化や競争力向上を見据えてDXに積極的である一方、現場の従業員は実際の業務負担が増えると感じ、抵抗を示すことが多いでしょう。
本部が掲げるDXの目標が具体性を欠くことや現場での実務に即していないことが現場の反発につながります。また現場では、DXによる具体的なメリットが見えにくいため、現状のアナログな方法に安心感を抱いてしまうこともあります。
このような乖離を埋めながらペーパーレス化を推進する方法については、別記事「製造現場が抵抗しない「ペーパーレス化の方法」は?事例や目的、おすすめツールを解説」でご紹介しています。
ここまで、製造業のDXが進まない理由について整理しました。では、これらの理由から逆算したときに、どのような対策を講じながら製造業DXを推進していくとよいのでしょうか?次章で詳しく見ていきましょう。
進まない理由から考える、製造業DX/デジタル化の進め方
前章までで製造業におけるDXの導入の課題について解説しました。
それぞれの課題に対して具体的な解決策が必要です。以下では、主な課題に対する具体的なDXの進め方を紹介します。
外部のリソースを借りる
DX人材の不足は多くの製造業で見られる共通の課題です。自社内でDXに対応できる人材をすぐに育成するのは難しいため、外部リソースを活用するのが有効な方法です。
具体的には、ITコンサルタントやシステム開発会社を積極的に活用することが考えられます。
外部の専門家を活用することで、最新のデジタル技術を迅速に導入でき、必要なノウハウを短期間で吸収することが可能です。
また別企業とパートナーシップを組むことで、スキルや知識を社内に蓄積でき、長期的には自社でDXを推進できる体制を整えることが期待できます。
リソース不足を補うため、外部の力を借りることは現実的かつ効果的な解決策でしょう。
アナログの限界や非効率性をトップダウンで明示する
現場の人自らデジタル化の必要性を感じて動き出すのが理想ですが、それが難しい場合はトップ層の鶴の一声で、強制的に進めていくのも1つの手です。
まず紙ベースでの管理や手作業の非効率性を具体的なデータや事例で示し、アナログの限界を認識させることが重要です。
さらにデジタル化によって得られる具体的な成果、たとえばコスト削減や業務効率化のメリットを明示し、デジタルツールの導入が不可避であることを強調します。
トップダウンで進めることで、現場にも変化の必要性が伝わり、抵抗感を減らせます。
少ない資金でできるものから着手する
予算不足がDX導入の障害となる場合には、まずは少額の投資で始められる小規模なDXから取り組むことが効果的です。
たとえば帳票のペーパーレス化や簡易な自動化プロジェクトから着手することで、初期投資を最小限に抑えつつ、効果を確認できます。
特にクラウドサービスやサブスクリプション型のシステムは、初期コストが低く、短期間で導入が可能なため、製造業にとっても取り組みやすい方法です。小さな改善から始めることで、DXの効果を段階的に体感し、少ない資金でも効果を最大限に引き出せます。
さらに成功事例を積み重ねることで、徐々に予算を拡大し、より大規模なDXプロジェクトに進む道筋を作ることが可能です。
小さな規模からPoCを行い、効果を立証していく
投資対効果が不透明であることからDXに慎重な企業は、まずPoC(概念実証)を小規模で実施し、効果を立証することが良策です。小さく始めることで、仮に失敗してもリスクを最小限に抑えられます。
仮にPoCによって効果が立証されたなら、その結果を現場で共有していきます。こうすることで、徐々に投資対効果に納得する人が増え、現場と本部の乖離も解消されていきます。実際、カルビー株式会社の製造現場では、動画マニュアルを活用した教育のeラーニング化のPoC検証に取り組んだうえで、本格導入を行っています。
本章では、製造業のDXの進め方を解説しましたが、カギは「小さく始める」ことです。次章では、スモールスタートが可能なDXについて解説していきます。
スモールスタートが可能なおすすめのDX/デジタル化
製造業のDXを進める際には、少ないリスクとコストで始められる「スモールスタート」が効果的です。ここでは、DXの導入が比較的簡単でありながらも効果の高い2つの手法を紹介します。
- 現場帳票のデジタル化(ペーパーレス化)
- 「動画マニュアル」による教育の効率化
現場帳票のデジタル化(ペーパーレス化)
現場帳票のデジタル化、つまりペーパーレス化は少ない初期投資で始められるので、数あるDXの中でもおすすめです。
クラウドサービスや既存のソフトウェアで実現可能なため、専用の高価な機器や大規模なシステム導入が不要です。無料のツールを活用すると、紙をデジタルに変換する工数を除けば実質ゼロコストで始められます。
また、施策を中断する際の原状回復の簡単さ、という観点からもおすすめです。たとえば、スマートファクトリ化では社内の基幹システムの統合を行う必要がありますが、1度手を加えてしまうと元に戻すのにも大きな工数を伴います。
それに対し、現場帳票のデジタル化は、辞めようと思った際にすぐ辞められます。
このような理由から、帳票のデジタル化は製造業におけるDXの第一歩に適していると言えます。
具体的なメリットに関しては、後述の「現場帳票のデジタル化がもたらすメリット」で解説しています。
「動画マニュアル」による教育の効率化
「教育のeラーニング化」でも解説しましたが、動画マニュアルとは、作業風景を動画に起こしてカリキュラム化するというものです。
動画マニュアルを始めるために必要なものは、撮影機材・動画編集ソフト・動画の保存場所(ストレージ)です。
撮影機材ですが、近年のスマホやタブレットはカメラ性能が向上していて画質も良いため、わざわざビデオカメラを用意する必要はありません。
動画編集ソフトやストレージは、クラウド型のものを活用した場合、数千円程度かかるでしょう。
このように見てみると、動画マニュアルは、費用がほとんどかからないですし、既存システムとの統合などの大掛かりな作業も必要ないので、非常に始めやすいDXだとわかります。
具体的なメリットに関しては、後述の「動画マニュアルを活用したDX/デジタル化がもたらすメリット」で解説しています。
現場帳票のデジタル化がもたらすメリット
現場帳票のデジタル化は、製造業における効率化とコスト削減を実現します。紙ベースの業務からデジタルツールに移行することで、多くの現場改善が可能になります。
ここでは以下の4つのメリットについて解説します。
現場帳票のデジタル化は、コスト削減や業務効率化を実現するための重要な手段です。
以下の資料では、デジタル化の手順や方法をわかりやすく解説しています。現場改善に向けて、デジタル帳票の導入を検討してみてください。
印刷や配布、回収の手間なくせる
現場帳票をデジタル化することで、紙に印刷するコストや配布/回収の手間を削減できます。
紙の印刷には用紙やインク代、プリンターのメンテナンスなどがかかります。製造日報など日々使う現場帳票の場合、現場の規模によっては1日に数百枚単位で紙を消費します。毎月数万枚の紙帳票を使用するため、それなりに大きいコストとなります。
現場帳票は印刷して終わりではなく、配布と回収も必要です。1日に割く時間は数十分程度だとしても、月で見たときには1~2営業日割いているというケースも少なくありません。
デジタル現場帳票を導入すれば、これらのコストが省け、現場帳票をメールやクラウド経由で簡単に共有可能になります。
保管や管理に場所を取らない
現場帳票をデジタル化すれば物理的な保管場所が不要になります。
ISO9001など監査のために保管が必要というケースがあり、数年分の記録を保管するスペースは膨大に必要です。「ムダは省く」という製造業の視点から見たときに、このような保管スペースはムダであるものの減らせないという立ち位置になってしまいます。
デジタル化された現場帳票であれば、クラウドやサーバー上に安全に保存されるため、オフィスのスペースを無駄に使うことなく、管理も容易になります。
また物理的な場所を取らないだけでなく、電子データはバックアップが容易で、万が一の災害や事故が発生してもデータを保護することが可能です。
このように、デジタル化によって保管場所や管理負担が大幅に軽減できます。
欲しい情報が素早く見つけ出せる
デジタル化された帳票は検索機能を活用することで、必要な情報を瞬時に見つけ出せます。
紙の帳票では、過去の記録を探す際に、ファイルを手作業で探す必要があり手間がかかります。しかしデジタル帳票では、日付やキーワードで簡単に検索できるため、短時間で必要な情報にアクセスできます。
そのため、業務効率が大幅に向上し、時間の無駄を減らせます。特に監査対応やトラブル対応などの際には、迅速にデータを確認できるため、作業がスムーズに進みます。
帳票の紛失リスクを軽減できる
紙の帳票は、紛失や破損のリスクが伴います。一度失われた書類を復元するのは困難で、重要なデータが消失する恐れもあります。
しかしデジタル帳票では、データがクラウドやサーバー上に安全に保管されるため、物理的な紛失の心配がありません。さらにデジタルデータは定期的にバックアップされるため、万が一のシステム障害が発生しても、データを復元することが可能です。
このように、現場帳票のデジタル化は製造業のDXを推進する一助となる効果が期待できます。次章では、実際に現場帳票のデジタル化に取り組んで成果が出た事例をご紹介します。
現場帳票のデジタル化によってDXが行われた事例
スチール製家具を製造している共栄工業株式会社では、かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」を活用し、現場帳票の転記/集計作業を1日2時間から約1分まで削減しています。
▼現場帳票デジタル化事例:共栄工業株式会社▼
紙による現場帳票では、記録から分析へのスピードが遅く、品質管理や業務改善が後手に回っていました。
tebiki現場分析で現場帳票をデジタル化し、記録データの自動集計機能を活用することで、集計作業が1日2時間からわずか1分に短縮され、リアルタイムでの分析が可能になり、工場全体の作業効率が大幅に向上しました。
また、データの可視化によって品質向上やトラブル予防策を迅速に講じることができ、業務全体のパフォーマンスが改善されました。共栄工業株式会社の事例を詳しく知りたい方は、以下のリンクをクリックしてご覧ください。
インタビュー記事:1日2時間の集計作業が約1分に。スチール製家具製造の共栄工業のデジタル改革
動画マニュアルを活用したDX/デジタル化がもたらすメリット
動画マニュアルは効率化や標準化を促進し、教育や作業の質を向上させるだけでなく、スキルの継承と作業の多能工化にも役立ちます。
ここでは動画マニュアルを活用したDXがもたらすメリットとして以下の4つを解説します。
「動画マニュアル」を活用することで、標準手順を視覚的に伝え、一貫した教育を実現できます。製造現場における具体的な活用事例や、教育の課題を解決する方法について、以下の資料で詳しく解説しています。
OJTやマニュアル作成にかかる工数が大幅に減る
新人研修や現場教育において、従来であれば、ベテラン社員が個別に指導が必要なため、毎回同じ説明を繰り返すことが必要がありました。
しかし動画マニュアルを導入すれば、一度作成した動画を繰り返し利用できるようになり、教育担当者の負担が大幅に軽減できます。
作業手順の標準化によって不良品が少なくなる
動画マニュアルは、紙の手順書よりも内容が伝わりやすいため、標準化に効果があります。
標準化を実現すれば、「誤って理解していた」ことによる手順不遵守が解消され、結果として不良品が少なくなります。
実際に動画マニュアルを活用したクマガイ特殊鋼株式会社の事例によると、動画マニュアルを活用するようになってから、溶断・サンダー工程での社内不良が月4.3件から、月2.4件に減ったそうです。
効率的な技能伝承が可能になり、属人化が解消される
熟練者の技能を伝承する際、OJT形式でやろうとすると、熟練者の手をストップさせなくてはならず、これが技能伝承の課題になっているということはよく耳にします。
動画マニュアルなら、熟練者の作業風景を撮影するだけで、目で覚えられる範囲の内容は伝承できます。
確かに、絶対にOJTでないと伝わらない部分もありますが、それ以外の大部分は動画マニュアルによって効率化できるのです。
結果として、技能伝承が円滑に進むようになり、属人化が解消されます。
多能工化が可能になる
動画マニュアルによって教育の工数を減らせることで、幅広い分野の作業を習得させることができます。
結果として、必要に応じて異なる部署や作業に対応できるフレキシブルな人材が増え、現場の生産性が大幅に向上させられます。
現場改善ラボでは限られた人員で生産性・品質向上を実現する方法を解説するウェビナーに参加できます。現場で活用できる実践的な多能工化教育の方法が学べる貴重な機会です。詳細や申し込み方法については、以下のリンクからご確認ください。
動画マニュアルを活用したDX/デジタル化によって教育が効率化された事例
それでは、実際の事例を見ていきましょう。
株式会社テック長沢は、経済産業省の「DXセレクション2022」に選ばれた企業で、従業員の教育における課題を解決するため、動画マニュアルを導入し、教育のDXを進めました。
従来、OJTによる教育では教え方にばらつきがあり、作業の標準化が難しいという問題を抱えていました。
しかし、動画マニュアルを使用することで、標準化された作業手順を全従業員が一貫して学習できるようになり、技能伝承が効率化されました。
さらに作業工程を撮影した動画をマニュアルとして提供し、誰でも容易にアクセスできる仕組みを構築。結果として、現場の作業品質が向上し、不良品の削減にもつながりました。特に技能実習生に対しても動画による教育が効果的に機能し、言葉の壁を越えた技能習得を可能にしました。
より具体的な株式会社テック長沢の事例を知りたい方は、以下のインタビュー記事をクリックしてご覧ください。
インタビュー記事:作業前にQRコードから動画を確認。新人OJTを3割削減しました。
製造業の「ペーパーレス化」と「教育の効率化」を実現するツール『tebiki』
これまで、製造業のDXはスモールスタートが可能な「現場帳票のペーパーレス化」と「動画マニュアルによる教育の効率化」から始めると良い、ということを解説してきました。
本章では、上記2つを実現できるツール「tebiki」をご紹介します。
「tebiki」には「デジタル現場帳票tebiki」と「動画マニュアルtebiki」の2種類が存在します。ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説していきます。
ペーパーレス化を実現:デジタル現場帳票tebiki
まず1つ目が、「デジタル現場帳票tebiki」です。
「デジタル現場帳票tebiki」は、製造現場における帳票をペーパーレス化するためのツールです。
「紙からExcelへの転記」が要らなくなる
デジタル現場帳票tebikiは記録から承認、分析までをツール上ですべて行うことができます。
従来の運用では、紙ベースの現場帳票で記録を行い、管理者による承認、Excelへ転記して集計、複雑な関数やマクロでデータ分析という工数が発生します。
本来、データ分析を行い業務改善につなげることが現場帳票の目的である一方、記録や承認、転記で相当な手間が発生し、分析まで着手できていないという声をよく頂きます。
tebiki現場帳票なら、スマートフォンやタブレットといった現場の端末上で記録された情報を、リアルタイムで管理者が確認/承認できる状態になります。
また自動計算に加え、管理図やパレート図などグラフ機能があるため、確認段階で現場データを瞬時に可視化して分析を行うことが可能です。
異常値をリアルタイムで計測できる
デジタル現場帳票tebikiでは、記録項目ごとに正常な記録値の基準を設定することで、正常値から外れた際に異常値として計測できます検出されます。
異常値を記録した箇所が強調表示されるだけでなく、管理者へ異常値が記録されたことが通知されるため、いち早く現状把握から対策を講じることができます。
従来の運用では異常の検知までタイムラグが生じ、原因分析から対策実行まで膨大な時間を要していました。
デジタル現場帳票tebikiでは、前述の分析機能と異常値設定を組み合わせることで、不良品の流出やドカ停など、重大な問題に発展する前に対策が講じられるようになります。
スマートフォンやタブレットでも簡単に記録/操作できる
デジタル現場帳票tebikiはパソコンによる操作はもちろんのこと、スマートフォンやタブレットからでもかんたんに帳票の記録や操作を行うことが可能です。
デジタル上に記録を行うため、従来の紙で起きていた「クセ字による判読しにくさ」が解消できます。
記録では自由記述だけでなく、選択式など任意の帳票設計を行うことが可能です。選択式による記録になることで、製造現場の記録負担を助けることにつながります。
また、従来の紙では難しい写真などの画像の記録も行うことができます。
デジタル現場帳票tebikiでは、デバイスで撮影した写真をそのまま帳票にアップロードすることが可能です。詳細な現場の情報を集めるという意味でも、写真などの補足情報があることで早期に情報把握することができます。
今回ご紹介した機能や効果以外にも、記録者や管理者の現場帳票運用工数を効率化する機能が多数あります。
デジタル現場帳票tebikiの詳細な機能やプラン、現場改善につながった実際の事例などは以下の資料をご覧ください。
教育の効率化を実現:動画マニュアルtebiki
そして2つ目が、「動画マニュアルtebiki」です。「動画マニュアルtebiki」とは、製造現場で使われる作業手順書や作業指示書などの、いわゆる「マニュアル」を動画で作ることができるツールです。
▼動画マニュアル作成ツール「tebiki」紹介動画▼
とにかく使いやすくて、動画作成がかんたん
撮影はスマートフォンなどで撮るだけ、編集は字幕自動生成機能などのサポートを使うだけ。動画編集の経験がない方でも、tebikiを触ったその日から直感的に動画マニュアルを作成できます。
とくに、製造業で働く人の中には、パソコンやスマートフォンの操作に不慣れな方もいらっしゃるでしょう。tebikiはそのような方でも簡単に動画の編集/閲覧が可能です。
自動翻訳機能があるから、外国人作業者も理解できる
ボタン1つで100カ国語以上の言語へ自動翻訳する機能があり、外国人作業者のために翻訳する作業はゼロ。
日本語での動画を作成するだけで外国語対応の動画にもなり、翻訳のタイムラグなく活用できます。
レポート機能により、誰が見たか/できるようになったかが一目瞭然
動画マニュアルの閲覧状況を確認できるレポート機能があるため、一人ひとりの動画閲覧状況や閲覧頻度を把握できます。
見た動画の種類や閲覧時間、頻度などによって学習状況が可視化され、業務習熟度のチェックや取り組み姿勢の評価に活用することも可能です。
「かんたん動画マニュアルtebiki」には、今回ご紹介した機能や効果以外にも、様々な機能が搭載されています。
より詳細な機能やプラン、現場改善につながった実際の事例などは以下の資料をご覧ください。
tebikiを利用してDX/デジタル化を推進しよう【まとめ】
製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用して業務の効率化や生産性向上を目指す取り組みです。
具体的な手法には、機械による作業自動化やスマートファクトリー化、帳票のデジタル化や教育のeラーニング化などが含まれます。
しかし、DXが進まない理由として、人材不足やアナログ文化、予算の限界が挙げられます。課題を克服するには、スモールスタートから始め、効果を確認しながら拡大することが有効です。
またデジタル現場帳票tebikiや動画マニュアルのtebikiを利用することも有効でしょう。以下のリンクから無料で資料をダウンロード可能です。ぜひこの機会にチェックしてみてください。
・今すぐ無料で『デジタル現場帳票tebiki』の資料をダウンロードする
・今すぐ無料で『かんたん動画マニュアルtebiki』の資料をダウンロードする
おまけ:製造業のDXや生産性改善に役立つセミナー動画一覧
ところで、現場改善ラボには、製造業のDXや生産性改善について解説したセミナー動画を多数ご用意しております。
以下にセミナー動画のタイトルと簡単な概要を一覧形式でまとめているので、ご興味のあるものはぜひご覧ください。
3M(ムリムダムラ)の視点と改善 製造業の品質向上と生産性向上への鍵
本セミナーでは、製造現場でよく言われる「3M」(ムリ、ムダ、ムラ)について、どのように問題を見つけ出し改善するかを詳しく解説しています。
生産性向上や品質向上を図るために必要な視点と、3M改善後に標準化を進めるためのポイントを紹介しています。
特に、現場の生産管理に携わる方、効率化を目指す現場リーダーにおすすめの内容です。現場改善の実践方法を学びたい方はぜひお申込みください。
製造現場の生産性を高めるペーパーレスの効果的な推進法
製造現場で大量の紙が使われる帳票管理は、業務効率化を妨げる要因の一つです。本セミナーでは、ペーパーレス化による業務効率化について、具体的なステップと効果的な方法を学べます。
講師の大原健佑氏が、現場に負担をかけずにペーパーレスを推進するためのノウハウを紹介。
特に製造業に従事し、帳票管理の課題に悩む方や、生産性向上を目指す現場リーダーにおすすめです。
トヨタ流品質管理に学ぶ!はじめての変化点管理
変化点管理とは、生産現場で起こる「意図しない変化」を管理し、品質トラブルの発生を未然に防ぐ手法です。
本セミナーでは、トヨタ流の品質管理手法に基づき、変化点管理の基本とその実践的な方法を紹介します。
特に製造業で品質管理に従事する方や、現場の変化に柔軟に対応しながら品質を維持したい方におすすめです。講師の原嶋茂氏が、実際の現場での具体的なノウハウを解説します。
製造現場における令和時代にフィットしたOJTアプローチ~品質不良や不安全行動を減らし、QCDを向上させるには?~
近年の製造現場では、若手育成やOJT(On-the-Job Training)に課題を抱えている企業が増えています。
多忙な中でカルチャーギャップのある新人を効率よく育てる方法が求められている中、本セミナーでは「令和時代にフィットしたOJTアプローチ」を紹介します。
講師は実践的なOJT教育手法、新人育成の効率化、品質不良や安全確保のための科学的な方法について詳しく解説します。特に新人教育に悩む先輩社員やリーダーの方におすすめです。
若手が育たない原因は『現場』にあり。製造現場に求められる新人/若手教育の掟
最近の製造現場では、若手の育成に悩む企業が増えています。特に「見て覚えろ」といった旧来の教育方法が通用しないことが多く、現場は忙しさや効果的な方法を知らないまま対応している場合が多いです。
本セミナーでは、科学的な若手育成方法を紹介し、現場で活用できる具体的な手法を解説します。若手育成やOJTを行う教育担当者におすすめです。