人が育つ環境づくりとして動画マニュアルtebikiを活用。
技術の蓄積と作業品質の安定を実現。
新日本工機株式会社
- 業種 :製造
- 従業員数 :501-1,000名
お話を伺った方:製造部 部長 原 潤平様
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課題
- ベテラン技術への依存度が高い
- 指導者の技量と教え方の違いにより後戻り作業が発生していた
- マニュアルの外国語翻訳に膨大な工数が発生していた
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効果
- 技術の伝承と可視化
- 作業標準化を実現し作業品質が安定した
- 海外向けの手順書作成工数が0に
最短で様々な要望を設計してカタチにすることが出来る新日本工機の現場力
貴社の事業内容と、tebikiの対象業務を教えてください。
原さん:弊社は1898年に若山鐵工所という名称で創業し、1949年に今の新日本工機(SNK)というブランドで設立しました。事業としては工作機械、遠心力鋳造管、産業機械の製造販売があり、工作機械の売上が全体の9割程度を占めています。生産工場としては、日本国内に3つの生産工場(池貝含む)と各地域に営業サービス拠点、海外では7カ国に営業・サービスを担う100%子会社を有しています。
工作機械においては、主に重工業・一般機械業界、航空機業界、自動車業界の3つがあり、それぞれでお客様のニーズに応えた機械を提供しています。各業界のリーディングカンパニーと直接取引をしながら、タッグを組んで技術開発し機械を納入しています。新日本工機は従業員1,000名にも満たない会社ですが、最短で様々な提案ができ、設計してカタチにできる会社は他にはないと考えています。
現場作業では『人が育つ環境づくり』が最も大切なことと考えて、さまざまな取り組みをしています。道場教育の取り組みでは、OJTのように「見て覚えろ」ではなく、現場作業のプロフェッショナルであるマイスターが作業はもちろんのこと、仕事に対する向き合う姿勢など作業以外のことも直接伝えています。
このような形でヒトづくりの基礎を進めていましたが、実際の現場では人による作業方法のバラツキや、作業の後戻りが課題となっていました。このバラつきをなくし、標準化させるための手段として動画教育システム『tebiki』を活用しています。
標準手順通りの作業を誰でも実行することができるしくみが必要でした。
どのような課題があったのでしょうか?
原さん:『人が育つ環境づくり』の考えのもと、さまざまな取り組みを行うなかでヒトづくりの改善は進んでいきましたが、具体的な作業は作業者任せになってしまい、作業の標準化ができていない状況が浮き彫りになりました。
具体的には、作業手順が標準化されておらず、作業者や管理者によって認識が異なっていました。それにより、各作業時のチェック内容の取り決めが不十分になっていました。加えてこのように基準が曖昧な状態で仕事を進めてしまうことで、報連相が十分ではない組織風土の形成につながり、製造現場が陥りがちなさまざまな現場課題がある状況でした。
この状況を会社は経営課題と捉えて『標準化プロジェクト』を立ち上げることになりました。プロジェクトでは技術や製造、品質管理などさまざまグループからメンバーを集め、標準工程/手順を作成しました。また、納期通り進めるために必要な品質管理のポイントを明確にし、チェックシートも整備することで、作業手順通りに進めることができる構造設計に改めました。
このような形で標準化プロジェクトに1年半取り組んでいましたが、ここで更なる課題にぶつかることになりました。それは『紙マニュアル活用の限界』です。
プロジェクトで作業要領書といったマニュアルを整備しても、文字ベースの情報なので内容が正確に理解されにくく、人によって認識が異なってしまいました。また、マニュアルに目を通すのが面倒くさいといったこともあり、作業者によって品質のバラつきが生じて、結果的に作業の後戻りが発生していました。また我々は海外にも拠点があるため、作成したマニュアルを各国へ展開する必要がありましたが、それぞれ翻訳する作業に膨大な時間を要していました…。
結果的に紙マニュアルの整備に追われて、活用の限界を感じていました。標準化プロジェクトへの負荷を軽減しつつ、誰もが標準手順通りに作業ができる構造にできないか?模索する中で出会ったのが動画教育システム『tebiki』を用いた動画マニュアルの導入でした。
創業120余年の老舗企業が挑む現場教育の革新
tebiki導入方法と、その効果を教えてください。
原さん:文字ベースのマニュアルから動画に置き換えることで、現場作業の手順を視覚的にわかりやすく伝え、作業標準の徹底ができるのではないかと考えてtebikiを導入しました。そして伝えるという点において、このままではいつか失われてしまうベテランの技術やノウハウを動画という形で可視化することで、技術伝承の手段としても有効と考えていました。またtebikiには字幕の自動翻訳機能が備わっていたので、我々が翻訳作業を行わなくても各国の拠点/スタッフに対して母国語で教育できるという点も導入を決めたポイントの1つですね。
tebikiに限った話ではなく、何らかの新しいものを導入したときには、しっかりと有効活用するための取り組みをセットで考えることが必要だと思います。今回の場合、tebikiを有効活用するために標準化プロジェクト内で『案画ミーティング』というものを毎週実施しました。このミーティングではプロジェクトメンバーと現場の班長クラスが集まり、今の現場における課題は何か?現場で今必要なマニュアルは何か?を明確にして、そのマニュアルを誰がいつまでに作成するのかすり合わせをしています。
ここの取り組みによって、tebikiの導入から1年で1,500本以上の動画マニュアルを作成することができました。作業要領書の内容だけでなく、安全作業や保守/点検作業など多岐に渡る作業をマニュアル化しました。この結果から見ても、紙マニュアルのときと比べて、効果的かつ効率的にマニュアル整備ができていると思います。
tebikiで作成した動画マニュアルは、現場作業以外の場面でも用いています。教育道場で作業を実践する前に、要素作業の解説と注意点の説明を動画マニュアルで行っています。以前は紙マニュアルで行っていた部分ですが、やはり動きが伴う内容なので動画マニュアルの方が視覚的にわかりやすいです。動画には正しい手順だけではなく、よくあるNG例も盛り込むことで、実践のところにもスムーズに入りやすくなったように感じています。
現場作業の場面では、実践教育にtebikiを使用しています。現場では、リーダーが新人に対して製品の作業手順や安全管理といった日々の作業を都度タブレットで確認しているので、気になった時にすぐに確認ができるようにしています。また、ある特定の不具合が発生したときには再発防止策の立案ということも、皆さんは実施されていると思います。
弊社では、このような新しいルール/仕組みを作った後に、現場へ浸透させる手段としてもtebikiを活用しています。例えば朝礼時に10分ほど時間を必ず設けて、すべてのスタッフが動画を視聴するようにしています。そしてtebikiで作成した動画マニュアルは、ボタン一つで瞬時に字幕を自動翻訳することができるので、日本を拠点とする教育担当者が海外子会社の外国人スタッフに対して、動画を共有するだけで情報を伝えることができています。
このようにtebikiを用いることで『人が育つ環境づくり』につながっていると感じています。
実際、tebikiを導入する前はベテラン従業員に依存していた作業/工程についても、動画によって現場ノウハウを可視化でき、若手や中堅に対する技術伝承を以前よりも進められるようになりました。また指導者の教え方にバラつきがあった部分や、紙マニュアルでは伝わらず品質に影響を及ぼしていた部分も、動画に置き換えたことで標準化された作業を正確かつ簡単に伝えることができるようになったので、作業品質も安定するようになってきました。
外国語翻訳の手間もゼロになったので、プロジェクトメンバーへの負担という点でもとても軽減されましたね。
標準化された内容を、リアルタイムにグローバルへ展開できるように進めていきたいです。
tebikiのオススメポイントを教えてください!
原さん:動画マニュアルと聞くと「撮影が難しそう…」「編集が大変なのでは?」といった印象を持ってしまうかもしれませんが、tebikiではかんたんに動画マニュアルを作ることができます。作成はスマートフォンやタブレットといった、現場にあるようなデバイスでできます。
tebikiは導入後にも運用サポートを定期的に行っていただいているので、作成の疑問点はコミュニケーションで解消することができています。弊社はペーパーレス化も進めていますので、作成したマニュアルは現場のデバイスやモニターに映し出して確認できるので、閲覧者視点でもその手軽さは良いですね。
導入検討時に複数のサービスと比較検討していたのですが、弊社としては海外展開を進めていきたいという思惑もあり『海外の作業者へ正確な情報をリアルタイムに伝達できる』という点を重視していたので、同様なことを実現したいという方にはtebikiをオススメできます。
tebikiについては現在、主に組立部門での活用がメインになっていますが、いずれは他部門にも展開して全社的に活用していけたらと思っています。そのためにも動画マニュアルの内容を、現場作業の基本情報だけではなく、機械加工や機械メンテナンス、事務作業など幅広いものにしていきたいですね。そして標準化された内容を、リアルタイムにグローバルへ展開できるように進めていきたいです。
これまでもさまざまな改善に取り組んできましたが、tebikiを用いたことで人材育成の領域はある程度形になってきたと感じています。