トヨタ生産方式(TPS)とは、トヨタ自動車株式会社が考案した独自の生産方式です。徹底したムダと在庫の削減により、効率的なモノづくりができることから、多くの企業で採用されています。
近年では製造現場だけに限らず、事務作業の現場でも取り入れられることがあり、ビジネスシーンで業務効率化を実現する方式の1つとして注目を集めています。
そこでこの記事では、トヨタ生産方式の基本的な理念や具体的な手法、メリット/デメリットを解説します。また効果的なカイゼンの進め方や成功のコツ、役立つツールも詳しく紹介します。
本記事のほか、現場改善ラボではトヨタ自動車出身の専門家による「トヨタ生産方式と現場改善」の解説動画も以下にご用意しております。作業改善や工程改善の着眼点や課題の可視化について、具体的に解説しているため併せてご覧ください。
目次
トヨタ生産方式(TPS)とは?
まずはトヨタ生産方式(TPS)の基礎知識を確認しておきましょう。ここではトヨタ生産方式の概要や、トヨタ生産方式が持つ強みについて解説します。
トヨタが定義する「7つのムダ」
トヨタ生産方式とは、トヨタ自動車が徹底的にムダを排除して原価を低減など効率化するために編み出した生産方式です。「TOYOTA Production System」を略した「TPS」とも称されます。
トヨタが定義するムダには以下の7つがあります。
- 加工のムダ:不要な加工や検査
- 在庫のムダ:過剰な原材料や完成品
- 不良や手直しのムダ:不良品処理に関連するムダ
- 手待ちのムダ:作業の遅延によるムダ
- 作りすぎのムダ:需要を超えた生産
- 動作のムダ:製造に不必要な動作
- 運搬のムダ:効率的でない物品の移動
上記のような7つのムダを削減することで生産効率が向上し、コスト削減を図ることが可能です。
トヨタ生産方式の7つのムダを事例を交えて詳しく解説した記事もご用意しておりますので、ぜひご覧ください。
関連記事:【トヨタ式】7つのムダとは?具体例を交えてムダを解説
トヨタ生産方式の強み
トヨタ生産方式の最大の強みはムダな在庫を抱えない点にあります。従来のフォード方式にみられる大量生産モデルは高い品質の製品を低コストで製造できるという強みがありますが、大規模な在庫を必要とするという大きな弱みも伴います。過剰な在庫は経営リスクとなり得るため、トヨタは異なる生産方式を採用しました。
トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎は、在庫を最小限に抑えることを目的とした生産システムの開発を実施しました。そのためトヨタ生産方式では必要なときに必要な分だけを生産する「ジャストインタイム」という生産方式が採用されることで不必要な在庫を減らし、経営の圧迫を防ぐことが可能となりました。
トヨタ生産方式はジャストインタイム生産の採用によって、生産効率と柔軟性を大幅に向上させています。
さらにトヨタ生産方式は従業員にとってもメリットが大きい点が特徴です。生産プロセスの最適化によって、作業者の負担が軽減されることで生産的な作業環境が実現するほか、問題が発生した際には原因を迅速に特定し改善策を講じられるため、継続的な改善が行える文化が育まれます。
結果としてトヨタでは、トヨタ生産方式を生み出したことでただ在庫を減らすだけでなく、企業全体としての成長と改善環境を実現しました。
トヨタ生産方式における2本の柱とは?特徴的な手法を解説
トヨタ生産方式の理念の柱は以下の2つがあります。
- ジャストインタイム
- 自動化
特にジャストインタイムは「JIT」と呼ばれ、世界中の企業がそのエッセンスを取り入れるほど高い評価を得ています。ここではジャストインタイムと自働化の概要についてわかりやすく解説します。
必要なときに必要なだけ生産する「ジャストインタイム」
ジャストインタイムは必要なものを必要なだけ生産し、ムダな在庫を排除することを指します。ジャストインタイムでは、対顧客だけでなく自社の工程内でも必要なものを必要なだけしか作りません。
したがって、完成品だけでなく仕掛品や原材料、部品等の在庫も最小限に抑えることも特徴です。ジャストインタイムを実現することで、最低限の在庫で顧客のニーズを満たすことができます。
ジャストインタイムの導入は「平準化生産」ができていることが前提であり、そのうえで以下の3原則を満たす必要があります。
- 工程を流れ化すること
- ピッチタイムを決めること
- 後工程引き取りを徹底すること
ジャストインタイムの中で、後工程引き取りを実現する方法が「かんばん方式」です。ジャストインタイムとかんばん方式を組み合わせることで、スムーズかつムダのない生産を実現できます。
ジャストインタイムの詳しい説明や3原則、メリット/デメリットについては以下の記事もご覧ください。
関連記事:ジャストインタイムとは?意味や3原則、メリット/デメリットを解説!
かんばん方式
かんばん方式はトヨタ生産方式の在庫管理法で、シンプルかつ効率的な生産・補充を叶えるシステムです。
かんばん方式は、必要な部品を必要な時にのみ補充することで在庫を最小限に抑える「引き取りかんばん」と製品の生産量を指示する「仕掛けかんばん」という二種類のかんばんを使用します。
かんばん方式は最小限の在庫で運用するため、欠品リスクや不良品が生じた際の緊急対応が必要となるデメリットもあります。効果的な運用のためには、設計の工夫や自動化技術の活用が重要です。
かんばん方式の流れやメリット/デメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しているため是非ご参考ください。
関連記事:【図解あり】かんばん方式をわかりやすく解説!メリットとデメリットは?
機械設備に人間の知恵をプラスする「自働化」
トヨタの自働化は「自動」ではなく、ニンベンがついた「自働化」という言葉で表されます。
トヨタ生産方式では、後工程に不良品を送ることを避けることや省力化を進めることを目的に、製造機械に自動停止機能を付与しています。機械の動作や製品の異常を検知して自動的に稼働を停止させる自動装置を付与した上で、人間が簡単に機械を停止できる仕組みも備えています。これらを総合して、自働化と呼んでいます。
トヨタ生産方式で自働化が重視される理由は、従来の方法では不良品の大量生産を阻止できなかった点にあります。人を介さずに高速で製品を作る機械の多くは不良を検知することができず、不良品の山を築いてしまいます。そこで不良品が量産されないように、生産を停止する仕組みが求められました。
他にも、自働化を支える具体的な仕組みのひとつとして、不良や異常の発生をランプで点灯させて周知する「あんどん」が挙げられます。不良や異常が発生した工程はすぐさまあんどんを点灯させてトラブルの発生を他の工程に知らせ、完全にラインを停止させたのちにその場で担当者達が原因を究明して再発防止策を講じることで、迅速な対応や情報伝達を可能にしています。
またトヨタの自働化では新たな機械を導入する際に、使いやすさや段取りなど準備を整えてから導入することが推奨されています。
「ここにこの治具を付けたらいいのではないか」「暗くて製品が見えにくい部位があるからライトを追加しよう」というように、現場で検討してから工程に合う形で導入する仕組みも自働化のひとつといえます。
ニンベンのついた「自動化」と自動化の違い
トヨタ生産方式における「自動化」と「自働化(ニンベンのついた自動化)」の違いは、機械の役割と介入の程度にあります。
通常の自動化は、単純な作業を機械が担うものです。一方で自働化はさらに進んで、機械が異常を感知して自動停止するなど、より高度な判断を行う役割を担います。
自働化への進化により、作業者は異常監視をする必要がなく、より価値の高い業務に集中できるようになります。自働化によって、省人化を実現して品質の安定や効率的な生産体制の構築が可能です。自働化は、生産現場の人手不足を解消し、人材をより重要な業務へと導くための重要な技術です。
自働化に欠かせない多能工
自働化が目指すのは、単純な機械操作から人間の直接介入を減らし、より効率的に作業へ人材を投じる「多能工化」だといえます。トヨタ生産方式では多能工化によって各工程で作業者が複数の技能を持ち、柔軟に対応できることが求められます。
例として、多能工化の推進により機械が異常を検知して停止した場合でも作業者が迅速に対応し、生産の流れを維持することが可能です。また多能工化は品質の向上や効率的な生産ラインの構築を助け、組織全体の生産性向上も期待できます。
多能工のメリットや実現のためのポイントについて知りたい方は、別記事「多能工とは?メリットや失敗しないためのポイントを詳しく解説!」や、専門家による以下の詳しい解説動画をご覧ください。
トヨタ生産方式における4つの流れ
トヨタ生産方式では、ジャストインタイムを実現するための方法のひとつであるかんばんや、自働化の手段であるあんどんなど、様々な方式を組み合わせて「徹底的なムダの排除や低価格かつ高品質な製品の提供」を実現しています。
しかし、ジャストインタイムや自働化を徹底するだけではこれらの目標は達成できません。
トヨタ生産方式における重要な事柄は、ジャストインタイムや自働化を行いながらカイゼンを行い、最適な生産方式を模索することです。ここではトヨタ生産方式のカイゼンを巡る以下4つの流れについて解説します。
- ジャストインタイムによってムダをつきとめる
- 自働化によって課題が可視化される
- 「なぜ」を5回ぶつける
- カイゼンの実施
ジャストインタイムによってムダをつきとめる
ジャストインタイムのサイクルを回すことで、現場に潜む7つのムダである「加工、在庫、作りすぎ、手持ち、動作、運搬、不良/手直し」が可視化されます。
具体的な例として、かんばん方式を採用している現場であればかんばんを通して各工程の部品の消費状況をリアルタイムで把握することが可能なため、過剰に生産されている部品というムダをすぐに見つけ出すことができます。
こういったムダを徹底に排除することで、作業効率や品質が向上することが期待できます。
自働化によって課題が可視化される
自働化が実践されている現場では製造機器にトラブルが生じたり、不良が発生すると機械が自動で停止するほか、あんどんを点灯させてラインが停止していることを明示します。
このように、異常発生時に即座に機械や生産ラインが停止されることで異常をリアルタイムで確認し、共有することが可能なため、原因究明を迅速に行うことができます。
他にも、自動化の一環である「ポカヨケ」では、作業者のヒューマンエラーが発生した際にエラー発生時のデータを収集・記録することで問題の根本原因を分析し、再発防止策に役立てることが見込めます。
具体的なポカヨケ対策や事例については、別記事「ポカヨケとは?製造現場のヒューマンエラー対策や事例を解説!」か、専門家が解説する以下の動画を併せてご覧ください。
なぜなぜ分析で解決策がわかる
トヨタ生産方式を効果的に実施するには、ジャストインタイムや自働化によって明らかになったムダや課題に対し「なぜ」を繰り返すことで真因にたどり着く「なぜなぜ分析」が重要です。
なぜなぜ分析の例として「アルミ製切削部品の打痕不良が多い」という課題があるとします。これに対するなぜなぜ分析を以下に表形式で記載しました。
「なぜ」の回数 | 問いの内容 | 問いに対する答え |
1回目 | なぜ打痕が生じるのか | 担当者が梱包するときに、製品同士がぶつかっているから。 |
2回目 | なぜ製品同士がぶつかるのか | 製品を梱包する場所が狭いから。 |
3回目 | なぜ製品を狭い場所で梱包するのか | 本来の作業台が仕掛品置き場になっていて使えず、他に空いている場所を探したから。 |
4回目 | なぜ作業台に仕掛品を置いているのか | 新しく受注した製品のため、まだ仕掛品や完成品の定位置が決まっていないから。 |
このように、今回例示した「アルミ製切削部品の打痕不良」については、「新製品の仕掛品を本来の作業台に置いていたため完成品を梱包する場所が奪われてしまい、打痕が発生しやすくなった」という課題の真因が明らかになりました。
なぜなぜ分析で現場で発生している課題の真因を明らかにすることで、本質的な再発防止策を講じることが可能になります。
一方で『正しいなぜなぜ分析の進め方が分からず、真因が特定できないため再発防止ににつながっていない…』という方も少なくありません。現場改善ラボでは、トヨタ社内の研修講師としてトヨタ社員向けになぜなぜ分析を教えていた専門家による解説記事や動画がご覧いただけます。ぜひこの機会にご覧ください。
「カイゼン」の実施
トヨタ生産方式ではジャストインタイムや自働化によって洗い出された課題に対し、実際に「カイゼン」することが求められます。
カイゼンとは「人、物、設備」に着目して見直しを図り対策するだけでなく、組織全体で継続的な改善を維持することも含まれます。重要なのはすべての従業員が一時的な対策に満足せず、継続的にムダを排除するというカイゼンに向けた意識を持つことです。
関連記事:カイゼン思考の土台づくり『カイゼンってなぜ必要?』
カイゼンの例として「人」についてカイゼンをする場合、まずは作業手順書を作成するところから取りかかります。作業手順書には作業内容やピッチタイム、作業の順序や使用する機械の配置等を記載します。各工程で作業手順書を作成すると、ムダな動きや作業のばらつきが明らかになり、問題が可視化されます。
可視化された問題の改善策を作業手順書に落とし込みカイゼンを重ねた手順を現場の標準とすることで、ムダ取りによる省力化や業務効率化の実現/作業不遵守の削減による品質向上といった現場改善の実現につながります。
「人」に関するカイゼンには標準化あるのみです。標準化を推進するためには、誰にとっても分かりやすく伝わる作業手順書が欠かせません。伝わらない手順書では内容が理解されず、結果的に使われずに形骸化してしまうというケースも珍しくありません。
現場改善に必要な分かりやすい作業手順書を作るポイントについて、以下の資料で詳しく解説しているので併せてご活用ください。
改善とカイゼンの違い
カイゼンと改善は目的が異なる活動です。
「カイゼン」という用語は、プロセスや業務内容を継続的に見直し、より良い状態へと変化させるための取り組みを指します。対して「改善」は、現時点での問題点やマイナス面を明確に把握して解決して良い状態にしていくことを目指す活動です。
カイゼンはプロセスの継続的な最適化を目的としており、改善は特定の問題に対処することが主な目的だという違いがあるといえるでしょう。
トヨタ生産方式のメリット/デメリットは?
トヨタ生産方式は数々のメリットがある一方で、知っておくべきデメリットも存在します。ここではトヨタ生産方式のメリットとデメリットを比較してみましょう。
トヨタ生産方式のメリット
トヨタ生産方式を導入するメリットは、ムダの排除による原価率の低減や過剰在庫の削減、人員配置の最適化などによる利益率の向上です。
またトヨタ生産方式は、社員の自主性が育つこともメリットだといえます。トヨタ生産方式ではカイゼンによる継続的な改善が求められるため、課題を解決したのちも新たな課題や課題そのものを発生させない仕組み作りを構築する「PDCAサイクル」が実施されます。
PDCAサイクルを通じ、仮説を自ら考えることや仮説を実行し効果検証を行うことが実践されるため、社員の自主性が大いに養われるでしょう。
トヨタ生産方式のデメリット
トヨタ生産方式のデメリットとしては、在庫を切らしてしまうリスクや、下請け企業に過度な負担がかかってしまうリスクが考えられます。
トヨタ生産方式は在庫を最小限に抑えることを目的としているため、災害や国際情勢の悪化に伴う物流の滞り、関連会社の倒産といった予期せぬトラブルが原因で部品や原材料を獲得できなかった場合に、納品の遅延や製造ラインの停止といった事態を招きかねません。
他にも、元請け企業でジャストインタイムを推進することにより、元請け企業に部品を納品する下請け企業では元請け企業にあわせ納入のタイミングや量が変動し、安定した稼働が実現しないという事態も考えられます。
トヨタ生産方式によるカイゼンを成功させるには?
トヨタ生産方式で現場のカイゼンを成功させるには、「標準化」を推進することが重要です。
平準化・標準化を進めてトヨタ生産方式によるカイゼンを成功させるには、以下の3つの手法を実施しましょう。
- 5S活動の実施
- ムリ・ムダ・ムラ(3M)の削減
- 属人化の排除
標準化が重要な理由
トヨタ生産方式は製造現場の効率を最大化し、生産のムダを徹底的に排除するための手法です。トヨタ生産方式を安定して稼働させ、成功に導くには業務の標準化が重要な役割を担っているといえるでしょう。
標準化とは、業務の手順や内容を均一にすることで、業務プロセスを組織的に最適化する取り組みです。標準化された作業手順を守ることで、誰が作業しても同じ品質の製品を作ることができるようになり、ムダな動作や業務品質のばらつきの発生を抑制することが可能です。
関連記事:業務標準化を進める6つのステップとは?成功事例や役立つツールも紹介
つまり、標準化とは「従業員の業務品質が一定の水準になるよう最適化すること」であり、標準化を実現できて初めて「平準化」が実現します。
平準化とは、現場の従業員に過度な負担が集中することがないように作業量や生産ラインの稼働を均等に保つ取り組みであり、安定した生産と業務量の維持には欠かせません。
関連記事:業務平準化とは?業務標準化との違いや実現させる方法を紹介!メリットデメリットや成功事例も合わせて解説
平準化は前後工程における在庫を過不足なく生産することで在庫コストの削減や欠品のリスクを低減できるほか、安定した生産により一定の製品品質や業務品質を保つことにも寄与します。トヨタ生産方式の柱であるジャストインタイムは、標準化が達成され、平準化生産も実現できることを前提として機能しているといえるでしょう。
標準化を進めるには、以下に説明する3つの取り組みの実施の他、マニュアルやOJTによる教育も効果的です。「業務標準化を進めるための具体的な手法とアプローチ」について専門家が解説した動画もございますので、是非ご参考ください。
5S活動の実施
5S活動は「整理、整頓、清掃、清潔、躾」の5つから構成される取り組みで、作業スペースが最適化され、ムダが減少するというメリットがあります。
不要なものを排除する「整理」、必要なものがすぐに手に取れるように配置する「整備」、作業現場を清潔に保つ「清掃」や「清潔」、そしてこれらを現場に定着させる「躾」を実施することで故障や事故のリスクを減らし、品質や生産性の向上、安全性を強化する効果があります。
躾は現場に4Sを定着させるための標準化の一種ともいえます。
具体的な5S活動の例や現場で実践できる進め方については、別記事「5Sとは?意味や活動の目的と効果、ケース別の事例を解説!」や、専門家による以下の解説動画をご覧ください。
ムリ・ムダ・ムラ(3M)の削減
ムリ・ムダ・ムラを削減することは、生産性の向上とコスト削減に効果があります。ムリ(過度な負担)を避けることで従業員の過労を防ぎ、労働効率を向上させます。
ムダ(不必要な作業)の削減は、作業プロセスを見直して必要のない工程を省くことで実現します。ムラ(ばらつき)の削減は、プロセスの標準化を通じて、品質の一貫性を保ちます。3Mの削減により、企業はリソースを効果的に活用し、効率的なトヨタ生産方式の運営が可能となります。
ムリ・ムダ・ムラを可視化する手法や削減に向けた取り組みついては、別記事「3M(ムリ・ムダ・ムラ)を無くし業務効率化を図る!実施方法や改善事例も紹介」や、技術コンサルタントの経験をもつ専門家による以下の解説動画も併せてご覧ください。
属人化の排除
属人化の排除は、知識やスキルが特定の個人に依存しないようにすることで、業務の効率化とリスク管理を目指す取り組みです。
属人化が排除されると、全ての従業員が標準的な方法で業務を遂行できるようになり、エラーの削減や作業効率の向上が期待できます。また従業員が休暇や退職をする際の引継ぎもスムーズに進むことで業務の継続性が保たれ、組織全体の柔軟性が向上します。
属人化の原因や解消するコツを知りたい方は、別記事「製造業の属人化はどう防ぐ?防ぐ方法や解消のコツを紹介」や、技術・技能伝承コンサルタントによる実践的な手法の解説動画をご覧ください。
標準化を進め、カイゼンを成功させるには動画マニュアルが効果的
5Sの実施やムリ・ムダ・ムラ(3M)の削減、属人化の排除は標準化を推進し、安定したトヨタ生産方式の運用に不可欠ですが「実施するのは難しい…」とお思いの方も多いのではないでしょうか。
標準化を推進するために作業手順書や文字ベースのマニュアルを活用している方も多いと思いますが、製造現場の三次元的な動きを文字/写真で伝えることは容易ではありません。
そこで、誰でも視覚的に分かりやすく標準作業を理解し、カイゼン活動に繋がる手段として「動画マニュアル」を紹介します。
動画マニュアルで何が変わる?
動画マニュアルとは、従来のテキストベースのマニュアルとは異なり、作業手順を視覚的に動画で伝える形式のマニュアルです。
動画は文章では理解が困難であった複雑な工程や作業手順も直感的に理解できるため、従業員が迅速に学習して正確な作業を行うことが可能です。
動画マニュアルの導入によって、教育の質とスピードが飛躍的に向上するほか、動画という同じ教材を用いて教育が行われるため教育担当者ごとの教え方や教育内容の違いが解消され、標準化の定着に大いに役立ちます。
また動画は言語を問わないため、多国籍の従業員がいる環境でも質を落とさずに教育できる点も有効です。さらに動画は見る場所を選ばず、スマートフォンやタブレットからでもアクセスできるため、場所を選ばず学習することが可能です。
現場にフィットした動画マニュアルは「tebiki」
tebikiは、現場作業の標準化と効率化を図るためのクラウドベースの動画マニュアルツールです。tebikiを利用することで、従業員の教育や業務の品質を向上させ、トヨタ生産方式のように現場の平準化と標準化を推進させることが可能です。
tebikiは普段のOJTをスマートフォンで動画を撮影するだけで、動画マニュアルを誰でも簡単に作成できる点が特徴です。他にも、撮影した動画から自動で字幕を生成できることに加え、字幕を100カ国以上の言語に自動翻訳する機能も備えています。翻訳機能により、多国籍の従業員がいる職場でも言語の壁を超えて正しい作業手順を伝達し、業務を標準化することが実現します。
さらにtebikiでは、どの従業員がどのマニュアルをどれだけ視聴したかや、テスト機能によるマニュアルの習熟度といったデータが一目でわかるため、教育効果を可視化し標準化に必要な現場づくりに効果を発揮します。
動画マニュアルの機能詳細や導入サポート体制、導入効果についてまとめた詳細な資料をご用意いたしました。以下の画像から無料でダウンロードできますので、「トヨタ生産方式を上手く運用したい!」「現場の課題を教育で解決したい!」とお考えの方は是非ご参考ください。
tebikiの活用で平準化/標準化を進めた成功事例
tebikiを活用している企業は数多くありますが、ここでは平準化や標準化に成功した事例として以下の2社を紹介します。
- 東急リゾーツ&ステイ株式会社
- 大同工業株式会社
東急リゾーツ&ステイ株式会社
東急リゾーツ&ステイ株式会社は日本全国に複数の施設を持ち、主に宿泊やレジャー事業を展開している企業です。
同社では業態や施設によって作業標準にムラが生じ、作業標準の統一が困難であったため、業務の標準化が急務でした。業務のばらつきの均質化を図るためにExcelでマニュアルを整理し、業務標準化プロジェクトを開始したものの、文字や写真のマニュアルでは効果が限定的であったため、動画マニュアルへの転換が求められました。
その結果、動画マニュアルを作成しやすく運用の汎用性が高いtebikiの導入を決断します。
導入の結果、ワインの抜栓の手順やグラスの拭き方など、動きを伴う作業を動画で示すことで作業の正確性が向上しました。
ほかにも、導入後2年で9,000本以上の動画マニュアルを作成し、業態や施設ごとに異なっていたマニュアルを統一、管理することで業務のばらつきを解消し、業務の標準化が実現されました。
結果として、従業員の業務負荷が低減され既存の労働時間を新たなサービス取り組みに転化できるなど、大きな成果をあげています。
東急リゾーツ&ステイ社が感じたtebiki導入の効果やtebikiのおすすめな点については、以下のインタビュー記事内で詳しく紹介しています。是非ご覧ください。
インタビュー記事:従業員数2,500人超・全国100を超える施設で業務の平準化と多能工化を推進。
大同工業株式会社
大同工業株式会社は、自転車チェーンの製造会社として創業し、オートバイや自動車、産業機械や福祉機器を製造している企業です。同社ではOJT教育の機会が多いゆえにトレーナーの知識や経験、指導方法によって教育内容にムラが生じていたことが問題でした。
具体的には、紙のマニュアルではコツやポイントを上手く伝えられず、実際の動作を見せて教える必要があることに加え、担当者によってコツやポイントに差があることが原因で業務手順にばらつきが生じるという「我流化(業務品質のばらつき)」を課題視していました。
そこで、解決のために動画マニュアル「tebiki」を導入したところ、動画による教育で指導内容が統一され、業務標準化を達成できるようになりました。ほかにも、マニュアルを作成する過程で個人のカンコツやポイントを洗い出すことができ、業務の効率化・最適化が進んだこともメリットとして実感されています。
大同工業株式会社社が感じたtebiki導入の効果やtebikiのおすすめな点については、以下のインタビュー記事内で詳しく紹介しています。是非ご覧ください。
インタビュー記事:製造業の技術部門の業務を動画で標準化。教育工数を8割削減し、業務の効率化・最適化も実現。
動画マニュアルtebikiを活用し、トヨタ生産方式を進めよう【まとめ】
トヨタ生産方式は、ムダの排除、効率化、改善に焦点を当てた生産方式です。
トヨタ生産方式では、ジャストインタイムやかんばん方式などの手法を通じて、不必要な在庫を削減し、プロセスを最適化するほか、自働化や多能工の活用によって生産効率と品質の向上が期待できます。
トヨタ生産方式の実施には標準化と平準化を進める必要がありますが、特に動画マニュアルtebikiは、作業手順の明確化と教育の効果を高め、生産性の向上やトヨタ生産方式の定着を実現します。
この記事で紹介した動画マニュアルtebikiの資料は無料でダウンロード可能ですので、ぜひこの機会にダウンロードしてみてください。