業務標準化とは、誰もが同じ成果を挙げられるよう、組織全体で業務プロセスの最適化を行うことを指します。
業務の標準化は、業務の効率化や生産性の向上、業務品質維持のために欠かせない取り組みです。
そこでこの記事では、業務標準化の基礎知識や必要性、平準化と標準化の違いについて詳しく解説します。また業務標準化のメリット/デメリットや現場で推進する方法やコツ、そして業務標準化の成功事例と役立つツールについても紹介します。
現場改善ラボでは本記事の他にも、専門家による「業務標準化を進めるための具体的な手法とアプローチ」を解説した動画をご用意しております。安定した業務品質を保ち、現場の効率化や生産性向上を目指している方は是非ご視聴ください。
目次
業務標準化とは?平準化との違いも紹介
ここでは業務標準化の基礎知識として、以下の3つの事項について解説します。
- 業務標準化の意味
- 2つの標準化
- 平準化と標準化の違い
業務標準化の意味
業務標準化とは、全ての従業員が常に同じ作業を再現できるように業務プロセスを最適化することです。業務標準化の例として、「作業手順書やマニュアルを作成し、業務品質のムラをおさえる」「契約書のテンプレートを作成し、契約の効率的な作成とチェックを行えるようにする」といったことが挙げられます。
業務標準化を推進することで業務の流れや手法が統一され、作業担当者ごとに業務品質がばらつきが生じるという課題を解決できます。
業務標準化における重要な概念として「再現性」と「代替性」が挙げられます。
再現性とは業務を同じ作業手順で行えること、代替性とは担当者が違っても同じ水準で作業を行えることを指しています。たとえば経理業務における費用の勘定科目やデータ入力の流れについてルールを決めてマニュアルを作成することで、業務担当者以外もその業務を担当者と同様の質や流れで遂行できるようになります。業務標準化とは、再現性と代替性を持たせることでもあるといえるでしょう。
さらに業務標準化による手順の見直しは、ムダやムリを排除し、業務の効率化を図ることが可能です。効率化により、より少ない労力やコストで成果を生み出すことが可能となり、企業全体の生産性の向上が期待できます。
2つの標準化
業務標準化には大きく分けて「業務フローの標準化」と「タスクの標準化」の2つがあります。ここでは、それぞれの特徴やメリットについて解説します。
業務フローの標準化
業務フローの標準化とは、業務の進行手順を一定にすることです。標準化された業務フローに沿って業務を進めることで、誰でも同じ品質の成果を生み出すことが可能となり、結果的に業務全体の品質向上につながります。
また、業務フローを標準化することで、新入社員や他部署から異動してきた従業員にも容易に正しい手順について教育できる、ムダな業務フローが削減され業務が効率化するといったメリットがあります。
たとえば、製造業における製品組立の業務フローを考えてみましょう。標準化された業務フローがある場合には、業務フローの各工程の作業内容や順序、品質基準が明確になります。新たに組立業務を担当する従業員でも、標準化されたフローに従うことで製品の品質を一定に保つことが可能となります。
タスクの標準化
タスクの標準化とは、個々の業務の内容や手順をを一定にすることです。タスクの標準化により業務の進行方法や手順が統一され、担当者ごとの手順変更がなくなるため、製造業での業務改善における欠かせない取り組みだといえるでしょう。
たとえば、工場では標準化されたタスクについてマニュアルや手順書を整備することで、担当者は記載されている作業内容、工程、品質基準などを順守して業務に臨むことが可能です。結果として、業務の属人化を防ぎ、組織全体で効率的に業務を進めることが可能になります。
またタスクの標準化は、手順を明確かつ規則化することで作業不順守を防ぐ効果があるため、ポカミスようなヒューマンエラーへの抑止力になるというメリットもあります。
関連記事:ヒューマンエラーとは?多い人に特徴はある?原因や防止方法も事例を元に紹介
平準化と標準化の違い
標準化と似た言葉に「平準化」がありますが、両者には異なる点が存在します。
業務標準化とは、業務におけるプロセスや手順を統一させ、誰でも同じ業務品質がアウトプットできる方法を確立することを指します。
一方で業務平準化とは、特定の従業員に作業工数や業務の負担、労力やストレスが集中しないよう偏りをなくすことを指しています。つまり「業務標準化」は業務品質を一定にさせることを目的としており、「業務平準化」は業務負担を均一にすることを目的としています。
現場改善ラボでは、業務平準化のメリットや実現に向けたポイントをまとめた記事もご用意しております。併せてご覧ください。
関連記事:業務平準化とは?業務標準化との違いや実現させる方法を紹介!メリットデメリットや成功事例も合わせて解説
業務標準化はなぜ進めるべき?目的を解説
業務標準化は組織全体の効率を高め、限られたリソースの最大活用を目指す概念です。ここでは、業務標準化の目的について以下の2つを解説します。
- 業務効率を上げるため
- 技術伝承がしやすい環境を整備するため
業務標準化を進めている企業が増えている理由や、業務標準化に成功したケースをまとめた資料の「企業が業務標準化に着手すべき理由」も以下にご用意しておりますので、併せてご覧ください。
業務効率を上げるため
業務標準化は、業務効率の向上に良い影響をもたらします。
業務が標準化されていない状態ではムリ・ムラ・ムダ(3M)が発生し、業務の妨げとなる恐れがあります。具体的には、明確な業務フローがないことでムダな作業が発生し現場の従業員に負荷(ムリ)が集中した結果、業務が停滞するほか、同じ業務でも作業手順が統一されず、業務効率にムラが生じるといったことが考えられます。
このようなムリ・ムダ・ムラを排除し業務を効率化するには、業務標準化による業務プロセスの統一が必要です。
ムリ・ムダ・ムラが排除されることで従業員が創造性の高い作業やより価値の高いタスクに集中できるようになり、企業全体の生産性が向上するということも期待できるでしょう。
ムリ・ムダ・ムラを排除する具体的な方法について知りたい方は、別記事「3M(ムリ・ムダ・ムラ)を無くし業務効率化を図る!実施方法や改善事例も紹介」や、専門家が「ムリ・ムダ・ムラを見つける視点と具体的な改善策」について解説した以下の動画をご視聴ください。
技術伝承がしやすい環境を整備するため
業務を標準化する過程でベテラン社員が持つ専門知識やノウハウを言語化/文書化し、組織全体で共有・活用できるようになります。
業務フローや作業手順が明確化されていない状態では、業務を進めるコツやベテランが編み出したノウハウがブラックボックス化してしまいます。業務を標準化することで、知識を個人に依存することなく企業の資産として保持することが可能です。
例として、退職を控えた経験豊富なベテラン社員が業務標準化の一環としてマニュアルを作成することで、ベテラン社員に蓄積された技術や解決を新人や引き継ぎの従業員に伝承できるようになり、業務の質が均一化されるほか迅速な業務習得が促されます。
技術伝承に向けた実践的な施策や事例については別記事「【事例付】技術伝承が進まない5つの課題と成功へ導く方法とは?事例をもとに必要な理由を紹介」や、以下の「技術伝承を成功させるポイント」の資料も是非ご参考ください。
業務標準化のメリット
業務標準化を進めることには、以下のようなメリットが考えられます。
- 生産性の向上
- 業務品質の向上
- 属人化の防止
生産性の向上
業務標準化を進めることで生産性の向上が期待できます。
業務標準化による業務フロー(それぞれの作業の流れ)の確立は従業員の業務理解を促すほか、業務品質のばらつきが解消されることで生産性を高めることができます。
他にも、業務標準化はムダな作業や改善点の洗い出しにも効果があるため、従業員が行っていたムダな工程を削除し、空いたリソースを有効活用することで生産性が向上するというメリットも考えられます。
関連記事:製造現場で生産性向上を実現するには?具体的な方法や成功事例の紹介
業務品質の向上
業務標準化を進めることで、誰が行っても同一の流れや水準で業務を遂行できるようになり、組織全体の業務品質の向上が期待できます。業務標準化により、作業のバラツキが解消され、安定した品質を保つことが可能です。
たとえば、工場でマニュアル・手順書を整え、担当者が記載された作業内容・工程・品質基準などを順守して業務を進めることで不良率が削減されるほか、業務品質を一定の水準に保つことで製品の品質向上につながるという効果があります。
結果として、顧客から自社への信頼を高め満足度が向上するというメリットもあります。
属人化の防止
業務標準化は、業務の手順やノウハウが特定の担当者しか把握できていない状況である「属人化」を防ぐ効果もあります。
特定の従業員のみが業務の処理や作業方法を把握している場合、担当者が病気やケガといった不測の事態で長期休職となった際や、異動や退職があった場合、生産ラインが停止するリスクや正しい作業手順が継承されないというリスクが考えられます。
しかし、業務標準化を進めることで業務の再現性と代替性が担保され、正しい作業手順に沿って業務を行うことで誰でも一定の業務が遂行できるようになるため、属人化を防止できるといえます。
属人化の背景や解消に向けた具体的なポイントを知りたい方は別記事「製造業の属人化はどう防ぐ?防ぐ方法や解消のコツを紹介」や、技術・技能伝承コンサルタントによる「属人化を解消する実践的な方法」を解説した以下の動画をご覧ください。
業務標準化のデメリット
業務標準化には様々なメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在しているため注意が必要です。
- 標準化しない方がいい業務もある
- 裁量や創造性が制限される
- 業務がルーティン化し自主性が損なわれる
標準化しない方がいい業務もある
多くの場合、業務標準化は業務の効率化や品質向上が期待できますが、すべての業務が標準化に適しているわけではありません。業務の性質や目的によっては、標準化が逆に生産性を阻害する可能性が考えられます。
例として、以下のような業務は標準化が制約となり、業務の質を下げる可能性があります。
- 資格保持者のみが担当できる極めて専門性の高い業務
- 柔軟性が求められる特殊な業務
資格保持者のみが担当できる極めて専門性の高い業務
資格を持っている従業員や、特定の知識や経験がある従業員のみが遂行できる業務については、専門性や安全性を担保するために業務の標準化を避けた方がよいケースがあります。
例として、化学工場の現場で危険物取扱者の資格を持たない従業員がガソリンを扱ってしまい火事に発展することや、有毒な重クロム酸塩類の取り扱いを誤ったことで皮膚炎や中毒など重篤な健康被害を引き起こす恐れがあります。
他にも、有資格者以外が危険物を取り扱うことで法令や規則に違反し、懲役刑や罰金刑が科されるため、標準化しないほうがよいといえるでしょう。
柔軟性が求められる特殊な業務
臨機応変な対応や個別な対応など、柔軟さが求められる特殊な業務を標準化してしまうと、一律の手順やルールに縛られることでその特性を活かすことが難しくなる可能性があります。
たとえば、製造業におけるカスタムオーダーの製品製造や特定の顧客要求に対応するための業務などは、要件に対応しうる柔軟性が求められるため、無理に業務標準化をしてしまうと柔軟性が発揮されず、求めていた結果を生み出せない恐れがあります。
裁量や創造性が制限される
業務標準化を意識しすぎると作業手順が過度に均一になってしまい、個々の裁量や創造性が制限されることも考えられます。
例として、商品開発のアイデア出しや新製品のプロトタイプ製造など、個々の従業員の判断力や独自のアプローチが求められる業務や、生産ラインのトラブルシューティングといった想定外の問題に潜む原因を特定し、迅速に対処する必要がある業務が挙げられます。
これらの業務はすべて画一的に標準化するよりも、各従業員の知見や創造性を活かせるゆとりを可能な限り持たせながら部分的に標準化を進めるほうが現場に即している可能性があります。
従業員のアイデアを活かす余地を見出すためには、標準化の過程で従業員の意見を取り入れて改善していくことや、従業員の役割や責任の範囲内で成果を出す機会を設けることが重要です。
業務がルーティン化し自主性が損なわれる
業務標準化を過度に進めることで、日々の業務がルーティンワーク(同じ作業を繰り返し行うこと)化し、「流れ作業」になることで自主性が失われたり、モチベーションの低下につながる可能性があります。
標準化は業務を効率化する一方で、同じ作業を単調に繰り返すルーチンワークが増加します。単調な作業が続くと「なぜこの作業をしているのか」といった意義や目的が薄れてしまうことや、改善点を見つける姿勢を保てなくなる恐れがあります。
例として、組立ライン作業を過度に標準化した場合、従業員は決められたパーツを決められた方法で取り付ける作業のみを一日中繰り返すことになり、工夫や改善の意識が薄れてしまいます。
他にも、必要以上に業務を標準化することで仕事に対する興味ややりがいが失われやすくなり、従業員のモチベーションが低下するリスクも潜んでいます。結果的に標準を遵守しようとする意識が下がり、手順不遵守による品質不良や安全トラブルといった新たな問題が生じる恐れがあります。
このような事態を避けるには、業務を行う目的やその効果といった背景までしっかり伝えたうえで標準化を進めることが必要です。
また、一定の水準を満たすために必要な作業を誰もが実施できるよう標準化を進めながら、プラスアルファで実践したい業務の改善提案や効率化のアイデアを提案できる制度や環境を整備することが効果的です。
業務標準化を進める6つのステップ
業務標準化は組織の効率向上や品質管理の確立に寄与する重要なプロセスです。
以下は、業務標準化を正しく進めるための6つのステップです。それぞれのステップを正確に理解し、現場の業務標準化へ役立てましょう。
業務の洗い出し
業務標準化の出発点は、組織内で行われている業務を正確に洗い出すことから始めましょう。
部門や従業員ごとに業務内容を明確にし、全体像を理解することで、改善の余地を見つけやすくします。他にも、業務の洗い出しを行い全ての業務をリストアップすることで見落としを防ぎ、標準化の効果を最大化する効果も期待できるでしょう。
例として、生産ラインにおける組み立て作業、品質検査、材料供給などの各プロセスを詳細に洗い出すことが挙げられます。この段階で、業務の優先順位付けや重要度の評価も行うとよいでしょう。
標準化すべきボトルネックの特定
業務の洗い出しを行った後は、業務プロセスにおいて効率を妨げる要因であるボトルネックを特定します。各業務の効率や成果を評価し、時間がかかっている部分やミスが多発する部分であるボトルネックを特定することで、標準化すべき業務の優先度を明らかにできます。
標準化すべきボトルネックの特定には、従業員のフィードバックや業務データの分析が役立ちます。特に時間のかかる作業や誤りが発生しやすいポイントを見つけ、これらに対処することが重要です。例として、組み立てラインのうち作業の遅延や品質問題が多発している個所を洗い出し、標準化を進める際の優先順位を付けることが考えられます。
関連記事:ビジネスにおけるボトルネックの意味は?解消方法を分かりやすく解説!
業務手順の整理
ボトルネックとなる業務や対応が優先される業務を選定したのちは、それらの業務手順を整理することが求められます。
業務手順を整理する際は、本来であればどのような手順で進めるべきかといった作業標準を定めることに加え、基本となる業務品質の水準も定めることがおすすめです。「どの業務を/どのくらいの人数で/どのくらいの時間内に/どのくらいの水準で」といった項目を可視化し、業務標準化において達成すべき目標を明確にしましょう。
業務手順を整理することは問題や改善点を見つけやすくする手助けとなるほか、従業員が業務の流れを把握しやすくなり、コミュニケーションや協力が円滑に進むようになる効果も期待できるでしょう。
業務品質を向上させる具体的な手法や事例について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:業務品質を向上させる7つの視点とは?具体的な手順や成功事例も紹介
業務フローの再設計
整理された業務手順をもとに、業務全体の流れである業務フローを再設計し、最適化しましょう。過度な手続きや無駄なステップを削減することで業務プロセスが最適化され、効率的でミスが少ない業務フローが設計できます。具体的には、ボトルネックとなっていた組み立てステーションの配置を変更し、作業手順を簡略化するといったことが挙げられます。
業務フローを再設計したのちは、新しいフローに基づいて試験運用を行い、効果を検証することも併せて行うと良いでしょう。効果検証の際は、あらかじめ定めた業務品質を達成出来ているか確認するほか、現場の従業員に改善点をヒアリングしながら進めることでより実践的かつ現場に即した業務フローを確立できます。
業務フローに基づいたマニュアルの作成
再設計し、標準化された業務フローに基づいて、具体的な作業手順をまとめたマニュアルを作成します。
これにより、従業員は迅速かつ一貫性を保ちながら作業を実行できるようになります。マニュアルには各ステップの手順や注意点、使用するツールの詳細といった新人向けの内容も記載し、トレーニングや新人教育もスムーズに行えるようにするとよいでしょう。
マニュアルを作成する際は「実際に現場で活用されるマニュアルであるか」を意識することが非常に重要です。数々の現場を支援してきた実績のある専門家が解説した「伝わるマニュアルを整備する方法」の動画も併せてご覧ください。
定期的な見直しと改善
業務標準化は一時的な取り組みではなく、継続的に行うことが求められます。定期的な見直しと改善を行うことで、新たな課題や変化に対応できる柔軟性を確保することができます。絶えずPDCAによる改善を行い、変化する環境に適応できるよう組織全体で協力しましょう。
具体的には、業務フローの定期的なレビューを実施し、実際の運用状況と照らし合わせて問題点を洗い出すことや、毎月の生産会議で業務フローのレビューを行い、現場からのフィードバックを基に改善策を検討し実施することが挙げられます。
現場で業務標準化を推進させるコツ
業務標準化を推進し、現場に定着させるコツを3つご紹介します。
- 業務標準化の目的を共有する
- 現場の声を反映する
- スキルマップの活用
業務標準化の目的を共有する
業務標準化を成功させるための最初のコツは、業務標準化の目的を全員で共有することです。業務標準化の目的が明確でなければ、単なる形式的で効果が期待できない取り組みになってしまいます。
たとえば、目的が「全従業員が組み立てラインにおいて同じ成果を時間内で出せるようにすること」であるなら、目的を全員が理解したうえで自発的に行動してもらうことだけでなく、スピード感と業務品質がとくに重要であることを伝えましょう。
具体的には、定期的なミーティングや内部コミュニケーションツールを活用して目的を常に共有し、共有した情報をもとに行動を促すことが求められます。
現場の声を反映する
業務標準化を成功させるための2つ目のコツは、現場の声を反映することです。業務標準化は現場の業務を改善するためのものであり、現場の声を無視して行ってしまうと思わぬ不具合や誤解、摩擦が生じる恐れがあります。
そのため、現場の従業員からのフィードバックを定期的に収集し、業務標準化のプロセスに反映させることが求められます。現場の声を反映することにより、現場の実情により基づいた効果的な業務標準化を進められるほか、従業員の改善に向けた意識やモチベーションを高めることも期待できます。
スキルマップの活用
業務標準化を成功させるための3つ目のコツは、スキルマップを活用することです。スキルマップとは、個人の持っているスキルや知識をマップ形式で可視化するためのツールを指します。
スキルマップを活用することで従業員一人ひとりのスキルや習熟度を一目で確認することができるため、業務標準化に向けたスキルの強化や新たなスキルの習得を計画的に進めることができます。
例として、スキルマップを活用して機械操作の訓練が必要な従業員を特定し、専門的な研修を実施することで、迅速かつ安全に新しい標準作業を確立することが考えられます。
スキルマップの具体的な作成方法や簡単に作成することのできるテンプレートについては、下記の記事で紹介しています。是非、併せてご覧ください。
関連記事:スキルマップとは?作り方や項目例、テンプレートをご紹介
業務標準化のツールには動画マニュアルがおすすめ
業務標準化が進まない主な理由は、マニュアルの作成と維持の難しさにあります。このような課題を解決するには、動画マニュアルの活用がおすすめです。
業務標準化が進まない理由
業務標準化の課題の1つがマニュアル作成の難しさです。マニュアルを作成するには、業務を詳細に理解して明確かつわかりやすい形で文書化する必要がありますが、マニュアル作成は時間がかかる上、知識やスキルも求められるため多忙な現場では敬遠されがちです。
さらに業務が変化するたびにマニュアルの更新が必要で現場に負担をかけてしまうことも、業務標準化の推進が遅れる原因となります。作成や更新が後回しにされるという課題を解決するためには、より効率的で手軽にマニュアルを作成できるツールの導入が効果的です。
他にも、作成されたマニュアルが実際の業務において十分に活用されないことも課題といえるでしょう。マニュアルが現場の実情に合っていない、あるいは過度に複雑で読みにくいマニュアルでは、従業員が見ても理解できずに形骸化してしまうでしょう。従業員が日頃からマニュアルを簡単に利用できるように、使いやすく見やすい形式にすることがおすすめです。
またマニュアルが古い情報であるために信頼性が低いと感じられる場合もあります。このような課題を解決するためにはマニュアルをデジタル化し、常に最新の情報を提供できるようにする必要があります。
業務標準化を進めるツールは「動画マニュアル」
現場の業務標準化を推進するためには、動画マニュアルの活用が有効です。動画マニュアルとは、業務の作業手順を動画でマニュアル化したものです。音声や字幕などを加えることができ、従来の紙マニュアルに比べわかりやすいという点が特徴です。
ここでは、動画マニュアルのメリットやおすすめの動画マニュアルツールについて詳しく解説します。
動画マニュアルのメリット
動画マニュアルのメリットは、現場の作業を可視化し、正しく伝承できることにあります。作業ノウハウやカンコツなどの暗黙知は、紙マニュアルだと言語化や文章化がむずかしく、細かいニュアンスや微妙な差異が正確に伝わりません。
一方で動画は、複雑な作業手順でも映像を通し視覚的に把握できるため、ベテランならではの高度な作業を従業員全員にわかりやすく伝えることができます。
また、動画という同一の教材を使って教育を行うことで標準化された作業を正しく伝え、現場に定着できる点も大きなメリットです。OJTなどで教える場合には、教育担当者ごとに教える内容や教え方の差があることで教育にムラが生じ、徐々に本来の作業手順と乖離した内容が広まってしまう恐れがあります。
しかし、動画マニュアルであれば常に同じ内容を複数人に伝えることが可能なため、教育のムラを解消できるほか教育工数の削減といったメリットも期待できます。
動画マニュアルのメリットや動画マニュアルに期待される教育効果については、以下の資料内でも詳しく展開しています。併せてご覧ください。
現場の業務標準化を実現する動画マニュアル「tebiki」とは?
現場の業務標準化を推進する動画マニュアルとしては、「tebiki」がおすすめです。
ここでは、業務標準化を進めるうえでtebikiを使うメリットや、実際の企業における事例をご紹介します。
tebikiなら簡単に「現場で使われる」マニュアルを作成できる
動画マニュアルtebikiは、現場で活用できるクオリティの高いマニュアルを誰でも簡単に作成できるツールです。tebikiはスマホで撮影し、簡単な編集を加えるだけでマニュアルが完成するため、複雑な工程や専門知識を必要としない点が特徴です。
tebikiはパソコン操作が苦手な人でも、簡単に動画マニュアルを作成することができます。YouTube動画では動画編集の経験がないと作成に時間がかかってしまい、本来やるべき業務ができないという事態に陥りがちです。
しかし、tebikiであれば実際の作業風景をスマートフォン等で撮影するだけでマニュアルを作成できるほか、自動で字幕が生成される機能により、文字おこしといった面倒な手間を省くことができます。
業務標準化を進めるには大量のマニュアル作成が必要となりますが、tebikiは現場に負担をかけずにマニュアルを作成できるため、スムーズに標準化された作業手順をマニュアル化することができます。
他にも、tebikiには従業員の習熟度を可視化して管理できるというメリットがあります。
動画マニュアルは作ることが目的ではありません。作成したマニュアルを従業員に見てもらい、業務について正しく理解してもらうことが目的です。そのため、従業員の習熟度を管理する必要があります。
tebikiは、動画マニュアルの作成と従業員の習熟度管理を同じプラットフォーム内で行うことができます。
具体的には、従業員のマニュアル視聴履歴をグラフで確認することができるため、誰がどのマニュアルをどれくらい見たのかということを簡単に把握することができます。さらにテスト機能も備えているため、動画マニュアルで学んだ内容が本当に定着しているのかも確認できます。
習熟度の可視化により業務標準化の効果検証を進めやすくなるため、tebikiの活用により業務標準化を継続的に改善することも期待できるでしょう。
tebikiの機能詳細や導入効果など、詳しい情報について知りたい方は下記の画像から資料をダウンロードできますので、是非ご参考ください。
tebiki導入で業務標準化を推進させた企業事例3選
tebikiを導入し業務標準化に役立てた事例として、以下の3社を紹介します。
- 株式会社GEEKLY
- 理研ビタミン株式会社
- 大同工業株式会社
株式会社GEEKLY
株式会社GEEKLYは、IT・WEB・ゲーム業界に特化した人材紹介事業を行っている企業です。同社では、新入社員のOJT教育に課題を感じていました。具体的には、トレーナーごとの教え方のばらつきによって新入社員の理解度や業務品質にムラが生じており、営業成績にも影響していました。また、OJTによる新人教育はトレーナー側の負担も大きく、新人1人につき月50時間の教育工数をかけていたことで業務が圧迫され、本来すべき業務に手が回らないという状況でした。
そこで、株式会社GEEKLYは新人教育における属人化を解消するために動画マニュアルtebikiを導入し、属人的なOJT教育から均一的な教育へとシフトしています。結果として、動画による教育で指導内容が統一化され、業務内容や営業品質のばらつきが解消しています。
他にも、OJT教育を動画マニュアルに置き換えたことで新人教育の負担を軽減することにも成功しており、数値にして年間3,700時間もの教育工数を削減できています。
株式会社GEEKLYがtebikiを導入している様子や、使ってみて実感したおすすめな点については以下のインタビュー記事内で詳しく紹介しています。是非ご覧ください。
インタビュー記事:年間の新人教育時間を3,700時間削減。トレーナーの教育時間が大幅に減り営業成績も向上!
理研ビタミン株式会社
理研ビタミン株式会社は「リケンのノンオイル 青じそ」や「わかめスープ」などに含まれる乳化剤を製造している食品製造業です。
同社では、教育のムラによる業務理解のばらつきが課題でした。部門によっては日勤と夜勤の交代勤務やフレックス勤務など多様な働き方があり、全社員を対象とした研修の実施が困難でした。
そのため、教育内容にばらつきが出てしまい、業務理解にばらつきがあるまま作業を行うという問題が発生していました。他にも、紙のマニュアルでは正しく業務手順を伝えることが難しく、従業員ごとに業務手順の差異がある状態でした。
こうした問題を解決するために、以前は動画マニュアルの内製化も実施していましたが、特定の従業員しか動画編集を行えないことや、作成した動画を上手く共有できないといった作成面と運用面で課題を抱えており、本格的な実用には至らないという課題がありました。
そこで、解決のために動画マニュアルtebikiを導入したところ、業務手順や紙マニュアルではわかりにくい部分が伝わりやすくなり、教育内容が均一化され業務品質が安定したという効果がありました。他にも、新規配属者のOTJ教育に使っていた紙マニュアルの4割を動画マニュアルに置き換えることができ、OJT教育の時間を2割削減することにも成功しています。
理研ビタミン株式会社が実感しているtebikiの導入効果や、動画マニュアルを社内に浸透させるコツについては以下のインタビュー記事内で詳しく紹介しています。是非ご覧ください。
インタビュー記事:品質保証部門と製造部門がONEチームで取り組んだ業務標準化と技術伝承
大同工業株式会社
大同工業株式会社は、1933年に自転車チェーンの製造会社として創業し、現在では海外11カ国に拠点を持つグローバル企業です。
同社ではOJTによる教育工数が多く、トレーナーの知識や経験、指導方法によって業務にばらつきが生じていたことを課題視していました。基本的な内容は文書マニュアルに記載されていたものの、実際に実務を行う時のコツやポイントはOJTで動作を見せて伝え、実務を通じて担当者が会得する必要がありました。加えて担当者によってコツやポイントに差があることで業務手順にもムラが生じ、ヒューマンエラーや試作試験における評価エラーなどの問題が発生していました。
そこで、大同工業株式会社はtebikiを導入し、課題であった教育のムラを動画マニュアルで標準化することによって解決しました。それぞれの従業員が持っているカンコツを動画マニュアルに組み込むことによって業務の効率化・最適化を実現し、部内で発生していた試験中のヒヤリハットや評価エラーも削減することが実現したほか、マニュアル作成工数を半分以下に削減することにも成功しています。
大同工業株式会社によるtebikの導入方法や、使ってみて実感したおすすめな点については以下のインタビュー記事内で詳しく紹介しています。是非ご覧ください。
インタビュー記事:製造業の技術部門の業務を動画で標準化。教育工数を8割削減し、業務の効率化・最適化も実現。
業務標準化に関するQ&A
業務標準化に関するQ&Aとして、以下の3つを紹介します。
- 業務標準化を行う理由は何ですか?
- 業務標準化の具体例は?
- 業務標準化を定着させるには?
業務標準化を行う理由は何ですか?
業務標準化を行う主な理由は、業務効率を向上させ、組織全体の生産性を高めることにあります。標準化によって業務プロセスが明確になり、誰もが同じ手順で作業を行えるようになるため、ミスの発生が減少し作業の速度が向上します。
また人材が流動しても業務の質が保たれるため、教育時間とコストを削減することも目的に含まれます。
業務標準化の具体例は?
業務標準化の具体例として、製造業での組立ラインの作業手順標準化や、IT業界におけるソフトウェア開発の標準化が挙げられます。組立ラインでは、各作業工程が詳細にマニュアル化され、作業者が同じ品質の製品を効率良く生産できるように設計されています。ソフトウェア開発では、コーディング規約や開発フレームワークの統一が行われ、プロジェクト間での知識の共有や品質の均一化を図っている点が特徴です。
業務標準化を定着させるには?
業務標準化を定着させるには、全社員が標準化の目的とメリットを理解し、積極的に取り組む文化を育てることが重要です。具体的には、定期的な研修を実施し、業務標準の知識とスキルを社員に浸透させる必要があります。
また標準化されたプロセスの順守を監視し、違反があった場合には改善策を迅速に講じる体制を整えることも効果的です。加えてプロセスの見直しと更新を定期的に行い、常に最新の業務環境に適応させることも行うとよいでしょう。
動画マニュアルで業務標準化を実現させよう【まとめ】
業務標準化は業務フローやタスクを明確にすることを通し、全員が同じ方法で業務を行えることを目的としています。業務標準化により生産性と品質が向上し、属人化を防ぎます。
一方で専門性が求められる業務や特殊な業務の標準化は逆効果になる場合もあり、業務が単調になるデメリットも存在します。
業務標準化を進める過程では業務の洗い出しから始め、マニュアルの作成、定期的な見直しを行いましょう。現場の声を反映させつつ、動画マニュアルを活用することがおすすめです。
動画マニュアルtebikiは容量や動画アップロード本数が無制限、従業員の習熟度管理ができる、といった特徴を持っており、業務標準化に最適なツールです。tebikiについてさらに知りたいと感じた方は、ぜひ下記から詳細な資料をダウンロードください。