現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 ロールボックスパレット(カゴ台車)事故事例と安全対策11選:マニュアル作りのヒントも

※本記事は、物流現場で18年のキャリアを持ち、現場作業から安全責任者まで歴任した筆者が実務経験に基づいて執筆しています。

ロールボックスパレット(カゴ台車)は、物流倉庫の入出荷や仕分け、製造、食品現場など、あらゆるシーンで使用されるマテハン機器です。免許や資格、特別教育が不要なため、誰でもすぐに扱うことができます。

一方で、取り扱い方法を一歩間違えれば、重大な労働災害を引き起こす危険をはらんでいます。現場の安全を守るためには、これまでの事故の実態を知り、正しい操作方法と具体的な対策を現場全員が「自分事」として理解し使用することが不可欠です。

そこで本記事では、ロールボックスパレットで実際に発生した事故事例をご紹介しつつ、事故を未然に防ぐための具体的な安全対策や現場教育について解説します。

目次

物流現場におけるロールボックスパレット(カゴ台車)の事故実態

まずは、公的な統計データに基づき、ロールボックスパレットの事故実態を、以下の2つの観点から解説します。

  • 作業経験の浅いスタッフが労働災害に遭いやすい傾向 
  • 労災事故の多くはロールボックスパレットの転倒や転落が原因

作業経験の浅いスタッフが労働災害に遭いやすい傾向  

ある分析によると、ロールボックスパレットによる労働災害のうち、経験期間1年以下の作業者が占める割合は約43%にものぼります

ロールボックスパレットによる労働災害

出典:労働安全衛生総合研究所「ロールボックスパレット起因災害防止に関する手引き」

背景には、資格不要で扱えるがゆえに、十分な教育がないまま実務に投入される実態があると考えられます。数百kgの重量物を扱う作業には重心移動や慣性などのリスクが伴います。しかし、経験の浅い者はこれらを予測しきれません。

事故を防ぐには、業務に就く前の段階で、操作方法の指導や安全教育を徹底する必要があります

労災事故の多くはロールボックスパレットの転倒や転落が原因

労働災害の類型を分析すると、全体の40%以上が『下敷き、転倒・転落』によるものです。カゴ台車は背が高く重心が不安定なため、わずかな段差や傾斜でかんたんにバランスを崩してしまいます

ロールボックスパレットに起因する際涯の5パターン

出典:労働安全衛生総合研究所「ロールボックスパレット起因災害防止に関する手引き」

特にトラックの荷台やテールゲートリフターからの転落は、重量物に押しつぶされる重大事故を招きやすい傾向です。

次章で、実際に発生したロールボックスパレットの事故事例を見ていきましょう。

ロールボックスパレット(カゴ台車)の事故事例

ここでは、ロールボックスパレットの使用で実際に起こった事故事例を、労働安全衛生総合研究所「ロールボックスパレット起因災害防止に関する手引き」などを参考に4つご紹介します。

  • ロールボックスパレットを持つ手の一部を挟み負傷
  • 倒れたロールボックスパレットと共に倒れ、地面の間にはさまり負傷
  • テールゲートリフターからロールボックスパレットが落下し、下敷きになり負傷
  • ロールボックスパレットを取り卸し作業中転倒し頭部を負傷

ロールボックスパレットを持つ手の一部を挟み負傷

ロールボックスパレットを持つ手の一部を挟み負傷

ロールボックスパレットと壁などの間に手を挟む事故は、現場で頻発する労働災害の一つです。

この事例では、小売業の精肉部では、運搬中の作業員がパレットと冷蔵庫入口の枠に手指を挟み、16日間の休業を伴う打撲傷を負いました。狭い場所で外枠を直接掴んで操作し、障害物との隙間がなくなることが主な原因です。

倒れたロールボックスパレットと共に倒れ、地面の間に挟まり負傷

倒れたロールボックスパレットと共に倒れ、地面の間に挟まり負傷

段差や傾斜がある場所では、パレットの転倒に注意が必要です。こちらの運送業の現場では、スロープでパレットを押して搬入中、段差に引掛かり台車が作業者側へ転倒。作業者が地面との間に挟まれ、顔面強打や腕の下敷きにより14日間休業する事故が発生しました。

傾斜地ではパレットの勢いが増し、回避が困難になります。

テールゲートリフターからロールボックスパレットが落下し、下敷きになり負傷

テールゲートリフターからロールボックスパレットが落下し、下敷きになり負傷

昇降機(テールゲートリフター)使用時は、転倒による重傷リスクが極めて高くなります。

こちらの小売業の現場では、重量物の米を積んだパレットをリフターで下ろす際、昇降板の傾きによりパレットが転倒。18歳の作業者が足の下敷きとなり、2ヶ月の休業を要する骨折を負う重大事故が発生しました。重量物を扱う際はわずかな傾斜が命取りになります。

なお、この事故は「テールゲートリフター作動中は昇降板に人は乗らない」という基本ルールを無視しています。安全のルールは、新人の知識不足やベテランの過信があると形骸化しがちなのが現実です。そこで以下の資料では、ルール無視の背景と対策を詳しく解説しています。安全教育にお悩みの方は、是非ダウンロードして改善にお役立てください。

>>資料「品質意識の低下が招く「ルール無視」に対する考え方と対策」をダウンロードする

ロールボックスパレットを取り卸し作業中転倒し頭部を負傷

ロールボックスパレットを取り卸し作業中転倒し頭部を負傷

参照元:厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例」

車両とホームの段差により渡り板が急坂となり、パレットが制御不能になった事例です。前方でパレットを引いていた作業員が、足を滑らせて転倒しました。加えて、この作業員はヘルメットを着用していませんでした。

高さの合わない設備での無理な作業に加え、姿勢が不安定になる”引き”操作が事故を招いています。

次章では、ロールボックスパレットの基本操作方法を徹底解説します。

ロールボックスパレット(カゴ台車)の労災を未然防止する基本操作

本章では、事故のリスクを最小限に抑えるための基本的な3つの操作方法について、メリット・デメリットを交えて解説します。

  • ”押し”は身体への負担が少ない基本となる操作方法
  • 後ろ歩きとなる”引き”は第3者への接触リスクが低い
  • ”よこ押し”は操作性がよく前方の見通しがよい

”押し”は身体への負担が少ない基本となる操作方法

ロールボックスパレットの取り扱いにおいて、最も基本となるのが「押し」操作です。

進行方向に対してパレットを前に置き、側面パネルを押して移動します。開口部を前にし、側面パネルを持つのが原則です。

体重を乗せやすいため、長距離の移動でも身体への負担が少なく、歩きやすいのが特徴です。ただし、荷が高い場合は前方の視界がさえぎられるため、曲がり角や交差点では必ず減速し、安全確認を行う必要があります。

▼”押し操作”のメリット・デメリット

メリット・体重がかかり力が入りやすい
・歩きやすいため長距離移動に適している
デメリット・比較的、前方の見通しが悪い
・方向転換の多い場面には適さない

後ろ歩きとなる”引き”は第3者への接触リスクが低い

”引き”操作は、パレットの速度を制御しやすく、周囲への接触リスクを抑えられる方法です。

進行方向に対して操作者が前に立ち、パレットを引きながら移動します。開口部を後ろにするのが原則です。初動の力が入りやすいため、重量物の始動時や狭い場所でのコントロールに向いています。

一方で、後ろ歩きは足元が不安定になりやすく、自身の足をパレットの下部に挟む危険性があります。また、身体をひねる姿勢が続くため、腰や背中への負担が大きい点にも注意が必要です。

▼”引き操作”のメリット・デメリット

メリット・第3者への接触リスクが低い
・速度の制動がしやすい
・狭い場所でもコントロールしやすい
・一瞬の力が大きく、重い場合の初動に向く
デメリット・歩きにくく、長距離移動には向かない
・常に身体をひねるため、腰や背中への負担が大きい
・脚のスネ以下がパレット下部に挟まれる危険性がある

”よこ押し”は操作性がよく前方の見通しがよい

”よこ押し”は、視認性と操作性のバランスに優れた操作方法です。

操作者とパレットが並行して移動し、側面パネルを掴んで操作します。重心に近い位置でコントロールするため小回りが利き、前方の見通しも非常に良いのが特徴です。

しかし、力が入りにくいため重量物の搬送には適しません。

▼”よこ押し操作”のメリット・デメリット

メリット・重心近くで操作するので操作性がよい
・前方の見通しがよい
デメリット・力が入りづらい
・狭い通路の移動には向かない
・常に身体をひねるため、腰や背中への負担が大きい

これらの基本操作は、現場に入ったばかりの新人教育で徹底すべき項目です。ただ、テキストだけでは力加減などのニュアンスが伝わりにくく、OJTでは指導者によって教え方にバラつきが出てしまう課題があります。

こうした課題を解決する例として、例えば総合物流企業である株式会社近鉄コスモスでは、ハンドリフトの正しい操作方法を伝える動画を作成し、効率的な教育を実現しています。

※「tebiki現場教育」で作成

なお、この動画は、誰でもかんたんに動画マニュアルが作れる動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」で作成されました。詳細が気になる方は、以下のリンクから資料をダウンロードしご覧ください。

>>動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を詳しく見てみる

次章では、「ロールボックスパレットの事故を防ぐには、どんな対策を講じればいい?」という疑問にお答えします。

ロールボックスパレット(カゴ台車)の危険ポイントと安全対策11選

本章では、ロールボックスパレットの事故を予防するため、現場で徹底すべき以下の11の安全対策を具体的なアクションとともに解説します。

  • 【準備】正しい服装/保護具の着用を徹底する
  • 停車時はキャスターを確実にロックする
  • 段差や傾斜通行時は最徐行し転倒に警戒する
  • テールゲートリフター昇降時、作業者は昇降板から降りる
  • 倒れそうになったら倒れる方向から即座に逃げる
  • 荷物を正しく積載しサイドバーを装着してから移動する
  • 視界の悪い場所はミラーの設置や一旦停止を義務化する
  • 折りたたんでの移動は原則禁止する
  • 転倒し起こす際は複数人で操作する
  • ヒヤリハット報告を可視化し現場で共有し再発防止に努める
  • 正しい安全対策、操作方法をマニュアル化し周知する

【準備】正しい服装/保護具の着用を徹底する

ロールボックスパレットは荷物を含めると数百kgの重量物になるため、装備の不備が重大な負傷に直結します。具体的に徹底すべきポイントは以下の通りです。

  • 安全靴の着用:キャスターで足を踏みつけるなどの災害発生時、足を保護します。
  • ヘルメットの着用:自身の転倒や、荷台・リフターからの転落時に頭部を保護します。
  • 適切な作業着:裾や袖の乱れを無くし、パレットの突起への引っ掛かりを防止します。
  • 滑り止め付き手袋:確実な操作を可能にし、操作ミスや手指の挟まれを防ぎます。

これらは単なるマナーではなく、自分自身の身を守るための最低限のルールとして現場で徹底をした教育を行う必要があります。

物流業の安全教育について、以下の記事で詳しく解説しています。気になる方は併せてご覧ください。

関連記事:物流業の安全教育とは?現場の課題と事故を未然に防ぐ対策を紹介

停車時はキャスターを確実にロックする

ロールボックスパレットから手を離す際は、短時間であってもキャスターのロックを確実に行う必要があります。

ロールボックスパレットは、わずかな傾斜や風の力でも容易に転がりだしてしまうおそれがあるからです。無人で逸走したパレットが他者に激突したり、トラックの荷台から落下したりする事故がよく発生します。

▼ロールボックスパレットが強風でホーム下に落下する実際の映像

こちらの現場では、この動画を作業員に視聴させ、危険な瞬間を可視化して伝えています。動画なら、日々の作業の中に潜む危険であると認識しやすく、おのずと1人ひとりの安全意識を向上させます

ちなみに、この動画は動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」で作成されました。詳細が気になる方は、以下のリンクから資料をダウンロードしてご覧ください。

>>動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を詳しく見てみる

段差や傾斜通行時は最徐行し転倒に警戒する

キャスターが小さな段差に引っかかると、慣性の法則によりパレットの上部だけが進行方向に進もうとし、瞬時に転倒します。

特に荷物の乗ったロールボックスパレットは、傾斜地では重力によって加速するため、人力で抑え込むことは困難です。

現場のルールとして、段差や傾斜を通る際は「一旦停止」に近いレベルの最徐行を徹底させる必要があります

テールゲートリフター昇降時、作業者は昇降板から降りる

テールゲートリフターでの昇降作業中は、作業者が昇降板(荷台)に乗らないことが大原則です。

パレットが転倒した際、昇降板の上にいると逃げ場がなく、下敷きになったり共に地面へ転落したりする危険性が高いからです。

理想としては、荷台側に1人、地上側に1人の計2人で連携して作業を行う体制が最も安全でしょう。

リフターの傾きやガタつきに細心の注意を払い、常に「逃げ道」を確保した状態で操作を行います。

倒れそうになったら倒れる方向から即座に逃げる

万が一ロールボックスパレットが倒れそうになったら、無理に支えようとせず即座にその場を離れてください。

荷物を含めて数百kgの重量があるロールボックスパレットを、人間の力で受け止めるのは困難です。無理に支えようとした結果、パレットの下敷きになり命を落とすケースもあります。

「荷物よりも命が大切」であることを認識させ、身を守る行動を身につけさせることが重要です。

安全意識を高める方法のひとつに『KYT(危険予知訓練)』があります。倉庫作業におけるKYTの手順や成功のポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:【例題あり】倉庫作業のKYT(危険予知訓練)で事故対策!手順から成功のポイントまで紹介

荷物を正しく積載しサイドバー(固定棒・カンヌキ)を装着してから移動する

安全な搬送のためには、重心を安定させる積み付けとサイドバーの確実な装着が不可欠です。

積み付けのポイントとして、筆者は以下を意識していました。

  • 重量物を下にする”低重心”の積み付け=走行安定性の強化
  • 重量物を端で積み上げない=”偏荷重”を防止し、バランスを保つ
  • 小さなものの上に大きなものを置かない=荷崩れの防止

また、サイドバーは単なる荷崩れ防止だけでなく、ロールボックスパレット自体の強度を保ち、歪みによる転倒を防ぐ役割も果たします。

視界の悪い場所はミラーの設置や一旦停止を義務化する

事故を未然に防ぐには、個人の注意だけでなく安全な環境づくりも並行して行うべきです。

特に交差点や曲がり角など視界の悪い場所では、カーブミラーを設置するなどして死角を無くす工夫が求められます

また、作業員に対しては「交差点前での指差し確認」や「一旦停止」をルールとして義務化し、習慣化させるまで指導を継続しましょう。

折りたたんでの移動は原則禁止する

折りたたんだ状態のロールボックスパレットを移動させる行為は、原則として禁止すべきです。

畳んだ状態のカゴ車は重心が偏り、バランスが悪くなります。そのまま移動させようとすると、急な動作ですぐに転倒し、周囲の人間や設備を傷つける原因になることも。

空の状態で移動させる場合でも、しっかりと展開し、サイドバーを掛けた状態で操作するのが最も安全な方法です。

転倒し起こす際は複数人で操作する

倒れてしまったロールボックスパレットを起こす作業には、想像以上の負荷と危険が伴います。

特に鉄製のロールボックスパレットの重さは想像以上です。また、キャスターが転がることで起き上がる前に走り出してしまうなど、1人で起こすのはかんたんではありません。

実際に筆者は、倒れたロールボックスパレットを1人で起こそうとして再び転倒し、あわや脚が挟まれそうになった経験があります。

必ず2名以上で声を掛け合い、足元と周囲の安全を十分に確認しながら、協力して作業を行うようにしてください。

ヒヤリハット報告を可視化し現場で共有し再発防止に努める

重大事故を未然に防ぐには、現場に潜む「ヒヤリハット」を放置せず、全員で共有する仕組みが必要です。

管理者が報告を溜め込むだけでは改善に繋がりません。紙の報告書や口頭の注意喚起は、時間が経つと忘れられがちですが、実際のヒヤリハットシーンを動画で再現して共有すれば、その危険性をリアルに実感させることができます

安全意識の高い企業では、ヒヤリハット報告を基に危険なシーンの動画を撮影し、共有会を実施して安全教育に使用しているほどです。

例として、ある物流企業では、ロールボックスパレットで実際にあったヒヤリハットを伝える動画を作成し、その危険性を共有しています。

※「tebiki現場教育」で作成

なお、この動画は、誰でもかんたんに動画マニュアルが作れる動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」で作成されました。詳細が気になる方は、以下のリンクから資料をダウンロードしご覧ください。

>>動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を詳しく見てみる

正しい安全対策、操作方法をマニュアル化し周知する

現場の安全を維持し続けるには、感覚に頼らない「標準化されたマニュアル」の整備が必須です。

ロールボックスパレットを扱う全スタッフに対し、共通の安全基準を周知する必要があります。その場限りの指導ではなく、いつでも振り返ることができるマニュアルを整備することで、現場の安全水準を底上げできます。

次章では、現場で実際に活用されるマニュアル作成のコツを伝授します。

物流現場で「使われる」安全/操作マニュアル作成4つのコツ

本章では、形骸化を防ぎ、作業員の安全意識・作業品質を高めるためのマニュアル作成のコツを、以下の4つの観点から解説します。

  • 事故事例やヒヤリハットを紹介し、危険な機器であることを認識させる
  • 「誰が・いつ・何のために」マニュアルを使用するか、目的を明確にする
  • 現場スタッフの意見を反映し、実態に即した安全ルールを構築する
  • 安全/操作マニュアルに「動画」を活用する

なお、すでにマニュアル作成において「内容が伝わらない」「負担が大きい」「使われない」とお困りの方は、是非以下の資料をダウンロードしご覧ください。マニュアルの整備を成功に導くポイントをわかりやすくまとめています。

>>資料「成功に導く「わかりやすいコツ」つき はじめてのマニュアル作成ガイド」をダウンロードする

事故事例やヒヤリハットを紹介し、危険な機器であることを認識させる

筆者の経験上、ロールボックスパレットに対し、はじめから「危険な機器だから安全を意識しなければ」と考える作業員は少ないのが現実です。誰でも扱えるという手軽さが、危機意識を薄れさせていると考えられます。

しかし、ロールボックスパレットは転倒しやすく、災害の起こりやすい危険なマテハン機器です。

そのことを伝える方法として、具体的な労働災害事例や、自社で発生したヒヤリハットを示すことが挙げられます。作業者に「一歩間違えれば自分も被災する」という適度な緊張感を持たせることが重要です。

「誰が・いつ・何のために」マニュアルを使用するか、目的を明確にする

マニュアル作成において最も重要なのは、利用シーンと対象者を明確に絞り込むことです。

「全員向け」の網羅的なマニュアルは、情報量が多すぎて必要な箇所が読まれない原因となります。

  • 新人向け:各部名称や基本の「押し」操作、保護具の重要性を重点的に解説
  • 外国人労働者向け:言語の壁を超えられるよう、イラストや図解、多言語対応を重視
  • ベテラン向け:事故が起きやすいテールゲートリフターの操作ルールに特化

このように、ターゲットに合わせた内容構成にすることで、現場で本当に必要な情報がスムーズに伝わるようになります。

現場スタッフの意見を反映し、実態に即した安全ルールを構築する

管理者が作成した理想的なルールが、実際の現場動線や作業スピードに合っていない場合、ルール無視が発生し、マニュアルは形骸化します。

机上の空論で作成されたマニュアルは、作業員にとって『仕事をやりづらくする邪魔な存在』でしかありません。筆者は、そのようなマニュアルが、まったく機能しないシーンを数多く見てきました。

一方で、自分たちが意見を出し合い作成したマニュアルは、驚くほど自然に浸透していきます

作成過程で現場スタッフにヒアリングを行い、「この操作は現実的か」「他に危険を感じる箇所はないか」を確認しましょう。

安全/操作マニュアルに「動画」を活用する

操作手順や安全ルールの伝達には、テキストによる紙マニュアルではなく『動画』の活用をおすすめします。

ロールボックスパレットの力加減や重心の移動などは、どれだけ言葉を尽くしてもテキストや静止画では伝えきれません。

また、文字主体のマニュアルは現場で敬遠されがちですが、動画であれば数分で直感的に内容を理解できます。

教育コストを下げつつ、誰が指導しても同じ品質で教えるためにも、動画マニュアルへの移行が効果的です。

次章では、マニュアルづくりに動画がおすすめな理由について、さらに深掘りしていきます。

ロールボックスパレット(カゴ台車)のマニュアル作成に動画が有効である理由

本章では、動画教育が有効な理由を以下の2つの観点から解説します。

  • 何が安全で何が危険な操作なのか直感的に理解できる
  • 教育のバラツキを無くし、誰が教えても同じ品質を実現する

何が安全で何が危険な操作なのか直感的に理解できる

動画マニュアルの最大のメリットは、言葉や静止画では表現しにくい「動的なリスク」を一瞬で伝えられる点にあります。

口頭での説明やテキスト主体のマニュアルでは、パレットの慣性や重心の移動、倒れる際のスピーディーな挙動などを完全に理解させるのは困難です。その点、実際の動きを撮影した動画なら、これから現場で行う作業そのものを視覚的に学習できます

正しい操作方法だけでなく、あえて「NG行為」を映像で見せることで、作業員は危険な状態を直感的に察知できるようになります。

例として、ある物流企業では、ロールボックスパレットの正しい運用方法や禁止事項を伝える動画を作成し、効率的な教育を実現しています。

※「tebiki現場教育」で作成

なお、これらの動画は、誰でもかんたんに動画マニュアルが作れる動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」で作成されました。詳細が気になる方は、以下のリンクから資料をダウンロードしご覧ください。

>>動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を詳しく見てみる

教育のバラツキを無くし、誰が教えても同じ品質を実現する

指導者が複数いる場合、どうしても個人の経験則や癖、伝え忘れによって教育の品質に差が生じてしまいます。一度、模範となる操作動画を撮影し、それを用いて教育を行うようにすれば、すべての作業員に対して100%同じ水準の知識を共有できます

加えて、教育担当者が毎回つきっきりで実演・指導する必要がなくなるのも大きなメリットです。教育時間を大幅に短縮し、そのリソースを他のコア業務に充てることができるため、安全性の向上と生産性の向上を同時に実現できます。

次の章では、実際に現場の安全対策に動画を活用し、成果を上げた企業の事例をご紹介します。

動画を活用し物流現場の安全対策に成功した企業事例

ASKUL LOGIST株式会社

ASKUL LOGIST株式会社は、「安全」をすべてに優先させることを行動指針とし、全国15拠点の物流センターで安全対策に取り組んでいます。同社では、短時間勤務者、外国籍スタッフ、障がいを持つスタッフなど多様な人材が活躍しており、誰にでも確実に安全ルールを伝え、理解してもらうことが課題でした。

従来のOJTや紙マニュアルによる教育では、内容のバラつきや理解度の差が生じやすく、特に危険な動作や注意すべきポイント、言語の壁などが安全教育の障壁となっていました。そこで同社は、動画マニュアル「tebiki現場教育」を全拠点で導入。労働安全衛生法に基づくリスクアセスメントを重視し、安全な作業標準を動画で整備しました。

▼実際に作られた動画マニュアルの画面▼

パレット放置のリスクを動画で解説し、作業の標準化を整備した動画の切り抜き画像

tebikiを活用し、腰に負担のかかる作業姿勢など、紙では伝わりにくい危険な動作を視覚的に分かりやすく解説。図形の挿入や字幕、自動翻訳機能により、国籍や言語、個人の特性に関わらず、全ての従業員が安全に関する情報を正確に理解できるよう工夫しています。さらに、ヒヤリハット事例の共有やKYT(危険予知トレーニング)にも動画を活用し、現場の状況に近い臨場感で危険への感受性を高め、安全意識の向上を図っています。

これにより、導入教育や繰り返し教育の工数を大幅に削減しつつ、安全で標準化された作業を実現しています。

同社の詳しい事例は、以下のインタビュー記事でご覧いただけます。 

インタビュー記事:従業員数3,500名超・全国15拠点で動画マニュアルtebikiを活用!

※tebikiの詳しい機能や活用イメージがまとめられた資料はこちら

株式会社ロジパルエクスプレス

株式会社ロジパルエクスプレスでは、物流現場における安全品質の向上と事故・ヒヤリハットの削減を重要な課題と捉えていました。従来は拠点ごとに紙のマニュアルが作成されており、ルールや作業手順にバラつきが生じていました。

また、紙媒体では「荷物の積み上げは胸の高さまで」といった安全基準の微妙なニュアンスが正確に伝わりにくく認識の違いから事故につながるリスクがありました。

これらの課題を解決するため、同社は動画マニュアル「tebiki現場教育」を全拠点の従業員約300名を対象に導入しました。tebikiを活用することで、安全に関するルールや正しい作業手順を、動画を通して全拠点で統一し、明確に伝えることが可能になりました。特に、危険な箇所や注意すべきポイントを視覚的に示すことで、従業員一人ひとりの安全意識と理解度を高めています

具体的な取り組みとして、社内の事故防止強化月間に合わせ、フォークリフトの危険予知トレーニング(KYT)や商品の取り扱いルールに関する安全教育動画を作成し、tebiki上で全拠点に配信しています。

現場ではこれらの動画教材を活用し、忙しい業務の合間でも効果的な安全教育を実施。動画によって業務上の危険性が具体的に伝わりやすくなり、安全品質意識の向上につながっています。また、マニュアルへのアクセス性が向上したことで、必要な時にすぐに安全手順を確認できる環境も整備されました。

同社の詳しい事例は、以下のインタビュー記事でご覧いただけます。 

インタビュー記事:動画で全拠点の安全品質意識の向上と業務ノウハウの可視化を達成

※tebikiの詳しい機能や活用イメージがまとめられた資料はこちら

株式会社フジトランス コーポレーション

株式会社フジトランスコーポレーションは、港湾運送や倉庫業など多岐にわたる物流サービスを提供する中で、働き方改革の一環として安全教育の質の向上と標準化に取り組んでいます。

同社では、特にフォークリフト作業など「動き」を伴う業務において、講師による指導のニュアンスの違いや受講者の受け取り方の差が課題でした。また、安全教育用の動画を内製しようとしても、従来の編集ソフトでは作成負担が大きいという問題も抱えていました。

これらの課題に対し、同社は動画マニュアル「tebiki現場教育」を導入。安全衛生推進部が中心となり、安全衛生教育会で使用する関連法令の解説やリスクアセスメント教育、具体的な作業手順などの教材をtebikiで作成・活用しています。

動画を用いることで、正しい作業の「動き」や危険なポイントを視覚的かつ具体的に示すことが可能となり、教える側と教わる側の認識のズレを大幅に減らすことができました

tebikiはパソコン操作に不慣れな熟練講師でも直感的に扱えるため、現場の知見が詰まった質の高い安全教育コンテンツを効率的に作成できます。作成された動画は、全従業員が繰り返し視聴でき、教育内容の標準化に貢献しています。

また、作業者が標準作業から逸脱していないかを確認するための振り返りツールとしても活用されています。さらに、多言語自動翻訳機能により、増加する外国人労働者に対しても、言語の壁を越えて安全ルールを正確に伝えることが可能になりました。これにより、教育工数を削減しつつ、より効果的で均質化された安全教育を実現しています。

同社の詳しい事例は、以下のインタビュー記事でご覧いただけます。 

インタビュー記事:働き方改革の手段としてtebikiを活用。複数の部門で工数の効率化を実現!

※tebikiの詳しい機能や活用イメージがまとめられた資料はこちら

まとめ|ロールボックスパレットの事故事例を活かし現場の安全を守ろう

ロールボックスパレットは、特別な資格が不要で誰でも扱える便利さがある反面、一歩間違えれば重大な労働災害を招く危険なマテハン機器です。

統計データが示す通り、特に作業経験の浅いスタッフが被災しやすい傾向にあるため、本記事で紹介した”事故事例”を教育現場で積極的に活用してください。

加えて、現場の安全確保と事故による経営リスク軽減のために、以下の安全対策を実施しましょう。

▼ロールボックスパレットの安全対策方法▼

項目具体的な方法・ポイント
正しい服装/保護具の着用安全靴・ヘルメット・滑り止め付き手袋を着用し、身体を保護する
停車時のキャスターロック短時間の停車であっても確実にロックを行い、逸走を防止する
段差や傾斜通行時の最徐行転倒を防ぐため、段差や傾斜地は低速で移動する
昇降板からの退避テールゲートリフター作動中は、昇降板の上に立ち入らない
倒れそうな時の即座の回避パレットを無理に支えようとせず、倒れる方向から逃げる
正しい積載とサイドバー装着安全な積み込み方法を実践し、サイドバーを正しく使用する
視界確保とルールの義務化ミラーの設置や交差点での一旦停止をルールとして習慣化させる
折りたたんでの移動禁止重心が不安定で転倒しやすいため、展開した状態で操作を行う
複数人での復旧作業転倒したパレットを起こす際は、2名以上で声を掛け合う
ヒヤリハット報告の可視化潜在的な危険を動画等で共有し、現場全体の安全意識を向上させる
マニュアル化と周知徹底誰でも同じ品質で作業できるよう、標準化されたルールを整備する

これらの対策を確実に浸透させるには、言葉や紙のマニュアルだけでなく、直感的に理解できる”動画マニュアル”の活用が有効です。

その上で、本記事でご紹介した「tebiki現場教育」を活用すれば、誰でもかんたんに動画マニュアルを作成でき、習熟度や視聴率の管理もスムーズです。

ロールボックスパレットの事故事例や正しい操作方法を可視化し、誰が教えても同じ品質で学べる環境を整えることで、従業員の安全と会社の信頼を守りましょう。

出典元/参照元

労働安全衛生総合研究所「ロールボックスパレット起因災害防止に関する手引き」
厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例」

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