ISO9001の要求事項にもとづく教育訓練の計画や記録は、製造業の現場での品質向上に欠かせません。
そこでこの記事では、ISO9001の要求事項にもとづく教育訓練の立て方や、すぐに使える便利なテンプレートについてご紹介します。
教育訓練計画表を使用することで計画の整理や進捗管理、スキルの評価が容易になり、組織全体で効率的な力量管理が実現します。他にも、教育訓練の効果を高めるスキルマップの活用方法や、有効なツールについても紹介するのでぜひご覧ください。
ISO9001の要求事項は企業が遵守すべき内容ですが、「要求事項が複雑で現場に落とし込めない…」「要求事項を満たせているか管理ができない…」というお悩みもよく耳にします。
そこで、「動画マニュアルでISO管理を最適化する方法」について詳しく解説した資料をご用意いたしました。本記事と併せてご覧ください。
目次
ISO9001における教育訓練とは
ISO9001における教育訓練とは、ISO9001の要求事項のうち「7.2力量」の要件を満たす教育のことです。特に製造業では、適切な教育訓練を通じて現場の効率や生産性を高めることが求められます。
そこで、まずISO9001の基礎知識や教育訓練の目的といった基礎知識をご紹介します。「7.2力量」の詳細については、後述する『力量を身につけるため』で詳しく解説します。
ISO9001とは
ISO9001とは、ISO(国際標準化機構)が定める、製品やサービスの品質・安全性・信頼性を保証する基準のうち、顧客満足と製品品質の向上を目指す規格です。
ISO9001を取得することで、組織は品質管理プロセスの標準化と改善を行い、信頼性の高い製品やサービスを提供する能力を証明できます。ISO9001の詳細や認証の流れ、取得のメリットについては以下の記事をご覧ください。
関連記事:ISO9001(品質マネジメントシステム)とは?認証取得するメリットや流れ、難易度などを解説!
教育訓練とは
ISO9001の中でも「7.2力量」の項目に教育訓練のニーズや取扱いが規定されています。教育訓練に関する理解を深めるために、教育の実践方法と訓練の例を解説します。
- 教育の実施方法
- 教育訓練の例
教育の実施方法
教育訓練には、大まかに分けるとOFF-JTとOJTの2つの方法があります。
OFF-JTは座学や研修センターでの講義などを通じて理論的な知識を学ぶ方法です。短期間で多くの知識を効率的に学べるメリットがある一方で、実務と離れた環境での学習になるため、実践への応用に時間がかかるというデメリットがあります。
OJTは実際の業務を通じてスキルや知識を学ぶ方法です。実務を通じて学ぶため即戦力としてスキルを習得できますが、教育の質がトレーナーの能力に依存するため均一な教育が難しいことが課題です。
OJTの具体的な進め方や成功のコツについては、別記事「OJTを効果的に進めるコツ6選!製造現場で使える具体的な指導のポイントを紹介」や、専門家による以下の解説動画内でも詳しくご紹介しているため、併せてご覧ください。
教育訓練の例:品質管理の力量・認識を養うケース
教育訓練の例として、「品質管理」について教育する(品質管理の力量・認識を養う)ケースを考えてみましょう。
教育訓練のコツとして、対象者のレベルに応じて教育内容を変えることが挙げられます。
<新人が対象の場合>
新人には、品質教育を通じて品質管理の重要性を教え、品質意識を養いましょう。たとえば、製造工程の基本的なチェックポイントや品質基準の理解を促す研修を実施します。
関連記事:品質教育では何を教える?教育の進め方や成功事例も解説
<中堅~ベテランが対象の場合>
中堅からベテランの従業員には、具体的な管理手法を習得させましょう。
たとえば、QC7つ道具や新QC7つ道具といったQC手法の活用方法の知識を深める研修を行い、実際の業務において習得した手法を活用する能力を養います。
関連記事:QC7つ道具とは?業務実例から具体的な使い方を解説【練習問題付き】
<管理職が対象の場合>
管理職には品質管理責任者(QMR)の資格取得に向けた取り組みや、品質教育のマネジメントを実施する能力を習得させることが重要です。
たとえば、品質マネジメントシステムの運用や改善策の立案・実行を担当するための専門的な研修を行います。研修により、管理職は自らが品質管理のリーダーとなり、組織全体の品質向上を推進する役割を果たすことが期待できます。
教育訓練の目的
教育訓練の目的として、以下の2つが挙げられます。
- 力量を身につけるため
- 適切な認識を養うため
力量を身につけるため
力量とは、意図した結果や品質を達成するために、知識及び技能を適用する能力のことです。ISO9001の7.2条項において、組織は力量について以下の事項を行うことが求められています。
- 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務に必要な力量を明確にする。
- 適切な教育、訓練、経験に基づいて、その力量を備えることを確実にする。
- 必要な場合には、力量を身につけるための処置をとり、その有効性を評価する。
- 力量の証拠として適切に文書化した情報を保持する。
つまり、要求を満たすために、教育や訓練を通じて従業員が適切なスキルを身につけることが必要です。
たとえば、新しい技術や設備の導入の際は操作方法や保守方法に関する訓練を実施し、従業員が実務において効果的に対応できるようにします。
適切な認識を養うため
認識とは、品質方針や関連する品質目標、品質マネジメントシステムの有効性への貢献、要求事項に適合しないものを従業員が理解することを指します。力量を備えた従業員が認識を持つことで、はじめて意図した結果や品質などの目標が達成されるため、認識は力量とともに欠かせない要素です。
ISO9001の7.3条項では、組織が次の事項を行うことが求められています。
- 品質方針や品質目標を従業員に周知させる。
- 品質マネジメントシステムの有効性に対する従業員の貢献を認識させる。
- 要求事項に適合しないことの意味を理解させる。
従業員が認識を持つには、教育や訓練、そして効果的なコミュニケーションが必要です。
たとえば、品質方針や品質目標、品質管理への意識を養うために研修を行うことが考えられます。また品質管理システムの全体像を理解するための研修を実施し、組織全体の品質意識を高める教育も効果的でしょう。
従業員に向けた品質教育として、専門家が解説する「トヨタ流品質管理に学ぶ!はじめての変化点管理」の動画も無料でご活用いただけます。
具体的な品質管理の手法のほか、品質を作りこむために必要な基礎知識も網羅しています。是非ご覧ください。
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効果的な教育には「教育訓練計画表」が必要
効果的な教育には「教育訓練計画表」が必要です。ここでは以下の3つについて解説します。
教育訓練計画表とは?
教育訓練計画表とは、組織が計画的に実施する教育訓練の内容を文書化したものです。ISO9001の規格にもとづき、教育の目的、対象者、実施時期、内容、評価方法などを明確にするためのツールとして用いられます。
教育訓練計画表はなぜ必要?
教育訓練計画表は、ISO9001内で要求される事項を満たすために必要です。
ISO9001の「7.2力量」では、組織は以下の事項を行うことが求められています。
- 品質マネジメントシステムのパフォーマンスおよび有効性に影響を与える業務に必要な力量を明確にする。
- 適切な教育、訓練、経験にもとづいて、その力量を備えることを確実にする。
- 必要な場合には、力量を身につけるための処置をとり、その有効性を評価する。
- 力量の証拠として、適切に文書化した情報を保持する。
つまり、力量を明確にすること、力量を備えていること、さらに力量獲得や向上のための処置の有効性を評価すること、評価のために証拠となる文書化した情報が必要です。
上記について、教育訓練計画表を整備することで「7.2力量」の要求する条件を満たすことができます。
「7.2力量」で要求されている事項 | 教育訓練計画表の効果 |
力量を明確にすること | 教育訓練計画表上で力量の水準や獲得条件を記載することで明確にできる |
力量を備えていること | 教育訓練計画表上でどの従業員が現状でどのスキルを持っているのかを明らかにできる |
力量獲得のために処置を取ること | 教育訓練計画表上の計画に沿って教育を実施することで、力量を獲得するための処置が実施される |
処置の有効性を判断するために、適切に文書化した情報を持つこと | 教育訓練計画表に記録をすることで、必要な情報を適切に文書化できる |
教育訓練計画表のメリット
教育訓練計画表のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 進捗管理がしやすい
- 必要なスキルが身についたか正しく評価できる
- スキルを示す明確な証拠になる
進捗管理がしやすい
教育訓練計画表を使用することで、訓練の進行状況を一元的に管理し、進捗を可視化できます。
進捗管理により、計画の遅れや未実施の訓練を早期に発見し、対策を講じることが可能です。たとえば、計画表を用いて毎月の進捗状況を確認することで、訓練の遅れを迅速に把握し、必要な修正を加えることが可能です。
また計画表の活用により計画的な人員育成が実現するため、採用計画や長期的な育成(幹部候補への教育、技術伝承など)も容易になります。
必要なスキルが身についたか正しく評価できる
教育訓練計画表の活用により、従業員に必要なスキルや知識を明確化し、獲得するための訓練を体系的に実施する計画が実現します。教育訓練計画表を取り入れることで特定のスキルが不足している領域を見逃すことなくカバーでき、必要なスキルが身につきやすくなります。
さらに訓練前後のスキル評価を行うことで教育訓練の効果を測定し、必要に応じて内容や方法を見直すことが可能です。たとえば、新しい技術の導入に伴う訓練後に、従業員が技術を効果的に使用できているかを評価し、改善点を見つけることが可能です。
スキルを示す明確な証拠になる
教育訓練計画表には「誰が・どの訓練を・いつ受けたか」という記録が残るため、個人のスキルを明確に証明できます。
さらに教育訓練計画表はISO9001の要求事項である「力量の証拠として適切に文書化した情報を保持する」という要件を満たすため、内部監査や第三者監査でも有効な証跡となります。
たとえば、内部監査時に訓練記録を提示することで従業員が必要な教育を受けていることを証明でき、監査対応がスムーズに進むでしょう。
【テンプレ付き】ISO9001の要件を満たす教育訓練計画の立て方
ISO9001の要件を満たすためには、計画的で体系的な教育訓練が必要です。以下では教育訓練計画の立て方について、具体的な方法とポイントを解説します。
さらに、「【無料】教育訓練計画表のテンプレート」では、すぐに活用できる教育訓練計画表のテンプレートもご紹介します。
教育計画の目的を明確にする
教育訓練計画を立てる際は、目的を明確にすることが重要です。
目的が明確でない状態では教育訓練の効果が不透明になり、リソースの無駄遣いにつながる可能性があります。具体的には、組織全体の品質向上、従業員のスキルアップ、特定の業務プロセスの改善など、明確な目標を設定することが重要です。
また新入社員や中堅社員、管理職など、各層に対する具体的な教育訓練の目的を明確にし、教育訓練後にどのような成果を期待するのか、具体的な成果指標を設定しましょう。
たとえば、新入社員向けの教育訓練では基本的な業務プロセスの理解と適用が目的となり、成果としては、初期業務のミス削減や生産性向上が挙げられます。
また管理職向けの教育訓練では、リーダーシップスキルの向上や品質管理手法の深化が目的となり、成果としては組織全体の効率化と品質向上が挙げられるでしょう。
このように目的を明確にすることで教育訓練の方向性が定まり、より効果的な計画が立てられるようになります。
業務において必要な力量を整理する
教育訓練の目標を明確にしたのちは、業務において必要な力量を整理することが重要です。力量の整理とは、従業員の現状のスキルを把握し、足りないスキルを洗い出すプロセスを意味します。
具体的な手順として、まず従業員の現在のスキルレベルを評価し、業務に必要なスキルと比較します。スキルレベルの評価は、スキルマップや自己評価シートを活用することで客観的かつ効率的に行えます。スキルマップについては、後述する「教育訓練計画表の作成にはスキルマップの活用が効果的!」で詳しく解説します。
その上で、業務遂行に必要なスキルや、従業員が未習得のものをリストアップしましょう。
さらに特定した不足スキルの中で、特に重要で早急に習得が必要なスキルの優先順位を高く設定します。力量の整理により従業員のスキルギャップが明確になり、それにもとづいた教育訓練計画を策定することが可能になります。
教育訓練計画を表に記載する
教育計画や獲得したい力量を明らかにしたのちは、教育訓練計画を表に書き出してみましょう。
表の項目として、具体的なスキルの水準、評価方法、評価者、取得期間などが考えられます。スキルの水準を定め、従業員がどのレベルに到達すればよいかを明確にし、評価方法と評価者を決めて表に落とし込むことで一貫した評価が実現できます。
例として、以下のような表が挙げられます。
スキル | 水準 | 評価方法 | 評価者 | 評価期間 |
品質データ分析 | 基本的なデータの収集と分析ができる | テストと実務評価 | 品質管理部門の上司 | 3ヶ月 |
顧客フィードバックの活用 | フィードバックを分析し、改善案を提案できる | 実務プロジェクトの成果 | チームリーダー | 6ヶ月 |
改善手法 | 具体的な改善策を立案し実行できる | 実績レビューとKPI達成度 | プロセスマネージャー | 6ヶ月 |
スキルの水準を決める
教育訓練計画の策定において重要なのは、スキルの水準を明確に定めることです。
従業員が「どのレベルまで達成すればよいか」を示す基準を設定しましょう。たとえば「テストに合格したらレベル1、報告書作成が自力でできたらレベル2」というように、具体的な基準を設定することで、従業員のスキル基準が明確に評価され、判定にばらつきが生じることを防ぎます。
評価基準が一定でない状態ではスキルのばらつきが生じ、教育計画全体が失敗する可能性があるため、慎重に設定することが重要です。
スキルの評価方法や評価者を決める
次に、スキルの評価方法と評価者を決定します。
評価方法としては実技に合格したらOK、資格取得でOK、研修を受けるだけでOKといったパターンが考えられます。評価方法を明確にすることは、従業員のスキルレベルを正確に測定することに繋がるため重要な要素です。
たとえば、実技試験を通じてスキルを評価する場合、具体的な試験内容と合格基準を設定します。資格取得を評価基準とする場合、取得すべき資格とその取得方法を明確にします。
また研修の受講を評価基準とする場合は、研修内容と出席の確認方法を定めるとよいでしょう。
スキル取得までの期間を決める
最後にスキル取得までの期間を決定します。
「いつまでにこうなっていてほしい」という具体的な教育計画の目標から逆算し、達成に向けたスケジュールを詳細に計画しましょう。たとえば、3ヶ月以内にデータ収集ができるようになり、さらに次の3ヶ月では収集したデータをもとに報告書の作成ができるようになるといった期間や目標を決めましょう。
その上で教育訓練のスケジュールを逆算して設定し、具体的な日程やマイルストーンを設けます。
たとえば新しい技術の導入に伴う教育訓練の場合、最初の研修から実技試験、最終評価までのスケジュールを設定します。スケジュールにもとづいて各段階での進捗を確認し、問題が発生した場合には早期に対応することが可能です。
定期的な評価/振り返りと更新を行う
教育訓練の有効性を確保するには、定期的な評価と振り返りが不可欠です。
ISO9001の要求事項にもとづき、教育訓練の実施後には有効性の評価が求められています。具体的には、訓練計画書をもとにどのような訓練が行われ、対象者の力量がどの程度向上したかを評価します。
たとえば、訓練後の実技テストやアンケートを通じて従業員のスキル向上を測定し、その結果をもとに訓練内容を微調整することが考えられます。また年間単位での教育訓練計画の場合、年度末に振り返りや達成度の評価を行い、次年度の計画に反映させます。
評価と振り返りにより、PDCAサイクルに沿った継続的な改善が可能となります。
評価する際には、訓練の目的が達成されているか、スキルの向上が実現しているか、訓練内容が適切であったかなど多角的な視点で評価を行い、必要に応じて訓練内容や方法を見直しましょう。
【無料】教育訓練計画表のテンプレート
教育訓練計画を効率よく実行するには、テンプレートを活用することが有効です。
現場改善ラボでは、ISO9001の要件を満たす教育訓練計画表の無料テンプレートを提供しています。テンプレートを使用することで、教育訓練の計画・実施・評価が体系的に管理でき、手間を省くことが可能です。
また、本テンプレートはスキルマップも内包されているため、スキルを参照しながら効率的に教育訓練の計画を立てることが可能です。以下のフォームより現場改善ラボのメルマガにご登録いただくと、Excel形式のテンプレートをDLいただけます。
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教育訓練計画表の作成にはスキルマップの活用が効果的!
教育訓練計画表を作成するうえで、便利なツールが「スキルマップ」です。
スキルマップは業務内容に関するスキルのレベルを記録したものです。以下ではスキルマップを活用するメリットと、スキルマップのテンプレートについて説明します。
また、スキルマップがすぐに活用できるテンプレートもご用意いたしました。先述した「【無料】教育訓練計画表のテンプレート」にて、教育訓練計画表とスキルマップがセットになったテンプレートを入手可能ですので、是非ご覧ください。
スキルマップ活用のメリット
スキルマップを活用することで、教育訓練計画を効率的に進められます。スキルマップは、従業員の現在のスキルレベルと必要なスキルレベルをひと目で把握できるため、訓練計画の立案がスムーズに行えます。
例として、スキルマップ上で各従業員のスキルレベルが可視化されるため、個々人に合わせたトレーニング計画や、足りないスキルを取得するための計画を効率良く立てることができます。
他にも、実際に教育を実施する場面でもスキルマップを活用することで、トレーニングの進捗状況を継続的に監視し、計画が予定通りに進んでいるかどうかや、計画の修正が実施しやすくなります。
スキルマップの概要や項目例については、以下の記事でも詳しく解説しています。本記事と併せてご覧ください。
関連記事:スキルマップとは?作り方や項目例、テンプレートをご紹介
現場教育をまるごと管理できる現場教育システム「tebiki」とは?
現場教育を効果的に管理するためのツールとして、「tebiki現場教育」がおすすめです。ここではtebiki現場教育の概要や活用のメリット、企業事例を紹介します。
ISO9001の要求に沿った教育訓練には「教育体制の整備」が欠かせない
ISO9001の要求に沿った教育訓練を実践するには、計画表/スキルマップの整備だけでなく、教育体制の整備が欠かせません。計画のみならず、教育効果を確認できる体制なくして教育のPDCAを回すことはできないため、現場教育の体制全般にアプローチする必要があります。
また、現場教育の管理には、計画立案から実施、評価まで多くの課題があります。
まず、教育計画の立案やマニュアルの作成には多大な時間と労力がかかるため、教育担当者や現場の業務を圧迫し、負担となる恐れがあります。
同様に、教育方法によって現場に課題が生じることが考えられます。例として、OJTは個別の指導が可能ですが教育係に大きな負担がかかり、教え方や内容にばらつきが出やすいでしょう。
このように教育の質が統一されないことで従業員のスキルレベルにばらつきが生じ、現場の生産性や品質にも影響が生じる可能性が考えられます。
教育の質のムラがある状態では、計画に沿った教育訓練や教育訓練の効果を正しく計測できないため、改善が求められます。
教育訓練に役立つ現場教育システム「tebiki」とは?
「tebiki」は動画マニュアルとスキルマップ機能を備えた、現場教育を一括で改善・管理ができる教育システムです。
以下、tebikiの特徴とメリットについて解説します。
動画マニュアルで教育の質と効率アップ
tebikiに備わった動画マニュアル機能は、現場教育の質と効率の向上に役立ちます。動画マニュアルの活用には、以下のようなメリットがあります。
- OJTを動画に置き換えることで、教育担当者の負担を大幅に軽減
- 動画という同一の教材で教え方や教育内容のばらつきを排除し、教育の質を標準化
- 視覚と聴覚を通じて情報を伝えるため従業員の理解度が向上し、習熟度が高まる
- 複雑な手順や言語化しにくいカンコツも、動画なら分かりやすく伝えられる
このようなメリットがある動画マニュアルですが、「作成は難しそう…」「動画編集なんてしたことないから不安…」とお思いの方も多いのではないでしょうか。
しかし、tebikiは「誰でも簡単に動画マニュアルが作れること」が特徴のため、高品質なマニュアルを現場に負担なく作成が可能です。
tebikiなら普段のOJTをスマートフォンで撮影するだけで字幕が自動生成され、編集や図形の追加もクリックだけで直観的に行えます。
また、教育訓練計画表をtebikiで置き換えられることもメリットです。
具体的な手順やプロセスを動画で説明することで、計画表に依存せずに必要なスキルや知識を効果的に伝えられます。
加えて、マニュアルの視聴状況をリアルタイムで確認できるレポート機能も備わっているため、進捗状況が把握でき、教育計画の記録や有効性を確認できる点もメリットです。
スキルマップでスキル管理を手間なく可視化
tebikiには動画マニュアルだけではなく、スキルマップも備わっています。tebikiのスキルマップは従業員のスキルを可視化し、効果的に管理するために有効です。主な機能として、「スキル管理機能」と「スキルマップ機能」があります。
スキル管理機能では、従業員のスキルをプラットフォーム上で簡単に登録・編集・削除することが可能です。この機能により、従来の紙やExcelによるスキルマップでは実現が難しかった「リアルタイムなスキル管理」が実現するため、より現場に即した教育計画を立案できます。
加えて、登録されたスキルと動画マニュアルを紐づけることが可能なため、教育内容や評価基準を一括で管理できる点も特徴です。これにより、Excelで作成したスキルマップでは複数のファイルを行き来したり、既存のマニュアルと紐づけができなかったという問題が解決できます。
tebikiのスキル管理機能により教育訓練に必要な情報を一元化できるため、教育訓練の計画や現場でのトレーニングにかかる時間や工数を大幅に削減しながら、スキルレベルの均質化が望めるでしょう。
スキルマップ機能では、登録されたスキルと従業員情報を表形式で表示し、スキルを計画・評価することが可能です。さらに、スキルの評価方法をカスタマイズすることも可能なため、ILUO評価や4段階評価など自社で採用している独自の評価方法を設定することができます。
「汎用的なテンプレートでは現場に即したスキルマップが作成できなかった…」とお悩みの方も、tebikiのスキルマップ機能の活用により、正しくスキルを記録・評価できる体制が実現します。
本記事でご紹介したtebiki現場教育の機能詳細や導入効果、導入サポート体制について詳細にまとめた資料をご用意しております。「ISO9001の基準を満たした教育訓練を現場で行いたい!」「現場教育の負担を解消し、効果的な教育体制を整備したい!」とお考えの方は、是非ご参考ください。
tebikiを活用した教育訓練の企業事例
tebikiを活用して現場教育の課題を解決した事例として、以下の2社をご紹介します。
- 理研ビタミン株式会社
- 株式会社神戸製鋼所
上記の2社の他にも、tebikiは様々な企業で活用されています。製造業におけるtebikiの導入事例をもっと詳しく知りたい方は、是非以下の詳細な資料をダウンロードしてみてください。
理研ビタミン株式会社
理研ビタミン株式会社は1949年に設立され、ビタミンAの製造を皮切りに、現在では「ふえるわかめちゃん」や「リケンのノンオイル 青じそ」などの調味料や加工食品を製造しています。
同社では、品質保証部門と製造部門における業務標準化と技術伝承に課題を抱えていました。具体的には、教育訓練の質を統一し、効率的な技術継承を実現することが求められていました。主な課題として、OJTでは教育係の負担が大きく、教育の質にばらつきが生じやすいことが問題になっていたとのこと。
そこで理研ビタミンは、「tebiki」を導入することで課題を解決しました。
具体的な例として、tebikiの動画マニュアル機能により教育訓練の標準化を実現しています。tebikiはスマートフォンで簡単に動画マニュアルを作成できるため、教育係の負担を軽減しながら教育の質を担保できました。
また、動画教材を使用することで教育のばらつきを防ぎ、品質の一貫性を保つことにも成功しています。さらに教育訓練計画表を置き換える形で動画マニュアルを活用し、教育内容を効果的に伝えられたというメリットも。スキルマップ機能を利用することで従業員のスキルを可視化し、効果的なスキル管理を実現しました。
理研ビタミンが実感しているtebikiの導入効果・動画マニュアルを社内展開させたコツについては、以下のインタビュー記事を是非ご覧ください。
インタビュー記事:品質保証部門と製造部門がONEチームで取り組んだ業務標準化と技術伝承
株式会社神戸製鋼所
株式会社神戸製鋼所は、素材系事業、機械系事業、電力事業を展開する日本の大手製造企業です。
同社は、紙の作業手順書だけでは作業内容の詳細を伝えきれず、教育にばらつきが生じるという課題に直面していました。主な課題として、OJTでは教育内容にムラがあり、作業品質にもばらつきが生じていたこと、紙マニュアルの作成に多大な時間がかかってたことが挙げられます。
そこで神戸製鋼所はtebikiを導入し、教育課題を解決しました。
tebikiにより作業内容が詳細に伝わったことで、教育内容のばらつきを防止できたほか、動画マニュアルと紙の手順書を組み合わせることで、新人からベテラン社員まで一貫した教育を提供できるようになり、作業の標準化と効率化が進みました。
神戸製鋼所によるtebiki導入当時のエピソードや、tebiki活用による今後の展望については以下のインタビュー記事を是非ご覧ください。
インタビュー記事:動画を活用した現場の人材教育効率化と作業標準化
ISO9001の教育訓練計画表を理解して現場改善しよう【まとめ】
ISO9001における教育訓練は品質マネジメントシステム(QMS)の一環として、従業員が必要な力量を身につけ、適切な認識を養うためのプロセスです。
教育訓練計画表は教育計画の目的を明確にし、業務に必要な力量を整理し、計画を表に記載することで体系的な訓練が実現します。
またスキルマップの活用により、訓練計画はさらに効率的かつ効果的になります。
「tebiki」のような現場教育システムを導入することで、動画マニュアルによる教育の質と効率の向上、スキルマップ機能によるスキル管理の可視化が可能です。
理研ビタミン株式会社と株式会社神戸製鋼所の事例では、「tebiki」を活用することで教育訓練の質が向上し、現場の課題を解決しました。
この記事で紹介したtebikiの資料は無料でダウンロード可能です。ぜひこの機会にダウンロードしてみてください。