かんたんデジタル現場帳票ツール「tebiki現場分析」を展開する、現場改善ラボ編集部です。
業務効率や製品の品質を高め、製造業における競争力を維持するには、適切なデータ活用を行うことが重要です。しかし「データの活用方法がわからない」「データを集めたものの、どのように利用すればいいか悩んでいる」という方も多いでしょう。
この記事では製造業でデータ活用を進める上で発生する課題や具体的な進め方、データ活用をサポートするおすすめのツールなどについて詳しく解説していきます。
なお、生産品質の向上には、製造現場で起きていることをITツールやデータを用いて可視化することが欠かせません。そこで、指標とすべきデータの種類や収集方法、実際にデータ分析を行う実践的な方法を実例を踏まえて解説した専門家によるセミナー動画「生産品質向上のためのデータ分析と改善活動」(視聴無料)をご用意いたしました。本記事と併せてご覧ください。
目次
製造業におけるデータ活用とは?
製造業におけるデータ活用とは、作業内容や機械・設備の状態など工場内の様々なデータを収集・分析し、製造プロセスや生産管理などの改善に活用する取り組みのことです。
2024年の経済産業省「ものづくり白書」によると、8割を超えるものづくり企業がデジタル技術を活用していることがわかります。年々、この割合は増えていることからも製造業でのデータ活用は活発に進んでいると言えるでしょう。
データ活用が製造業で注目されている目的
製造業でデータ活用が注目されているのは、業務の効率化が見込まれるためです。工場内に散乱している様々なデータを収集して活用することにより、既存の業務プロセスを改善するヒントが見つかるでしょう。
製造実績や機械設備の状態などに関するデータを収集して分析することで、以前まで経験や勘などに依存して判断していたことを明確なデータを根拠に判断して実行するデータドリブンな経営が可能になります。高い精度での製造計画の策定や品質改善につながり、コスト削減や生産性向上などの様々な課題解決が実現します。
また、データ分析で業務効率化を実現することで、製造業における生産性や品質を阻害する3つの要素「3M(ムリ・ムダ・ムラ)」の解消にもつながるでしょう。製造現場における3Mの重要性や3M改善の実践方法について詳しく知りたい方は、専門家による解説動画をご覧ください。
以下のリンクをクリックすると無料で視聴いただけます。
>>専門家による「ムリムダムラを見つける視点と改善」の解説動画を見てみる(視聴無料)
製造業におけるデータ活用の具体的な進め方
製造業には、データ活用を妨げる様々な課題があるため、適切なステップを踏んで進めるのが重要です。ここでは、データ活用の進め方について、ステップごとに具体的に説明していきます。
データを活用する目的・課題を設定する
まずは現状でどのような課題があり、データを活用する目的はなにか、明確に設定しましょう。複数の課題と目的がある場合には、解決できた効果×解決手段の難易度で取り組むテーマの優先度を整理するのがおすすめです。
製造業でのデータ活用の目的の具体例は以下のようなものがあげられます。
- 機械の稼働状況をリアルタイムで監視して突然の機械故障による生産停止を防ぐ
- 稼働率の低い機械を特定し、設備の改修や再配置
- 在庫データの活用で管理を最適化し、過剰在庫や欠品を防ぐ
自社の目的・課題を整理して適切な設定を心がけましょう。
日常業務のデータ収集を進める
データ活用の目的が明確になったら、分析・活用に必要となるデータの収集を進めましょう。既にデータが蓄積されている場合には、活用できるかの判断をしますが、使えそうなデータがなく新たに収集する場合には、マスタを定義し、データ収集のやり方を標準化して仕組み化するのがポイントです。
なお、製造業の場合、日常業務のデータを集める手段である「現場帳票」を電子化することで、効果的かつ効率的にデータ収集が可能です。「共栄工業株式会社」では、1日2時間かけていたExcelへのデータ転記作業が現場帳票の電子化によって、約1分まで短縮することに成功しています。
このように様々な企業で帳票の電子化が進んでおり、現場で使われている帳票の作成・記録・管理・分析ができる専用ツールも提供されています。収集したデータをレポートで可視化して分析できるため、異常発生や品質不良の兆候などにいち早く気づくことが可能です。
現場帳票のデジタル化について、より詳しく知りたい方は、メリットや帳票のデジタル化を進める手順などをまとめた「はじめての現場帳票デジタル化ガイド」もあわせてご覧ください。
「見える化」して整形したデータを分析して改善を進める
収集したデータは誰が見てもわかるように、グラフやレポートなどに整形して「見える化」することも心がけましょう。データが見やすくなることで、分析がしやすくなり、異常値の判別などや傾向管理が可能になりますなどを察知しやすくなります。
データの見える化・整形が完了したら本格的に分析を進めていきましょう。データ分析には様々な手法がありますが、製造業では以下が代表的です。
手法 | 詳細 |
---|---|
クロス集計分析 | 収集した2つ以上のデータの関連性から傾向やパターンを分析する手法 |
ABC分析(重点分析) | 売上数量・金額・回転率などの複数のデータから優先度をつけてA.B.Cの3つのグループに分類する分析手法 |
回帰分析 | データ項目の関係性から、現状の傾向や今後の予測を行う分析手法 |
例えば、製品の不良率を減少させたいという目的があった場合、影響する要因を特定するための回帰分析を用いるのが最適です。また、各種データの関係性の分析・整理などに役立つ手法として定量的なデータを用いて分析する「QC7つ道具」もあります。
QC7つ道具について、より詳しく知りたい方は、基礎知識や問題を可視化する遣い方などを詳しく解説している専門家による以下のセミナーもあわせてご覧ください。
>>専門家による「『正しいQC7道具の使い方』と『改善の考え方』」の動画を無料で見る
分析したいデータによって、最適な手法は異なるため、分析手法の詳細を理解した上で適切な手法を選べるようにしましょう。
効果検証をしてPDCAを回す
改善をするだけではどの程度効果が得られたのかを把握できないため、改善策に対しての効果検証を実施し、PDCAを回して改善→検証を繰り返すのが重要です。
たとえば、新しい生産プロセスを導入した場合、生産量や作業時間などの指標を用いて、予測された効果が得られているかを検証します。1か月間の試験運用を行い、KPI(待ち時間、生産量、不良率)を測定により明確な効果が確認された場合、他のラインにも導入するといったことが考えられます。効果が確認できない場合はデータを再分析し、原因を究明することで、効果的な改善策を立案できます。
製造業におけるデータ分析の進め方については、専門家によるウェビナー動画(視聴無料)をご覧ください。指標とすべきデータの種類や収集方法、実際にデータ分析を行う実践的な方法を実際の事例をもとに解説しているため、データ分析をこれから始める方や基礎情報をおさえたい方に最適の内容となっております。
製造業でデータ活用を進める上での課題
データドリブンな経営や業務効率が見込めるなど、製造業におけるデータ活用には様々な効果があります。しかし、データ活用はかんたんに進められるわけではありません。ここでは、製造業におけるデータ活用の課題について解説していきます。
データ活用・分析できる人材が限定的で属人化している
製造業では以下のように様々なデータが存在しています。
作業員に関するデータ | 作業者の出勤状況や作業速度、保有スキルなど |
生産に関するデータ | 生産数や機械の稼働率、サイクルタイム(製造にかかる時間)など |
品質に関するデータ | 不良率、品質検査の結果、検査項目ごとの合否判定など |
設備に関するデータ | 設備の稼働時間やメンテナンス履歴、故障率など |
これらの膨大なデータを適切に収集し、分析するのは非常に高度なスキルや知識が必要です。分析に不備があると、誤ったデータに沿って方針が策定されてしまい、結果として大きな損失につながる可能性も十分に考えられます。
そのため、どこの工場でもデータ活用・分析ができる人材が限定的な傾向があり、属人化しているのが現状です。結果として、全社的なデータの活用が進まない状況に陥っています。
データ構造が複雑化している
製造業では、顧客管理(CRM)、企業資源計画(ERP)などのデータや、機械や人の稼働状態といったデータ、また、生産実行(MES)のデータなどがあります。
これらは全てデータの構造が異なり複雑化しているため、データごとのアプローチを変えなければならず、それぞれを融合させて活用するとなると必然的に難易度が上がります。
顧客管理(CRM)、企業資源計画(ERP)などは既に構造化されているデータであるのに対し、人や機械の稼働状態に関するデータは非構造であり、結びつけて分析するのが困難です。
データがサイロ化している
サイロ化とは、データやシステムがそれぞれの拠点や部門・部署で別々に管理されており、連携が取れていない状態のことです。データがサイロ化してしまうと、そもそもどのデータがどこにあるのか、管理部門ごとにどのような活用がされているのかがわかりません。
データ活用する目的は様々ですが、適切な意思決定を行うのが主となる目的のケースも多いです。しかし、データがサイロ化していると判断材料となるデータへのアクセスができずに意思決定の遅れにつながることも。
また、複数の部門や拠点で同じデータを異なるシステムに保存してしまい、ストレージに保存しておくためのデータ容量が増えて余計なコストが発生する可能性もあります。
データの管理・保管が目的になっている
データの管理や保管をしているものの、そのデータを分析して活用するまで進めることができずに、いつのまにか管理・保管することが目的になっているケースもあるでしょう。
管理や保管においても、年数を重ねていくと担当者が変わることによって、データの命名規則や格納するフォルダなどのルールが微妙に変化して適切に管理・保管することも難しくなります。
例えば、日々作成する作業日報や設備点検表などの帳票は、記録してデータを管理することが目的となってしまう場合も多いです。管理している中で帳票の数も膨大になり、データ分析に活用できないことも。これらの課題を解決する上では、現場帳票の電子化がおすすめです。
次章では、帳票の電子化がなぜデータ活用に効果的なのか、詳しく紹介していきます。
現場帳票の電子化が製造業のデータ活用に効果的な3つの理由
電子帳票が製造業のデータ活用で効果的な理由は以下の3つです。
- 記録を標準化し、適切なデータを収集できる
- データの収集・分析がしやすい
- データの一元管理ができる
『より詳しく帳票を電子化するメリットを知りたい』という方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:帳票の電子化にはどんなメリットがある?導入実現に向けた進め方やツールも解説
記録を標準化し、適切なデータを収集できる
製造業でデータ活用を行うには、毎日のように行っている「記録」の標準化が欠かせません。
その背景には、活用できるデータの条件である「正確性」「完全性」「一貫性」があります。これはそれぞれ「現場に即した正確なデータであること」「不備や欠けのないデータであること」「形式や記録方法が一貫しているデータであること」を指し、1つでも欠けるとデータの品質が保証されず正確な分析と意思決定が実現できません。
一方で、電子化された帳票であればあらかじめ定められたフォーマットに従って入力するだけで記録活動が標準化され、「正確性」「完全性」「一貫性」を備えたデータを蓄積できます。仮に誤った記録が記入された場合、アラートを出すことで記録者に確認を促すアプローチも可能です。
データの収集・分析がしやすい
紙の帳票ではデータを取り込むために手作業でExcelに入力する必要があり、多くの時間と労力を要します。また、データ分析をするには分析用のExcelファイルに転記する必要があり、さらに多くの手間がかかります。
しかし、電子帳簿を使用すると入力されたデータが自動的にデータベースに保存されるため、迅速にデータ分析を行うことが可能です。また、記録したデータを簡単に出力することも可能なため、データ分析の際に役立つでしょう。
電子帳票を導入するまでの具体的な段取りや選定のポイントについては、こちらの別記事や以下の「はじめての現場帳票デジタル化ガイド」を是非ご覧ください。
実態調査から紐解く「帳票デジタル化の失敗パターン」など、導入前に知っておきたい重要項目が満載です。
データの一元管理ができる
帳票を紙で作成している場合、量が膨大になってしまうなどのデータの管理工数が発生してしまい、必要な情報にアクセスしにくくなります。
一方で、現場帳票を電子化することでPCで蓄積したデータを整理して可視化でき、検索性が高くなります。また、クラウド上にデータを蓄積できるため、管理工数の削減にもつながるでしょう。
なお、これまで紙で作成していた帳票の電子化するにあたり、「どのように作成すべきなのかわからない…」「デジタル化する手順を知りたい」と考えている方には「はじめての現場帳票デジタル化ガイド」がおすすめです。
デジタル化を進める手順やポイント、効果がでているかが分かる費用対効果の算出シートなどを掲載しています。検討している方はぜひ参考にしてみてください。
現場帳票のデジタル化でデータ活用を推進している製造業の事例
実際に現場帳票をデジタル化し、データ活用を推進している事例として「株式会社日本電気化学工業所」を紹介します。
同社では、帳票の管理を紙ベースで行っていたものの、記録そのものが目的になってしまい、収集したデータを活用して改善活動につなげられない課題を抱えていました。他にも、過去のデータを参照・傾向分析を行う際にも膨大な紙の記録から必要な情報にアクセスするのに時間がかかっていたそうです。
これらの帳票のデータ活用に関する課題を解決すべく、デジタル現場帳票の作成ツール「tebiki現場分析」を導入。製造工程における重要なパラメーターをリアルタイムで確認でき、データのリアルタイム監視が可能になりました。
具体的には、ダッシュボードで温度データを確認していた際、普段とは少し異なる温度変化を発見し、点検を行ったところ配管に小さな穴が空いていることに気づいたのです。この早期発見により、生産ラインの停止や大規模故障といった深刻な事態を未然に防ぐことに成功しています。
同社の詳しい事例を読みたい方は、「品質不良の未然防止をリアルタイムデータで実現。異常値検知を迅速にできた理由。」をご覧ください。
製造現場のデータ活用を推進できるデジタル現場帳票「tebiki現場分析」とは?
中々進まない製造現場でのデータ活用には、現場帳票をデジタル化できる「tebiki現場分析」の活用がおすすめです。ここでは、「tebiki現場分析」の具体的な特徴やメリットについて紹介していきます。
紙やエクセルで集計していた情報をデータ化できる
現場帳票は紙やエクセルなどで作成~集計を行っているケースがほとんどですが、tebiki現場分析の活用によって集計した情報をデータ化することができます。
画面の案内に従って項目を記載していくことによって、現場帳票をかんたんに作成でき、記入した情報はダッシュボードで可視化が可能です。複雑な計算式やマクロの組み込みも不要。紙やエクセルでは困難だった画像の記録もできて記録者への負担軽減につながります。
自動グラフ化機能で複雑なデータ分析が不要に
一般的にデータ分析には専門性の高いスキルや知識が求められますが、tebiki現場分析では専門的な知識が不要で、直感的な操作性で溜まったデータの可視化や分析ができます。
日々の記帳を自動でグラフ化し、用途に応じて柔軟なカスタマイズも可能。紙の帳票と比べてデータ分析が格段にしやすくなるので、スキルや経験に依存せず幅広く活用することができます。
異常発生アラートや傾向管理機能で現場の状況をリアルタイムで把握できる
紙帳票の場合には、頻繁にチェックしてデータを分析しなければ異常やデータの傾向を掴むことはできません。
一方、tebiki現場分析には正常値ではないデータを検出したタイミングで異常を知らせる「異常発生アラート」や、収集したデータを基にして傾向を示してくれる「傾向管理」などのデータ分析をサポートする様々な機能が搭載されています。
例えば、温度や湿度をリアルタイムで監視することで、異常が発生した際の迅速な対応が可能になり、不良品の発生の防止が可能です。リアルタイムなデータの可視化は、現場全体の安全性や製品の品質向上にも貢献し、現場のモニタリング精度を大幅に高められるでしょう。
ここまで紹介した機能や特徴以外にも、tebiki現場分析には様々な機能が搭載されています。より詳しく知りたい方は、「tebiki現場分析サービス資料」をご覧ください。
まとめ
業務効率・製品品質の向上に向けては、工場内に点在している様々なデータを適切に収集して分析することが重要です。適切にデータを活用することで、データドリブンな意思決定や人員配置の最適化による人手不足の解消などの副次的な効果も得られます。
低リスクかつ効果的なデータ活用を行いたい方は「tebiki現場分析」の導入がおすすめです。IoT機器やセンサーを導入することなく、データ活用を進められるため、短期間で業務改善を行えます。
ITスキルに自信がない現場社員や新入社員でもすぐに使いこなせるので、電子帳簿に興味がある方はぜひ詳細をご覧ください。