かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」の現場改善ラボ編集部です。
異常検知は、製造業や医療、金融など数多くの分野で活用されています。読者の方の中には、「異常検知ってそもそも何?」「異常検知が注目されている理由やメリットは何?」「異常検知を行う際の課題や効果的なツールを知りたい!」といった疑問や悩みを抱えているのではないでしょうか。
この記事では、異常検知の基本概念や活用シーン、手法、メリット、課題について解説します。異常検知の意味と活用シーン、とくに製造業の品質管理における重要性を中心に、具体的な異常検知の種類や手法についても紹介します。
異常検知を行うためには機械学習が必要になってくるため、「難しそうだな」と感じている方もいらっしゃるでしょう。
弊社が提供しているtebiki現場分析では、機械学習なしで異常検知が可能です!なるべく難しいことは省いて、異常検知を実施したいという方は、ぜひ以下の資料からtebiki現場分析の機能やメリットについてご覧ください。
目次
異常検知とは?
異常検知は製造業の品質管理やセキュリティ監視、医療診断、金融取引の不正検知など、さまざまな分野で活用されています。ここではそんな異常検知について以下の2点を解説します。
- 異常検知の意味
- 異常検知が活用されるシーン
異常検知の意味
異常検知はすべてのデータのうち、正常なパターンから逸脱したデータを検出する技術です。
機械学習や統計的手法を駆使して正常なデータパターンを定義し、それから大きく外れるデータを異常として検知します。
たとえば製造業では、不良品や機械の故障を早期に発見し、生産ラインの停止を防ぐことに活用されています。
異常検知が活用されるシーン
異常検知技術は、多岐にわたる分野で活用されています。具体的には以下の4分野が代表的な活用シーンです。
製造業の品質管理
製造業では、異常検知技術が品質管理において重要な役割を果たしています。
たとえば、製造ラインで収集されるセンサーデータをリアルタイムで分析し、通常のパターンから外れるデータを検知することで、不良品の発生を早期に発見することが可能です。
また、機械の稼働状態をモニタリングし、異常が発生した際には即座にアラートを出すことで、重大な故障を未然に防ぐことが可能です。異常検知により、生産ラインの停止を最小限に抑え、効率的な生産活動を維持できます。
セキュリティ監視
セキュリティ分野では異常検知技術がネットワークやシステムの監視に利用されています。
ネットワークのトラフィックやログデータを分析し、通常のパターンから外れる異常な活動を検知することで、不正アクセスやサイバー攻撃を早期に発見し、防御策を講じることが可能です。
また、内部不正の監視にも異常検知技術が活用されており、内部のユーザー行動をモニタリングして異常なパターンを発見し、情報漏洩や内部犯罪を防止します。
医療診断
医療分野では異常検知技術が診断の補助に用いられています。
たとえばCTやMRIなどの医療画像データを分析し、通常の健康な状態から逸脱する異常を検出することで、早期の病気発見や診断精度の向上が期待されます。異常検知技術により、医師は多くのデータを迅速に解析し、患者の異常を見逃すことなく適切な診断と治療の実施が可能です。
また、医療現場での異常検知技術の導入により、効率的な診療プロセスを実現し、医療サービスの質を向上させることが可能です。
金融取引の不正検知
金融業界では異常検知技術が不正取引の検出に活用されています。
たとえばクレジットカードの取引データをリアルタイムで監視し、通常のパターンから外れる異常な取引を検出することで、詐欺行為を未然に防止します。
さらに、異常検知技術は不正に得たお金を合法に見せかける行為(マネーロンダリング)の検出にも役立ちます。大量の金融取引データを分析し、異常な資金移動や取引パターンを特定することで、違法な資金洗浄活動を発見し、金融犯罪の抑制も期待できます。
製造業の場合、異常検知をかんたんに行う手段として、紙やExcelで運用されている帳票のデジタル化が効果的です。帳票をデジタル化をする手段や失敗パターンについては、以下のガイドブックをご覧ください。
異常検知の種類
異常検知には、数多くの種類がありますが、大きく分けると以下の3種類が考えられます。
外れ値検出
外れ値検出とは、データ群の中で他の大多数のデータとは大きく異なるデータを特定する手法のことです。
人為的なミスや異常なイベントなど、異常なデータポイントを特定する際に役立ちます。たとえば製造業では、センサーの故障やデータ入力ミスによって発生する異常値を検出するのに利用されます。
通常のデータパターンから逸脱したデータポイントを特定することで、問題の早期発見と対策が可能になります。
変化点検出
変化点検出とは、時系列データのパターンが急に変化する箇所を特定する手法のことです。
変化点検出は、データの構造や性質が大きく変わる瞬間を検出するのに役立ちます。たとえば製造業では、機械の稼働状態が正常から異常に変わる瞬間を検出することで、機械の故障や異常動作を早期に発見することが可能です。
変化点検出は、異常の早期発見と迅速な対応を可能にし、業務の効率化とコスト削減が期待できます。
異常部位検出
異常部位検出とは、データの中で異常な部分やパターンを特定する手法のことです。
不正行為や不審行為など、通常とは異なる動きを検出する際に有効です。たとえば製造業では、製品の外観検査に異常部位検出を活用し、画像データを分析して不良品を特定します。
また医療分野では、心電図やMRIなどの医療データを解析し、異常な部位を検出することで、早期診断や治療に役立てられます。
異常部位検出を導入することで、製造業では不良品の削減と品質向上が、医療分野では診断精度の向上と患者の早期治療が実現できます。
異常検知が注目されている理由やメリット
異常検知が注目されている理由やメリットとして以下の4つが挙げられます。
エラーを早い段階で発見できる
異常検知によって、エラーを早い段階で発見することができます。
機械学習アルゴリズムを活用することで、大量のデータをリアルタイムで監視し、通常のパターンから逸脱した異常を迅速に検出します。たとえば、製造ラインの不具合や機械の故障を早期に発見し、迅速に対策を講じることが可能になります。
エラーの早期発見は、重大なトラブルを未然に防ぎ、生産の停止時間を最小限に抑えられるため、製造業の生産性と品質を大幅に向上させられるでしょう。
ヒューマンエラーを防止できる
異常検知はヒューマンエラーを防止するのにも効果的です。
人が行う作業では、どんなに気を付けていてもミスは付き物。小さなミスだったとしても、それが見落とされたまま下流工程に流れてしまうと、大きな事故や損失につながりかねません。
そこで機械に取って代わることで、人だと発生してしまうミスを防止することができます。導入コストは決して安くはないですが、異常検知によって大規模な不良品回収を未然防止できると考えれば、コスト以上の効果が見込まれるでしょう。
ヒューマンエラーを防止する方法は異常検知だけではありません。現場改善ラボでは、ポカミスといったヒューマンエラーを減らすための方法について、動画で解説しています。ヒューマンエラー防止の専門家である、藤井 春雄 氏に解説していただいているので、非常に有意義な動画になっております。
ぜひ以下から動画を視聴して、ヒューマンエラーの防止に役立ててください。
チェック業務の属人化を解消できる
異常検知によって誰でも高度なチェックができるようになり、チェック業務の属人化を解消することができます。
正確なチェック業務は高度な技術やカンコツが必要なため、熟練者に依存する傾向があります。普段は熟練者の経験に基づいたチェックで、潜在的な異常も取り除くことができていたものの、たまたま熟練者がいないときに異常が見過ごされ、後工程や市場に不良品が流出してしまうといったケースは珍しくありません。
異常検知ができる体制を整えることで、技術や経験に関係なく、異常を検知しやすくなることが可能になります。熟練の作業員でなくても、作業環境や製品の変化を定量的に捉えやすくなり、異常発生の検知ができるようになる効果が期待できます。
異常検知に使われる機械学習
異常検知に用いられる機械学習モデルは多岐にわたります。以下では、代表的な10種類の機械学習手法について、その特徴と活用方法を解説します。
- ホテリング理論
- K近傍法(k-NN)
- 単純ベイズ法(ナイーブベイズ)
- 局所外れ値因子法(lof法)
- 主成分分析(PCA)
- サポートベクターマシン(SVM)
- マージン最大化
- カーネル法
- ロジスティック回帰
- ニューラルネットワーク
ホテリング理論
ホテリング理論は、統計的手法を用いて異常値を検出するモデルです。
データの正規分布を仮定し、分布から大きく外れるデータを異常として検出します。ホテリング理論はデータが正規分布に従う場合に有効ですが、外れ値が多い場合や時系列データには適用が難しいことがあります。
ホテリング理論は、単一の正規分布から発生するデータの異常検出に適している方法です。
K近傍法(k-NN)
K近傍法は、データポイント間の距離をもとに異常を検出する手法です。
各データポイントに最も近いk個のデータポイントとの距離を計算し、距離が一定の閾値を超える場合、データを異常と判断します。K近傍法は、距離計算が容易であるため、シンプルかつ効果的な異常検知が可能です。
主に、時系列データやクラスタリングに基づく異常検知に利用されます。
単純ベイズ法(ナイーブベイズ)
単純ベイズ法は、確率モデルを用いてデータのカテゴリーを判定する手法です。
観測データを事前確率と条件付き確率にもとづいて分類します。単純ベイズ法はシンプルなアルゴリズムでありながら高い精度を持ち、とくにスパムフィルタリングやテキスト分類などの用途で広く使用されています。
異常検知でも、正規分布やポアソン分布に基づく異常検出が可能です。
局所外れ値因子法(lof法)
局所外れ値因子法は、データの局所密度をもとに異常を検出する手法です。
あるデータポイントの局所密度とその近傍点の局所密度を比較し、異常度を算出します。局所外れ値因子法は、異常値が孤立している場合や、データの密度が不均一な場合に有効です。
局所外れ値因子法は、シンプルな実装と高い異常検知性能を持つため、広く実務で利用されています。
主成分分析(PCA)
主成分分析はデータの次元を削減し、主要な情報を抽出する手法です。
複数の変数を持つデータセットを、少数の主成分に変換し、異常を検出します。主成分分析は、データの可視化やノイズ除去、データの特徴抽出に効果的です。異常検知では、主成分から外れるデータを異常として識別します。
サポートベクターマシン(SVM)
サポートベクターマシンは、データをクラスに分類するための教師あり学習モデルです。
SVMは、データポイント間のマージンを最大化することで、クラス間の境界を定めます。サポートベクターマシンは、高い分類精度を持ち、少量のトレーニングデータでも効果的に学習が可能です。異常検知では分類境界から大きく外れるデータを異常として検出します。
マージン最大化
マージン最大化は、サポートベクターマシン(SVM)の重要な特徴です。
マージンとはクラス境界とデータポイント間の距離を指します。マージン最大化は分類誤差を最小限に抑えるために、クラス境界をデータポイントから最大限離すことを目指します。
マージン最大化により、SVMは高い汎化性能を持ち、少量のデータでも高精度な分類が可能です。
カーネル法
カーネル法は、SVMにおける非線形データの分類を可能にする手法です。
データを高次元空間にマッピングし、非線形の境界を線形の境界に変換します。カーネル法により、複雑なデータ構造を持つデータセットでも高精度な分類が可能です。
ロジスティック回帰
ロジスティック回帰は、ある事象の発生確率を予測するための統計モデルです。
データポイントが特定のクラスに属する確率を計算し、その確率にもとづいて異常を検出します。ロジスティック回帰は、シンプルな実装と解釈の容易さが特徴であり、マーケティングや医療など、幅広い分野で利用されています。
異常検知では、異常データの確率を計算し、閾値を超える場合に異常と判断します。
ニューラルネットワーク
ニューラルネットワークは脳の神経細胞を模した数理モデルで、複雑なパターン認識に優れています。
多層の人工ニューロンを用いて、データから特徴を学習し、異常を検出します。ニューラルネットワークは、画像認識や音声認識、時系列データの予測など多様なタスクに対応できる柔軟性が特徴です。
異常検知では、正常データを学習し、異常データを高い精度で検出します。
異常検知を行う際の課題
異常検知を行う際の課題として以下の4つが考えられます。
初期費用が大きい
異常検知の導入には初期費用が大きいという課題があります。
高精度な異常検知を実現するためには、専用のハードウェアやソフトウェアの導入が必要です。またシステムの構築には、データ収集用のセンサーやネットワークインフラの整備、データストレージの確保など、多くの初期投資が必要となります。初期費用は、とくに中小企業にとって大きな負担となる可能性があるでしょう。
異常検知の導入によって、生産性の向上が見込める/良品率の向上/歩留まりの向上といった定量的な費用対効果が算出できない場合は、導入のハードルが高いでしょう。
高度なスキルが必要
異常検知の構築と運用には高度なスキルが必要です。
データサイエンティストやエンジニアなど、専門的な知識と経験を持つ人材が不可欠です。しかし、高度なスキルを持つ人材は市場で不足しており、採用や育成に時間とコストがかかります。社内でのスキルアップや外部の専門家との連携を検討する必要があるでしょう。
また、高度なスキルがゆえに属人化の課題も表面化しやすいといえます。
正確な異常検知には大量のデータが必要
正確な異常検知を実現するためには大量のデータが必要です。
機械学習モデルは、多くのデータを学習することで、正常と異常を正確に判別する能力を高めます。しかし十分な量のデータを収集し、整理するのは容易ではありません。とくに異常データは発生頻度が低いため、バランスの取れたデータセットを構築することが難しいでしょう。
データの品質や多様性も重要であり、欠損データやノイズの除去など、前処理にも多くの時間と労力がかかります。
汎用的なモデルを作るのが難しい
異常検知システムは、特定の状況やデータセットに最適化されたモデルを作成する必要があります。
企業や業界によって異なる異常パターンが存在するため、汎用的なモデルを作成するのは難しいでしょう。各企業は、自社の業務や環境に合わせたカスタマイズを行い、最適なモデルを開発する必要があります。
このように、異常検知の実現には越えなくていけないハードルが複数あります。
『異常検知のシステム化は難しいかも』と感じるかもしれませんが、製造業において簡単に異常検知をリアルタイムに行えて費用対効果も出しやすいツールとして、かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」があります。
次章では、tebiki現場分析について詳しくご紹介します。
機械学習不要!簡単に異常検知ができるツールtebiki現場分析
かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」は、紙やExcelだった帳票をデジタル化し、データの記録や分析を容易に行えるツールです。機械学習の知識がなくても、高精度な異常検知が可能です。
tebiki現場分析の特徴
tebiki現場分析の特徴として以下の4つが挙げられます。
異常値が出たら自動でアラートが出る
tebiki現場分析では、設定された正常値から外れる異常値が記録されると、自動的にアラートを発信します。
アラート機能により、現場担当者はリアルタイムで異常を把握し、迅速な対応が可能になります。アラート機能は、異常発生時の迅速な問題解決を促し、製造ラインの安定稼働を維持します。
溜まったデータを簡単に可視化・分析可能
tebiki現場分析には、溜まったデータを直感的に可視化・分析する機能があります。
データ分析の専門知識がなくても、管理図など簡単にデータをグラフやチャートで表示し、異常の傾向やパターンを把握できます。可視化・分析により、現場の改善点を迅速に特定し、効果的な対策を講じることが可能です。
モバイル最適化された直観的な使い心地
tebiki現場分析は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末での使用に最適化されています。
現場作業者は、モバイル端末を使って手軽にデータを記録し、リアルタイムで情報の確認が可能です。直感的なインターフェースにより、誤入力や記録漏れを防ぎ、現場の業務効率を大幅に向上させます。
帳票の申請・承認を一括で行える
tebiki現場分析では、帳票の新規作成や改版時の申請・承認プロセスをクラウド上で一括管理できます。
クラウドでの管理により、現場での記録承認作業が効率化され、迅速な対応が可能になります。管理者は、異常値を含むデータの確認と承認をスムーズに行え、全体の運用効率を向上させられます。
tebiki現場分析の具体的な機能やプランは、以下の資料で詳しくご紹介しています。ぜひこの機会にチェックしてみてください。
tebikiを利用して異常検知に役立てよう【まとめ】
異常検知はデータから異常パターンを検出する技術で、製造業の品質管理やセキュリティ監視、医療診断、金融取引の不正検知などに活用されています。
主要な手法には外れ値検出、変化点検出、異常部位検出があります。
異常検知のメリットには、エラーの早期発見、ヒューマンエラー防止、人件費削減、業務の属人化解消があることをこの記事では解説しました。
tebiki現場分析は、異常値の自動アラートやデータ可視化、モバイル対応などのメリットがあります。tebiki現場分析の資料は無料でダウンロード可能です。ぜひこの機会にチェックしてみてください。