現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 製造業における人材育成の課題とは?参考事例からわかる育成方法

かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki」を展開する現場改善ラボ編集部です。

製造業は、日本経済の基盤を支える重要な産業ですが、近年は若者離れが大きな課題となっています。少子高齢化や都市への人口集中により、現場の人材確保は一層困難な状況です。

本記事では、製造業における人材育成の現状と課題、人材育成を成功させるために実践すべき5つのポイントについて解説します。

製造業を取り巻く人材育成の現状と課題

製造業の現場は、熟練者の引退と若手不足が同時に進行し、技術継承や生産効率の維持が困難な状況です。とくに中小企業ではこの問題が顕著であり、現場力の低下が生産性や品質に影響を与えるケースも増えています。

経済産業省が発行しているものづくり白書から実際の数値を用いて製造業を取り巻く状況を紹介します。

人材の不足は中小企業を中心に深刻

2023年の中小企業における従業員数の過不足DI(従業員が過剰と答えた企業から、不足と答えた企業の割合を引いて平均したもの)は-20.4と非常に人手不足感が強い傾向にありました。とくに製造業では-22.3とさらに低い傾向にあります。

経済産業省「2024年版ものづくり白書」

引用元:経済産業省「2024年版ものづくり白書

この原因として以下のような理由が考えられ、どれも企業単位では対応が難しい社会的な問題です。

  • 少子高齢化による若年人口の減少(34歳以下の若年就業者は2002年384万人から2023年259万人と125万人減少)
  • 有効求人倍率が上昇し不人気な職種には若者が集まらない(有効求人倍率は、2014年以降1.0以上を維持)
  • 若者の都市部への一極集中

指導人材の不足が6割以上の事業所で課題に

製造業における人材育成のもう一つの大きな課題は指導者の不足です

2023年に厚生労働省が行った「能力開発基本調査」によると、製造業では61.8%の事業所が「指導する人材が不足している」と回答しており、技能継承が困難になっています。熟練者の引退や高齢化が進む中、次世代に知識を伝える体制の強化が求められています。

製造業における人材育成を阻害する課題

多くの企業が人材育成に力を入れているものの、成果が上がらないことがしばしばあります。

その原因として、教育体系の未整備、指導者の不足、継続的なフォロー体制の欠如が挙げられます。これらの課題を克服し育成のPDCAサイクルを回すことが、効果的な、従業員教育の基盤です。

人材育成の体制やルールが整備されていない

製造現場では、言語化することが難しく、経験や独自のスキルから行われるカンコツ作業が他の業界と比べて多い傾向です。「見て覚える」文化が強く根付いているため、人材育成の構築やルールが整備されていない傾向があります。

そのため、技術継承がスムーズに行われずに、多能工化が進まない・業務が属人化するなどの影響が生じることも。また、教育制度があっても形骸化していたり、場当たり的なOJTに頼っている場合も多く、効率的な人材育成を阻んでいるケースがあるかもしれません。

キャリアパスが明確化されていない

社員が将来どのように成長できるのかが明確でないと、学ぶ意欲が低下しがちです

結果として、定着率の低下やモチベーションの低下につながります。求める人物像と成長ステップを明確にし、教育とキャリア形成を一体化した体制が不可欠です。

指導する人材が不足している

技能継承を担うベテラン社員の退職や教育を担当できる人材の不足は、多くの企業で共通する課題です。人材育成の制度が構築されていない企業では、人材育成そのものが属人化してしまっており、指導者不足に拍車をかけています。

OJTを任せられるベテラン社員の育成や、指導スキルの強化研修を実施することで、育成の質と再現性を高める必要があると言えるでしょう。

フォローやフィードバックが不足している

教育を実施しただけでは教育の効果は限定的です。研修後のフォローアップや、現場での実践状況に応じたフィードバックがなければ学んだ内容が定着せず、成果にも結びつきません。

定期的な面談や現場評価を通じて、学びを行動に落とし込む仕組みづくりが重要です。

【製造業の人材タイプ別】育成のポイントについて

本章では人材タイプごとの育成ポイントを紹介します。

スキルや経験年数など人材によって、育成する上での課題は異なりますので、タイプ別の対策も非常に重要です。

若手人材】手厚いサポートが必要

専門用語が飛び交ったり、様々な機器を取り扱う製造業では若手の内はわからないことが多いため、OJTをはじめしっかりとしたサポートが必要です。作業手順を明記したマニュアルや手順書なども用意し、わからないことは参照しながら業務をこなせるような体制が理想です。

一方で、新人育成に教育担当者のリソースをかけすぎると通常業務に時間が割けなくなってしまい、全体の生産性低下などにつながるリスクもあるのでバランスよく配分するのが重要と言えるでしょう。

若手の人材育成事例として、ロイヤル株式会社の取り組みが好事例としてあげられます。同社では、一日に50名異常の短期スタッフの受け入れを行っており、教育の負担がかかっていました。新人の受け入れには、伝える内容が基本的に同じであるため、動画マニュアルを作成してモニターに動画を映す形で新人教育を実施しています。

同社の人材育成事例を詳しく知りたい方は、以下のインタビュー記事をご覧ください。

インタビュー記事:1日最大50名勤務するアルバイトの入場教育を動画マニュアルに置き換え、教育工数をほぼ0に削減!

ベテラン人材】本人の意向を反映した育成が重要

経験豊富なベテラン人材は現場で非常に活躍されているかもしれませんが、キャリア停滞感を抱えやすいという課題があります

「リーダーとして生産改善を進めたい」「専門職として匠の技を極めたい」といった本人の希望を定期面談で確認し、適切なポジションに配置しましょう。

技能の深掘り研修や後進指導者としての役割を与えるといった本人の意向を反映した育成が重要です。意欲と経験値が相乗効果を生み、技術継承も円滑に進みます。

外国人労働者】言語や文化の違いを考慮した教育が必要

日本語の理解が難しい外国人労働者には、日本語だけの教育資料では理解度に差が出てしまいます。多言語字幕付き動画や作業の全体像が理解しやすいフロー図を用意するなど、外国人労働者も考慮した人材育成を実施するのが大切です。

外国人労働者への教育で最も障壁となるのが、言語の壁によって伝えたいことが上手く伝わらないという点です。正しい作業手順を理解していない状態で現場作業を進めてしまうと、品質不良労働災害などの様々なリスクに繋がります。

外国人労働者の教育課題や解決方法について知りたい方はこちらの記事か、外国人労働者への「伝わらない」言語の壁を解消する方法をまとめた資料をご用意しています。以下の画像をクリックすると資料をご覧頂けます。


動画マニュアル活用事例を読んでみる>>

IT人材】育成が急務、中途採用も視野に入れた教育が必要

IoTやAI を活用したスマートファクトリー化が進む中、データ解析やシステム連携を担う IT 人材は必要不可欠です。

自社教育だけでは追いつかない場合、即戦力となるエンジニアを中途採用し、新人教育を行うことも必要です。しかし中途採用だけではなかなか組織の現状を理解するのが難しいケースもあります。

同時に既存社員にも基礎 IT リテラシー研修や外部セミナーを提供し、全体のレベルを底上げを行い、IT人材と製造現場の橋渡しする人材育成も重要です。

製造業における人材育成の課題を解消する5つのポイント

製造業における人材育成の成果を最大化するには、現場のニーズに合ったスキル教育と、従業員が将来像を描ける仕組み作りが不可欠です

自発的な学びが促進される職場環境を構築する

従来のOJTを中心とした人材育成は、教育担当者と受講者の間で育成スキルや理解度にばらつきが生じ、教育品質の不安定化や受講者側の主体性の欠如といった課題を抱えがちです。

また、教育担当者が通常業務で多忙なケースも多く、受講者の理解度まで気が回らない、受講者が質問しにくいといった課題が発生しやすくなります。その結果、教育が消極的になりがちで、人材育成が効率的に進まない可能性もあります。

そのため、各従業員が自発的に学ぶ職場環境を構築しましょう。例えば、「日本クロージャー株式会社」では、工場内の作業手順を動画マニュアルにまとめ、作業開始前に従業員に視聴してもらう形で、自発的な学習環境の構築を進めています。

この取り組みによって、OJTの負担が軽減されて、教える側・教わる側のそれぞれが時間を気にせずに学べる環境を確立していると語っています。同社の詳しい事例は以下のインタビュー記事をご覧ください。

インタビュー記事:組み込み/分解/金型作業など、製造現場の動画マニュアルを作成。教育の手間を大幅に削減しました。

暗黙知の形式知化を進める

製造業における作業はカンコツを要する作業が多く、周囲への共有が難しく暗黙知化している傾向があります。具体的な暗黙知としては以下のようなものがあげられます。

  • ベテラン職人による寸法の微調整
  • 機械音から故障の兆候を察知する感覚

暗黙知が多いと業務が属人化してしまい、人材育成が進みにくくなるため、社内の暗黙知を作業標準書などで形式知化する必要があるでしょう。形式知化する1つの手段として、作業手順やコツなどを言語化した上で手順書・マニュアルにまとめるのが有効です。ベテラン従業員の操作手順をマニュアルに落とし込むことで形式知化に変換できます。

形式知化の事例として「児玉化学工業株式会社」では、暗黙知を動画マニュアル化して形式知化する体制を構築しています。

▼ドリルでバリをとる動画マニュアル(音量にご注意ください)▼

「tebiki」で作成されています

暗黙知を動画マニュアルに表現することで、テキストだけではわからない動きやニュアンスを伝えられて形式知化することができています。

なお、動画マニュアルを活用した暗黙知の形式知化は様々な企業で取り組まれています。実際の業務で使われている動画マニュアルサンプル集を用意していますので、人材育成の課題である暗黙知の解消に向けてお役立てください。

>>「実際に業務で使われている動画マニュアルのサンプル集」を見てみる

自社の求める人物像を明確にする

会社として「どのような人材に育ってほしいか」を明確に定義することも重要です。技術力に長けた現場リーダーや、DXに対応できるITスキル人材など、経営戦略に沿った人物像を示すことで、育成の方向性がぶれず、社員も将来の自分像を描きやすくなります。

このビジョンが採用から研修、評価に至るまで一貫していると会社への信頼感が増し、従業員の教育への意欲も増すでしょう。

具体的なキャリアパスを提示する

育成の成果を実感させるためには、「教育を受けた先にどのようなキャリアがあるか」を社員に示すことが効果的です。

現場従業員からリーダー、さらに管理職へのステップや、技能認定による昇格など、具体的な成長ルートを提示することで学ぶ意欲や定着率が向上します。なお、キャリアパスを提示する際には、できるだけ具体性を持たせることを意識してみてください。

たとえば、現場従業員からリーダーに昇格するためには、どのようなスキルが必要なのか、経験年数の目安はどの程度なのかなどです。また、リーダーに昇格することで、業務範囲や給与がどのように変わるのかなども漏れなく伝えるようにしましょう。

キャリアパスを具体的に提示することによって、従業員にとってはやりがいを感じやすくなり、早期離職の防止や人材育成につながります。

教育担当者の指導力を向上させる

効果的な人材育成を行うには、教える側の「教育力」も同時に高める必要があります。とくに製造現場では、OJTを担うリーダーやベテラン社員の指導力が育成成果を左右します。

体系的な指導方法や伝え方を学ぶ「トレーナー研修」や、若手とのコミュニケーション力向上、フィードバックのポイントなどの取り組みが重要です。教える力を高めることで、現場全体のスキルレベルの底上げにもつながります。

OJT担当者に必要なスキルや効果的に進めるコツなどを知りたい方は、以下の関連記事もご覧ください。

▼関連記事▼
【OJT】教える側に必要なスキルとは?負担を減らす方法や、メリット/デメリットも解説
OJTを効果的に進めるコツ6選!製造現場で使える具体的な指導のポイントを紹介

効果的な人材育成を実現している製造企業の好事例

実際に動画マニュアルで人材育成の課題を解決した企業事例を紹介します。現場負担を抑えつつ技能伝承を加速させた成功パターンを、自社の育成施策を見直すヒントとしてぜひご覧ください。

新日本工機株式会社

工作機械、遠心力鋳造管、産業機械の製造販売などの事業に取り組んでいる新日本工機株式会社。同社の現場作業では、「人が育つ環境づくり」をスローガンとして、様々な従業員教育に取り組んでいましたが、人によって作業方法がばらついたり、作業の後戻りが発生したりなどの教育課題を抱えていました。

そこで取り組んだのが、動画教育システム「tebiki現場教育」を活用した動画マニュアルの導入です。

文字ベースの紙マニュアルでは伝わらない複雑な作業手順、ベテランのノウハウなどを映像で伝えることができ、以前と比べて教育効率の向上を実感しています。また、字幕の自動翻訳機能によって、外国人労働者に対してもスムーズに教育が行えていると語っています。同社の事例を詳しく知りたい方は以下のインタビュー記事をご覧ください。

インタビュー記事:人が育つ環境づくりとして動画マニュアルtebikiを活用。技術の蓄積と作業品質の安定を実現。

モヱ乳業株式会社

茨城県古河市に工場を構え、牛乳をメインに、カップタイプの乳飲料や果実飲料、ヨーグルトなどの製造をしている乳牛メーカーのトモヱ乳業株式会社

同社では、工場内での作業手順やルールなどを紙で印刷したマニュアルにまとめていましたが、テキストや画像だけでは新人が理解することができずに人材育成が効率的に進まない課題を抱えていました。

そこで、直感的に使える・工場のシステム動作環境に適している2つの観点で、動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を導入。動画マニュアルによって、紙のマニュアルよりも作業イメージを持ちやすい、視聴デバイスがあれば繰り返し動画を見れて教育工数の削減につながるなどの効果を得られています。

また、従業員ごとの教育の進捗状況を一覧で可視化できる組織レポートによって、人材育成も効率的に実施できていると語っています。同社の事例を詳しく知りたい方は、以下の以下のインタビュー記事をご覧ください。

インタビュー記事:チルド飲料の安定供給を支える製造工程の人材教育に動画マニュアルを活用

効率的な製造業の人材育成には「動画」の活用がおすすめ

「効果的な人材育成を実現している製造企業の好事例」で紹介した企業のように、人材育成に動画マニュアルが活用されているケースが増えている傾向です。

しかし、動画マニュアルの有効性を理解できても、「動画編集をしたことがない…」ため、導入に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。そんな方には、直感的な操作性で現場で利用されることを前提に作られた、かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki」がおすすめです。

▼動画マニュアル作成ツール「tebiki」紹介動画▼

tebiki現場教育を活用すれば、人材育成に必要な現場教育を動画で統一することが可能です。他にもtebikiでは以下のようなメリットがあります。

  • 理解度に応じて繰り返し学習が可能
  • 理解度テストや記録管理機能で教育効果を可視化
  • 多言語対応で外国人労働者にも最適
  • タブレット・PCからいつでも学習できる柔軟性
  • 現場教育をスマホ1台で撮影→編集→共有まで完結できる利便性
  • 簡単に教育動画が作成できるので、教育する側の負担軽減

とくに新人は自分のPCやタブレットで繰り返し学べるため、属人化の排除と教育品質の安定につながります。教育を受ける側も教育する側もストレスが軽減され、人材育成の有効な手段と言えるでしょう。

tebiki現場教育について、機能や特徴、導入後のサポート内容などをより詳しく知りたい方は以下のサービス資料もご覧ください。画像をクリックすると資料をご覧いただけます。


動画マニュアルがかんたんに作れる「tebiki」の概要を見る

まとめ

製造業における人材育成の深刻な現状、効果的な人材育成を行うために実践すべき5つのポイントについて解説しました。とくに動画マニュアルの活用は、若手定着と技能継承を同時に実現できます。

自社の課題を洗い出し、最小の労力で最大の学習効果を得られる仕組みを整え、未来のものづくりを担う人材を着実に育てていきましょう。なお、本記事で紹介した動画マニュアル作成ツール「tebiki」は、製造業の人材育成を効率化する機能や特徴を備えています。より詳しく知りたい方は、以下のサービス資料をご覧ください。


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