現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 多能工化を推進するスキルマップの活用法とは?作成・運用におけるポイントや事例について紹介!

多能工化とは、従業員1人で複数の業務を行えるようにする教育のことを指し、スキルマップとは、従業員のスキルや能力を数値や記号で定量化し可視化したツールのことです。
この記事を読んでいる方は、
「企業内でスキルマップを作成・実装する方法を知りたい!」
「多能工化とは何かを知りたい!」
「多能工化をするためのスキルマップの活用方法を知りたい!」
といった悩みを抱えているのではないでしょうか。

そこでこの記事では、多能工化が必要な理由やメリット、スキルマップの活用方法や作成方法のほか、スキルマップの運用において注意すべきポイントや無料で使えるスキルマップのテンプレート、スキルマップを活用し、多能工化を促進した企業事例について解説します。

この記事を読めば、多能工化とスキルマップの関係性を理解でき、現場改善に一歩近づくでしょう。

目次

多能工化が必要な理由とは?

多能工化とは、従業員が複数の技能を身につけ、様々な作業やタスクを柔軟にこなすことができるようにする人材育成戦略です。ここでは、多能工化の定義と多能工化が求められる背景について解説します。

多能工化とは

多能工化とは、従業員が一つの特定の作業や職種に限定されず複数のスキルを持ち、さまざまな作業を行えるようにする人材育成のアプローチ方法です。例えば、製造業では生産ラインや工程が複雑化しており、一つの工程に特化した従業員だけでは柔軟な対応が難しいのが現状です。

製造業の例を挙げると、トヨタ自動車が生産性向上のために多能工化の考え方を取り入れたことで、社会的な認知度が上がりました。トヨタ生産方式(TPS)において、ムダを徹底的に排除するための支えとして多能工化が活用されています。具体的には、一人の技術者が機械設計と金属加工の両方の技能を持つことで、部品図を作成する際に加工のしやすさを考慮するなど、生産効率の向上が図られています。

多能工化が求められる背景

多能工化が求められる背景として、以下の2つが挙げられます。

  • 労働人口の減少
  • 少品種多量生産から多品種少量生産への移行

労働人口の減少

近年、日本の労働人口の減少が進行しています。少子高齢化により若い世代の労働者が減少し、高齢者の割合が増加する中で、労働人口の減少は産業全体にも影響を及ぼしており、特定のスキルを持つ労働者が不足することが増えてきました。

製造業の例を挙げると、自動車の組み立てラインや電子部品の製造現場などで特定の作業を行う専門の労働者が不足している場合が考えられます。多能工化はこのような状況下の場合、1人の労働者が複数の作業をこなすことで、人手不足を補完し、生産効率を維持することが可能となるため有効な方法です。

労働者一人ひとりが複数の作業を身に着けることで、現場全体としての多能工化の推進につながり、省人化・省力化・小人化を実現することができます。しかし、具体的に何から始めたらよいか分からず、なかなか取り組みが進んでいないのではないでしょうか。

現場改善ラボでは、元外資系大手製薬メーカーで安全性・品質・生産性向上に大きな成果を上げた経験のある専門家による「省力化・省人化・小人化への具体的な対応策」をテーマにした動画を無料でご視聴いただけます。

この動画を視聴すれば、明日から現場で多能工化に向けた取り組みを実践することができます。多能工化によって省力化・省人化・小人化を目指したいが、何から始めたら良いか分からないとお悩みの方は、是非ご参考ください。

少品種多量生産から多品種少量生産への移行

製造業のトレンドとして、少品種多量生産から多品種少量生産への移行が進んでいます。消費者のニーズが多様化し、オーダーメイドやカスタマイズされた製品への需要が増加しているのが要因です。

例えば、家電製品やファッションアイテムなどの製品では、消費者の個別の要望に応じた製品が求められています。このような市場の変化に対応するため、製造業は柔軟な生産体制を持つことが求められています。多能工は複数の作業をこなせるため、生産ラインの変更や新しい製品の導入に対して迅速に対応することが可能です。

下記のリンクから、多品種少量生産のやり方やメリット・デメリット、多様な業種の企業事例などについて分かりやすく解説した記事をご覧いただけます。多品種少量生産についてもっと詳しく知りたいとお考えの方は、是非ご参照ください。

多能工化のメリット3選

多能工化のメリットとしては以下の3つが挙げられます。

  • 業務の平準化推進
  • 現場の急な変化に柔軟に対応できる
  • モチベーションの向上

業務の平準化推進

多能工化を導入するメリットの一つは、業務の平準化を推進できる点です。従業員が複数の業務をこなせるため、業務のピーク時や谷間時でも柔軟に人員を配置することが可能となります。

例えば、製造業の現場で部品の生産がピークを迎えた際、他の業務を担当していた従業員がその部品の生産ラインに迅速に移動し、生産をサポートすることができるようになるでしょう。例のように、多能工化は業務の効率化や生産性の向上に役立ちます。

現場の急な変化に柔軟に対応できる

多能工化を導入することで、従業員が多様なスキルを持つため、ニーズや技術の変化に迅速かつ柔軟に対応できます。なぜなら、1人の従業員が複数の業務やスキルを持つことで、新しい業務や技術の導入にも迅速に適応することが可能となるからです。

製造業の現場では、新しい生産技術や機械が導入されることが頻繁にあります。例えば、ある自動車製造工場で新しいロボットアームが導入されたとします。ロボットアームは、従来のものよりも高速で精密な作業が可能ですが、操作方法やメンテナンス手順が異なる場合があります。

このような場面でも、能工化を導入している工場では従業員が既に複数の機械や技術に精通しているため、新しいロボットアームの導入にも迅速に適応することが可能です。従業員は新しい技術のトレーニングを受け、短期間でロボットアームの操作やメンテナンスをマスターできるでしょう。

モチベーションの向上

多能工化は、従業員が多様な業務やスキルを持つことで、日々の業務がルーティーン化することを防ぎ、新しい挑戦や成長の機会を提供することで従業員のモチベーションの向上が期待できます

製造業の現場で考えると、従業員が異なる生産ラインや業務に関与することで、より幅広い知識や経験を積むことが可能です。結果として従業員のスキルが向上し、キャリアの展望も広がることで、長期的なモチベーションの維持が期待できます。

現場改善ラボでは、製造業で多能工化を実現するための方法やメリットについて、より詳しく解説した記事をご用意しています。併せてご覧ください。

スキルマップを活用する目的とは?

製造業の現場では、多くの作業が連続して行われ、その中でのスキルや知識の差が生産性や品質に大きな影響を与えることがあります。ここでは可視化ツールであるスキルマップの定義と、スキルマップを活用する目的について解説します。

スキルマップとは

スキルマップとは、個人の持っているスキルや知識を可視化するためのツールを指します。具体的には、スキルや知識の項目をリストアップし、それぞれのレベルや習熟度を示すマップの形式で表現されます。スキルや知識の差を明確にすることで、個人の成長やチームの強化を促進することが可能です。

製造業の例を挙げると、機械の操作方法や特定の部品の組み立て技術など、多くのスキルや知識が必要とされる場合がありますが、この際にスキルマップを使用することで、それぞれの作業者がどのスキルを持っているのか、またどのスキルが不足しているのかを一目で確認することが可能です。

スキルマップを活用する目的

スキルマップを活用する目的として、以下の2つが挙げられます。

  • 従業員のモチベーション向上
  • 効率的・効果的な人材育成が可能になる

従業員のモチベーション向上

スキルマップは、自身のスキルや成果を可視化することで自己評価や自己認識が深まり、次のステップへの意欲が湧きやすくなるため、従業員のモチベーション向上に寄与します。

製造業の例を挙げると、ある部品の製造に関するスキルを習得した従業員は、スキルマップ上でその成果を確認できるようになります。結果として、自分の成長を実感し、さらなるスキルアップを目指すモチベーションが生まれます。

効率的・効果的な人材育成が可能になる

スキルマップを導入することで、従業員のスキルや能力を一目で確認でき、必要な研修や教育を的確に行えるため、効率的・効果的な人材育成が可能になります。

製造業の現場では、新しい機械の導入や技術の進化に伴い、常に新しいスキルの習得が求められます。スキルマップを活用することで、どの従業員にどのような研修を提供すれば良いのか、また、どのスキルが組織全体で不足しているのかを把握することが可能です。結果として、タイムリーかつ効果的な人材育成が実現可能になります。

スキルマップが必要とされる背景

スキルマップが必要とされる背景として、以下の2つが挙げられます。

  • 成果主義の評価基準への移行
  • デジタル化への急激な加速

成果主義の評価基準への移行

近年、多くの企業が成果主義の評価基準へ移行しつつあります。理由としては、従業員一人ひとりの成果を明確に評価し、報酬や昇進の基準とすることで、モチベーションや業績の向上を図れるからだと考えられます。

製造業でも、成果主義の評価基準への流れは例外ではありません。例えば、ある製品の生産効率を向上させた技術者がいれば、技術者の成果を正当に評価し報酬や昇進のチャンスを与えることで、他の従業員にも良い影響を与えられます。

デジタル化への急激な加速

デジタル化は、製造業にも浸透してきています。デジタル技術の導入により、生産効率の向上や品質管理の向上、さらには新しいビジネスモデルの創出など、多岐にわたるメリットが期待できます。

例えば、IoT技術を活用して機械の稼働状況をリアルタイムでモニタリングすることで、異常を早期に発見し、迅速に対応することが可能です。また、AI技術を活用することで、生産ラインの最適化や品質管理の自動化などの現場改善が可能となります。

スキルマップの活用による効果3選

多能工化を実現するための有効なツールとして、スキルマップの活用がおすすめです。多能工化でスキルマップを用いた効果としては以下の3つが挙げられます。

  • 従業員が持つスキルの把握
  • 従業員のスキル強化
  • 個人のスキルによる最適なプロジェクトの割り当て

従業員が持つスキルの把握

従業員が持つスキルを正確に把握するにはスキルマップがおすすめです。スキルの把握を行うことで、どの従業員がどの業務に適しているのか、どういったスキルが不足しているのかを明確にできます。

例えば、ある部品の組み立てに特化したスキルを持つ従業員や、特定の機械の操作に熟練している従業員を正確に把握することで、業務の効率化や品質の向上を実現することが可能です。

従業員のスキル強化

スキルマップを活用すれば、従業員のスキル強化や育成も効果的に行えます。なぜなら、スキルマップには従業員の現在のスキルレベルや必要なスキル、習得した方が良いスキルなどが一目でわかるため、目的とするスキルの強化や新たなスキルの習得を計画的に進められるからです。

製造業の例を挙げると、新しい生産ラインの導入や技術の更新に伴い、新たなスキルが求められる場面が増えてきます。製造業の変化に柔軟に対応するためには、従業員のスキル強化が不可欠です。

個人のスキルによる最適なプロジェクトの割り当て

スキルマップを活用することで、従業員のスキルにもとづいた最適なプロジェクトの割り当てを行えます。なぜなら、スキルマップには各従業員の得意なスキルや経験が詳細に記載されているため、プロジェクトの要件と従業員のスキルをマッチングさせることでプロジェクトの成功率を高められるからです。

製造業でも、新製品の開発や生産ラインの改善など、多くのプロジェクトが並行して進行しています。プロジェクトに最適な従業員を割り当てることで、より効率的に高品質な成果を得ることが可能です。

多能工化に向けたスキルマップ作成の8ステップ

多能工化に向けたスキルマップ作成には、以下8つのステップに沿った行動がおすすめです。

  1. 必要な業務の洗い出し
  2. 必要な業務を可視化する
  3. 作成者を決める
  4. どのスキルを分類するか決める
  5. 各スキルの評価基準を定める
  6. 運用のマニュアルを作成する
  7. 実際に使ってみる
  8. PDCAサイクルを回し改善し続ける

必要な業務の洗い出し

まずは、必要な業務の洗い出しを行いましょう。必要な業務の洗い出しにより業務の全体像を把握することで、どの部分に問題が存在するのか、どの部分に効率化の余地があるのかを明確にできます。具体的な方法は以下の2つです。

  • 業務棚卸表の作成
  • 「ムリ・ムダ・ムラ」の発見

業務棚卸表の作成

業務の洗い出しには、業務棚卸表の作成がおすすめです。業務棚卸表とは、業務の各工程を一元管理するためのシートです。ここでは、先ほど洗い出した業務内容を記入します。業務棚卸表を作成することで、業務の全体像を一覧でき、業務間の関連性や優先順位を視覚的に把握できます。

製造業の現場では、生産ラインごと、製品ごとに異なる業務が存在することが多いため、業務棚卸表を用いてそれぞれの業務を整理・分類することで、業務の効率化や無駄の削減を進めやすくなります。

「ムリ・ムダ・ムラ」の発見

「ムリ・ムダ・ムラ」は、業務における過度な負荷(ムリ)、不必要な作業(ムダ)、業務の不均衡(ムラ)を指します。

製造業の現場では、機械の故障や部品の欠品、作業員のスキル不足など、多くの要因で「ムリ・ムダ・ムラ」が生じることがあります。

「ムリ・ムダ・ムラ」を発見し、原因を特定することで、業務の効率化や品質の向上を図ることが可能です。ムリ・ムダ・ムラを排除することで、生産コストの削減や生産効率の向上、作業員の負担軽減などのメリットが得られます。

現場改善ラボでは、「ムリ・ムダ・ムラ」を見つけるポイントとその改善策に関する専門家の解説動画を無料で視聴できます。現場の「ムリ・ムダ・ムラ」を素早く見つけたいが、やり方が分からずにお悩みの方は、ぜひ下記のリンクからお申込みください。


3M(ムリムダムラ)の視点と改善  製造業の品質向上と生産性向上への鍵

必要な業務を可視化する

2つ目のステップは、必要な業務を明確にすることです。
業務の可視化により、ムリ・ムダ・ムラを特定しやすくなります。例えば、製造ラインでの作業フローを明確にすることで、無駄な動きや過剰な作業を特定し、効率的な作業手順を構築することが可能です。

作成者を決める

スキルマップの作成には、業務の詳細を知る従業員が必要です。正確な情報を元にスキルマップを作成することで、実際の業務改善につながります。
製造業では、現場のリーダーや経験豊富な従業員が業務の詳細を知っている場合が多いため、スキルマップの作成者に適しているといえます。

どのスキルを分類するか決める

製造業では機械操作や品質管理など、多くのスキルが存在します。そのため、適切な分類基準を確定し、多能工化に不可欠なスキルを決めることが必要です。汎用的なスキルと専門的なスキルを明確に区別し、全体的なスキルマップの構築を進めます。

各スキルの評価基準を定める

スキルの評価基準を明確にすることで、従業員の成長を具体的に可視化できます。明確な基準があることで、従業員自身が自らのスキルレベルを把握し、向上心を持って業務に取り組めます。

運用のマニュアルを作成する

スキルマップの運用マニュアルを作成することで、全従業員が同じ基準でスキルを評価・向上させることが可能です。マニュアルがあることで主観的な評価を排除し、公平な評価が行えます。

実際に使ってみる

スキルマップを実際の業務に取り入れることで、有効性や問題点を明確にすることが可能です。実際の使用を通じて従業員の反応や意見を取り入れ、より実用的な内容に改善しましょう。

PDCAサイクルを回し改善し続ける

スキルマップの運用は、一度作成したら終わりではありません。業務の変化や新たな技術の導入により、必要なスキルが変わることがあるからです。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)を繰り返し行うPDCAサイクルを回し続けることで、最新の情報を元にスキルマップを常に更新・改善することが求められます。

スキルマップの作成や運用において注意すべきポイント

スキルマップの作成や運用において注意すべきポイントとして、以下の4つが挙げられます。

  • 作る目的を明らかにする
  • 現場の社員も作成に関わらせる
  • 定期的に更新する
  • 評価後のネクストアクションを決める

作る目的を明らかにする

スキルマップを作成する際、まずは目的を明確にすることが重要です。なぜなら、目的が不明確だとスキルマップの方向性がブレてしまい、結果として効果的な運用ができなくなるからです。

製造業の現場で考えると、例えば目標の生産個数を決めるといった定量的な目標設定が望ましいです。目標を設定することで、その目標達成に適したスキルマップの作成方法や運用方法がはっきりとします。したがって、スキルマップを効果的に運用するためには、作る目的を明確にする必要があります。例えば、従業員の多能工化を進めたい場合であれば、習得したスキルによって昇給の評価になるといったスキルマップの作成ができます。明確な評価があることで、スキル習得に向けて、従業員のモチベーションを向上させることができます。

現場の社員作成に関わらせる

スキルマップの作成は、企業の上層部だけの仕事ではありません。実際の業務を行っている現場の従業員の意見やフィードバックがスキルマップの精度を高める要素となるため、作成に参加してもらうことは非常に重要です

製造業の例を挙げると、ある部品の組み立てに必要なスキルやノウハウは、実際にその業務を行っている従業員しか知らないことも多いでしょう。そのため、現場の意見を取り入れることで、より現実に即したスキルマップを作成することが可能です。

定期的に更新する

スキルマップは一度作成したら終わりではありません。製造業の現場は日々変化しており、変化に合わせてスキルマップも更新する必要があります。

現場の従業員からのフィードバックや意見を定期的に取り入れることで、スキルマップを常に最新の状態に保つことが可能です。結果として、スキルマップが形骸化することなく、常に現場のニーズに応える形で運用できます。

評価後のネクストアクションを決める

スキルマップを使用して従業員のスキルを評価した後、結果をもとに具体的なアクションを決定することが重要です。スキルマップで各従業員の課題を洗い出し、課題改善に向けた取り組みを行うことによって、スキルマップ本来の価値を引き出すことができます。

製造業の現場で考えると、スキル不足が明らかになった場合、従業員に対して研修や教育をすることで、スキルの向上を図れます。また、スキルが十分に備わっている従業員はより高度な業務に挑戦させることで、能力を最大限に活用することが可能です。

無料で使えるスキルマップのテンプレート

無料で使えるスキルマップのテンプレートとして、以下2種類をご紹介します。

  • 厚生労働省が提供するテンプレート
  • Tebiki社が提供する製造業向けのテンプレート

厚生労働省が提供するテンプレート

厚生労働省は、多様な業界に対応したスキルマップのテンプレートを提供しており、実務に大いに役立つものも多いです。

例えば、経営戦略、人事管理、一般事務、会計、マーケティング、そして生産管理など、さまざまな分野でのテンプレートが用意されています。特に、製造業に焦点を当てた生産管理のテンプレートについて詳しく説明します。

記載項目としては、能力細目に以下の項目があります。

  • ビジネスや社会経済の一般動向の習得
  • 会社の仕組みの理解
  • ビジネスマナーの習得
  • PC及びネットワークの理解 
  • ワープロソフト、表計算ソフト等の活用
  • 情報の検索・加工と整理
  • 諸規程、諸ルールの遵守
  • 倫理的問題の解決
  • チームワークの発揮
  • 周囲との関係構築

テンプレートには、各職種におけるスキルの項目だけでなく、評価基準も含まれています。そのため、スキルマップの導入を検討している方には、厚生労働省が提供するこれらのテンプレートが特におすすめです。

(厚生労働省「職業能力評価シート(事務系職種)のダウンロード」)

製造業向けのテンプレート(Tebiki社提供)

製造業の方向けに、現場改善ラボで独自のテンプレートを用意しました。スキルマップに加え教育訓練計画表も含まれているため、スキルを参照しながら教育訓練を立てることが可能です。
以下のフォームより現場改善ラボのメルマガにご登録いただくと、エクセルのテンプレートをDLいただけます。

テンプレートを活用することで、スキルマップを簡単に、かつ効率良く作成することができます。以下のフォームより現場改善ラボのメルマガにご登録いただくと、エクセルのテンプレートをDLいただけます。

▼現場改善ラボメルマガ登録フォーム▼

スキルマップを活用し、多能工化を促進した企業事例

スキルマップを活用して多能工化を促進した企業事例として、以下の2社を紹介します。

  • NTTデータSMS
  • トヨタ自動車

NTTデータSMS

NTTデータSMSはIT業界において、スキルマップを効果的に活用する企業の一例です。
NTTデータSMSでは、顧客からの要求に迅速に対応する高い技術力を持つ人材の提供を目指し、スキルマップをもとにした教育プログラムを展開しています。

NTTデータSMSでは、全ての社員が同一のスキルを持つわけではなく、それぞれの社員が不足している技術や技能を補強し、必要な技術や技能を伸ばすことで、顧客に対する高品質なサービスを提供しています。NTTデータSMSの取り組みによって、社員は自分のスキルセットを明確に理解し、必要なスキルを身につけることが可能になりました。

トヨタ自動車

製造業界では、トヨタ自動車がスキルマップを活用している代表的な企業です。
特に、異なる2つ以上の専門技能を持つ職人である「多能工」を増やすべく、「多能工化」においてスキルマップを活用しています。トヨタでは、多能工化により、社員のスキルを最大限に活かすことを目指しています。

トヨタは、スキルマップを使用して社員の能力を視覚化し、不足しているスキルを特定することでスキルを身につけるためのトレーニングを実施しています。結果として、トヨタではどの社員も品質の高い製品を効率的に生産する能力を持つようになっています。

参考元:スキルマップとは?目的と活用事例を詳しく解説!最後に作り方も紹介

スキルマップだけじゃない!多能工化を推進するクラウド型動画マニュアルとは

製造業の現場では、多能工化が求められており、多能工化を推進するには、スキルマップの作成・運用・改善のサイクルを繰り返すことが重要です。しかし、アナログなスキルマップだけでは限界があります。なぜなら、紙ベースやエクセルベースのスキルマップは情報の更新や共有が難しく、現場の変化に対して迅速に対応することが難しいからです。

そこで注目されるのが、クラウド型動画マニュアルです。ここではおすすめの動画マニュアル「tebiki」について解説し、tebikiを活用した企業事例についても解説します。

動画マニュアル「tebiki」

tebikiは、クラウド型動画マニュアルです。tebikiはスマホやタブレットを活用して、簡単に動画マニュアルを作成することができます。製造業の現場では、様々な機械や工具を使用するため、使い方やメンテナンス方法を正確に伝えることが非常に重要です。従来のマニュアルでは、文字や静止画での説明が主流でしたが、tebikiを使用することで、実際の操作の様子を動画で撮影し、マニュアルとして活用することが可能です。

さらに、tebikiには従業員の習熟度管理機能も搭載されており、各従業員のスキルアップの進捗を一元的に管理できます。一元管理により、マネージャーやリーダーは、従業員のスキルレベルや習熟度を把握し、適切な教育やトレーニングを提供することが可能です。

tebikiを活用して多能工化を推進した事例

tebikiを活用して多能工化を推進した企業事例として、以下の2社を紹介します。

  • 東急リゾーツ&ステイ株式会社
  • イセ食品

東急リゾーツ&ステイ株式会社

東急リゾーツ&ステイ株式会社は、ホテル、ゴルフ場、スキー場、別荘地など、全国100を超える施設運営を手掛ける総合運営会社です。

東急リゾーツ&ステイ株式会社は、サービスのクオリティやスキルの拡大・変化に伴い、施設内のサービスレベルにバラつきが生じる課題を抱えていました。また、働き方改革の推進とともに、サービスクオリティの維持・向上と労働時間の短縮を両立させる必要がありました。

そこで東急リゾーツ&ステイ株式会社は、業務の標準化と可視化を目的として、動画マニュアルtebikiを導入しました。動画マニュアルは、動きを伴う業務を視覚的に伝えられ、従業員にとって理解しやすい点が特徴です。例えば、ワインの抜栓の手順やグラスの拭き方など一連の動きによるサービスは、動画での指示が最も効果的です。

東急リゾーツ&ステイ株式会社はtebikiの導入により、2年間で9,000本以上のマニュアルを作成することで、業務のバラつきを解消し、業務の標準化・平準化、多能工化を実現しました。
結果として、従業員の業務負荷が低減し、新たなサービス取り組み時間への転化が可能となりました。さらに、tebikiを活用した現場改善を繰り返すことで、現場主導での業務改善の風土が醸成されているとのことです。

イセ食品

イセ食品株式会社は、東京都千代田区を拠点とする鶏卵の販売・製造を行う企業で、国内外での事業展開をしています。

イセ食品株式会社は品質の高い商品を提供するために、産卵から包装まで一貫した製造を行っています。最近の取り組みとして、食品の安全と品質向上を目指し、HACCP管理の一貫としてFSSC 22000やJFS-Bの取得に努めています。会社全体のスローガンとして「品質向上」が掲げられています。

イセ食品の工場には多くの外国籍の従業員が在籍しており、日本語の座学研修が外国籍従業員に十分に伝わらないという課題がありました。新人研修の座学は日本語で行われており、外国籍の新人は内容を理解するのが難しいという状況が続いていました。また、座学の内容が現場の作業と一致しないこともあり、新人が現場での作業を理解するのに時間がかかっていました。

そこでイセ食品株式会社はtebikiを導入しました。tebikiの導入により、新人研修の座学時間が大幅に削減され、動画を使用することで外国籍の新人も内容を理解しやすくなりました。加えて、動画を使用することで新人の理解度が向上し、現場での作業もスムーズに進行するように。また、動画を使用することで、トレーナーの教育時間も削減され、他の業務に時間を割けるようになり、多能工化も実現しました。

スキルマップを活用して多能工化を実現しよう【まとめ】

多能工化とスキルマップの活用は、企業の競争力を高めるための重要な手段として注目されています。

多能工化とは、一人の従業員が複数の業務やスキルを持つことを指し、業務の平準化や急な変化への柔軟な対応、そして従業員のモチベーション向上が期待されます。多能工化を実現することで、労働人口の減少や多品種少量生産への移行といった現代の製造業の課題に効果的に対応することが可能です。

スキルマップは、従業員のスキルを可視化し、人材育成や業務改善を行うためのツールです。製造業において、スキルマップは従業員のモチベーション向上や効果的な人材育成を実現するために有効です。特に、成果主義の評価基準の導入やデジタル化の急速な進展に伴い、スキルマップの重要性は増しています。

スキルマップだけでなく、クラウド型の動画マニュアルtebikiの活用も多能工化を推進するための有効な手段となります。動画マニュアルを活用することで、現場の作業手順や安全対策を視覚的に伝えられ、多国籍の従業員が働く環境でも効果的な研修や教育が実現可能となります。

この記事で紹介した動画マニュアルtebikiの資料は無料でダウンロード可能です。多能工化の実現のために、tebikiの資料を無料でダウンロードしてみませんか?


tebiki WP 用-1

関連記事

現場改善ノウハウをお届け!

現場改善に役立つ!無料で見れる専門家による解説セミナー

新着記事

目次に戻る