現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 ヒューマンエラーとは?対策11選!原因12分類と具体的な事例も解説

ヒューマンエラーとは、人の行動や選択によって生じるミスを指します。

このミスが大きな問題である場合、品質トラブルや安全トラブルなど、企業活動に悪影響を及ぼす事故につながる恐れもあるため、ヒューマンエラーを限りなくゼロに近づけるための対策が必要です。
そこで本記事では、ヒューマンエラーの種類や代表的な発生原因を整理したうえで、具体的なヒューマンエラー対策例をソフト面とハード面に分けて11個ご紹介します

目次

製造業におけるヒューマンエラーの未然防止と具体的な対策方法
本コンテンツから分かること
  • ヒューマンエラーとは
  • ヒューマンエラーの種類と発生原因
  • ヒューマンエラー対策の視点
  • ヒューマンエラーの対策方法
  • tebikiの紹介と導入事例

ヒューマンエラーとは?該当しないミスや類語

ヒューマンエラーとは、人の行動を起因として発生するミスのことです。

ヒューマンエラーは、注意不足や疲労から発生するケアレスミスやポカミスなどの小さいものから、製品の品質不良発生や情報流出、交通事故、労働災害など企業に深刻な影響を及ぼすような大きいものまで、様々な種類があります。

ここではヒューマンエラーの意味や、ヒューマンエラーに該当しないミスや類語を解説します。

ヒューマンエラーとは「意図しない結果を生じる人間の行為」

ヒューマンエラーとは、人間による行動を起因として発生した失敗や事故のことを指します。日本産業規格(JIS Z 8115:2000)では「意図しない結果を生じる人間の行為」と表現されています。

これまでの生活や仕事の中で、大小の違いはあれ、ミスをしたことがない人はいないでしょう。とくに職場では、複数人が関与してさまざまな作業工程を行うことが多く、ミスの引き金となる要素が潜んでいます。このようなミスは意図的ではないケースが大半のため、ヒューマンエラーの発生をゼロにすることはほぼ不可能です

しかし、発生した事故が不良品の発生や情報流出、労働災害など企業活動に重大な損害を与える可能性もあるため、限りなくゼロにするための対策を検討し実施することが求められます。

ヒューマンエラーに含まれないミス

人間の行動によって起こってしまうミスや事故はヒューマンエラーに含まれます。

一方で、機械トラブルなど人間の行動が原因ではないミスはヒューマンエラーに含まれません。例えば、機械の老朽化や消耗などによって発生するミスや外部委託で作成されたマニュアルに従って発生したミスはヒューマンエラーには含まれません。

ただし、社内でマニュアルを作成しているにもかかわらずミスが発生してしまった場合は、マニュアル作成時に内容の記入漏れや記載すべき内容を十分に検討できていないことが原因であることも多く、そのような場合はヒューマンエラーに含まれます。

ヒューマンエラーは「人為的ミス」と表現することもでき、人が何かの作業をする際にミスをしてしまうことに加えて、本来やるべきことをしなかった場合のミスもヒューマンエラーに含まれます。

ヒューマンエラーは「人為的ミス」「人災」などに言い換えられる

ヒューマンエラーに近い言葉として「人為的ミス」や「人災」があります。

人為的ミスとは、業務を行う際に誤った判断や行動を起こすことで発生するミスを指します。人為的ミスは操作ミスや、手違い、情報の誤解などが該当し、主に不適切な行動やコミュニケーション不足などの経験不足や連絡不足が原因とされています。

人災とは、人間によって引き起こされる災害や災難を指します。これは自然災害とは異なり、主に人為的な要因によって引き起こされる災害です。人災は工業事故や、交通事故、環境汚染などが該当し、人間の誤った行動や判断によって引き起こされる事故を指します。

「人為的ミス」と「人災」の違いとしては、「人為的ミス」は個別の行動や判断に焦点を当て、一般的に小規模な問題や事故を指しているのに対し、「人災」はより広範で、個々の行動だけでなく大規模な組織や社会の過ちによって引き起こされる深刻な災害や事故を指していることが挙げられます。

これらの単語は、ヒューマンエラーの類語として言い換えられることが多いでしょう。

ここまで、ヒューマンエラーという言葉について基礎知識を整理してきました。次章では、どのような事故/トラブルがヒューマンエラーに該当するのか?事例を基にヒューマンエラーの例を確認していきましょう。

ヒューマンエラーの種類とタイプ

ヒューマンエラーの種類として大きく以下の2種類に分けられます。

  • 「ついつい・うっかり」が起こす意図的ではないヒューマンエラー
  • 「あえて」が引き起こす意図的なヒューマンエラー
ヒューマンエラー 人的ミスの種類について図解で説明した画像

「ついつい・うっかり」が起こす意図的ではないヒューマンエラー

意図的ではないヒューマンエラーは、「ついつい・うっかり」といった行動から生じることがあります。

これらのヒューマンエラーは無意識のうちに行われており、心理学的な要因や認知プロセスの影響が大きく関与しています。ここでは意図的ではないエラーのタイプをご紹介します。

特定のエラーによってヒューマンエラーが引き起こされるのではなく、きっかけとなるエラーによって他のエラータイプも引き起こされる関係性があります。詳しくは以下の図解もご覧ください。

ヒューマンエラー 人的ミスは4つの機能が働かないことで起こる現象だということが分かる図

記憶エラー

記憶エラーとは、業務内容や行動をきちんと記憶していないことによって発生するエラーです。

覚えにくい情報や反復、復習しないことによる記憶内容の薄れや変化、思い出す手がかりが不足していることでミスをしてしまいます。

認知エラー

認知エラーとは、情報を誤って認知し、誤った行動をしてしまうことで発生するエラーです。

認知エラーが起こる原因として、情報の質の悪さと伝え方の悪さが考えられます。情報の質の悪さについては、誤った情報やあいまいな情報、識別の弱い情報を伝えてしまうことが原因です。

判断エラー

判断エラーとは、思い込みから誤った判断をしてしまうことによって発生するエラーです。

判断エラーが起こる原因として、状況理解が困難であることが考えられます。目的や目標などの進むべき方向が不明確であったり判断基準の内容があいまいな状況であると、判断エラーを起こしやすくなります。

行動エラー

行動エラーは、方法が不適切であったり手順を誤って認識している場合に発生するエラーです。

行動エラーが起こる原因として、機械の操作方法が自身の操作感覚と合わなかったり、持ちにくい・操作しにくい等の操作性の悪さ、認知や判断エラーによって発生します。

全エラー共通

上記4つのエラーに共通しているのは、業務において注意力がうまく働いていないということです。

注意力がうまく働かない原因として、過度な集中や長時間の集中が要求される場合、注意すべき対象が多い場合、注意を阻害する障壁がある場合が考えられます。

また、作業における疲労やストレスが溜まることで業務における注意力が低下し、ヒューマンエラーの発生に繋がります。

「あえて」が引き起こす意図的なヒューマンエラー

「あえて」が引き起こす意図的なヒューマンエラーとは、慢心により注意を配らずに手抜きをしたり、決まり事を守らず手順を意図的に無視することで起こってしまうヒューマンエラーのことです。

業務に慣れてしまったことで本来すべき確認を怠ってしまい、気付かぬうちにミスが発生してしまうということです。例えば、業務効率を求めてしまったり、めんどくさいという気持ちからチェックを省いたりすることで発生します。

「あえて」型のヒューマンエラーは主に以下3つが原因として引き起こされます。

  • 職場全体で作業手順を守る意識が不足している
  • 決まり事の内容と必要性が理解されていない
  • 決まり事の内容や必要性を理解しているものの、納得していない

このように、ヒューマンエラーには偶然/意図的に発生するものに分けられます。それぞれのエラーが引き起こされるか否かは、そのときの周辺環境や状況などによって左右されます。

このようにヒューマンエラーは、「ついつい・うっかり型」のような認知エラーや、「あえて型」のような意図的なエラーに大きく分けられます。次章では、このようなヒューマンエラーが引き起こされる原因について、12分類に分けて解説していきます

ヒューマンエラーの発生原因12分類を具体例とともに解説

厚生労働省で公開されている情報によると、ヒューマンエラーの発生原因は以下の12分類に分けられると紹介しています。

▼ヒューマンエラーの12分類▼

ヒューマンエラーを12種類に分けたアイコン

厚生労働省「製造業労働災害防止対策」を基に弊社作成】

ここでは、12個の発生原因それぞれがどのようなものなのか、簡単な具体例を交えながら分かりやすく解説していきます。

不注意

不注意は、意図せず無意識に発生してしまうミスの原因です。うっかりミスとも呼ばれ、作業手順書に記載されている事項の見落としや、思い違いがあった場合に発生します。

たとえば、製造ライン上で作業者が似たような色や形の部品を取り違え、製品に誤った部品を取り付けた結果、最終検査で不良品として弾かれる、などが考えられます。

とくに手順が決まっているような定常業務で発生しやすく、繰り返し同じような作業を行うことで集中力の低下や注意力不足に陥り、ミスを誘発する傾向があります。

錯覚

錯覚は、作業手順などの物事を最初は理解したものの適切な理解ができない状態に陥り、認識を誤ってしまうことを指します。先入観による思い込み、記憶のど忘れといった場合に生じます。

たとえば、機械のメンテナンス中に作業員が部品の位置を誤って覚えてしまい、元の正しい位置に戻さずに運転を再開してしまった結果、機械が故障してしまうなどです。

錯覚は気づくのが難しいため、後から振り返ってもヒューマンエラーの原因として明確にするのが難しい項目です。

無知・未経験・不慣れ

無知・未経験・不慣れは、初めて行う業務や経験が不足している業務に取り組む場合に生じます。その業務に対して知識不足や不慣れであることからポイントがわからず、ミスやヒューマンエラーにつながることがあります。

たとえば、新しく導入された機械の操作方法を十分に習得していない作業員が、誤って緊急停止ボタンを押しラインが止まってしまう、などがあります。

とくにこの原因によるヒューマンエラーは、入社して間もない新人によく見られます。この経験不足は、現場の教育体制を整備することで補える要素である一方、『手取り足取り教える余裕や時間はない…』という現場も少なくありません

現場の管理者や従業員の教育負担を軽減しつつ、正しい手順や情報を伝えられる手段として「動画マニュアル」が活用されるケースが増えています。

危険軽視・慣れ

類似の業務に関する経験を積み、慣れてきたタイミングでは、慣れや軽視によるミスやヒューマンエラーが生じます。最初の時期は慣れるまで時間をかけてミスのないように作業の内容や念押しの確認をしていたものの、「慣れてきたし大丈夫だ」と考えて、従来の作業工程を省いたり変更してしまうことで発生します。

たとえば、長年働いているベテラン作業者が、「なれっこだから」と保護具を着用せずにプレス機を操作し続けていた結果、手を挟んで大けがを負ってしまうなどです。

とくに注意が必要なのは、実務を始めてから数カ月~半年程度が経ち、だんだんと作業に慣れてきた新人です。

疲労

正しい知識を持ち、正しい手順で手抜きをせずに作業を行っているつもりでも、疲労が蓄積して注意力や判断力が低下している状態では、ヒューマンエラーが生じます。

たとえば、月末の生産ピーク時に通常のシフト時間を超えて長時間作業を行う必要があり、休憩なしで作業を行わないといけない状況などで起こりやすいです。

繰り返し同じ作業を継続して行う場合や長時間労働が続いている場合、大きなストレスや緊張がかかる場合に発生するため、適度に休憩を行えるような現場の環境づくりが必要です。

近道・省略行動

時間や労力を節約するために、決められた手順や規則を無視して作業を行うことで、ヒューマンエラーを誘発してしまいます。

たとえば高所作業を行うときに、「安全帯を付けるのはめんどくさいな」と、必要な保護具を装着せずに作業を行ってしまうケースなどがあります。

場面行動本能

突発的な状況に直面したときに、本能的な反応をとってしまうことでヒューマンエラーが発生します。

たとえば、そのまま見過ごせばよかった落下物を本能的にキャッチしようとして、けがをしてしまうケースなどがあります。

高齢者の心身機能低下

加齢に伴って、視力や聴力、反応速度が低下することでヒューマンエラーが発生します。若い人なら難なくできることでも、加齢による衰えで、ミスや事故を引き起こしてしまいます。

たとえば、高齢なのにも関わらず若い人と同じ力があると過信しているベテランが、重い荷物を持った時に筋力が足りず、足の甲に荷物を落としてしまう、などが考えられます。

パニック

普段は起きないような異常事態が発生したときに冷静さを失い、適切な対応ができなくなることで事故を起こしてしまいます。特に、比較的経験の浅い若手の方に多く見られます。

たとえば、いつも使っている機械が故障を起こしてしまった際、慌ててなんとかしようと自分で無理やり修理を試みた結果、余計に故障させてしまうなどが考えられます。

単調作業による意識低下

同じ作業を長時間行う中で集中力を切らしてしまった際に、ミスや事故が発生します。やりはじめなら絶対にミスをしないというような作業でも、ずっと同じ作業を行っていると、ふとしたタイミングでミスをしてしまうのです。

たとえば食品工場などにおける袋詰めの作業で、1日中ずっと行っているとだんだんと意識が低下して、決められた量とは異なる量を袋に詰めてしまう、などが考えられます。

休憩時間がなくずっと連続して作業を行っているときや、ジョブローテーションのない工場などで起こりやすいでしょう。

連絡不足

作業者間や部署間で必要な情報が適切に共有されないことでヒューマンエラーが発生します。また、「伝えたつもりだったけど、ちゃんと伝わっていなかった」といったケースも存在します。

たとえば、製品の材料が変更され、異なる作業手順を行わないといけなかったにも関わらず、材料が変更されたことが伝えられなかったせいで従来通りの作業手順で対応してしまった、などが考えられます。

普段から組織内でのコミュニケーションが少なかったり、口頭で伝えるなどのアナログな情報共有しか行っていなかったりすると、発生しやすいです。

集団欠陥

「みんながやっているから、まあいっか」のように、本当は間違ったことをしているのに、同調圧力のせいでそのまま決行してしまうことでヒューマンエラーが発生します。

たとえば、電子機器の製造工場で、公式なやり方では精密な機器を使って品質検査を行わないといけないのに、工数削減のため、目視検査しかしないのが工場全体で常態化しているケースなどです。

起きやすいのが、納期に追われて職場がピリピリしているときです。「本当はいけない」ことがわかっているのに、それを言い出すと自分が損をしてしまうから誰も言い出さない、といった状態です。

今回ご紹介した12分類の発生原因に基づくヒューマンエラーによって、過去には企業にとって重大な問題に発展したケースもあります。

次章では、ヒューマンエラーによって発生した重大な事故の事例を確認し、ヒューマンエラー対策の重要性を理解していきましょう

ヒューマンエラーによって事故が引き起こされた3つの事例

ヒューマンエラーはときに企業にとって深刻な影響を及ぼします。ここではヒューマンエラーによって事故が引き起こされた3つの事例について紹介します。

  • みずほ証券のジェイコム株大量誤発注事件(2005年)
  • 年金記録5,000万件の不備問題(2007年)
  • 新幹線のぞみ34号台車亀裂事件(2017年)

みずほ証券のジェイコム株大量誤発注事件(2005年)

2005年に起きたみずほ証券のジェイコム株大量誤発注事件は、データ入力ミスによるものです。

みずほ証券のスタッフが本来の注文として「1株を610,000円で売る」と入力すべき個所に対し、「610,000株を1円で売る」と誤って入力したのが原因です。このミスは、コンピューターシステムの警告を無視してデータを入力したため発生し、注文が完了した後で発見されました。

キャンセルを試みたものの失敗し、この誤発注はみずほ証券に約30億円の損失をもたらしました。本事件は株式市場に大きな影響を与え、みずほ証券自身にも財務的な大きなダメージを与えました。

年金記録5,000万件の不備問題(2007年)

2007年に起きた年金記録5,000万件の不備問題は、日本の社会保険庁でのデータ管理のミスにより発生しました。

当時、マイナンバーのような国民1人1番号という制度がなく、国民年金や厚生年金保険、共済組合などの年金制度によって年金記録番号が異なっていたため、1人の個人に複数の異なる番号を使用する必要があり手続きが煩雑でした。

そこで、行政はこれらの年金記録を10桁の番号に統一させようとしていました。しかし、コンピュータに年金番号があるものの、基礎年金番号に統合・整理されていない記録が約5000万件あることが判明しました。また、過去の紙台帳からコンピュータへの記録の転載が不正確だったことが原因だと指摘されています。

この不備は、年金記録が基礎年金番号に正しく統合されず、多くの記録が持ち主不明となる結果を招きました。この問題は、公的年金制度への信頼を大きく損ない、国民からの批判を集めると同時に行政の情報管理能力に疑問を投げかけることとなりました。

新幹線のぞみ34号台車亀裂事件(2017年)

2017年に起きた新幹線のぞみ34号台車亀裂事件は、博多〜東京行きのJR西日本の新幹線車両の台車で亀裂が発見された事件です。台車の亀裂は14cmにも達しており、あと3cmで台車が破断するという深刻な状態でした。

この不備は走行中の異音・異臭が確認されたにもかかわらず、運行を継続したことが原因となっています。この事件は名古屋駅での床下点検により油漏れが発見され、運転が中止されました。幸い被害者は出ませんでしたが、脱線事故につながる危険性があったと判断され鉄道安全管理の重要性を浮き彫りにしました。

このような、事業活動に多大な悪影響を及ぼすような事故を防ぐためにも、ヒューマンエラーを限りなくゼロに近づけるための対策を講じることが重要です、次章以降では、具体的なヒューマンエラー対策の方法をハード面とソフト面に分けて11個ご紹介します

ヒューマンエラーの対策方法3選:ハード面

ここからは、ヒューマンエラーの具体的な対策方法について解説していきます。

まずはハード面における以下の3つの対策方法からご紹介します。(*ハード面の対策:設備や装置、技術によってエラーを防ぐための対策)

なお、現場改善ラボでは、ヒューマンエラーの対策方法について解説した動画コンテンツをご用意しています。

専門家をお招きし、ここでは公開していない、より専門的な内容も解説しております。簡単なフォームを記入するだけで無料で視聴できますので、ぜひ以下のバナー画像をクリックしてご覧ください。


各種事例に学ぶヒューマンエラーの原因分析と対策法 (2)

定期的な設備保全/点検の実施と記録を行う

作業現場で年季の入った設備を使用している場合、定期的な設備保全を行うことがヒューマンエラー対策につながります。保全活動を通じ点検を行うことで、前述の「新幹線のぞみ34号台車亀裂事件」ような事故防止につながります

一方で、保全活動や点検作業は形式的な作業になりやすく、集中力の低下などによるヒューマンエラーにつながりやすいともいえます。そこで、設備保全や点検を実施するだけでなく、実施した記録を残し管理者が確認/承認するような仕組みも有効でしょう

第三者によって、記録された内容に違和感や異常がないか確認するフローがあることで、ヒューマンエラーによる重大なトラブルが発生する芽を摘むことができます。確認フローを効率的に行うためには、点検表のようなチェックシートを電子化して運用することが効果的です

ミスが発生しやすい工程で、機械やITツールを導入して自動化する

ヒューマンエラーが発生しやすい作業工程に対して、自動化できる機械や補助的に使用が可能なITツールを導入することでトラブルを未然に防ぐ対策につながります。ミスが発生しやすい工程を機械やツールといったハードに置き換えることで、作業をなくしたり簡略化することが可能です

このようなツールの導入は業務を効率化し、業務のムリムダムラを無くすことにも繋がります。一方で、多くの場合は導入に初期費用が必要なため、費用対効果を十分に検討する必要があります。

フールプルーフの考え方に基づく作業手順や工程を設計する

フールプルーフとは、作業者が誤った使い方をできないようにしたり、誤った使い方をしても影響が発生しないようにしたりする考え方です。例えば刃物を用いる機械の場合、両手で掴んで操作をしないと作動せず、話すと停止するような機構が挙げられます。

このように、ヒューマンエラーは必ず起こるものという前提で、ミスが起きても重大な問題に発展しない仕組みを検討/設計することがフールプルーフです。似たような考え方として「フェールセーフ」というものもあります。

▼関連記事▼
フールプルーフとはどういう設計?品質不良/ヒューマンエラーを未然防止する考え方、使用例を解説
フェイルセーフとは?フールプルーフとの違い、安全性を確保するための考え方を解説!

このようなハード面の対策を通じ、ヒューマンエラーの発生をゼロに近づけたり、発生した場合も大きな問題に発展しないようにすることが可能です。

一方で、「ヒューマンエラーの発生原因12分類を具体例とともに解説」でご紹介したように、ヒューマンエラーは人間の意識や状態によって左右されるため、ハード面の仕組み化だけでは足りません。そこで、次章でご紹介するような「人間の行動や意識改善を狙ったソフト面の対策」も行いましょう。

ヒューマンエラーの対策方法8選:ソフト面

続いて、ソフト面でのヒューマンエラー対策方法について、以下の8つをご紹介していきます。(*ソフト面の対策:人間の行動や意識を改善することでエラーを防ぐための対策)

『他の事例や対策内容も確認したい』という方は、専門家による解説動画も無料でご覧いただけます。以下のバナー画像をクリックして、本記事と併せてご覧ください。


各種事例に学ぶヒューマンエラーの原因分析と対策法 (2)

5S活動を定着させる

5Sとは、「整理/整頓/清掃/清潔/躾(しつけ)」を総称した言葉です。

工場などで5Sの考えが徹底されていない場合、ヒューマンエラーの要因となる事象が発生する可能性があります。具体的には、作業開始前の必要な書類探しで焦り不注意や誤認識につながることが考えられます。

5S活動を徹底することで、作業に集中できる環境の構築と維持をすることができるだけでなく、前述でご紹介したような定期的な設備保全/点検の実施にもつながります

一方で、5S活動はいわば「職場のルール」になるため、職場の従業員に理解が浸透していないことで形骸化してしまうケースも少なくありません。職場で5S活動を定着させて職場改善につなげる方法は、多くの現場で5S改革を行ってきた専門家の解説動画を以下のバナーをクリックしてご覧ください


現場改善ラボ ウェビナー用 (7)

ヒヤリハットを共有する

ヒヤリハットとは、業務中に危険と感じた出来事を指し、重大な事故につながりかねない状況を表します。

このようなヒヤッと/ハッとした出来事を社内で共有することで、似たような場面に遭遇する従業員が危険性を意識するようになり、ヒューマンエラーの予防につながります

そのヒヤリハットはなぜ起こったのか?と原因を深堀したうえで共有することで、同じ作業や工程を行う人に対して注意喚起につながるため、ヒヤリハットの共有はミスやヒューマンエラーを回避する有効な対策の1つです。

ヒヤリハットの共有によって防げるヒューマンエラーを起因とした事故は「製造現場の安全トラブル」です。

現場改善ラボでは、製造現場における安全を守るためにヒヤリハットを活用した対策方法について、労働安全コンサルタントによる解説動画を無料でご覧いただけます。以下のバナーをクリックして、本記事と併せてご活用ください。


労働災害を撲滅するヒヤリハット対策の心得 (1)

危険予知トレーニング(KYT)を定期的に実施する

ミスやヒューマンエラーを対策するには、「どのような場面でミスやヒューマンエラーが発生するのか」といった潜在的な要因を予測する力をつけることも効果的です。このような予測する力を養う方法が、危険予知トレーニング(KYT)と呼ばれる手法です。

危険予知トレーニングとは、作業現場で重大な事故やケガにつながる危険を予測し、適切な対策を講じる能力を高めるトレーニングです。小集団と呼ばれるグループを組み、写真やイラスト、動画などで特定の現場を共有し、そこに潜む危険を話し合いを通じて見つけて対応策を見極めていきます。

しかし、既に行っている現場では危険予知トレーニングが「あいまい」「マンネリ」になっているというお声も伺います。効果的な危険予知トレーニングを行う手法については、専門家による解説動画を以下のバナーをクリックしてご覧ください


効果あるKYTとは (1)

チェックシートや複数人によるチェック体制を構築する

チェックシートは、ヒューマンエラーの発見に効果的なため広く使用されています。チェックシートの使い方として、作業が終了した後にその作業のポイントをリスト化した帳票を確認しながら、それぞれの項目にチェックマークを付けていきます。時間は必要ですが、自身の作業を客観的に確認できる点がメリットです。

また、チェックリストが使えないような工程では複数人の作業者がチェックをすることで、ミスに気付ける確率が高まります。自身の作業を客観的に振り返るのは難しいため、自分で再度チェックしても、思い込みなどの影響で気づけません。

ただし、生産性の低い仕事に時間を使うことになるため複数人でのチェック体制を構築するのは、必要最低限の重要な工程に絞る必要があります。また、「他の人がチェックしているから大丈夫」という安心を生み、ミスを誘発するケースがあるため、他の対策と併用することがより効果的だといえます

製造業の場合、チェックシートを現場帳票として運用しているケースが多いでしょう。しかし、記録や承認で膨大な工数や負担が発生しやすいため、チェックシートをはじめとする現場帳票を「電子化」して運用すると、より効率的なチェック体制構築につながります。

4Mの視点でヒューマンエラーの真因を追及する

工業分野において、安全追及やリスク評価を行う安全工学の分野で使われる手法/視点として4Mがあります。
4Mとは、Man(人的要因)、Machine(設備的要因)、Media(作業的要因)、Management(管理的要因)の頭文字で、4つの視点からヒューマンエラーによる事故を分析し、ミスや事故の真因を追求します。下記は安全工学の4Mにおける具体例です。

  • Man(人的要因):疲労や睡眠不足による生理的要因やストレスや不安などの心理的要因
  • Machine(設備的要因):機械・設備における点検不足
  • Media(作業的要因):慣れや属人化により正規手順を無視するなどの作業方法不適切
  • Management(管理的要因):教育体制、健康管理体制

例えば、機械の点検を怠ったことが原因で事故が起こってしまった場合は設備的要因に問題があります。従業員に対して十分な教育を実施せずに現場へ入らせ、作業不順守により品質不良が出た際は管理的要因に問題があったと考えられます。

これらの要因は相互に関連し合い、1つが欠けると他の要因にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、定期的な監査や改善活動を通じて包括的な対策を取ることが大切です。

ヒューマンエラーによるミスや事故の真因を追求し、根本原因に適切な対策を講じるためには、なぜそのエラーが起きたのか?「なぜなぜ分析」を通じて分析を行うことが有効です。現場改善ラボでは、なぜなぜ分析が生まれたトヨタ自動車の社内で、なぜなぜ分析の研修講師をしていた専門家による解説動画を無料でご覧いただけます。

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トヨタで学んだ『なぜなぜ分析』 (4)

ミスを報告しやすい職場環境にする

「怒られるのが怖い」「生産ラインを止めてしまうのが申し訳ない」のように、心理的安全性が確保されていない職場環境だとミスが報告されにくいです。このような職場では、ミスや問題を隠そうという意識が働きやすくなり、のちのち大きな事故につながってしまうこともあるのです。

先ほどのヒヤリハットと同様、報告が上がってくることで将来的な重大事故を未然防止することにつながります。もちろん、ミスを注意しないと改善することはできませんが、個人を攻めるような度を越した注意をしないようにすることも大切です。トヨタ自動車では、「人を責めるな、仕組みを責めろ」という考え方のもと、業務改善が推進されています。

ミスを注意するときにはこの考え方を意識しつつ、注意後のフォローアップを行い、心理的安全性を守ってミスを報告しやすい職場にすることが、ヒューマンエラー対策として大切です。

従業員の健康状態をケアする

従業員の健康状態を良好な状態に保つことで、12分類における「疲労」に起因するヒューマンエラーを防ぐことができます。

健康は、「肉体的な健康」「精神的な健康」に分けられますが、どちらもケアしてあげることが大切です。たとえば、残業をさせず、毎日十分な休息が取れるようにしてあげることで、体も心も健康な状態に保つことができます。

心身ともに健康な状態で業務に励める環境作りをすれば、ヒューマンエラーが減るのはもちろんですが、離職率の低下にも期待できるでしょう。

初めて/変更/久しぶり(3H)に該当する作業前にマニュアルを確認する

ヒューマンエラーのようなミスは、初めて行う作業や従来から手順などに変更があった作業、久しぶりに行う作業で発生しやすいです

製造業の場合、総称して3Hと呼ばれヒューマンエラーを未然に防ぐために対策が行われています。3Hに該当する作業を行う前には、ヒューマンエラーを回避するために、事前の研修やマニュアルの確認を行うことが効果的です。

また、3Hに該当する作業に限らず、複数人が行う業務で作業手順が明確ではない場合、作業者ごとで手順が異なることでミスが発生する可能性があります。そこで、誰でも同じ手順で作業を完了できるように、マニュアルを整備することが効果的な対策の1つです。

作業手順など、「動作」にまつわる情報を分かりやすく伝える手段として、マニュアルを動画化して教育に活用する現場も増えています。実際に、動画マニュアルを活用してヒューマンエラーを半減させたという事例もあります

人材教育に動画マニュアルを活用する効果や事例は、以下のガイドブックで詳しくご紹介しています。とくに製造業や建設業、物流業といった「動き」が伴う業界のヒューマンエラー対策として有効なので、バナー画像をクリックして詳細をご覧ください

次章以降では、ソフト面のヒューマンエラー対策として「教育」が重要である理由を整理し、効率的に行う方法を解説していきます。


動画マニュアルで現場の教育をかんたんにする方法

ソフト面のヒューマンエラーは「教育」がカギ!

ソフト面での対策を8つ紹介しましたが、そのうち4つは「教育」に関係する対策です。

  1. 5S活動を定着させる
  2. ヒヤリハットを共有する
  3. 危険予知トレーニング(KYT)を定期的に実施する
  4. 初めて/変更/久しぶり(3H)に該当する作業前にマニュアルを確認する

1つ目の「5S活動を定着させる」ですが、いかに徹底して5Sの重要性を教育によって理解させるかになります。

2つ目の「ヒヤリハットを共有する」ですが、これも「こんな危ないことがあるから、これに注意してね」と教育することです。

さらに3つ目「危険予知トレーニング(KYT)を定期的に実施する」も教育訓練に関連すること。

そして4つ目「初めて/変更/久しぶり(3H)に該当する作業前にマニュアルを確認する」も教育に関することです。

以上を踏まえると、『教育を徹底させること』が、ヒューマンエラー対策の大きなカギであることがわかります。

既に、ヒューマンエラー対策の一環で人材育成を行っている職場は多いと思いますが、教育の負担が多くかかる一方で『なかなかミスなどのヒューマンエラーが減らない…』という場合も少なくないでしょう

そこでここからは、教育を通じて実際にヒューマンエラーが減った事例と、その事例で活用されている教育手段をご紹介します。

【具体例】ヒューマンエラーを「教育」で削減した事例

まずはヒューマンエラーを「教育」によって削減した事例を2つご紹介します。

大同工業株式会社:マニュアル整備による標準化で、ヒヤリハット削減

大同工業株式会社は1933年に自転車チェーンの製造会社として創業して以来、オートバイ、自動車、産業機械、福祉機器といった領域へ積極的に事業展開を行い、現在では海外11カ国に拠点を持つグローバル企業です。

以前、同社は新人教育においてOJTで学ぶことが非常に多く、トレーナーの知識や経験、指導方法によって教育のバラつきが発生していました。担当者によって業務のコツやポイントに差があり、それゆえに業務手順が異なるという我流化が発生していました。最初は小さな我流化だったにもかかわらず、それが2世代、3世代と受け継がれることで大きな我流化となり、試験におけるヒヤリハットの発生や評価結果のエラーによる再試験などの手戻りの一因となっていました。

そこで同社は、動画の活用によるマニュアル整備を行い、部内全体の標準化を実施したところ、部内で発生していた試験中のヒヤリハットや評価エラーを削減することができました。

また、マニュアル作成時にメンバー全員に回覧したことで、個人のカンやポイントが出てきて、業務の効率化・最適化も達成することができました。

株式会社ジェイ・メイト:間違った手順と正しい手順の動画化でミスが半減

株式会社ジェイ・メイトはスーパーの店舗配送を行う物流センターで、メーカーから届いた商品を受け入れて、配送店舗別に各商品を仕分ける作業を行っています。現場は24時間365日稼働しており、ベトナム人を中心とした多くの外国人も働いています。

24時間稼働の物流センターであるため、トレーナーと新人のシフトがあわない、外国人スタッフに言葉が通じない、教える人によって内容が違うなどの理由で、人的な仕分けミスを減らすための教育が十分にできていないことが課題でした。

そこで同社は、仕分けミスをしてしまう間違った手順と正しい手順を動画に残すことにしました。スタッフ全員に動画を見せた後に、仕分けミスが起きる都度、ミスした人に現場でタブレット端末で動画を見せて再教育する、ということをやったところ、1ヶ月目あたりから大きくミス発生率が下がり、半減させること成功しています

ご紹介した事例のように、人材教育を効率化しつつヒューマンエラーを削減する手法として「動画マニュアル」が効果的です。ここからは、動画マニュアルがヒューマンエラー対策/人材教育の効率化に効果的な理由を整理していきます。

ヒューマンエラーを削減する教育手法は「動画マニュアル」が有効

「教育」によってヒューマンエラーを削減している事例を通じ、動画マニュアルという手法を初めて知った方に向けて、ここからは動画マニュアルの有効性について詳しくご紹介します。

後ほど詳細をご紹介しますが、ヒューマンエラー対策を目的とした教育に動画マニュアルを活用することで、理解度向上につながるだけでなく、教育工数や負担の効率化も期待できます

文章マニュアルよりも直観的に理解できる

文章で「これをこうして~」と伝えるよりも、動画で見せた方が直観的に理解しやすいです。

とくに作業手順のような動作を伝える場合、コツやポイント、NG例を文章で伝えることは難しいでしょう。動画マニュアルを活用することで、正しい手順に加えてNG例も盛り込むことで理解度向上につながります。

▼動画マニュアルのサンプル(音量にご注意ください)▼

【業界別26社】動画マニュアルの事例とサンプルを多数ご紹介!より抜粋)

作業内容やコツ、ポイントを動画マニュアルで伝えることで、動作を視覚的にわかりやすく理解することができます。作業の危険性などを盛り込んだ内容にすることで、ヒューマンエラーの未然防止にもつながります

解釈の違い・齟齬が生まれにくい

動画マニュアルでは、見る人ごとによる解釈の違いや齟齬が生まれにくいです。

文章だと解釈が読み手の読解力に依存するため、マニュアルの意図通りに解釈されないケースが発生します。ですが、動画マニュアルだと視聴者の理解力に依存しないので、均一な解釈になりやすいです。

解釈の違いによって異なる手順で作業を行ってしまった結果、品質不良を起こしてしまうといったケースもあるので、そういった意味では品質不良を減らせるメリットも期待できるでしょう。

実際に動画マニュアルの活用によって、品質不良を削減したケースもあります。

マニュアル作成にかかる工数を削減できる

動画マニュアルなら、動画を撮影するだけでマニュアル作成できます。

文章や図だと、わかりやすい説明をしようとするとかなりの工数がかかってしまいます。とくに文章の作成は、動作情報を言語化する際の難しさがあるため、苦労されている方も多いはずです。

しかし動画マニュアルなら、動作の言語化や図の作成に時間をかけることなく、素早くマニュアルを作成できます。実際に動画マニュアルを活用することで、マニュアル作成の工数を1/3に削減した事例もあります

OJTにかかる工数を削減できる

従来のOJTでは現場の担当者が直接指導を行うため、多くの時間と労力がかかります。

動画マニュアルを活用すれば、各自が自学自習できるようになるため、OJTの回数を大幅に減らせます。また、動画マニュアルで一度予習してからのOJTは、いきなり始めるOJTよりも理解度が高くなりやすいです。OJT後の復習として、もう一度動画を見ればさらに理解度は高まるでしょう。

ヒューマンエラーを抑止するためには、反復的な学習を繰り返して、ゆくゆくは意識/体に沁み込ませるということが必要です。動画マニュアルを活用することで、管理者などの教育負担を軽減しつつ反復学習することが可能です。

動画マニュアルを活用して、OJTの7割を動画マニュアルに置き換えたという事例もあります

動画マニュアルのより詳細な効果などは以下のガイドブックからご覧になれます。ヒューマンエラーだけでなく、教育の工数などにも課題感を感じていらっしゃる方は、ぜひ動画マニュアルの活用をご検討ください。

動画と聞くと『編集が難しそう…』と感じるかもしれませんが、編集未経験者でもかんたんに動画マニュアルを作成できるツールが現場教育システム「tebiki」です。次章では、本ツールの機能概要をご紹介します。


動画マニュアルで現場の教育をかんたんにする方法

動画マニュアルをかんたんに作成できる「現場教育システムtebiki」とは

現場教育システム「tebiki」は、誰でもかんたんに動画マニュアルが作成ができるツールです。

動画作成だけではなく、動画マニュアルの閲覧状況や習熟度管理、スキルマップ機能によるスキル管理など、人材教育を効率化する機能が揃っています。ヒューマンエラー対策で動画による教育を行っている「大同工業株式会社」と「株式会社ジェイ・メイト」は、どちらも現場教育システム「tebiki」を使用しています。

▼動画マニュアル作成ツール「tebiki」紹介動画▼

誰でも簡単に動画マニュアルを作成できる

tebikiは、とにかく「操作のかんたんさ」にこだわって作られたツールです。

操作画面はシンプルで使いやすく、編集スキルがない方やパソコン操作に不慣れな方でも直感的に動画マニュアルが作成できます。tebikiを活用することによって、一般的な動画編集ソフトで1時間かかっていた作成時間が、15分ほどに短縮された事例もあります

また、操作が簡単だからこそtebikiを活用できる人が増え、動画マニュアルの作成スピードが加速度的にアップします。以下の事例記事では、tebikiがどれくらい簡単にマニュアルを作成できるのかをご確認いただけます。

テスト機能やレポート機能で、理解度や学習進捗度を把握できる

tebikiには従業員の理解度をチェックするための「テスト機能」が搭載されています。

動画視聴後や研修後にテストを実施することで、従業員一人ひとりがどの程度業務を理解しているかを把握したうえで、教育内容や頻度を調整することが可能です。また、テストの自動採点機能もついているため、教育担当者は手間をかけずに従業員のスキルを確認できます。

ヒューマンエラー対策の場合、動画マニュアルで学んだ内容をテストで確認し、合格に達した従業員から該当作業に着手できるといった運用も可能です。作業前に一定の理解を求める仕組みにすることで、ヒューマンエラーを未然に防ぐことができます。

▼tebikiで作成したオリジナルテスト▼
株式会社大商金山牧場 の導入事例より)

テスト機能(大商金山牧場)

100ヶ国語以上の言語に自動翻訳

tebikiの動画マニュアルは、100ヶ国語以上の言語に自動翻訳できる機能が付いています。

外国人労働者が使うためのマニュアルをわざわざ翻訳して作る必要がなくなります。さらに、英語やベトナム語などの計15言語で字幕を読み上げられるため、母国語で説明を聞きながら理解を深めてもらうことが可能です。

tebikiなら100ヶ国語以上に対応した自動翻訳機能が搭載されていることが分かる編集画面

気になる「精度」ですが、日本語の日常会話程度であれば、問題なく伝わるレベルです。もし自動翻訳で伝わらないということであれば、後から修正することも可能です。

製造業や建設業のように、職場で多国籍の従業員を抱えているケースもあります。このような現場では、言葉や文化の違いがヒューマンエラー対策を難しくしているといえます。このような職場でtebikiを活用することで、それぞれが母国語で学べる仕組みを整えて、業務理解度を向上させることができます

以下の記事では、実際にtebikiを活用して外国人教育が効率化された事例をご紹介しています。外国人労働者の教育工数を課題に感じていらっしゃる方はぜひご覧ください。

半永久的に続く手厚いサポート

tebikiでは、導入してからきちんと運用されるまでのサポートとして、導入支援プログラムをご用意しています。また、ある程度運用が軌道に乗った後も、半永久的なフォローアップを行っています。

tebikiの導入支援~フォローアップまで

動画マニュアルは、あくまでも業務改善のための手段です。

ヒューマンエラーを動画マニュアルで減らしていく場合、作成して終わりではなく、分かりにくい部分など改善できるところは修正し、PDCAサイクルを重ねていくことが必要です。また、動画マニュアルを現場で運用する仕組みも必要です。

tebikiでは、動画マニュアルの品質向上と、運用による業務改善を実現するための伴走支援を行っています。今回ご紹介しきれていないtebikiの機能概要やプランなど、より詳細な情報を知りたい方は以下のバナーをクリックして資料をご覧ください。


動画マニュアルがかんたんに作れる「tebiki」の概要を見る

おまけ:トヨタ式カイゼンの進め方でヒューマンエラーを解決する方法

ヒューマンエラーにおける、トヨタ式カイゼンの進め方について以下4つのステップごとに詳しく解説します。

  • 現状を把握する
  • アイデアを出し合う
  • カイゼン案を実施する
  • 評価・修正をする

現状を把握する

ヒューマンエラーを解決するためには、まず現状を正確に把握することが重要です。現状を把握することにより、どのようなヒューマンエラーが発生しているのか、その原因や背景は何か、といった情報を得ることができます。

これにより、問題の真因を理解し、適切な対策を立てることが可能となります。問題の真因を明らかにするためにはなぜなぜ分析を活用することが効果的です。

現場改善ラボでは、トヨタ自動車のトップ技術者として施作や車両組立に従事され、現在ではトヨタ生産方式のオンライン研修やコンサルティングを行っている伊藤  正光氏による「トヨタ流なぜなぜ分析」やヒューマンエラーに関するトヨタの考え方についての講演を無料で視聴できます

ぜひ以下のバナーをクリックしてご覧ください。


トヨタで学んだ『なぜなぜ分析』 (4)

アイデアを出し合う

ヒューマンエラーを解決するためには、アイデアを出し合うことが重要です。

ヒューマンエラーの発生はさまざまな要因が関係しているため、多様な視点からアイデアを出し合うことが重要です。管理職だけでなく、現場社員も巻き込むことで、より多角的な解決策を導き出すことが可能です。

アイデアを出し合うためには、定期的なミーティングを実施することが有効です。ヒューマンエラーによる品質不良が起きている場合はQCサークル活動で議題として取り上げる、ヒューマンエラーによって安全トラブルが起きた場合は安全衛生委員会の議題として取り上げるといった形でアイデアを出し合いましょう。

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安全衛生委員会とは?設置目的や基準、構成メンバー、議論テーマ例を解説!

カイゼン案を実施する

アイデアを出し合い、とるべき施策を絞りこんだ後は実際にカイゼン案を実施します。カイゼン案を実施する際には、実施前後の状態を定量的に記録することが重要です。カイゼン結果を数値化することで、どれくらいの成果がでたのかが把握しやすくなります。

例えば、確認不足によるヒューマンエラーの発生件数をカイゼン前後で観測し、ヒューマンエラーが10件から3件に減ったとすれば、7件の確認不足を削減できたことを証明できます。カイゼン結果を記録することで、施策の効果をより実感しやすくなるといえるでしょう。

評価・修正をする

カイゼン案を実施した後は、施策の評価・修正を行うことが重要です。

まず、施策は期待通りの効果が得られたのか、そうでないならばどこが悪かったのかを分析し、カイゼン案を修正します。カイゼン案を修正したら、PDCAサイクルを回します。継続的なカイゼンを続けることで、さらなるヒューマンエラーの削減に繋がります。

また、予想通りの効果が得られた場合でも、さらにカイゼンできる余地があるかもしれないので、定期的にチェックすることが大切です。

ヒューマンエラーの対策に関するQ&A

ヒューマンエラーが多い人の特徴は?

ヒューマンエラーが多い人にはいくつかの共通点があります。

例えば、業務中の注意力が散漫な人やストレスや疲労が溜まっている人、社員とのコミュニケーションがきちんと取れていない人が該当します。ここではヒューマンエラーが多い人にあてはまる4つの特徴について詳しく解説します。

ヒューマンエラーが多い人の特徴 事例

注意力の散漫な人

ヒューマンエラーが多い人の特徴として、注意力が散漫な人が挙げられます。注意力が散漫になる原因として、身体的・精神的不調が考えられます。身体的不調の例として、エネルギー不足や蓄積疲労があります。また、精神的不調の例としては、焦りによるストレスやプレッシャーがあります。

精神的・身体的不調の対策としては、ご飯をしっかり食べたり、睡眠を6時間以上取るといったことに加え、悩みがある時は1人で抱え込まずに周り人に相談し体調を整えることで、業務に集中できるようになるといえるでしょう。

知識や経験が不足している人

業務に対する知識や経験が不足していると、誤った行動を取ってしまうため、ヒューマンエラーを引き起こしてしまいます。特に新入社員は、「上司の業務を邪魔しちゃいけない」という気持ちから相談することをためらう傾向が高いです。そのため分からないことに1人で対処しようとし、結果、誤った行動を取ってしまいます。

この問題を解決するためには、新人社員に対して積極的にコミュニケーションを取り、質問しやすい環境づくりを職場で作り上げることが大切です。

自分の能力や状況判断を過大評価している人

自分の能力や状況判断を過大評価し、自分勝手な判断で業務を進めてしまうと大きなミスや事故に繋がりかねません。特に製造業では業務中に誤った判断をすると、命を落としてしまう可能性があります。

そのため、自分の実力に慢心せずに、周りに危険はないかを意識しながら業務を進めることが大切です。

コミュニケーションが足りていない人

周囲とのコミュニケーションをしっかり取れていない人はヒューマンエラーを起こしやすい傾向にあります。コミュニケーション不足になると、情報共有が不十分となってしまい、認識のずれから誤った行動を取ってしまいます。

特に新しい業務を始める人は、しっかりとコミュニケーションをとり、思い込みで行動することを防ぐ必要があります。そのため、社内でのコミュニケーション促進は組織やチーム全体で取り組むべき重要な問題です。

ヒューマンエラーの対策は教育でできる?

ヒューマンエラーへの対策は教育だけで完全に解決することは難しいですが、適切な教育の実施により作業手順や安全対策への理解が高まり、ヒューマンエラーの発生を効果的に防ぐことが可能です。

特にヒューマンエラー対策の研修を行い、ヒューマンエラーへの意識を高めることで未然予防と発生時の迅速な対応が可能です。研修を行うことでミスを犯す要因を知り繰り返さないように対策するだけでなく、万が一事故が発生しても被害を最小限にとどめることができます。

他にも、ヒューマンエラー対策を目的とした教育方法としておすすめなのが「動画マニュアル」です。正しい作業手順を動画化し、マニュアルとして活用することで教育のムラが解消されるためヒューマンエラーの発生を未然に防ぐことが期待できます。

ヒューマンエラーはなくならない?ゼロにできるのか

ヒューマンエラーを完全に無くすことはできません。人間の性質や環境の変化などさまざまな要因が絡み合い、ヒューマンエラーが発生する可能性は常に存在します

しかし、ヒューマンエラーは必ず起こりうるということを認識し、適切な対処を講じることでリスクを最小限に抑えることができます。そのため、ヒューマンエラー対策は個人レベルだけではなく組織全体で取り組むべき重要な課題です。

ヒューマンエラーに対しては、未然予防とミスが起こった際の対処法を確立することでリスクを最小限に抑え込むことが可能です。

機械のトラブルはヒューマンエラーに含まれる?

人間の行動によって起こってしまうミスや事故はヒューマンエラーに含まれます。一方で、機械トラブルは人間の行動が原因ではないため、ヒューマンエラーに含まれません。例えば、機械の老朽化や消耗などによって発生するミスや外部委託で作成されたマニュアルに従って発生したミスはヒューマンエラーには含まれません。

ただし、社内でマニュアルを作成しているにもかかわらずミスが発生してしまった場合は、マニュアル作成時に内容の記入漏れや記載すべき内容を十分に検討できていないことが原因であることも多く、そのような場合はヒューマンエラーに含まれます。

ヒューマンエラーに近い言葉は?

ヒューマンエラーに近い言葉として「人為的ミス」や「人災」があります。人為的ミスとは、業務を行う際に誤った判断や行動を起こしてしまうことによって発生するミスを指します。人為的ミスは操作ミスや、手違い、情報の誤解などが該当し、主に不適切な行動やコミュニケーション不足などの経験不足や連絡不足が原因とされています。

人災とは、人間によって引き起こされる災害や災難を指します。これは自然災害とは異なり、主に人為的な要因によって引き起こされる災害です。人災は工業事故や、交通事故、環境汚染などが該当し、人間の誤った行動や判断によって引き起こされる事故を指します。

「人為的ミス」と「人災」の違いとしては、「人為的ミス」は個別の行動や判断に焦点を当て、一般的に小規模な問題や事故を指しているのに対し、「人災」はより広範で、個々の行動だけでなく大規模な組織や社会の過ちによって引き起こされる深刻な災害や事故を指していることが挙げられます。

まとめ

ヒューマンエラーは不注意や疲労といった人間による行動を起因として発生した失敗や事故のことです。作業工程ごとにヒューマンエラーが発生するメカニズム・要因を明確にしてから適切な対策を取ることで、後工程や自社に大きな影響を与えるようなトラブルを避けることが期待できます。

本記事では、ヒューマンエラーの分類や発生のメカニズム、ヒューマンエラーを解消するための具体的な対策について解説しました。

ヒューマンエラーを効果的に防ぐためには、発生の原因となる人への教育が重要です。教育には様々な方法がありますが、ヒューマンエラー対策には動画マニュアルによる教育が有効です。動画マニュアルを活用することによって従業員は作業手順を正しく理解することができるため、ヒューマンエラーを効果的に防止することができるでしょう。

現場教育システム「tebiki」の機能やプランなど、詳細は以下のバナーをクリックするとご覧いただけます。ヒューマンエラーを削減する手段として、動画マニュアルをご検討ください。


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