現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 再発防止策の具体例4選!ミスが起こる理由から効果的な対策の立て方まで解説

かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki」を展開する現場改善ラボ編集部です。

製造業において、再発防止策は生産性向上と安全確保の要です。

そこで本記事では、再発防止の定義と重要性、作業ミスが発生する7つの原因、再発防止策として4つの具体例を解説します。

さらにチェックシートの活用やマニュアルの整備方法など、効果的な再発防止策もご紹介します。最後に、再発防止に適したツールも解説しますので、是非ご参考ください。

目次

再発防止とは?

再発防止とは、作業ミスや品質問題、労働災害などを再び起こさないように策を講じ取り組むことです。ここでは、再発防止策がなぜ重要なのかについて解説します。

再発防止はなぜ重要?

再発防止は、単にトラブルを防ぐだけでなく、その背後に潜む重大なリスクを回避するために欠かせない取り組みです。以下に、再発防止により対策できる重大なリスクの例について解説します。

  • 作業者の安全確保
  • 機会損失の回避
  • 品質不良の削減

作業者の安全確保

再発防止策を行う理由の1つは、作業者の安全を確保することです。

安全確保を怠ると、従業員の怪我や、最悪の場合命を落とす可能性すらあるでしょう。製造現場では、機械の誤操作や不適切な作業環境が原因で労働災害が発生することがあります。たとえば、作業員がカッターを使用中に指を切る事故が起きた場合、安全装備の不備や作業手順の誤りが原因となります。

このような事故が再び発生するのを防ぐために、安全手順の徹底や適切な保護具の使用といった再発防止策が不可欠です。具体的な対策として、カッター作業をハサミに変更する、安全手袋の使用を義務付ける、作業手順書を見直すなどが考えられます。

機会損失の回避

再発防止策を行うことで、製造工程における機会損失を回避できます。

製造業では、トラブルが発生すると生産ラインが停止し、その間の生産活動が止まります。結果、本来生産していた場合の売上や生産量と比較して大きなギャップが生じ、機会損失が発生します。

たとえば検査機の設定ミスによって不良品が発生し、その後に検査機の再設定や製品の再検査が必要になった場合、生産ライン全体がその作業のために一時停止します。停止時間中に本来であれば新しい製品を生産し、出荷できたはずです。したがって、時間とリソースの浪費は直接的な機会損失となりえます。そのため、機会損失を発生させないために再発防止策が求められるのです。

品質不良の削減

品質不良の削減も、再発防止策の目的の1つです。

不良品が多発すると企業のコストが増加し、顧客満足度の低下を招きます。品質不良の原因としては、製造指示書の記載ミスや作業者の設定ミスといったヒューマンエラーが考えられます。

たとえば、工程の温度や設定が誤っていたために、製品が不良品となるケースなどです。例のような場合の再発防止策としては、製造指示書のフォーマットを修正し、具体的な数値を記入する欄を設けることが挙げられます。また、業務標準化を徹底させるための教育体制や内容の整備も必要でしょう。

現場改善ラボでは、ヒューマンエラーによる品質不良対策について、良品計画やローランドで製造品質向上の取り組みを推進してきた専門家による1時間弱の解説動画を無料で公開中です。ぜひこの機会に、以下のリンクよりご覧ください。

次章以降では作業ミスの発生原因や、具体的な再発防止策について解説していきます。

作業ミスが発生する7つの原因

作業ミスの原因は、ヒューマンエラーによるものが多く、生産現場での効率低下や安全性の問題を引き起こします。
以下に作業ミスが発生する原因として、代表的なものを7つ紹介します。

このような作業ミスは「ポカミス」という呼ばれ方もします。ポカミスをなくすための改善方法や対策例については、別記事「【ポカミスとは?】なくすための改善ステップと対策例」か、専門家による以下の解説動画をご覧ください。


ポカミスゼロへ! ヒューマンエラーの未然予防「ポカヨケでつくる製造現場の未来」

作業前後の確認不足

作業前後の確認不足により、作業ミスが発生することがあります。

確認不足の発生には、タイトなスケジュールや納期に追われることで確認作業を省略してしまう、確認作業の重要性が十分に認識されず、軽視されてしまうといった要因が潜んでいる場合があります。

しかし、確認作業を怠ると重大な結果を招きかねません。たとえば、機械の設定ミスや部品の取り違えの発生で製品の品質が著しく低下することが考えられます​。

確認不足によるミスを防ぐにはチェックリストの導入や、確認が不足していた場合に工程がストップするようなフールプルーフ化が効果的です。

作業者の経験・スキル不足

作業者の経験やスキルの不足も、ヒューマンエラーによるミスを誘発しかねません。

特に新人や異動してきたばかりの作業者は、業務に対する知識や経験が不足しているため、ミスを犯しやすいでしょう。たとえば、特定の作業工程を知らないことや、使用する機械の操作方法に不慣れであることが原因で、ミスが発生することがあります。

このようなミスを防ぐためには、徹底した教育と訓練による業務標準化が必要です。新人研修の充実や経験豊富な作業者による指導、マニュアルの整備などを通じて、作業者のスキルを向上させることが求められます。

作業慣れによる注意不足

作業に慣れることも、作業ミスの原因となるので注意しましょう。

長期間同じ作業を続けると、作業者は次第に緊張感を失い、注意力が低下することがあります。「慣れ」によるミスは、熟練工であっても発生することがあり、普段では考えられないようなミスになることもおかしくありません​。

たとえば、繰り返し作業をするうちに無意識で過去の経験から「この場合はこうなる」といった思い込みで作業を進め、ミスが発生することも。防ぐためには、定期的なトレーニングや安全教育の再徹底が必要です。また作業手順書を見直し、新しい視点での改善を行うことも有効です。

手順不遵守を防ぐ作業手順書の作り方は、以下のガイドブックで図解も交えてご紹介しています。ぜひこの機会に以下のバナーをクリックしてご活用ください。


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疲労やストレスによる集中力低下

疲労やストレスは作業者の集中力を著しく低下させ、ヒューマンエラーによるミスを引き起こす原因となります。長時間の労働や過度のストレスがかかる環境では、身体的・精神的な疲労が蓄積し、ミスを誘発します。

たとえば、連続した残業や休息の不足のため、判断力や反応速度が鈍くなり、誤った操作や見落としが発生することがあります。

疲労やストレスによるミスを防ぐには、適切な休憩時間の確保や作業環境の改善が必要です。また、定期的な健康診断やストレスチェックを行い、作業者の健康状態を管理することも行うとよいでしょう。

作業者間のコミュニケーション不足

コミュニケーション不足も作業ミスの原因となります。

作業者間での情報共有が不十分だと、作業ミスやトラブルが発生しやすくなることも。たとえば、作業指示が全員に伝わっていないことや、変更点が共有されていないことで、誤った作業が行われる場合があります。

このような事態を防ぐには、日常的なコミュニケーションの強化が必要です。ミーティングの定期開催やチャットツールの活用、掲示板による情報共有などの方法でコミュニケーションを促進し、情報の伝達を確実にすることが重要です。

業務が標準化されていない

業務の標準化が不十分であることは、ヒューマンエラーによるミスを引き起こす重大な問題です原因

作業が標準化されていないと、担当者は自身の経験やスキルをもとに作業を行うため、業務品質にばらつきが生じ、ミスが発生しやすくなります。

たとえば、作業手順が曖昧であること、明確なルールが定められていないことなどによって作業者が各自の判断で行動し、エラーが発生します。業務の標準化を進めるには作業手順書を作成し、全員が共通の手順で作業できるようにすることが必要です。また、標準化された手順の定期的な見直しと更新も重要です。

業務標準化のコツについては、後述する『効果のある再発防止策には「標準化」が欠かせない!』をご覧ください。

マニュアルが活用されていない

マニュアルが適切に活用されない場合、作業が属人化し、正しい作業手順とは異なる手法で作業が行われることが考えられます

マニュアルは作業手順や安全対策を標準化し、すべての作業者が統一された方法で作業を行うための重要なツールです。しかし、マニュアルが整備されていない、もしくは従業員がそれを参照しない場合、作業者は自己流のやり方を取り入れてしまいます。

自己流の作業は一貫性がなく個々の作業者の判断に依存するため、ミスが発生するリスクが増加します。

たとえば、作業者が過去の経験にもとづいて独自の手順を追加または省略すると、手順が他の作業者に共有されず、統一性が喪失。結果として、予期せぬミスや品質のばらつきが生じてしまいます。

正しい作業手順を伝え、業務の標準化を促進するマニュアル作成のコツについては、以下のガイドブックをご活用ください。次章からは、具体的な再発防止策について、原因別に解説していきます。


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【原因別】再発防止策の具体例4選

再発防止策は、製造現場におけるトラブルを未然に防ぎ、生産効率と安全性を高めるために不可欠です。具体的な再発防止策について、以下4つの例でご紹介します。

【ヒューマンエラー】ボタンの押し間違い

ヒューマンエラーによるボタンの押し間違いは、製造現場でよく発生する問題です。

たとえば、操作パネルのボタンを間違えて押してしまうと、機械が誤動作し、製品に不良が発生することがあります。このようなエラーを防ぐには、操作パネルのデザインを見直すことが重要です。具体的には、ボタンの色や形を変えて視覚的に区別しやすくする、誤操作防止のために確認ボタンを追加するなどの対策があります。

また操作手順を明確に示したマニュアルを整備し、定期的な操作訓練を実施することも効果的です。さらにダブルチェック体制を導入し、複数の作業者が確認することで、ミスの発生を防ぐことが可能です​。

確認漏れや「ついうっかり」で発生する作業ミスを防ぐには、故障や不具合が発生しても安全に停止できる「フェイルセーフ」や、誤作動を発生させない仕組みの「フールプルーフ」といった考えも有効です。

ヒューマンエラーに対する対策例について、より多くの事例も詳しく知りたいという方は、専門家による以下の解説動画をご覧ください。


各種事例に学ぶヒューマンエラーの原因分析と対策法 (2)

【労働災害】スクレーパーによる切り傷

使う機会が多く、ミスをしやすいにもかかわらず、スクレーパー(ヘラ)による切り傷は非常に危険です。たとえば、作業員がスクレーパーを使用中に手を滑らせて切り傷を負うことがあります。

このような事故を防ぐためには、安全対策を徹底することが必要です。

まず、安全手袋の着用を義務付けることが基本です。またスクレーパーを使用する際の正しい手順を教育し、作業前に必ず確認を行うように指導することも同時に行いましょう。

さらに、スクレーパーを使用しない代替手段を検討することも重要です。たとえば、切り傷のリスクを減らすために自動化された機械を導入し、手作業を減らすことで安全性を高められます。同様に、作業環境の改善も大切です。作業スペースを整理整頓し、安全に作業できる環境を整えることが求められます。

労働災害に発展しかねないミスの再発防止策を考えるうえで、必ず行うべきことは従業員の「安全意識の醸成」です。現場改善ラボでは、労働安全コンサルタントによる「従業員の安全意識を形骸化させない安全教育」に関する1時間弱の解説動画を無料でご覧いただけます。

ぜひこの機会に、以下のバナーをクリックしてご覧ください。

【品質問題】ラベルの貼り付けミス

製品に誤ったラベルが貼付され、誤出荷が発生したケースを考えてみましょう。

誤った商品や不良品を出荷することは重大な品質問題であり、顧客の期待を損ね満足度の低下を招いてしまいます。このようなトラブルを避けるには、ラベルの管理システムの導入やラベル貼付の自動化など、システムの導入により手作業をなくし、ミスを発生させない環境の整備が再発防止策として考えられます。

他の再発防止策として、実際の作業で発生したミスや改善点を手順書やマニュアルに反映させるフィードバックループの実施により、同じミスの繰り返しを防ぐことが望めるでしょう。

マニュアルや作業手順書を整備し、効果的な再発防止策にするコツについては、後述する『標準化に最適なツールは「動画マニュアルtebiki」』のほか、以下の「現場で使われる」作業手順書のポイントを解説した資料でも展開しています。是非ご覧ください。


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【ヒヤリハット】機械の巻きこみ

作業員が機械のメンテナンス中に巻きこまれるなど、機械の巻きこみによる事故は重大な労働災害につながる可能性があります。

機械の安全装置を適切に設置し、作動させるなどの措置が重要です。安全カバーや緊急停止ボタンを設置し、作業中に機械が誤作動しないようにしましょう。また作業員に対して安全教育を徹底し、機械の操作方法や緊急時の対処法を習熟させることが必要です。

上記のようなヒヤリハットは、社内でも報告を確実に行うことで周知と対策をセットで行うことが可能です。ヒヤリハットをベースにした安全対策の進め方は、別記事「ヒヤリハットとは?報告書の例文や業界別の事例、対処法について紹介」か、専門家による以下の解説動画をご覧ください。


労働災害を撲滅するヒヤリハット対策の心得 (1)

再発防止策は何から考えればよい?具体的な考え方の立て方

効果のある再発防止策を計画するには、以下の3つの流れに沿って進めましょう。

  • ミスの根本となる原因を追求する
  • 具体的な再発防止策を立案する
  • 実際に行う防止策を精査する
  • 類似作業工程がないか洗い出す

ミスの根本となる原因を追求する

再発防止策を考えるうえで、まずはミスの根本原因を明確にすることが重要です。ミスを引き起こした根本的な原因を突き止め解決しない限り、似たようなミスが多発する恐れがあります。そのため、単なる表面的な原因ではなく、問題の本質を突き止めることが重要です。

そのためには、問題発生時に根本原因を深掘りして特定する手法であるなぜなぜ分析が有効です。

なぜなぜ分析は、問題が発生した際に「なぜ?」を繰り返し問い続けることで、根本的な原因の特定を目指す分析手法です。たとえば機械の故障が発生した場合、なぜ故障したのか、その理由をさらに掘り下げていくことで、メンテナンス不足や設計上の問題といった真因にたどり着くことが可能です。

なぜなぜ分析を実際に現場で行いたい方に向け、トヨタの現場で「なぜなぜ分析の研修」を行っていた専門家による解説動画をご用意しています。ぜひこの機会に、以下よりご覧ください。


トヨタで学んだ『なぜなぜ分析』 (4)

具体的な再発防止策を立案する

ミスの根本的な原因を解明したのち、同じ問題が再発しないようにするための具体的な対策を考えましょう。具体的な対策を考える際は、以下の観点を考慮しながら立案することがおすすめです。

  • 対策の有効性
  • 実行の可能性
  • 持続性

 対策の有効性

ミスの根本となる原因を追求する』で先述した通り、再発防止策は問題の根本原因に直接対応するものでなければ意味がありません。対策が表面的な症状にのみ対応している場合、根本的な問題は解決されず、再び同じ問題が発生する可能性があります。

そのため、再発防止策を考える際は「この対策で本当に根本的な原因にアプローチできるのか?」という視点を常に持つようにしましょう。例として、機械の誤作動というトラブルの根本的な原因が「ベルトの摩耗を早期に発見できなかった」ことにある場合、対策として「点検頻度の見直し」や「点検時に使用する測定器具の精度向上」を考えることが有効です。

実行の可能性

立案した対策が実行可能であることも重要です。

どれほど効果的な対策でも、実際に現場で実行できなければ意味がありません。実行可能性を評価する際には、人材、時間、予算、設備などのリソースを考慮し、現実的な対策かどうかを検証しましょう。

例として、「点検頻度の見直し」という対策を仮に考えた場合、点検の頻度を上げることが根本原因に対して有効だとしても、人員や時間が不足している場合は真に有効な策とはいえません、この場合、点検項目の優先順位を付けることや、特に重要な部分にリソースを集中させることで実行可能性を高める必要があります。

持続性

有効な再発防止策にするには、一時的な対応策ではなく、長期にわたって効果を発揮する持続性のある対策であることが求められます。持続性を確保するためには、対策が習慣化し、定期的に見直される仕組みを作ることが重要です。

例として、「点検頻度の見直し」を実行する場合、点検結果を記録し、定期的に管理者がレビューするプロセスを導入するとよいでしょう。点検の質を継続的に保ち、問題が再発するリスクを低減することが期待できます。

また、記録の形式や内容を定期的に見直し、より実用的なものになるよう改善も併せて行うことで、さらに効果のある再発防止策にすることもおすすめです。

実際に行う防止策を精査する

ミスの根本的な内容を特定し、どのような対策が考えられるか洗い出した後は、実際に行う防止策を精査しましょう。すべての防止策を実施することは現実的ではないため、どの防止策から実践するか、優先順位を付けることが重要です。

再発防止策の優先順位を考える際は、以下のような観点をもとに比較すると良いでしょう。

優先順位の精査法内容
対策のリストアップ問題の根本原因に対応するために考えられる対策をすべて挙げ、それぞれの対策の利点と欠点を簡潔にまとめるベルト摩耗に関する対策として、「点検頻度を増やす」「新しい点検ツールを導入する」「ベルトの耐久性を向上させる」といった対策をリストアップし、それぞれメリット/デメリットを考える。
コスト・ベネフィット分析各対策にかかるコスト(時間、資金、人材など)と、その対策がもたらすベネフィット(問題解決の効果、リスク低減、安全性向上など)を比較する「新しい点検ツールの導入」が高コストだが、長期的に見てベルト摩耗の早期発見と機械の停止防止に大きく寄与するなら、そのコストを正当化できると判断する。
リスクの評価実行しようとしている対策が、他の工程や安全性にどのような影響を与えるかを評価し、潜在的なリスクを特定する点検頻度を増やすことが、作業負荷の増加や他の工程の遅延を引き起こすリスクがないかを評価する。
ヒアリングによる判断現場の担当者や管理者など関係者から意見を収集し、対策の実行可能性や効果についてのフィードバックを得たうえで、実施の難易度や有効性を洗い出す「新しい点検ツールの導入」について、実際に現場で使用する担当者からその使い勝手や実効性について意見を収集し、導入の是非を判断する。

類似作業工程がないか洗い出す

再発防止策を効果的にするには、類似作業工程がないかを洗い出すことも重要です。

たとえば、工程でカッター使用時に手を切ってしまう事故が発生した場合、対策として防刃手袋を導入するだけでなく、他の工程でも同様の作業が行われていないかを確認します。もし類似の作業があれば、同じ対策を講じることで、同様のミスを防ぐことが可能です。

また他の作業工程で潜在的なリスクを洗い出し、予防策を講じることも重要です。

たとえば、不具合が発生した機械が複数の工程で使用されている場合、トラブルのあった機械だけでなくすべての機械に対し保守点検を徹底することで、見落とされていたリスクを低減させられます。横断的な視点でのリスク管理を行うことで、再発防止策の効果を最大限に引き出せます。

再発防止策を実施する際のポイント5選

再発防止策を効果的に実施するには、具体的な手法やツールを適切に活用することが重要です。再発防止策を実施する際は、以下5つのポイントがおすすめです。

チェックシートを活用する

チェックシートは作業手順や確認項目を整理し、ミスを防ぐための有効なツールです。

たとえば「誰が」「どこで」「どのレベルまで」「何をやるか」を時系列にまとめたチェックリストを作成し活用することで、作業者は各作業を確実に確認しながら進められるため、注意力の欠如によるミスを防げます。

また、作業終了後にはチェックシートを提出し、上司が確認するフローを確立すると、さらなるミス防止効果が期待できます。定期的にチェックシートの内容を見直し、現場の状況に合わせて更新することも重要です。

一方で、チェックシートには「流れ作業になり、形骸化しやすい」「チェックシートにも記入漏れが発生し、ミスを防げない」という課題が存在しています。そのため、後述する「業務の自動化」や「教育の実施」といった対策、チェックシートのような現場帳票をデジタル化することも手段の1つでしょう。

マニュアル/作業手順書を整備・更新する

マニュアルや作業手順書の整備は、再発防止策を強固にできるおすすめの対策です。

これらの文書が適切に整備されていると、ミスやトラブルの再発を防ぐための基盤を提供できます。例として、過去に発生したトラブルやミスの原因・対策をマニュアルや作業手順書に反映させることで、同じ問題が再発しないよう注意喚起することや、もしもミスが発生した際にどうすればよいかの方針を伝えることができます。

一方で、マニュアルが存在していても、実際に活用されず再発防止策として機能していないケースもよく見られます。これは実作業とマニュアルの内容に乖離がある、またはマニュアルが分かりにくいことが原因です。

このような場合、作業者にとって分かりやすいマニュアルを更新することが最重要です。

具体的には、実際の作業手順を詳細に観察し、現場のフィードバックを取り入れながら分かりやすい言葉や図解を用いてマニュアルを改善しましょう。定期的にマニュアルを見直し、最新の作業手順などを反映させることで、全員が統一された基準で作業を行い、ミスを防げます。

使用者にとって分かりやすく理解しやすいマニュアルを整備する方法は、以下のガイドブックで図解を交えてご紹介しています。ぜひこの機会にご活用ください。


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複数人によるチェックを実施する

複数人によるチェック体制は作業ミスを防ぐために非常に有効ですが、すべての作業に適用すると工数が増加し、非効率になる可能性があります。

そのため複数人のチェックを導入するのは、重要な作業に限定することが効果的です。重要な手順やミスが致命的な影響を及ぼす懸念がある作業に対して、2重チェックや3重チェックを行うことで、ミスのリスクを最小限に抑えます。具体的には作業者が自身の作業を最初にチェックし、その後に別の担当者が確認する体制を整えましょう。

一方で、複数のチェックは「他の人が確認しているから大丈夫だろう」という油断ももたらすので、目的や重要性を周知することも大切です。

業務の自動化を行う

業務の自動化はヒューマンエラーによるミスを削減し、生産性を向上させる有効な手段です。

手動で行われている作業を自動化することで作業者の負担を減らし、ミスの発生を防げます。たとえば、データ入力や検査工程など機械が正確に行える作業を自動化することで、作業の効率化と品質向上が期待できます。

また自動化されたシステムは、一定の基準を常に維持できるため、作業品質のばらつきを防げます。自動化導入後も、定期的なメンテナンスとシステムの見直しを行い、最適な状態を維持することが重要です。

一方で、業務の自動化を実現するにはシステムやデバイスの購入が必要なことも少なくありません。

そのため、業務の自動化を検討する際は『実際に行う防止策を精査する』で述べたように、導入にかかるコストとそのベネフィットを比較し、導入後も望んだ効果に見合っているか効果検証を必ず行いましょう。

再度教育を行う

教育やトレーニングは、再発防止策を効果的にするために欠かせません。

作業ミスが発生した場合、原因を分析し、必要なスキルや知識の不足を補うための教育方法を見直します。新入社員や経験の浅い作業者に対しては、基礎的な研修を徹底し、OJTを通じて実践的なスキルを身につけさせます。

また定期的にトレーニングを行い、ベテラン社員も含めた全員が最新の知識と技術を習得できるようにします。結果、全員が同じ基準で作業を行い、ミスの発生を防げます。

しかし、ミスや問題が起きるたびに研修やOJTを実施することは現実的ではありません。管理者の負担を軽減しつつも再教育を着実に行う手段として、動画マニュアルが活用されるケースがあります。


動画マニュアルで現場の教育をかんたんにする方法

再発防止策を徹底させるには?

再発防止策を効果的に実施し、持続させるためには、現場全体での徹底した取り組みが求められます。
以下に、再発防止策を徹底させるための具体的な方法を紹介します。

  • まずは上層部が取り組む
  • ミスを再発させない職場作りを行う

まずは上層部が取り組む

再発防止策を成功させるには、上層部が積極的に関与することが不可欠です。

まず上層部が再発防止の重要性を理解し、リーダーシップを発揮して全員に「ミスを防ぐという意識」を浸透させることが求められます。再発防止のビジョンを共有し、目標を明確にすることで、全従業員が同じ方向を向いて取り組むことが可能です。

同様に、マネジメント層や部門長など、上層部が率先して再発防止策の進捗を定期的にモニタリングし、適切なフィードバックを行うことも重要です。上層部自身が再発防止の取り組みを実践し模範を示すことで、従業員の意識を高め、取り組みの一貫性を保てます。

ミスを再発させない職場作りを行う

再発防止策の徹底には、ミスを再発させない職場作りが必要です。

単に個人のミスを防ぐための対策を講じるだけでなく、職場全体の文化や環境を変革し、ミスが再発しにくい体制を構築することで、組織全体でミスを防ぐ体制が整備できます。

ミスを再発させない職場作りには、まず「ミスを積極的に報告できる仕組み」を作りましょう。ミスを減らしたいあまり、ミスをした個人や部署を叱責することは避けるべきです。ミスをした責任を強く非難するような組織体制では、叱責を恐れた従業員によりミスやヒヤリハットが隠蔽され、本来であれば防げるはずだった重大なミスを見逃す可能性があります。

そのため、トラブルの発生時に「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」を行う文化を徹底することで、問題が発生した際にすぐに上司や同僚と情報を共有し、早期の対応ができるよう整備しましょう。これにより、問題が大きくなる前に解決できる環境や、ミスを事前に察知できる環境が整います。

また、標準作業手順を整備し、徹底させるといった取り組みも重要です。

標準化された手順が守られることで、業務品質のばらつきや属人化といったミスの発生要因が大幅に減少するため、組織全体で取り組むと良いでしょう。標準を整備したのちは、正しい作業の進め方やノウハウについてマニュアルや作業手順書を作成し、手順の理解と徹底を図ることが欠かせません。

マニュアルや作業手順書を整備し、作業手順を遵守させるコツについては、後述する『標準化に最適なツールは「動画マニュアルtebiki」』のほか、以下の作業手順書を作成するポイントを凝縮したした資料でご紹介しています。


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効果のある再発防止策には「標準化」が欠かせない!

再発防止策を効果的に実施するには、標準化が重要な役割を果たします。

標準化とは、業務手順やプロセスを統一し、全員が同じ基準で作業を行うことです。以下に、標準化が再発防止策にもたらす具体的な効果について解説します。

標準化による効果

標準化は、作業手順やプロセスを明確にし、全員が同じ方法で作業を行うことを指しています。標準化により以下の効果が期待でき、再発防止策に寄与するでしょう。

  • 品質の安定化
  • 属人化解消

品質の安定化

標準化の顕著な効果の1つとして、品質の安定化があります。

業務の標準化により、作業手順が明確になり、全員が同じ手順に従って作業を行えます。標準化された手順を遵守することで、過去に発生した品質のばらつきや不良品の発生原因を排除し、品質の一貫性を保てるため、同じ問題が再発するリスクを低減できます。

例として、ある工程での温度管理がばらついていたことが原因で品質に問題が発生していたとします。ここで業務を標準化し、温度管理の手順を細かく設定・記録する仕組みを整えることで品質が安定し、再発防止策として効果的に機能することが期待できます。

属人化解消

標準化は、属人化の防止にも効果を発揮します。

属人化とは、特定の個人だけが業務の手順やノウハウを知っている状態のことです。業務や作業手順や属人化した状態が続くと、特定の個人だけが持つ知識やスキルに業務が依存することになります。この場合、その個人しか正確に対応できない状況が生まれ、他の従業員が同じ作業を行う際にミスが発生しやすくなります。

しかし、業務を標準化することにより、特定の個人のスキルや経験に依存する作業が減少します。

手順が文書化され、誰でも同じ作業ができるようになることで、特定の人に頼らない体制が整います。属人化が解消されることで、特定の従業員の退職や休職によって業務が滞ることがなくなり、再発防止策として持続的に機能します。また、新入社員や異動者でも同じ基準で作業を行うことができ、ミスが発生しにくくなるといえるでしょう。

例として、ある業務がベテラン社員の経験と勘に頼って行われていた場合、その社員が不在になると業務が滞り、ミスが発生する可能性があります。業務を標準化し、手順書を整備することで、新しい社員でも同じ業務を円滑に行うことができ、属人化が解消されます。

標準化には動画マニュアルがおすすめ

標準化を効果的に実施するには、動画マニュアルの活用がおすすめです。

動画マニュアルは、従来の紙のマニュアルに比べて、作業手順や業務の標準化に大きな利点があります。動画という視覚情報と音声情報を通じて具体的な作業手順を示すことで、内容が理解しやすく、記憶に残りやすいところがメリットといえるでしょう。

紙のマニュアルは情報量が多くてわかりにくい場合がありますが、動画マニュアルなら実際の作業をリアルタイムで行うのと同様に示せるため、直感的に理解できます。

文章が多い文書ベースのマニュアルより動画の方が分かりやすい

他にも、OJTや口頭による教育では教え方の差や内容の微妙な差異により、全員に均一な内容を教えることが難しいという課題がありましたが、動画マニュアルでは一度作った正しい「見本」を使って教えるため、大人数に同一の内容を効率的に伝達できるほか、スキマ時間で繰り返し視聴が可能なため先輩社員がいない場でも学習が可能です。

さらに動画マニュアルは、作業手順の変更や新しい手順の導入時にも有効です。

紙のマニュアルでは、変更があるたびに再印刷が必要ですが、動画マニュアルなら簡単に更新できます。次の章では、標準化を進めて再発防止策を有効なものにする上で、特におすすめな動画マニュアルである「tebiki」についてご紹介します。

標準化に最適なツールは「動画マニュアルtebiki」

動画マニュアルの「tebiki」は、標準化を効果的に進めるための最適なツールです。

動画による説明は視覚的に分かりやすく、文章だけでは伝わりにくい細かな手順や注意点を明確に示せます。ここではtebikiが最適な理由と、tebikiを活用している具体的な企業事例を紹介します。

動画マニュアルtebikiが標準化に最適な理由

tebikiは、動画マニュアルを活用して作業手順を標準化し、業務品質を安定させてミスを再発防止するには非常に効果的なツールだといえます。

tebikiの主な機能として、動画の簡単作成と編集があります。

現場の作業をスマートフォンで撮影するだけで簡単にマニュアルが作成できるほか、マルやバツ、矢印といった簡単な記号を画面に表示する編集も簡単に行えるため、専門的な知識や技術がなくても高いクオリティのマニュアルが完成します。

さらに、tebikiには教育効果を可視化する「組織レポート機能」や「テスト機能」が搭載されています。組織レポート機能により、マニュアルの視聴状況が一目で把握できるため、マニュアルが組織の中できちんと活用されているかが計測可能です。


▼組織レポートのイメージ画像▼

tebikiでの組織レポート機能のイメージ画像

また、テスト機能で作成したテストを従業員に受けさせ、どのくらい理解ができているかをチェックすることも可能なため、正しい作業手順が浸透し標準化が進んでいるかの確認が実現します。これらの機能を活用することで、現場の標準化を推進し、作業ミスの再発防止を強化することが可能です。

本記事でご紹介したtebikiの機能詳細や導入効果については、以下の資料でも詳しく解説しております。業務標準化や作業ミスの再発防止に向けた具体的な手段をお探しの方は、是非ご参考ください。


動画マニュアルがかんたんに作れる「tebiki」の概要を見る

tebiki活用による再発防止策の企業事例

tebiki活用による再発防止策の企業事例として以下の2社を紹介します。

  • サラヤ株式会社
  • 株式会社神戸製鋼所

より様々な事例は、以下の資料で説明しています。ぜひ皆様の会社と近い事業者の事例を読んで、tebikiを導入したときのイメージを膨らませてみてください。


tebiki導入事例集

サラヤ株式会社

サラヤ株式会社は、消毒剤や洗浄剤、医薬品、食品を製造する化学・日用品メーカーです。

同社では、従来紙のマニュアルを使用して教育を行っていましたが、紙のマニュアルでは微妙なニュアンスや作業工程の詳細が伝わりづらいという課題がありました。

そこでサラヤ株式会社は動画マニュアルtebikiを導入しました。

tebikiの導入により、紙のマニュアルがタブレットに置き換わり、作業者は動画を通じて具体的な作業工程や注意点を確認できるようになりました。tebikiは、作業のニュアンスや機械の動き、音など紙では伝えられない情報を効果的に伝えることが可能です。

またtebikiの導入により、サラヤは複数の拠点で400個以上のマニュアルを作成し、作業品質の改善を実現したほか、作業者の力量が均一化され、安全性も向上しました。

より詳細な同社の動画マニュアル活用事例を知りたい方は、以下のインタビュー記事をご覧ください。

株式会社神戸製鋼所

株式会社神戸製鋼所は、素材系事業、機械系事業、電力事業を展開する日本の大手製造企業です。

同社は、紙の作業手順書だけでは作業内容の詳細を伝えきれず、教育にばらつきが生じるという課題に直面していました。主な課題として、OJTでは教育内容にムラがあり、作業品質にもばらつきが生じていたこと、紙マニュアルの作成に多大な時間がかかってたことが挙げられます。

そこで神戸製鋼所はtebikiを導入し、教育課題を解決しました。

tebikiにより作業内容が詳細に伝わったことで、教育内容のばらつきを防止できたほか、動画マニュアルと紙の手順書を組み合わせることで、新人からベテラン社員まで一貫した教育を提供できるようになり、作業の標準化と効率化が進みました

神戸製鋼所によるtebiki導入当時のエピソードや、tebiki活用による今後の展望については以下のインタビュー記事を是非ご覧ください。

再発防止策を講じて、より良い現場作りを目指そう!【まとめ】

再発防止は製造業にとって不可欠な取り組みです。再発防止の重要性は、作業者の安全確保、機会損失の回避、品質不良の削減にあります。

作業ミスの原因としては、確認不足、経験不足、慣れ、疲労、コミュニケーション不足、標準化されていない業務、マニュアルの未活用が挙げられます。具体的な再発防止策として、ヒューマンエラーや労働災害、品質問題、ヒヤリハットに対する対策が有効です。

再発防止策を考える際は、ミスの根本原因を追求し、実行可能な防止策を精査し、類似作業工程を洗い出すことが重要です。実施のポイントとしては、チェックシートの活用、マニュアルの整備・更新、複数人のチェック、業務の自動化、再度教育を行うことが挙げられます。上層部の取り組みや職場全体でのミスを再発させない環境作りも不可欠です。

標準化による効果には、品質の安定化、属人化の解消、作業ミスの削減が含まれます。標準化を進めるためには、動画マニュアル「tebiki」が有効です。tebikiは視覚的にわかりやすく、更新も容易で、全員が同じ基準で作業を行えます。サラヤ株式会社や神戸製鋼所の事例では、tebikiを活用した作業品質の均一化や再発防止策の強化が実現されています。

この記事で紹介した動画マニュアルのtebikiの資料は無料でダウンロード可能ですので、ぜひこの機会に以下の画像からダウンロードしてみてください。


動画マニュアルがかんたんに作れる「tebiki」の概要を見る

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