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「チョコ停(ちょこてい)」とは、短時間で復旧する一時的な設備停止を指します。本記事ではチョコ停の定義や計算式、ドカ停との違いについて解説します。また、チョコ停が稼働率や生産能力に与える影響について触れ、その原因を掘り下げます。
さらにチョコ停の対策に必要な、メンテナンス手順の標準化や属人化の解消方法、設備の不具合は検知する仕組みもご紹介します。
目次
チョコ停とは?計算式やドカ停との違いも解説
ここでは、以下の点について詳しく解説します。
チョコ停の定義
チョコ停とは設備が短時間で停止し、すぐに復旧する故障のことです。「日本産業機械の簡易閲覧」によると、チョコ停とは設備が規定の機能や性能を失い、産出物や作用が規定の品質レベルに達しなくなる状態を指します。
具体的には、設備が生産ラインなどの大規模なシステムの一部として機能している場合、システム全体を停止させるような重大な故障を「ドカ停」、逆に短時間に回復できる部分的な停止や不具合を「チョコ停」といいます。
チョコ停の停止時間は通常数分程度であり、「空転ロス」とも呼ばれます。
チョコ停とその他のトラブルはどう違う?
チョコ停は、製造業における7大ロスの1つであり、その中でも「性能ロス」に分類されます。7大ロスとは以下の項目です。
- 故障:設備の故障による停止
- 段取り/調整:生産ラインの変更や調整によるロス
- 工具交換:工具の交換に伴うロス
- 立ち上がり:新しい設備や製品の立ち上げに伴うロス
- 速度低下:設備の速度低下によるロス
- チョコ停/空運転:短時間の一時的な停止によるロス
- 不良/手直し:製品の品質不良や手直しによるロス
これら7大ロスは、製造現場のKPI指標として見られる「設備総合効率(OEE)」に影響を与える要素でもあります。
チョコ停は設備が稼働している間に発生し、迅速に対応可能なため一見軽微なトラブルに見えますが、発生の頻度が高くなると生産効率に大きな影響を与えます。故障や不良品の場合は製造ラインを長時間停止させて対応することが多く、チョコ停とは対応の規模が異なります。
7大ロス、設備総合効率について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:設備総合効率(OEE)を上げるには?計算式や7大ロス、役立つツールも紹介
チョコ停の計算式
チョコ停の計算式について、ここでは以下の2パターンを解説します。
- チョコ停時間
- チョコ停率
チョコ停時間
チョコ停時間とは、設備が停止してから復旧するまでの時間を指します。チョコ停時間を正味稼働時間から差し引くことで、稼働率の低下を具体的に把握できます。計算式は以下の通りです。
チョコ停時間=全稼働時間−正味稼働時間
たとえば1日の全稼働時間が24時間で、チョコ停による停止時間が合計で2時間あった場合、チョコ停時間は以下のようになります。
チョコ停時間=24時間−22時間=2時間
これにより、チョコ停がどのくらいの間で発生し、生産効率に影響を与えているかを明確にできます。
チョコ停率
チョコ停率とは、全稼働時間に対するチョコ停時間の割合を示す指標のことです。チョコ停率を用いることで、チョコ停の影響を相対的に評価することが可能です。計算式は以下の通りです。
チョコ停率=チョコ停時間/全稼働時間×100
たとえば全稼働時間が24時間でチョコ停時間が2時間の場合、チョコ停率は以下のようになります。
チョコ停率=2時間/24時間×100=8.33%
チョコ停率を計算することで、短時間の停止が全体の稼働にどれだけ影響を及ぼしているかを可視化できます。
ドカ停との違い
ドカ停とはチョコ停とは異なり、設備が長時間にわたって停止する重大な故障のことです。
「日本産業機械の簡易閲覧」によると、システム全体を停止させるような重大な故障を「ドカ停」といい、通常1時間以上の停止を伴います。チョコ停が数分で復旧するのに対し、ドカ停は復旧に長時間を要するため、影響が大きくなります。
チョコ停は短時間で済むため見逃されやすいですが、頻繁に発生するとドカ停の前兆となりえます。つまり、チョコ停の積み重ねがドカ停を引き起こす可能性があるため、チョコ停の管理と対策が不可欠です。
チョコ停がもたらす5つの影響
チョコ停(短時間の設備停止)は製造現場において頻繁に発生するため見過ごされがちですが、実際には大きなロスなどの影響を及ぼす可能性があります。
ここではチョコ停がもたらす以下の5つの主要な影響について解説します。
チョコ停は放置されやすい
チョコ停は短時間で復旧可能なため、現場では軽視されがちです。
数分で対応できるため、生産スケジュールに大きな影響を与えないと誤解されることが多いでしょう。しかし、頻繁に発生することで生産ライン全体に蓄積的な影響を及ぼします。放置されやすい理由は以下の通りです。
迅速に対応できる:作業員が短時間で復旧できるため、大きな問題として扱われにくい。
記録に残りにくい:発生頻度が高くても、短時間のため正式な記録に残されないことが多い。
重大なトラブルの前兆として認識されにくい:小さなトラブルの積み重ねが大きなトラブルを引き起こす可能性があるが、その認識が薄い。
一方でチョコ停を放置すると、ドカ停(長時間の重大な停止)を引き起こすリスクが高まります。チョコ停の影響について、以降詳しく解説していきます。
稼働率や生産能力の低下
チョコ停が頻繁に発生すると、設備が停止している時間が累積されるため稼働率や生産能力が低下します。稼働率の低下は生産能力の低下に直結するため、結果として生産コストの増加や納期の遅延につながることがあります。
たとえば1日の生産時間が24時間で、1回のチョコ停が5分、1日に10回発生すると、合計で50分のロスとなります。
チョコ停時間=5分×10回=50分
このような短時間の停止が積み重なることで、稼働率(実際の稼働時間の割合)が低下します。稼働率の計算式は以下の通りです。
稼働率= 全稼働時間稼働時間 ×100
全稼働時間が24時間で、チョコ停による停止時間が50分(0.83時間)であれば、稼働率は以下の通りです。
稼働率= (24時間−0.83時間)/24時間×100=96.54%
稼働率の目安や詳しい計算方法について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:稼働率の計算方法は?可動率との違いや目安、改善策、改善事例を解説!
品質問題の発生
チョコ停は製品の品質にも影響を及ぼします。
設備が停止して再稼働する際、人為的なミスで温度や圧力などの設定が微妙にずれることがありますが、このような微小な変化が製品の品質に悪影響を及ぼす恐れがあります。
具体例として、射出成形機がチョコ停により停止した場合、再稼働時に金型の温度が不均一になることがあります。結果、成形品に微小な変形や気泡が発生し、不良品が増加する可能性があります。
品質問題が発生すると、以下のような影響が考えられます。
- 不良品率の増加:チョコ停の影響で発生する不良品が増える。
- コストの増加:不良品の手直しや回収に伴う追加コストが発生する。
- 顧客クレームの増加:品質の低下により顧客からのクレームが増加し、信頼を失う可能性がある。
関連記事:製造業における品質改善/向上8つの手法は?品質バラつき防止の取組事例を解説
納品遅延による信頼損失
チョコ停は製造スケジュールに遅れを生じさせ、最終的に納品の遅延を引き起こすことがあります。
たとえば1日に10回のチョコ停が発生し、それぞれが5分ずつの停止時間を生じさせると、合計で50分の生産時間が失われます。チョコ停によるロスが積み重なると、予定された納期に間に合わない可能性が高まるため注意が必要です。
納品遅延が発生すると、以下のようなトラブルを招くことがあります。
- 顧客満足度の低下:納期に間に合わないことで、顧客の信頼を失う可能性がある。
- 追加コストの発生:納品遅延に伴う緊急対応や、追加の運送コストが発生することがある。
- 契約違反のリスク:納期を守れないことが契約違反とみなされ、罰金や取引停止のリスクがある。
労働災害など安全トラブルの増加
チョコ停が頻繁に発生すると、作業員が復旧作業を急ぐあまり、日ごろから行っている安全対策が疎かになることがあります。
安全対策が十分に行われない状況は、労働災害の発生につながります。具体的には以下のような労働災害が考えられます。
- 機械の挟み込み事故:チョコ停の復旧中、機械の可動部分に手を挟まれる。
- 高温設備による火傷:再稼働時に高温の設備に触れて火傷を負う。
- 落下事故:復旧作業中に高所からの落下事故が発生する。
関連記事:製造業の安全対策事例や取り組みを解説!安全ルールを遵守させるには?
チョコ停の主な原因は?
チョコ停は現場の効率や生産性に大きな影響を与える要因となります。ここではチョコ停発生の原因について、以下の3つを具体的な例を交えて説明します。
- 機械/設備のメンテナンス不足
- エラーの発生
- 前工程でのトラブル
機械/設備のメンテナンス不足
点検や清掃が不十分だと設備の不調や異常を見逃してしまうことがあるため、機械や設備のメンテナンス不足はチョコ停の主要な原因です。
たとえば、定期点検を怠ることで摩耗部品の交換時期を逃し、機械が正常に動作しないことがあります。また清掃不足による削りくずや異物の蓄積も、機械の動作不良を引き起こす原因として考えられるでしょう。
このような小さな不調が蓄積されると、突然のチョコ停を引き起こし、復旧作業に時間を取られてしまいます。
エラーの発生
チョコ停によるエラーとして、以下の2つが考えられます。
- 機械/設備のエラー
- ヒューマンエラー
機械/設備のエラー
機械や設備に搭載されているセンサー類の読み取りエラーが、チョコ停の原因となることがあります。
たとえば、温度センサーが故障し、過熱状態を検知しないことで機械が自動停止することがあります。他にも、 製品の品質検査を行う光学センサーが汚れてしまい正常に読み取れなくなったため、誤った不良判定が出されてラインが停止するといったことも例として挙げられるでしょう。
機械や設備のエラーを防ぐためには、センサーの定期的な清掃が必要です。さらに、異常値が検出された場合には迅速に対応できる体制を整えることが重要です。
ヒューマンエラー
ライン上での操作ミスや機械の誤操作、作業手順の不順守が主な原因となってチョコ停が発生することがあります。
つまり、チョコ停は人為的なミス(ヒューマンエラー)によっても発生するということです。たとえば、作業員が誤ってボタンを押してしまうことや手順を間違えることなどの行為で機械が停止することがあります。
ヒューマンエラーを防ぐためには、作業員の教育訓練を徹底し、標準作業手順書(SOP)を整備することが必要です。
関連記事:ヒューマンエラー対策12選!5つの要因とミスを回避するポイントは?
前工程でのトラブル
チョコ停による前工程でのトラブルとして、以下の2つが考えられます。
- 製造ラインのバランスが崩れている
- 前工程での品質不良
製造ラインのバランスが崩れている
製造ラインのバランス設計が不適切だと、チョコ停が発生しやすくなります。
たとえば、製品や部品の流れる速度や量が適切に設計されていないと、ラインが詰まったりスムーズに流れなくなるなどの問題が発生します。
このような状況では、特定の工程で過負荷がかかり、ライン全体が停止することがあります。そのため、ラインバランスを適切に設計し、各工程の負荷を均一にすることが重要です。
前工程での品質不良
前工程で加工された材料や部品の品質にバラつきがあると、次工程でチョコ停が発生するリスクが高まります。
たとえば、前工程での作業品質にムラがあると、後工程での処理がスムーズに行えずにラインが停止することがあります。そのため、前工程の品質管理を徹底し、材料や部品の品質を一定に保つことが重要です。
チョコ停への具体的な対策方法4選
チョコ停が頻発すると生産効率に重大な影響を及ぼします。ここではチョコ停を防ぐための具体的な対策方法として、以下の4つを紹介します。
設備保全を徹底する
機械や設備のメンテナンス不足は、チョコ停の主な原因の1つです。
そのため、設備保全を通して定期的な点検と保全作業を行うことで設備の故障や不調を未然に防ぎ、安定した稼働を実現できます。設備保全には以下のような効果があります。
- 故障の予防:定期点検により、機械の摩耗や異常を早期に発見し、故障を防止する。
- 設備の寿命延長:適切なメンテナンスを行うことで、設備の寿命を延ばし、投資効果を最大化する。
- 稼働率の向上:設備の健全性を保つことで、安定した稼働を実現し、生産効率を向上する。
設備保全の具体的な進め方や属人化させないコツについては別記事「設備保全の目的とは?課題やあるべき姿、IoT化について解説」や、以下の専門家による詳しい解説動画でもご紹介しています。是非ご覧ください。
5S活動を実施する
5S活動は製造現場の整理整頓と効率化を目的とした活動であり、チョコ停の防止に効果的です。5S活動を実施することで、清掃不足やヒューマンエラーを防ぐことが可能です。
5S活動には以下の要素があります。
5S | 内容 | 効果 |
整理 | 必要なものと不要なものを区別し、不要なものを排除する | 作業効率の向上、異物混入の防止 |
整頓 | 必要なものを使いやすく配置する | 探し物の時間削減、動線の最適化 |
清掃 | 常に清潔な状態を保つ | 機械の故障防止、安全性の向上 |
清潔 | 整理・整頓・清掃を維持する | 継続的な作業環境の改善 |
躾 | ルールを守る習慣をつける | 作業ミスの減少、品質の安定 |
5S活動の具体的な実践方法や実施のコツについては、別記事「業務改善につなげる「5S活動」の進め方!目的や事例、アイデアも解説」や、以下の専門家による詳しい解説動画でもご紹介しています。是非ご覧ください。
マニュアル/作業手順書を整備する
標準作業手順書(SOP)やチョコ停発生時の対策マニュアルを作成し、作業員が一貫した手順で作業を行えるようにすると以下のような効果があります。
- 作業の一貫性:統一された手順で作業を行うことで、ばらつきを減少させ、業務品質が安定する。
- エラーの防止:手順書に従うことで、作業ミスや操作ミスの防止につながる。
- 教育訓練の効率化:新人教育が効率的に行え、作業習熟が向上することでチョコ停が発生しにくくなる。
「作業手順書は整備しているものの、中々チョコ停が減らない…」というお悩みもよく耳にします。解決方法について、後述する『チョコ停はなぜ減らない?根本的な理由と効果のある改善策』のほか、以下の画像からダウンロード可能な資料でも詳しくご紹介します。
チョコ停の原因を分析して可視化する
チョコ停の発生を食い止めるには、チョコ停の原因を分析して可視化することも欠かせません。具体的な方法として、以下の2点が考えられます。
- ワークサンプリング
- パレート図
ワークサンプリング
ワークサンプリングとはチョコ停の影響を定量的に把握し、原因を特定するための有効な手法です。
ワークサンプリングは作業時間のうちどのくらいが実際に作業に使われ、どのくらいが無駄になっているかを統計的に分析する手法であり、「稼働分析法」とも呼ばれます。具体的な調査手順は以下の通りです。
- 調査対象の選定:調査する設備や工程を選定する。
- 調査の実施:一定期間にわたり設備の稼働状態を観察し、稼働・停止の時間を記録する。
- データの集計:収集したデータを集計し、チョコ停の発生頻度や停止時間を算出する。
ここで重要なポイントとして、チョコ停の発生頻度や停止時間を算出したのちに稼働率を算出することが挙げられます。稼働率の計算式は以下の通りです。
稼働率= 稼働時間/負荷時間
チョコ停を含む稼働率=稼働時間/(負荷時間+チョコ停時間)
例として、1日の負荷時間が24時間、稼働時間が22時間、チョコ停時間が2時間であれば、チョコ停を含む稼働率は次のように算出されます。
稼働率=22/24≈91.67%
チョコ停を含む稼働率=22/(24+2)≈84.62%
ワークサンプリングにより、チョコ停によるロスや頻度が明確になるため、被害が大きい個所を洗い出したうえで効果的な対策を講じることが可能です。
パレート図
パレート図はチョコ停の原因を分析し、重点的に改善すべきポイントを特定するために有効で、QC7つ道具の1つです。パレート図は、製造現場の問題点を数値データで大きい順にグラフ化し、対策の優先順位を決めるときに使用します。
パレート図を用いることで、チョコ停の原因を視覚的に把握し、改善の優先順位を決定できます。パレート図の作成手順は以下の通りです。
- データの収集:ワークサンプリングで収集したチョコ停の原因と回数を集計。
- データの分類:原因ごとにデータを分類し、発生頻度の高い順に並べる。
- 図の作成:棒グラフと累積比率の折れ線グラフを組み合わせた図を作成。
▼パレート図の例▼
現場改善ラボでは、パレート図の詳細な説明やすぐに使えるテンプレートも記載された解説記事をご用意いたしました。以下のリンクより是非ご覧ください。
関連記事:【図解/テンプレ付】QC7つ道具と新QC7つ道具の使い方は?違いや事例をわかりやすく解説
チョコ停はなぜ減らない?根本的な理由と効果のある改善策
チョコ停は生産性の低下を招く要因です。多くの現場で対策を講じているものの、依然としてチョコ停の発生を完全には防げていません。
ここではチョコ停が減らない根本的な理由と、効果的な改善策について探ります。
対策をしていても、チョコ停は毎日発生する
私たち現場改善ラボが製造業の方76名を対象に行った調査によると、多くの企業がチョコ停対策を講じているにもかかわらず、チョコ停の発生を完全には防げていない現状が判明しました。調査結果では、「貴社ではチョコ停がどれくらいの頻度で発生していますか?」という質問に対し、以下のような回答が得られました。
毎日 | 49% |
数日に一回 | 24% |
数週間に一回 | 15% |
数カ月に一回 | 5% |
ほとんど発生しない | 7% |
約半数の方が「毎日チョコ停が発生している」と回答されており、チョコ停の発生頻度の高さが伺えます。
さらに、「チョコ停の発生が生産性の低下を招いていると思いますか?」という質問に対しては、93%の方が「はい」と回答しています。調査結果からも分かるように、チョコ停は依然として多くの現場で日常的に発生しており、生産性の低下を招く要因となっているため効果的な対策を講じることが求められます。
チョコ停を防ぐには「標準化」と「記録の可視化」
チョコ停の発生を根本から減らすためには、「標準化」と「記録の可視化」が重要です。
チョコ停に対策するには、チョコ停を頻発させない「発生頻度の減少」と、発生時の被害を最小限に食い止める「遅延の最小化」が必要です。
発生頻度を減少させるには、先述した『チョコ停への具体的な対策方法4選』のような取り組みが有効ですが、取り組み内容や業務が標準化されていない場合、誰が作業をしても同じ結果を得ることは難しいでしょう。
また、チョコ停による遅延を最小化させるには、万が一チョコ停が再発してもすぐに対処できるよう、復旧の手順や原因を記録化し、誰でも参照できる状態にする必要があります。
このように、チョコ停による被害を最小限にとどめるには、方法やノウハウの「標準化」と「記録の可視化」が欠かせないといえるでしょう。
しかし、「標準化」と「記録の可視化」が実現できている現場は少なく、依然としてチョコ停によるトラブルが絶えない状況があるのはなぜでしょうか。本章では、「標準化」と「記録の可視化」に関する課題について解説します。
標準化の課題
現場で起きているチョコ停の原因として、多くの方が「設備の不具合」を挙げています。
現場改善ラボが製造業の方々を対象に行った調査では、チョコ停の原因として設備の不具合が約50%を占め、ついで操作ミスやメンテナンス不足などの人為的な要因が挙げられました。
このようなヒューマンエラーを防ぐには、標準化による業務品質のばらつき解消や、作業手順の遵守が必要です。それにも関わらず標準化が進まない原因として、以下のような課題が挙げられます。
▼作業手順の整備が大変
詳細な作業手順書を作成するには時間と労力がかかる。また、現場の状況に合わせて手順書を更新する必要がある。
▼作業手順書の限界
複雑な作業や機械を扱うことの多い製造業では、手順書のように文章だけのマニュアルでは複雑な内容が過不足なく伝わりにくいことが多い。また、紙の作業手順書では検索して欲しいマニュアルだけを参照するといったことが難しく、現場で使いにくい。
▼教育訓練の徹底が困難
標準化された手順を徹底するための教育訓練が必要なものの、時間と工数がかかるため実施が難しい。
▼OJTによる教育内容のばらつき
OJTによる教育では教え方や教える内容が教育担当者により左右されるため、教育にムラが生じやすく、作業品質や手順にばらつきが発生する。
記録の可視化の課題
記録の可視化はチョコ停の発生原因や対策手順を明確にし、効果的な対策を講じるために必要です。しかし、現場では以下のような課題が存在しています。
▼記録の徹底
チョコ停が発生するたびにその原因や対応を詳細に記録する必要がある一方で、現場の作業が忙しい中で、すべての記録を漏れなく実行することは難しい。特に手書きの記録では記録に時間がかかるうえ、記録漏れやミスにより情報の一貫性や正確性が保ちにくい。
▼記録の質
紙による記録では、リアルタイムな情報の反映が難しい。加えて、記録する人により記録内容や粒度に差が生じやすく、正確なデータが蓄積できない。
▼データの分析
収集したデータを効果的に分析し、チョコ停の原因を特定するには、データ分析のスキルが求められます。また分析結果をもとに改善策を立案するための知識と経験も必要です。多くの現場では、データ分析に必要なリソースが不足していることが課題となります。
現場の標準化と記録の可視化を促進する2つのツール
現場改善を進めるためには、作業の標準化と記録の可視化が欠かせません。
この2つの要素を効果的に実現するためのツールとして、「動画マニュアルtebiki」と「tebiki現場分析」があります。以下に2つのツールのメリットなどを解説します。
現場の標準化には「動画マニュアルtebiki」
「tebiki」は、動画マニュアルの作成から従業員の習熟度管理まで行えるクラウド型ツールです。
従来の紙のマニュアルやテキストベースの指示書では伝えきれない細かな動作やニュアンスを視覚的に分かりやすく伝えることで、現場の標準化を促進します。tebikiの機能やデザインを詳しく知りたい方は、こちらの動画もご覧ください。
▼動画マニュアル作成ツール「tebiki」紹介動画▼
動画マニュアルtebikiのメリット
動画マニュアルtebikiは視覚的に分かりやすい動画形式により、作業手順を直感的に理解できる点がメリットとして挙げられます。tebikiにより標準化の課題を解決できる理由は以下の通りです。
▼作成が簡単
スマートフォンやタブレットで作業手順を撮影するだけで簡単に作成できるため、現場に負担をかけずにマニュアルが整備できる。
▼直感的な理解
動画を通じて視覚的に作業手順を学べるため、複雑な業務や作業でも理解しやすい。
▼一貫性の確保
すべての作業員が同じ動画を参照することで教育のムラが解消され、作業手順の一貫性が保たれる。
▼迅速な更新
新しい手順や変更があれば、動画を更新することで即座に反映できる。
▼教育工数の削減
動画は場所や時間を問わず繰り返し視聴が可能なため、OJTで繰り返し教える必要がなくなり教育係の負担を軽減できる。
▼教育効果の可視化
マニュアルの視聴状況を閲覧することや、教育内容についてテストを作成できる機能も搭載されており、標準化が現場に浸透しているか確認できる。
実際に、tebikiを導入した新日本工機株式会社では、動画マニュアルにより作業の標準化が進みました。従来の紙のマニュアルでは情報の更新や共有が困難でしたが、動画マニュアルを導入することで作業手順の共有が迅速かつ確実に行えるようになりました。その結果、作業ミスが減少して作業品質が安定し、生産性が向上しています。
インタビュー記事:人が育つ環境づくりとして動画マニュアルtebikiを活用。技術の蓄積と作業品質の安定を実現。
本記事でご紹介した動画マニュアルtebikiの機能や導入サポート体制、プランなどを詳しく知りたい方は、こちらの資料をご覧ください。
記録の可視化には「tebiki現場分析」
「tebiki現場分析」は、現場記録をデジタル化し、可視化するためのツールです。
デジタル化した帳票を利用することで、手書きの記録に比べて効率的かつ正確にデータを収集できます。デジタル帳票とは、紙の帳票を電子化したもので、タブレットやスマートフォンを使って現場での記録をリアルタイムに入力・管理できるシステムです。
tebiki現場分析を導入することで、現場の状況を詳細に記録し、データにもとづいた改善策を講じることが可能になります。たとえば、チョコ停の発生状況を詳細に記録し原因を分析することで、効果的な対策を立案できます。
tebiki現場分析のメリット
tebiki現場分析は、記録の可視化を実現し、現場の問題点を明確にするためのツールです。以下にtebiki現場分析の主要な機能とそれぞれのメリットを説明します。
▼帳票作成機能
現場帳票をクラウド上でかんたんに作成・管理できるほか、フォーマットが統一されることで記録内容が標準化され、質の高いデータを蓄積できる。
▼定時記録機能
毎回の記録で共通する内容の入力を省略し、数時間おきに実施する記録を効率的にできる。
▼画像記録機能
作業の様子や異常箇所を写真や画像で記録し、視覚的な情報を活用することで問題の特定や共有が容易になる。
▼正常値設定/異常値アラート機能
各種データの正常値を設定し、異常値が検出された場合にアラートを発することで問題が発生した際に即座に対応し、トラブルの拡大を防ぐ。
▼分析機能
収集したデータをもとにデータの可視化や統計分析を行うことで問題の根本原因を明確にし、効果的な改善策を講じられる。
本記事でご紹介したtebiki現場分析の機能や導入サポート体制を詳しく知りたい方は、こちらの資料をご覧ください。
チョコ停を理解して現場改善に取り組もう【まとめ】
チョコ停は製造ラインの一時的な停止を指し、頻発すると生産性の低下を招きます。ドカ停とは異なり、短時間で復旧できるため軽視されがちですが、放置すると重大な影響を及ぼします。
チョコ停の主な原因は、機械や設備のメンテナンス不足、センサーの誤作動、人為的なミス、製造ラインのバランス不良、前工程での品質不良です。
チョコ停を防ぐためには、定期的な設備保全、5S活動、標準作業手順書の整備、ワークサンプリングやパレート図を活用した原因分析と可視化が重要です。
さらに、「動画マニュアルtebiki」と「tebiki現場分析」というツールを活用することで、作業手順の標準化と記録の可視化が進み、チョコ停の発生を効果的に防ぐことが可能です。動画マニュアルのtebikiおよびtebiki現場分析は無料でダウンロード可能です。ぜひこの機会にチェックしてみてください。
>>動画マニュアルtebikiの詳細な資料を見てみる
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