コスモ石油 堺製油所が実現する
“安全第一”の動画教育改革

コスモ石油株式会社
- 業種 :製造
- 従業員数 :1,001-3,000名
お話を伺った方:
取締役常務執行役員 堺製油所所長:春井 様
堺製油所 保全戦略課 課長(2025年2月時点):坪田 様
堺製油所 保全戦略課:長友 様
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課題
- テキストベースでの教育では伝わりづらい部分があった
- 教育内容が複雑なためにOJTで教えざるを得ない部分が多く、負担が大きかった
- 新人やキャリア採用者の増加に伴うマニュアル作成の手間が膨大だった
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効果
- 視覚的に理解しやすく、効果の高い教育が実施できるようになった
- 労災事例を再現動画にし、周知することで現場の安全意識が向上した
- マニュアルを印刷して現場に持ち込む必要がなくなり、教育担当者の負担が軽減した
コスモ石油の「安全第一」を実現するための取り組み
貴社の事業内容について教えてください
坪田様: コスモ石油は、国内でも有数の石油精製・販売企業としてエネルギー供給の基盤を支えています。その中でも堺製油所は、京阪神エリアのお客様へガソリン、灯油、軽油などの石油製品を安定供給する重要拠点です。安全への取り組みを強化しながら、付加価値の高い製品を効率良く製造できる点が大きな強みとなっています。たとえば、ガソリンや灯油、軽油、A重油などの得率を9割まで高められる体制を整備しています。
廃食用油を原料とした国産SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の製造装置を設置し、2025年からの供給開始を予定する等、環境配慮型のエネルギー生産にも力を入れています。
コスモ石油が考える「安全」の重要性について教えてください
春井様: ガソリンや灯油などは、一般的には日常生活で目にする機会が少ない危険物です。特にガソリンは少し油断すると火災などにつながる可能性もあるほどで、もし事故が起こってしまえば、事業継続そのものが危うくなる事態に直結します。
我々にとって最も大事なのは「安全第一」。生産よりも安全を優先し、事故を未然に防ぐことが企業としての基本姿勢です。これは社長以下すべての役員が常に心に留めている、絶対に揺らがない考え方ですね。

「安全第一」を実現するための現場DXのお取り組みについて教えてください
春井様: 弊社ではDXに非常に力を注いでいます。特に重要なのは設備管理で、石油プラントでは膨大な数のメカニカル部品が稼働しています。それらの寿命や劣化兆候を見落とすと、重大事故につながるリスクがあります。従来はベテランエンジニアの経験に頼っていましたが、近年は従業員が若年化しており、加えてロングラン運転(長期連続運転)により定期整備の経験を積む機会が減っています。
その中でまず導入したのがAPM(保全戦略システム)です。設備の寿命予測などをDXの力で補完し、人間の「うっかり」や抜け漏れをアラームでフォローする仕組みです。さらに、デジタルツインとしてプラントの仮想空間を構築し、3D空間内での点検やデータ管理をめざしています。現場に行かなくても確認作業ができたり、ベテランでないと気づけなかった異常を可視化できたりと、大幅な業務効率化を期待しています。
こうしたDXに加え、従業員の教育改善のために「tebiki」を活用した動画マニュアルづくりも積極的に取り入れています。作業時間の削減や若年スタッフへの教育など、幅広いテーマでDXを推進していきたいと考えています。
トレーナーの負担増や教育時間の拡大が深刻な課題に。
なぜ動画マニュアルtebikiの導入を検討されたのでしょうか?
坪田様: 石油プラントは装置が大規模かつ複雑で、専門用語も多く、危険物を扱うため安全への理解も欠かせません。新人や中途採用者が早く業務を習得できるようOJTを行っていましたが、テキストだけでは伝わりにくい部分が多く、トレーナーのマンパワーが不足しがちでした。そこで、動画ならばわかりやすく伝えられるのではないかと期待し、動画マニュアルの検討を開始しました。
tebiki導入前の課題や、どのように比較検討されたか教えてください
長友様: 紙ベースの手順書やマニュアルは、専門用語が多く理解に時間がかかるうえ、動きのある作業を文字で表現しきれないという難点がありました。その結果、OJTで教えるしか方法がなく、トレーナーの負担増や教育時間の拡大が深刻な課題になっていました。新人やキャリア採用者が増えたことで個別対応に追われ、紙マニュアルをさらに作り込もうとすると膨大な記載が必要となり、作成・運用の手間が大きくのしかかっていました。
坪田様: プライベートの話になりますが、小学生の子どもがタブレットで撮影した動画を簡単に編集して遊んでいる姿を見て、「昨今の編集作業は思ったより難しくないのでは」と感じたのです。そうした気づきもあり、「動画」を検討し始めました。業務用の動画マニュアルサービスを探した結果、たどり着いたのが「tebiki」でした。
導入を決めるうえで特に重視したのは、コスト・動画編集のしやすさ・伴走型のサポート体制の3点です。操作が複雑だと社内への普及は難しく、現場担当者に負担がかかれば続きません。その点、「tebiki」はスモールスタートでも無理なく取り組め、導入後のサポートも手厚いことが大きな後押しになりました。

労働災害や設備管理などを動画マニュアルで視覚的に理解しやすくなった。
tebikiの動画マニュアルをどのように活用していますか?
坪田様: 主に、労働災害の事例周知や設備管理の新人向け座学で活用しています。従来は写真とテキスト中心だったため、周囲の状況や具体的な作業手順の伝達が難しかったのですが、動画なら視覚的に理解しやすいと好評です。
長友様: 堺製油所は広大なプラントを抱えており、メンテナンスや保全作業の多くを協力会社(パートナー企業)へ委託しています。パートナー企業の安全確保もコスモ石油の責任ですので、月に一度「ゼロ災実行リーダー会議(コスモと協力会社との安全の啓発活動)」を開き、労働災害事例の再現ビデオや対策を動画マニュアル化して周知を徹底しています。実際の災害がどのように発生したのかを映像でイメージでき、再発防止策も具体的に示せるので、現場レベルでの効果を強く感じています。
今後「動画マニュアル化していきたい業務」や「活用を広げたい対象業務」はありますか?
長友様:
労働災害の事例周知や設備管理の新人向け座学は既に動画化しましたが、社内にはまだまだ教育資料が多く存在します。
今後は他部署の社内教育や、紙のマニュアルでは説明が難しい動きのある工程にも適用し、自社の教育プラットフォームとしての発展を目指しています。属人的になっている教育分野を動画化して、誰でも同じレベルの知識を得られる体制を作りたいですね。

tebikiのおすすめポイントを教えてください
坪田様: 「動画作成は大変なのでは?」と考える方も多いと思いますが、tebikiなら本当に簡単に編集でき、すぐ現場に導入できます。紙ベースのマニュアルでは伝えきれない“動き”やノウハウを可視化できるため、教育効果が非常に高いのを実感しています。
長友様: 特にスマートフォンさえあればいつでも閲覧可能な点や、テロップ・字幕などの編集機能が充実していることは大きなメリットです。わざわざ紙のマニュアルを印刷して現場へ持ち込む必要がないので、教育担当者の負担も減りました。

ユーザーの声を汲み取った改善で、社内で「tebiki」がさらに普及している
今後のTebiki社、サービスに期待することがあれば教えてください
長友様: 現場からの意見に迅速に対応いただき、読み上げ機能の音声を改善してくださったのは非常に助かりました。こういったユーザーの声を汲み取っていただける姿勢があることで、動画作成数が増え、社内で「tebiki」がさらに普及しています。これからもユーザー目線のアップデートを続けていただきたいです。
経営の視点からもtebikiに対する期待を伺えますか?
春井様: 私たちが重視している「安全第一」の実現には、事故リスクの低減と教育コストの削減が不可欠です。動画による分かりやすいマニュアルがあれば、若手社員でもベテラン並みの知識を早期に得られる可能性があり、会社全体の生産性・働きやすさの向上につながります。そういう意味で、今後のtebikiには大いに期待しています。